- 1あんこうなべ22/07/25(月) 21:56:11
このスレは、囚人尾形スレのネタを基にしたSSです。
偉大なる元スレ
【閲覧注意】勇作殿が Part6【囚人尾形】|あにまん掲示板囚人尾形概念について語るスレです変態ギャグとして語るのもアリですbbs.animanch.com囚人尾形スレが元ネタです。
今回は戯曲形式にしています。
あるお芝居を基に考えたのですが、気づく方は元ネタにすぐ気づかれるかもしれません。
今回は特に趣味に走っています。どんな展開でも受け入れられる方向けです。
- 2二次元好きの匿名さん22/07/25(月) 21:56:59
囚人尾形だ!支援
- 3二次元好きの匿名さん22/07/25(月) 21:59:07
ひゃあ新作やん嬉しい!
- 4あんこうなべ22/07/25(月) 22:00:41
【第1幕】
舞台は洋風のホテルの一室。白を基調にしており、高価そうな調度品に飾られた部屋。
舞台中央には机、奥にはベッドが見える。
ボーイたちが慌ただしく荷物を運び入れている。
舞台の奥から、ゆっくりとした足取りで洋服に身を包んだ尾形が登場。 - 5あんこうなべ22/07/25(月) 22:04:18
ボーイ1「お客様、この荷物はどちらに?」
(重そうなトランクを持ち上げながら尋ねる)
尾形「寝室に。全て伝えておいたはずだぞ。……ああ待て、乱暴に持つんじゃない。どうして両手で抱えようとしない?丁寧に運べと俺は確かに伝えていたんだ」
(いらいらと部屋を確認して回る。肩をすくめるボーイたち) - 6あんこうなべ22/07/25(月) 22:10:49
(舞台の奥から小さな壺を抱えたボーイが現れる)
ボーイ2「お客様、この壺はどちらに?」
尾形「どちらに?俺の寝室。ベッドの隣だ。決まっている。……さっさと済ましてくれ。随分と遅れているじゃないか。妻を待たせているんだぞ。さっさとしてくれ」
ボーイ2「大変申し訳ございません、お客様」
(壺を抱えて奥に進もうとする)
尾形「乱暴に床に置きでもしたら承知しないぞ。机の上に置くんだ。………死者には敬意を払え」
(ボーイたち、ぎょっとした様子で顔を見合わせる) - 7あんこうなべ22/07/25(月) 22:17:44
(白いレースのベールで顔を隠し、女物の着物を着た人物が奥から現れる。背筋は真っすぐに伸びているが、足取りはどこか覚束ない。夢を見ているかのように、ゆっくりと舞台の中央に進む)
尾形「(それに気づき、やや厳しい口調で)待っていなさいと言ったでしょう」
(白いベールの人物、怯えたように立ちすくみ、ドアの前まで下がる)
尾形「(すぐに穏やかに)貴方の荷物がまだです。もう少し待っていらっしゃい。そこのソファに腰を掛けて……」 - 8二次元好きの匿名さん22/07/25(月) 22:20:54
新作嬉しい嬉しい!!!!
- 9あんこうなべ22/07/25(月) 22:23:11
(白いベールの人物、大人しく従う)
(また新しくボーイが入って来る。大きな額縁を抱えている)
ボーイ3「お客様、これはどちらに?」
尾形「貴方の大切な荷物だ。さあ、これはどこに置きますか?」
ベールの人物(無言でいるが、ゆっくりと部屋の奥を指さす)
尾形「俺の部屋ですか?俺の為に飾ってくださるんですね?」
ベールの人物(微かに頷く)
尾形「(ボーイたちに)それは蝶の標本だ。羽の一枚でも欠けさせたら承知せんぞ」
(ボーイ、呆れたような表情だが、すぐに従う) - 10あんこうなべ22/07/25(月) 22:27:18
(それからもしばらく尾形は神経質にベッド、ソファ、机を確認するようにぐるぐると見て回っている)
尾形「……よし、これで全部だな。ご苦労。退っていい)
(ボーイたち、恭しく一礼して部屋から出て行く)
(白いベールの人物、ソファに座ったまま無言) - 11あんこうなべ22/07/25(月) 22:32:14
ボーイ1「やれやれ、随分やりにくい客だったなあ」
ボーイ2「誰なんだ。あんな顔一度も見たことないが、成り上がりかい?」
ボーイ3「噂じゃあ、偉い軍人さんの子息だとか聞いたが」
ボーイ2「だが奥さんは綺麗だったねえ。女にしちゃちょっと背が高すぎるが」
ボーイ1「はは、顔なんてロクに見えやしなかっただろ。ずっとだんまりでさ。嫁までお高くとまってやがる」
ボーイ3「旦那にいじめられてるのかもしれんぞ。かわいそうに」 - 12あんこうなべ22/07/25(月) 22:39:42
(尾形、白いベールの人物の前の机に聖書を置く)
(優しい手つきで白いベールを顔から上げさせ、ポケットから取り出した櫛で長い髪を梳きながら)
尾形「今度は長旅でしたねえ。疲れましたか?」
白いベールの人物(微かに首を横に振る)
尾形「ならよかった。……後で聖書を読んであげます。貴方の学校では、聖書は教わりましたか?」
白いベールの人物(また首を横に振る) - 13あんこうなべ22/07/25(月) 22:44:56
尾形「そうでしょうね。学校じゃろくなことを教えはしませんから」
尾形「学校では、『よいことをしろ』と言われたでしょう?あれはこういう意味ですよ。『お前は嘘ばかり吐くから、せめて行動は本当のことをしろ』ってね」
尾形「……俺が人生で学んだのは逆でした。『俺は本当のことばかりする。だから口だけでも嘘を言わなければ』……」
尾形「世の中、嘘ばかりだ。だから、こうして俺が貴方を守ってやってるんです」
尾形「……分かりますね?勇作さん」
勇作(虚ろな目のまま、ゆっくりと頷く) - 14あんこうなべ22/07/25(月) 22:52:33
尾形「(満足げに頷きつつ)そうして良い子にしていてくれたら、また蝶を放してあげますからね。……嬉しいですか?」
勇作「……はい。兄様」
尾形「(激したように)旦那様と呼びなさいと言ったはずだ!」
勇作「(怯えて)は……はい。旦那様」
尾形(頷いて、部屋の奥へ消える)
勇作(呆然と、ソファに腰掛けたまま) - 15あんこうなべ22/07/25(月) 22:55:29
(短いですが、本日はここまでとさせていただきます)
(コメント、ハートありがとうございます!!いつも本当に嬉しいです!)
(また暗いものを書いている気がしますが……楽しんでいただけたら幸いです)
(よろしければ、コメント、保守お願いいたします!) - 16二次元好きの匿名さん22/07/25(月) 23:02:31
あんこうなべ氏のSSだ!
不穏さが凄い…今度はどんな結末を迎えるのかめちゃくちゃ楽しみ - 17二次元好きの匿名さん22/07/25(月) 23:04:17
お耽美だァ…囚人尾形のDV旦那っぷりがすごい…怖い…好き…
- 18二次元好きの匿名さん22/07/25(月) 23:07:51
新作やったー!
