ゴルシとスペがなかよくおバカする概念③

  • 1二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 21:33:15

     今日も私は走ります。今日は何本走ったでしょうか。覚えてません。今私にあるのは、風を切る音と、荒い呼吸と脈打つ心臓の音と、そして、足がターフを蹴る音。それだけです。右、左、右、左。まだまだ、もっと先へ、もっと早く、早く、強く!
     後ろから追い上げる音がすぐそこまで来ています。まだまだ。もう少し、あと少し!そんないつもに終止符を打つ、いつも通りがやって来ます。回転数の落ちていく足と、落ち着いていく呼吸。そして、日の落ちかけて来たグラウンドに、トレーナーさんの声が響き渡りました。
    「よぉーし!今日の練習はこれで終わり!各自!ストレッチを怠るなよー!」

  • 2二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 21:33:47

    >>1

    「はい!」

     返事と共に吐き出す息が白く染まります。トレセン・冬。私たちにまだ春は来ません。まだまだ寒い日々が続きそうです。

     熱を持ち、ほんのりと立ち上る湯気と、少しずつ冷えていく指先。冬は運動にはいいですが、その始まりと終わりは本当に嫌になります。北海道生まれと言っても、寒いものは寒いです。それに、北海道の家は防寒がしっかりしてます。冬は暖かいものなのです。

    「ゴールドシップさーん!今日は一緒にストレッチしましょう!」

    「お!いいぞ!ちょうどマックちゃんで遊ぶのに飽きてきた頃だったしな!」

    「な!ゴールドシップさん!?」

    「やーいマックイーン飽きられてやんのー!」

  • 3二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 21:35:05

    >>2

     今日はスズカさんがお休みです。整理体操をしようと近くにいたゴールドシップさんに声をかけました。足を止め、熱い息を吐き出した口元を拭っていたゴールドシップさんは、スッと息を整え笑顔で応えてくれました。ゴールドシップさんはいつも大体マックイーンさんとテイオーさんと一緒に体操しますが、身体が大きいゴールドシップさんは他の人では伸ばしきれない場所を伸ばす時によく手伝ってくれます。私は大体スズカさんとです。背丈がほぼ同じだからです。スカーレットさんはウオッカさんと。そう考えると、今日はちょっと珍しい組み合わせかもしれません。

  • 4二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 21:35:42

    >>3

    「わたくしとは身体だけの関係でしたの!?」

    「ちょ!?言い方なんとかならなかったんですか!?」

     トレーナーさんの噴き出す音が聞こえました。不意打ちを受けたからでしょう。私も少しびっくりしてしまいました。マックイーンさん、たまには冗談に乗るんですね。

    「仕方ないですね……ならわたくしは貧相なテイオーの身体で……」

    「なんだとー!マックイーンよりはあるもんね!!」

    「マックちゃん……あたしのこと、いつもそんな目で見てたのか……?」

  • 5二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 21:36:51

    >>4

     腰に手を当て張り合うテイオーさんと自分の身体を抱きかかえるゴールドシップさん。私はさめざめと泣くフリをするゴールドシップさんにいいこいいこします。ひしと抱きついてくるゴールドシップさん。うふふ、今日は私がお姉ちゃんですね!

    「え?ちょ、なんで引いて……」

    「マックイーンさん……」

    「その、元気出して下さいね……」

    「ゴールドシップさん、大丈夫、大丈夫ですよ……」

  • 6二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 21:38:47

    >>5

     ゴールドシップさんの身体は暖かく、くっついた所がポカポカします。ふわりと肩にかかる髪の毛はとてもサラサラ、綺麗で透き通るかの様です。スズカさんの髪も綺麗ですが、ゴールドシップさんの髪は長さもあって凄いです。街で一緒に歩いてるとスカウトの声がかかるのもうなづけます。いつもおいおいリンゴは?ゴルシちゃんは安くないぜ?新興くらい持ってきて出直しな!なんてすぐ断ってしまいますが。もったいないですね。

