【SS】暴れん坊将軍U『山より来たる肉喰らい』

1第五園長21/11/23(火) 04:56:59

完全に深夜放送が板についた6日目です。
はじまりはじまり～

2第五園長21/11/23(火) 04:58:29

　暴れん坊将軍U

「山より来たる肉喰らい」

3第五園長21/11/23(火) 04:59:55

「射った矢が風を切る感触、獲物を仕留めた手応え。やはり、狩りは良い」
「フン。そろそろ、街に下りるか」

「おい、矢筒と矢を買いたい」
ｻﾞﾜｻﾞﾜｻﾞﾜ…
「おい、この毛皮を買ってくれ」
ｻﾞﾜｻﾞﾜｻﾞﾜ…
「ええいうっとおしい！！何なんだお前たちは！
散れ！」

4第五園長21/11/23(火) 05:00:29

「いやー、おっかねぇ奴だったぜ」
「でもよぅ、ありゃどえれぇ別嬪だぜ？」
「オイオイ、お前なんかが声を掛けたらきっと射殺されちまうよ！」
「違ぇねぇや！」
ﾜｯﾊｯﾊｯﾊｯ…

「楽しそうだな、お前たち。一体何の話だ？」
「げぇっ新さん！？俺たちがサボってた事、女将さんには秘密に…」
「とっくにバレてるんだよ！あんたら全員、昼飯抜きにしたっていいんだよ！？」
「女将さーん、それだけは勘弁を…」
「わかったらとっとと働きな！急がなきゃ本当に昼飯抜きだよ！」
「「「へへぇい！」」」

5二次元好きの匿名さん21/11/23(火) 05:01:14

ウマ……娘……？

6第五園長21/11/23(火) 05:01:23

「はっはっはっ。一日二食、一汁三菜でも十分足りるぞ」
「新さんはもっと食べなさいな。良い男ってのはねぇ、肝でもなんでも太い方がモテるんだよ」
「そうですぜ〜新さん。だからヨォ〜、おさい。今度雉でも食いにいかねぇか？」
「うちにそんな金あると思ってんのかいこの人は…」
「雉か、最後に食べたのはいつだったか…」
「食った事があるのかい！？やっぱお武家さんは違うねぇ…」
「昔、雉撃ちを少しな」
「それだ！雉だよ！」
「だから何だってんだい！」
「街に猟師の女が来ててよぉ！えれぇ別嬪なんだよ！」
「人だかりも凄かったですぜ〜。あっちへフラフラ、こっちへフラフラ」
「ほほう、そこまで言うのなら俺も少し見てくるか」
「あら、新さん行ってらっしゃい」

7第五園長21/11/23(火) 05:04:24

「とは言ったものの、どこへ向かうべきか」
ﾜｲﾜｲｶﾞﾔｶﾞﾔ…
「あそこか？行ってみよう」

「どうして此処までうっとおしいんだ…、ハァ……」
「まぁまぁブライアン、それより飯でも食いに行こうか」
「…わかった。肉だぞ、トレーナー」
「もちろん」
「…なんだ、あれ程居た筈の野次馬はどこへ行った…？」
「ホントだ、どうしたんだろ」

8第五園長21/11/23(火) 05:07:16

「オイお前ら、随分と調子に乗っているようだな」
「…どなたです？」
「何だオマエたちは…？
つまらん。雑魚の群れか」
「貴様ァ…！斬り捨てるぞ！」
「フン。お前らなど、狩る価値もない」
「言わせておけば……！！」
「止めろお前たち。何、見事な雉が持ち込まれたと聞いてな。その腕前、儂の元で大物を刈る気はないか？」
「生憎ですが、私たちは誰の下につく気もありません。ただ山で伸び伸びと狩りがしたいだけです」
「わかったらとっとと失せろ」
「仕方ありませんな。お前たち、帰るぞ」

9第五園長21/11/23(火) 05:10:41

「このままで宜しいのですか！？」
「何、狩りの基本は待つ事よ。逃しはせんわ」

「お前さんたち、大丈夫だったかい！？」
「ありゃ成金の商人・山内五郎兵衛（やまうちごろべえ）って言ってな、噂じゃ相当悪どい商売してるらしいぜ！」
「気をつけなよ！何かあったら、すぐに奉行所に駆け込むんだよ」
「はは、皆さんありがとうございます」
「構わん、その時はブッ潰すだけだ」

