閲覧注意 キタカミの里が全裸必須地帯だったら キビキビパニック編

  • 1二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 16:42:05

    ペパー可愛すぎない?
    女子があんなに居て羞恥心担当が君なのは解釈一致だよ。


    注意書き
    CP要素あり
    DLCのネタバレあり
    軽度の下ネタあり

  • 2二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 16:42:34

    その日、ペパーは課題地獄から解放されたばかりで気が大きくなっていた。だからこそ、普段の言動にちょっとした積極性が加えられ、珍しいテンションであった。

    食事もとらずベッドに入りこんで脳裏に浮かべるのは恩人にして親友。
    「・・・・っ・・・・っ・・・・・ぅ・・・・っ・・・・・」
    頭まですっぽりと布団をかぶっている故に彼がナニをしていたのかは皆目見当もつかない。しばらく喘ぐ様な短い声を噛み潰し、にゅっと手だけ布団から出すペパー。その手はベッド脇のティッシュを探しあてると、急いで布団の中へと戻っていった。

    重ねていうが、布団の中で彼がナニに興じているのか、想像しようもない。

    「ああ~・・・どうしたら・・・・最悪”ただのトモダチ”としか思われてねえかも・・・」

    こうつぶやくペパー。すっきりとした表情で布団から身を出し、台所の洗い場へと向かう。その表情は実に落ち着いており、聖歌隊を指揮する牧師のような清らかさをたたえていた。

  • 3二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 16:43:01

    「・・・おし・・・・決めた。」そう言って髪を結び食事の準備をするぺパーの顔は雄々しく、まさに”男”の貌であった。

    軽食を取り、翌日の大勝負を見据えて少々早めの就寝とする。ちょっとした重要な決心が青年を動かす。机に整然と並べられたペパーのボールの中でマフィティフら相棒たちは主人の貌に浮かぶ決意の色を見て、彼が大事な一歩を踏み出そうとしていることを悟るのであった。

    さて、読者諸賢には再三の注釈となるが、「ペパーのボール」というのは「ペパーが所持しているモンスターボール」を意味するものであり、それ以外ではないということをご留意いただきたい。

  • 4二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 16:43:26

    翌日、さわやかな太陽がパルデアの大地を明るく染める良き日の中、まだ昼食には早い時間帯にアオイのスマホロトムが着信を知らせた。ブルーベリー学園への留学から帰って数日経った辺り、彼女はコサジタウンの実家に帰省していた。

    大冒険経て心身をより大きく育んだ娘の帰省をアオイの母はなにより楽しみにしていたし、心の思いつくままに歓待するつもりであった。自分の娘に対して「歓待」という表現もおかしいだろうが、とにかくアオイが学園生活を謳歌できていることそのものが母親である彼女にとっての喜びでもある。。

    アオイはスマホがなったその時、ちょうど家の外に出ていた。コサジの灯台近辺にてピクニックを行っていたため、指が汚れていたのもあり若干着信に遅れてしまったが、着信の主の声を聴いた途端に全身の血管がざわめきだすような高揚感に包まれる。

    「あー、アオイ。聞いたぜ、留学先でもいろいろあったんだってな。さすが俺の親友ちゃんだぜ。・・・えっと、その、な?都合悪かったら全然断ってくれていいんだけど・・・

    お前んち行ってもいいかな・・・?」

    声の主はペパー。その声は不思議な甘やかさを伴ってアオイの耳を官能的に撫でる。もちろん彼女の返事はイェスである。

    大急ぎでピクニックの片づけをし、かつ、ネモからもらったフルーティな香水をほんの少しだけハンカチに落とし、手首やうなじをポンポンと軽く叩くアオイ。主のその様相を見てマスカーニャはニヤニヤと笑い、チルタリスは高らかに歌い、チオンジェンは・・・、

    「カキシルス」とつぶやいてアオイの一挙一動を木簡に認める(したためる=文を書く)のであった。

  • 5二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 16:43:41

    はえーよホセ
    番外編が全裸シリーズと微妙に親和性ありそうで笑っちゃったわ

  • 6二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 16:43:47

    アオイは急いだ。急ぎはしたが決して走りはしなかった。ここで汗などかいてはペパーに会うことなどできない。汗臭い自分など認識してもほしくない。かわいい自分だけを見てほしい。そんな乙女心を、読者諸賢なら十分にわかってもらえるのではないだろうか。

    アオイが自宅に戻り着いたとき、そこに居たのはもちろんボッ・・・発起人であるペパーだが、彼だけではなかった。近所に住む親友のネモ、同じく親友であり学園寮に居をかまえるボタンの3人がアオイの実家の玄関口で待っていたのである。

    「わー!みんないる!なんか久しぶりな感じ!ペパーだけだと思ってた!」
    「いやまあ・・・俺もそう思ってたけど、こいつらに聞かれちまってよ!」とほほといった雰囲気をジェスチャーで示すペパーだが、内心ではむしろほっとしていたのも事実。また、純粋に気の置けない友人たちと戯れるのを楽しむ気持ちもまた真実。

    「ペパーひとりだけとか、抜け駆けはさせんし」うししと言わんばかりにいたずらっぽく笑うボタン。
    「ふふ、来ちゃった!」茶目っ気を含みながらも穏やかに笑うネモ。

    親友たち4人の久しぶりの交流である。

  • 7二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 16:44:06

    愛娘が学友を連れてきたとあればこれを歓待せずにはいられないのが、親のさがといったところ。アオイの母親は腕によりをかけて学生たち4人の胃袋を美食で満たしていった。ネモもボタンもその腕前に驚嘆し口々にほめそやすが、ペパーだけは驚嘆を通り越してもはや戦慄に近いものを覚えていた。

    駆け出しとはいえ彼も料理人の端くれである。アオイの母の料理の腕前の凄絶さを感じ取ったのだろう。なにしろ彼女の料理は時間の経ったサンドイッチでさえ、瀕死のコライドンを救命し懐かせたほどの一品であったのだから、至近距離で出来立ての料理など食べた日には人生観をまるごと揺るがされてもおかしくはない。

    むき出しの魂・・・全裸の魂をつかむような料理、いわば全裸料理を披露され、ペパーはこの道の奥深さを知るのであった。

  • 8二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 16:44:22

    宴もたけなわ、アオイの自室にあがった4人。装飾や家具などを観察するネモやボタンだったが、親友の家を初めて訪問したともなればその様がなかば「物色」にものとなってもご愛敬といったところだろう。アオイ自身も飾り気のない自身の部屋、いわば全裸の部屋を見せるのは恥ずかしかったが、ほかならぬ親友だからこそである。

    そしてペパーはといえば、アオイの自室に入ってからひそかに深々とした深呼吸を繰り返している。可能ならば一生分の呼吸をここで終えてしまい、と言わんばかりの勢いだが、この場の誰にもバレていない辺りさすがの技量とでもいうべきか。

    そんな折、アオイの母がアオイ宛ての手紙を持ってきた。
    なんでも、友人たちとともにキタカミの里へと観光に来ないかというのである。この誘いに対して、アオイ以外の3人がどう答えたか。

    それはもはや書くまでもあるまい。

  • 9二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 16:47:51
  • 10二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 16:48:50

    待ってた
    早速全裸料理だの全裸部屋だの俺のしらねぇ全裸が展開されてる……

  • 11二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 16:50:10

    >>9

    きっと時間も空間も違う全裸ペパー達の体験記なんだ、この世のどこかの世界で………!

    いや冷静になると全裸世界が複数あるの面白すぎるな

  • 12二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 16:50:13

    続報がなければラスト全裸になるのか?いやネモ放流編とかもあるか

  • 13二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 16:53:46

    昨日深夜の配信なのに筆早すぎやろ
    もう尊敬の域だわ

  • 14二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 16:56:01

    既にpixiv等に全裸キビキビが存在するという事実

  • 15二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 16:57:14

    リアタイ初遭遇!あまりの早さに感動だわ

  • 16二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 17:02:17

    キタカミの里に初めてやってきたペパー一行だが、そんな彼らを田舎町の洗礼が襲う。

    「いきなり来たよ!6時方向からヤンヤンマの群れ!」そう叫ぶアオイとスムーズな連携で互いの視野の死角を補う3人。

    「いきなりちゃんかよ!」「ほら見たことか!素直に虫よけスプレー買えって言ったのに」「 た ぎ っ て き た ー ー ー !」

    表面こそ軽口をたたいているが、その実、皮膚の下では警戒と索敵が満ちている。パルデア屈指の達人集団である彼らに油断はない。旅の道においてわずかな油断であっても死への切符としては十分すぎることを彼らは知っているからだ。

    「いくよ!ルガルガン!!」ネモの指示で岩タイプのルガルガンがヤンヤンマの先頭をたたく。タイプの相性もあり瞬時に群れの陣形をかみ破っていく様は痛快そのもの。
    「ブースター!"ふんえん"でサイドをふさいで!」ネモのルガルガンによって陣形を乱されたヤンヤンマの群れをボタンのブースターが爆炎を以て包み、敵個体の散開を防ぐ。

    「よっしゃ、いくぜ!キョジオーン!」ペパーが指示を出すとほぼ同時にキョジオーンがストーンエッジを叩き込む。本来範囲攻撃技ではないストーンエッジだが、ブースターの炎技によって射線上に集められたヤンヤンマの群れにとってはその一撃は群れを完全に沈黙させる破壊力を持っていた。

    完璧な連携である。このとき3人は服を着ていた。

    あっという間に勝利したようにみえたが、ボタンが警戒をうながす。
    「待って!まだ羽音がする!近い、いや、速い!来るよ!」ヤンヤンマの群れはあくまでつゆ払い。森の中から高速で飛来する一匹のポケモン。

    「メガヤンマだ!」古代の殺し屋をアオイが迎え撃つ。

  • 17二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 17:04:12

    まあ書きますよね待ってました

  • 18二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 17:05:13

    このレスは削除されています

  • 19二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 17:05:49

    全裸でキビキビしたらね
    そらもうペチンペチンとね…

  • 20二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 17:11:30

    「くっ!」

    それは意外な苦戦であった。
    チャンピオンであるアオイと野生のメガヤンマでは勝負になるはずもない。というのがペパーやボタンの思考の端にはあった。だが、ネモはアオイを援護するためにいつの間にか開いてしまっていた距離をつめるべく走り出した。

    もちろんペパーとボタンもすぐに走り出したが、この点はやはり戦闘を愛するものの嗅覚だろうか。

    いつもと違う湿度、温度、風、光の位置・・・本人や相手のコンディションに限らず勝負の行方を乱すものはいくらでもある。野生のメガヤンマよりもアオイの方が強いのは当然のことだが、このメガヤンマはわずかな勝機の際にアオイの命を脅かすだけの実力はあったようである。

    風とともに舞い上がった砂がアオイの目をふさいだその刹那。
    時間にしてまばたき一回分にすら及ばない僅かな隙間、この一瞬を狙ってメガヤンマはアオイの後頭部に牙をつきたて・・・・

    られなかった。

    メガヤンマの牙はアオイの上着を貫いたのみ。

    その直後、パオジアンの強襲を躱す間隙などるはずもなかった。結果的には一撃勝利だが、一行は対野生戦の心構えを引き締めなおすのだった。

  • 21二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 17:53:31

    スイリョクタウンに足を踏み入れたその瞬間、一行はわずかな違和感を覚えた。気のせいと断じることのできるほんの少しの何か。それこそ、違和感と呼ぶにも及ばない程度の「ゆらぎ」を。