またガラッと変えた設定で読めて嬉しいです! - 19二次元好きの匿名さん22/07/25(月) 23:56:03
台本のト書みたいでいいね…シェイクスピアの和訳とか読むの好きだからドキドキする
- 20二次元好きの匿名さん22/07/26(火) 06:39:20
髪伸びた勇作殿…お美しいんだろうな…
- 21二次元好きの匿名さん22/07/26(火) 13:08:15
楽しみ保守
- 22二次元好きの匿名さん22/07/26(火) 19:48:24
保守
- 23あんこうなべ22/07/26(火) 20:45:05
(舞台変わってホテルのテラス。尾形が椅子に腰掛けて、新聞を読みながらコーヒーを飲んでいる)
(舞台奥から、給仕が現れる。格好はまさしくホテルの給仕だが、何故か顔は宇佐美そっくりである)
給仕「コーヒーのお代わりは……?」
尾形(黙ってコップを差し出す。顔は新聞を見たまま) - 24あんこうなべ22/07/26(火) 20:49:00
尾形「妻は、どうしている?」
給仕「お部屋におられます。例の蝶を追いかけて居られますよ」
尾形「まだ捕まえられんのか」
給仕「今度のは、すばしっこいようで……。シャンデリアの陰に止まったり、聖書のページの間に隠れたりして、難しいのだとか」
尾形「あれはあの方にちょうどいい運動なんだ。手を貸したりするなよ」
給仕「………」 - 25あんこうなべ22/07/26(火) 20:55:13
尾形「これは夫としての気配りだ」
給仕「ですが、お客様。(言いにくそうに)折角集めた蝶をわざわざ部屋に放して、それを追いかけさせたりするのは、ひどく無駄な事のような気がするのですが…」
尾形「あの人の為にしているんだ。お前の構うことじゃない」
給仕「………」
尾形「それに、窓は全部閉め切っているから、蝶は逃げる気遣いがない」 - 26あんこうなべ22/07/26(火) 20:58:03
(話しているうちに、蝶が舞い込んでくる)
(おや、という顔で上を見上げる給仕)
(蝶に気づいた尾形、顔色を変え、腰を浮かせる)
舞台暗転 - 27あんこうなべ22/07/26(火) 21:03:40
(ホテルの部屋。窓をすべて締め切っており、薄暗い)
(白い着物を着た勇作が、蝶を探して部屋を当てどなくぐるぐると回っている。まるで夢遊病者のような動き)
(やがて、疲れたのかソファにくったりと座り込み、机の上に置いていた蝶の標本を見つめる)
(そこへ突然、青年が現れる。このホテルの客。ドアに鍵が掛かっていないことに気づき、思い付いたようにドアを押す) - 28あんこうなべ22/07/26(火) 21:06:38
青年「こんにちは!」
勇作(驚いて青年の方を見る)
青年「済みません、ドアが開いていたものですから、ご忠告がてらに……。お顔を一度も拝見したことがありませんね。もう3日もここに泊まっているのに」
勇作(怯えるように後退りする) - 29あんこうなべ22/07/26(火) 21:10:47
青年「それは……。蝶の標本ですか?お見事ですね。貴方が作られたのですか?」
勇作(僅かに顔を上げ、頷く)
(青年、その仕草に勇気を得たように部屋に入る)
青年「どうしてお会いしなかったんでしょう?ちっともお部屋から出られないのですか?」 - 30あんこうなべ22/07/26(火) 21:18:49
勇作「(弱々しく)時々、ポーチに出ます。旦那様が買ってくださった薔薇に日光を当てるために……」
青年「それだけ?」
勇作「はい。旦那様は人には役目があるって。私の役目は、あの方の妻であること。それでも、時々こうして蝶を下さるんですよ。私の為に」
青年(当惑した面持ち。勇作が男性であることに気づき、異常さを感じている) - 31あんこうなべ22/07/26(火) 21:24:47
勇作「でも、今日は駄目です。蝶が見つからない。……時々、ポーチから貴方をお見かけしました」
青年「本当に?」
勇作「ええ。望遠鏡で」
(机の上に置いてあった筒を手に取る)
勇作「こっそりと、作ったのですよ。旦那様が居られないうちに。蝶の点検のために下さった虫眼鏡のレンズを外して、筒に嵌めて……」 - 32あんこうなべ22/07/26(火) 21:30:15
青年(その筒を取り、自分の目に当てて窓を見る)
青年「(困ったように)……よく見えませんよ」
勇作「(悲しそうに)ええ、分かっています。遠くを見るためのレンズではないから。私は世界を見たいと思っても、見たい世界が何かが分からない。」
勇作「でもいいのです。優しい方を見られました。他に何も見えなくても、貴方を見られました」 - 33あんこうなべ22/07/26(火) 21:34:22
青年「(傍白)なんと気の毒な人!すっかり狂ってしまわれている」
青年「(傍白)だが、こちらが恥ずかしくなるような気品さえ感じる。この人はどういう人だったのだろう。『旦那様』が狂わせたのか?」 - 34あんこうなべ22/07/26(火) 21:37:45
青年「……名前を教えて頂けませんか?」
勇作「………」
青年「いけませんか?」
勇作「(躊躇うように)……ゆう、さく」
青年「勇作さん。今なら扉が開いていますよ」
勇作「え?」 - 35あんこうなべ22/07/26(火) 21:40:08
青年「今なら、僕と一緒に外へ出られますよ」
勇作「………だめ。だめ……、です。その、……お分かりでしょう」
青年「外の空気を吸えますよ」
勇作「あ……貴方が……ここへ来て……下さるなら」
青年「何故、震えているのです?」 - 36あんこうなべ22/07/26(火) 21:45:09
勇作「私は……私は………」
青年「怖いのですか?」
勇作「違います。違います。何故、怖いなんて」
青年「では何故出ないのです?」
勇作「………」
青年「お許しがなければ、出られないのですね?」 - 37あんこうなべ22/07/26(火) 21:49:44
勇作「私……私は、分かりません。何故か。私は……外に出るなんて、考えたこともありません。多分……その方がいいから」
勇作「(自分を納得させようとするかのように)する事が沢山あるのです。ほら、蝶や、薔薇や、聖書……。本当に、する事が沢山……」
勇作「分かって、いただけますか?出掛けたりしたら、何も出来なくなってしまうから……」
勇作「(思い出したように)それに、旦那様はいつも鍵をかける。窓にも、普通はドアにも」 - 38二次元好きの匿名さん22/07/26(火) 21:51:49
勇作さんは青年と話をしてるだけなのにいけない事してるのを見てるような恐怖と高揚感を感じる…ドキドキする…
- 39あんこうなべ22/07/26(火) 21:54:23
青年「そうだと思った」
勇作「違います!貴方は、貴方は分かってない。貴方が思うのとは違います。意地悪で、閉じ込めようとして鍵をかけたのではありません」
勇作「でも、私の為に。だから……恵み深い事なのです」 - 40あんこうなべ22/07/26(火) 21:55:40
