軽く5行~10行ぐらいで心情、情景、関係、風景、説話等を自分の力で文書にしてみるスレ3

  • 1二次元好きの匿名さん21/09/01(水) 18:57:38

    注意事項は以下。

    ・テーマに沿って文章を自分で記載する

    ・停滞の対策として、安価30から50台、もしくは5時間空白が続いたら、テーマを切り替えてください。

    ・1次、2次でもOK。

    ・感想あり。批判も有り。書いた人への人格否定に踏み込むのは禁止、該当レスは削除する事。


    軽く5行~10行ぐらいで心情、情景、関係、風景、説話等を自分の力で文書にしてみるスレ2注意事項は以下。・テーマに沿って文章を自分で記載する・停滞の対策として、安価30から50台、もしくは5時間空白が続いたら、テーマを切り替えてください。・1次、2次でもOK。・感想あり。批判も有り。書い…bbs.animanch.com
  • 2二次元好きの匿名さん21/09/01(水) 18:59:58
  • 3二次元好きの匿名さん21/09/01(水) 19:01:25

    ※今まで出たテーマ
    夕方~夜

    朝の始まり
    お菓子
    真夜中、丑三つ時、深い闇


    意地悪、いたずら
    続く

    始業式
    言葉


    秘密、隠し事

  • 4二次元好きの匿名さん21/09/01(水) 19:02:09

    現在のテーマ「秘密、隠し事」

  • 5二次元好きの匿名さん21/09/01(水) 19:04:01

    落ちてしまったので立てました
    後で気づいたけどこれ4スレ目で立てた方が良かったのかな?

  • 6二次元好きの匿名さん21/09/01(水) 19:08:15

    テーマ「秘密、隠し事」

    時計の秒針の音がメトロノームのようだなと思った。沈黙がどれほど続いただろうか。もう相当時間は経っていると思う。
    昔から腹を割って話すのは嫌だ。嫌いだとか苦手だとかじゃなくて嫌だ。無理と言ってもいい。どうにも警戒心と嫌悪感がこみ上げてきて止まないのだ。気が気でない。
    私の目の前にあるアプリコットティーは乾いた口内とつっかかったように声が出ずに痛む喉のせいでとうとう飲み干してしまった。間をもたせるためにひとくちずつ飲んでいたのに。
    私の声がもっと聞きたいと、私のことが知りたいと言った人物は輪切りのレモンをのせたチーズケーキとアメリカンコーヒーをゆっくりと平らげて店員さんにコーヒーのおかわりを頼んだ。
    あ、ギターのタコ。二杯目のコーヒーを飲むためにカップの取っ手を持とうとする指が積み重ねた時間を見た。
    顔をあげられないからどんな表情をしているのか分からないが、どうやら黙っていても諦めてはくれないようだ。
    傷つきたくないから人は嫌いなのだ。人と関われば必ず恐怖と猜疑と痛みがついてまわる。誰にも触れられない心の中で育てた気持ちを合わせたものだけが私だった。
    ついに根負けして、あなたが聞いたあの歌が私だと心を絞り出すように答えた。

  • 7二次元好きの匿名さん21/09/01(水) 19:19:15
  • 8二次元好きの匿名さん21/09/01(水) 19:23:18

    前スレ>>59

    世界の法則から個人の秘密と個々の関係に繋がる流れが綺麗で好き

  • 9二次元好きの匿名さん21/09/01(水) 19:26:08

    テーマ出されて書いてを続けて苦手な題材の傾向が分かってきたかもしれない

  • 10二次元好きの匿名さん21/09/01(水) 19:35:32

    前スレ>>60

    厳しいルールを課して生きる野生的でミステリアスな「私」に想像が膨らむ

  • 11二次元好きの匿名さん21/09/01(水) 20:41:29

    前スレ>>53

    短いのに悲しさと虚しさが伝わってきてすごい

  • 12二次元好きの匿名さん21/09/01(水) 20:48:15

    >>10

    前スレ60書いた人ですが、せっかく秘密のテーマだったので読み手からどうとでも取れそうな感じで表現をしてみました。

    「私」にとっての標的が何なのか、何者なのかも読み手次第です

  • 13二次元好きの匿名さん21/09/01(水) 20:50:11

    >>8

    前スレ>>59書いた人間です

    誉められたのとっても嬉しいです!

    お題変わったあとに気づくので複数のお題を同時にこなしがち

  • 14二次元好きの匿名さん21/09/01(水) 21:16:42

    「…急にどうしたの」
    『いや、なんとなく』
    彼は不思議な人だ。私が落ち込んでいる時、決まって電話をかけてくる
    きっと彼の前世は神様か何かだ。私にとっては運命の相手で、手の届かない存在
    そう思わないと電話の遠くに聞こえる誰かの甘える声に耐えられない
    「…彼女の相手してあげなよ」
    なるべく平坦な声を出して私はスマホの電源を落とした

  • 15二次元好きの匿名さん21/09/01(水) 22:12:54

    テーマ「秘密、隠し事」

    「知りえた秘密は、己の魂と同じ」

     そう話していた先輩の期待を裏切り、彼は上司に暴露した。
     その秘密を。――先輩が仕事を続けられなくなると、充分に知りながら。

    「小さな秘密でも、軽い秘密でも、墓場に入るまで守り通さなければならない」

    『そんなこと言ったっけ? 私もだいぶ、おかしくなってたんだね』
     十年後に再会した彼女は子供を抱いて、笑った。
     屈託のない笑顔。秘密から解き放たれた、庶民の顔だ。
     そうですか、良かった……そう上手く笑えただろうか。彼には自信がない。
     秘匿。隠蔽。密告。……彼は指折り、己の魂を数え上げる。
     墓場まではまだ遠い。魂はまだ、彼を見つめている。

    練習がてらの二次創作
    ハコヅメ面白いぜ!

  • 16二次元好きの匿名さん21/09/02(木) 11:07:24

    テーマ全部のせにチャレンジ

    最初にあったのは恐怖。深い暗闇の森に居続けるような。言葉は唸るように意味が遠く、意地悪と善意と事故の区別ができない。弱いわたしは恐怖を隠すしか方法は無く。けれどあなたはあまり怖くは無かった。安らぎだったのはあなたにある水底の静けさ。そしてあなたの秘密がわたしの見るべきことを指し示す。アサガオの花開く夜明け前。目が冴えたわたしは、鉢に水をやりながら今も自分が生き続ける不思議を考える。夏の終わりかけ、あと数日で始業式。もうしばらくすれば凪は終わり風が吹き始めるだろう。口の中で低く小さくうたを口ずさむ。今日の夕方お菓子を持って集まろうと指きりをした。虹色の空に合わせて大声の歌声を風に載せたいな、と楽しみに思う。きっとその時には咲いているであろうオシロイバナの甘い匂いを思い出して、わたしは少し楽しくなった。

  • 17二次元好きの匿名さん21/09/02(木) 14:40:27

    >>15

    何があったのか気になるなあ

  • 18二次元好きの匿名さん21/09/02(木) 22:54:15

    >>17

    先週のハコヅメ読めばわかるよ!

    『女性秘匿捜査官』が、『上司にバレると』危険な捜査を続けられなくなる、寿退社が当たり前だった時代の『秘密』


    今週のネタから


    「『秘密は自分の魂と同じ。だから人に握られちゃいけない』……そう、教えたはずだよね?」

    「はい。覚えています」

    「なぜ『私が監査対象になっている』と、教えたの? 当然だけど職務違反だよ? 監査官」

    「魂にかけて教える価値があると、私が判断したからです」

    「……なんだ、私のこと大好きだったんじゃん」

    「先輩には仕事の全てを教えてもらいました。その大恩を鑑みても、私はあなたのことが少し嫌いです」

    (じゃあ恩を抜いたら大嫌いじゃん)

    「ですがあなたは、あなたの事なかれ主義は、同僚の犠牲を絶対に許さないものだ。本当に事件に心当たりはありませんか? ……秘匿捜査班を解散した時、本当は何を言いかけたのです?」

     今や階級が上だというのに。生真面目な県警本部所属の七三眼鏡が、サボりが得意な一交番長に、頭まで下げて。

     彼はため息をつき、「しょうがないなぁ」と呟いた。


    うろ覚えな部分もあるけど、今週のハコヅメからの二次創作

    次週もほんと楽しみ!

