ルフィ「おいウタ!!」 ウタ「え!? ルフィ!?」 part5

  • 1FILM N.G.22/09/24(土) 20:25:16

    ONE PIECE FILM N.G. part5 “奏血のパレード”編その2


    前スレ『ルフィ「おいウタ!!」 ウタ「え!? ルフィ!?」part4“奏血のパレード”編その1』

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    3つ目『ルフィ「おいウタ!!」 ウタ「え!? ルフィ!?」part3“孤独の歌姫”編その2』

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    2つ目『ルフィ「おいウタ!!」 ウタ「え!? ルフィ!?」part2“孤独の歌姫”編その1』

    ルフィ「おいウタ!!」 ウタ「え!? ルフィ!?」 part2|あにまん掲示板ONE PIECE FILM N.G. “孤独の歌姫”編前スレ『ルフィ「おいウタ!!」 ウタ「え!? ルフィ!?」』https://bbs.animanch.com/board/969071/http…bbs.animanch.com

    はじめ『ルフィ「おいウタ!!」 ウタ「え!? ルフィ!?」part1“はじまりの風”編 』

    ルフィ「おいウタ!!」 ウタ「え!? ルフィ!?」|あにまん掲示板 何処かの海――― サニー号の選手で昼寝をしていたルフィのもとへニュース・クーのカモメがやって来た。「……んあ?」「クー!」「ああ新聞か? でもおれ読まねえしなー。要らねえ!」「クー!?」 いつも新聞…bbs.animanch.com
  • 2二次元好きの匿名さん22/09/24(土) 20:25:51

    ニカ

  • 3二次元好きの匿名さん22/09/24(土) 20:30:16

    ここから”奏血”になるのか

  • 4二次元好きの匿名さん22/09/24(土) 20:31:56

    そういえばちゃんと“パレード”って書いてあるんだよな……

    パレードってそういう……

  • 5二次元好きの匿名さん22/09/24(土) 20:36:42

    一応保守

  • 6二次元好きの匿名さん22/09/24(土) 20:37:30

    でもネズキノコないから流石にウタがなんとか寝れば...

  • 7二次元好きの匿名さん22/09/24(土) 20:38:21

    ララバイまで歌ってるから次は…

  • 8二次元好きの匿名さん22/09/24(土) 20:38:56

    おれは信じてるよスレ主を…

  • 9二次元好きの匿名さん22/09/24(土) 20:39:17

    バギーの動向も気になるわね…

  • 10二次元好きの匿名さん22/09/24(土) 20:52:10

    一時間前の自分を恨んでは一時間後の自分にパスするの
    正直わかる()

  • 11二次元好きの匿名さん22/09/24(土) 23:33:40

    羨ましい
    こんなに長いSSを書けるなんてすごい
    私なんてここで言うところの50レス分しか書けないのに

    だからスレ主を待つ!

  • 12FILM N.G.22/09/24(土) 23:48:01

    前のスレも埋めれたので書けた分を上げます
    そして寝るぜ

  • 13FILM N.G.22/09/24(土) 23:49:34

     “ウタワールド”での歌唱が現実にも影響を及ぼす。眠った者を操る力が強化されてロビン達に牙を剥こうとしている。
     ルフィは猛攻を続けながら少しずつウタの方へと歩を進める。だがそれは遅々としており彼は苛立ちに血管を額に浮き上がらせる。

    「「ルフィ!!!」」

     そこで駆け付けたのはゾロとサンジだった。

    「「おれが道を切り拓く―――」」

     言葉が被った二人は睨み合う。

    「邪魔すんじゃねえアホコック!! ここはおれがヤる!!」
    「邪魔そっちだクソマリモ!! あっちでチマチマ雑魚掃除でもしてやがれ!!」

     音符の戦士を斬り捨て蹴り砕きながらゾロとサンジはどっちがルフィのサポートをするかで言い争う。こんな時でも相変わらず犬猿の仲、これが2人の平常運転とも言えるが……状況を考えて欲しい。

    「バカやってんじゃないわよ二人ともォーーッ!!!」
    「「ぶへ!?」」

     だから当然怒られた。ナミの鉄拳がゾロとサンジの顔面に炸裂する。

  • 14FILM N.G.22/09/24(土) 23:50:20

    「このクソ忙しい時まで下らない喧嘩してんじゃないの!!! そんな暇があるなら2人でやりなさい!!!」
    「て、てめェナミ」
    「厳しいナミさんも素敵だァ♡」

     叱咤を受けた2人は渋々ながら協力することに決めてルフィの前へと躍り出る。

    「まったく世話の焼ける―――」

     見送るナミ。その背後から音符の戦士の集団が襲い来る。

    「“魚人空手奥義”!!!」

     その直前に巨体が高速で接近、覇気を纏わせた拳を放つ。

    「“鬼瓦正拳”!!!」

     一体の音符の戦士に激突する正拳。魚人空手による水の制圧が衝撃波となって覇気と共に周囲へ迸る。まるで爆発のような衝撃によって大量の音符の戦士が弾け飛んだ。

    「ジンベエ!!!」
    「うむ。頼られたからには相応の活躍はせんとな」

  • 15FILM N.G.22/09/24(土) 23:50:39

     ジンベエが前衛に回り、ナミが後衛で天候棒を振るう。仲間同士の連携。ここ以外でもチョッパーに跨がったウソップが縦横無尽に射撃を続けて戦場を撹乱していく。

    「必殺“緑星”―――“竹ジャベ林”!!!」

     後方足下へ撃ち込んだ種子が急成長、槍のような竹が幾本も生えて突き上がる。

    「おいウソップ!! あいつら飛んでるから効果薄いぞ!?」

     チョッパーが飛行で回避してくる戦士を見てウソップにそう言う。だがウソップは慌てない。敵に追われる緊張感は有るがこの状況は意図して作った物。

    「飛ばしたのさ!!! 何故なら“こいつ”は球根を中心に衝撃波を発生させるからな!!!」

     浮かぶ音符の戦士達に向かってウソップがカブトに番えた種子を放つ。

    「喰らえ必殺“緑星”―――“衝撃狼草(インパクトウルフ)”!!!」

     遮蔽物の無い空中で発動した“衝撃狼草(インパクトウルフ)”が全周囲へ衝撃を拡散させる。その範囲内に居た戦士は一気に吹き飛び撃沈した。

    「うォおお~~!!? スゲェぞウソップ!!!」
    「どんなもんだ!!! 行くぜチョッパー、おれ達のコンビネーションを見せてやれ!!!」

     圧倒的機動力を得た狙撃手は誰にも止められないのだ。

  • 16FILM N.G.22/09/24(土) 23:51:39

    今日はここまで
    明日の朝か、無理だったら夜に投稿したいです(希望)

    それではおやすみなさい

  • 17二次元好きの匿名さん22/09/24(土) 23:56:40

    すごいスラスラ読める文章書けるのすごい

  • 18二次元好きの匿名さん22/09/24(土) 23:57:21

    🍲🐉釜がそろそろ万℃に到達しそうだな

  • 19FILM N.G.22/09/25(日) 08:03:31

     夢の世界で麦わらの一味の奮闘。一つの目的を持って動く彼らの働きが、遂に血路を作り上げる。

    「おおおおォーーーーッッ!!!」

     仲間達が切り拓いたそこを真っ直ぐに、疑うこと無く駆け抜ける。

    「―――!!!」

     ウタの目の前へと降り立ったルフィ。まさかあれだけの軍勢を潜り抜けて辿り着くとは予想していなかった彼女は動揺によって一瞬だが判断に遅れが出てしまう。

     手を伸ばせば届く距離。ウタは直ぐにルフィからの攻撃に対処する為、能力を行使しようとするが―――

    「ん」

     何が起こったのか理解出来なかった。

    「……は?」

     ルフィがウタの目の前で胡座を掻いて座り込んだのだ。戦いの最中、無防備に。

  • 20FILM N.G.22/09/25(日) 08:24:19

    「……何……やってんの?」
    「…………」

     理解出来ない。ウタは先程よりも大きな動揺に思考がまとまらなくなる。

    「……ね、ねえルフィ。わたし達……今戦ってるんだよ?」
    「…………」
    「そんな……ふざけてるの? ……座り込んで……」

     2人の周囲では今も激しい戦いが繰り広げられている。ルフィが戦線から抜けた分より状況が悪くなっている……だが彼らは全く気にする素振りを見せない。

     ただ托す。自分達の船長に。この戦いの行方を。

    「いったい何を考えて―――」
    「ウタ」

     先までの激昂が嘘だったかのように、彼はとても静かな口調で彼女に伝える。
     大事なことを。
     昨日、彼女の“過去の全て”を聞いて、ずっとずっと思っていたことを。

    「悪くない」

     ルフィはウタに伝える。

    「お前は悪くない」
    「――――――」

     音符の戦士達が止まった。
     “ウタワールド”から―――音が止まった。

  • 21FILM N.G.22/09/25(日) 09:24:15

    続きは夜です。読んでくれてありがとうございます

  • 22二次元好きの匿名さん22/09/25(日) 09:29:25

    引きがうますぎて辛い。先が気になる。

  • 23二次元好きの匿名さん22/09/25(日) 09:36:07

    ルフィ…!

  • 24二次元好きの匿名さん22/09/25(日) 10:04:11

    ほしゅ

  • 25二次元好きの匿名さん22/09/25(日) 16:38:01

    >>19

    >>20

    る、ルフィ…かっけぇ

  • 26二次元好きの匿名さん22/09/25(日) 16:40:37

    完結したらpixivかハーメルンにまとめてほしい…

  • 27二次元好きの匿名さん22/09/25(日) 16:41:18

    >>26

    もう確かハーメルンの方にあるで

  • 28二次元好きの匿名さん22/09/25(日) 19:30:40
  • 29FILM N.G.22/09/25(日) 21:31:40

     その影響は現実世界にも。

    「……間に合ったようね」

     ロビンはハナハナの能力で取り抑えていたナミとウソップ、そして噴水跡に溜まった水に半身を沈めたチョッパーから抵抗する力が抜けたことでそれを察する。

    「首の皮一枚繋がりましたね……私、皮膚無いですけどォ!!!」

     ゾロとジンベエに対して防御と撹乱に専念していたブルックが安堵のジョークを漏らす。ゾロとは偶に立ち会いを行う経験、ジンベエの水の制圧も“黄泉の冷気”で効果を半減させられるので、この2人との相性はそこまで悪く無かった。

    「スーパー……!!! 疲れたぜこの野郎ォ~~!!! 痔になったらどうする気だァ!!?」

     ルフィとサンジを相手取って大活躍したフランキー。空気の大砲を放つ“風来砲(クー・ド・ヴァン)”とその放屁バージョンの“風来噴射(クー・ド・ブー)”、その二つでルフィとサンジを吹き飛ばすことで徹底的に直接戦闘を回避する戦法。それによってフランキーは辛い戦況を乗り越えた。そしてとっても臭かったのでロビンはすごく嫌そうな顔をしてた。

  • 30FILM N.G.22/09/25(日) 21:40:27

     操られていた仲間達が動かず眠りに付いたのを確認した3人は合流し、ウタの動向を警戒する。

    「……どう思います? 何でしたら今のうちに拘束しますか」
    「少し様子を見ましょう」
    「おう、ロビン。もしルフィ達がまた操られたら流石にキツイぜ。おれァブルックに賛成だぜ」