(突如として、奥の部屋から時計の音が響く)
ボーン……ボーン……ボーン…… - 41あんこうなべ22/07/26(火) 21:57:56
青年「あれは?」
勇作「(恐ろしそうに)警告です!」
青年「どういう意味です?」
勇作「貴方に出て行けという警告。時間なのです」
青年「時間?」 - 42あんこうなべ22/07/26(火) 22:00:56
勇作「時間がきたのです。行って下さい。今すぐに。早く。これ以上居てはいけません!出ていって!」
青年「何故ですか?」
勇作「何故?(戸惑うように)分かりません。でも……」
時計の鐘(更に大きく)︰ボーン……ボーン……ボーン…… - 43あんこうなべ22/07/26(火) 22:03:08
青年「何かがここでは間違っています。勇作さん」
勇作(身を震わせている)
時計の鐘(更に大きく)︰ボーン……ボーン……ボーン…… - 44あんこうなべ22/07/26(火) 22:06:32
勇作「ああ、お願いです、出て!」
青年「電話をくれますか?」
勇作「お願いですから……」
青年「電話が駄目なら手を振ってください」
勇作「します。しますから……出て行って!」
青年「約束してください。また逢うと!」
勇作「出て行って!」(青年をドアの方へ押す) - 45あんこうなべ22/07/26(火) 22:09:38
青年「何故ドアの方ばかり見るのです?」
勇作(泣きそうになりながら)「どうか、遅すぎないうちに出ていって!」
青年「何かが、ここでは狂っている。あのドアの後ろに、何かがありそうな」
(青年はドアの方へ向かおうとする)
(それを止めようとするように、勇作は後ろから抱きしめる) - 46あんこうなべ22/07/26(火) 22:11:26
時計は金切り声をあげるような音を出し、まるでバネもネジも吹き飛んでしまったかのような音を立てて鐘の音が止む。
ドアが開き、尾形が現れる - 47あんこうなべ22/07/26(火) 22:16:50
勇作(弱々しく)「遅すぎた」
尾形「まともな男なら警告は2回で済む。馬鹿でも3回で十分だ。時計は3回打った。そして4回目、なのにまだここにいる。……何故だ?」
青年「鍵穴から覗いていたんですね!」
尾形「妻に話しているんだ。青二才」
青年「なんだと!」
尾形「青二才と呼んだんだ。与太者、香具師、間抜け。お前のような人間は分かっている」 - 48二次元好きの匿名さん22/07/26(火) 22:49:24
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- 49あんこうなべ22/07/26(火) 22:50:16
青年「何を言いたいのです?」
尾形「誤魔化しても駄目だ。近くから見て分かる。『汝は白く塗りたる墓に似たり、外は美しく見ゆれども、内は死人の骨とさまざまの穢とに満つ』」
尾形「……さあ、弁解してもなお見苦しい。すぐに出て、二度と来ないことが一番いい。」
(青年に背を向ける。) - 50あんこうなべ22/07/26(火) 22:57:48
青年「何故、勇作さんを外に出さないのです!」
尾形「誰をだと?」
青年「勇作さんです」
尾形「誰だ?」
青年「あなたの『妻』です!」
尾形「俺の妻だから出さないんだ。この人の肌は降りたての雪のように白い。日に当たろうものなら燃えだすかもしれない」
尾形「外では蜘蛛が巣を張り、この人が通るのを待ち構えているから出さない。お前が、外で待ち構えているから出さない。この人はとても感じやすい。だから出さない」 - 51あんこうなべ22/07/26(火) 23:36:38
尾形「さあ、いつまで突っ立っている?さっさと出ていけ。電話などしようと思うなよ。受話器は俺の部屋にある。……俺以外は誰も入らない部屋に」
(しばらく青年を睨みつけている)
青年(囁き声で)「戻ってきます。……きっと」
尾形(突然優しく)「勇作さん、疲れたのならお休みなさい。寝る前にお祈りをして、それでも眠れなければ聖書を読みなさい」
(青年、ドアの方に向かって歩き出す)
(ライトが、舞台中央で祈るような体勢で啜り泣く勇作を照らしながら暗くなる) - 52あんこうなべ22/07/26(火) 23:39:18
(本日はここまでにさせていただきます)
(コメント頂けたことに感激しています。正直今回は本当に趣味で突っ走っているので、反応無いんじゃないかと思ってました)
(よろしければ保守お願いします。コメントがいつも励みになっています) - 53二次元好きの匿名さん22/07/26(火) 23:57:41
お芝居らしい演出が素敵
宇佐美そっくりな給仕みたいに他のキャラも演者としてでてくるのかな?
続きが気になる… - 54二次元好きの匿名さん22/07/26(火) 23:58:53
時計の鐘鳴り出すとこ怖くてヒヒヒ…って笑っちゃった
囚人尾形の仰々しい感じ舞台っぽい演出に映えてしゅき… - 55二次元好きの匿名さん22/07/27(水) 08:38:40
宇佐美そっくりな給仕がいるって時点で原作軸とは完全に別物なんだろうけど
ならばこの2人はどんな経緯でホテル暮らしをしているんだろう - 56二次元好きの匿名さん22/07/27(水) 17:26:19
保守
- 57あんこうなべ22/07/27(水) 20:56:12
【第2幕】
ホテルの一室
尾形と勇作、舞台中央のソファに並んで座っている。
勇作は尾形の方にもたれかかり、尾形は時折勇作の手を撫でている。
2人、しばらく無言。 - 58あんこうなべ22/07/27(水) 21:06:08
勇作「……旦那様」
尾形「なんです?」
勇作「手袋を編んでいたのです。これから寒くなるから。旦那様の為に」
(勇作が尾形に手袋を渡す)
尾形(嬉し気に)「ありがとう」
(しばらく手袋を見つめているが、そのうち勇作の顔を見つめる) - 59あんこうなべ22/07/27(水) 22:03:53
勇作「……旦那様?」
尾形「貴方の優しい言葉は俺の薬ですよ。傷口をたちどころに治してしまう薬だ。でも……、貴方は、こういう人です」
尾形「薬を先にくれて、傷を後から与えるんだ。まず薬、薬の後に傷、そうして傷の後に、決して薬はくれない……」
勇作(困惑して)「私、旦那様に傷を与えようとしたことなんてありません」 - 60あんこうなべ22/07/27(水) 22:07:16
尾形「………」
勇作「旦那様……」
尾形(傍白)「そうだ。貴方は忘れてしまった。忘れさせた。俺が………」
勇作「旦那様。まるで、貴方は自分が必ず苦しむと決めつけていらっしゃるみたい」 - 61あんこうなべ22/07/27(水) 22:11:03
尾形「昼の後に夜が来るように、苦しみはいずれ来ます」
勇作「……」
尾形「俺の苦しみは、必ずあなたが生み出す」
勇作(どうしていいか分からず、尾形の胸元に縋る) - 62あんこうなべ22/07/27(水) 22:17:02