     ゴールドシップさんと私を囲む様にしてみんな好き勝手言い始めます。ポツンと1人マックイーンさんは地団駄を踏んでます。とても珍しいです。

  • 7二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 21:40:57

    >>6

    「あーもう!たまにはと冗談に乗ってみたらこれですわ!!」

    「マックイーン……」

    「テイオー……」

    「ボクの胸でいいなら貸そうか?マックイーンよりはあだだだだだだ!!」

    「宣戦布告は一回で十分ですわ!」

     テイオーさんが歩み寄り、肩を叩いたと思ったらこの発言です。テイオーさんに抱きついたマックイーンさんはそのまま力を込めた様で、テイオーさんは顔色を変えてもがいてますがダメそうです。そう言えばこの前もテイオーさんはゴールドシップさんにプロレス技を喰らってました。その時手がスカーレットさんに当たり、勘違いしたスカーレットさんはウオッカさんをしばき、マックイーンさんはパイプ椅子でトレーナーを叩いてルール無用の大乱闘になった事もあります。私はスズカさんと隅で震えてました。ゴールドシップさんはいつの間にか集まった人達相手に賭けを始めたのを思い出します。

  • 8二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 21:41:32

    >>7

    「アレも何かの技なんですか?」

    「あれは鯖折だな。相撲の決まり手の1つだ。マックちゃんにはピッタリだな」

    「この前の太り気味騒動の傷を掘り返すのやめてあげてくだっくちっ!」

     冷たい風が吹き、思わずくしゃみをしてしまいました。曇り空はもう暗く、そのせいかさらに寒く感じます。視線の先ではマックイーンさんがぐったりとしたテイオーさんを引きずって行きます。とてもストレッチとは思えない光景でした。

  • 9二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 21:42:31

    >>8

    「おい大丈夫かスペ?ジャージはどうした?」

    「それがその……昨日洗濯するのが遅れちゃって……」

    「しゃーねーな。ほら、着とけ」

     身体が冷え始め、思い出したかの様に寒さを感じます。そんな姿に見かねたのか、ゴールドシップさんはジャージの上着を脱ぎ、私に頭から被せます。この前ウララちゃんがやってたシーツのお化けさんみたいです。裾を踏んで転びそうになってました。怖いじゃなくてかわいかったです。

    「わぷ、でもこれじゃゴールドシップさんが……」

    「こんなんで冷える程ヤワじゃねーっての。ゴルゴル星はフィンランド人でも寒いって言うんだぜ?」

    「この前は南国な感じって言ってませんでしたか……でも、ありがとうございます!」

     そのままだとジャミラみてーだな、ちゃんと水分摂ってっか?なんてゴールドシップさんがなでなでしてきます。誰なんでしょうジャミラさん。でも、頭から被るなんてきっと寒がりなんでしょうね。見知らぬジャミラさんにちょっとシンパシー感じてしまいます。

  • 10二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 21:43:47

    >>9

    「あっははは!スペ!すっげーブカブカだな!」

    「でもあったかいです!」

    「そうか。じゃ、冷え切る前にさっさとやっちまうか!」

    「はい!お願いします!」

     2人でゆっくりとストレッチを始めます。もう寒くありません。ポカポカなゴールドシップさんに背中をぐいぐいと押されながら、今日の晩御飯に思いを馳せます。おでんの恋しい季節です。低い位置で大きく輝く月が、大根に見えたのはきっと私だけじゃないでしょう。

  • 11二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 21:45:51

    >>10

    「ふふ、あったかい!」

     今日は1人の帰り道。でも寂しくありません。ちょっとお行儀が悪いですが、制服の上からジャージを羽織ってます。ちょっと不良さんみたいでカッコいいかもしれません。これがオシャレなんですね。思わず……そっと周りを見回してからスキップします。ちょっとウキウキです。そう言えばこんな着方をしてる人はたまに見かけます。エアグルーヴさんに注意されたりゴールドシップさんにドロップキックされたり大変そうですけど。

  • 12二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 21:47:11

    >>11

    「ゴールドシップさん、身体大きいんだなぁ……袖も余ってる……タキオンさんみたい!」

     ご機嫌にブンブンと余った袖を振り回してみます。ゴールドシップさんは私より10センチくらい大きいです。手足も長いので、実は中々服を選ぶそうです。羨ましい様な、大変そうだなと思うべきなのか、悩みどころです。

     ちょっとチャックを開いて、くるりとターンしてみます。ふわりと裾が広がり、ちょっと、なんでしょう?良い匂いがしました。私とも、スズカさんとも違う……でも落ち着く、そんな匂いです。