    この手の感覚については軽視するべきではないというのが、彼らの経験則である。しかしそれが一体何なのか、その正体についてはどこかぼやけていて、わからない。

    ボタンは歯がゆく思っていた。アオイの力になることを自らの至上のモチベーションとしている彼女にとって、高い警戒能力が役に立たないのはいささか堪える。そして、彼女自身、この違和感の正体を突き止める方法になんとなく気づいていた。それは、

    全 裸 。

    裸になれば当然肌感覚は研ぎ澄まされる。ネモは全裸による感覚器官の精度向上を戦闘力へと変換した全裸の技、つまりZ技を習得したが、ボタンはネモとは違う方向性のZ技を習得したと言える。ただし、その効果が発揮されるのは今ではないようだ。

  • 22二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 18:05:19

    公民館へと着いたペパー一行。

    キタカミの里は人口の多い町ではなく公的施設も比較的こぢんまりとしている。パルデアのそれと比べればどこかかわいらしさを感じさせる建物に一同はどこか心が和むのを感じた。

    公民館の前でああでもないこうでもないと話し合っていた4人。無意識のうちに違和感の元凶が近くにいることを感じ取っていたのかもしれない。しばらくすると、公民館から管理人である初老の男性がペパーらを迎えてくれた。

    公民館の施設で寝泊まりをしてよいとの許可をもらい、観光気運はより高まる。不思議な違和感を押し流して呆けるほど彼らは愚か者ではないが、それでもせっかくの観光を楽しまない理由などない。

    管理人がアオイに声をかけた際、ペパーは一人の男の名前を聞き止めた。

    「スグリ・・・ってやつ、なんなんだ?」
    「スグリはね、ブルベの友達だよ!」

    ペパーの問いには警戒の色が含まれていたのだが、まだ幼いアオイにそれを感じ取れというのは酷というもの。

    アオイがスグリについて評すると、背後からネモがぬるりと声をかけてきた。
    「 強 い ん だ っ て ね ? 」ニコニコと笑っている。アオイはスグリにネモをけしかけることになんのためらいもない。

    「それじゃ、スグリの家まで呼びに行ってくるね!」朗らかに告げるアオイ。


    一行はまだ全身を衣服に包んでいるのだった。

  • 23二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 18:08:39

    >>12

    ネモも放流するし、チリちゃんとオモダカさんにもキビキビしてもらいます

  • 24二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 20:02:08

    あっ、よくよく考えたら、全ぺシリーズでは一貫してアオイちゃんよりネモの方が若干強いってことで解釈してましたんで・・・・やべえ、強いちょっと勝てない・・・

  • 25二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 20:07:20

    >>24

    最終戦付近の話かな

    洗脳の影響とかキタカミ現地調達ポケを即興で組み込んだ影響とかでいつもよりキレが落ちてるとかは普通にありそう

  • 26二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 20:08:33

    逆に今回のことでついにネモ超えするとかで良いのでは

  • 27二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 20:09:59

    相変わらず戦闘描写かっこよくて草
    あ、まだ服着てるんだよね・・・?

  • 28二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 20:14:57

    番外編が発表されてからずっと待ってた嬉しいぞ

  • 29二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 20:35:54

    アオイがスグリの家を訪ねるのにそう時間は要らなかった。

    要らなかった、のは事実だがアオイにとってスグリとの再会は特別な意味を持っていたためか、その足取りは軽やかとはいかなかった。意図したことではないとはいえ、自分が彼にとっての壁となってしまった事実。今まで友人たちの壁を打ち破る側に立ち続けてきたアオイにとって、自分自身が「全裸で立ちはだかる壁」として認識されるのは思うところがないでもない。

    そうして不本意な衝突を繰り返した結果として、スグリは己の殻を破ることができた。しかし、その代償として残されたのは無期限の休学。

    遠因とはいえ、彼の今の境遇の一因である自覚がある分、スグリやゼイユと会えなくなったことは心に小さなとげとなっていた。それだけに今回の再会、アオイはどんな表情でスグリと会うべきか決めかねていた。

  • 30二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 20:47:39

    仕事が早すぎるwww

  • 31二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 21:50:48

    アオイが声をかける。その彼女に振り向くスグリは、実にのどやかな表情であった。

    「スグリ!」「アオイ!」初めてキタカミにやってきたときのあの頃のような純粋な笑顔であった。

    アオイとスグリは会話している時間はほんの僅かなものだったが、焦れてきたのかペパーをはじめネモもボタンもスグリの家までやってきた。もちろん一同服を着ている。

    「はじめまして!私はネモ!スグリくんだね!?強いんだってね!?それじゃ戦おうか!」
    「 ! ? 」

    「公民館の前!やれそうだった!」ネモは元気よく走り出していった。それは当然スグリにもついて来いという意味を含んでいる。やれやれと歩いていくスグリを一同はにこりと笑って見送るのであった。

    「さて、うちらも見に行こう。ほっといたらネモ、脱ぎかねないし」とボタン
    「それはたしかに」とアオイ
    「間違いないちゃんだな」とペパー

    観戦しにペパーらが着いた頃にはネモはすでに上着を脱ぎ棄てており、対するスグリは前かがみになっていた。

  • 32二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 21:52:25

    スグリの敗因が青春になってしまう

  • 33二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 22:11:21

    「ネモさん・・・・めっちゃ強かった・・・・おれボロ負けしたべ・・・・///」
    「いや~スグリくん強いね!上着脱いじゃった!」

    「"脱いじゃった"じゃないんよ、特性マイペースなん?」
    「羞恥心ちゃん医務室で見てもらえ」
    「ネモ、ぐいぐいいきすぎてスグリびっくりしてるよ」
    「わや・・・いい経験になったべ・・・マジで・・・///」

    「「「「 ははははは 」」」」

    朗らかに笑い合う彼らはあっという間に打ち解けた。もはや彼らの間に絆を遮るものなどなく精神的全裸は達成したといえるだろう。

    「・・・・・」そんな彼らのすぐそばで言わずたたずむ者がいた。

    「あれ?ゼイユだ!会いたかったよ!」アオイがすぐに声をかけるも反応はない。
    「あれ・・・ゼ、ゼイユ?どうし・・・」


    「  キ  ビ  キ  ビ  ー  !!! 」

    返事がなくて困惑するアオイをゼイユの奇声と奇行が追撃する。

  • 34二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 22:19:23

    「「「 ! ? ? ? ? ? ? ? ? 」」」

    「お、お前のねーちゃん、た、楽しそうちゃんだな・・・きさくなのはいいことちゃんだぜ・・・」
    「な、なんかめっちゃあらぶって・・・あ~、え~、あ、これ、む、村に伝わる歓迎のダンスとかなん?」
    「バトルの申し込みかな?だよね?」

    三者三様の反応だが、スグリは居たたまれない気分になってしまった。わざわざ遠方からやってきてくれた友人と新しくできた友達と楽しく話しているところに突然現れた姉が奇声を上げながら謎の踊りを披露しているのだから、その胸中はかくや、というべきだろう。

    「いやっあのっ!ねーちゃんアオイが来るって楽しみすぎてこうなってるっていうかっ!」

    「スグリ、大丈夫。私たちスグリの力になりたい。聞かせてくれる?なにがあったの?」

  • 35二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 09:05:52

    キビギビ全裸じゃないだと!?

  • 36二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 10:16:09

    筆が速すぎる

  • 37二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 10:43:41

    「アオイに手紙送った辺りからなんかねーちゃんいきなりこうなって・・・、昼間はじいちゃんたちが面倒見てくれてて・・・おれ、もうどうしたらいいか・・・早くいつものねーちゃんに戻ってほしい・・・」

    「親友のダチは俺のダチちゃんだ!俺も力になるぜ!」

    とつとつと語るスグリの姿はペパーの心に深く響いた。独りで過ごさざるを得なかった彼にとって、「家族の絆」というものは千金を以て代えがたい価値がある。それが新しい友人の悩みともなれば一肌脱がない理由などない。

    「と、とりあえず、家まで運んだら?」ボタンの提案はもっともなもの。キビキビと踊り続けるゼイユを5人で運ぶことになったが、必然的に体格のいいペパーの比重は大きくなる。衣服越しとはいえ女子の肉体を持ち上げるほど密着するのである。アオイたちとはまた違う引き締まった肉体と女子特有の甘い匂いがペパーの鼻腔をくすぐるが、この程度は鋼の自制心をもつペパーの気分を変えるほどの効果は見込めない。

    ゼイユの体つきについて、ペパーは以前ともに冒険したチリのことを思い出していたが、両者の関連性については不明である。

  • 38二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 10:55:09

    「まあすぐにどうにかなるもんでもないし、今日はみんなゆっくり休んでくれな。おれも遊びに公民館行ってもいい?」

    スグリの発言はわざわざ遠方から来た友人を気遣うものであったが、偽りのない本心でもある。服を着たペパーたちがその提案を快諾したのは言うまでもない。ちなみに、ネモは上半身下着姿のままである。

    その日の夜は、気温も湿度も普段より少し高めだったためか、公民館の中でくつろいでいた面々も薄着になっていた。アオイやネモ、ボタンが薄着で至近距離をうろつく状況に、ペパーとスグリはテラバーストの予兆を感じ取っていたが、それは今晩みなが寝静まってからのお楽しみ、といったところ。

    話の流れで公民館の大画面TVを使おうという運びになったペパー一行。管理人がTVリモコンを隠したとのことで彼らは着衣でのリモコン捜索を始める。このところ探索活動は全裸で行うことが多かったペパーたちにとっては一周回って新鮮なニュアンスさえあった。

    観葉植物の植木鉢の中に偶然リモコンを発見したアオイも当然服を着ていた。となるとリモコンの専用使用権者に対して映画よゲームよと懇願合戦が始まる・・・かと思いきや。

    「あれ?ネモさんは?」

    ほぼ半裸に近いネモの姿が見えないことを案じるスグリ。外に出て行ってしまった可能性を鑑みて、スマホロトムを持ったアオイとともにネモを探しに行くことが提案された。

  • 39二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 11:01:26

    ペパーとしてはいくら気の置けないほど絆を築いた友人とはいえ、夜の田舎町をアオイと二人きりで歩く機会を逃すわけにはいかない。ここは自分が行くと主張する。

    結果としては変わらずペパーが居残りとなったのだが、理路整然としていたスグリの説明のおかげで、とくに悶着なく納得することができたペパーであった。

    公民館を出たところで、スグリとアオイは二人の町人を発見した。発見したといっても視界に入れただけなのだが・・・。とにかく彼らに学生服の少女を見なかったか聞いてみようと接近するアオイとスグリ。

    すると・・・、

    「キビキビー!」「キビ!キビ!」

    町人の二人は瞬時に服を脱いで全裸となり、襲い掛かってくるのであった。

  • 40二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 11:05:06

    >>7

    全裸料理って食戟のソーマかよっ!!