再び2人は沈黙する
尾形「もしも……」
勇作「え?」
尾形「貴方がもしも俺から逃れ、女でも男でも、誰かを愛して、その人間と一緒にでもなれば……」
勇作「なれば?」
尾形(薄く笑いながら)「別に俺は自殺なんてしませんよ」 - 63あんこうなべ22/07/27(水) 22:24:35
勇作「………」
尾形「でも俺は、自分は死なないで、そいつをきっと殺すでしょうよ。俺の魂は生きながら俺の体を離れて、その人間を殺しに行くでしょう。苦しめ、責め、苛んで……。殺すまできっと手を緩めはしない」
勇作(震えながら、尾形の手を握りしめる)
尾形「可哀そうに、貴方を愛する人間はみんな……。そうやって俺に殺されるんでしょう」
尾形、勇作を抱きしめる
尾形(吐き出すように)「俺のせいじゃない、みんな貴方が……!」
勇作(顔を背ける) - 64あんこうなべ22/07/27(水) 22:32:13
尾形「しっかり俺を見て。見ろ!貴方が愛しているのは俺だ。間違えずに俺を見て!貴方が愛しているのは俺なんだ。俺なんだ!」
尾形、勇作の顎を掴み目を合わせながら叫ぶ。
勇作、泣きそうな顔になりながらも、宥めるように尾形の背を撫でる。
そうして2人が見つめあっている中、ゆっくりと照明が暗くなる。 - 65あんこうなべ22/07/27(水) 22:45:51
【幕間】
ホテルの一室。誰もいない。
舞台袖から宇佐美に似た給仕が現れる。
給仕、舞台真ん中に立ち、給仕のチョッキを脱ぐ。
給仕、机の上に置いてある上着を取り、着始める。
給仕は、宇佐美時重の姿に変わる。 - 66あんこうなべ22/07/27(水) 22:54:00
宇佐美?「ああやれやれ。(ポケットから手鏡を取り出して見る)やっと自分の役ができる」
宇佐美?「皆さん、映画はお好きですか?僕は役者が羨ましい。お客さんに愛されて、舞台の上で何度も死.ねる。そう、何度も死ぬんだ。物語が終わるというのは、死ぬということだからね」
宇佐美?「いいな。僕も、篤四郎さんのために何度も、何度も死.ねるなら。何度もあの方の為に生きられるということだから」
うっとりとした顔でいるが、急に思いだしたように
宇佐美「でも、僕の今度の役柄はつまらない。よりにもよって、百之助に割り当てられた役なんてさ!」 - 67あんこうなべ22/07/27(水) 23:00:15
宇佐美?「そもそもここは何処なんだろう?まず、こんな場所は本当にあるのかな?」
宇佐美?「あいつ、勇作さんに言ってたようですね。『人には役柄がある』って……」
宇佐美?「とすると、あいつが演じたいのは勇作さんの夫?」
宇佐美?(笑いだして)「ああおかしい!幸せな夢を見たいつもりが、悪夢がずっと忍び込んでる!いつまでもカワイソウな奴!」 - 68あんこうなべ22/07/27(水) 23:13:22
宇佐美?「愛した人に愛されることを望んでるだけなのに、愛し方が分からない。だから『形式』を守るしかない。そう、役を演じるようにして。『夫』を演じて『妻』を演じてもらおうとする。……演じなければ、愛してることも愛されることも気づけない」
宇佐美?「……おや、皆さん不思議そうな顔ですね。これは結局、尾形の見ているただの夢かって?」
宇佐美?(苦笑しつつ)「ごめんなさい、僕にもちょっと分からない。そもそもあいつ、現実をちゃんと見ようとしない男だからね」
宇佐美?「分かるのは、あいつはあの人に愛される『芝居』をいつまでも続けたいってこと。見えるものみんな誤解してでも。愛する人を歪んだ世界に閉じ込めてでも……」
宇佐美?「僕だって別にこんな役が気に入ったんじゃないけど……。ちょっと面白いでしょ?あいつ、どんな風に幕を下ろすつもりかな?」 - 69二次元好きの匿名さん22/07/27(水) 23:23:03
やっぱり主の宇佐美、好きだな…飄々としているのもだけど愛に対して確固たる芯がある感じが尾形との対比になってて美しい…
- 70あんこうなべ22/07/27(水) 23:29:27
宇佐美?「ひょっとすると、僕以外にも見知った顔が出てくるかもね。百之助も、どうせなら幸せな夢に浸りきれるくらい馬鹿だったらよかったのに。」
宇佐美?「……あいつも自分の『お芝居』が狂ってることに気づいてる。だから、ちょっとずつ現実が水を差しに現れる。僕みたいな形を取って……」
舞台奥から、足音が聞こえる
宇佐美?「おっと、そろそろあいつが戻って来るな。やれやれ、また『お芝居』を続けなきゃ……」
上着を脱いで、また給仕のチョッキを着る。『宇佐美?』は『給仕』に変わり、舞台袖に去っていく。
舞台暗転 - 71あんこうなべ22/07/27(水) 23:36:30
(本日はここまでとさせていただきます。『お芝居』という形を利用して、どこまでが真実か、尾形の内面世界なのか……。という仕掛けに憧れてたんです。正直思ってた以上に難しいですが、最後まで頑張ります……)
(あと、私がSSを投稿すると毎回サーバーが落ちます。呪われてるのか?)
(いつもコメントをありがとうございます!ものすごく嬉しいです! よろしければ、保守とコメントを頂けたら幸いです) - 72二次元好きの匿名さん22/07/28(木) 00:00:47
尾形ってやっぱり職業柄、変に狂えない所があって(スナイパーが対象を見誤ってはならない)そこを宇佐美に指摘されてる時点でそうゆうとこだぞ尾形ァ...と思わず突っ込んでしまいました。
続きが凄く楽しみです。 - 73二次元好きの匿名さん22/07/28(木) 00:08:43
話全体がめちゃくちゃ好きな雰囲気でもう続きが待てない!ちょうだいちょうだい!になってる
望んだ夢を見ているはずなのに勇作さんはどこかうつろで
尾形は愛が向けられないことに怯えている
何度目の夢なのか…最初の頃はただただ愛される夢を見ていたんだろうか… - 74二次元好きの匿名さん22/07/28(木) 00:27:24
「別に俺は自殺なんかしませんよ」
これは原作の展開になぞらえているのか、
過去の夢でそういう終わり方をしたことがあったのか
そもそもこの夢を見ているのはどの時点の尾形なのか?
うーん謎が深まる… - 75二次元好きの匿名さん22/07/28(木) 01:57:41
尾形って原作で幻覚みてるし発狂死だからこういう現実と内面世界がぐにゃぐにゃ混じってる感じがめちゃくちゃ似合う…
案内人みたいなのが宇佐美なのもめちゃくちゃ分かる - 76二次元好きの匿名さん22/07/28(木) 05:35:05
傍から見れば狂っているようにしか見えないのに本人としては狂いきれてないんだよなあ…
どういう結末になるんだろう楽しみ - 77二次元好きの匿名さん22/07/28(木) 12:07:45
保守
- 78二次元好きの匿名さん22/07/28(木) 21:14:48
楽しみ わくわく
- 79あんこうなべ22/07/28(木) 23:31:42
申し訳ありません、今回は個人的な事情で投稿が深夜になりそうです!