  • 13二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 22:20:11

    >>12

    「ただいまもどりました!」

    「おかえりなさいスペちゃん。あら……?」

    「あ、これですか?ゴールドシップさんに借りました!」

     シャワーを浴びて、部屋着に着替えて自室に戻ります。部屋にはスズカさんが待っていて、笑って出迎えてくれました。この瞬間がとっても好きです。笑顔のスズカさんはとても綺麗で、可愛いですから。

  • 14二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 22:20:54

    >>13

    「そうなのね、通りで……似合ってるわ」

    「えへへ、そうですか?」

     今の私は部屋着にゴールドシップさんのジャージを肩に引っ掛けてみました。ちょいワルスペシャルです!カッコよく見えるでしょうか?

    「えぇ、とっても。かわいいわ」

    「え、あ、ありがとう、ございます」

    「ふふふ、赤くなってる……」

    「もー!スズカさん!」

     ダメでした。口元を抑えてくすくす笑うスズカさんに、恥ずかしくなって袖を持って攻撃します。身を捩るものの笑うのをやめないスズカさんに、ちょいワルの怖さを見せてやるのです。

  • 15二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 22:22:06

    >>14

    「あはは、ごめんねスペちゃ……ぺちぺちやめてー」

    「許しませんよ!悪いスズカさんにはいっぱいペチペチしちゃいます!」

    「きゃー!」

    「あはは!」

    「うふふ」

     この小さな攻防は、結局こちょこちょと言う禁止技を使ったスズカさんの勝ちで終わりました。次は、次こそは負けません。息も絶え絶えにへたり込みながら、再戦を誓った私でした。

  • 16二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 22:23:56

    >>15

    「おはようございますゴールドシップさん!昨日はありがとうございました!」

    「おうよ!おはよスペ」

     次の日の朝、白い息を吐きながらのしのしと歩く優しいゴジラさんに声をかけます。ゴジラさんはポケットから手を出し、軽くひらひらさせながら応えました。私はバッグからジャージを取り出します。ゴールドシップさんの大きなジャージ。私のものではありません。

    「ん?どうした?」

    「……その、寒い時は、また貸してくれますか?」

  • 17二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 22:24:27

    >>16

     ちょっとわがままでしょうか?ジャージを抱えたままの私。くしゃりとビニールが音を立てました。その言葉に一瞬目を丸くしたゴールドシップさんは、その目を細め、口元に笑みを浮かべながら肩を抱え私の頭をかき混ぜました。

    「いつでも言えよな!」

    「……はい!ありがとうございます!」

     それだけの約束で、今日も私は頑張れます!寒い風なんてへっちゃら、どんとこいです!

  • 18二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 22:27:06

    アニメ見てみようかな……

  • 19二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 22:30:19

    >>17

    「そう言えばゴールドシップさんは普段どんな柔軟剤を使ってるんですか?」

    「突然なんだ?スペシャルなヤツだよ。宇宙の匂いがするだろ?」

    「宇宙、なんですか?なんかほんのり甘い匂いがしましたけど……」

    「スペ。宇宙はラズベリーと溶接の匂いなんだぜ?知らなかったのか?」

    「そうなんですか!なんか美味しそうです!」

    「だろ!今度行こうぜ!宇宙!」

     今度ゴルゴル星を観に行くか!ラップを忘れんなよ!あ、銘柄はな……ゴールドシップさんは笑います。私も釣られて笑って、つい、すん、と鼻を鳴らして匂いを嗅いでみます。ふわりと香るのはステーキと、パイン……そしてなんでしょう?クッキー?そして焼けた金属の匂いがしました。そんな優しい宇宙の匂い、私も好きになりそうです。

  • 20二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 22:32:16

    >>19

     2人で並んで歩きながら、空を見上げます。雲一つない水色がかった冬の空は、とてもきれいでした。昼間も星は輝いている、なんて聞いた事があります。そう言えば、一度スピカのメンバーで窓から星を観た事がありました。チーム名になった星を見ようと言い出したのは誰だったでしょうか。今はもう思い出せません。その時もスピカを指差しながら、ゴールドシップさんは言ってました。天の光は全て星なんだぜ?毎日、あたしたちはこの宇宙の光と戯れているんだ。何万年と旅をする星の光と、星屑が今もこの身体に流れてるのさ……なんて。ゴールドシップさんの言う事は良くわからない事も多いです。でも、素敵だと思います。

     私も、星になれたらいい。誰かの星に。スピカ。真珠星。あの夏を、私は忘れないでしょう。

  • 21二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 22:33:29

    >>20

    「……で、だ……」

     放課後、今日も練習です!頑張りましょう!

