【SS】地方ウマ娘「交流レース?」【モブウマ娘】

  • 1二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 00:23:28

    ──地方トレセン学園
    「第一さぁ⋯結局泥遊びなんだよね」
    最近勝ちを続けて、私はそう思うようになった。
    中央の煌びやかな『トゥインクルシリーズ』に比べて私たちがやる『ローカルシリーズ』なんてそんな物だ。
    「こら、調子に乗るなよ」
    トレーナーはそう言うが結局は彼方に比べてただのかけっこ、泥遊びに過ぎないと言うのは私の本音。
    「ま、次も勝ってあげるからさーそうすりゃトレーナーの給料も増えたりすんでしょ?」
    「おい、どこに行くんだ!トレーニングは!?」
    「今日は休息日〜」
    そう言って着替えに更衣室に向かう、最初から練習着なんて持ってきてもいない。

  • 2二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 00:23:47

    そうだ、地方なんてこんな物だ。
    他の地方から『怪物』が生まれたなんて聞いたが、私にはそんなの関係ない。
    そして怪物は私でも無い。
    私服に着替え、広い駐車場のコンビニへ歩く。
    見えて来るのは、扉の前にだらしなく座る私の友達。
    「おっすーせっきょー終わったからカラオケ行くかー」
    「早かったねーあんたの脚と一緒じゃん!」
    「なにそれウケるんだけど!」
    そうやって仲間とつるみ日を過ごす。
    青春なんてこんな物だ。

  • 3二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 00:24:10

    「は?交流レース?」
    「ああ、中央からと他の地方からでウマ娘を選抜したレースが今回はここでやる」
    「それに私が出ろって?やだよ面倒くさい」
    第一中央から来たやつが勝つに決まってる、こんなのは中央に目を向けるためのただのコマーシャルに過ぎない。
    「お前に勝ち目があるから俺は枠を取ったんだよ」
    「は?中央の奴に私が?」
    「ああ、なんでも中央から来るのは勝ったことのないウマ娘らしい、ここで勝ったらお前の名も上がるだろ?」
    「勝った事ないって⋯中央って大分甘いんだねー」
    トレーナーが渡してきた仮出走票を見る。
    まだまだ空欄があるが確かに私の得意とするレースだ。
    「しゃーないなーじゃああんたの愛バが出てやるよ」
    「本当か!?」
    「ただ勝ったらしばらく休み頂戴ねー!私旅行とかしてみたいし!」
    そうして、私は交流レースに出ることになった。

  • 4二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 00:24:45

    ──交流レース当日
    割れるような歓声、この町にこんな人いたか!?
    「凄い歓声だな、どうだ?少しは緊張してるか?」
    「するかよ、しかしまあ中央のウマ娘が来るってだけでこんなに人が集まるんだから嫉妬しちゃうねー」
    本当に嫌になる。
    だから、少しは本気で走ってやろうと、そう心に決めた。
    「じゃ、パドック行って来るからトレーナーはいい席でみててねー」
    舞台裏に立ち、パドックを見る。
    あれが中央から来た奴?ちんちくりんでどこか足りてなさそうなあんな奴が中央に行けるのか⋯
    あれは他の地方からの参加者か、あの芦毛の奴は強そう⋯目つきは鋭いしレース慣れもしてるだろう。
    自分の番、いつも通りの決めポーズをして
    「かけっこ頑張るからみててねー!!」
    観客達の声はまばらになる。
    っちなんだよその反応、まるで雑魚を見るような目、気に食わない。

  • 5二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 00:25:16

    「君がここのエースか、お互い頑張ろう」
    後ろから話しかけてきたのは他地方から来た芦毛の奴、さっきの強そうな奴か⋯
    「まあ、お手柔らかに頼みまーす」
    適当に握手をしてゲートに向かう、勝つのは私だ。
    『さあ交流レース!全ウマ娘ゲートに入りました!!』
    いつも通り、いつも通り。
    そうだ、これは泥遊びだ。
    ゲートが開く、左右の奴は特に言うこともない感じだ、これなら⋯⋯