10第五園長21/11/23(火) 05:17:37

「なるほど、これは面白い者たちだな」
「何だオマエは？」
「俺は天下の風来坊・徳田新之助。気持ちのよい物を見たのでな。昼飯でも奢らせてもらおうか」
「ならば肉、肉だ。肉を食わせろ」
「本当に肉が好きだなぁ。
っと、名乗り遅れましたね。
彼女はナリタブライアン。そして俺がトレーナーと申します。よしなに」
「はっはっはっ、元気の良い若者だな。肉も良いが、米や野菜も食わんか？」
「食わない、肉だけあればいい」
「何とか食べさせようとはしてるんですけどね…。というわけで、この辺りで獣肉の美味い店はありますか？」
「任されよう」

11第五園長21/11/23(火) 05:26:27

「美味かった。やはり、肉は良い」
「それは何より。して、2人は何用でこの江戸に？」
「ああ、私たちは山で狩りをして暮らしていましてね。今日は狩り道具の補充と、獲物を売りに来たんですよ」
「狩りは良い。己が身一つで山に踏み入り、命と相対する。その瞬間、私は生を実感する」
「まぁ、揃って山に魅入られたんですよ」
「なるほどな。俺もまた、いつか鷹狩りにでも行くとしよう。話は変わるが、2人は宿は取ってあるのか？」
「ああ、そう言えば。ブライアン、どうしようか？」
「私は何処だろうと構わん」
「ならば、め組に来ると良い」

12第五園長21/11/23(火) 05:30:28

「なるほどねぇ。まぁまぁ2人とも、今夜はゆっくりしてくと良いよ」
「礼を言う」
「ありがとうございます」
「ささっ、呑んで呑んで！」

「おいあれ」
「あぁ。ありゃ男が居た腹いせに、酒で潰そうとしてるぜ」
「ったく、しょーもねぇ奴」
「俺たちも呑むか」
「応！」
（「いやー、それにしても立派な銃で……
ﾊｯﾊｯﾊｯﾊｯ……

13第五園長21/11/23(火) 05:35:53

「ほほう、凄腕の猟師とな？」
「はい、代官様。奴らが持ってきた獲物は、いずれも矢か銃の傷が1つしかありましたんでした。彼奴らを手勢に加えれば、我らの狩りは万全かと」
「上様と言えば、倹約倹約と締め上げてきて適わん。なればこそ、我らが立ち上がらねばな」
「次の花見に襲撃をかける。我らの計画は完璧にござります…」
─はーっはっはっはっ！はーはっはっはっはっ！─

14第五園長21/11/23(火) 05:41:53

─同刻・天井裏にて。1つの影が、動いていた。

─そして、草木も眠る丑三つ時　
「…上様」
「半蔵か、首尾は？」
「ハッ、商人・山内五郎兵衛は代官・大山嶽数（おおやまたけかず）と共謀し、上様を狙っている様子」
「…さらに」
「おその、どうした？」
「代官・大山宅にて多数の銃を見つけました」
「銃の取引は、幕府が厳しく制限していたが。…これは、謀反と言えよう。征くぞ、共をせよ」
「「ハッ！」」

15二次元好きの匿名さん21/11/23(火) 05:44:52

この時代に大量の銃は危険が危ないな

16第五園長21/11/23(火) 05:47:39

ドンドンドン！
ドンドンドン！
「代官・大山様より火急の用だ！門を開けよ！！」
ドンドンドン！
キィー…
「待て、今山内様に使いを……何？」
ｻﾞｼｭｯ
「その必要はない」

「…様！山内様！敵襲にござります！！」
「何だ…こんな時間に…。何だと！？」
ﾄﾞﾀﾄﾞﾀﾄﾞﾀ

17第五園長21/11/23(火) 05:51:59

ｷﾝ！ｷﾝ！ｷﾝ！

「な、なんだ貴様は！？」

ﾄﾞﾀﾄﾞﾀﾄﾞﾀ

「山内よ！何があった！？」

「お、大山様！何故ここに！？」

「貴様が使いを出したのだろう！それよりこの騒ぎは何だ！？」

ﾁｬｷ　ｸﾙｯ

「余だ」

ｶｰﾝｯ！

18第五園長21/11/23(火) 05:57:36

「う、上様！？」
「何ですと！？」
ﾊﾊｰｯ

「代官・大山嶽数！商人・山内五郎兵衛！その方ら、大量の銃を隠し持ち、謀反を企てておったな。この太平の世を揺るがそうとは言語道断！両名潔く腹を切れぃ！！」

「ぐぐぐ…。こうなれば、ここで仕留めてしまえば良い！ゆけ貴様ら！此奴は上様を騙る偽物である！」
「であえ！であえ！」

ﾁｬｷｯ
「半蔵！おその！」
「「ハッ！」」

19第五園長21/11/23(火) 06:00:13

ﾃﾞｰﾝﾃﾞｰﾝﾃﾞｰﾝ

【作業用BGM】◎良音質◎　暴れん坊将軍　殺陣のテーマ