     ルフィ達同様、ウタもまた動きを止めていた。目の焦点が合っておらず呆然と立ち竦んでいる彼女を差してブルックとフランキーは拘束を提案するが……ロビンは首を横に振る。

    「後は任せましょう。ルフィに」

     水から引き上げたチョッパーを胸に抱いてロビンはそう言った。
     全てはこの瞬間の為に行われた作戦。ただ言葉を交わすだけでは駄目なのだ。それでは足りない。

    「私達の船長は……私達が思う以上に“先”を見てくれているわ」

     本気でぶつかり合わなければ、孤独な歌姫はその胸の内を明かしてくれないから。

    「だから私達は信じて待ちましょう」

     少女の心に隠された―――“地獄”を。

  • 31二次元好きの匿名さん22/09/25(日) 21:48:11

    フランキー臭いけど頑張ってたんだな
    臭いけど

  • 32二次元好きの匿名さん22/09/25(日) 21:55:24

    意識ないとはいえ閻魔と魔神風脚の双翼相手によう頑張ったわ

  • 33FILM N.G.22/09/25(日) 23:13:06

     ■■■

     うたっても うたっても えがおに なれません
     子どもたちを ころした人を ころしても
     えがおに なれませんでした

    『でも すこし しずかになった』

     あたまが われそうなほど うるさかったけど
     だれかを ころしたときは すこし しずかになりました

    『ぜんぶ しずかに なれば 世界は 平和に なるかな』

     そうして その人は 歌を うたいながら
     世界を しずかに することに きめました

     ■■■

  • 34二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 00:08:12

    >>33

    あーあついに壊れたか

  • 35二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 07:43:16

    IP規制多すぎて好きなスレ保守出来るか不安になる
    保守

  • 36二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 07:44:02

    >>35

    wi-fi使いなせぇ

  • 37FILM N.G.22/09/26(月) 09:05:23

     顔は青褪め、体は震え。ウタは瞳孔の開く目でルフィを見る。

    「……わ、わたしが……悪く無い?」
    「…………」
    「何を言ってるのルフィ」
    「…………」

     座り込み目を瞑ったルフィ。

    「答えてよッ!!?」

     ウタの吐き出すそれは怒声と呼ぶにはあまりに痛々しく……まるで幼子が恐怖で泣き喚く様に似ていた。

    「ウタ」
    「ッ!!?」

     だから彼女は後退る。自分から口を開けと言ったのに、その言葉の先を聞くことを怖れて。

    「おれさ、ずっと変だと思ってた」

     座り込んだままルフィは話し出す。もう近付く必要は無い。ここまで来れば実際の距離は関係無い。
     ようやくだ。ようやく、彼女がずっと被っていた“歌姫の仮面”に罅が入ったのだから。

    「エレジア滅亡? お前を捨てた? ……どっちもするわけ無ェだろ」

     ルフィの脳裏によみがえるシャンクス達との思い出。ガキだった自分達をいつだって見守ってくれていた優しい目。酒を頭から掛けられようと笑って流せる誇り高さ。仲間や友達の為ならどんな相手だろうと戦う強さ。そして―――

    「シャンクスはお前のこと、大好きだったから」

     愛すべき者達の“未来”の為に、自らが傷付くことを厭わない偉大な男だった。

  • 38二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 09:15:49

    そりゃ1年ぐらいの付き合いのガキの為に片腕出せる男だもんな
    娘の為なら何でもするだろう

  • 39FILM N.G.22/09/26(月) 09:20:43

    「……ッ!!!」

     ウタは泣きそうな顔で唇を噛む。溢れ出しそうな自分の感情を無理矢理抑え付けるように。そんな彼女をルフィは真っ直ぐ見る。

    「そっか……そうだよな。やっぱお前も知ってたんだな。だから“いつも”辛そうな顔してた」

     左手に有る“新時代”のマークに縋るように立つ彼女へ、ルフィは静かに語り掛ける。

    「昨日ゴードンのおっさんから事情聞いたけど……全然ピンとこなかったからさ」





     ゴードンの口から語られる12年前の出来事。

     音楽家なら誰もが訪れることを望む“音楽の都エレジア”。そこへやって来た赤髪海賊団とまだ幼かったウタ。

    『―――なんと素晴らしい歌だ!!! 私は君が来てくれたことをとても喜ばしく思う! どうか我々に君達を歓迎させてほしい!!』

     ウタの歌声はエレジアの人々を大いに感動させた。類い希なる才能だと。どうかこの地で存分にその才を伸ばしてほしいと滞在を勧めた。

  • 40FILM N.G.22/09/26(月) 09:42:19

     エレジアの人々はそれはそれはウタを可愛がった。彼らは音楽を愛し、何より音楽を愛する者達を愛せる人達だったから。

    『とっても素敵!もっと聴かせて貴女の歌!』『ウタちゃんこの曲も歌ってよ!』『楽器に興味は?』『食事中に音楽は有り派?無し派?私は無し派が無し派』『君の才能はきっと神様からの贈り物だね』『今度ホールで少年合唱団の大会が―――』

     楽しい日々だった。ウタにとって自分と同じかそれ以上に音楽を歌い奏でられる大勢の人達との出会いは貴重だったから。毎日が発見と驚きの連続で、彼女もこの国が大好きになった。

    『ぐえ~!! 負けた~!!?』
    『へへーん。わたしの勝ち~』
    『ついにウタちゃんが“歌勝負”で同年代を全滅させたぞォ!!?』

     年の近い子がこんなにも大勢居るのも新鮮だった。流石にルフィのような負けん気の強さとハチャメチャさを持った子は居なかったが……

     そうした日々が続く内に、エレジアの人々はウタがこの国に住んでくれるように望み始めた。だが彼女はそれを望まなかった。

    『わたしは赤髪海賊団の音楽家ウタだから』

     エレジアの人々は落ち込んだが……直ぐに笑顔で彼女達を送り出すことを決める。
     離れていようと自分達は音楽を愛する同志なのだと。この世界に音楽が在るかぎり、風はどこまでもその音色を乗せて運んでくれる。だから寂しくても悲しいことでは無い。

     少女の心に楽しく美しい思い出が満ちますように。そうして赤髪海賊団とウタを招いての最後のパーティーが企画されることとなったのだ。

  • 41FILM N.G.22/09/26(月) 09:44:19

    朝の更新はここまで。次は夕方か夜にでも
    多分つらい描写が続くことになります

  • 42二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 14:43:18

    心して待つ

  • 43FILM N.G.22/09/26(月) 18:25:18

     パーティーはとても楽しい物となった。エレジアの人々はウタとの別れを惜しみながらも船出の安全と幸福を願って精一杯祝った。
     今日が最後だからと、ウタに歌って欲しい楽曲を持ち寄って。

     そうした会場の空気が―――地獄に繋がるとも知らず。




     ■■■

     ころして ころして ころして

     歌を うたう

     ころして ころして ころして

     子どもたちの 歌を

     ころして ころして ころして

     みんなの ために つくった とくべつな歌

     ころして ころして ころして

     ■■■

  • 44FILM N.G.22/09/26(月) 18:31:56

    『―――……ゴードン?』
    『……ああ……目が覚めたんだね』

     いつの間にか眠っていたウタ。寝かされていたベッドから起きて外に出てみれば……その先は燃え盛るエレジア。そして傷だらけのゴードン。

    『ゴードン……これ……シャンクスは? ……みんなは?』

     ウタは夜の闇を深くする光を、国を焼いていく炎を唖然と眺めながら包帯に血を滲ませたゴードンに尋ねる。彼は僅かに視線を彷徨わせる。まるで今から口にする言葉が酷く言い難いかのように。
     果たして、ゴードンは意を決してウタに伝える。伝えなければならない、そう決めていたことを。

    『……ッ!! 彼らが!!! 彼らが全て……奪った……ッ! ……君は騙されていたんだ赤髪海賊団に!!!』

     真に迫る。体を震わせながらゴードンは必死に言葉にする。

    『彼に、シャンクスに!!! 全てはこの国の宝を奪う為!!! 君は利用されたんだ!!!』
    『――――――』

     水平線の向こう、自分を置き去りにして海の彼方へ進む海賊船をウタは見つけ―――走り出す。

    『……ッ!!? どうしてェーーッ!!?』

     憧れていた街が。好きになれた、此処に住む人々が好きにしてくれた国が……炎に呑まれている。
     走る。少女は走る。誰も居ない街を。いなくなってしまった街を。
     悲鳴さえ絶えてしまった死人の山を見ないように。視界に映るそれらが幻であることを祈りながら少女は走る。

  • 45FILM N.G.22/09/26(月) 18:36:32

    『いやだァーーッ!!? 置いて行かないでェーーッ!!?』

     港に辿り着くも船が戻ってくることは無い。遠く離れている海賊船から聞こえてくるのは大勢の高笑い。見えるのは甲板に山と積まれた宝物を囲んで杯を掲げる―――

    『何でだよォおおおおおおッ!!?』
    『危ないウタ!!?』

     海に落ちそうに……無謀にも船を追い掛けようとするウタの小さな体をゴードンは抱き留める。腕の中で彼女は泣き叫びながら暴れる。
     どれだけ遠くに居ようと見間違う筈が無い。ウタは知っている。自分が育った船レッド・フォース号を、船員一人一人の顔と名を、そして大好きな父親―――

    『シャンクスゥううううーーッ!!! ァアアああああああああああッ!!?』

     誰もウタを見てくれない。彼らは背を向けてただ笑うのみ。いつだって彼女を温かく見守ってくれた筈の家族達はもう遙か海の向こう。
     略奪し、国を滅ぼし、自分を捨てた。
     少女の心に刻まれた傷は深く、消えること無く残ることになった。



    『―――ここまで表向き伝わっている、ウタが知っているエレジア滅亡の事件。彼女はシャンクスとその仲間達がエレジアを滅ぼしたと思っている』

     ゴードンはそこまで語ると深く息を吐く。

    『……だが違う! 違うんだ本当は……赤髪海賊団がエレジアを滅ぼしたんじゃない!』

     そして彼はこれまで隠し通してきた“真実”を口にする。

    『―――“魔王”が……ッ!! “トットムジカ”が全てを滅ぼしたんだ!!!』

     慟哭と懺悔。その二つがない交ぜになった叫び。ゴードンのそれは城の資料室の高い高い天井へと吸い込まれていく。
     そこに描かれた天井画。照明が届ききらず薄闇に染まった不気味な画が、まるで嗤うように揺らめいた。

  • 46FILM N.G.22/09/26(月) 18:37:46

     ■■■

     そうして
     いつしか 子どもたちの歌は かわりはてました

     いのりと ねがいを こめた 音は
     いつしか いみを うしない

     つづく ことばは 世界への 

     怒り 呪い そして破滅

     はじめに いだいた りそうは きえはてて
     あとに のこるは 死

     死の こうしんは つづく

     世界から 怒りが きえぬかぎり
     世界を 呪うものが きえぬかぎり

     世界が 破滅する その時まで

     ■■■

  • 47FILM N.G.22/09/26(月) 21:46:36

    “それ”は曲だった。その曲が記された楽譜はエレジアの地下深く、城の資料室に封印されていた。歌の一音すら届かぬよう厳重に。
     だがパーティーの有ったあの日、何故か“それ”は封印を破って地下から抜け出した。

    『これは?』

     ソファに置かれていた古い楽譜。直前まで人々から求められるまま歌っていた少女ウタは“それ”を見つけて手に取ってしまった。これも自分に歌って欲しくて誰かが持ってきた物だと思ってしまった。
     だから歌ってしまう。その歌を。

    『“トットムジカ”』




     ■■■

     ゆめゆめ わすれるなかれ


     人の恐れ 人の迷い

     “トットムジカ”の名のもとに

     怯えよ 逃げよ


     世界が ほろびる その日まで

     ■■■

  • 48二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 22:57:41

    >>43

    このあたりから絵本っぽい語りに漢字が増えて来てるんだな

    漢字が増える=ムジカが表に出てきてる?