- 80あんこうなべ22/07/28(木) 23:58:48
【第3幕】
ホテルのテラス。尾形は一人で椅子に腰かけている。隣には誰も座っていない椅子が一脚。
舞台袖から男が一人登場。男の顔は杉元に似ている。 - 81あんこうなべ22/07/29(金) 00:02:56
男、尾形の隣の椅子に近づき、尾形に声をかける。
杉元?「座っても?」
尾形(どうでもよさそうに頷く)
杉元(椅子に座る)
しばし2人とも無言。 - 82あんこうなべ22/07/29(金) 00:06:22
杉元?「……貴方は確か、俺の隣の部屋に泊まっていらっしゃいましたっけ?」
尾形「そうですか?……失礼。あまり人の顔を見ませんから」
杉元?(笑いながら)「別に構いませんよ。一応、ホテルの客同士では互いに詮索しないというのが暗黙のルールですからね。……ただ、もしやと思っただけです」
尾形「………」 - 83あんこうなべ22/07/29(金) 00:10:12
杉元?「このホテルにはよく来られるんですか?」
尾形「……いいえ。妻と共にあちこち旅をしてる途中にこのホテルがあった。それだけです」
杉元?「へえ。ずっと旅をしてるんですか?お金持ちですね」
尾形「俺ではない、妻が。……家の財産を相続したのですよ」 - 84あんこうなべ22/07/29(金) 00:19:20
杉元?「ご職業は?」
尾形(皮肉っぽく)「詮索しないのが暗黙の了解、では?」
杉元?(気まずそうに)「……失礼」
尾形「……男でありながら、わざわざ窮屈な制服を着こんで軍人を演じたり、給仕を演じたりする人間がいっぱいいるのに、おかしいじゃねえか。ただ『夫』を演じているだけだと答えれば、皆変な顔をするのは」 - 85あんこうなべ22/07/29(金) 00:29:01
杉元?「そりゃあ……。軍人や給仕は、れっきとした職業でしょう?」
尾形「俺の『夫という役柄』だって俺の職業ですよ。金は二の次。人生なんて、どうせ一幕のお芝居だ。俺はこの中で、なりたい役を演じたい。芝居の装置は世の中全部。テーマなんざどうでもいい。役者はただ、与えられた役に化けるだけ。皆お化けだ。化けて化けて、とことんまで化けぬいて……。最後は墓の中で、拍手を聞くんだ」
杉元?「……墓の中で聞こえるのは、拍手じゃなくて木枯らしでしょう」
尾形(自分の言葉に酔うようにして)「それだって一興だ。木枯らしは木の拍手、風の拍手と思えば」 - 86あんこうなべ22/07/29(金) 00:34:55
杉元?(少し気味悪そうに呟く)「……変わってますね」
尾形「変わってるとは、お優しい。皆、俺のことを狂人と噂してるらしいから」
男は、いささか尾形が怖くなっている様子。 - 87あんこうなべ22/07/29(金) 00:48:01
杉元?(話題を変えようとして)「貴方の奥様、俺はお目にかかったことが無いんですが、美人だって噂になっているようですよ」
尾形「……ええ。俺の妻で、そしてただ一人の弟です」
杉元?「弟?」
尾形(クツクツと笑いながら)「ええ。俺はあの人の夫で、兄ですよ」
杉元?「まさか。(冗談だと思って)ああ、それも貴方の言う芝居ですか。役回りだって言うんでしょう?」
尾形「その通り!役回りです。しかも互いに当たり役だ。……互いにしがみつき合い、絶望しあってる。この世の夫婦そっくりに」 - 88あんこうなべ22/07/29(金) 00:57:26
杉元?「貴方の本当の家族は?」
尾形「死にましたよ」
杉元?「……え?」
尾形「ええ勿論。俺が殺したんですよ。……さ、これも何かの縁だ。どういう訳か、あんただけには話しておこうと思える。こっちにお寄りなさい。詳しく話してやるから」
(そう言いつつ男に自らにじり寄る。男はすっかり気味悪くなり退ろうとするが、何故か椅子から立てなくなっている様子)
尾形(笑いながら)「まさか本当に帰りたいんじゃないでしょう?まだ夜には早い。……いてくれますね?」
男は無言で座ったまま。 - 89あんこうなべ22/07/29(金) 01:02:17
(すみません、今日は始まりが遅かったこともあって、短いですがここまでにさせてください……)
(その分、金曜の更新分が長くなると思います。尾形の『身の上話』パートです。)
(沢山コメント頂けて、信じられないような思いです。本当にありがとうございます!よろしければ、保守、コメントお願いします) - 90二次元好きの匿名さん22/07/29(金) 01:05:50
お疲れ様です〜投稿のペースは気にせずに
十分楽しませてもらってるので - 91二次元好きの匿名さん22/07/29(金) 01:17:46
乙です!ゆっくり楽しませてもらってます〜
言葉選び、言葉回しが読みやすいのに不穏さと妖しさがあってすごく好き - 92二次元好きの匿名さん22/07/29(金) 08:58:29
保守🦋
- 93二次元好きの匿名さん22/07/29(金) 14:11:51
保守
- 94あんこうなべ22/07/29(金) 19:27:43
尾形「俺の母は、芸者でした」
尾形「見目がよく、ある軍人に見初められて妾になったんです。……それでも、本妻に息子が生まれてからは、俺の父親はぱったり会いに来なくなったらしい」
尾形「なのに母は、そんな男を愛していたんですよ。毎日毎日、帰りを待ち続けて……」
尾形「とうとう気が狂いました」 - 95あんこうなべ22/07/29(金) 19:36:12
尾形「俺の祖母は、母を茨城の実家に連れて帰りました」
尾形「俺はそんな家で育ちました。祖父母と、狂った母親と……」
尾形「母は狂っていても、毎日台所に立ちました。毎日毎日……あんこう鍋を作るんです」
尾形「父の好物だったから。あんこう鍋を作れば、また愛した男が帰ってきてくれると信じていた」 - 96あんこうなべ22/07/29(金) 19:42:16
尾形「ある日、俺は祖父の古い銃を持ち出して、鳥を撃った。鳥の肉が手に入れば、母はあんこう鍋を作らなくなると思って……」
尾形「でも駄目だった。母はもう、目の前の子供も見えなくなっていた」
尾形「でも俺は幼心に、これが人間なんだと思いました」
尾形「人は、愛する方がいつでも奪われ、踏みにじられるのです。深く愛すれば愛するほど、失うものが増えていく」 - 97あんこうなべ22/07/29(金) 19:48:44
舞台の奥、勇作が現れる。知らずにここまで出てきたらしく、ぼんやりと視線を彷徨わせている
だが、尾形の声に気づき、思わず耳をそばだてる。そして、物陰にそっと身を隠す。 - 98あんこうなべ22/07/29(金) 19:58:19
尾形「そうして俺は……あんこう鍋に殺鼠剤を入れて、母に食べさせました」
尾形「父親に、僅かにでも愛が残っていれば、葬式に来ると思ったんです」
尾形「そうなれば、母は最期に、愛した人に会えるだろうと……」
尾形「でも……。父親は遂に来なかった」 - 99あんこうなべ22/07/29(金) 20:14:13
尾形「無駄だったんです。俺の愛は何もかも」
杉元?(黙って尾形を見つめている)
尾形「母にも俺にも、酷い仕打ちだ。もしも父が家に来ていたら。一度でも、母を愛していると信じられたなら。……そう考えながらじっと空を見つめて明かした夜も一夜ならず、二夜三夜」
尾形「俺は大きくなってから、軍隊に入りました。……そこで、『妻』に、俺の弟の勇作さんに初めて会ったのですよ」 - 100あんこうなべ22/07/29(金) 23:17:35
尾形「あの人は……勇作さんは、俺を兄として愛しました。何故かは分からない。俺が哀れだったのでしょうか?自分とは何もかも違うからでしょうか?」
尾形「そうして、俺も愛したのです」