  • 6二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 00:25:45

    な⋯んだ?
    芦毛の奴が前に出た。
    剛脚、そんな言葉が浮かぶ、地方から来たんじゃないのかアイツは!?
    一気に離される。
    あーあ、やる気無くなった。
    良いや、軽く流して疲れを残さないように走ろう。
    「やああああああああ!!!」
    後ろから中央から来た奴が追い上げてきた。
    そんなに必死になったって追いつけないよ、なんで諦めないんだコイツ。
    なんで、なんで⋯
    楽しそうに走ってるんだよ?
    勝った事ないんだろ?
    なんで?
    地方で笑い者にされてるような物だろ?
    なんで?
    私は負けたくないと思ったんだ?

  • 7二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 00:26:08

    「ああああああああああぁぁああああ!!」
    気が付けば叫びながら走っていた。
    叫ぶために開けた口に土が入る、知るもんか!
    限界を迎えた脚がよろける、こんな物では無いだろ!!
    振り上げて降ろす手の感覚がない、どうでもいい!!!
    あの芦毛を抜かすんだよ!!!あの中央の奴もだ!!
    私は⋯⋯!私は!!!

  • 8二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 00:26:28

    真っ白になった頭の中に浮かんだ過去の記憶。
    「お母さん!私ね!絶対早くて負けないウマ娘になる!」
    上なんて見ても絶望もしなかった無邪気な自分、走るのが大好きでそれ以外考えなかった自分。
    上を見て勝手に絶望して、限界を決めて。
    もったいないことしたな⋯

  • 9二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 00:27:02

    気がついたらゴールは過ぎていた。
    電光板を見る、私の三着で確定ランプは光っていた。
    「最後の末脚、凄かったよ」
    一着を取った芦毛が私に手を伸ばす。
    「凄いレースだったね!楽しかったー!!!」
    二着の中央から来た奴は私と芦毛の周りを跳ねる。
    「悔しい⋯」
    溢れた言葉、芦毛の伸ばした手を取り私は聞く。
    「あんたら名前、聞いて良い?」
    「フジマサマーチ」
    「ハルウララだよ!」
    覚えた。
    次は⋯次こそは負けない。
    「フジマサマーチ、ハルウララ覚えたから」
    ローカルシリーズでも、まるで怪物のような走りを見せてくれた。
    忘れていた走る楽しみ、勝ちへの執念を教えてくれた。
    そんな今日のレースを私は忘れない。
    「トレーナー、明日からのトレーニング⋯ハードに頼むわ!」
    客席のどこかにいるトレーナーに向かって私はそう叫んだ。

  • 10二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 00:34:42

    乙! 地方トレセンのウマ娘でフジサママーチが来るとは思ってなかった

  • 11二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 01:04:04

    マーチ! マーチじゃないか!

  • 12二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 01:16:46

    アリですね

  • 13二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 01:39:56

    なるほど地方レース⋯

  • 14二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 02:21:31

    マーチ、ウララ、地方の星だね

  • 15二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 06:27:30

    オグリキャップがラスボスですか…

  • 16二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 07:14:40

    いいよねローカルシリーズ
    地元の子が走って踊るとか絶対楽しいよ

  • 17二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 10:30:18

    これは…アツい

  • 18二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 17:00:49

    モブウマだから曇らせかと身構えてたら違かったけど良い

  • 19二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 01:27:16

    良いね

  • 20二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 01:30:35

    層ブ厚いな…中央…

  • 21二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 01:31:29

    地方レース場での話になると顔を出してくるマーチとウララ、嫌いじゃないしすごい好きだからもっと欲しい

  • 22二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 12:42:57

    ローカルシリーズ編もっとみたいわね

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