    「水着で来た、と……」

    「はっ、は……はーっくっしょん!!」

     いや無理です。めっちゃくちゃ寒いです。関東の冬をなめてました。風がとにかく冷たいです。死んじゃいそうです。

  • 22二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 22:34:45

    >>21

    「ウソでしょスペちゃん……なんで昨日タンスをひっくり返してたと思ったら……」

    「スペちゃん……」

    「いやバカか!バカ!バカだよ!!」

    「大丈夫ですかスペ先輩!と言うか見てるだけでこっちが寒くなってくるんですが!」

     ガタガタと震える私に皆さんが何か言ってきますがそれどころじゃありません。歯の根が合わないとはまさにこの事です。震えが全く止まりません。この前ゴールドシップさんが寒くて震える事をシバリングと言うんだぜ!と教えてくれたのが遠い昔の様です。そうだ、どうせならみんなにも教えてあげましょう。きっと私の賢さがわかると思いますから。

  • 23二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 22:36:58

    >>22

    「あばぼばばば」

    「ウワーッ!」

    「もうスペちゃんが限界だよ!!いや元から季節感も限界だけど!!」

    「スペシャルウィークさん、その、大変申し上げにくいのですが……」

    「いやこれ以上に申し上げ難い状況って逆に何よ」

    「今日ゴールドシップさんは難波のカツオ節をマスターするから休む、と言った内容の置き手紙が部室にありましたわ」

    「何ですって!」

    「え!?アイツ来ねぇの!?」

    「トレーナー……」

    「聞いてなかったんですね……」

    「ウワーッ!」

    「うるさいわよウオッカ!」

  • 24二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 22:40:05

    >>23

     ゴールドシップさんが来ない、それだけはわかりました。思わず膝をつきます。私はもうダメです。天は我々を見放しました。

    「その、スペちゃん、目のやり場に困るわ……」

    「昔、この様な種族の出る映画を見たことありますわ……」

    「いやマックイーン!この肌の青さは違うと思うよ!?」

    「あと小包が……」

     ウオッカさんが箱から何かを引っ張り出しました。赤に白いラインが入った見慣れて服と、ボロボロと溢れる個包装の何か。私の前に、ひらりと紙が一枚落ちてきました。模写と見紛うレベルの絵です。よくわからないですけど脚の生えた白い饅頭みたいな生き物と何か字が書いてあります。ウマ娘は愚かなものです。特にお前。ゴールドシップさんの字でした。

  • 25二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 22:40:59

    >>24

    「ジャージと、使い捨てカイロ?」

    「わぁぁあ!ゴールドシップさぁん!!ありがとうございます!!やったー!!」

    「いやスペ先輩思いっきり愚かって書いてありますよ」

    「ところで何この生き物?犬?」

    「こんなに脚長いのに?」

    「リアル過ぎてなんか実在してそうなのに謎なのがなんか凄いな」

    「スペちゃん、素肌に直接カイロは……」

    「あづぁ!!」

  • 26二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 22:41:36

    >>25

    「……とりあえず、スペ、お前はゴルシのジャージ着てやれ?な?」

     逃れられない熱さにゴロゴロ転がっていると、トレーナーさんの呆れ顔が見えました。何が不満なんでしょう?無事問題は解決されたと言うのに……。

    「はい!」

     飛び起きて返事をします。これでもう寒さには負けません!今日もけっぱるべー!!

