【SS】あの子の云う通り、タバコはやめる

  • 1二次元好きの匿名さん22/07/02(土) 10:57:02

    「はっ、はっ、は…」
    とあるトレーニングの時間のコースにて。
    目的もなく眺めている先では1人のウマ娘が走っていた。
    「見覚えがあるな…風紀委員の子、だったか?」
    そう言って胸元からタバコを取り出し、火をつけようと_
    「コラーっ!!!」
    不意に正面から大きな声が響いた。
    「そこのトレーナーさーん!!!学園内は禁煙っスよー!?タバコは吸っちゃダメっスー!!!」
    そう言ってこっちに向かってきて、手に持っていた1本のタバコを取り上げられてしまう。
    「…いいのか?俺のポケットにはまだタバコがあるぞ?」
    「注意したんで、止めてくれると信じてるっス」
    「…」
    それだけ言うと、彼女はトレーニングに戻ってしまった。
    手元には、1本分だけ欠けたタバコケースがあった。

  • 2二次元好きの匿名さん22/07/02(土) 10:57:15

    その数日後、夕方の街中で彼女を見かけた。
    …最悪の場面で。
    「ねえお嬢ちゃん、トレセンの子でしょ?オレらお金に困ってんの。ちょっとだけ貸してくれなーい?」
    「嫌っス。そもそも通りすがっただけじゃ返せなくないっスか…?」
    「まあ、返す予定はないからな。あと嫌とか言っていいのか?いくらお嬢ちゃんがウマ娘とはいえ、こっちは複数人だぞ?」
    …明らかにカツアゲだった。
    「おい、そこのチンピラども。その子困ってるだろ。やめろよ」
    「あぁん?なんだよお前。オレらはこの子と話して…」
    その次の瞬間、チンピラ達の注意が逸れた一瞬で、彼女は抜け出してきた。
    どうやら自分もいつの間にか手をつかまれたようで、気がつけば引きずられそこから離れていっていた。

  • 3二次元好きの匿名さん22/07/02(土) 10:57:26

    「はっ、はぁ…ふぅ…ここまでくれば大丈夫っスね!助けてくれてありがとうっス…あれ、もしかしてこないだのタバコのトレーナーさんっスか?」
    そう声をかけてくる彼女。あまり助けにはなっていなかった気もするが…
    「…もうタバコは吸ってないけどな」
    「あれ?完全に止めちゃったんスか?」
    「ああ。生徒にはいい印象を持たれたいしな」
    「あー…じゃあこないだ返し忘れたタバコ、いらないっスか?」
    そう彼女はすこし困った顔で聞いてくる。
    「…いや、返してもらうよ。最後のタバコにする」
    「…それなら、今ポケットに入ってるっス。でもいいんスか?吸わないのを貫くのも一苦労だったと思うのに…」
    「いいんだ。思い出だからな」
    「思い出…?」
    そう言って、彼女から少し離れて、彼女が手渡してきたタバコを吸ってきた。
    「ただいま」
    「おかえりなさいっス!もう時間も遅くなってきましたし、一緒に学園に帰りましょう」
    その言葉通り、あたりはすっかり暗かった。

  • 4二次元好きの匿名さん22/07/02(土) 10:57:38

    「…なあ、キミ」
    「なんスか?」
    「さっきの走り、すごい良かったと思う。練習も普段から見てた」
    そのあたりでお互いは察する。
    「キミを…スカウトさせてほしい」
    トレーナーがウマ娘の走りに言及すると言うことは、そういうことだ。
    「スカウト…!アタシもついにスカウトがもらえたってことっスね!!!もちろんっス!これからよろしくお願いしまーっす!!!」
    そう、元気よく伝えてくる”彼女”。
    「…名前、聞いたことなかったな」
    「あ、そう言えば」

    「アタシの名前はバンブーメモリー。これからよろしくっス!」

  • 5二次元好きの匿名さん22/07/02(土) 10:59:41

オススメ

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