尾形「なぜ俺も、そんな気になれたのか……。あるいは、そう……。あの人が、満たされているくせに、悲しげな顔をしていたからかもしれない」 - 101あんこうなべ22/07/29(金) 23:22:16
尾形「あの人は俺を見てこう言ったんですよ。『ずっと一人で育ったから、兄弟が欲しかった』……と」
尾形「それを聞いて、俺は、この人を自分の物に出来るかもしれないと思った」
尾形「あの人が、どこに行こうが、誰と会おうが、何をしようが、勇作さんは俺の物、すっかり俺の物」
尾形「愛するのも、一緒に生活するのも、殺すのも、俺次第」
尾形「そう思いたかった」 - 102あんこうなべ22/07/29(金) 23:31:17
尾形「それでも、あの人と話すうちに分かってきました」
尾形「俺と勇作さんとの間に共通する物なんて、何もないということが」
尾形「結局、俺たちは赤の他人。しかし、同じ軍隊にいたのだから、探る時間はあった」
尾形「例えば、何を望んでいたか、何を望んでいるか、何をしようとしているのか?眠る時には何を夢見るのか?窓の外を見つめるとき、何を考えるのか?俺がいないときには何を考えているのか?」 - 103あんこうなべ22/07/29(金) 23:51:25
(尾形はここまで一気に話し続けていたが、急に口ごもる)
尾形「……待っていました。あの人が理解できるのを」
尾形「分かったのは、あの人がどこまでも清らかだということだけ。俺の穢れを、あの人は遂に理解しないだろうということだけ」
尾形「……こんな俺とあの人が愛し合うには、どうすればいい?おっ母と父上のように、まるで生きている世界の違う人間同士が愛し合うには」
尾形「いっそ、世界を締め出すしかない」 - 104あんこうなべ22/07/30(土) 00:03:25
(最初は怯えた様子で黙っているだけの男だったが、尾形の話が進むうちに、表情が険しいものに変わっていく)
(男の顔つきと声は徐々に、『杉元佐一』へと変化していく)
杉元?「だから、こんな『芝居』を続けているのか?」
尾形(無言で男の顔を見つめる)
杉元?「世界を締め出したんじゃない。お前が勇作さんを閉じ込め、縛り付けているだけだ」
尾形「………」
杉元?「それは、絶対に愛じゃない」 - 105あんこうなべ22/07/30(土) 00:22:34
尾形「……」
無言で男を見つめているが、口元は笑っている。
男は急に立ち上がる。
杉元?「全部思いだしたぞ。お前のこと、勇作さんのことも全て!」
尾形(ゆっくりと)「一体、何を思いだしたと?」
杉元?「勇作さんは、戦争を生き延びた。そして国に帰って来てから……。花沢中将が死に、その財産を相続した」
杉元?「それから、行方不明になった」 - 106あんこうなべ22/07/30(土) 00:35:42
尾形(黙っているが、口元の笑みは深くなる)
杉元?「中将は戦争の責任を取って切腹したと説明された。でも本当は……お前が殺したんだな?」
尾形「……」
杉元?「それから勇作さんを攫って、自分の都合のいいように洗脳した。そうだろう?」
杉元?「『愛』を振りかざして、あの人を支配してるだけだ」
杉元?「あの人を『妻』に仕立て上げたのも、兄弟への愛し方だなんてしらないからだろう?」 - 107あんこうなべ22/07/30(土) 00:45:42
尾形「……どうとでもお好きなように。貴方の言う『愛』は、確かに俺と勇作さんのものとはかけ離れているんでしょう」
尾形「それでも、勇作さんは俺のものだ。肌は降りたての雪の色。声は天使の音楽。心は純粋無垢そのもの。俺が護ってきたからだ。あの人を安全な場所に置いたからだ」
尾形「扉の向こうの世界から護ってきた。貴方方の世界から。父上のような世界から。愛する者を、信頼を寄せる者を、むさぼり尽くそうと待ち構えている世界から」
尾形「親切という偽善の下に悪意を秘め、偽りの微笑みの下に残忍さを秘めている世界から」 - 108あんこうなべ22/07/30(土) 00:53:09
尾形「さあ、行きなさい。貴方方の世界に戻るといい。情欲に飢え、汚物が滴り、口づけをする振りをしながら貪り喰らおうとする堕落の世界に」
尾形「貴方がたの盲目の世界にいらっしゃるといい。勇作さんには、俺が光だけを与えるから」
(尾形が指を鳴らす。途端に、『杉元佐一』になっていた男は、急に夢から覚めたかのように普通の『男』に戻る。
尾形「もう随分日が傾いてきた。おやすみなさい」
(尾形は呆然として立っている男を残し、舞台袖へと去っていく)
舞台暗転 - 109あんこうなべ22/07/30(土) 00:55:24
(本日はここまでとさせていただきます)
(もうすぐこの話も大詰めになる予定です。最後までお付き合いいただけたら幸いです)
(コメント、ハートをありがとうございます! よろしければ保守をお願いいたします) - 110二次元好きの匿名さん22/07/30(土) 05:52:02
保守
どんな結末になるのかなぁ… - 111二次元好きの匿名さん22/07/30(土) 06:27:05
守るに全振りしたつもりで歪になっちゃうのほんと尾形…て感じする
- 112二次元好きの匿名さん22/07/30(土) 10:05:25
107と108の尾形の世界観がすごい好き
尾形が尾形の見ている世界を語るだけで引き込まれるものがある
勇作さんは確かに美しい人間だけど尾形が語るのは偶像のようでもあり…
杉元?(現実)を締め出してまた舞台に戻って兄弟で夫と妻を演じて、ってわああ~…やっぱり倒錯的だ好き… - 113二次元好きの匿名さん22/07/30(土) 17:20:01
ふたりぼっちの劇場かあ…救いは…あるのかな…
- 114二次元好きの匿名さん22/07/30(土) 17:47:23
ここまでの話、勇作さんも聞いてるんだよな…
劇場と現実が一時混ざりあった世界を見て何を思うのか - 115二次元好きの匿名さん22/07/30(土) 18:49:19
一番「役」を教え込んだであろう勇作さんが「兄様」と呼んだりふらふらしてるの見ると
このお芝居は尾形1人で無理やり維持してるんだな
役者はいっぱいいるのに一人芝居 - 116あんこうなべ22/07/30(土) 20:44:46
【第4幕】
ぼんやりと光がホテルの一室を照らす。
水の中を歩くかのように、勇作が現れて、しばらく無言で部屋の中を彷徨っている。
やがて今まで採集した蝶の標本を逆さまに振ると、無数の蝶がこぼれ落ち、部屋を舞っていく。
しばらく勇作は落ちた蝶を見つめているが、やがて泣き出す。 - 117あんこうなべ22/07/30(土) 20:52:53
勇作「嘘……何もかもが嘘……」
勇作「私にはもう何もない……。こうやってずっと彷徨い続けるだけ」
勇作「私は一体何者? あの人が恐い、あの人が哀れ、あの人から逃げたい、あの人を救いたい……」
勇作「最早、自分さえ分からない……」 - 118あんこうなべ22/07/30(土) 21:26:18
静かにドアが開く。以前部屋を訪れた青年が入って来る。
青年「勇作さん!勇作さん!」
青年、すすり泣く勇作に駆け寄る。
青年「ああ、何があったのですか、勇作さん(周りを見回しながら)」 - 119あんこうなべ22/07/30(土) 21:34:38
勇作「全てが、造り物です。この蝶も、この部屋も……」
青年(背中をさすりながら)「落ち着いてください」
勇作(青年が入って来た方のドアを窺いながら)「誰にも会わなかったのですか?入って来る時に」
青年「何故?」 - 120二次元好きの匿名さん22/07/31(日) 00:37:00
いいところで落ちやがってあにまん掲示板め!