  • 27二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 22:43:09

    >>26

    「今日のスペ先輩、凄かったですね……」

    「変な方向に気合い入りすぎだよー」

    「でも、なんか幸せそうでしたわね……」

    「「……」」

    「いやいやいや!?」

    「そうよね、ちょっとおかしいって言うか……」

    「ちょっと!?」

    「ちょっとどころか……」

    「大丈夫ですかスズカさん?さっきから黙っていますが……」

    「スペちゃん……ちょっとお腹が……」

    「スズカさん……?」

    「幸せ太り……?」

    「スズカ……」

  • 28二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 22:44:31

    >>27

     ひぃー、今日は散々でした。陽が落ちて久しい闇の中を、私は1人走ります。結局とにかく身体を寒さから守る為、殆ど間を置かず走り続けました。予期せぬハードな練習は、私に疲労感と確かな達成感をもたらします。ジャージ、暖かったな……でも、何か足りなかった気がする……何だろう?暖かかったのになぁ……。

     よくわからない何かを胸に抱えて帰り道もダッシュ!暖かいシャワーが待ち遠しいです!そう考えると、すぐにシャワーを浴びられる水着のトレーニングはもしかしたら世紀の発見かも知れません!すごいです!

  • 29二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 22:45:45

    >>28

    「……」

    「……とと、トレーナーさん、何か……っくしゅ!せめて何か言ってくださいまし!」

    「そそそそうよ!はっくしゅん!何か無い訳!?」

    「っくしゅ!」

    「ひぃえさささむいぃ……」

    「スズカさん!大丈夫ですか!?は、は……はーくっしゅん!何で水着なんですか!?上着貸……ない!?なんでぇ!?」

    「すっ、すすすスペちゃんが言うと説得力ががが」

    「さささむむむむむ」

    「わかった………なら言ってやるよ……お前ら!!何で今日は全員水着なんだよ!!」

     何やらトレーナーさんが膝から崩れ落ちてます。どうしたんでしょうか?寒いのかも知れません。なら厚着をすればいいのに、不思議ですね。いつも大体同じカッコですからねトレーナーさんは。季節感がありません。

  • 30二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 22:46:56

    >>29

    「ばばばバカねウオッカ!本当におたんこにんじん!」

    「サムス!」

    「んんんだと!?お前こそ誰が……ああああークソ!」

    「誰だ今の」

     もうめちゃくちゃです。暴力的な風に、みんなが鼻水を垂らしてます。私は唇を真っ青にして震えるスズカさんに抱きつきながら、どうしてこんな事になってしまってのかぼんやり考えます。頭が回りません。寒いからです。あまりの寒さにおしくらまんじゅうしながらスカーレットさんとウオッカさんは顔を突き合わせてます。マックイーンさんは何か言いながら震えるテイオーさんの頬を張ってます。そう考えるといつも通りです。

    ……水着である事以外は……。

  • 31二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 22:48:20

    >>30

    「そうだぞ。お前たちはー冬をなめちょる……冬をなめるんじゃない……」

    「そうだ!ゴルシを見ろ!しっかりマフラーと帽子!それに手袋で防寒……何でお前まで水着なんだよ!!」

    「は?あたしのファッションセンスになんか文句あんのかよ?ぞっくり見とけよ今年は流行るぞ水着マフラー」

    「流行るか!!どーでも良いから全員着替えてこい!!今すぐ!!」

     天を仰いだトレーナーさんの血を吐く様な嘆きに背を押され、全員でえっちらおっちら走り出します。スズカ……お前もか……なんて後ろからトレーナーさんの泣き言が聞こえますがそれどころじゃありません。肌を突き刺す様な寒さと、吹き荒れる風、そして冷たい視線に耐えながら私たちは我先へと部室を目指します。いやほんと死んじゃいますって。何考えてるんですか!

  • 32二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 22:49:34

    >>31

    「さささ寒いですねごごごご」

    「はー……全くスペはバカだな!ほら、マフラー貸してやるよ!」

    「あああありりがががが」

     走りながらゴールドシップさんがマフラーを外して巻いてくれました。ここまで器用だときっと走りながら焼きそば作れるんじゃないでしょうか?あまりの優しさに涙が出そうです。