  • 41二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 11:06:02

    もはやテラスタル結晶による建前さえなく全裸になってて草

  • 42二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 11:13:34

    町人の二人が繰り出してきたのはアーボックとアリアドス。
    どちらもキタカミの里に多く生息する土着のポケモンである。それはつまり地の利は圧倒的に向こうにあることを意味する。また、それだけではない。

    オーソドックスなポケモンである以上、その使い手も多く、当然ながらその研究も練度も極めて高いということになる。

    むろん、チャンピオンである二人には比べられないが油断が許される相手ではないということである。

    事実、アーボックもアリアドスも最短距離で間合いをつめアオイとスグリへのダイレクトアタックを敢行してきた。元来のトレーナー戦であれば絶対にありえない挙動。むしろ対野生戦を彷彿とさせるような緊迫感が薄手の衣服に包まれた二人のチャンピオンの背筋に汗を走らせる。

    アーボックの牙もアリアドスの毒針も人間の反応速度を超えたものである。チャンピオンクラスといえど人の理を外れてはいない。しかし、彼らはポケモントレーナーである。最強無敵のチャンピオンには、

    つねに最強無敵の相棒が付き従うのである。

    スグリに迫った毒牙をニョロボンが、アオイに迫った毒針をコライドンが難なく受け止め、応戦する。こうなってしまえば、あとは地力の勝負となる。数多の戦場をもって研ぎ澄まされ磨き上げられたポケモンたちの敵ではなかった。

    勝負は終わった。しかし、スグリの困惑は大きい。家族ではないといっても顔見知りの人間が奇声を上げ奇妙な動きを取りながら全裸で襲い掛かってきたのである。その衝撃は少年の心を揺るがすには十分だろう。

    また、懸念もあった。今回の戦いはあくまで壮年の男女との闘いであったが、もし相手がもっと強い美少女であったなら・・・スグリは戦慄するとともに若干の前傾姿勢をとるのであった。

  • 43二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 11:23:38

    「あ!ネモ!スグリ、あそこ見て!ネモいる!」

    "あそこ見て"というフレーズに過剰反応したスグリだったが、彼はそれを口に出せるほど達観してはいない思春期の少年である。前傾姿勢のままアオイとともにネモを追いかける。

    アオイにとっても久しぶりに通るキタカミの夜道、あのときはともに戦えなかったスグリが、いまはともに立って戦ってくれる。しかも思い人であるペパーともすぐに仲良くなってくれた。友人の壮健をなによりの喜びとするアオイにとって、非常事態である今この瞬間も決して悪い気分ではなかった。

    ちなみに、このときスグリは二つの意味で壮健であったが彼の名誉のため詳細な描写は割愛する。

    キタカミセンターへの広場についた二人はスグリの祖父と祖母が焼きそばを買いに来ていたところに遭遇した。ゼイユは今踊り着かれて眠っているらしい。その点は安心といったところ。ネモを見ていないか問うと学生服の少女を見かけたとのことであった。

    しかし、

    「オ モチ ドウゾ・・・」「いや婆さん、今はモチとかいいから・・・、わかった・・・ほれ、食べたぞ、婆さん、これでいいのか?」

    紫色のモチを食べたスグリの祖父、ユキノシタの様子が変わった。

    「キ・・・キキ・・・・」

    「「 キ ビ キ ビ ー !! 」」
    瞬時に全裸となったスグリの祖父母が襲い掛かってきたのである。

  • 44二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 11:34:00

    ネモは上が下着でも学生服認定して貰えるのか

  • 45二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 12:00:35

    繰り出されたのは全裸のアーボックとシャンデラ。アーボックの登場と同時に"いかく"による効果でコライドンとニョロボンの力がそがれる。全裸のポケモンの力をさらにそぎ落とす巧妙な作戦立案には年の功が表れている。号するなら"全裸落とし"とでもいうべきか。

    「どうしてこんなことに・・・うう、やるしかねえべ」そう言って意力を高ぶらせるスグリ。そのまなざしから普段の優し気な光が消える。

    力を落とされたとはいえコライドンは古代世界の覇者である。渾身の"アクセルブレイク"はもはや必殺の領域。たやすく受け止められるものではない。そして、スグリのニョロボンもまた相性をうまく利用し、シャンデラを一撃粉砕する。

    "アクアブレイク"によって急所を貫いたその手際はアオイをもってして感動させるほどの美しさをたたえていた。幸運の女神にすら愛されていると自嘲気味にアオイを讃えていたあの頃のスグリはもういない。

    スグリの祖父母であるヒエとユキノシタが次に繰り出したのはマタドガスとマンムー。彼らもまたキタカミの里に生息する土着のポケモンであるが、一見してわかるその練度は先ほどの全裸町人たちとは段違いに高い。

    ヒエのマンムーは"じしん"を打ち込んできた。局所的な大地の脈動がそのポケモンたちを襲う。またそれだけでなくヒエ自身も含めたトレーナーたちまでまきこむ勢いであった。アオイとスグリは"じしん"を抑え込むためニョロボンとコライドンに指示すると同時に、自身と相手トレーナーの安全を確保するために飛行タイプのチルタリスとカイリューを繰り出して戦線の構築を図る。

    そんな中で唯一、"じしん"の影響を受けないマタドガスはスグリたちの一瞬の隙をついて広範囲に"ヘドロばくだん"を投射してきた。直撃をうけるコライドン。急いで回復を図りたいところだが、"じしん"によって地形を荒らされコライドンに接触できない。

    その状況で鳴り響いてきた大きな音があった。

    ニョロボンの"はらだいこ"である。

  • 46二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 12:09:06

    "はらだいこ"は己の体力を削って力を増す諸刃の剣。全裸で行えば体力の優に半分は削れる。スグリは賭けに出た。

    大幅に力を増したニョロボンによって蹂躙されるマンムーとマタドガス。この瞬間に限ればコライドンですらニョロボンにはかなわないだろう。しかし、ニョロボンとて反撃をまったく受けなかったわけではない。"はらだいこ"による影響を考えれば、本来倒れているはずのダメージ。

    にもかかわらず、スグリのニョロボンは余裕を残してこの場の勝利を収めた。

    「す、すごい・・・」アオイはからくりに気づいた。スグリはこの激戦の間に一瞬でニョロボンに"オボンのみ"をもたせて、その上で"はらだいこ"を使い、戦力の増強と体力の回復を図ったのである。幾度となくスグリと戦った際にも思っていたがスグリの戦略眼は見事の一言。

    ポケモンの育成に重きを置いてきたアオイはこのようなテクニカルな戦術はあまり磨いてこなかった。故に今のスグリに送る視線は親友のネモに対するそれと同種のものであった。

    ちなみに、直前まで前かがみであったスグリは祖父と祖母の全裸によって冷静さを取り戻していた。いわば全裸が生んだ勝利といっても良いだろう。

  • 47二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 13:10:33

    「そんな、じいちゃんとばあちゃんまでおかしくなっちまった・・・」
    戦いが終わってもスグリの表情は晴れない。

    「たぶん、つぎ、全裸になるの、おれだ・・・」

    「つ ぎ は お れ が 全 裸 で お か し く な っ ち  ま う ん だ あ !!」
    傷心から回復したばかりの少年の心を再び無情に揺るがす非道の椿事。アオイはスグリの心情がわからないわけではなかった。
    少年を慮っていた大切で頼れる姉がおかしくなって会話もできなくなり、見知った村人も同様に全裸になって奇行に走った挙句、最後には祖父母までが目の前で発狂して自分と友人に全裸で襲い掛かってきた・・・もはや逃れ得ない村の呪いとして心折られてもおかしくはないことである。

    しかし、アオイがスグリを見捨てるなどあろうはずもない。そんな彼女ならば今友人たちに囲まれてキタカミを訪ねてなどいない。

    「スグリ!しっかりして!全裸はおかしくない!!スグリは全裸になってもおかしくなんてならない!!」

    スグリの両頬を強く叩いての叱咤激励。そう、人間はみな全裸で生まれてきた。そのうえ、今現在も衣服の下は全裸である。現代文明がたまたま衣服を着ることをローカルマナーとして根付かせてしまっているだけで、本来全裸であることがおかしいことなどあろうはずもない。

    「スグリが全裸になる前に、わたしが全裸になる!だから負けないで!スグリ!」
    「アオイ・・・・・・・・・ごめん、弱気になってたべ・・・」

    アオイの激励によってもちこたえたスグリ。彼は実に良い友を得た。アオイたちという友は彼にとって生涯を彩る財産となるだろう。

    ロトロトロト・・・
    アオイのスマホロトムが鳴り出したのはその直後であった。

  • 48二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 13:47:48

    激励はそれでいいのか?本当にいいのか?

  • 49二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 13:51:39

    >>45

    »全裸のアーボックとシャンデラ

    そりゃポケモンは大抵全裸だろうよ!

  • 50二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 14:01:13

    >「スグリ!しっかりして!全裸はおかしくない!!スグリは全裸になってもおかしくなんてならない!!」


    なんかおかしいだろ

    その励ましが

  • 51二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 15:01:41

    ほんの少し時間を遡り、スグリとアオイがキタカミセンターに着いた頃、ぺパーとボタンは公民館の外に出てアオイたちからの連絡を待っていた。

    「遅いちゃんだな・・・スグリのねーちゃんの件もあるし、心配だぜ」
    「の、呪いとか非科学的だし?全然怖くないし?」

    「実際に目の前で起こってたんだから非科学的とは違くねえか?」
    「マジレスすんなし」

    軽口をたたき合うもののすでに周囲を取り囲むなぞの圧力に気付いている二人。油断なくお互いの死角を補うように目を動かしていく。その視線の先にあったのは、いや・・・「居た」のは、

    全裸の町人たちであった。

    数にして8人ほどだろうか・・・後続も数人いるようだが、おおむね問題となるのは先頭集団だけのようである。全裸の町人たちは2人一組に近い陣形で少しずつペパーとボタンに近づいてきている。

    「へっ、来やがった。マフィティフ、頼むぜ!」
    「野外で全裸とか羞恥心どうなってるん?ニンフィア、いくよ!」

    アーボック、マタドガス、アリアドス、ヘイガニ・・・キタカミの里に来て何度も姿を見たポケモンたちがトレーナーの指示による陣形を組んで襲い掛かってきた。
    マフィティフは戦場を力強く駆け回り、ニンフィアは狙撃手のように"ムーンフォース"でマフィティフの援護をする。

    若い女性の姿がないのはペパーにとって幸いであった。もし女体を相手取ることになったら冷静な判断はできないだろう。それこそこの状態のアオイと相対することになったとしたら・・・

    想像を膨らませたペパーはズボンの両ポケットに手を突っ込んで、己がテラスタルしているのをカモフラージュするのだった。

  • 52二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 15:21:22

    ロトロトロト・・・

    ペパーからの着信を受けたアオイたちだったが、その着信はボタンの悲鳴によって中断された。いよいよ尋常ではなくなってきた。町人が全裸で奇声を上げながら謎の踊りを踊り続けているのは地元の奇祭として理解できなくはないにしても、指折りの強者であるペパーとボタンが悲鳴をあげて通話を打ち切るなどそれこそ緊急事態である。