保守 - 121あんこうなべ22/07/31(日) 01:27:31
(保守してくださってありがとうございます)
(掲示板が落ちてコツコツ書いた文章が全部消えました。前もこんなことがありましたね。やはり呪われてる気がする)
(そうしてジリジリ待っていてこの時間になってしまいました……。待ってくださった方は本当に申し訳ありません。続きは日が昇ってから(多分)書かせてください)
(最近夜更かしが多いのでちゃんと休んで物語を仕上げたいと思います)
(あともう少し、お付き合いください!) - 122二次元好きの匿名さん22/07/31(日) 05:42:23
夏休みだからかねえ…こまめに保守した方がいいかな保守
- 123二次元好きの匿名さん22/07/31(日) 13:06:22
保守
- 124二次元好きの匿名さん22/07/31(日) 13:09:32
このお芝居における青年の役柄もとっても気になるな
いや青年は青年という役なんだけど何と言うか登場するとすごく良い意味で異物感があってドキドキする… - 125あんこうなべ22/07/31(日) 19:36:19
勇作「旦那様に、見つかったら……」
青年「あの人は今外に出ています。この近くにはいませんよ」
勇作「私は、あの人が恐ろしい……」
青年「何故?」
勇作「私にはまるで知らない世界が、何も知らないうちにどんどん進んでいる。この部屋に私が取り残されているうちに。なのに私には、この一部屋さえ、隅から隅までがなんだかとても果てしない……」
勇作「……」
勇作「あの人は毎日毎日、私を愛しているという。ベッドに寝ている私をじっと見降ろして、愛していると囁いている……。なのに私はまるで独りぼっちなのです」 - 126あんこうなべ22/07/31(日) 19:42:35
青年「だからここに来たんですよ。私が……」
勇作「どこから?」
青年「世界の一番遠い場所から」
勇作「何をしに?」
青年「あなたを救いに」 - 127あんこうなべ22/07/31(日) 19:47:05
勇作「私を?」
青年「あなたを救いに来たんです。この化け物屋敷から……。ここはとても、貴方の住むところではない。表面は豪華だが、よく見ると埃と虫食いだらけだ。蓄音機の中には虫が巣食っているし、豪華な洋服ダンスの中は空っぽ。しかもあの男は怪物だ」
勇作「………」 - 128あんこうなべ22/07/31(日) 19:51:41
青年「だが、外はこうではない。そらはとても青いし、世界がある」
勇作「世界が?」
青年「さあ、ここを出ましょう」
勇作「どこへ?」
青年「どこへだっていいんですよ。ここから逃げ出しさえすれば」
勇作「逃げる?」
青年「出て行くんです。もう二度と帰ってこないんですよ。こんな場所にはさよならを告げるんです」 - 129あんこうなべ22/07/31(日) 19:57:09
勇作「でも……」
青年「さあ、躊躇っている時ではないんですよ、勇作さん」
勇作(混乱して)「ここは、化け物屋敷で、外へ逃げると外にはもう怪物はいないのですね?」
青年「ええ、外は素晴らしいですよ!本物の空があり、風が吹いている」
勇作「……私は、ここから出られるのですか?」
青年「ええ」 - 130あんこうなべ22/07/31(日) 20:18:26
しばらく勇作が青年を見つめたまま沈黙している。
青年「私は貴方に見せたいのです。世界や、その中にきらめいている色んなもの。サーカスだの夜店だの、色鉛筆だの、お祭りだの、劇場だの、花火だの、蝶の何倍もあるような気球だの……。貴方がずっと遠ざけられてきた、極彩色の世界と言うものを!」
勇作(困惑した表情)
青年「思いだして、貴方は偶像にされている!今までずっと、貴方は自分の人生を生きられていない!」 - 131あんこうなべ22/07/31(日) 20:27:35
勇作「違う……違います。私は……」
青年「貴方は、ご自身の『人生』というものを生きられたことがありますか?」
勇作「………」
青年「父親から、そして貴方の兄からさえ偶像としての役割を求められ、押し付けられている。そこに貴方の意志はない」
勇作「………」 - 132あんこうなべ22/07/31(日) 20:54:12
青年「怖いというのなら、目を閉じて。貴方の目の前に今世界が薄目を開きかけているんですよ。さあ、目を閉じて……」
青年が近づき、勇作の手を握ろうとする。
勇作は咄嗟に手を振りほどく。
勇作「やめてください!もうやめて!」 - 133あんこうなべ22/07/31(日) 21:20:07
勇作「違います、私は……。私は、自分で父上の言葉を信じたのです!自分で『兄様』の傍に居ると決めた!」
青年の腕を振りほどこうとする。
青年「逃げないで!何故この『夢』に留まろうとするのですか!貴方の自由を奪った人間の為に……」
勇作「もうやめてください、何も言わないで!」
しばらく青年と揉み合いになる。
勇作「助けて!『兄様』!!」 - 134あんこうなべ22/07/31(日) 21:26:23
勇作が叫んだ瞬間、銃声の音が舞台に響く。
青年、ばったりと崩れ落ちる。
勇作、呆然として立ったまま青年の死体を見つめる。 - 135二次元好きの匿名さん22/07/31(日) 21:28:57
わぁぁぁ…光…光の青年が……
- 136二次元好きの匿名さん22/07/31(日) 21:32:39
咄嗟に出るのはやっぱり旦那様じゃなく兄様の方なんだね……
- 137あんこうなべ22/07/31(日) 21:38:25
勇作「……『私』は何だったのだろう。私の、『役目』は……」
勇作「何を求められていた?……何を、したかった?」
勇作、また夢遊病者のように出て行く。 - 138あんこうなべ22/07/31(日) 21:41:55
やや長い沈黙
尾形が入って来る
尾形(驚いたように)「おやおや、こんなに部屋が荒れている……。(ため息を吐きながら)さて、蝶と男を片付けなくては」
尾形「おおい、来てくれ。部屋が大変なんだ」 - 139あんこうなべ22/07/31(日) 21:46:44
宇佐美に似た給仕、静かに、しかし素早く部屋に入って来る
宇佐美?「何か御用でしょうか」
尾形「片付けるのを手伝ってくれ。俺一人じゃどうにもならん。勇作さんは何処へ行った?片付ける前に呼んできてくれ。ああまったく。あの人は世間知らずだから、すぐに動揺してしまう……」
宇佐美?「………」 - 140あんこうなべ22/07/31(日) 21:50:18
尾形「おい、聞こえないのか?(苛々と)勇作さんをすぐに呼び戻すようにと言ったんだ」
宇佐美?「それが……」
尾形「それが?」
宇佐美?「勇作様は、もう出て行っておしまいになりました。多分、もうお帰りになることは、ありませんでしょう」