  • 19二次元好きの匿名さん21/09/03(金) 02:25:38

    このレスは削除されています

  • 20二次元好きの匿名さん21/09/03(金) 02:48:01

    秘密、隠し事

     ふと息子が何かを隠しているように感じる。話している時も前と比べ切り上げるタイミングが早かったり少しよそよそしかったり至る所に違和感がある。少し夫に相談してみたが何も返してくれなかった。正直多感な時期であるため些細なことだろうと軽く流れしていた。

     ある日休日に用事があって1人で外出している時に息子に留守を頼んでいたが忘れ物に気づき急いで戻った。そこにいたのは私をみた瞬間慌て始めた息子だった。まあ、家で1人だなんて子供からしたら自由な時間だ。何か変なことでもしたのかと思いつつも軽く注意して外出した。

     時々変な息子を見かける事はあっても様子が変なだけで実際に何かをしているところは見かけなかった。しかし、夫の部屋の鍵が何者かにいじられていた跡があった。私の家にペットはいない。

     …息子は知らなかったようだ。秘密は何故秘密なのか。隠し事とは何故隠す必要があるのか。私も隠しているのだから息子も隠して秘密にしていれば何も無かったのに…

  • 21二次元好きの匿名さん21/09/03(金) 18:00:08

    書き込み途切れたし次のお題いきましょうか

  • 22二次元好きの匿名さん21/09/03(金) 18:10:57

    >>21

    ですね

    しかしお題に迷う

  • 23二次元好きの匿名さん21/09/03(金) 20:42:38

    9月3日はホームラン記念日、ベッドの日、クエン酸の日、グミの日、クチコミの日らしいんでこの辺りから連想する言葉なんてどうかな

  • 24二次元好きの匿名さん21/09/03(金) 20:48:58

    ドラえもんの誕生日なので友達か未来の二択で迷ってます

  • 25二次元好きの匿名さん21/09/03(金) 20:49:19

    いや道具か?

  • 26二次元好きの匿名さん21/09/03(金) 22:11:05

    「言葉一つを見つめれば何にだって物語は或るものですよ」と彼女は微笑んだ。
    辺りにちらばる、無辺大に広がる無数の石や砂粒も、歴史を追えばはるか遠い時間に生まれたかものかも知れないし。
    或いは、元を辿ればもっと遠い、違う星から生まれたかも知れなくて。

    しかして、それらは同時にとても、手に触れられる程身近なものでもある。
    身近なもの、普遍的なもの、荒唐無稽なものであったとしても。良質な物語を備える事は矛盾しないのよ。

    例えば、貴女の血の中にも。今まで生きていた者の歴史、秘密が詰まっているように。
    そう、彼女は私を見つめている。それは童話を眺める大人のような、憧憬に似た眼差しに感じられた。

  • 27二次元好きの匿名さん21/09/03(金) 22:17:48

    このレスは削除されています

  • 28二次元好きの匿名さん21/09/03(金) 22:46:53

    次は道具で良いと思います。

  • 29二次元好きの匿名さん21/09/04(土) 08:39:52

    次テーマ【道具】

  • 30二次元好きの匿名さん21/09/04(土) 17:05:12

    ハンドクリームがそろそろ切れそうだ。帰りに薬局に寄ろう。
    料理人の魂は包丁だという。なら自分の魂はこの指かもしれない。大切に研いで人の腹まで届けるのだ。
    指を保湿しているとギターが弾きやすくなると友人に聞いてから習慣になった手指の手入れをしながら考えた。
    ふと、指の関節を端から順に畳むように握っては開いていたあの子を思い出す。
    しかめ面で両手を眺めていたから普段から体調の良くなさそうな真っ白な顔色が余計に悪く見えて、彼女は疲れやすくてよく気分を悪くしていたものだから遠くから少しハラハラしていた。
    関節リウマチというのは難儀なものらしい。
    いつもすらすらと紙を滑っているペンも肝心な使い手の調子が悪ければ紙の上に転がりがちだ。
    彼女なら魂じゃなくて商売道具と例える気がした。大人しくて自分を出さないあの子は時々ドライなので。

  • 31二次元好きの匿名さん21/09/05(日) 18:51:18

    >>30

    料理人の包丁、ギター、ネタの広がり方は面白いけど、とっ散らかってるかな。

    何を伝えたいのか分かりづらかった。彼女への想いだけで絞ってもいいと思う。

  • 32お題「道具」21/09/05(日) 19:57:39

    帰宅してきたロボットを出迎えて修理場でメンテナンスをする。現代ではどこでも見掛けられる光景だろう。
    ロボットは仕事をする上で欠かせない道具だ。仕事道具はきちんと所有者が整備しないといけない。怠れば他人や社会に迷惑をかけてしまう。そうなれば謝罪用のロボットを動かさないといけないので面倒だ。
    今時人間が外出するなどあり得ず、仕事やご近所付き合いも全てロボットかドローンが行う。大昔の人類がわざわざ自分の足を使って仕事をしていたなんて現代人の私には到底信じられない。
    労働や人間関係のしがらみに囚われた過去の人類には憐憫の念しかない。

    しかし、ふと思う時があるのだ。こうして毎日ロボットのメンテナンスをして、ロボットが仕事をしている間はずっとメンテナンス用の機械を整備している。
    それは私が、人類がロボットを整備するための道具になっているのではないかと。
    労働やしがらみから解放されたと思っているが、単に孤立しているだけではないかと。
    いや、きっと考えすぎだ。疲れが溜まっているのだろう。
    明日は旅行用のロボットを使って家族の元に送って久々の団欒を楽しもう。
    そうして私は悩みを忘れるように一心不乱に旅行用のロボットを整備し始めた。

  • 33二次元好きの匿名さん21/09/05(日) 20:19:41

    >>32

    星新一の話を思い出す......好きだわ.....

    読者に考えさせることが出来ててすごく良い......

  • 34よ"く"わ"か"ん"ね"21/09/05(日) 20:38:17

    「ねぇねぇ○○ー。ツクモガミってってあるじゃんー?」
    「長年大切にされてきた道具が妖怪になる・・・みたいな話でしたっけ」
    「そうそう。それってさー、こういうポケットティッシュとかでもなると思う?」
    「・・・・・・・流石に対象外じゃないでしょうか」
    「そう?」
    「だって使い捨ての消耗品ですよ、大切に使うっていったってどうするんですか」
    「・・・毎回取り出すときに一礼するとか?」
    「たかだか20回程度の礼でなるのなら、今の日本はツクモガミに溢れてますよ」
    「んー・・・・・・あ、じゃ二礼!」
    「2枚重ねだから2倍にすりゃいいってもんじゃないんですが?」

  • 35二次元好きの匿名さん21/09/05(日) 21:51:18

    綺麗にしてる筈なんだけどどうしても汚く感じるんだよなあと俺は思った。
    漂白剤で洗ったトイレブラシをケースに入れる。
    こいつはここでずっと汚い物を掃除させられてご苦労様なんだけど。首から背中にかけてぞわぞわした感覚を覚えながら少し申し訳ない気持ちになる。
    俺は潔癖症のケがあるのかもしれない。
    手をもう一度石鹸で洗おう。