  • 49FILM N.G.22/09/27(火) 00:06:39

    『―――“トットムジカ”はウタウタの能力者が歌うことにより、その恐ろしい力を顕現させる』

     ゴードンは天井画を見上げながら“トットムジカ”について語る。

    『“魔王”とも呼ばれるそれは出現するなり幼かったウタを取り込んで暴れ始めた』

     巨人族を越える巨体で動き回り、僕(しもべ)を呼び、吐き出す光線で周囲を焼く。単純、だが強力。人に害を為すのに小賢しい技は必要無いと言うかのようにトットムジカは暴れた。

    『シャンクス達は戦ったのだ、トットムジカと。彼は自分の娘と、そしてエレジアを救おうとしてくれたのだ』

     事件の真相は世間に伝わった物と真逆と言って良かった。本来なら称賛されこそすれ、国を滅ぼした汚名を被ることなど無かった筈。

    『だが彼らは罪を被る選択をした』
    『……娘の為に』
    『そうだ』

     まだ年端もいかない子にどうして言えよう。お前がトットムジカを歌い“魔王”を呼び出した所為で国が滅んだなどと、エレジアの国民を皆殺しにしてしまったなどと。

  • 50FILM N.G.22/09/27(火) 00:08:05

     ―――歌い手(ウタ)が眠りに付いたことで解除されたトットムジカ。全てが終わってしまった国でシャンクスはゴードンに告げる。

    『―――おれ達がやった。おれ達がエレジアを滅ぼした』
    『何を……ッ!? 君達は戦ってくれた!!』
    『娘にこんな重荷を背負わせるわけにはいかない』

     シャンクスは燃え盛る街を見る。もうそこに生きている者など誰もいない。誰一人助けられなかった。今この国で生きているのはゴードンと赤髪海賊団、そして娘のウタだけ。

    『私が!! 全ては私の所為!! この楽譜を捨てられなかった……ッ!! 一つの音楽として愛してしまった私の所為だ!!』
    『あんたは悪く無い。悪いのは―――』

     眠ったままのウタを無事だった建物、そのベッドへ寝かせたシャンクスは笑顔を浮かべる。

    『悪いのは海賊で十分さ』

     シャンクスは快活に笑う男だった。それは短い付き合いのゴードンでもよく知っている。だからその笑顔がいつも見せてくれていたそれとは違うと直ぐにわかった。

    『……ウタには才能が有る。どうか歌手にしてやってくれ』

     我が子の頬を撫でる。最後に。その温もりを離したくなくても。

  • 51FILM N.G.22/09/27(火) 00:37:22

     そうして赤髪海賊団はゴードンと愛する娘に背を向けて歩き出す。ゴードンの傍らで傷の手当てをしていたホンゴウも終わらせるとその後へ続く。

    『ッ!!!』

     遠ざかる彼らの背に向かってゴードンは声高々に誓う。

    『私は誓う!!! あの子を立派な歌手にすると!!! 音楽を愛する者として、育て上げるとここに誓う!!!』

     トットムジカの楽譜を胸に強く掻き抱きながらゴードンは力強く宣誓した。シャンクス達はもう振り返らない。だけどその言葉はしっかりと彼らに届いていた。

     これがエレジア滅亡の真実。

  • 52FILM N.G.22/09/27(火) 00:38:04

    『……こうしてウタは“海賊嫌い”となり、怒りや憎しみを抱くようになった。シャンクス達は罪を被ったが……本当に責められるべきは私―――』

     ゴードンがこうして全てを語り終えた直後だった。

    『それは違ェぞ、おっさん』
    『……え?』
    『…………』

     皆が悲劇的な真実に神妙な顔をする中で、ルフィだけは異を唱えた。『違うとはいったい?』と戸惑うゴードンにルフィはしかし―――

    『……寝る!!』

     そんなことを言った。

    『は!!?』

     困惑するゴードンを置いてルフィはさっさと資料室から出て行く。勝手な行動だがそれを咎める仲間は居ない。




     ただ呆然とルフィが居なくなるのを見送ったゴードンに、同じように残された仲間達は慰めるような言葉を掛ける。

    『気を悪くしないでくれ』
    『ああ見えてルフィも色々考えてる』
    『まあそのまま一人突っ走って行くことも多いけど』

     仲間達に信頼されているのかいないのか。ゴードンはそんな彼らのルフィに対しての思いに何も言えず黙りこくる。

  • 53FILM N.G.22/09/27(火) 00:39:03

     そうして、ルフィが完全にこの場から立ち去ったタイミングでサンジはゴードンに礼を言う。

    『……しかし、ありがとよ。“あれ”のことをルフィの奴に黙っててくれて』
    『ん? あ、ああ……確かに、その部分だけは濁したが……それにいったい何の意味が?』

     サンジはこの話し合いが行われる直前、ゴードンに直接伝えたことが有った。

    『『おれが廃棄した“あれ”のことはルフィには話さないで欲しい』……どうして君はそんな願いを?』

     そんな願い。ゴードンにとっては理解出来ない内容。サンジ自身もその願いがこのエレジアの真実を知る直前までどれだけ意味を持つようになるのかわかっていなかった。
     果たしてサンジは“賭け”に勝った。

    『作戦決行は明日。それまであのバカ正直なルフィをどうやって黙らせておくか考えていた』

     煙草を咥えるが場所が場所なので火は点けない。

    『ウタちゃんはきっと“あれ”を捨てられてそのことで頭がいっぱいになってる筈だ。あんたの話しが本当なら彼女の“計画”の要になる代物だからな』

     レディの辛い境遇を知って暗い表情のサンジはだがニヒルに笑ってそれを教える。

    『それとなく聞いてくる筈さ……“あれ”の存在を、誰が捨てたのかを。まあそれを聞いた所でルフィは知っちゃいないがな』

     ゴードンから事件の全貌を聞き終えて、サンジはこの策がウタに刺さると確信する。

    『ルフィは嘘を吐けないバカだが“知らないこと”ならそんな心配する必要も無い。それに……他人の過去も自分からべらべら話すタイプでも無ェしな』

     ウタは“あれ”のことに意識が割かれ、それ以外のことが疎かになる。それが明日の作戦決行までの時間稼ぎになるのだ。

  • 54FILM N.G.22/09/27(火) 00:42:20

    本日はここまで。次は明日の夜になると思います。
    辛い展開のジャブが決まったので、次は右ストレートかボディブローぐらいのを決めたいですね

    それではおやすみなさい

  • 55二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 00:42:51

    乙でし………ん?

  • 56二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 00:44:40


    楽しみにしてるよ

    その鋭い一撃は辛い展開が晴れるってことでいいんすかね…
    それともあかんやつなんですかね…

  • 57二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 00:49:28

    >>多分つらい描写が続くことになります

    ウタの回想かぁ……何回見てもここはツラいよね……

    >>辛い展開のジャブが決まったので、次は右ストレートかボディブローぐらいのを決めたいですね

    えっ今のでジャブ????

  • 58二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 07:44:29

    やだぁ、スレ主が一方的にボコってくるぅ

  • 59二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 15:14:59

    保守する!

  • 60二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 21:41:40

    保守

  • 61二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 21:44:22

    追いつけた!

  • 62二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 21:47:25

    やっと追い付いたいいSSに巡り会えたよ

  • 63FILM N.G.22/09/27(火) 23:32:56

     ―――仲間の力を借りてルフィはこの日この時この場所で、ウタと本気でぶつかり合う状況を作った。そうした全てが今、ウタの本心と向き合う為の手段だった。

    「―――あの日、久し振りに会ってさ。直ぐにわかった。お前が今もシャンクスのことが大好きだって」
    「……どうして?」
    「見てりゃわかる」
    「何それ……答えになってないじゃん」

     ウタはその場にへたり込んだ。そして体はフラフラと前後に揺れて今にも眠りに落ちてしまいそうな状態。だが目だけはしっかりとルフィを真正面から映す。
     まるで観念したかのように彼女はぽつりぽつりと話し出す。

    「……ずっと、シャンクスがやったんだって思ってた。エレジアを滅ぼしたの」

     “新時代”のマークの上から手の甲に爪を立てる。強く強く爪を立ててマークが歪む。

    「ルフィの言う通り、そんなわけ無いのにさ。わたしはそれを信じることしか出来なかった」

     震える手。それは痛みによってでは無い。

    「恨んで憎んで……海賊に怒りを向けて……わたしはこの場所でそうして生きてきた」

     怨嗟を漏らしたウタは「でもね」と、その言葉でこれまでの感情を切る。

  • 64FILM N.G.22/09/27(火) 23:33:12

    「それまで日々が変わる出来事が起きた」

     ウタは掌の上に一つの物体を創造する。それは“電伝虫”だった。ただ見た目だけ再現した玩具だが実物そっくりである。だからこそ、その電伝虫が普通の物とは違う外見をしていると直ぐにわかった。

    「わたしの歌が皆に届けられるようになったの。3年ぐらいに前に。ちょっと変わった電伝虫が流れ着いて、その子達を使ってわたしは外の皆と繋がった。すごく楽しかったの。嬉しかった。だってわたしの歌で皆が喜んでくれたから」

     “新種の電伝虫”によって世界中に自らの歌を発信出来るようになった。好きだった歌で、世界と繋がれるようになったのだ。

    「わたしのこと“歌姫”だって言ってくれて。“救世主”って呼ばれた時はちょっと大袈裟だなって思ったけど―――」

     人々から称賛を受けるウタ。それは傷付いた彼女の心を癒やして“笑顔”を取り戻してくれた。

    「もっとわたしに出来ることは無いかなって考えるようになった。その頃にはもう過去だけ見るんじゃなくて未来にも目を向けようって思えるようになってて……歌のお陰でわたしはまた前を向けるようになれた」

     睡魔と疲労で辛そうな表情のウタ。だがその顔に笑みを浮かべて彼女は当時の心情を語る。

    「“救世主”……本当に皆を救えないか考えるようになったの。わたしのことを好きでいてくれる皆の力になりたかった。この世界で助けを求める皆と同じ痛みと悲しみを、わたし自身も抱えていると本気で思ってたから」

     浮かべた笑み。それは明るい物では無く、薄暗い物で。

    「……バカだった。わたしは本当にバカだった」

     瞳の焦点が合わぬ笑顔でウタは言う。

    「一年前に“真実”を知るその時まで、わたしは本気でそう思って生きていたんだ」

     12年前の地獄など生温い。彼女はその時、本当の地獄を知ることになった。

  • 65FILM N.G.22/09/27(火) 23:49:11

    『N.G.』
    (エヌジー)

    《No Good》
    1. 映画やテレビで撮影や俳優の演技がうまくいかないこと。また、そのために使えなくなったフィルム。「―を出す」
    2 .《1から転じて》俗に、してはいけないこと。また、具合や都合の悪いこと。「電車内での通話は―です」「翌月の―日を伝える」

  • 66二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 23:51:11

    NEW GENESISかと思ってたら…

  • 67二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 23:54:56

    え?つまりバッドエンド???

  • 68二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 23:55:59

    急にどしたん???話聞こか????

  • 69二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 23:56:05

    セリフを噛んでしまったり笑ってはいけないところで笑ってしまうというあのNGじゃったか

  • 70二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 23:56:45

    >>67

    待てよ

    本編を正史のビターエンドとするならこのifがN.G.となる、すなわちこの場においてはハッピーエンドとなるってことかもしれん

  • 71二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 23:56:55

    大丈夫?太陽さん絶望払えそう?