    もともとはネモを探しにきたアオイとスグリだが、ここは一旦スイリョクタウンへ戻ることにした。

    そもそもネモ自身がパルデア最高戦力である。ボールロックシステムなどの悪辣な手段がない限りネモをどうにかできる者などそうそういるものではないし、そんな存在がたまたま夜のキタカミにいるなど考えづらい。
    一旦ネモ捜索を中断して、コライドンの背中に乗り来た道を全速力で戻るアオイたち。

    すると、前方からヘラクロスの群れが襲撃してきた。思わず動きを止めるコライドンだったが、スグリの反応は的確かつ迅速であった。

    瞬時にニョロボンとカイリューを繰り出し瞬く間に蹴散らしていく。多少無理攻めであったため、カイリューの"ぼうふう"の余波を受けて上着がズタズタになり、上裸となったスグリ。アオイは彼がほんとうに頼もしくなったと感じると同時に、今の彼こそがスグリの本質なのだろうと確信した。

    それはつまり、もしもスグリが本質を保ったまま強くなっていたら、自分を下していてもおかしくはないということでもある。しかもスグリは着衣のまま強くなった。スグリが全裸の強さを身に着けたとしたら・・・

    思わず上着を脱ぐアオイ。その表情には戦場の高揚感が映し出されていた。

  • 53二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 20:35:11

    「ペパー!ボタン!」

    スイリョクタウンに到着したアオイたちはペパーらと合流した。細かな息切れと僅かな汗から立ち上る女子の甘い匂いはペパーのウミディグダに強烈なギガインパクトを叩き込んだが、彼はそれを表に出すようなミスはしない。

    「いや、おおごとじゃねえんだけどよ、ボタンがなんか見たって騒いで「あれはなんか居たって!ほんとに居たって!」

    無事に合流できたことに一行が胸を撫でおろしていたその時、桃沢商店の上空から声が響いてきた。

    「モモワーイww」

    紫色の毒々しい桃ような装いのなぞのポケモンが、月光を配して中空に浮かんでいたのである。驚いて目を見張るペパーたち。その反応は至極当然である。未知の状況で未知の相手と遭遇したのなら、その一挙手一投足に警戒を及ばせるのは旅の掟ともいえよう。

    しかし、謎のポケモンの策は彼らの警戒を上回った。

    月光が視界に強く入る角度とタイミングでモチを射出。しかも、その角度は視線と対角線を結んでおり距離感をつかみづらい工夫がされている。結果、ボタンとペパーはモチを口に含んでしまった。

    「それたぶんダメなやつ!!!!」

    彼らより数メートル距離が離れていた上に事前にモチが危険だとわかっていたスグリは阻止に成功し、コライドンの高速走行に慣れていたアオイは反射的な回避ができていた。

  • 54二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 20:50:12

    アオイの香りだけでギガインパクト叩き込まれてるの大丈夫かこの男
    まあペパーなら大丈夫か

  • 55二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 22:10:45

    着衣でこんなに話が進んだの初めてじゃない?いつもなら10レス以内には全裸になってるのに

  • 56二次元好きの匿名さん24/01/14(日) 08:47:51

    キビキビペパー&ボタンの描写どうなるんだ…

  • 57二次元好きの匿名さん24/01/14(日) 11:24:29

    「これ・・・モチ・・・か?」「ほのかな・・・甘味・・・?」

    モチを口に放り入れられた二人。その味の感想を言い始めたと思いきや、様子がおかしい。
    だらりとぶら下がった両腕、力なく項垂れる頭部、ゆらりと振り向く体・・・そのすべてが物語っている。

    二人は敵の手に落ちた、と。

    「キュイビ キャヴァイィイ!!」
    全力をもって両腕を打ち振りたてて威嚇するかのような渾身の舞。おとなしい印象の強い普段のボタンからは想像もできない激烈な舞踊。ひと動作ごとに衣服を脱ぎ払い、全裸への近づいていく様をアオイもスグリも止めることができなかった。

    相対する者が全裸へとなろうとしているならそれを許すほどアオイたちは愚か者ではない。アニメーションならば変身中の攻撃などご法度であるが、現実の世界では無防備をさらせば即座に命を奪われるのが常道である。

    しかし、それでもアオイは動けなかった。ボタンを敵だと思いたくなかった。ボタンの両足から下着が引き抜かれ、全裸となるその瞬間に、思わず目を閉じる。その愚行を犯さざるほどにアオイは目の前の状況を信じたくなかった。

    「ボタンさんだけなんか激しくない?」

    確かにゼイユや町人、祖父母と比べてボタンの動作は力感に満ちている。全裸ともなればその動きを妨げるものは何一つない。服を脱いだあとに背負いなおしたイーブイリュックがひょこひょこと耳をはためかせているのも印象的であった。

    一方のペパーは・・・、

    顔を真っ赤に染め、ゆっくりと上着を脱いでいるところであった。

  • 58二次元好きの匿名さん24/01/14(日) 11:33:28

    月光に照らされた長髪は銀色の光を反射して見る者の意識を幻想の世界へといざなう。

    「キ・・・・キビキビ」「あれ?ペパーくん、なんか照れてない?」

    照れもするだろう。
    なにしろペパーの羞恥心は常人と比較してかなり強い。普段は強靭極まるその精神力で押さえつけているものの、実際は今までの全裸冒険においてこの上ない羞恥を感じてきたのである。

    これまで幾度となくペパーの全裸を鑑賞してきたアオイだったが、その心中が羞恥に満ちていたとは思いもしなかった。だからこそ新鮮に感じている。羞恥心に苛まれて服を脱いでいくペパーの様子を心配しつつも一切見逃しまいと眼力をこらすアオイ。

    もはやまばたきひとつすら入り込む余地はない。もし彼女に良識がなかったら、間違いなくスマホロトムで撮影していただろう。実際、スマホロトムの録画機能を起動するところまでは手が動いていた。

    「キ・・・・キビキビ/////」

    ベストを脱ぐと高めの体温にいぶされたペパーの匂いがほのかに漂ってきた。アオイは心臓にテラバーストを打ち込まれたかのような衝撃を感じたが、まだまだ序の口である。ペパーの両手はシャツの釦をひとつひとつ外していく。その動作すべてにアオイは「もういっちょ!」と掛け声を出し気分であった。

  • 59二次元好きの匿名さん24/01/14(日) 11:42:31

    >その動作すべてにアオイは「もういっちょ!」と掛け声を出し気分であった。

    これが好きな男が全裸になろうとしてるときの反応で良いのか?

  • 60二次元好きの匿名さん24/01/14(日) 11:43:15

    シャツを脱ぎ去ったとき、ペパーの上裸がアオイの目に飛び込んできた。

    久しぶりに見るペパーの引き締まった肉体。大人の男性の気配を十分に感じさせつつも思春期の少年特有の青さも備えるアンバランスでありながら均整の取れたこのパラドックス。官能の世界にアオイを捕らえて離さないだけの威力がみなぎっている。

    スグリはといえば、眼前と奇声を上げて暴れるボタンから目を離さず警戒すると同時に深く中腰の姿勢を取り、もはやパピモッチではなくなったボーマンダの屹立を隠蔽していた。ちなみに、彼のボーマンダはときによってコモルーにもなるが、それはまた別の話。

    ペパーの両手は鮮やかな軌道を描き、己のズボンを抑えるベルトをゆったりと外していった。その様はまるで高度に完成された能の舞を見ているかのごとく。
    アオイは完成された美の片鱗を見せつけられ高ぶるばかり。ベルトから解き放たれたズボンは、先ほどまでのゆるやかな動作とは対照的にどさっと音を立てて素早く地に伏していった。

    靴下も脱ぎ去り、ペパーの両手はいよいよ最後の砦である下着にかかっていく。
    下へ下へと降りていくペパーの両手とその中の下着は、キタカミの大地を見守る鬼が山の裾野のごとく、どっしりとした重厚感をもって見る者に畏敬の念を抱かせるのであった。

  • 61二次元好きの匿名さん24/01/14(日) 11:45:47

    ペパーの全裸描写に毎度めちゃくちゃ気合い入ってるの草テラス

  • 62二次元好きの匿名さん24/01/14(日) 11:54:20

    ペパーの全裸。

    もはや手の指では足りないほどに見てきたものだが、アオイはもう幾度目になるかわからない感嘆のため息を以てその美を讃えることを忘れない。
    しかし、アオイにとっての喜劇、ペパーにとっての悲劇はさらにここからであった。追撃のような衝撃を予感したアオイはとっさに身構える。

    ペパーの両手は真円を描きながらゆっくりと自らの伏龍をめがけていく。さながら拳法のような緊迫感をもってこの場にピリピリとした空気をもたらした。ペパーの目からは意志の光を感じないが、その表情には明らかな羞恥の紅がのっている。無意識の中でも羞恥を感じ取れるほど、彼の精神は達人の領域にいるのだろう。

    先ほどまで伏龍であったペパーの正中線末端下部だが、ゆったりと羽を持ち上げた鳳凰のごとく首をもたげて星を見上げている。月を背景にしたその様を見て、アオイは次の美術の授業で描く自由画の内容を秘かに決定した。

    飛び立たんばかりの鳳凰を両手で包み込んだペパー。その途端、

    彼の両手はゆったりと上下に動き始めた。何をしているのかは全く分からないが、とにかく手が動き始めたのである。読者諸賢には重ねて申し訳ないが、何をしているのかは皆目見当もつかない。

    「キ・・・キビキビ!///」「うおおおおおおおお キュイビ キャヴァィイイイ!!!」

    親友たちが、戦友たちが、仲間たちが、敵となって襲い掛かってきた。

  • 63二次元好きの匿名さん24/01/14(日) 12:07:04

    あの慎み深いペパーに皆目見当もつかない行為をさせるとか許せねえぜモモワロウ

  • 64二次元好きの匿名さん24/01/14(日) 13:32:43

    ハッサク先生を困らせるな

  • 65二次元好きの匿名さん24/01/14(日) 13:35:49

    それはまた別の話すき

  • 66二次元好きの匿名さん24/01/14(日) 13:47:01

    ペパーもボタンもともにパルデア屈指の達人である。
    その二人が全裸になって自らの前に立ちはだかっている。衣服を脱ぎ去ったことによる肌感覚の精度向上を考慮すれば、反応速度や機動力が大幅に上昇していることに疑いの余地はない。

    しかも、ペパーに至ってはアオイの知らない儀式によって全身の力感を増幅させている。

    アオイは自身も全裸にならなければこの場で狩られるのは自分の方であることを深く自覚した。目線でスグリに合図を出す。スグリの方もその意図は理解できたが、彼は全裸による戦力向上の業を会得していない。それどころか、屹立したボーマンダに行動を阻害されるおそれすらある。この場での脱衣は避けるべきだと判断した。

    アオイは瞬時に全裸となって改めてペパー、ボタンと相対する。しかし、目の前の光景には違和感を覚えずにはいられなかった。そこにいたのは、ペパーのヨクバリス一体のみ。ボタンの相棒はどこにいったのか。

    それこそがボタンの開発したZ技「ハダカガクシ」である。闇夜の中で自身の白い肌を見せるつけることでコントラストを強め、黒い体色のポケモンの姿を見えなくする巧妙な技。戦闘に直接関与するタイプのネモとは違う全裸技はキタカミの月光をうけてより一層真価を発揮していた。