    「スズカもほら。帽子被れ。頭冷やすと一気に冷えるんだからな?スカーレットとウオッカは2人で手袋しろ。それでいいだろ?テイオーは……大丈夫だろ」

     ふわふわの毛糸の帽子を被ったスズカさんはとても可愛いです。よく似合ってます。口に出せないのが口惜しい限り、なんちゃって……寒気が止まりません。なんででしょうか。

  • 33二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 22:52:18

    >>32

    「なんでー!はぁーっくしょーい!!いや他の防寒具もほぼ無意味だけどさ!!」

    「マックちゃんは特別だ!ほらよ!」

    「いいいいえわわわたくしはっつべち!!なんなんですのこれ!?」

    「鎖帷子」

    「散々ですわ!!」

     じゃらじゃらと変な鈴を鳴らす様な音を立て、マックイーンさんはなんかよくわからない編み編みな鎧みたいなものを羽織わされてます。なんか賑やかです。でも隙間が多いので、肌を挟まないか心配になります。そう思った矢先に痛いですわーと騒ぐマックイーンさん。大変そうです。私も今大概大変ですけど。

  • 34二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 22:52:54

    >>33

    「ふー……風がないだけであったかく感じるね!」

    「それでも十分に寒いけどな……」

     みんなで部室に滑り込み、ドアを閉めます。ようやく辿り着いた安住の地。気温と室温の差は殆どありませんが、風が無いと言うのは本当に体感温度が変わります。素晴らしいです。不意の隙間風で変な声が出そうになりましたけど。耐えました。偉いです私。

  • 35二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 22:54:26

    >>34

    「きゃっ!ゴールドシップさん!?」

    「なんで今冷凍庫なんて開けるのさ!寒いでしょー!」

    「んだよー寒い時にこそアイスだろー?」

    「それは暖かくしてから言うものです!」

    「と言うかせめて着替えてからにしません!?」

    「なんだよなんだよみんなして、全く!お、スペ、一口食うか?」

  • 36二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 22:55:20

    >>35

     みんなが震える中、マイペースに冷蔵庫を開けたゴールドシップさんはカップアイスを取り出して食べ始めます。凄いです。信じられません。それはそうとアイスは食べたくて見ていたら一口貰いました。寒いし冷たいしで味はよくわかりませんでしたが、その太陽の様な笑顔だけで大丈夫です。なんかポカポカします。

    「もう我慢なりませんわ!!一口くださいまし!!」

    「マックイーン!?」

    「寒くて震えてカロリー消費ですわ!!永久機関の完成ですわ!!パクパクですわ!!」

    「あげません!!」

    「スペちゃん……」

    「マックイーン……スペちゃんも、本当に言うんだそれ……」

     マックイーンさんがゴールドシップさんを追いかけ始め、私もその後を追います。狭い部室はもうしっちゃかめっちゃか。いいんです!全部雪のせいですから!

  • 37二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 22:56:36

    >>36

    「お!着替えてきたな!」

    「あぁ!バッチリだぜ!」

    「何がだよ!?」

     何が気に入らないのか、トレーナーさんはまた声を張り上げました。寒いのに本当に元気です。

    「着替えてきただろ!?」

    「違う水着に着替えてこいって話じゃねーよ!!テイオーはなんでジャージに浮き輪持ってんだ!!そしてスペ!!」

    「はい?」

    「はい?じゃねーよ!なんだそのモコモコした格好!砂漠でエキスモーに会ったかと思ったぞ!」

  • 38二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 22:58:00

    >>37

    「違いますわトレーナー。エスキモーですわ」

    「ゴルシー!空気断熱が何とかって嘘じゃん!全然暖かくないんだけど!!」

     頭を抱えるトレーナーさん。バリュートとドーナツを信じろ!とテイオーさんに浮き輪を重ねまくりトーテムポールにするゴールドシップさん。くいくいと袖を引かれたと思ったらスズカさんでした。なんでしょう?

    「スペちゃんあったかい?」

    「はい!」

     とびっきりの笑顔で答えると、スズカさんも笑顔で嬉しそうです。私も嬉しくなってきました。幸せです。

  • 39二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 22:58:55

    >>38

    「うるせーよ!?さっさと脱げ!」

    「セクハラすんな!」

    「このおバカ!」

    「ごべぁ!!」

     4人に蹴り飛ばされたトレーナーさんは内ラチに叩きつけられてます。布団干しと言う鉄棒の技を思い出しました。お腹でブラブラするヤツです。揺れるトレーナーさんに追加で蹴りが入ってるのが布団たたきの様です。トレーナーさん、きっとウマ娘に蹴られた回数は世界でトップクラスでしょう。ギネス記録とか狙っているのでしょうか。

     スズカさんと笑い合って、ゆっくりと走り出します。暑くなったら脱げばいいんです。その時は、ゴールドシップさんに着せてあげちゃいましょう。そうすれば、今冬と絶賛喧嘩中の彼女も、きっと仲直りできると思いますから。トレーナーさんをカーペットで包んでいるゴールドシップさんを見て、ついそんな事を考えてしまいました。さぁ、今日も走ります!このターフの上を、どこまでも!