  • 72二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 23:57:19

    待て待て
    この場合、もしNG行為を出したとすれば物語冒頭のルフィがニュースクーから新聞を貰った事が引き金になるし
    そもそもウタが真実を知るのは本編軸で変わってない上、そのせいでさらに苦悩に陥るのも事実

    だからBADと思うのはまだ早計だと思う。むしろここからが真骨頂よ座して待て

  • 73二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 23:59:31

    まーNEW GENESISから捩ってくるとは思った
    いやそのままNGとは考えつかなかったけども

  • 74二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 23:59:53

    ネズキノコ食ってないから幾らでも修正きくぞ

  • 75FILM N.G.22/09/28(水) 00:09:06

     シャンクスに捨てられてから辛く苦しい日々が続いていた。だがここ数年はそんなことを考えることも少なくなるぐらいに充実していた。

    『―――皆聴いてくれてありがとー!! ちょっと眠くなってきたから今日もこの辺で配信を終わるね!! じゃあね皆!! 明日も元気で!!』

     海岸で拾って2年程経った新種の電伝虫。それを使ってウタは定期的に歌配信を行うようになっていた。歌声に“能力”を乗せて、聴いてくれる皆に少しでも素晴らしい夢を届けられるように。

    『ウタ』
    『あ、ゴードン。さっき配信終わったんだー。だから今から寝るところ~』
    『そうか……おやすみ』
    『うんおやすみ!』
    『……ウタ……ッ!』
    『ん? どうしたの?』
    『いや、その……ああー、うん。……最近、明るくなったね』
    『……そうかな? ふふ。そうかもね!』

     ウタもそれは自分でも感じていた。前向きに明るくなれていることを。それはきっと自分の歌を楽しみに待ってくれている大勢の人が居るから、自分という存在が必要とされているから。
     自分を受け入れてもらえる“喜び”。それと合わせて彼らの“期待”に応えたいという“責任感”。それらがウタに活力を与えてくれていた。

    『明日も明後日も、その次も……こんな日が続けば……良いなぁ……』

     そうしてウタは眠る。傷付いた心が癒やされる日々に微笑みながら。

    『―――なんだろう、これ?』

     エレジア滅亡の映像を記録した電伝虫を森で拾ってしまったその日まで、ウタは昨日までの日々が続くと信じて疑っていなかった。

  • 76二次元好きの匿名さん22/09/28(水) 00:10:09

    あぅ…

  • 77FILM N.G.22/09/28(水) 00:52:26

     起動して再生する。

    『―――××月○○日△△時ッ!! わたしはこの映像を記録に残す!!!』

     この電伝虫を手に乗せた男が叫ぶ。大勢の悲鳴が数え切れない程上がる街の中で。必死な様子で辺りの光景を映像に残す。

    『だからもしこの映像を見てくれた者は……ッ!!! ……頼む気を付けろ!!!』

     凄まじい激突音が幾度と無く響き渡る。街を燃やす炎に照らされて、遠くに恐ろしい怪物の影が映像に映り込む。

    『“あの少女”は危険だ!!!』

     巨大な怪物に立ち向かう男達。彼らは強い……だがその強さがまるで通用していない。その奮闘も虚しく街はどんどんどんどん蹂躙される。悲鳴が減っていく。だんだんだんだんと。

    『あの子は世界を滅ぼす存在だ!!!』

     その長い腕を振るえば建物が砕け散り崩れ去る。それはまるで子供が積み木で作った家を突いて壊すようで……怪物は嗤いながら全てを破壊していく。

    『この映像を見た者は……ッ!!! あの子を、“ウタ”をどうか―――』

     怪物の雄叫びが響き渡る。怪音波。物理的破壊を伴って放たれた音撃が周囲を飲み込む。

    『ッ!!?』

     電伝虫の映像が“舞い上がる”。

  • 78FILM N.G.22/09/28(水) 00:54:55

     そのまま地面に落下したのか電伝虫はよたよたと動き出す。向かうのは先程まで自分を持っていた男の方。

    『――――――』


     だが男は何も反応を返さない。だがそれも当然。
     男の首から上は飛来した瓦礫によって木っ端微塵に―――

    『―――イヤァああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!!』

     思い出した思い出した思い出した思い出した思い出した思い出した思い出した思い出した思い出した思い出した思い出した思い出した思い出した思い出した思い出した思い出した思い出した思い出した思い出した思い出した思い出した思い出した思い出した思い出した思い出した思い出した思い出した思い出した思い出した思い出した思い出した思い出した思い出した思い出した思い出した思い出した思い出した思い出した思い出した思い出した思い出した思い出した思い出した思い出した思い出した思い出した思い出した思い出した全て。

     少女は思いだした。己の罪を。
     “救世主”などと烏滸がましい。“歌姫”すらこの身に過ぎた称号。

    『……あ……あはっ……あははは……』

     膝から崩れ落ちたウタは壊れたように笑う。頭が痛い。

    『あはアハあはははアハハハあははははははアハハハハハハ!!!』

     笑い声が二重に聞こえる程、彼女の意識は現実から遠ざかっていく。頭が割れそう。そんな自分以外の誰にも届かない悲鳴と哄笑は彼女が気を失うその時まで続いた。

     そうして意識を手放した彼女の見る夢は、あの日の記憶の再生だった。

  • 79二次元好きの匿名さん22/09/28(水) 00:57:54

    うごごごご……

  • 80FILM N.G.22/09/28(水) 01:00:56

    本日はここまで。次の更新は明日の夜かも、です
    保守してくれた方、ここまで読んでくれた方、本当にありがとうございました



    ここからが本当の地獄ですよ

  • 81二次元好きの匿名さん22/09/28(水) 01:03:41

    ヒエッ

  • 82二次元好きの匿名さん22/09/28(水) 01:03:46

    これ以上の地獄は無いと思ってたんすがね……

  • 83二次元好きの匿名さん22/09/28(水) 01:30:21

    最終的に晴れることが確定している未来があるならまぁ、酷ではあるけど今は地獄でも構わんが、、、

  • 84二次元好きの匿名さん22/09/28(水) 07:07:22

    ほしゅ

  • 85二次元好きの匿名さん22/09/28(水) 13:05:54

    ほす

  • 86二次元好きの匿名さん22/09/28(水) 20:13:52

    救われてくれ・・・

  • 87二次元好きの匿名さん22/09/28(水) 20:15:47

    ほしゅ

  • 88二次元好きの匿名さん22/09/28(水) 20:47:28

    保守

  • 89二次元好きの匿名さん22/09/28(水) 21:16:23

    ルフィがどれだけ「悪くない」って言ってくれても、
    ウタが歌った事でこの惨劇は起きたことに変わりはない訳で…
    改めてエレジアを滅ぼしてしまった後のウタの心を救う方法なんてあるんですかね……

  • 90二次元好きの匿名さん22/09/28(水) 21:20:35

    現実が一番の悪夢だったっていうね…
    つっら…

  • 91FILM N.G.22/09/29(木) 00:20:29

     エレジア滅亡の日、ウタはシャンクスの船が水平線の果てに消えるまで見続けた。後ろから体をじりじりと焦がすような熱波と、それから庇うように彼女を抱き留めるゴードンの体温を感じながら。

    『…………』
    『ウタ。もう行こう。ここまで火の手は届かないが……危険なのに変わりない。無事な建物で夜を明かそう』
    『…………』

     涙すら涸れて魂が抜けたようなウタ。ゴードンは本当にこの選択は正しかったのかと悩みながらも、だが託された使命は果たせねばと彼女の手を引いて歩き出そうとする。

    『……ぁ……』
    『……? ウタ? どうかした―――』
    『……みんな……探さないと……生きてる人……』
    『ッ!』

     ゴードンが強く手を握る前に、ウタはするりと抜けると火の手が残る街へと駆け出す。

    『いけないウタ!!? 行ってはいけない!!! ……ぐぅ!? ……も、戻ってくるんだ!!!』

     傷が痛む所為で満足に動けないゴードンはウタが行くのを止められない。必死で呼び掛けるもその声は彼女の耳に届かない。

     少女は一人、街を行く。

    『……はぁ……はぁ……はぁ……』

     夜の闇に赤い爪を立てる炎。その熱に肌を炙られながらもウタは生存者が残っていないか探す。

    『誰かァーーッ!!! 誰か居ませんかァ――ッ!!! ……げほッげほッ!!? ……居たら返事を!!!』

  • 92FILM N.G.22/09/29(木) 00:21:07

     火に巻かれて焼けた死体は数知れず、同じように瓦礫に押し潰された死体も数知れず。
     何処に目を向けても死体死体死体。

    『……う……あぁ……』

     生存者を探しに来た。だがもう心が折れてしまった。
     死体を見るのは初めてでは無い。赤髪海賊団は積極的に他者を殺めるような真似はしないが、それでも海賊。敵であれば殺す時は殺す。戦闘時は船で留守番させられていたウタでも知っている当たり前のこと。
     だからウタは人が死んでいるこの状況でも自分は行動出来ると思っていた。思ってしまっていた。
     それは間違いだった。

    『ひっ……ぁ……ああ……ッ』

     何故ならこれは海賊が戦闘で命を落とした死体では無いのだから。
     普通の一般人。幼いウタを可愛がってくれた大人達、一緒に遊んでくれた子供達、音楽を愛する人々―――老若男女関係無く骸へと変える“大虐殺”。

     少女の視界を埋め尽く死の群れ。そこには穏やかで美しい物など存在しない。全てが酷く惨たらしい。
     恐怖で頭がおかしくなりそうだった。自分から来た筈なのに今直ぐこの場から逃げ出したかった。

    『ぃ、いやぁ……―――あッ!?』

     だがウタは転んだ所為で逃げ出すことが出来なかった。何かを踏んづけてバランスを崩し転倒してしまったのだ。

    『な、何が……』

     転倒した原因が何かを確認しようと目を向ける。

    『――――――』

     全員死んだ。それは何となく知っていた。そう、“何となく”。本当の意味で理解していたわけでは無い。だがウタは“それ”を見て強制的に理解させられる。

  • 93FILM N.G.22/09/29(木) 00:21:52

     それは小さな炭の塊だった。

    (―――ねえウタちゃん。この子を抱いてくれないかしら)

     覚えている。赤子を連れた女性がウタにその子を抱かせてくれたことを。

    (ほ~ら未来の歌姫様だよ~。良かったね抱っこしてもらえて)

     小さな、でも温かな命。子供である自分の腕では少し重い。

    (……ねえシャンクス。わたしもこんな時があったの?)
    (ああ、勿論。だがそんな昔のことでも無いぞ。おれからすればほんの少し前さ)
    (ちょっとそれってわたしを子ども扱いしてるの? やめてよねレディに対して)
    (おいおい拗ねるなよ)
    (拗ねてないよ~だ。ほんと失礼しちゃう。……ねー、あなたもそう思うでしょ?)

     腕の中で赤子が微笑んだ。それはウタも釣られて笑顔になるような愛らしい表情で―――

    『……ぁ……ぁぁ……』

     今となってはただの炭。
     ウタは逃げ出した。自分の足で踏み砕いてしまった炭の塊に背を向けて。全てを炭へと変える炎から抜け出す為に彼女は必死に走る。

  • 94二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 00:22:50

    トラウマすぎりゅのぉ~…

  • 95二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 00:24:02

    言葉にできねぇ

  • 96FILM N.G.22/09/29(木) 00:29:53

     地獄だ。自分は今地獄に居る。シャンクスと共にこの国来なければこんな地獄は生まれなかった。

    『ぅああああああああああ!!? シャンクスシャンクスシャンクスゥうううううううーーーー!!!』

     好きだったのに。愛していたのに。尊敬していたのに。今は憎くて憎くて仕方が無い。

    『はっ、はっ、はっ』

     火の手の届かぬ場所まで走り抜け、ウタはそこで倒れ込むように四肢を着いて蹲る。

    『……シャンクスが……海賊……海賊のせいで……』

     捨てられた悲しさと怒りが心に穴を空ける。その虚無感が体から力を奪う。

    『……ううぅ……どうしてぇ……? どうしてだよぉ……ッ!』

     ウタは泣いて泣いて泣き続けた。追い掛けてきてくれたゴードンに保護されるまで。

     ―――こうして、少女の心に海賊に対しての怒りと憎しみが芽生えた。
     この日からウタは“海賊嫌い”として生きていく。その気持ちを歌に込め、ファンから“歌姫”や“救世主”と持て囃されるぐらい、その気持ちは彼女を強く形作った。