    「スグリ!ブラッキーがどこかにいる!」「わやじゃ!」

    捕捉さえできればニョロボンが相性有利を取れる。命がけのかくれんぼの始まりである。
    アオイのマスカーニャも援護に入りたいところだったが、ペパーのヨクバリスを放置するわけにはいかない。アオイはエリアゼロに入る前、ペパーの一戦でその強さを体の芯にまで叩き込まれている。油断などできようはずもない。

  • 67二次元好きの匿名さん24/01/14(日) 13:51:59

    アオイが脱いだらペパー強化されそう(小並感)

  • 68二次元好きの匿名さん24/01/14(日) 13:52:38

    「にゃおちゃん!無理攻めしないで!距離を取りながらギガドレイン!」

    普段はそのスピードを活かして物理技を叩き込む戦法を取るマスカーニャだが、今回は状況の異常性が際立っているため、情報を集めることを優先したアオイ。その判断が間違っているとは言えない。だが、時には無理を押してでも事態を収めたほうがいいこともある。

    マスカーニャは足を止めての遠距離技を使ってしまった。無敵の武器であるその俊足を置いてしまったのである。

    「うおおおおおおお キャヴァイイ!!」

    奇声を上げるボタンを慮る余裕はない。改めて集中しなおすアオイとスグリだが、その奇声すらもボタンの戦略の一部と化していた。姿が見えないブラッキーの行方を探るには足音しかないが、その足音を奇声を覆い隠してしまっている。

    結果、マスカーニャへの奇襲の成功を許してしまった。

  • 69二次元好きの匿名さん24/01/14(日) 14:01:22

    最も頼れる相棒のマスカーニャが大ダメージを負った。

    だが、そこで心折られる二人ではない。瀕死になる前に瞬時にポケモンを入れ替え、コライドンの圧倒的なパワーによって戦況をひっくり返す。

    スグリはニョロボンに隙を見せるように指示していた。目の前の相手は明らかに正気を失っている。普通なら引っかからないような釣りにも引っかかる可能性がある。

    スグリの読みは的中した。真正面に明確な隙を見せた途端、ブラッキーは最短距離でニョロボンめがけて突っ込んできたのである。捉えることができれば、ニョロボンは負けない。

    撃破されるブラッキーだったが、ボタンのフィールド利用型全裸はまだ終わっていない。
    ブラッキーと代わる形で繰り出されたのはニンフィアであった。対照的に月光を受けて眩く光っている。ニンフィアは"ムーンフォース"を使うボタンの相棒である。今まで幾度となく冒険の窮地を救ってきた頼れる相棒。

    今この場ではキタカミの大地を照らす月光を浴びてその意力を高ぶらせている。そこにボタンは白い肌で受けた月光を見せてムーンフォースを強化する作戦を取ったのである。

    かくとうタイプのニョロボンはひとたまりもない。結局このニンフィアを撃破し、そしてペパーのマフィティフを追い詰めるまでに、アオイもスグリも相棒たちをかなり消耗してしまった。

  • 70二次元好きの匿名さん24/01/14(日) 14:06:05

    戦いが佳境に入るにつれ、ペパーの手の動きは激しくなっていった。

    アオイはなぜか視線を奪われてしまっている。その儀式がナニを意味するのか、まったく分からないが、それでもアオイは確かな興奮が自分の身を震わせていることを自覚していた。

    そのとき、アオイは自身の性癖に大きな変化があったのを感じ取った。

    ペパーを見る目にこもっていく力。頭部に上ってくる血潮。じっとりと汗をかいて握りしめられている手のひら。叫びだしたい衝動がアオイの全身を駆け巡っている。
    刹那、ぽたりと地面を濡らす液体があった。
    それはアオイの顔から落ちたものであった。その正体は、

    鼻血である。

  • 71二次元好きの匿名さん24/01/14(日) 14:07:51

    こ れ は ひ ど い 

  • 72二次元好きの匿名さん24/01/14(日) 14:09:06

    アオイの性癖が歪んだ…
    まったくナニをしているのか皆目見当もつかないですね

  • 73二次元好きの匿名さん24/01/14(日) 14:13:49

    愛する主人が血を流した。

    この事実は彼女の相棒たちを強く揺るがす。
    今までも冒険のさなかで大小さまざまな傷を負うことはあったし、血を流すこともなかったわけではない。ただ、それは冒険の勲章とでも言えるものである。

    今回の「これ」は明らかに違う。今回は主人は戦いに来たわけではない。今回は友人に会いに来ただけ、観光に来ただけ。

    主人の平穏を汚し、血を流させた悪敵を許すまいとする気概がモンスターボールから滲み出し、すでに致命傷を受けていたマスカーニャに再度出撃する力を与える。むろん、ペパーもマフィティフも悪くはない。だからこそ、最大威力をもって今は眠ってほしい。

    渾身の"じゃれつく"がマフィティフの意識を刈り取る。

    そして、マスカーニャは中空に佇んでいた謎のポケモンを睨みつけ・・・ようとしたが、件のポケモンはこそこそと逃げ出していたのである。

    「わや!逃げ出してるべ!!許さねえ!!」

    スグリとともに謎のポケモンを追うアオイだったが、いま少しばかりペパーの儀式を見ていたかった気持ちを否定できずに居た。そして、ペパーが正気に戻ったらネモやボタンと一緒に公民館の寝室で披露してもらおうと決心するのであった。

  • 74二次元好きの匿名さん24/01/14(日) 14:33:27

    やめてあげて

  • 75二次元好きの匿名さん24/01/14(日) 14:49:10

    なんだかんだテラバーストを誰かに見られたことはないのか

  • 76二次元好きの匿名さん24/01/14(日) 18:57:58

    アップルヒルズを駆け抜けていくスグリとアオイ。スグリはいまだ着衣だが、アオイの方はすでに全裸となって周囲の警戒を強めている。

    リンゴの甘く爽やかな香りが漂う果樹園の中、木々の裏から襲い掛かるアーボやクルマユたちだが、いまのアオイはもはやその程度の戦力で揺さぶれる全裸ではない。

    もし今、アオイをどうにかできる全裸がいるとしたらそれは・・・、

    「ネモ!」

    ただ独りのみ。

  • 77二次元好きの匿名さん24/01/14(日) 19:02:31

    ともっこプラザのともっこ像。

    スグリの渾身の一拳が効いたのかどうかはわからないが、いまはバラバラに崩れているその像の前にネモは立っていた。そして彼女の背後からスグリは声をかける。

    「ネモさん!探したべ!」「いや・・・スグリ、待って・・・・」

    すぐに声をかけたスグリとは対照的にアオイは冷静であった。目の前にいるのは間違いなくネモである。自然体でありながら溌剌とした気力を感じさせるその立ち姿、神々しさすらまとった後姿は間違いなくネモのそれだろう。しかしアオイは近づかない。スグリにも近づけさせない。

    「スグリ・・・よく見て。今のネモ・・・・・・全裸だよ!」

  • 78二次元好きの匿名さん24/01/14(日) 19:03:56

    お前も全裸やアオイ

  • 79二次元好きの匿名さん24/01/14(日) 19:07:12

    「 キ ビ キ ビ ー ! 」

    「そうだよね!?」


    最悪の事態である。


    スグリはすでにネモに大敗を喫している。両者の力関係はすでに決しており、ネモの戦力の高さはもはや揺るがない。そしてそれは、アオイにとっても同じことであった。


    チャンピオンマッチでこそ勝利を得ることができたネモとの勝負だが、その後の戦績は一進一退で互いに譲らぬ状況である・・・いや、正確には互いに譲らぬ状況"であった"。


    しばらく前、アオイは森の中で全裸のナンジャモと遭遇したことがあった。そのとき重ねて遭遇したネモはさらなる力を求めて全裸技という新たな境地を切り開いていたのである。


    *ナンジャモ編はこちら

    閲覧注意 エリアゼロが全裸必須地帯だったら ナンジャモ不審者遭遇編|あにまん掲示板ハロー、あにまん民前回書いたssが少々物騒な話だったから今回は平和にいきたいスレ絵は前スレで絵師さんが描いてくれたヤツbbs.animanch.com
  • 80二次元好きの匿名さん24/01/14(日) 19:14:30

    全裸技を生み出したネモに倣って、アオイも全裸の強さというものを見つけたが、それでもやはり先んじたネモには一歩及ばない。アオイはあのときからネモとの勝負に勝てたことがなかった。もちろん惨敗したこともない。いつもあと一歩のところまで追い込むことができており、その肌を焼く緊迫感は両者の心を満たしてくれていた。

    「ポケモン勝負は勝っても負けても楽しいよね!」他ならぬネモの言である。

    しかし今回ばかりは敗北が許されない。
    今日この場での敗北はすなわち自分たちも洗脳の虜となってキタカミの里が謎のポケモンの手に陥落することを意味する。正しい意味で命がけの戦いなのである。

    アオイは今まで勝負を軽んじたことなどない。
    それでも今のアオイが感じているプレッシャーは、エリアゼロの奥底で対峙したオーリムAIとの闘いのときに感じたそれと同等のものであった。

    愛しい親友。頼れる先達。チャンピオンの片翼。褐色の全裸。

    ネモを形容する言葉はいくらでもある。だが、今回ばかりは彼女のことをこう呼ばざるを得ない。


    " 最 強 の 敵 "と。

  • 81二次元好きの匿名さん24/01/14(日) 19:21:40

    くそ・・・まっとうにカッコいい展開なのが笑うわw

  • 82二次元好きの匿名さん24/01/14(日) 19:46:56

    アオイのむき出しの白い背中に緊張の汗が走る。

    「キビキビ勝負ー!!」
    「あれ?ちょっと意識残ってない?」

    スグリの推察通り、ネモの意識は若干ながら残っているようであった。しかしこの事実はアオイたちにとっては不利に働く。アオイたちがペパーやボタンを下すことができたのは、彼女らの高い実力によるものが大きいが操られていた者たちの挙動が普段とは違い全力を出し切れていなかったことも確かな要因として挙げられる。

    しかし、今回のネモは明らかにペパーやボタンにはなかった思考力が残っているようである。これはつまり、ネモの思考力や作戦立案能力はそのままに、敵意だけが自分たちに向いているということである。凡ミスを狙った"待ち"の戦略を取ることができないだろう。

    歯がみしつつもアオイは絶望しているわけではない。ここにはスグリもいるのである。本人はネモの実力に驚愕し、勝てないと断じているようだが、二対一なら勝機は倍。いくらネモといえどひとたまりもないはず。

    しかし、全裸の神はアオイたちには微笑まなかった。
    アオイとスグリの鼻腔にふと漂ってきたフルーツの香り。それはこのアップルヒルズ特産のリンゴの香りではなく・・・、


     栗 の 花 の 香 り で あ っ た 。

  • 83二次元好きの匿名さん24/01/14(日) 19:47:54

    普段は勝利確定演出の栗の花が!

  • 84二次元好きの匿名さん24/01/14(日) 19:50:13

    展開わかってるし設定頭おかしいのに文体の教養と表現力で読ませてくるのズルい

  • 85二次元好きの匿名さん24/01/14(日) 20:25:56

    描きたいシーンが多すぎる

  • 86二次元好きの匿名さん24/01/14(日) 20:36:14

    >>85

    絵 面 が ひ っ で え 

  • 87二次元好きの匿名さん24/01/14(日) 20:51:00

    >>85

    流血って初めてでは!?

  • 88二次元好きの匿名さん24/01/14(日) 21:01:09

    最強の敵

  • 89二次元好きの匿名さん24/01/14(日) 21:01:56

    このレスは削除されています

  • 90二次元好きの匿名さん24/01/14(日) 21:07:15

    端から見たら完全に武装解除してるけど、アオイちゃんからしたら戦慄ものなんだろうなぁ

  • 91二次元好きの匿名さん24/01/14(日) 23:17:53

    アオイに血を流させるなんて、許せねえぜ!

  • 92二次元好きの匿名さん24/01/14(日) 23:23:24

    大丈夫そうな気もするし今更だけどセンシティブな絵を投げる時はtelegraphとかでワンクッションした方がよくない?万一スレも支援絵も消えたら悲しいのだ

  • 93二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 06:33:06
  • 94二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 07:05:34

    ボタンが戦闘タイプじゃない全裸技編み出してるの好き
    なら戦闘タイプのネモはいったいどれだけ……!?
    いや、全裸技ってなんだよ!

  • 95二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 09:15:35

    「あ・・・ああ・・・・」

    そこにいたのはアオイの親友たちであり、スグリの新しい友人たち。パルデアの大地を駆け巡りその実力を研ぎ澄ました達人、ペパーとボタンであった。しかもその背後には多数の町人たちの姿もある。みな一様に全裸となって奇声を上げながらともっこプラザに押しよせていた。

    「ねーちゃんまで・・・!」

    町人たちの群れに紛れたゼイユの姿を見止めるスグリ。彼女は昼間とは変わって町人たちのように全裸になっていた。それはつまりゼイユもまた戦闘態勢であることを意味する。

    「キビキビ勝負ー!!」「キビキビ!!」「キュイビ キャヴァイイ!!」

    前門の虎後門の狼ということわざがあるが、今のこの状況はいうなれば前門の全裸後門の全裸と言えるだろう。

    「ネモさん相手じゃおれは足手まといだ・・・後ろは・・・・、おれが止める!その間にネモさんを!」

    もはやあの頃の引っ込み思案な少年はいない。追いかけて追いかけて息を切らしていたあのオリエンテーリングのあのとき。追い抜こうと足掻き苦しんだブルーベリー学園でのあのとき。ともに並び立ってテラパゴスの暴走を止めたあのとき。

    それらはすべてスグリの心の弱い部分が運悪く発露した結果であった。しかし、今このとき、

    「背中は任せたよ!相棒!」

    少年ははじめて同格となったのである。

  • 96二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 09:22:57

    「キビキビ勝負ー!!」

    絵面こそコミカルな印象を受けるものの、アオイは微塵も油断していない。いや、油断などできない。一瞬の気の緩みでこちらの命運を断ってくる、そういう実力者と相対しているのだから。

    「キビキビー!!」

    僅かな丘風が砂埃を巻き上げて刹那にも満たない一瞬だけアオイの視界を遮った。その間隙を突いてネモは一気に体勢を沈み込ませる。同時にルガルガンを展開し自らの体を踏み台にさせて高速射出した。

    むき出しの肌は摩擦力を高めルガルガンの素早さを向上させる。投擲が苦手というネモの弱点を補いかつあまりある全裸技である。

    「速い!くっ、にゃおちゃん!」アオイも負けじとマスカーニャを繰り出して応戦するが、ルガルガンの"ステルスロック"を許してしまった。
    普段のスピードならマスカーニャはルガルガンに負けない。ルガルガンの先手の可否を分けたのはネモの全裸である。

  • 97二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 10:36:49

    結果として、マスカーニャの"トリックフラワー"はルガルガンを一撃で食い止めた。これ以上ネモに有利な場を形成させるわけにはいかないとして、至近距離まで詰めての一撃確殺である。

    だが、その直後に現れた次鋒がアオイとマスカーニャの度肝を抜く。
    「ええっ!!?」

    ネモが今までアオイとの戦いで見せなかったポケモン、アブリボンである。
    それも俊足を誇るアオイのマスカーニャよりも僅かに速い。至近距離まで詰めていたことが逆に災いし、四倍弱点のむし技"むしのさざめき"をかわすことができなった。

    気力によってなんとか食い下がるマスカーニャだったが、すでに反撃の余力はない。マスカーニャはこの後の大将戦であろうウェーニバルを相手取らなくてはならない。マスカーニャを一旦交代して回復を行うことにしたアオイ。

    「びっくりしたけど相手はむしタイプ!ここはほのおタイプのファイアローで!ヤヤ君!よろしく!」

    コサジの小道からの古参メンバーであるファイアローのヤヤがアブリボンと対峙した。マスカーニャ以上の高速を以て"ブレイブバード"を叩き込むや、アブリボンは撃沈。だが、その直後に現れたパーモットの"でんこうそうげき"によって倒されてしまった。

  • 98二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 10:51:46

    そのパーモットもかつてカラフシティで交換した原種ヌオーのマサオが倒した。

    ここまで一進一退ながらアオイがわずかにリードといったところか。だが着実に追い詰められていることもまた事実。ネモのヌメルゴンはヌオーのマサオを撃破し続くゲンガーのちみちゃんまでもが倒されてしまった。すんでのところでヌメルゴンをみちづれにしたゲンガーだったが、勝負としてはネモが優勢の形となっていた。

    形勢はすでに逆転にしている。

    アオイが繰り出したのはチルタリス。コライドンとともにアオイの空中戦を支えてきた空の猛者である。それに対しネモが繰り出したのは、これまた新手のポケモン。

    キタカミ原産のドラゴンタイプ、ジャラランガであった。

    タイプとしてはチルタリスが若干有利かもしれないが、地力の差を埋められるかは怪しいところ。しかも相手はネモである。そう簡単に勝負が運ぶわけもなく。

    「キビキビー!!あ は は は は は は !!!!」

    今度は全裸組体操のように踏み台となってジャララガンを空中へと大きく跳ばせたネモ。チルタリスはかくとうタイプに上を取られるという初めての事態に遭遇することになった。

  • 99二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 11:03:08

    かたや高耐久のドラゴン・ジャラランガ、かたや搦め手のドラゴン・チルタリス。

    両者渾身の一撃を叩き込む。

    勝負としてはチルタリスのブレイブバードが迎撃に成功した形だが、ジャラランガの攻撃の余波と自らの攻撃の反動を受けてチルタリスは戦闘続行不能を余儀なくされた。

    どの戦いでも最初にバラまかれた"ステルスロック"が効いている。もしオモダカが相手だったらここに更にどくびしとまきびしもまき散らしてくるだろうと考えると、裸の背筋が凍る思いのアオイであったが、とにもかくにも最後の一体。

    久方ぶりのウェーニバル対マスカーニャである。

    といっても、タイプ相性の上からマスカーニャの勝利は決まったようなもの。問題はこのあとの謎のポケモン自身の戦いを想定してどこまでネモ相手に温存できるかという勝負である。回復はしたものの、マスカーニャの体力は全快してはいない。テラスタルを切らずに開幕からトリックフラワーで沈めようというのがアオイの作戦であった。しかし、ネモのテラスタルを見てアオイはその作戦が瓦解したことを悟る。

    「か、かくとうテラス・・・っ!!?」

    マスカーニャは初めて追われる立場となった。

  • 100二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 12:00:49

    全裸って色んなことができんだな……

  • 101二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 15:37:06

    致命の一撃

    いつの世も油断は強者の病ともされ、数多のつわものたちの命を奪ってきた。
    この日アオイはいつになく好調な戦いぶりに、それもネモを相手に取っての奮戦ぶりに油断してしまったのかもしれない。

    傍目からはとても油断とは言えない僅かなゆらぎ。
    満杯のプールに一滴のワインをこぼして全裸を一度浸した程度の僅かな慢心が、いまアオイの喉元にナイフを突きつけていた。

    テラスタルは間に合わない。"トリックフラワー"では威力が足りない。"じゃれつく"でなんとか迎撃するしかない。しかしウェーニバルはマスカーニャの起死回生の反撃を難なく躱し、全裸のインファイトを叩き込む。

    崩れゆくマスカーニャ

    その背後で


    鬼が構えていた。

  • 102二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 15:54:19

    炎の"つたこんぼう"がウェーニバルを打ち据える。
    テラスタルしていなければ、水テラスであれば、なにか服を着ていれば・・・
    たらればの話はいくらでもできる。しかし、今この場で言わねばならないことは、オーガポンの勝利、その一言のみである。

    アオイの勝利とは言えないだろう。アオイはオーガポンに指示を出していなかった。オーガポン自身の判断である。それでも命がけのこの一面での活躍。ネモも満足げな顔をしている。解放されたわけではないようだが、これでいよいよ謎のポケモン"モモワロウ"との戦いを始めることができる。

    アオイがネモと激戦を繰り広げている最中、スグリはペパー・ボタンを含むスイリョクタウンの面々を相手に八面六臂の戦いぶりを見せていた。
    アオイもスター団との戦いで一体多数の経験を積んだが、これほどのレベルではなかったし、また数もこれほどではなかった。栗の花の香りが漂うこの丘の上でスグリは焦りを感じている。

    「わやじゃ・・・・ジリ貧だべ・・・!」その理由はわかっている。多数を相手にしているため、横やりを躱し切れていないためであった。ペパーとボタンという高度な戦力を一人で受け止めつつ、町人たちの様々な横やりをさばく・・・とても簡単なこととは言えない。

    今必要なのは、索敵精度の向上。
    それを得るために必要なことはすでに分かっていた。わかっていたが、羞恥心と下半身のアラブルタケがそれを許しはしなかった。しかしそれもここまで。

    「 お れ も  全 裸 だ べ !! 」

    少年はいま、新たな一歩を踏み出した。

  • 103二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 16:21:45

    鬼さまキター‼

  • 104二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 17:24:06

    この場で着衣なのってオーガポンだけだよな……

  • 105二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 20:26:48

    くそ、FAしたいのに戦闘シーン描けねえ!
    誰かこの戦いを視覚化してくれ!

  • 106二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 20:41:10
  • 107二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 20:42:46

    熱い展開だが全裸だしポケモンはもともと全裸だ

  • 108二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 21:21:04
  • 109二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 22:01:46

    >>106

    全裸じゃない方がおかしいだろ!

  • 110二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 22:03:24

    >>108

    何がとは言わないが、バッキバキなんだろうなあ

  • 111二次元好きの匿名さん24/01/16(火) 06:59:31

    満杯のプールに一滴のワインをこぼして全裸を一度浸した程度の僅かな慢心…?

  • 112二次元好きの匿名さん24/01/16(火) 08:40:54

    ツッコミ追い付いてないけど、毎回小粋なジョーク挟んでくるよね

  • 113二次元好きの匿名さん24/01/16(火) 09:32:46

    細かいネタにも逐一ツッコミ入れたいけどこの名文投下の邪魔はしたくない
    心が2つある〜

  • 114二次元好きの匿名さん24/01/16(火) 09:37:37

    ペパーは恥じらいならも「キビキビ!」とつぶやいている。その両手はすでに下半身のウミディグダを激しく刺激していた。
    すでに一度はテラバーストを放った後なのか、その表情には爽やかさが宿っている。

    スグリはペパーのその儀式にこそ新たなステージへのカギが眠っていると考えて、自らも下半身のボーマンダを鼓舞しはじめる。なかなか思うようにいかないが、徐々にこなれて戦闘時の体温上昇の一助とすることができた。

    数の不利を考慮すれば、そう長くはもたないだろう。しかし、いまスグリは一種のゾーンに入ったといえる。賢者のような穏やかな目をして押し寄せる敵を見つめるスグリ。彼はいま全身に栗の花の香りをまとっている。

    敵が多勢であることも当然ながら、姉ゼイユの存在はスグリを苦しめていた。
    肉親の全裸で昂るようなフィチシズムをもたない彼にとって、ゼイユの全裸は「萎え」そのものである。しかもモルペコはまひによる戦力削減を、ヤバソチャは回復によって継戦能力の向上を図ってくる。ゼイユは本人の印象とは裏腹に優れたサポーターであった。

    テラバースト直後の精神力向上を、スグリは賢者化と名付けたが、一度の賢者化で乗り切れるような難局ではない。複数回のテラバーストを継続することによって更なる戦力向上を図るスグリ。負けじとペパー。

    ともっこプラザは飛び交うテラバーストによって、より一層濃密な栗の花の香りを漂わせるのだった。

    そして、事態は最終局面。アオイのオーガポンと謎のポケモン・モモワロウの一騎打ちである。

  • 115二次元好きの匿名さん24/01/16(火) 10:04:06

    「 が" お" ぼ" う" っ" ・・・・!!!」

    「 モ モ ワ ロ ウ !!」

    長年の因縁を超えて対峙した二体のポケモン。
    その鳴き声には明らかな意志の力が宿っていた。温厚なオーガポンが声を濁らすほどのほとばしる殺気。こんぼうを握りしめるその小さな手には、見たこともない血管が浮き出ていた。アオイは味方ながらオーガポンの怒気に驚く。

    そして、同時に直感する。"このポケモンこそが、オーガポンの主人の仇"なのだと。

    だが、それにしては合点がいかないことがひとつ。それはモモワロウの鳴き声である。
    そこにはどこか物悲しいニュアンスが含まれていることをアオイは見逃さなかった。

    まるで迷子になった幼子のような・・・

    ぶんぶんと、かぶりを振って雑念を払うアオイ。いよいよ最後の戦いだろう。ここで敗れればすべてが水の泡。意力を昂らせるアオイとオーガポンに襲い掛かる"じゃどくのくさり"。刹那、アオイの脳裏に浮かぶ、ある感覚。それは・・・、


    非力さ、であった。

  • 116二次元好きの匿名さん24/01/16(火) 10:40:13

    モモワロウとぽにおが戦ってるところで、ぺパーとスグリはテラバーストし合ってるのか(困惑)
    しかも意識ないとはいえ姉の目の前で・・・

  • 117二次元好きの匿名さん24/01/16(火) 17:08:12

    支配を旨とし暗躍を主戦場とするモモワロウ、直接対決の場に引きずり出された時点ですでに勝敗は決していたといえる。オーガポンは圧倒的不利の中でも勝利をもぎ取る暴威の化身。その怒りを一身に受けたとあれば、結末は・・・。

    "つたこんぼう"の一撃決殺である。

    「も、もう限界だべ・・・///今だ!そいつをボールに閉じ込めて!」両頬に真っ赤な紅を浮かべて息を荒らげるスグリ。その向かい側には同じくペパーが片膝をついている。

    アオイの投げたボールはまっすぐにモモワロウを捕え、三度の揺れの後捕獲の成功をつげる「かちっ」という音が小気味よく響いた。

    その直後鳴り響く老若男女の悲鳴。
    それもそのはず、いつの間にか全裸で野外に居た上に異性もいる場で踊り狂っていたのだからその羞恥は推して知るべし。

    てんやわんやの事態を見守るスグリとアオイ。ペパーとボタンも意識を取り戻してアオイたちを労った。ネモはいえば、夢の中でふわふわとした気分であったという。全裸でただひたすらに激怒しているゼイユをつれてスイリョクタウンへと戻っていく一行。

    ペパーとスグリ。
    二人の間には確かな絆が生まれていたし、二人の下半身には雄々しいボーマンダがけだるげなディグダへと姿を変えて佇んでいた。

  • 118二次元好きの匿名さん24/01/16(火) 17:19:52

    モモワロウの赤ちゃん要素を見抜くアオイの慧眼好き

  • 119二次元好きの匿名さん24/01/16(火) 18:08:59

    その日の晩、スグリとゼイユとは彼らの実家で別れて公民館へと戻った一行。

    思いもよらないトラブルに見舞われたが、終わって見れば実に楽しいイベントだったとそれぞれが感じていた。思い起こせばゼイユの奇妙な踊りから始まったこの騒乱節・・・

    「あれ?最初のときのゼイユは服着てたけど、その次に会った人たちはもう全裸だった・・・おかしいな?」ふと頭によぎった疑問を口にするアオイ。ネモやボタンの反応を待たずに一人でそのまま答えにたどり着いていく。

    「あーーっ!!もしかしてネモ!操られるとき!全裸になったでしょ!それで全裸になったら強くなるって誤解されちゃったんだよ!服を脱いだら強くなるなんてネモくらいなんだからね!」
    「あちゃ~バレちゃったか!」
    「マジネモいw」

    「「「 あ は は は は は は は !!!! 」」」



    「さて、ペパー。あのときの不思議な動き、また見せてほしいんだけど」

  • 120二次元好きの匿名さん24/01/16(火) 18:16:05

    やめてくださいペパーの尊厳が死んでしまいます

  • 121二次元好きの匿名さん24/01/16(火) 18:27:59

    本人に記憶はないから…
    記憶は…ないから…

  • 122二次元好きの匿名さん24/01/16(火) 18:49:45

    裸になると強くなる→……う、うん
    テラバーストして賢者化すると強くなる→ううん!?

  • 123二次元好きの匿名さん24/01/16(火) 19:22:07

    「へっ?」
    「だから。あれ。こういうやつ」

    アオイはそういって下半身のありもしないボーマンダを撫であげるような動作をした。実感がないどころか実物すらないため、その動作はどこかおぼつかない印象を与えるが、そのたどたどしさがむしろペパーの獣性にギガインパクトを叩き込んでいることに、ネモもボタンも気づいていない。もちろん当のアオイも気づいてはいない。

    「いや、でもよ、それは////・・・服だって着てるし・・・///」
    「あっ、じゃあ服脱いでもらって・・・私もぬごっか?ふこーへーだもんね。」

    ペパーに思考の余裕を与えずたたみかけていくアオイ。すでに二人のペースはアオイが握っている。ペパーは尻に敷かれるタイプなのかもしれない。二人のようすをほほえましく見守るネモとボタンはともにすでに全裸になっていた。

  • 124二次元好きの匿名さん24/01/16(火) 19:23:07

    駄目だこいつら全裸に対するハードルが地に落ちている

  • 125二次元好きの匿名さん24/01/16(火) 20:08:16

    同時刻、スグリが疲れて早めに自室に戻ったあと、ゼイユは一人で公民館へと向かっていた。
    自意識を奪われてから長かったゼイユにはアオイとの再会も3人との初対面もすべてともっこプラザでの全裸対面となってしまったが。それをよしとする彼女ではない。

    (私が急に現れたらびっくりするわよね)

    彼女なりの歓迎の意味をこめたサプライズといったところであろう。きちんとお菓子とジュースを持参しているところ、彼女のやさしさが表れている。スグリにも声をかけたが体力の限界らしく今日はおとなしく寝るとのことであった。

    (男子が一人いたわね。浮いた話とか無いのかしら。いろいろ聞きださなくっちゃ!)
    ウキウキとした気分。なかばスキップ気味に夜道を急ぐゼイユ。軽やかな彼女の足取りをリンゴ畑の爽やかな風が後押しする。

    「 わ た し が 来 た わ よ !!」びたんっとノックも無しに扉を開けるゼイユ。彼女が見たものは、

    全裸の女子たちと、全裸で自らの股間をまさぐるペパーの姿だった。


    「 浮 い た 話 っ て い う か!!
    も う コ レ た だ れ た 話 じゃ な い!!」

  • 126二次元好きの匿名さん24/01/16(火) 21:19:52

    モモワロウ撃破で終わらないのかよ!ペパーどうなっちゃうんだ!

  • 127二次元好きの匿名さん24/01/16(火) 22:55:00

    スグリくんはいっぱい出したから疲れちゃったね♡
    (多分)初めてなのにがんばったね♡

  • 128二次元好きの匿名さん24/01/17(水) 07:37:43

    ゼイユのギャグ適性が高すぎるw

  • 129二次元好きの匿名さん24/01/17(水) 11:24:59

    「なにやってんのよ、アンタたち!?」
    「なにって・・・なんだろ、全裸?」

    「全裸は状態であって行動じゃないでしょ!?」
    「たしかに、盲点ちゃんだったぜ・・・・」

    「恥ずかしいとかないの!?」
    「俺は恥ずかしい」「まあハズくないこともない?」「ぜんぜん!」「それよりペパー早く」

    ゼイユは息が切れるほどに突っ込みを繰り返したが、柳に風、暖簾に腕押し、全裸に説教とはまさにこのこと。結局はあきらめてこの状況を受け入れるしかなかった。

    「はあ・・・わかったわよ、もうこの際納得するわ。パルデアって進んでるのね」
    「いや、パルデアに誤解しないでほしいちゃんだ。」

    ゼイユも交えて、改めてペパーのテラバースト鑑賞会が始まったが、実際には継続する雰囲気ではなくなってしまった。アオイはどうにか続きをしてもらおうとあの手この手で策を立てるが、そのどれもがうまくいくことはなく。

    ペパーは意外にも恥辱よりも別の感覚が心を満たしていることに気がついた。気心の知れた仲間たちからの視線を受けることは、親の愛情を受けた記憶の薄い彼にとって大きな意味をもつ。恥ずかしいはずのこの状況もどこか心温まるコメディチックな状況として受け取られたのであった。

  • 130二次元好きの匿名さん24/01/17(水) 11:38:38

    翌日、改めて服を着てキタカミ観光を始めるペパーら一行。案内役としてスグリは大いに精を出した。もちろん「精を出す」に慣用句として以外の他意はない。

    アオイはスグリの案内を受けて一つの可能性へとたどり着く。

    「ネモ・・・もしかしてキタカミに来てからポケモン捕まえて私との勝負までに鍛えたの?あれで初披露パーティーだったの?」

    アオイの問いにネモはにやっと笑って答えない。茶目っ気をもって親友をからかうネモだったが、その背後でボタンとペパーは素直にドン引きしていた。と、同時にスグリに対しても「大丈夫?ドン引きしとく?」と声をかけるのだった。

    鬼が山を中心としておおむね一周したといったところか、ペパーもボタンも友人との旅行を存分に楽しんでいたが、ネモはそこに足してさらに昂っていた。キタカミの野生ポケモンたちのレベルの高さが彼女の闘争心に火をつけたのである。

    アオイですら笑うしかない圧倒的な闘争意欲。
    スグリとアオイはネモを満足させるべく、全力を以て相手する。途中、遅れて合流してきたゼイユも巻き込まれそれぞれ十戦以上勝負することになるのであった。