  • 36二次元好きの匿名さん21/09/06(月) 01:15:27

    墜ちたりと星ぼし、かつて在りし宇宙(そら)を想ひ給ひぬ。
    故に永き時にわたりて空往くべくたくらみをばなし給ひ、数多のからくりをこそつくり給ひめ。
    かくて星ぼし、つひに宇宙(そら)へと戻り給へども、青き地(つち)に馴れにし身は涙を落とし侍ぬるを。
    人草零れし涙を見付くること重なりてつひに星ぼしが涙物の具となすわざに気づかむ。
    甕に据ゑて焚けば甕の浮き、呑めば息通はざるとも玉の緒喪ふことなし。
    故に人草、星ぼしに遅るるも宇宙(そら)を想ひて往かむと欲す。

  • 37二次元好きの匿名さん21/09/06(月) 01:36:32

    このレスは削除されています

  • 38二次元好きの匿名さん21/09/06(月) 01:41:03

    赤い筒が連なったなにか。何それ? と聞いたところ「爆竹」という答えが返ってきた。爆竹、ねぇ……。色々と調合をがんばったという不穏な言葉が聞こえた気がするが、全力で気のせいだと思うことにした。そして川の上流へ上流へと歩いていった結果、現在方位磁針を持ったまま二人でうろうろとしている。完全に道に迷った。もし行方不明になったとしても自分の責任でないことは確かだ。最悪なことに怖気立つような気配がする。もう幽霊の腹の中だろう。君に合図をするとこくんと頷く。しかしそのまま流れるように火のついた爆竹が放られた。全くこちらの意図を汲めていないね! 案の定幽霊にはノーダメージ。結局殴り倒したがどっと疲れた。「おかしいな、浄化効果があるものを詰めたはずなんだが」どういう状況だったかを話した後の君の答えがこれ。悪意の無い人間だというのは今までの付き合いでわかってはいるが、いたわりの言葉の一つくらいはかけて欲しい。「道具を使うことこそが人間の強みなのだから、次こそは効くようにしてみせる!」意気込みは強く、今回の件の記録を取りながら君は告げる。ああうん、うまくいくといいね……。期待しないで待ってるよ。

  • 39二次元好きの匿名さん21/09/06(月) 10:51:35

    >>32

    これはいいショートショート

    本末転倒に気づいてないのがぞっとしますね


    >>34

    落語の枕によさそうな小噺です

    いい意味でアホで仲がよさそうなペアが素敵


    >>35

    日常を、そしてそこからわずかに逸脱した瞬間を丁寧に切り取ってすくっていると思います

    なにか怖いような感じがあとに残りますね


    >>30

    ほっこりします。手も道具、それも原初の道具、ということを思い出させますね。


    >>26

    テーマは秘密か言葉かのどちらかでしょうか。壮大で神秘的な描写が素敵です。


    >>20

    これはホラーかサスペンスへの導入? 不穏な感じが出てます

  • 40二次元好きの匿名さん21/09/06(月) 11:25:06

    道具は大事に使い続けるべきか?それとも使い捨てがよいか?
    それはタイミングによるものだと私は思う。使い続ければより良いモノになるものもあれば、一回使ったらもう使いものにならないものもあるだろう。
    故に私は道具を使うことにおいて最も重要なことは、道具と別れるタイミングだと考えている。
    さようなら「道具」よ、君はよく役に立ったよ。せめて跡は残さずに綺麗にしてやろう。

  • 41二次元好きの匿名さん21/09/06(月) 16:35:24

    なんのために生まれてきたのか。
    怪物を倒す運命を背負って生まれた英雄のお話に憧れた子供の頃にいっしょうけんめいに考えていた。
    特別な何かになりたくて自分だけが持てる意味を探して、放浪の占い師が自分の家の扉を叩いて不思議な予言を聞かせてくれないものかと幾度も夢想した。
    男は急に昔のことを思い出した。
    これを受け継いで、いつか出会う妻との間に生まれる子供に受け継がせることを自分の生きる意味にしよう。
    祖父の剣を握りしめて、狼の頭に叩きつける。
    すっかり空の色が変わった頃に絶命した十数匹の狼の腹を一つ一つ切り裂けば剣に何かがぶつかる。
    村の神殿に飾られていた祭具だ。赤い塊の中でも輝く魔除けを握りしめたまま食われたのが誰かを知る術はない。
    悪魔の腹を通って尚も清らかな光を宿す祭具は水で汚れを落として死体と一緒に土に埋めた。神の祝福を受けた物と共に眠れば天の国に迷わずいけるだろう。
    男は汚れたままの剣だけを持ち、行く宛もなく、けれどまっすぐに歩き始めた。誰もいない村にはもう帰らなかった。

  • 42二次元好きの匿名さん21/09/06(月) 16:45:08

    >>40

    この道具は本当に道具なのか、短い文にスリリングが詰まってますね


    >>41

    本格的なファンタジー?歴史物?っぽいですね。においが伝わるようです。

    ただ途中主人公(視点人物)が食われたように一瞬見えたので、そこらへんは句読点をちょっと入れるくらいでもぐんとわかりやすくなると思います。


    >>39修正

    >>32はうすうす気づいていながら気づかないふりをしているのか、そちらの方がより怖いかも

  • 43二次元好きの匿名さん21/09/06(月) 16:53:41

    >>36

    文語体で宇宙を語る、新しいのと古いのが混ざってともいい発想ですね!


    文体で気をつけたことってなんですか?古っぽい文体が書けんのです。

  • 44二次元好きの匿名さん21/09/06(月) 22:35:03

    感想つくと嬉しいな
    他の人が読んだときに結構意外な反応があって新しい視点があることに気づき勉強になる

  • 45二次元好きの匿名さん21/09/06(月) 23:17:43

    そろそろお題変えてもいいんじゃない?

    思い付かないから>>46に任せる

  • 46二次元好きの匿名さん21/09/07(火) 01:41:46

    では「追憶」

    振り出しに戻るとて、還らないものもある
    追憶は、二度と帰らぬもの達への弔いである
    いつか思い出も摩り切れて、時の裡へと埋もれる様に

  • 47二次元好きの匿名さん21/09/07(火) 10:54:58

    >>43

    学校の古文で習ったことを思い出しながら

    なるべく文法的に正しくなるよう書きました

    Weblio辞典がめちゃくちゃ便利でした

  • 48二次元好きの匿名さん21/09/07(火) 14:39:00

    >>46

    人が生きる限り悪しきモノが生まれるのなら。全ての人を消してしまえばそれらも無くなるだろう。けれどヒトを殺したくもない。ならば解決策はなにか。ひとつの答えとして目の前の光景がある。生きてもいず、死んでもいず。全ての人間を仮死に落とし込む。時の流れに耐えさせるための細工もしよう。恐れも不幸も無い永遠の世界。ここは楽園にして死の都、ヒトに与える希望。ただ一人謳う存在は記憶すら全て焚べてしまったゆえ、もはや追憶すらすることも無く。人類存続のためだけの機構となってそれでも何かを――誰かを待ち続ける。海の彼方で後悔を抱き追憶を続ける人を。

  • 49二次元好きの匿名さん21/09/07(火) 15:07:15

    砂漠の片隅に、巨大なる遺跡が残っている。
    誰が何のために建てたのか?いつからそこに建っているのか?そんなことはもうわからない。
    只々其処にありて、見るものへとその威容を伝える。
    私はその近くを通るときに、いつも遺跡の中で休息をとる。
    遺跡の中の空気は今と昔、同じだろうか。ここで過ごした者は何を思っていたのだろうか。
    そんなことをゆるりと思う。追憶と言うには気軽な、私のちょっとした趣味だ。

  • 50二次元好きの匿名さん21/09/07(火) 16:02:02

    >>46 追憶


    西の果てに敗れた神あり。


    我らが先祖、神でなく、東の園を取る。道を作り、園を見つけ、そこに新たな地を得、池を作り、血を紡ぎ、智を貯める。


    骸なる神の背には宝脈が生まれ、腹には稲が生い茂り、伏せた窪みには大河がながれ、全ては栄えの元となる。


    神を倒せし者どもが、我らの神の上に立ち並び、栄えを搾り取り、さらなる神を求め


    先祖に罪なく、神でなく園を得た事に悔いはなし。


    されど神の骸は我らを求め、彼らでなく、神は我らを今なお待ち侘びる。


    落ちた神の頭は天へと昇り、髑髏に成りてなお涙を流す故に。


    …追憶なんでしょうか、土地を奪われ追いやられた悲しみを表現しました。

  • 51二次元好きの匿名さん21/09/08(水) 16:34:18

    なんか壮大さを感じさせる作品が続くな

  • 52二次元好きの匿名さん21/09/10(金) 13:50:01

    >>47

    教えてくださりありがとうございます。早速やってみます

  • 53たぶんきっと十行21/09/10(金) 17:55:59

     冬のある日、寒い夜の帰り道。
     たまの贅沢にと買った肉まんを手に歩いていると、ふとその熱に姉のことを思い出した。
    『ほら、一緒にいこ!』
     幼い頃から私の手を引いてくれた姉。
     いつも元気で、悪く言えば落ち着きのないからか、彼女の手はとても暖かかった。
     夏の暑い日だってせがんだし、冬の寒い日ならなおさら。
     わざわざ手袋を脱いでもらって、一緒に歩いたものだった。
    「今思うと申し訳ないことしたなぁ」
     子供時代の失敗を思い返し、苦笑しながら玄関の戸を開ける。
    「ただいまー。お姉ちゃん、肉まん食べるー?」
    「おかえり、そしてもちろん食べる!」
    「んじゃ、半分こしよっか」
     夜食にはしゃぐ姉はあの頃と変わらなくて。
    「ふふっ」
     思わず笑みがこぼれた。

  • 54二次元好きの匿名さん21/09/11(土) 22:20:01

    あげ

  • 55二次元好きの匿名さん21/09/12(日) 15:29:59

    花はずっと咲いてはくれない。
    葉は冬になれば落ちてしまう。
    母に手を引かれながら桜の花びらを掴もうとしたのはどれほど前だったろう。
    黄色いイチョウの葉を拾い集めてまっすぐに歩けずに呆れられたのは何歳の頃だったか。
    今の季節は皺の寄った幹と寒そうに葉を剥ぎ取られた枝しかない。
    樹皮の裏側には冬を越すための強い生命が宿っているが、私たちの体の内側はあちこちが悪くなってしょうがない。
    転ばないように、弾力となめらかさを失った手を引いてこの道を歩いた。

  • 56二次元好きの匿名さん21/09/14(火) 15:42:54

    そろそろお題変更するかな?

  • 57二次元好きの匿名さん21/09/16(木) 03:59:28

    良さそう
    おごそかな雰囲気でかける人すごいなぁ

  • 58二次元好きの匿名さん21/09/16(木) 04:58:17

    このレスは削除されています

  • 59二次元好きの匿名さん21/09/16(木) 04:58:49

    このレスは削除されています

  • 60二次元好きの匿名さん21/09/16(木) 05:06:40

    >>46

     嵐が去れば、世界は生まれ変わったよう。明るい陽光、澄んだ大気、水溜りからの水蒸気。墨を流したようだった海も鮮やかに。地球の嵐は再生を連れてくる。故郷ともよべる場所の、破壊しか齎さないそれとは違う。急に思い出された光景と、短い会話。この地方ではこの方角の風を「はえ」と呼ぶんだそうですよ。答えの無い笑い声。

     ……もう二度とその景色を見ることはない。虚空、静寂。揺籃の地より遥か。船は進む。窓の外、永遠と明けぬ夜が広がる。真空の果て、空間に貼り付いて見える瞬きの無い無数の光点。窓に手を着き額を当てため息をつく。こんな古典的(ベタ)なポーズをするようになるなんて、昔は思わなかった。彼女は自嘲する。吐息による白い曇り。暗黒の背景にやけに目立つそれは、けれど表面コーティングされた多重ガラスがすぐにかき消してしまう。願わくば、と彼女は祈る。新天地でも美しいものを見られんことを。彼女を呼ぶ声が聞こえる。窓の外にもう一瞥。忘れないとだけ胸に誓って。もはや振り返ることは無かった。

  • 61二次元好きの匿名さん21/09/16(木) 05:18:38

    ※今まで出たテーマ
    夕方~夜

    朝の始まり
    お菓子
    真夜中、丑三つ時、深い闇


    意地悪、いたずら
    続く

    始業式
    言葉


    秘密、隠し事
    追憶

  • 62二次元好きの匿名さん21/09/16(木) 05:19:08

    >>56

    星とかどうかな?

  • 63二次元好きの匿名さん21/09/16(木) 05:29:00

    いいね、星

  • 64二次元好きの匿名さん21/09/16(木) 06:00:29

    んじゃ星~

    星には導きの意味があると云う
    古い時代、東西を問わず星見は未来を占う基本的な方法だった
    船乗りが、闇夜の海で星に標を求めるように、人はまだ見ぬ未来の指標を、星の光に求めたのだ
    今日、凡そ天の動きは測られて、その運航に人の定めを信じる者は無くなった
    それでも人は、星を見上げて未来を想う
    昏い世界に、輝く標を欲するように

  • 65お題「星」21/09/16(木) 06:38:00

    魔法使いが星に願いを託さないのは、信仰上の問題ではなく現実的な問題のためだ

    魔法使いは我々が知らない世界の姿を見ている
    ゆえに悪魔や精霊、名も知らぬ神の力を借りて行使する術を会得できた
    彼らは願うことでそれら人知を超えた存在を招き、魔法を世に顕現するのだと言う
    だから彼らは決して星に願いを託さない

  • 66二次元好きの匿名さん21/09/16(木) 15:03:01

    「星座(コンステレーション)」とは、かつての地球圏からヒトが見た恒星を適当に結んだものに過ぎない。古代ヒトが見上げた星たちの間を、今はごく普通に地球人類が渡る。視点が変わればもはや旧い星座は意味をなさず。けれど遥か古代につけられた名前だけは、しぶとく地球人類の間で使い続けられている。プロキシマ・ケンタウリ、シリウス、プロキオン。後者二つは地球の北半球で冬に観測される明るい星。比較的太陽系の近くにあったため、地球人類がごく初期に進出した星系にあたる。ステーションの立体星図のホログラフィーが輝く。それらの星も含め、各種族の本拠星から見た星群(アステリズム)が天井に投影される。紫外線、X線、赤外線。あらゆる波長の光、あるいは粒子線により認識された星たちの集まり。音色も振幅も様々な歓声。地球人類が知らなかった星の広がり。狭い地球圏からは信じられないほど広大無辺で、しかも尚先が有る。この銀河系の先には、また別の。ショーが終わり、地球人系の少年が一人、最初期の地球人類の開拓者が遺したメッセージ、通称「プロキシマ・ケンタウリの手紙」を端末に表示させて視線を落とす。読み返して無意識に微笑んでから立ち上がる。彼はゲートへと足を進めた。今ならどこにでも行ける、その深い喜びとともに。

  • 67イルゼローン21/09/16(木) 22:33:14

    星海を征くは我ら大艦隊 人工の星を攻めにいく度のワープを潜りひた走る

    都合あわせて六度に渡り 先祖の将兵の血肉と古の艦隊の骸の山が星を護る

    それでも民は遠征を願う これまで払った犠牲に報い先祖の骨を得るために

    星でありながら穴と同じ 宇宙に生まれた地獄の底へ此度も軍は群れを誘う

  • 68二次元好きの匿名さん21/09/16(木) 23:44:39

    >>67

    銀英伝ですね!

    同盟側からのイゼルローン攻略の歴史ですか

    重みがあります。こちらもずっしりとなりそうです

  • 69二次元好きの匿名さん21/09/16(木) 23:48:34

    >>64

    古い星の役割を示し、素敵な象徴的な文だと思いました。占い、航海、両方とも今ではあまり使われなくとも、人間が星を見上げるのは変わらないのだという感動を覚えました。


    >>65

    ファンタジーの魔法使いが星に祈らない

    インパクトのある設定と説得力のある説明で、実際にベルベットで覆われた魔法使いの書斎にいるような心地になれました。

  • 70二次元好きの匿名さん21/09/17(金) 00:01:03

    >>66

    を少し改稿


    「星座(コンステレーション)」とは、かつての地球圏からヒトが見た恒星を適当に結んだものに過ぎない。古代見上げた星たちの間を、今はごく普通に地球人類が渡る。視点が変わればもはや旧い星座は意味をなさず。けれど遥か古代につけられた名前だけは、しぶとく地球人類の間で使われ続けている。プロキシマ・ケンタウリ、シリウス、プロキオン。後者二つは地球の北半球で冬に観測されたとても明るい星。最初の一つは南半球での明るい星。どれも比較的太陽系の近くにあったため、地球人類がごく初期に進出した星系にあたる。ステーションの立体星図のホログラフィーが輝く。それらの星も含め、各種族の本拠星から見た星群(アステリズム)が天井に投影される。紫外線、X線、赤外線。あらゆる波長の光、あるいは粒子線により認識された星たちの集まり。音色も振幅も様々な歓声。地球人類が知らなかった星の広がり。狭い地球圏からは信じられないほど広大無辺で、しかも尚先が有る。この銀河系の先には、また別の銀河。地球人系の少年は一人、壁にもたれて人工の星たちを見ていた。ショーが終わる。終了と同時に端末を起動させ視線を落とした。最初期の地球人類の開拓者が遺したメッセージ、通称「プロキシマ・ケンタウリの手紙」が画面に表示される。『いつか、あなたが自由に宇宙を往けますように』彼は子孫宛と言われる長すぎないメッセージを読み返す。無意識の微笑み。立ち上がる。ゲートへと足を進めた。今ならどこへでも行ける、その深い喜びとともに。

  • 7121/09/17(金) 22:39:45

     とある冬の日、なんとなく目覚めてしまった午前二時。
     レンチンで作ったホットミルクを抱えて、星空を見上げていた。
    「あれがオリオン座かな・・・・・・あちっ」
     いくら頭を回したところでうろ覚えの知識じゃあ空を分けることはできなくて。
     ただぼんやりと、きらきらとした輝きを眺めて。
     それがいつしか憧れの人に重なって、思わず手を伸ばしちゃって。
    「いつか、届くといいな」
     そうこぼして、伸ばした手をそっと握りしめた。
     飲み干したコップを片したらベッドに戻ってもうひと眠り。
     また明日、元気に頑張ろう。

  • 72二次元好きの匿名さん21/09/19(日) 13:14:46

    あの空に浮かぶ光は何百年前の星が生きた証が私たちの元まで届いているらしい。
    私の生きた証もずっと未来まで届いて私のことを知ってもらえたらいいのに。
    歴史に残る偉業を成せるわけでもなく、伴侶をつくって子を成したわけでもないし、誰か特別な人ができたわけでもない。
    地球に届かない光だってたくさんあるさ。
    誰も読むことのない手紙を書く。
    誰にも届かない声で鳴いていたクジラを見つけた研究者のように私を見つけてくれる誰かもこの広い宇宙(うみ)にいるのだろうか。

  • 73二次元好きの匿名さん21/09/20(月) 13:47:16

    夜しか外に出られないこの惑星のボクらは星空が何よりも好きだった。
    ボクのお気に入りは橙帯の方角にある大きな星ひとつとすぐ近くに小さな星ひとつ。
    ボクの惑星では兄弟星と呼ばれる二つの星はワープ船ではまだ行けない場所にある。
    星形の光の筋がはっきり見える大きな星はなんとなくお気に入りだった。
    「あの大きな星は白く光って見えるけど本当は青と緑なんだよ。塩の溶けた海と陸の植物の色なんだ」
    そう教えてくれた血縁がもうすぐスコープを担いでうちにやってくる。
    ボクは甘い果物をたくさん溶かした温かいスープを水筒に注いで待った。

  • 74二次元好きの匿名さん21/09/21(火) 13:50:05

    今日の空には月がない。
    おまじないには月の光が大切だけど、月の光に隠されない星明かりだけの空も特別な宝箱を覗き見ているようで胸が高鳴る。
    藍色の空を彩る光と霞のような天の川の下でセージティーにミルクを溶いた。
    ホロスコープで二人の生まれた日の惑星を読んでは結ばれる運命を探してはどう解き明かしたものかと百面相。
    部屋に戻ればふかふかの枕の下にはあの人の夢が見られるようにとタイムが置いてある。

  • 75二次元好きの匿名さん21/09/22(水) 16:26:15

    見慣れた星のない空の下の帰り道でスマートフォンで流星群が来るというニュースを見た。
    思い出すのは子供の頃。初めていくつもの流れ星を見た夜。
    コートを着て家を出て、車の中でシートを倒して流れ星を見た。
    せっかく深夜に車を出してくれたのに、肝心の星空がどんなものだったかはあまり覚えていない。申し訳ない。
    光の筋がサッと現れてはすぐに消えてしまって……ただ、少し待っていればまた次の星が流れるからその度に喜んでいた感覚だけは胸に残っている。
    知っているのは探しても片手で収まりそうなほどに星が見えない町の空ばかりだったから別の世界をのぞいたようだった。
    あんな夜はもうないかもしれない。悲しいことだけど。無感動に次のニュースを読みながら思った。

  • 76二次元好きの匿名さん21/09/22(水) 20:18:37

    もう一週間ほど経ってるので次のテーマにいきますか
    ちょうど時期なので【彼岸】なんていうのはどうでしょ
    年中行事としての彼岸、あの世の彼岸、悟りの境地の彼岸、ただの向こう岸などで

  • 77二次元好きの匿名さん21/09/22(水) 21:15:09

    あなたはそっちで何をしているのかな。
    思い出せなくなっていた私のことを思い出してくれた?
    脈がなくなったときに心が消えていませんように。
    体が冷たくなっても心がなくなりませんように。
    死の先がありますように。
    つくった思い出をいっぱいに抱えてあなたに会いにいくことが私の救いなのだから。
    でも、心配ごとが一つ。あなたと違って自分が天国に行ける人間なのかは自信がないな。
    いつまでも子どもでバカな私だから。会えなかったら悲しいな。地獄は怖いし。
    一晩中、終わりが怖くて涙を流していたらとうとう太陽が真東から登ってきた。涙が光を引き伸ばして目が痛かった。
    あの暖かい光が沈むようにまっすぐに向こう側にいけたら……目を閉じて願った。

  • 78二次元好きの匿名さん21/09/22(水) 23:25:56

    経を読み上げ、読み終えると石を爪操り隣の皿へ落とす。
    十年間休むことなく続けられた朝のルーティン。
    よく磨き上げられた石は硬質な音を響かせ皿の上で転がり、他の石とぶつかってまた音を鳴らした。
    一つ読経をすませるごとに一つ皿に置かれた石を隣の皿に移す。
    百八つあるという煩悩を断ち切るべく石の数は百八個。
    不妄語戒――うそをついてはいけません。
    長年修行をしていても仏の道を実践することは難しい。
    安らぎに触れて法に帰依しても、涅槃は見えもしない遥か彼方にあると感じるばかりの日々。
    ご本尊の静かな顔つきを見上げ、考える。
    石を一つ元の皿に戻し、本日十五回目に経典を唱えたときに一度に二つの石を移動させたことを詫びた。

  • 79ひがん21/09/23(木) 13:04:34

    「対岸の火事ってほんとにどうでもいいものなんですね――これなら、花火大会の方が見ごたえあったかもしれません」
     川を挟んだ向こう岸。未だに煙が立ち上っている残骸を見つめながら、彼女は不満げにそう言った。
    「そりゃ火事なんて、思い入れがなければただ燃えてるだけですからね。綺麗な見た目にするため、あれこれ調節してる花火とは比べるべくもありませんよ」
    「はぁ、そうですか」
     燃え尽きたような返事だけど、それも仕方ないのだろう――なんせあの火事の、無理心中の主犯は彼女なのだから。
    「全く。最期の死花ぐらいは綺麗に咲かせたいと思ったんですけれど、うまくいかないものですねぇ。火葬として認められなかったのか、二人ともあの世に行けていませんし。…んー、これからどうしましょう」
     それこそ花火大会にでも見に行きます? なんて適当なことを言う彼女に、私の答えは決まっていた。
    「ええ、あなたとならどこまでも」
     それが私の、悲願ですから。

  • 80二次元好きの匿名さん21/09/25(土) 19:23:26

    あげ

  • 81二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 08:53:32

    ほしゅ

  • 82二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 09:14:14

    沈むような闇の中、今にも消えそうな光が存在する。
    その闇にそぐわない目立つ光の帯は、か弱い光に一縷の希望を与えるように思えた。
    そうではない。
    思い合う2人にとってそれは互いのの光をかき消す濁流であり、自戒の念を募らせる。
    それでもなお、天が2人を許すまで2人は光に負けず闇で輝き続ける。

  • 83二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 09:32:48

    赤い花が風に揺れている。
    墓地に連なって咲く彼岸花は毒々しい。
    葉がない茎に大きな花は重そうに見えてもいいのにピンとした花びらと茎のせいかかえって強さを感じさせる。
    家が火事になるから持ち帰ってはいけないという迷信があるのを知らずにプレゼントしたら祖母は微妙な顔をしながらそれでもお礼を言って花瓶に飾ってくれたっけ。
    手桶を下ろせば背筋が伸びた。墓石に柄杓で水をかけて掃除を始める。
    以前、テレビで墓参りの作法だとか意味だとかを見た気がするが……、記憶に霞がかかってはっきりと思い出せない。結局、亡き祖父に教わった通りの動きを繰り返すだけだ。
    滅多に来ない場所に落ち着かなくて祖母の側を離れようとしなかったあの頃は不気味なお墓に一人で来るなんて考えられなかった。
    いつも姿勢の良かった祖父が墓参りのたび一人で墓を歩き、住職と話をしていたのをほのかな畏敬を抱いていたが。
    顔を知る人が眠っているのならそう恐ろしいものでもないのだな。普段挨拶に来ない薄情者が手を合わせた。
    線香の煙が秋の高い空にまっすぐに昇っていく。

  • 84二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 21:30:12

    気がつくとそこに立っていた。
    小さな丸石にたまに拳ほどの大きさの石が混ざっている石だらけの川原だ。
    浅い川だ。流れも穏やかで清流がちょろちょろと流れている。
    昔に一度だけ川遊びをしたのを思い出す。あのときは川に入るなんて初めてだから足を水につからせて歩いて水を蹴り上げるだけだった。
    靴を脱いで水に皺だらけの足を水に沈める。冷たさに思わず声をあげればなんだか楽しい気持ちになってきて。わざと足を高くあげて飛沫をあげながら川の深いところを目指した。
    向こう岸から耳に馴染む笑い声が聞こえる。
    母だった。こちらに振られていないもう一方の手に持っているのはお弁当の包みだ。
    いつもお弁当に入っていた甘い卵焼き。ずっと食べたいと思ってたんだよなあ。
    でも今は。向こうに渡る前にもうひと遊び。
    遊びすぎて夕飯の時間に遅れてもいつも待っていてもらえるのが好きでわざと家に少しだけ遅れて帰った困り者の子供だったことを思い出したのだ。

  • 85二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 17:11:07

    ここ最近急に冷え込んだから体調を崩していないといいのだが。白の彼岸花が石灯籠を囲んで咲く庭を秋風と共に通り抜ける。
    天だけを目指す茎に反り返った花弁と長い花糸。九州にはこの白い彼岸花が群生している寺があると教えてくれたのはこの家の主だ。
    勝手知ったる他人の家に鍵を開けてあがりこみ、一直線に彼の部屋へ進む。廊下を歩く音が聞こえるのだからわかるだろうと入室の声はかけたことがなかった。
    やあ、いらっしゃい。彼の真白い皮膚の下を通る血液は栄養を十全に運んではくれない。布団の上で穏やかな笑みをつくる人はまた痩せたようだった。手には血のような花。
    あの庭は赤い彼岸花も咲いていたんだな。俺は何年も通ってるのに知らなかった。
    いいや、咲いてないよ。だが美しい色をしているだろう。気圧された。
    ほら、命の色だ。彼の黒い瞳には赤が映れども、その目は手中ではなくどこか遠くを見ていた。
    床の間で曲線を描くガラスの花瓶には赤い液体だけが差されている。
    花を弄する細い指に手を伸ばした。目を凝らせばこの赤い病に侵された花の向こう、彼の見ている彼岸を垣間見ることができるだろうか。

  • 86二次元好きの匿名さん21/09/28(火) 18:31:36

    テーマ 彼岸
    妻が死んだ。末期だった。普段は静かで穏やかだった彼女。けれど、症状が悪化するにつれて塞ぎ込み変わっていった。それが、辛かった。いや、きっと彼女の方が何倍も辛かったはずなのだ。

    だって、妻が死んでから三日後。私は、死んだはずの妻が私を責め立てる声を聞いたのだから。

    妻はこの世のものとは思えない声で叫ぶ。私は恐ろしくて姿を見ることすらできない。私の精神は次第に摩りきれていった。
    見かねた友人が、高名な和尚の元へと私を連れていく計画を立てた。

    今日はその和尚が私に対してお祓いをしてくれる日だ。
    対面に座った和尚が静かに祝詞を唱える。私は初めて妻と会った日からのことを思い出していた。頭の中で私を責める声と、彼女が私にかけたあの温かな声が混ざる。祝詞が終わる頃にはもう、私は泣き崩れていた。

    和尚は告げる。
    「奥様はここには居ませんよ。彼女はすでに極楽へと旅立っています」
    「嘘だ!だって今も私を責める声が聞こえているんだ」
    嗚咽混じりで私は反駁する。
    けれども和尚は何も言わず、私の瞳をただじっと見つめる。


    ー本当はもう、気づいていた。どんなに荒れても私に愚痴1つ溢さなかった彼女が、死後になって初めて不満を漏らすことなんて、ありえないことを。それでも、すがりたかった。仕事ばかりでろくに構えなかった私。
    彼女の死に目にすら会えなかった私。
    こんな最低な私を許してくれるはずなんてないと。
    そして、恨み節でも何でも良いから、もう1度だけあの声が聞きたかった。

    和尚はおもむろに黙って後ろを指す。私は連れて後ろを振り向く。和尚の指の先に、庭の梅の木に立つウグイスがいた。ホーホケッ、ッ。そのウグイスは上手く歌えない。

    「頑張れ」
    思わず声が被った。信じられず和尚の方を向く。和尚は静かに首を振った。

    ホーホケキョ。1声ないてそのウグイスは飛び立つ。優しい春の風が私の頬をなぞった。
    彼女の温かな言葉を最後に、私を責め立てる声はもう聞こえなくなっていた。

  • 87二次元好きの匿名さん21/09/29(水) 06:51:58

    みんな物語に厚みがあるというか、続いてきた物語の一節を切り取ったって感じですごいな
    上手く言えないんだけど

  • 88二次元好きの匿名さん21/09/30(木) 22:17:15

    そろそろ次のお題かねえ
    最近お題が変わるまでが遅いな

  • 89二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 04:53:00

    わりと後からでも出す人がいるしね...

    にしても、もう>>61から2週間か

  • 90二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 04:55:14

    >>89

    今のお題は>>76の彼岸だろうよ俺

    追憶、星、彼岸と届かないものが続いたな

  • 91二次元好きの匿名さん21/10/01(金) 11:16:04

    じゃあなんか手に届く系の題材にしようか
    獲得、勝利、所有、買い物、贈り物、克服、完成、成就…こんなところか?

  • 92二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 12:33:08

    さらっといっぱい出せるの強い...この中だと【買い物】を見てみたいな

  • 93お題 手に届くもの21/10/02(土) 13:06:45

    お題がふんわりなんでふんわりと

    人は生きる限り 関節を広げ 筋を伸ばし ナニカを手に掴む

    その始まりは? 付け根にか 腹の底にか いやさどれも違う

    私が選ぶでなく 私が望むでなく 私が知るでなく

    誰かに教えられ 何かに動かされ 私の手に収まる

    始に私はおらず 道則に私はなく 終のみ手に届く

  • 94お題 買い物21/10/02(土) 13:18:19

    >>92

    考えすぎて見過ごした お詫びでこっちのも作ってみる




    はじめてのおつかい 子供が一人で向かい 一人でモノを購入し 一人で親の元へ戻る


    カメラは子供を映し 平和な世界を眺めて 大人になりまた流す


    私は見る度に念じる 美しい世界がどうか ずっと続くようにと 

  • 95二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 13:34:26

    >>93

    >>94

    おおうおうおおう...こちらこそごめん、そういうお題だったか!


    ポエミィな文章、ちゃんと文字数も揃えられててすごい

  • 96二次元好きの匿名さん21/10/02(土) 14:36:12

    ショーウィンドウで光を浴びて輝く宝物みたいなエナメルのハイヒール。
    小さな頃に憧れた大人の靴。そんな恋の色と形にそっくりのそれは私の足にぴったりと収まった。
    新しい靴の匂い。つるりとした撫で心地。伸ばした足首とお揃いでお財布はちょっぴり背伸び。
    次のおでかけまで待ちきれなくて履いたまま店を出た。
    いつもより少し高い目線が世界を変える。
    石畳の道を歩くたびにつま先から音が響いて歩調にあわせて鼻歌を歌いたい気持ちになる。
    この靴が向かう先には素敵なものが待っている。

  • 97奇をてらいすぎたかも21/10/02(土) 23:46:48

    今日も、お金を買ってみました!
    買ったお金はもう売っちゃいましたけど、やはりお金の取引はいいものですね!
    今では誰もが買っている物だけど、ずっと前まではこれが当たり前じゃないなんて、結構意外。やはり簡単な物のように思えても、それを発明する事は想像の何十倍も難しいのかもしれませんね。
    そう考えると、なんとなくお金が貴重な物のように思えてきちゃいました。噂では沢山のお金を大事に保管している人もいると聞きますし……。
    昔の人が見たら、驚くかもしれませんね。
    苦痛でお金が買えるなんて!

  • 98お題「手に届く系」21/10/03(日) 00:46:29

    運命のルーレットが廻っている。軽やかな音と共に廻り続けている。

    一体いつから敗北を重ねているだろうか。今度こそ勝利を手に出来るのか?

    回転が緩やかになるにつれ、息が詰まるような錯覚を覚える。

    頼む、勝たせてくれ!

    そしてルーレットは止まる。止まった先は――当たりだ!

    軽やかな音楽が流れて自販機のボタンが光る。どれでも選び放題だ。

    久々に自販機の当たりを引いて心が浮き立つ。手を伸ばしてボタンを押し勝利の証を獲得した。

    スーパーやコンビニではなく、自販機で飲み物を買うのはこの小さな幸運と幸福を得るためなのだ。

  • 99二次元好きの匿名さん21/10/03(日) 17:18:10

    吊り下げられたお守り。カラフルなビーズのアクセサリー。細かな破片を組み合わせたガラスのランプ。ピカピカした金属に花模様が描かれたよく分からない入れ物。
    棚の前で考え込む僕をニコニコして待つ異国のお土産屋。
    悩みに悩んで選んだのは君に一番似合う色。
    通りに漂う嗅いだことのないスパイスのような香りも、乾いた風も、驚くような日差しの強さも、見あげた空の色も――全部持ち帰って君に見せたい。
    忘れちゃいけないもう一つ、口に入れて思わず笑ってしまった不思議な味の食べ物を美味しいお菓子に混ぜて渡そう。

  • 100二次元好きの匿名さん21/10/04(月) 03:09:52

    このレスは削除されています

  • 101お題 : 「買い物」、「彼岸」21/10/04(月) 03:11:41

    わたしはめざめる。この国の古い神話に言うトキジクノカグノコノミ、あるいは我が祖らが食すことを夢みた蟠桃。"不死の果実"の話は洋の東西を問わず数あれど、それそのものと融合した話などそうそう無いはずだ。宇宙開発の承諾、そしてひとたびの死とひきかえにそれを買えるのだったら、よい買い物をしたといえるだろう。買い物のことばに、秋葉原のパーツショップを探した記憶があらわれおもわず笑う。彼岸へとわたらずにすんだこの魂、今こそ彼岸からの呪詛をそそがれつづけたあなたのためにつかおう。

  • 102二次元好きの匿名さん21/10/04(月) 11:40:22

    >>95

    お褒めのレスをしてくれてありがとうございます


    もっといいのを書いてみます

  • 103二次元好きの匿名さん21/10/04(月) 18:54:58

    ショーペン・ハウエル『富は海の水に似ている。それを飲めば飲むほど、のどが渇いてくる。』
    お金を払うと資産は増えるが、資本(金)は減る。紙幣や硬化と引き換えに物を得る。石器時代からのダブルスタンダードだ。
    やがて僕の家は物で溢れかえると同時に財布は軽くなり、物が増えた分だけ負債も増えた。
    つまり、負債とは僕の罪悪感である。

  • 104二次元好きの匿名さん21/10/06(水) 14:22:54

    健康のために甘い物は控えてるが、今日は月に一度のご褒美デー。
    ショーケースに並ぶたくさんのケーキを見るだけで心が躍る。
    この前は真ん中の段のこれだったから、今日は何にしようかな。
    いちごの乗ったショートケーキとさっぱりとしたレアチーズケーキと焦げ目が美味しそうなアップルパイ。
    食べられるのは一つだけ。迷いに迷って注文した。
    ぶら下げた箱の中にはいつも買ってしまう甘くてほろ苦いチョコレートケーキ。

  • 105二次元好きの匿名さん21/10/06(水) 15:18:34

    テーマ 買い物

    人の価値は何なのか。

    人に値段をつけたら幾らなのか、俺は漠然と考えていた。左手には使い古したハンマー。右手には所々赤錆のついた釘。目の前のものに釘を打ち付けて、俺はぼんやり考える。悲鳴が出た。下らない考えのせいで、手元が狂ったようだ。

    物の価値は分かりやすい。欲しいかどうかで値段が決まる。例えば、今俺が持っているハンマー。使い古したこれは、例え売ったとしても、良くて二束三文。悪けりゃ、売れない。

    でも人の価値は分かりにくい。そいつが欲しいかどうかで簡単に決まらないからだ。人の命は何よりも重いって言う奴もいれば、どこまでも人の命を軽んじる奴だっている。

    「でもそれでも人の命に価値をつけるんなら、俺は先人を習って、「思い」で決まると思うんだ」

    言い切るやいなや、俺は勢いをつけ、目の前の椅子に縛り付けられたそいつに釘を打ち込む。

    「なぁ、いい加減ゲロっちまえよ。今のお前じゃ、俺はいらない。生き残りたいだろ?お前がお前の命の価値を決めるんだ」

    「さぁ、お前は俺の「思い」をどうやって買うかな?」

  • 106二次元好きの匿名さん21/10/06(水) 16:39:07

     ちりんちりーん。
    「いらっしゃ・・・・・・いませ、ご注文は?」
    「ショートケーキを1つにシュークリームを2つ、それにあなたのスマイルをお持ち帰りで!」
    「かしこまりました、右回りしてそのままお進みください♪」
    「わぁ露骨な営業スマイル。常連客のジョークに冷たくなーい?」
    「ひと月も来ないでよくも常連客なんてうそぶけますね、相変わらず騒がしいままのようですが」
    「あはは、お仕事が忙しくってねー。でも大丈夫、愛は変わらないままだよ――いや、想いは変わらないまま?」
    「先にこちらの愛想が底を突きそうですよ、もう。……こちら、ショート1つとシュー2つです」
    「ん、ありがとう。支払いは千円札で」
    「おつりの300円です。保冷剤多めに入れてますがなるべく早く冷蔵庫に入れてくださいね」
    「はーい。それじゃ今度は来週に来るからねばいばーい!」
    「はいはい」
     ちりんちりーん。

    「全く――また来てくださいね♪」

  • 107二次元好きの匿名さん21/10/07(木) 18:17:52

    剣以上に目を輝かせる。駆け出し冒険者にはまだ早いと言われたけどやる気が出るならいいんじゃないかと言ってくれた武器屋の主人の言葉に押されて気がついたら銀貨を払っていた。
    「もうちょっと経験を積んで金が貯まる頃に一段上の武器を買った方がいいと思うんだけどなぁ」
    酒場のマスターが苦笑する。顔を斜めに二分するような傷に皺を寄らせ、今もなお見事に膨れた肩をすくめた。
    「私にもそういうのがあったわね。ふふ、今日は一番安いご飯とお酒を貰おうかしら」
    背丈を超える大きな金の杖を担いだ先輩冒険者が隣のイスに座った。キラキラした杖を立てかけて頬杖をつく。うーむ、様になっている。
    「おいおい。収入に見合ったもんを頼んでくれよ。今回のダンジョンでいいアイテムを相当回収したんだろ?噂になってるぜ」
    「たまには初心に帰るとするわ。新しい武器を手に入れたことだし気持ちも新たに、ね?」
    魔女は淀みない動きで提供された樽の香りがする酒を一口飲んでウインクする。ミステリアスで艶めかしい笑顔に鼻の下を伸ばした。
    「へいへい。大麦と豆の粥に水で薄めた葡萄酒一丁ね。たっく、大して旨くないのに人気があるのはなんでだか。うちの客は俺の話を聞かねえ。……まあいいさ。じゃあ依頼を受けてくれ。財布も寂しくなったから稼がないといけないだろ?」
    剣に頬ずりしていた俺に向かってマスターから突きつけられた羊皮紙三枚。ああ、夢にまで見た冒険者生活。

  • 108二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 22:09:08

    買い物ってカジュアルなテーマで結構重い話が多いな
    意外な料理の仕方だ

  • 109二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 21:25:51

    投稿止まったしお題変える?

  • 110二次元好きの匿名さん21/10/11(月) 13:04:28

    >>109

    そうですね

    台風来てますし、嵐とかどうです?

  • 111二次元好きの匿名さん21/10/12(火) 20:36:19

    ではテーマ『嵐』で1つ

    「今年も春の嵐が来た」
    眼前に広がる惨状を目に、僕は独り言ちた。

    春は出逢いと別れの季節とは言うけれど、季節特有のものなのか。時折起きるこれは、全くもって、風流でない。

    荒れたものを元に戻すのも、楽な仕事ではないのだ。

    この仕事について早、1年。作業も覚え、板に付いてきたと言うのに。
    まだまだ不満はあるが、文句を言っても始まらない。

    それに、この1年間、まったく荒れることのない日なんて、それはそれでなかったのだから。

    もう1度目の前のパソコンに向き直る。また管理人としての1日が今日も始まる。

    「今回の荒らしは一体、どうしようか」

  • 112二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 08:40:05

    このレスは削除されています

  • 113二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 08:44:31

    テーマ 嵐

    夜嵐だろうか、途切れなく横殴りの雨が安普請な家の屋根を叩く。耳障りな暗く重く、獣の呻き声のような風音が響いている。
    うぉぉあ~おぉぉあ~
    堪らず俺は布団から飛び出した。
    動悸を静めるために、そうだ、水を一杯飲もう。
    寝室を出て、台所へ。その途中で新しく買い換えたテレビが目に写った。
    テレビの隣にある時計に目が向く。時刻は丑三つ時。何か馬鹿な深夜番組がやっているはずだ。気を紛らわしたい一心で、リモコンを手に取った。

    テレビを点けた。けれど映ったのは、一面の砂嵐。チャンネルを変える、またも砂嵐。
    どの放送局も、砂嵐、砂嵐、砂嵐…

    形容しがたい不安を覚えた俺は、リモコンを握りしめたまま布団へと戻っていた。
    額に嫌な汗がじっとりと滲む。けれど、体は冷えたままだった。

    悪い考えを打ち消そうと、布団の中で頭を振った。そして唐突に思い付く。砂嵐なんて、アナログテレビなら当たり前に起こることだと。
    馬鹿馬鹿しい、何をあんなに恐れたんだか。

    俺はリモコンを戻しに居間へと急いだ。テレビは依然として、砂嵐のままだった。

    画面を改めて見て、ふと、気づいた。俺が買ったテレビはデジタルの最新式であることを。
    ーデジタルテレビでは、砂嵐は起こらないー

    俺が消す前にテレビの電源が切れた。
    夜嵐は未だ、衰える気配もない。

  • 114二次元好きの匿名さん21/10/15(金) 18:04:55

    湿っぽい空気を肌で感じ、なびく髪が風が強くなっていることを教えた。
    これから来る嵐から守らなくてはいけないものがあるから父母の言いつけを破って外に出た。
    向かうのは花畑。小さな頃にクラスメイトの女の子と種を蒔いた場所はロクに世話をしてないけど毎年花が咲いてくれていた。
    まだ花の咲かない幼い草に暴風ネットをかぶせて飛ばされないように重しをする。
    もっと早くに思い出していればこんなに風に苦労することもなかったのに。
    橋の上を電車が通る。風に弱くてしょっちゅう運転が休止になる路線だからもうまもなく止まるだろう。
    もう半月もすれば電車の窓から花畑が見える季節だ。
    引っ越しをすると言った僕にここを通り過ぎる度にこの町のことを思い出してくれるだろうと花の種を持ってきてくれたあの子。
    僕がこの町に戻ってきたら今度は彼女がいなくなっていて、あの路線を使っているかもわからない。
    ただ、花のように儚い思い出を大切にしたいと今日たまたま電車に乗って過去を蘇らせた薄情者は思ったのだ。

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