  • 97FILM N.G.22/09/29(木) 00:31:24

     なんて地獄なのだろう。今でもたまに悪夢でこの光景を見る。
     これまでは悪夢を見る度に怒りと憎しみを募らせていたウタだったが―――

    『……なーんだ。やっぱりシャンクスは悪くなかったんだ』

     仰向けに寝そべりながら青空を流れる雲を見る。

    『わたしだ』

     なんて滑稽なのだろう。

    『わたしが……皆を殺した』

     禁忌の歌を使って、エレジアの人々を皆殺しにした張本人。なのにそれを忘れ、その罪を全てシャンクス達に押し付けのうのうと被害者ぶって生きてきた。

    「……い、いやっ……違う! 違うの! こ、こんな……っ……ぅうう……ああああ……ああああああああああ!!?」

     視界が滲む。涙が溢れ出した。

    『ごめん……ッ! ……ごめんなさい!! ごめんなさい!! ごめんなさい!! ごめんなさい!! ごめんなさい違うのわたしじゃないわたしは悪くっ……ううううッ!!! うあああああああああ!!? ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!! ごめんなさいごめんなさ―――』

     今さら謝ったところで何もならないと云うのに、ウタは何度も何度も謝る。
     全ての罪を知った少女は一人、許される筈の無い謝罪を繰り返し、償うことなど不可能な絶望に泣き続けるのであった。

  • 98二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 00:37:55

    ハナからゴードンさんだけじゃ無理だったんだよ
    寄り添える人が必要だった、慰める人が必要だった
    やっぱ置いていったの失敗だよ

  • 99FILM N.G.22/09/29(木) 00:41:08

    今日の更新はここまで
    保守や感想ありがとうございます。励みにして書いてます



    地獄終了です。マイルドに表現しつつウタの味わった地獄をどう描くか苦心しましたが何とか書けました
    正直なんでこんなクソ重いの書いてんだろうって自分で思ってた
    バカじゃねーの?おれ

  • 100二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 00:42:26

    良かった過去編で地獄終わった!
    いや良くはねーけど!

  • 101二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 00:43:33

    ここでしっかりと書いてもらって改めて思ったわ
    死体だらけの壊滅した国に9歳の女の子置いていくのは普通にヤバいわ

  • 102二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 02:40:53

    どっかの漫画の主人公が言ってたセリフを思い出したなぁ。

    「家族皆で暮らすのが1番幸せに決まってる」

    本当にこの通りだと思うよ。

  • 103二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 04:14:33

    身も蓋も無いけどゴードンさんも含めてエレジアの住人が完全に全滅してた方が
    流石にウタを一人置いてくわけにいかないから連れて行っただろうと考えるとマジで救いが無い
    壊滅した島に生存者一人だけとか確実に海軍に疑われるし

  • 104FILM N.G.22/09/29(木) 09:25:16

     ウタの真実の告白に合わせて“ウタワールド”を煌々と照らしていた七色の光柱がか細くなり……遂には消える。この世界での創造を補強するエネルギーの奔流が消え去った。音符の戦士達も粉々に砕ける。
     夢の中のエレジアが現実と同じように宵闇に包まれ、後に残ったのはウタとルフィ達だけ。

    「…………」

     力無く項垂れるウタ。過去の大惨劇が自分の存在に起因する物だったと知った時の心境は如何ほどか。実際に見たわけでも無いルフィにとっては想像することしか出来ない。

    「やっぱお前は悪くねェ」

     だがその答えだけは決して揺るがない。
     ふっと、気の抜けた笑い声がウタから漏れ出る。

    「……優しいね、ルフィは」

     貴女(じぶん)は悪く無い。それは心が壊れてしまいそうな罪悪感から逃れる為に使ってきた言葉でもあり、ずっとずっと誰かに言って欲しかった言葉でもあった。
     泣き出してしまいそうな切ない気持ち。。互いの誓いを描いたウタの左手がルフィへと伸ばされる。

    「ありがとう……ルフィ」

     彼女はそう感謝を伝え、そして面を上げる。

    「私ね―――」

  • 105FILM N.G.22/09/29(木) 09:26:01

     その顔には満面の笑み。




    「やっぱり、それでも……“新時代”を作りたいよ」




     身も心も傷だらけな、痛々しい満面の笑みだった。
     直後、ウタの手がルフィの胸に添えられ―――放たれた黄金の炸裂によって彼の体は大きく後ろへ吹き飛ばされた。

  • 106FILM N.G.22/09/29(木) 09:28:29

    更新ですが今晩が無理だったら明日になるかもしれません。ここまで読んでくれてる方々本当にありがとうございます

    地獄の過去編終了したので現代の地獄編を始めますね

  • 107二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 09:33:36

    ちゃんと話し合えてて嬉しい……まだ解決はできそう
    やっぱあのキノコクソだわ。トットムジカはクソとかゴミを超えた何か

  • 108二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 09:54:48

    まだ「皆が」私の作る新時代を望んでいるって強迫観念は残ってるからね…そりゃ退けないわ

  • 109二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 10:56:12

    そっかまだファンのためって口実もあるわけか…それに忘れてたけどまだクロスギルドが残ってるし、まだまだ続きそう。いや嬉しいけど、いや辛いけど

  • 110二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 13:58:57

    やっぱおいてったの失敗だよなぁ・・・ もしくはゴードンさんが超実践派で「この辺一帯の島の酒場に君のファンを作る!」とか言ってドサ周りとか始めれば… 触れ合いが足りないよ

  • 111二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 14:05:57

    こうやって見るといっそのことゴードンさんを人質ということで口裏合わせて一緒に船に乗せてフーシャ村に送り届けるのが良かったんじゃないかとも思う
    ウタは寝てたからエレジアがどうなったのかとかゴードンさんがいる理由に関してはある程度隠せそうだし…

  • 112二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 17:28:03

    >>106

    地獄終了ですって言ったじゃないですかやだー!!!

    ウタこっから何する気だ…

  • 113二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 17:45:20

    「ついさっき自分で抱かせてもらってた赤ん坊が炭の塊になっていて、それを自分の足で踏み砕きました」ってSANチェックものですやん…

    劇中でも、それまで直接関わった事のない一般人が1人海軍に現実の体を撃たれだけで、取り乱してボロボロ涙流しながら必死に手当てしようとしてた子だ
    シャンクス達に置いていかれたあの直後だって、こうやって生きてる人を探しに、死体しかない街をひたすら走り回って、嫌って程死体を直接見ていてもおかしくない…
    ああそうだな、その通りだよ 最悪だ……

  • 114二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 17:48:01

    救うならルフィだけでなくシャンクスもいなきゃならない
    元凶のあいつもまだぶちのめしてないなら地獄は続くよどこまでも

  • 115二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 17:57:59

    そりゃあ逃げたくなりますわ...

  • 116二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 23:03:54

    かわいそうはかわいい

  • 117二次元好きの匿名さん22/09/30(金) 05:17:40

    ハッピーエンドになってくれ

  • 118二次元好きの匿名さん22/09/30(金) 08:12:52

    保守

  • 119二次元好きの匿名さん22/09/30(金) 13:36:50

    保守

  • 120二次元好きの匿名さん22/09/30(金) 17:08:17

    ホシュ

  • 121FILM N.G.22/09/30(金) 20:44:17

    保守感謝―――しかし全然書けてない。つまりいつも通り

    ちょっとだけ書いたのでその分だけ先に投稿します
    今日は何処まで話しが進められるかな? 教えてくれよ、一時間後のおれ

  • 122FILM N.G.22/09/30(金) 20:45:48

     ―――“新世界”の島、500年先の未来を歩んでいると言われる“エッグヘッド”。

    『―――ギャ~~ッ!!? ヤメロ~~ッ!!? 同じチームだった仲だろうがこの人でナシめェ~~ッ!!?』
    「良いから大人しくせんかシーザー。そんなに逃げ回られると捕まえられんじゃろ」

     改造電伝虫が大画面に映し出すのは一人の男がロボットから逃走を続ける光景。それを横目に兵器の研究や開発を続ける“女”が一人。
     映像に映っている男……シーザー・クラウンは自らの肉体をガスに変化させてロボットの弾幕を必死に回避する。そうして逃げ回りながらもシーザーはロボットのカメラに向かって怒鳴り散らす。

    『ふざけんじゃねェぞ“ベガパンク”!!? 過去におれをチームから追放しただけじゃ飽き足らず今度は捕まえようってか!!? 何様だてめェは~~ッ!!?』
    「科学者じゃよ。今も昔も……“100年先”もな」

     “天才科学者”、“世界最大の頭脳を持つ男”とも称されるDr.ベガパンク(♀)は片手で図面を引きつつもう片手でロボットを遠隔操作する。
     遠く離れた島に居る筈のシーザーはベガパンクが出撃させた遠隔操作ロボ“VEGA-FORCE Ⅱ型-8号”による猛攻によって疲労困憊、捕獲されるのも時間の問題となっていた。

  • 123二次元好きの匿名さん22/09/30(金) 21:05:08

    ここに来てこいつら出るのかよ

  • 124二次元好きの匿名さん22/09/30(金) 21:06:18

    出たわねある意味諸悪の根源の根源

  • 125FILM N.G.22/09/30(金) 21:10:08

    『クソっ!!! ロボ如きが舐めんじゃねェぞ!!! 喰らえ“ガスタネット”!!!』

     シーザーは逃げながら周囲に散布していた爆発性のガスに火花を散らして引火、ロボットを周辺諸共爆破する。
     轟音と共に爆炎に飲まれるロボットに中指を立てるシーザー。

    『バァ~カァ~めェ~!!! いつまでもおれが遅れを取ると思ったら―――』

     爆炎を突き破り無傷で登場する“VEGA-FORCE Ⅱ型-8号”。

    『って全然効いてねェーーッ!!?』
    「効いとるぞ。あと27回、同等の威力の“ガスタネット”を直撃させれば継戦に影響が出る程度の破損が発生する」
    『それを一般論で効いてねェって言うんだよこの“狂気の科学者”が!!?』

     シーザーは己の不幸に涙しながらこの状況を打開する為の手を必死で考える。

    (麦わらの野郎の所為で始まったおれの転落人生! 数多の苦境を乗り越えようやく平穏を掴みかけた矢先に……ど~してベガパンクの野郎が出てくんだ!!?)

     四皇ビッグ・マムが統治する“万国(トットランド)”から命からがら逃亡に成功したシーザー。その後様々な取引きや出会いを経て何とか“新世界”に存在するとある島で生活基盤を構築しようとした矢先の出来事。突如として現れたベガパンク操るロボットによって彼の束の間の平穏は瞬く間に壊された。

  • 126FILM N.G.22/09/30(金) 21:46:34

    『こうなったら島に住んでる奴らを人質に―――』
    「止めておけシーザー。その手はわしには意味が無い」

     ベガパンクはシーザー捕縛に当たって潜伏している島の情報を既に精査済み。仮に島民が“全滅”したとしても社会の損害は最小限になるよう手は打ってある。

    「“シノクニ”じゃったか? お前が作ったあの」
    『知ってんのか!? おれがあの作った最高傑さ―――』
    「お前らしい実に“拝金的”なつまらん兵器じゃったな」
    『――――――』

     シーザーの制作物をこき下ろしながらベガパンクは描き上げた図面を部下に渡す。そして視線を液体が満ちる培養槽へと向ける。

    「兵器の本質は“抑止”。強大な力で持って他者間で発生する争いを“奪う”為に存在する。相も変わらずお前は逆に争いを助長させて儲けようなどと……こっちは金欠でも頑張って居ると云うのに嘆かわしい」

     培養槽の中で眠る兵器―――“PX(パシフィスタ)”、その最新鋭機である“セラフィム”のバイタルを確認してベガパンクは告げる。

    「と、云う訳で。これ以上知人に手荒な真似はしたくないのでな……潔く捕まれ“3億ベリー(シーザー)”」
    「お前今変な呼び方しただろ!!?」

  • 127二次元好きの匿名さん22/09/30(金) 22:02:04

    41歳並みの呼び方で草

  • 128FILM N.G.22/09/30(金) 22:45:26

     シーザーは歯軋りする。

    『ヌゥ~~ッ!! お前は本当にいつもいつも目障りな野郎だ!!! つまらんだとォ!!? そんなことは実物を見てから言いやがれってんだ!!! 海軍に所属してんなら民間人に被害が出ればてめェの責任だ!!!』