  • 131二次元好きの匿名さん24/01/17(水) 12:03:15

    ゆったりとしたキタカミの時間も永久ではない。

    数日間の滞在の後、アオイたちも帰る日がやってきた。ゼイユはもう少し長く滞在してはどうかと提案するが。何事も頃合いというものがあることを彼女自身もよく分かっていた。

    いよいよ別れの挨拶という段になってスグリは訥々と語り始める。
    休学している間、悩みに悩んで自分の心の中へと手を差し入れた少年。何も得られなかったと嘆いたこともあったが、それでも彼の手に握りしめられていたのは、冒険をともにした仲間たちであった。誰を一番と決めることなどできるはずもない。

    彼はもう特別を求めていない。

    だからこそ、なのかもしれない。スグリはあれほど憧れたオーガポンの背中を守り、多勢に無勢を戦い抜いたし、服も脱いだ。もうあの頃の臆病な少年もいなければ、不安定な暴君もいない。ここにいるのは、青年へと変わろうとする純粋なトレーナーである。

  • 132二次元好きの匿名さん24/01/17(水) 13:20:54

    パルデアへと帰るバスの中、一同はどこかふわふわとした充実感に浸りながら窓の外の景色を眺めていた。友人がもたらしてくれた新しい出会い、広がっていく世界を前に心が躍るのを感じるペパーたち。

    気の置けない友人たちの旅行を心の底から楽しんで、スター団との交流を秘かにもくろむボタン

    風土の異なる大地を知って、己が料理の道をさらに邁進しようと決意するペパー

    もとめる武の片鱗をつかみ、更なる強さへのステージを上るネモ

    思い人の全裸をどうにかしてもう一度見たいアオイ

    それぞれが心のうちに温かい思いを秘めている。その心は嘘偽りなく、また飾り立てもない純粋な全裸の心。全裸こそ冒険であり、全裸こそ人生なのかもしれない。
    少年少女の旅はまだまだ続く。人生という旅に終わりは来ないのだから。

    ・                     ~完~



    しばらくして久方ぶりにブルーベリー学園へと戻ったスグリとゼイユ。部室は変わらず彼らを迎えてくれた。アカマツは同級生のスグリがやってきたことをシンプルに喜び、カキツバタはにやにやとしていたが、やはり復学を喜んでくれた。ネリネとタロはこの場にいなかったが、同じように喜んでくれるだろう。スグリはほっと胸を撫でおろす。

    その直後、部室の扉が開いた。と、同時に元気よく響く少女の声。

    「スグリ!ゼイユ!来たよ!ヤろう!」

    そこには、溌剌としたネモの姿があった。

    ~完?~

  • 133二次元好きの匿名さん24/01/17(水) 13:35:42

    ~後日~
    美術の時間、アオイは一心に画板と向き合っていた。すでに十分に水を含ませた画用紙はアオイの筆から控えめに色を受け取る。水彩画の世界ではウェット・イン・ウェットと呼ばれる技法だが、アオイは昂る芸術への創作意欲から独力でそこにたどり着いている。

    今回のテーマは自由画であり、空想をもとに絵を描くものもいれば、対象物を凝視してデッサンしているものも居る。アオイが選択したのは脳内の記憶をもとに再現していくことだが、その実、アオイは実に忠実にあの日の空気感を演出している。

    薄くのばされた絵具を下地が乾く前に何度も何度も重ねて奥行きを生み出していく若きチャンピオン。その技量は当然その道の者には叶うべくもないが、こめられている情熱は見る者の脳を揺さぶるに十分すぎる感情の一撃を放つだろう。

    筆使いはあくまで繊細に、それでいてかつ大胆な色彩の妙。あの日感じた感動をすべてこの一枚に叩き込む。そのつもりで線を、面を描きこんでいく。チャイムが鳴り、提出の時間となっても最後の最後まで画板から離れなかったアオイ。その作品は教師であるハッサクにしか見られていない。

    「これは・・・ペパーくん、でしょうか・・・?」

    独りつぶやくハッサク。その手には生徒たちの提出した作品たちが握られている。そして彼はいまアオイの作品を見て顎を撫でていた。

    「素晴らしい情熱・・・・ですが、いったいなぜ・・・・・・全裸なのでしょう・・・・?」

    後日、アオイは特別金賞を受け取るのであるが、その作品が公開されることはないのであった。

  • 134二次元好きの匿名さん24/01/17(水) 16:15:10

    提出したのか……

  • 135二次元好きの匿名さん24/01/17(水) 16:20:22

    一応全裸最終章?の締めが想い人の全裸を提出するアオイでいいのか
    ペパーはどう思う?

  • 136二次元好きの匿名さん24/01/17(水) 17:07:42

    アオイさんだけおかしくないですかねえ…

  • 137二次元好きの匿名さん24/01/17(水) 18:47:57

    視○に母性を感じてしまうペパ先とか
    ちょっとレベルが高すぎてよく分からないですね…

  • 138二次元好きの匿名さん24/01/17(水) 19:58:12
  • 139二次元好きの匿名さん24/01/17(水) 19:59:33

    >>138

    スグリとペパーなんか真剣な戦いしてるっぽいな……

  • 140二次元好きの匿名さん24/01/17(水) 20:00:08

    >>138

    アオイちゃんがまっとうにかわいい。さて、ペパー

  • 141二次元好きの匿名さん24/01/18(木) 00:05:33

    完走おつです
    番外編やりながらずっと「全裸ペパーと解釈一致してんじゃん」と思ってたよ…

  • 142二次元好きの匿名さん24/01/18(木) 07:17:29

    本編のコミカルさに対して割りとシリアスな全裸だったな

  • 143二次元好きの匿名さん24/01/18(木) 07:31:28

    >>142

    そりゃまあ全裸になるべき状況っていうのはだいたいシリアスだからな

  • 144二次元好きの匿名さん24/01/18(木) 09:17:38

    そして数年後・・・(Hだよ!)

    ペパーの逆襲くるぶしを這うペパーの指先。彼の視線は、熱を帯びているようで、どこか子どものような無邪気ささえも感じさせる。いたずらを愉しむようなサディスティックな微笑み。ペパーの些細な動作のすべてがアオイの心をかきむしる。

     

    縛られているわけでもないのに、開かれた両脚が閉じられない。ペパーの声や視線は不思議な魔力をもってアオイの身体を捕えている。なぜか目に涙が滲むが、それは悲しみではなく、むしろ喜び、快感への期待によるものだろう。

     

    「あの頃は散々焦らしてくれたもんな、アオイ?攻守交替ちゃんだぜ?」

     

    にっこりと笑うペパーの顔には、学生の頃のような青い硬さはなく、大人の男としての余裕が表れている。アオイは、彼の笑顔に胸の奥が暖かくなると同時に、与えられるであろう快感を予期して、喉がゴクリと鳴るのを聞く。

     

    確かに煽ったのは自分。

     

    焦らしたのも自分。

     

    全裸でエリアゼロを旅したあの頃から、度々彼の衣服をはぎ取って羞恥の炎であぶり続けていたのも、他ならぬ自分自身。

     

    あれから数年間、何度も、何度も、彼を辱めた。真っ赤に顔を染める彼が可愛いから。自分が彼の表情をゆがめている実感が嬉しかったから。

     

    その彼がいま、自分を抱こうとしている。…
    telegra.ph
  • 145二次元好きの匿名さん24/01/18(木) 09:27:06

    そして数年後のまた別の日・・・、(もちろんHだよ!)

    ペパーの逆襲2ペパーの逆襲2

     

    ヌシ討伐の冒険は終わり大切なマフィティフの体調が元に戻った。親友たちとともにエリアゼロを旅してトラウマを乗り越えた。あれから数回季節が巡った。あの青春の日々を思い返すたびにペパーの胸には甘く、切なく、それでいて心地よい苦さが広がる。

     

    落石の巨鳥ヌシ「オトシドリ」を討伐したあの丘。そのさらに高い天辺でペパーはアオイとともにいた。

     

    長年の恋慕が実り二人が恋人となって数か月。彼は男ぶりを更に増し、彼女はあどけなさを残しつつ大人の肢体へと変貌しつつあった。しかし、どこか様子がおかしい。

     

    アオイの顔は紅潮し、手のひらにはじわりと汗がにじんでいる。両脚はわずかに震えているが瞳に恐怖はなく、むしろこれから起こることへの期待が見え隠れしていた。

     

    一方でペパーには高所の風と戯れる余裕があるようにみえる。実際、口元は穏やかな笑みを浮かべ、恋人を見やる視線はサディスティックな色気を含んで最愛のパートナーを射すくめた。

     

    「ん~?アオイ?なんでそんなに震えてんだ?」にこにこと笑いながら話かけるペパーの目の奥には仄暗い嗜虐の光が見える。

     

    「~っ!///だって!お外でなんて・・・っ!」アオイは…
    telegra.ph
  • 146二次元好きの匿名さん24/01/18(木) 09:33:06

    この文筆力でふつうにえっちなSSお出しされたらいろいろと困るんだが。いま職場なんだが。

  • 147二次元好きの匿名さん24/01/18(木) 09:41:09

    エッッッッ
    というか本編終了時点でがっつり自覚的に両想いなのに数年間もだもだしてたんかこいつら…

  • 148二次元好きの匿名さん24/01/18(木) 09:44:09

    えっちパート増えててダイソウゲン

  • 149二次元好きの匿名さん24/01/18(木) 10:19:56

    さんざん羞恥責めしつつ本番までは至らずに自己テラバーストしてるのがペパーらしい
    いや合間で至ってはいるのか?

  • 150二次元好きの匿名さん24/01/18(木) 11:55:35

    >>149

    まだまだですぜ、へへ

    初体験まではまだまだ逆襲してもらいましょうかねい

  • 151二次元好きの匿名さん24/01/18(木) 12:00:56

    どこでも全裸に抵抗なかったアオイちゃんがペパーの前という場面でだけ恥じらうのいいね…

  • 152二次元好きの匿名さん24/01/18(木) 12:09:00

    数年後とかになると急に終わっちまった感があるな
    まだまだいろんな側面の全裸が見たいところではあるが…

  • 153二次元好きの匿名さん24/01/18(木) 12:17:25

    >>152

    まあまだネモ放流編もオモチリキビギビ編も書いてないんで、気長に待ってもらえれば……と。

  • 154二次元好きの匿名さん24/01/18(木) 22:04:47

    攻め攻めペパーいいな……

  • 155二次元好きの匿名さん24/01/19(金) 09:26:48

    これは逆襲の羞恥プレイかまされても残当ですね…

  • 156二次元好きの匿名さん24/01/19(金) 18:42:44

    全裸キビキビとかプルンップルンでヤバいんだろうな
    それ以前にシコシコしてるやつがいるけども

  • 157二次元好きの匿名さん24/01/19(金) 18:49:22

    >>156

    待て。「ヤツ」じゃない、「ヤツら」だ。

  • 158二次元好きの匿名さん24/01/19(金) 21:16:09

    モモワロウ捕獲してこの後どうキビキビに繋がるのか気になる

  • 159二次元好きの匿名さん24/01/20(土) 06:06:56

    保守     

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