尾形(鼻先で笑って)「出て行ったって?出て行ったって帰って来るさ」 - 141あんこうなべ22/07/31(日) 21:54:23
尾形「あの人はどこにいたって、例え地球の裏側にいたって、俺が呼びさえすれば必ず帰ってくるんだよ。死が2人を分かつまでな」
宇佐美?「………」
(遥かな星に呼びかけでもするように)
尾形「勇作さん!」
宇佐美?(傍白)「………かわいそうにね」 - 142あんこうなべ22/07/31(日) 22:03:38
尾形「勇作さん!」
呼びながら、部屋を歩き回る。
給仕、しばらくその様子を見つめている。ふと机の上に置かれている小さな壺を見つけ、首を傾げる。
宇佐美?(傍白)「そういや、何だったんだっけ、これ」
給仕は近寄り、壺の蓋を開ける。 - 143あんこうなべ22/07/31(日) 22:07:17
宇佐美?「……骨。……ああ、お母さんのかな」
蓋を閉めて、また机の上に置く
宇佐美?「結局、好きなものに傍に置きたかっただけなんだよね。……人にはおぞましい悪夢にしか見えないってのが百之助らしいけど」
尾形「勇作さん!勇作さん!」 - 144あんこうなべ22/07/31(日) 22:10:47
尾形「勇作さん!帰っていらっしゃい!」
すると、まるで催眠術にでもかかったように勇作、呆然として入って来る。最早、憑りつかれた人形のよう。
尾形「ほうら、帰って来た!(給仕に)俺の言った通りだろう?」 - 145あんこうなべ22/07/31(日) 22:19:40
尾形(喜んで)「駄目でしょう、こんなに散らかしては。それに勝手に出て行ってしまうなんて。(肩を抱くようにして勇作をソファに座らせる)」
尾形「勇作さん、貴方に街で土産を買ってきたんですよ」
尾形(打掛を取り出す。裾に紅葉の模様が見える)「貴方によく似合うと思って」
尾形は勇作に打掛を羽織らせる。勇作は人形のように、されるがままになっている。 - 146あんこうなべ22/07/31(日) 22:26:22
尾形「ほうら、よく似合う。俺の思ったのとそっくりだ。……さあ、顔を上げて。俺の顔をよく見て」
宇佐美?(しばらく舞台の端で2人を見つめているが、肩を竦めて、静かに去っていく)
尾形「ねえ、勇作さん。今度はどこに行きたいですか?……俺はね、どこだっていいんですよ。貴方がいらっしゃるなら、貴方がいらっしゃるから、どこだっていいんですよ」
ゆっくりと、幕が下りる。
暗くなっていく舞台に、尾形の笑い声だけが響く。
幕 - 147あんこうなべ22/07/31(日) 22:34:41
(これにてお終いです。楽しんでいただけたでしょうか?長い間お付き合いくださり、ありがとうございます!)
(この話の元ネタは、寺山修司の『毛皮のマリー』です。元から好きな話だったのですが、原作の愛憎入り混じる感じとかを変えたら囚人尾形の悪夢っぽくなるんじゃないかと思って書きました)
(コメント頂けて本当に嬉しかったです。また書くことがあれば、読んでいただければ幸いです)
(最後にちょっと解説を書きたいと思います) - 148二次元好きの匿名さん22/07/31(日) 22:36:46
乙です!解説楽しみ
- 149あんこうなべ22/07/31(日) 23:05:19
尾形:悪魔ほむらみたいなイメージです。母を殺して罪悪感を自覚し、また愛する者を父にされたように壊されたくないという強迫観念みたいな感じで勇作さんを攫い洗脳。共に逃げながら生活しているのは現実だが、出てくる人間が宇佐美や杉元になっているのは尾形の内面世界。もうこの『芝居』を続けていく以外に目的がない。
勇作:尾形に攫われ、壊れてしまっている。だが尾形を救ってやりたい、愛したいという観念だけは僅かに残っている。夢と現実とを彷徨っている夢遊病患者のような状態。終幕の人形の状態が一番現実の勇作に近い。
青年:勇作にとっての『現実』。深層心理で「このままではいけない」「自分には役目があったはず」という焦りが形をとり、舞台に現れた。尾形にとってはどうにかして排除しなければならない敵。
杉元?:尾形にとっての『現実』。尾形の「罪悪感」が杉元の姿を借りて現れた。しかし結局は尾形の意識なので、尾形が見たくないと思えば消えてしまう。
宇佐美?:役者であり観客。ある意味この舞台の中で尾形が唯一自由に動かせない存在。別に尾形の邪魔をする気はないが、『傍観者』を決め込んでいるので勇作殿を救う気も、尾形の夢を覚ましてやる気もない。ただ、末路を見届けてやる気でいる。この芝居の中ではちょっと上位種っぽい - 150二次元好きの匿名さん22/08/01(月) 00:03:58
悪魔ほむらでホヒョッとなったわ(別スレの話題出すのもアレだけど)
さながら宇佐美たちはまどマギで言う魔女の手下みたいな感じかな?魔女の思い通りになったりならなかったりする存在
最終的に閉じられた世界で不安定な幸せのなかで生きていく仄暗い結末、めちゃくちゃ好きだ…… - 151二次元好きの匿名さん22/08/01(月) 00:18:47
お疲れ様でした!
途中から元ネタ毛皮のマリーかなって思いながら読んでました
寺山修司、けっこう尾形に馴染むのかも…と新たな気づきも得られました
こっちでは杉元が尾形の罪悪感として表れてるのもいいな~
主の宇佐美の飄々とした傍観者感もすごいよかった - 152二次元好きの匿名さん22/08/01(月) 00:22:13
青年だけキャラ表示がなかったからもしかしたら勇作さんの別側面?って想像してたけど本当にそうだった
そう思うと「あの男は怪物だ」って言葉と尾形がそれを銃殺するのと辛いなあ
杉元(罪悪感)との問答で出た兄弟への愛し方を知らないから妻にするしかなかったの、尾形は母が父へ向けた愛しか知らないもんなあ…って思って凄く好きなシーンだった - 153二次元好きの匿名さん22/08/01(月) 12:08:54
青年の容姿は目元が見えてない勇作さんみたいなイメージだ…読み返すと口調とかも勇作さんに近くてなるほどすごいってなる
勇作さんの「助けて兄様!」はちょっとだけ尾形の「考えるな負ける!」に近いものを感じたりもしました
尾形が殺した青年はまた勇作さんから生まれてこの舞台にやってくることもあるのかな~ - 154二次元好きの匿名さん22/08/01(月) 12:13:20
青年が尾形に撃たれることが幕引きの合図なのかもしれない
凄くいい世界観だった - 155あんこうなべ22/08/02(火) 00:03:32
今さらですが、今までの作品もここにまとめておきます。(なんか毎回忘れてる……)
いつのまにか結構書いてるなあ。よろしければこちらの作品もどうぞ!
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