     そう言ってシーザーが放つのは肉体に取り込んで同化した経験からようやくガスガスの能力で再現出来るようになった殺戮兵器“シノクニ”。
     もし広範囲に放てばこの島を文字通り死の国へと変貌させてしまう恐るべき毒ガス。それがシーザーから吹き出し―――

    「本当に人の話を聴かん奴じゃ」

     拡散する直前、ロボットから発射されたミサイルがシーザーの近くに着弾してその効果を発揮する。

    「再現兵器“氷河時代(アイスエイジ)”」
    『――――――』
    「ふむ……やはり単純なエネルギー兵器の“レーザー”と比べれば見劣りするな。そうは思わんかシーザー・クラウン? ……回収しろ」

     凍結ミサイルによって毒ガスごと凍り付いたシーザーを見てベガパンクは“VEGA-FORCE Ⅱ型-8号”にその身柄の収容を命じる。その手際は見事で凍結した毒ガスの一欠片すら残さず胴体部分の格納庫へと放り込む。
     その光景を確認したベガパンクは画面を消すと、少し前からずっと待機していた海兵に向き直る。

    「……さて、待たせたな。確かわしに要請が有るとか何とか……」
    「は、はい! サカズキ元帥から協力要請が!!」
    「確か“ウタウタの実”の能力者を捕らえる、又は殺害する任務じゃったか」

     ベガパンクは海兵に顔の向きを固定したまま先程まで見ていた物とは別の研究資料を引っ張り出して新たに図面を引いていく。生体兵器に関するその資料は“PUNK”と銘打たれており、それは自身が着用しているボディスーツの胸元にも“PUNK-02”の形で刻まれていた。

  • 129二次元好きの匿名さん22/09/30(金) 22:56:04

    赤髪海賊団、クロスギルド、海軍に続いてベガパンクも参戦とかますますヤバいな

  • 130FILM N.G.22/09/30(金) 23:06:12

     少しでも戦力が欲しいサカズキはベガパンクにも戦力を要請した。その対象は勿論―――

    「“セラフィム”を借りたいんじゃろう? 見てわかるだろうが今セラフィムは調整中じゃ」
    「そ、そこを何とか!! サカズキ元帥はどうしてもDr.ベガパンクの科学力を必要としているんです!!」

     サカズキは本気で動いている。それに応えたいとこの海兵はベガパンクを説得しようと言い募る。

    「今回の件はこれまでにない規模の被害が予想され、それを未然に防ぐには“SSG”が開発した新兵器の力が―――」
    「良いぞ」
    「……え? ……い、今、なんと?」

     聞き間違いか? そう思った海兵は目を点にして聞き返すが、ベガパンクは軽い感じで同じ答えを返す。

    「セラフィムを使いたいのじゃろう? 良いぞ。残念ながらこの1体以外の調整は“終わらせてしまった”から今回の任務には回せん。こいつを連れて部隊と合流すると良い」

     ベガパンクは培養槽の中で眠る女型のセラフィムを強化ガラス越しに叩く。

  • 131FILM N.G.22/09/30(金) 23:28:51

     要請が無事に通った。海兵はサカズキに良い報告が出来そうだと胸をなで下ろした……が、そんな彼にベガパンクは「じゃが条件が有る」ととある物へ指を差す。

    「戦力提供、その代わりと言っては何じゃが……ウタウタの能力者である歌姫ウタ、その娘の身柄を短期間でも良いから此方で預からせてはもらえんか?」

     それはテーブルに置かれたポスター。歌姫ウタのライブを告知するポスターであった。

    「た、対象の身柄を、ですか?」

     海兵は突然ベガパンクが申し出た条件に慌てる。

    「す、すいません。わたしにはそれを許可する権限が無く……」
    「ああ構わん構わん。元帥に話しだけでも通してくれれば十分じゃ」

     ベガパンクは生体兵器“PUNK”の資料を片付けると次に別の資料をテーブルに広げる。

    「ウタウタの能力。あの精神に働きかける力が有れば一部の研究が捗ると考えてのお願いじゃ。無理にとは言わん。身柄自体が駄目なら採血させてくれるだけでも良い」

     真新しい用紙を使った資料に銘打たれいたのは“血統因子と魂”の一文。

    「歌を聴かせた者の精神を自らが支配する世界に招く……さてさて、この“聴ける者”が何処まで適応されるかわしァ非常に興味が在る。これは“悪魔の実”を食わせられる人工物と条件は同一なのか? ……ああァ♡ 早く研究してみたい♡」

     恋する乙女のような顔で口にするのは研究への欲求。なまじ美しい女性の“PUNK”だから目のやり場に困る。彼の部下達は「またか……」と疲れた様子を見せる。

  • 132二次元好きの匿名さん22/09/30(金) 23:36:01

    >Dr.ベガパンク(♀)

    このバグる一文

  • 133FILM N.G.22/10/01(土) 00:01:33

    「海兵くん!!! このセラフィムを貸し出すのも言ってみれば“この研究”の一環じゃ!!! 一秒も取りこぼすこと無くデータを持ち帰ってくるのじゃぞ!!!」
    「ええェ!? わ、わかりました!?」

     爛々と輝く瞳に射竦められる海兵。美人に真っ直ぐ見詰められている状況だが不思議と全然嬉しくない。むしろ怖い。
     ベガパンクの圧に腰が引けている海兵。そんな彼を憐れに思ったのか、ベガパンクの部下である科学者の一人が声を掛ける。

    「ふぅ……ドクター! あなたまた開発した兵器に“自爆装置”取り付けたでしょう!! あれ本当にやめてくださいって皆でお願いしましたよねェ!!?」
    「ぬ!?」

     部下のその言葉にベガパンクは眉根を寄せて彼の方を向く。

    「何故じゃ!? 自爆スイッチほど有能な装置はそうそう存在せぬぞ!!?」
    「事故が怖いんですって!!! どうしてあなたは人が入れる発明品全てに取り付けちゃうんですか!?」
    「敵に囲まれ進退窮まれば自爆して諸共に吹き飛ばせ!!! 敵に鹵獲されてしまった場合もカウンターの如く吹き飛ばせる。ここまで機能美に満ちた発明も無かろうて!!!」
    「そこは否定しませんが……だからってクソデカ自爆スイッチだけはやめてくださいよホント!!!」

     部下の科学者が「ほらァ!」と壁を指差せば、そこには見たことが有る感じで巨大な自爆スイッチの姿が。
     デカい上に自己主張が激しい自爆スイッチだった。

  • 134二次元好きの匿名さん22/10/01(土) 00:08:36

    あっ

  • 135二次元好きの匿名さん22/10/01(土) 08:02:26

    これウタ守り切れんのか…

  • 136二次元好きの匿名さん22/10/01(土) 08:05:57

    >>133

    誰かが押すやろなぁ

  • 137FILM N.G.22/10/01(土) 13:39:06

    「視認性が良く、押すにも相応の力が要る……完璧じゃな」
    「視界の端にチラチラ映って気が気じゃ無いんですよ!!?」

     海兵から気を逸らすのが目的だった筈がいつの間にか本気の愚痴へと移行していた。

    「あなたの故郷である“バルジモア”に有った研究所が吹っ飛んだのだってそれが原因でしょう!?  既に放棄されて無人だったから良かった物の……少しは自重してください」
    「在ったな。そんなことも」

     世に言う“バルジモアの悪夢”である。
     経年劣化か、事故か……はたまたバカの所為か。ベガパンク初期の研究所であったそれは自爆装置の爆発によって木っ端微塵に消え去った。

    「あれは不幸な事件じゃったな。……じゃがな? 研究には失敗が付き物。それをわしら科学者は如何に糧とするかが肝要であるとは思わんか?」
    「ドクターは素晴らしい科学者ですけど“アレ”だけは糧に出来て無いんですよ!!?」

     他の科学者達も同意なのかうんうんと頷いている。そんな彼らの熱意(切実)を浴びながらもベガパンクは「まあまあ落ち着け」と微笑む。

  • 138FILM N.G.22/10/01(土) 13:40:18

    「一応、一応聞いておくぞ?」

     そうしてベガパンクは部下に尋ねる。 

    「万が一、万が一そのスイッチを誰かが押したとして―――」

     一点の曇りも無い瞳。

    「……それ……わしのせいか?」
    「“責任”って知ってます?」

     一点の曇り無く酷かった。部下なんて一周回って冷静に突っ込んでしまった程だ。こんなやり取りを傍で見ていた海兵は「本当に彼(♀)があの“天才科学者”なのか」と疑問を抱いてしまった。もっと超然とした人物を想像していたが存外、俗っぽい。

    「え、え~っと……じゃあわたしは元帥に報告するのでこの辺りで……」
    「おお待て待て。行くならもう連れて行け」

     部下達から浴びせられる小言の嵐をシャワーの如く一身に受けていたベガパンクは海兵を引き留めて培養槽を指差す。

    「注意点は最初の“実戦テスト”の時に伝えた通りじゃ。これは人の形をしておるが“人に非ず”。調整していないこのセラフィムは尚更な」

     培養槽開放のスイッチを押すと中の液体が排水されて蓋が開く。

  • 139FILM N.G.22/10/01(土) 13:40:46

     目を開き、外へと足を踏み出す“セラフィム”。ベガパンクはそれに衣服を手渡すと命じる。

    「これより“PX-Α2”は海軍本部元帥サカズキの命令によって行動、任務を遂行せよ」
    「…………」

     褐色の肌、白い髪、そして黒い翼。滅びた筈の種族特徴を持ち、一般的な成人身長を超えた体格の子供は、返答代わりに笑みを浮かべる。
     無機質な笑み。プログラム通り表情を作ったセラフィムは背中を発火させて完全起動する。ベガパンクは想定通り動き出したことを確認すると一つだけ海兵に忠告する。

    「これはセラフィムとは関係無い情報なのじゃが……少し前にわしらの電伝虫が“特殊な念波”を感知してな」
    「特殊な……念波ですか?」
    「ああ」

     電伝虫に画面を映させる。先程までシーザー捕獲の一部始終を映していたそれには現在地図が表示されていた。そこに大きく映し出された島を指してベガパンクは続ける。

    「この島から発せられた念波じゃが……その波形パターンが以前ここで開発した試作品の物と一致しておった」
    「ッ!!! この島は!!?」

     ベガパンクが指し示した島、それは―――

    「そう。“音楽の都”エレジアじゃ」

     海軍の討伐目標である歌姫ウタが居る島。

    「偶然漂流した物が流れ着いたのじゃろうな。3年程前から観測自体はされておったが……今回はその念波の“量”が問題じゃ」
    「り、量? それに問題とは?」

     ベガパンクは地図を縮小、世界全体が映るようにすると実に愉快そうな笑みを浮かべる。

    「わしら“SSG”はライブ当日にウタがこれを使って世界に中継すると予想しておった念波量。それが“ついさっき”観測された。その意味がわかるか?」

  • 140FILM N.G.22/10/01(土) 13:42:32

    保守感謝です。次は夜に更新できたら良いなー

    ではわたしは映画館でデジたんコンテンツカードを受け取るという大事な用が有るので

  • 141二次元好きの匿名さん22/10/01(土) 13:48:32

    始まっちゃってる…

  • 142二次元好きの匿名さん22/10/01(土) 18:10:49

    ベガパンクならそのあたりも把握してて問題なさそうだもんな

  • 143二次元好きの匿名さん22/10/01(土) 22:31:24

    ほしゅー

  • 144FILM N.G.22/10/01(土) 23:48:40

     ベガパンクは予想する。エレジアで今何が起こっているのかを。

    「早く行かんと……“間に合わん”かもなァ」
    「……!!? これにて失礼!!! 御協力感謝します!!!」
    「…………」

     急いでこの場を立ち去る海兵。その後ろを大きな歩幅で付いて行くセラフィム。

    「―――さて」

     彼らを見送ったベガパンクは表情から笑みを消すと部下達に向き直る。

    「諸君。研究の時間じゃ。対象は“ウタウタの能力”」

     施設内の電伝虫を全て受信状態にさせる。これでエレジアから発信される映像を余す所なくキャッチ出来る。

    「政府から支給された“囚人”にも限りが有る。有意義に使おうじゃないか。あと自分で夢の世界に入りたい者が居れば事前に申告しておくように。わかったな?」

     突発的な非常事態。だがベガパンクはこの状況さえ利用して研究を行う。

    「さあ……今回の研究でどれだけ“神”に歩み寄れるかな?」

     天才科学者は先を見据える。常人では見通せない遙か先を。

  • 145二次元好きの匿名さん22/10/01(土) 23:59:52

    セラフィムが完全な機械ならウタウタの能力通じなさそうだな

  • 146二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 01:57:02

    保守

  • 147FILM N.G.22/10/02(日) 09:30:51

    ぬあああ次の更新は明日の夕方になりそうぉおお

    すまん

  • 148二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 17:11:10

    ゆっくり待つよ

  • 149二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 17:37:34

    保守

  • 150二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 21:48:42

    保守

  • 151二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 02:18:22

    保守

  • 152二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 07:42:01

    ほしゅー

  • 153二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 12:18:52

    スレ主的には物語何割くらいなんだろう現在
    保守

  • 154二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 17:02:18

    保守

  • 155FILM N.G.22/10/03(月) 17:29:16

    保守感謝! これから書くよ! 

    この時点で物語の何割だって?
    そんなのわたしが知りたいよ!!

    HAHAHAHAHA!!

  • 156FILM N.G.22/10/03(月) 18:11:56

     エレジアに流れ着いた新種の電伝虫。ウタに拾われ世界と繋がるのに使われたそれは“SSG”が開発した試作品。“世界経済新聞”に取って代われるような大衆向け情報源を、そう政府から依頼されて研究したが「電伝虫という生物由来の技術では限界が有る」とベガパンクが頓挫させた計画の残滓。

    「―――わたしに、覚悟が足りなかったから」

     そのウタに飼われた電伝虫達が、全て夢の中。

    「一歩を踏み出す勇気が。だから……“始めよう”」

     初めの歌によって既に眠りに落ちていた電伝虫達はウタの号令によって一斉に念波を“発信”する。

    『NEW GENESIS』

     エレジア周辺の島々から念波が届く。無差別に発信されたそれを受け取った電伝虫が映像を映し出す。そして受信した電伝虫達を中継にして更に遠くの島々へ。

    『BEFORE』

     突如として始まる歌姫の配信。それに世界がざわめく。

    『NIGHT PARADE』

     彼女の体を巡る鮮血は、まだ止まらない。

  • 157二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 19:16:59

    oh…

  • 158FILM N.G.22/10/03(月) 20:25:56

     海を行く客船。歌姫ウタがライブを行うエレジアまで乗客を運ぶその乗合船は興奮の熱気に包まれていた。それはライブを楽しみに長い航海を耐えてきた一人の少女も例外では無く、彼女は電伝虫がもたらした光に目を輝かせる。

    「ウタちゃん!!?」

     白いシーツをスクリーン代わりに、乗客達は突如として始まったウタの配信に群がる。電伝虫が映し出すタイトルロゴが意味するのは祭り前の夜想曲。楽しい楽しい夜走曲。

     ―――そうして画面が切り替わり、満を持して彼女が登場する。




    『皆ー!! こんばんは~!! ウタだよ!!』

     歌姫が満天の星空の下、笑顔いっぱいの姿で映し出される。彼女の登場に、先程の船とは別の島から発ってきた乗合船の乗客達も沸き立つ。

    『突然の配信、ビックリしたよね? ごめんね! ライブまで待ちきれなくてやっちゃった! あはは』

     照れ臭そうにするウタ。彼女は“自分しか居ない”城の屋上でクルリと舞うとこれから行うことをファンの皆や偶然この映像を見ることになった人々へ説明する。

    『初めてのライブ! それが本当に嬉しくて……ここまで来れたのもファンの皆が応援してくれたお陰だと思ってる!』

     感謝の気持ち。それを伝えてウタは星空を仰ぐ。

    『だから今日は特別にライブ前夜祭を一人で勝手に始めようと思いまァ~す!!! 皆に人気の有ったあの曲やこんな曲なんかを“自然(Natur)”の“夜風や潮騒(Gesause)”と共に!!』

     月に掲げた左手を握り締める。

  • 159FILM N.G.22/10/03(月) 20:26:53

    ―――




    『“N.G.”で皆にお贈りするよ!!!』




    ―――

  • 160FILM N.G.22/10/03(月) 20:27:06

     そう告げるとウタはウィンクして舌をぺろっと出すと悪戯っぽい表情を浮かべる。

    『……本当の前夜は忙しくて無理だから三日前夜祭で許してね♡』
    「「「「―――おおおおおおおおお!!!」」」」

     そんな些細なことなんて気にしない。彼女のファン達はそう答えるように盛大な歓声でウタが始めるスペシャルステージ『N.G.』を受け入れる。
     電伝虫の受信によってファンからの声を受け取ったウタは花が咲いたような笑顔を浮かべた。

    『ありがとう皆!!! 急な思い付きで始めた前夜祭だけど! 楽しんで行ってねェーーッ!!!』

     さあ始めよう。

    『今日この日を!!! “新時代”に続く夜にするよ!!!』

  • 161二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 20:31:15

    まさかのライブ前倒しという最悪の事態

  • 162二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 22:13:49

    >>155

    プロットなにそれだもんね

    構想がどれだけになるか分からないよね

  • 163二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 00:45:49

    ネズキノコなしの状態で何を…もう無理だろ…

  • 164二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 07:02:10

    保守

  • 165二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 07:02:22

    ここからファンを新時代に連れていけるのか・・・?

  • 166二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 07:42:56

    死ぬだけなら喉を刺すだけで済むからな

  • 167二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 15:19:56

    保守

  • 168二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 20:28:31

    保守

  • 169二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 20:29:25

    まさかの初手・ムジカか?

  • 170二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 21:24:19

    本編よりやばくなりそう()
    ほしゅ

  • 171FILM N.G.22/10/04(火) 23:34:50

    保守感謝です。しかし書く時間取れねぇ……

    2レス分だけ書けたのでそれ上げたら寝ます。きりが悪くて、本当に申し訳無い

  • 172FILM N.G.22/10/04(火) 23:35:24

    「U・T・A! U・T・A!」

     世界各地で広がるU・T・Aコール。夜だろうと関係無い。ウタの配信を目に焼き付けようと彼らは彼女の声に耳を傾ける。

    『眠たくなったら気にせず寝ちゃってね。この配信は皆を素敵な夢の世界に招待する為のものだから』
    「せっかくのウタの配信! 寝ちゃうなんて勿体ないよ!」

     羊飼いの少年がそう言うように歌姫のファン達はきっと眠る気は無いだろう。だからウタは笑顔で応える。

    『ありがとう皆!! じゃあ私も頑張って夜が明けるまで頑張って“起きてる”ね!!!』

     その言葉にファン達は笑う。だってウタはいつも数曲歌うと直ぐに眠くなって配信を終わらせるぐらい夜に弱い子なのだ。だからその言葉はファンへのサービス、それだけ自分達の気持ちに応えたい表れなのだと解釈した。

    「良いぞプリンセス・ウタ!! おれ達はずっと応援してるぞー!!!」
    「頑張ってねー!!!」
    「ライブ当日に疲れなんて残すなよー!」

     ファンの温かい言葉にウタは笑みを深める。彼らの言葉一つ一つが彼女の背を押す力になる。




     だからウタは“それ”を取り出す。

    「―――うん! 本当に皆ありがとう! わたしは大丈夫!」

     “ウタワールド”に取り込まれて現実を見ていない電伝虫には映らない。その光景を見ているのは能力の影響から逃れていたロビン、フランキー、ブルックの3人だけ。

  • 173FILM N.G.22/10/04(火) 23:37:14

    「ウタ!!? それはッ!」

     ロビンはウタが取り出した“それ”を取り上げる為にハナハナの能力を行使しようとして―――その身を黒雲に包まれて視界を塞がれる。目標を見失う。これでは咲かせる場所を認識できない。

    「ありゃゼウスか!? クソッ! おれ達で止めるぞブルック!!!」
    「ええ!! 行きます!!!」

     ロビンがウタを止められない代わりにフランキーとブルックが駆け出す。しかし彼らの前に立ち塞がったゾロとサンジによってその歩みが止められる。

    「このッ!!?」
    「ウタさん!!! ……それを“食べる”のはわたし、おすすめしませんよ?」

     ゾロとサンジによって後ろへと弾かれたフランキーとブルック。だが何とかウタがやろうとしていることを止めようとブルックは落ち着きを持って説得を試みる。

  • 174二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 23:39:34

    隠し持ってたのか

  • 175二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 07:19:47

    そっかサンジは支配下にあるのか

  • 176二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 09:00:10

    ウタの周囲に観客がいないのがどう影響するか

  • 177二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 16:55:05

    保守

  • 178二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 16:59:07

    追いついた、楽しみ

  • 179FILM N.G.22/10/05(水) 18:28:06

    「うちの船のコックさんが言っていましたよ。それは食べ物ではありません。直ぐに捨ててください」
    「……それは出来ない相談」

     ウタは手に持った“キノコ”をじっと見詰める。

    「ブルックが言ったそのコックさんの所為でこれ……“ネズキノコ”、部屋に隠してた一本だけになっちゃったんだから……捨てるわけにはいかない」

     そのキノコは色合いだけで見ればファンシーな、子供向けの菓子にでも有りそうな見た目をしている。
     故に気を付けなければならない。自然界において特徴的な色や形をしている物にはそれだけの理由が在るのだから。それはこの“ネズキノコ”も例外では無い。
     ウタはネズキノコを大事そうに握ると、眠気を堪えた鋭い目で麦わらの一味を睨む。

    「人の物は勝手に捨てちゃいけないんだよ? 悪い人達……悪い海賊。海賊なんかが居るから皆が不幸になる……泣いてるんだ。今も苦しんでるんだ。だからッ!」

     脳裏を駆けるファンの声。彼らの嘆き。願い。

    『―――ここから逃げたいよ。ウタちゃんの歌だけずっと聴いてられる世界はないのかな?』

     海賊が全てを奪っていく。食料も、金銭も、故郷も、笑顔も、家族を……命を。踏み躙り嘲笑いながら奪っていくのだ。

    「―――わたしは!!!」

     歌姫は叫ぶ。民衆の声に背を押され。彼らを救う為に。

    「わたしは作らないといけないんだ!!! “新時代”を!!!」

     彼ら以上に追い詰められた表情で、孤独で憐れな歌姫は叫ぶ。

  • 180FILM N.G.22/10/05(水) 18:29:15

    「もう……ッ!!! 止まれない!!!」

     何故なら彼女はもう、その心を抉り続ける殺戮の重責に耐えきれないから。だから―――

     ウタは手に持ったネズキノコに食らい付くのだった。




     “ウタワールド”のウタはルフィ達を黄金の五線譜によって突き放していた。そうして姿や声さえ隠して彼女は配信を始めた。
     ウタがファンの声に応えている間もルフィ達はずっと彼女に呼び掛け続けていた。だがウタはそれに耳を貸さない。何を言っているのかなんてわかりきっているから。

    (……本当はライブでやりたかったんだけど……仕方無いよね)

     現実世界での自分がネズキノコを咀嚼し、嚥下したのを感じる。
     命のカウントダウンが始まる。

    「それじゃあ皆!!! 『NEW GENESIS』前の『N.G.』ライブを―――」

     ウタが最期のライブを宣言しようとした時だった。




    「ゲホッ!!? グゥうう!!? うおぇえええええ!!?」

     現実でのウタがその場で膝を着いて胃の中身をぶち撒け、“ウタワールド”のウタはその心身に受けた衝撃によって身動きを取れなくなった。

  • 181FILM N.G.22/10/05(水) 19:26:16

     混乱する思考。ウタは必死になって現状を理解しようとする。

    (何が起きた? 気持ち悪い。吐いた? 何で? ネズキノコにそんな作用が有るなんて知らない)

     手を着いた地面、その眼前には嘔吐したネズキノコ。手にはまだ食べかけが残っているが脳はそれを口に入れるのを拒否するかのようにウタへ吐き気を訴えてくる。

    (こんな状態じゃ配信は出来ない!?)

     ウタは自分に起きた異常を確認するまでこのライブ配信は不可能と判断、急遽電伝虫達が映し出す画面をタイトルロゴにして音声を適当な音楽に変える。

    「……!!! ……はは」

     そこでウタは気付いたルフィ達を追いやっていた黄金が消え失せているのを。それによって彼らが再び自分の近くにまで来ていたことを。

    「……何? もしかして毒でも盛った?」

     目の回るような不快感に表情を顰めながらウタは眼前に立つ彼らに尋ねる。この事態が自分の想定外ならば、つまりそれは誰かにとっての想定内。
     ウタの考えは正鵠を射ていた。

    「……毒を盛ったなんて人聞きが悪い」

     そう言ったのはサンジだった。

  • 182FILM N.G.22/10/05(水) 19:26:50

    「もしウタちゃんが……ネズキノコなんて口にしなければそんな辛い目に遭うことなんて無かったんだぜ?」
    「……わたしに、何をしたの……ッ!?」
    「…………」

     サンジは目を閉じて眉間に皺を寄せている。この状況も元を正せば彼の本意では無いのだ。

    「……君の私物から大量のネズキノコが出てきた時、おれはゾッとしたよ」

     それはエレジアに来て行った歓迎会、その後に食料保管庫で発見した。二重底にされた箱に隠されていた物。

    「あれを口にすれば人は眠れなくなる。それに精神の抑えが効かなくなって攻撃的に、凶暴化する」
    「……!」
    「だがそんな作用は問題じゃ無い。一番問題なのは―――」

     サンジは目を開き、険しい顔でウタに告げる。

    「あれを摂取すれば数時間後には“死んでしまう”ことだ!」

     一人の料理人として、あんな物が食材と一緒に保管されているなど断じて許せなかった。

  • 183FILM N.G.22/10/05(水) 19:27:21

    その怒りを一身に受けながらもウタは気にした様子も無く笑う。

    「へー……攻撃的になるなんて知らなかったけど……それ以外はわたし、ちゃんと知ってるよ? コックさん」

     眠気と嘔吐による疲弊で立っているのも辛い筈のウタ。だが彼女は挑発的に言葉を投げる。

    「でもさー。コックが人の食べる物にこんな吐いちゃうような毒なんて混ぜて良いの? 酷いねェ……本当に」
    「…………」
    「サンジの作ってくれた料理。美味しかったのに、本当に残ね―――」

     ウタがそこまで言った時だった。

    「毒じゃねェ!!! “治療”だ!!!」
    「ッ!!?」

     チョッパーがそう強く言い放ち、ウタの言葉を遮った。

    「おれはあの時! サンジから相談を受けたんだ!」

     チョッパーは語る。事の真相を。
     時は麦わらの一味が総出でライブ会場の整備を始めた頃まで遡る。

  • 184二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 19:29:46

    セーーーーーーーーーーーーーフ

  • 185二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 19:30:10

    良薬は口に苦しぃ

  • 186FILM N.G.22/10/05(水) 21:24:24

    『チョッパー、おれも手伝う。少し相談したいことも有るしな』

     そう言ってサンジがチョッパーに持ち掛けた相談は深刻な内容だった。

    『―――“ネズキノコ”って……猛毒じゃないか!? 何処にこんなものが!』
    『ウタちゃんの私物。そこに隠してあった』

     チョッパーに手渡されるネズキノコ、その現物。それを差してサンジは尋ねる。

    『これの解毒剤って作れるか?』
    『作れるかって……そりゃ作れるけど……』

     チョッパーはう~んと難しい顔をする。

    『何か問題でも有るのか?』
    『問題っていうか……こういう毒物は摂取して吸収された時点で体にダメージが発生するんだ』

     チョッパーはテーブルに広げていたライブ用の医療体制目録を脇に寄せ、そこに医薬品などを並べる。

    『軽度の毒なら薬と本人の回復力で治るけど……猛毒の類いは重度の外傷に似る』
    『……死なずとも手遅れは後遺症に繋がる、か?』
    『ああ。だから毒物への対処の大前提は“摂らない”。これに尽きる』
    『気にしないアホ2人が船に居るがな』

     ワノ国で汚染された肉や水を食って「だから腹が痛ェのか」で済ませたアホ、そもそも毒への抗体がアホみたいに強くなったアホ。その2人の顔をサンジとチョッパーは思い浮かべる。

  • 187FILM N.G.22/10/05(水) 21:25:27

    『……まあそんな例外を除けばだけど、おれの意見としては解毒剤を用意するぐらいなら毒物の元を絶って欲しい』

     チョッパーは少し寂しそうな目をすると、静かに言う。

    『毒だとわかって食べた人が……解毒薬を飲んでくれるとは限らないから』
    『……そうだな』

     サンジは頷くと煙草を口に咥え、毒キノコに色々と思う所が有るチョッパーを慮りつつ自分が発見したネズキノコに対して行ったことを教える。

    『一応はチョッパーに渡したそれを除いて全部廃棄した』
    『え? じゃあこれも処分したら解決じゃないのか?』

     目の前に有る一つのネズキノコ。これさえ無くなれば―――

    『もし分けて保管されてたら発見は困難だ』
    『……! そうか。サンジが見つけた分だけって保証は無いのか』

     サンジにそう言われてチョッパーはその可能性に思い至る。確かにそうなると対処は一層難しくなる。だから最悪の事態に備えて……もしウタがネズキノコを隠し持っていてそれを食べてしまった場合の解毒薬を求めてきたのだ。

    『―――わかった! 解毒薬、作るよおれ!』

     グッと蹄を握り締めてチョッパーは言う。

  • 188FILM N.G.22/10/05(水) 21:25:48

    『おお、そうか! そりゃ助かる!』
    『ああ任せてくれ』

     そう胸を叩くチョッパー。だが直ぐに「ただし、一つだけ」と言葉を付け加える。

    『サンジ。お前にも協力して欲しいことが有るんだ』
    『おれにか? 何だ』

     チョッパーは真剣な表情でテーブルに置かれたネズキノコを指し示す。

    『毒素ってのは当たり前だけど特徴的な成分をしてる。だからこそおれはそれを利用して解毒薬とは別の薬を作る。簡単に言えば“特定の成分に反応して摂取者に激しい嘔吐感を与える”薬物を作る』
    『……そんな物が作れるのか? まあ確かにそんな物が作れれば例え胃に入っても吐き出せる分体への悪影響は減るだろうが』
    『できる! それでだ! おれがサンジに協力してほしいことは―――』

     そうして口に出す協力の内容。

    『その薬を料理に混ぜて出してほしいんだ』
    『…………』
    『すごく嫌そうな顔!!?』
    『いや悪い。料理に客が望んで無い物を混ぜるって考えると……』
    『ああ、料理人の誇りか』
    『望んでたら剃刀でも入れるんだが』
    『いやそうはならねェだろ!!?』

     ―――そうして、サンジとチョッパーは秘密裏にネズキノコへの対策を練っていったのであった。

  • 189二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 21:26:45

    うーん流石トップクラスの技能二人

  • 190二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 21:41:14

    ボイスが脳内再生されるくらい自然な会話になってるんだよな
    1はすごいよ

  • 191FILM N.G.22/10/05(水) 22:15:30

    「おれは作ったんだ。対ネズキノコ用排出薬を。それをサンジに頼んで“毎食”に混ぜて貰うよう頼んだんだ!!」
    「……毎食ッ?」
    「いつ食われるかわからないから!」
    「…………」

     ウタは歯軋りする。彼らが“今夜”に時間指定して作戦を決行してきたが、その理由は何てことは無い。

    「なによ……食後ならいつでも良かったってわけ?」
    「……そうでも無いさ。夕食が一番味付けが濃くても不自然じゃないからな。その分薬の量も増やせる」

     サンジは事も無げに言うがそれは簡単なことではない。料理の味付けとは繊細なのだ。それが薬を混ぜるとなれば尚更。その上で全員が食べて美味いと思わせる料理に仕上げてくるのだから流石の腕である。

    「…………」

     ウタは気分の悪さにふらつきながらもその瞳からは決意の火を絶やすことは無かった。状況さえ見れば彼女の策は完全に潰されたと同義であるのに。

    「ウタ」

     だからルフィは呼び掛ける。

    「もうこんなことやめろ。お前がそこまで悩んでんだったらおれが力になる」
    「…………」
    「おれだけじゃねェ。仲間も居る」

     ルフィは何度でも手を伸ばす。何度も拒絶されようとも。どれだけ傷付こうとも。

  • 192FILM N.G.22/10/05(水) 22:17:18

    「ライブの手伝いしたみたいにさ。おれ達がお前のこと、何とかしてやる」

     目の前で友達が、大事な人が死んでしまうのは、もっと辛いから。それを思えば今までのウタの拒絶なんて何も痛くない。

    「だからウタ―――」

     パンッと、ルフィの手が叩いて弾かれる。

    「ウタ、お前」
    「……もう、遅いよ」

     またもルフィを拒絶したウタは右手を頭上に掲げる。

    「これ以上」

     掲げた右手にナイフを創造して、ウタは構える。

    「わたしのかくごをこわさないで」

     瞳に涙を湛えた彼女はそう言った。




    「だからね、ルフィ」
    「…………」

     現実世界で操ったルフィに運ばせたナイフを手に取り、ウタはそれを頭上へと掲げて構える。
     ルフィを目の前にウタはナイフの鋒を定める。

  • 193FILM N.G.22/10/05(水) 22:17:59

    「お願い」

     麦わらの一味。彼らの制止の声が現実とウタワールド問わず響く……だが彼女はそれら全てを無視してナイフの柄を握る右手に力を込める。

    「ここで……死んで?」

     涙が溢れ、凶刃が振り下ろされた。

    「――――――」

     鮮血が散る。目を見開くルフィ。響く悲鳴。

    「わたしは皆の歌姫……“救世主”。たとえネズキノコが無くたって……」

     刃で肉を刺し貫いたウタは笑みを浮かべる。

    「“新時代”に皆を連れて行く!!!」

     凄絶な笑み。自らの掌をナイフで貫いたウタは返り血を浴びたルフィへ告げる。

    「さあルフィ。184連勝を賭けて戦おう?」

     痛みでそれ以外の感覚を押し退けたウタは狂気に瞳を光らせる。

    「ここで決着を付ける。これまでの……わたしの“全て”を懸けて!!!」

     禁じられた力が―――脈動した。

  • 194FILM N.G.22/10/05(水) 22:21:18
  • 195二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 22:22:54

    埋めて平気かな?

  • 196FILM N.G.22/10/05(水) 22:23:47

    埋めてOK

  • 197二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 22:24:28

    ネズキノコ無いのに新時代のマーク自分で傷付けるの悲しいな

  • 198二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 22:25:46

    映画すら新時代マークに傷をつけることはしなかったのにな

  • 199二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 22:26:08

    覚悟が決まりすぎてる

  • 200二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 22:27:46

    ガンギマリやん…

オススメ

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