  • 40二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 23:00:38

    >>39

    「なんか、今日は昨日よりも随分と暖かい気がしますわ」

    「昨日は一発目水着だったもんな……」

    「……何だったんだろうね本当に……」

    「もう懲り懲りよ」

    「あれ?スペ先輩は?」

    「あそこよ」

    「……何やってるの?あれ?」

    「気付いたんです、大切なのはジャージじゃなかったんですよ、って昨日力説してたわ」

    「暖かいか?スペ」

    「はい!ゴールドシップさん!」

     今私はゴールドシップさんが持ってきた上着の内側に居ます。なんでも二人羽織と言うそうです。とてもあったかいです。今年の紅白はこれで決まりだ!と言うゴールドシップさんに答えながら、2人で走り出します。この暖かさがあるなら、冬の寒さも悪くないかも知れない、南極まで行けちゃいそうです。その時は、スピカのみんなも一緒に、おでんを食べたいと思いました。

     チームスピカ、今日も、そしていつまでも絶好調です!!

  • 41二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 23:02:13

    おしまい。お付き合いいただきありがとうございました。

  • 42二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 23:14:47

    とても良い、大好きだ

  • 43二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 23:15:29

    1もしかしてSF好き?
    フェアリイ・冬とか天の光は全て星とか…

  • 44二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 23:15:45

    おまけ

    「ふざけんないつまでやってんだお前ら!それで走れるのか!?」
    「おうおうトレーナー?あたしたちのコンビネーションなめんなよ?火は2つ合わせれば炎になんだぜ!」
    「そうです!2人で走って2倍ですよ!」
    「いいや違うなスペ!あたしたちなら1+1は2じゃねぇ!200だ!」
    「10倍ですよ!10倍!」
    「スペちゃん……」
    「そんだけ言うならわかったよ!アレだぞ!今からリギルと模擬レース組むぞ!カノープスも見てるんだぞ!?」
    「ばっちこいだ!スペ!あれをやるぞ!」
    「はい!ゴールドシップさん!」
    「え?何でこっちにきますの?」

  • 45二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 23:17:39

    「……で、あれは何だ?巫山戯ているのか?」
    「ケッ!?なんですかあれ!?」
    「オイやべーぞ、エアグルーヴ先輩がスゲェ顔してやがる!」
    「え、えーっと……」
    「スペシャルハリボテVer.564だそうです」
    「ねぇ!カイチョーどっか行っちゃったよ!」
    「頭痛くなってきた」
    「隣のオペラオーさんめっちゃチラ見してますね」
    「あんな尻すぼみな高笑い初めて聞いたわ……」
    「そりゃ模擬レースやるって来たらあんなのが隣に居たらな……」
    「と言うか、2人離れてるわよね?全然二人羽織じゃない気がするわ……」
    「面白そうデース!」
    「あらあら」
    「ところでさ、何であの……何?よくわかんないヤツの上に勝負服を着て死んだ目をしたマックイーンが乗ってるの?」
    「うー!!ターボもやりたい!」
    「ターボさんは身長が……」
    「のびるもん!!」
    「トレーナーさーん!」
    「たづなさん?」
    「理事長が!!」
    「えぇ!?」
    「え、これトレーナーやばくない?」
    「私の計算によると減給かと」
    「ついに?」
    「ついには酷いだろ流石に」
    「いや、これには……」
    「決まったんですよ!」
    「次の住居が?」
    「今にも出走するぞ次の住居の素材が」
    「次の感謝祭、ハリボテ記念開催だそうです!!」

  • 46二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 23:18:52

    >>43

    すきですよー。有名どころしか読んでませんが……。

  • 47二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 23:23:11
  • 48二次元好きの匿名さん22/01/18(火) 23:25:19

    あんたのスペ視点だいすき

オススメ

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています