【番外編】陛下の命令で空座第一高等学校に通うことになった【加筆】12

[1 スレ主 23/01/27(金) 22:04:17]

陛下が初期から一護たちの元にスパイを送り込んでいた世界の番外編

番外編では本編でダイスした物語を加筆していく


志島カワキ（♀）
チョコラテ度は3割、人の心は半分ほど得たスパイの滅却師。作中屈指の正直者
※ただし敵やその他大勢には人の心-11になる

物静かで善良度がやや低いスーパードライな合理性の鬼。敵地に瀕死のチャドを置き去りにすることに定評がある
陛下からは情操教育も目的として現世に送られた

己の強さ以外を信じておらず、陛下に仕えるのは聖文字という更なる力が目的
強さにこだわるが、生きていれば報復のチャンスはくるので撤退も視野に入れて行動する

純血滅却師だが虚の毒を4割ほど緩和、軽減できる。理由は陛下にもわからない。現世組あるあるのバグ枠。霊王由来でもない。

[2 スレ主 23/01/27(金) 22:04:55]

初代

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スレ一覧

[3 スレ主 23/01/27(金) 22:05:19]

【加筆まとめ】

スレ全部読まなくてもこれで今までの流れは多分わかる。スレ全部は追えない！文章のみを読みたい！という方はこちら↓

【尸魂界篇】

SSまとめ【尸魂界篇】

【破面篇】　現在リメイク中

加筆まとめ①

加筆まとめ①

[4 スレ主 23/01/27(金) 22:05:44]

現在の加筆範囲【破面篇】

陛下の命令で空座第一高等学校に通うことになった　2｜あにまん掲示板

[5 スレ主 23/01/27(金) 22:06:03]

能力値

能力値

カワキの情報まとめ

志島カワキ

カワキへの好感度まとめ

カワキへの好感度

カワキからの好感度まとめ

カワキからの好感度

[6 スレ主 23/01/27(金) 22:06:20]

【アナウンス】

番外編では、本編でダイスした物語を加筆投稿していく。書いている内に出てきた疑問は追加ダイスするぞ。

不定期で載せていくので、それ以外の時間、このスレは雑談・感想・疑問などに使ってくれ。展開を考えたり、追加ダイスしたり、色々と参考にする。

[7 二次元好きの匿名さん 23/01/27(金) 22:16:38]

立て乙です

[8 二次元好きの匿名さん 23/01/27(金) 22:19:40]

たて乙

[9 二次元好きの匿名さん 23/01/27(金) 22:35:26]

乙です

[10 二次元好きの匿名さん 23/01/27(金) 22:41:28]

カワキのお陰で腕を千切られるチャドも顔を殴られる織姫もいないんだよな
え？たつき？……死んでないのでヨシっ！

[11 スレ主 23/01/27(金) 23:28:59]

戻ってきたら鯖落ちしててびっくり。

じゃあ、ウルキオラ＆ヤミーがカワキと接触した時の話。カワキはたつきがやられるより早く到着してる。

[12 スレ主 23/01/27(金) 23:29:16]

「ぶはァ〜〜！　面付いてた頃に何度か来たが、相変わらず現世はつまんねえ処だなァ、オイ！　霊子が薄すぎて息しづれえしよォ！」
「文句を垂れるな。俺は一人でいいと言った筈だ。来たがったのはお前だぞヤミー」

　地面にクレーターが出来ている。カワキは獣のように茂みに隠れて、クレーターの中心に降り立った二人組を観察していた。
　白い死覇装に割れた仮面――…破面だ。霊圧、濃度、安定性から見てかなりの強敵である事は間違いない。

「へーへー、すいませんすいません」

　不貞腐れた態度でズンズンとクレーターの中心から大柄な男が歩いてくる。破面が徒党を組んでいるという事実に、カワキが厄介な…と眉を顰めた。

「…何だ…？　隕石か…？」
「なんもねーぞ？」
「じゃあ何が落ちたんだよ…！？」
「近付いて大丈夫なのか…？」

　霊力のない人間も落下音やクレーターは認識できていた。野次馬が次々と集まる中でカワキの思考は氷のように冷えていく。

｟現世に出て来たんだ。破面なら今が一番弱っているタイミングの筈。得られる情報は全て手に入れたい｠

[13 スレ主 23/01/27(金) 23:29:28]

「……何だこいつら。ジロジロ見てんじゃねーよ、吸うぞコラ」

　カワキは隠れていた茂みから立ち上がると、野次馬など目に入らない様子で銃を手に歩み出る。野次馬に不愉快そうな態度で何かしようとしていたヤミーが、カワキに気付いた。

『こんにちは、随分派手な登場だね。これほどの霊圧の持ち主が、現世に一体どんな用向きで？』
「…あァ！？　何だお前？」
『見ての通りの人間だよ』

　周囲に集まった野次馬が困惑に騒めく。
　薄く微笑みを浮かべた少女の蒼い双眸が見つめる先には何も無い。涼やかな声色で紡がれる言葉には意味不明な単語が並ぶ。彼らにはさぞや不気味に見えただろう。

「ウルキオラ！！　こいつか！？」
『？　現世に探し人でもいるのかな？』
「な…なあ、あんた……さっきから一体、誰と話してんだ…？」
「悪ふざけしてる場合じゃ…」

　己の言葉を遮られたように感じて舌打ちをしたヤミーが、不快感を隠しもしないで首を鳴らした。大きく息を吸うような動きをすると、周囲一帯の魂魄が口に向かってどんどん吸われて行く。

[14 スレ主 23/01/27(金) 23:29:48]

｟雑魚向けの技だな。とは言え、この辺の人間は全滅だろう。また一護が騒いで首を突っ込んでしまう……｠
「ぶっはーーっ！！　まじィ！！」
「当たり前だ。そんな薄い魂、美味い訳がないだろう」

　カワキは銃を肩に担ぐようにしてため息をついた。ウルキオラの視線が、カワキに向けられる。それに気付きカワキも視線を返した。緑と蒼。色こそ違えど大樹のウロのような昏い瞳はよく似通って見えた。

「だってコイツらが、ヒトが喋ってんのにゴチャゴチャうるせーからよォ！　で？　結局こいつが標的か？」
「いや、違う。…だがゴミではないな」

　ウルキオラが警戒の色を瞳に浮かべる。カワキは評価される程の霊圧を放っているつもりなど無かった。ウルキオラの言葉に首を傾げて、続きの言葉を待つ。

「黒髪に碧眼、霊子の銃――……その女は志島カワキだ。藍染様の仰っていた、現世でまともに戦えるレベルの霊圧を持つ者の一人――…」

　ウルキオラの言葉に、カワキがすっと目を細めた。その瞳は凍る様に冷たい。紡ぐ言葉からも温度が抜けていく。

[15 スレ主 23/01/27(金) 23:30:07]

『へえ、君達は私の名前を知っているんだね。“藍染”と言うと、私の知る藍染と同じ人物でいいのかな？』
「話す必要はないな」
『冷たいね。虚は心に穴が開いている、と言う話は本当らしい』

　ウルキオラの眉がぴくりと動いた。表情こそ変わらないものの、その言葉の何かがウルキオラの神経を逆撫でしたらしい。カワキはじっと二人を観察しながらも、情報収集に最適な手法を考える。前髪の間からちらつく瞳は爛々と輝いていた。

｟この破面達は強い。情報を引き出す為に交戦するなら今だ｠

　霊子に満ちた尸魂界や虚圏と違い、現世では破面は弱体化する。万が一、想定以上に相手が強く、カワキの力が及ばなくても今なら生き残れる可能性が高い。

「…ちっ。標的じゃねえのかよ」
『標的とやらが誰の事かは知らないけど、ここで騒ぎを起こされては私が困るんだ』

　退屈そうに吐き捨てたヤミーに、カワキが銃を持つ手を持ち上げた。カワキに戦意がある事に気付いたヤミーが凶悪な笑みでそれに応えた。

「そうかい！」
『ああ、悪いけどハチの巣になってくれ』

[16 スレ主 23/01/27(金) 23:30:24]

以上

カワキ、情報収集チャンスは逃がさない。たつきがやられるより早く到着していたが特に助けてくれない。冷たい。

たつきはヤミーが魂吸したので多分、画面外で倒れている。まだギリギリ意識ある筈……。

ウルキオラ、カワキの言葉が癇に障ったがここはまだ動かない。藍染による「現世のヤバい奴リスト」にカワキが載ってるので警戒はしている。

[17 二次元好きの匿名さん 23/01/27(金) 23:32:08]

ヤミーとカワキという弩級の霊圧持ち2人の本気の衝突に巻き込まれた たつきとその他…
2人とも現世の人間に気を使うような性格してないから酷い事になってそう。下手すると流れ弾で一般人が消し飛んでてもおかしく無い

[18 二次元好きの匿名さん 23/01/27(金) 23:36:09]

そこらへんに転がってるのが一護のかなり関係の深い現世友達枠だと気づいてくれたら……気づいてくれーそしてちまっとでいいから意識を振り分けてくれー

[19 二次元好きの匿名さん 23/01/27(金) 23:36:55]

カワキちゃんが先行すると周りが碌な事にならない(SS篇の雑兵死神、破面篇のたつき、消失篇の疑心暗鬼中チャンイチの心…南無南無)

[20 二次元好きの匿名さん 23/01/27(金) 23:38:06]

カワキは遅れて登場するくらいが周りの被害が少ないのは事実(千年血戦篇)

[21 二次元好きの匿名さん 23/01/27(金) 23:39:43]

遅れて出てきてもご本人登場でチャン一の心はズタボロにされたぞ

[22 二次元好きの匿名さん 23/01/27(金) 23:40:46]

心に穴が空いてるのはお前だ(定期)

[23 二次元好きの匿名さん 23/01/27(金) 23:45:44]

カワキは白哉や砕蜂といい格上だろうが相手に必ず煽るルールでもあるのか……

[24 二次元好きの匿名さん 23/01/27(金) 23:50:09]

態と煽ってる時もあるけど、素で言った発言がナチュラルに煽ってる時もある
陛下の娘だからしょうがないね

[25 二次元好きの匿名さん 23/01/27(金) 23:59:18]

浦原、夜一と同じリストに載るカワキちゃん
この子のヤバさを見抜けるとは流石藍染様慧眼

[26 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 00:00:48]

陛下とポテトとキルゲとアスキンとバンビーズ見て育ったらそりゃ戦闘中にちょくちょく煽り入れるスタイルになるだろ

[27 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 00:04:08]

冷静さを欠いた方が単調になって読みやすいとかで戦略的煽りなのかもしれない
ヤミー無理じゃん

[28 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 00:06:44]

寧ろ憤獣の燃料になるからカワキとの相性は悪く無い方なんだヤミーは…
帰刃する前にやられちまったから……

[29 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 00:08:52]

石田や竜弦真咲含めて滅却師って戦闘中にちょくちょく煽るよな
陛下の血か…

[30 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 00:09:39]

BLEACHに置いて最強の戦術は瞬殺だからな
どんな厄介な能力持ちも使われる前に殺せばいいのだ！

[31 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 00:13:00]

ヤミー、月島さん、銀城というブリーチの中でも強者相手に奥の手を出させる前に深手をおわせて仕留めたから流石はカワキ……

[32 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 00:13:08]

>>26

英才教育すぎる…

[33 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 00:14:08]

なんなら被害者の場合が多いだけでチャン一も割と煽ってる…

[34 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 00:18:12]

主な相手が陛下、月島さん、藍染、ギンだし相手が悪いよなチャン一は…強者達ばかりと戦うせいで煽られてるイメージがついてる

[35 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 00:32:16]

>>34

主な相手がカワキちゃんとあんまり変わらないの笑う

[36 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 00:51:19]

カワキは藍染や陛下さえ煽ってくる狂犬だし…

[37 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 00:55:34]

東仙を単騎で倒せるのは十分警戒対象に入るよね

[38 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 01:15:39]

一人だけ明らかに空気感ヤバイもんな
見えざる帝国のキレたナイフ

[39 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 01:17:34]

実際現世組の癖に現世来た十刃とまともに戦える(ヤミーに至ってはボコってる)わけだから藍染の警戒は何も間違ってなかった

[40 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 01:19:11]

カワキは一護同様全篇のボスと戦ってるの本当草

[41 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 01:22:24]

冷静に考えると相手も弱体化してるとはいえ霊子薄い現世でなんで十刃ボコってるんだこの女…
蜂の巣だからゼーレシュナイダーで霊子削って吸収しましたでもないんだよな…

[42 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 01:29:13]

チャン一が力取り戻してからカワキちゃんが戦った相手は月島銀城(チャン一夜一)ポテト陛下で最終的に全勝してるのほんと笑う
もうナンバー２以上じゃないと相手にならない…

[43 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 01:32:47]

藍染に警戒され…竜弦に警戒され…向こうの読者「なんでカワキだけこんなに警戒されてんの？」になってそう

[44 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 01:51:23]

嫌でもカワキの異常性で実力者や知恵者は誰でも警戒するよな
でも様々な事情でカワキに近づき過ぎると絆されて警戒を解いちゃうから厄介なのよね。京楽さんと藍染ぐらいだよ適度な距離を保てたの

[45 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 03:25:24]

カワキちゃんは秘密と高性能出力機はあるが裏表が全くないから聡い人ほど絆されやすいんだよね…

[46 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 04:44:39]

ホラゲーの真相エンド迎える並にフラグを建てて断片情報を全部回収していかないとカワキ真実には辿り着けないんだ…誰もカワキ検定満点を取れない女だから…
本編はノーマルエンドだろ…あとバッド・トゥルー・ベスト・メリバとか色々ありそう

[47 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 04:47:32]

トゥルーエンドを迎えるためにイベント起こさないといけない相手は陛下、ハッシュ、藍染、山爺…めちゃくちゃフラグ建てる相手が多い……
何周したら断片情報が全部手に入るんだ……

[48 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 08:45:43]

少なくても陛下ホワイトアスキンキルゲポテト山爺八千流からは情報を入手しないとカワキの話だけではカワキの事を理解できないんじゃないかな。

[49 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 12:39:37]

カワキ真実が明かされる真相エンド目指してる時に直接カワキの話を聞くと余計にわからなくなるの罠だよ

[50 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 13:09:04]

部分的に正解をそれぞれ正解だと思っているある意味チャン一みたいな存在

[51 スレ主 23/01/28(土) 16:14:50]

今日の加筆投稿はヤミーvsカワキの話。ヤミーが突っ込んじゃったのでウルキオラは後方で待機中。連携とか無い。

[52 スレ主 23/01/28(土) 16:15:38]

　カワキがざりっと地面を強く踏んで腰を落とす。楽しげに笑うヤミーが風圧と共に大きな掌をカワキに伸ばした。辺りに土煙が立ち込める。

「あ！？　どこ行きやがった…！」

　手応えが無い。姿も無い。土煙に巻かれながらキョロキョロと周囲を見渡すヤミーに、ウルキオラが胸の内で悪態をつく。

（バカが……――上だ）
「ぶ…っ！？」
『硬いね。貫通させる気で撃ったのに』

　ヤミーの頭上に跳んだカワキが、その頭を目掛けて弾丸を放った。直撃を受けて血が飛び散る。しかし、貫くには至らない。着地したカワキが大きく大地を蹴って、風のような速さで距離を詰める。

「くそ…ガキがぁ…っ！！」

　怒りに任せた大ぶりの一撃は容易く回避され、懐に飛び込まれた。蒼い目と、青い銃口が正面からヤミーを捉える。弾ける音がして巨体が衝撃に揺らいだ。

「…がぁ…ッ！」

　咄嗟に敵を振り払おうとした手を避けてカワキが飛び退く。歯軋りしながら血塗れの顔を手で覆って唸るヤミーに、カワキは静かな佇まいで訊ねた。

[53 スレ主 23/01/28(土) 16:15:57]

『破面には超速再生が無いんだね。それは君だけ？　それとも…種族全体として進化の際に失われるものなのかな？』

　肩で息をするヤミーは答えない。その目には怒りの炎が燃えていた。凪いだ水面の瞳でカワキが問いを重ねる。

『まだ口は利けるだろう？　君達の勢力がどの程度かも知りたいな。できれば、君の序列も含めてくれると有難いね』
「くそッ…！　くそ…ッ……くそがあアアアアアっ！！！」

　カワキの態度を侮りと感じて、ヤミーが怒りと苛立ちの声を上げた。地団駄を踏むように地面を割りながら、怒りで血走った目をしてカワキに迫る。
　情報を聞き出そうと訊ねながら、カワキは手にした銃に調整を加えていた。ヤミーの後方で、ポケットに手を突っ込んだまま動く様子のないウルキオラをちらりと確認して、接近してくるヤミーに視線を戻す。

『君の仲間は冷たいね。私は助かるけど』
「潰れて消えろ！！！」

　振り上げられた大きな腕が作る影の下、眩ゆい閃光が走ってヤミーの目を灼いた。弾丸の雨にぐらりと巨体が傾いてゆっくり倒れていく。土混じりの風に揺れる黒髪は普段と何も変わらなくて、少し離れた位置で、たつきは呆然とそれを見ていた。

[54 スレ主 23/01/28(土) 16:16:34]

「…な…何が…起きたんだよ一体…！？　宮原…工藤さん…みんな…死んでるの……？　何…なんだ…あいつら…！？」

　肩で息をするたつきには何が起きているのか半分も理解できなかった。突然現れた二人組。突然現れたクラスメイト。そして突然始まった戦い。「なんで」という疑問が頭の中を駆け巡る。
――なんでクレーターから人が？
――なんでクラスメイトが銃を持ってる？
――なんで周囲の人が倒れていった？
――なんであの二人は戦ってるんだ？
　なんで、なんで、なんで。誰もその答えを返してくれない。状況が移り変わった。倒れたヤミーの手がぴくりと動く。

「ばはァっ！！！」

　ヤミーが拳を地面に叩き付けて、瓦礫を飛ばしながら立ち上がる。流れ出した血が滴って、大地に赤いまだら模様を描いた。

『君くらいのレベルの破面には、今の威力でこのダメージになるんだね。……成程、参考になるよ』

　無機質な蒼い目がヤミーを見る。実験の結果でも確認するかのような口調だった。息を切らせたヤミーが、激しい怒りに傷の痛みを忘れる。頭に血が昇った。

「…殺す…！　ぶっ…殺す！！！」

[55 スレ主 23/01/28(土) 16:17:04]

　腰に差した刀に手を伸ばしたヤミーに、カワキが目を細めて警戒する。ウルキオラがヤミーに声をかけた。

「随分苦戦してるな。代わってやろうか？」
「うるせえっ！！」
『――…その刀は？』

　カワキの問いに答えず、ニヤリと笑ったヤミーが「いくぜ」と鞘から刀を抜こうと腕を持ち上げる。

｟あれは危険だ。使わせてはまずい｠

　カワキの頭で警鐘が鳴った。カワキは己の直感に従って地面を蹴った。土が抉れる程の衝撃。二人の距離が一気に縮まる。

「！？」
『悪いけどお披露目は遠慮してもらうよ。それはなんだか――…嫌な感じがする』

　柄を握った手を踏みつける。強引に鞘へと刀を戻させた。手を踏み台にしてカワキがヤミーの頭上まで高く跳躍する。狙いを定めて――引き金を引いた。

『――！』
「ウル…キオ…ラ…」

[56 スレ主 23/01/28(土) 16:17:26]

　バチンと音がして、割り込んだ白い手に弾丸が打ち払われた。目を丸くしたカワキが、後方へ飛び退る。味方の参戦に笑んだヤミーの腹をウルキオラの手刀が貫いた。

「な…何しやが…る…」
「バカが。頭に血を昇げ過ぎだ、ヤミー。こいつは藍染様が警戒を促す程の相手だ。お前のレベルじゃ、そのままでは勝てん」

　血の滴る手。ウルキオラの言葉に含みがあるように聞こえてカワキが目を細めた。

『“そのまま”…？　気になる言い方だね。ところで――…次は君が相手をしてくれるって事でいいのかな？』
「――いいだろう」

　ヤミーを下がらせたウルキオラがカワキと対峙した。場に満ちる霊圧が、また一段濃くなってズンと重たい圧を感じる。意識はあるものの、地に伏せて動けないたつきの呼吸が浅く、細くなる。

（何…これ…。目が…逸らせない…？　気が…遠…く…）

　たつきの意識が霞むように遠ざかる。目の焦点はどこにも結ばれていなかった。
――ミシミシと何かが軋む音がする。

[57 スレ主 23/01/28(土) 16:17:41]

　滝のように汗が身体を流れて、呼吸さえ止まりそうになったその時の事だった。

「――たつきちゃん！　カワキちゃん！」

　重苦しい殺気に満ちた戦場に鈴を転がすような声が響いた。途端に空気が変わる。たつきにかかっていた圧が僅かに和らいだような気がした。

「無事か、二人とも……！？」

　たつきは慣れ親しんだ二つの声に安堵を覚える。とっくに限界を迎えていた意識は糸が切れるようにぷつりと途絶えた。

[58 スレ主 23/01/28(土) 16:18:13]

以上

カワキ、周囲への気遣いが全く無い。マジで微塵も無い。「ハチの巣にしてやる」と言ったからには本当にやる。嘘つかない。

ヤミー、カワキにハチの巣にされた。そのダメージは９１／１００くらい。凄まじい重傷を負わされるも謎にカワキへの好感度が高い。

ウルキオラ、選手交代の申し出は断られたが、友達が殺されかけていたので自主的にチェンジした。カワキより人の心があるともっぱらの噂。

たつき、ただでさえ、ヤミーの魂吸のせいでヘロヘロなのに、カワキとウルキオラの霊圧がダメ押しになって魂が潰れかけた。何が起こってんだよ！　誰か説明しろ！！

[59 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 16:25:38]

カワキのせいで帰刃ヤミーが少しだけ強くなりそう

[60 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 16:41:17]

現世ヤミーはカワキちゃんしか戦っていないからカワキちゃんの強さがわかんねぇ…

[61 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 16:46:38]

縛りプレイで転職せざるを得なかったスピードタイプでいきなりこれは才能の塊なんだよなぁ
最終的に防御力と機動力を両立して弾をばら撒く災害になるし…

[62 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 16:46:40]

興味のないエキストラには容赦ないカワキさん

[63 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 16:50:16]

ウルキオラが見学してるとはいえこの時点では藍染と繋がってるらしい破面と2対1だから仮にカワキちゃんに人の心があってもぶっちゃけ周囲の事考えてる余裕はない
なお相手は十刃だった上に一人ボコった模様

[64 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 16:52:30]

そもそも斬魄刀を抜かせない斬新な解決法が光る
できるか！！誰が同じ解決法できるんだ！！現世の高校生に無茶言うな！！

[65 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 16:57:40]

対破面で帰刃させずに瞬殺するは実に帝国育ちらしい解決法だな…

[66 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 16:58:02]

現世とは言えヤミーが帰刃したら無限強化で手が付けられんからな。飼い犬も近くに居ないしウルキオラならまかり間違っても巻き込むこともないしで
抜かせないのが一番の対処法

[67 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 17:04:08]

煽りが上手い
1対多でも平気
容赦ない
まず相手に全力を出させないようにする
それはそれで正面から普通に戦っても強い
滅茶苦茶しぶとい
これは間違いなく帝国育ち…

[68 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 17:09:56]

カワキは光の滅却師で通ってるけど初期ウルキオラとの邂逅でウルキオラと同類で更に人の心無いぞと表してるんだろうな…

[69 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 17:29:39]

相変わらず誰よりも早く現場に到着し、しかも敵を一人戦闘不能にしてることで光の滅却師ポイントがまた貯まる

[70 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 18:09:47]

石田の心境考えてみたんだけど前石田はSS編のカワキちゃんの戦い見てないって話あったじゃん？
石田が死神や現世組から客観的に聞けるSS編のカワキちゃんって「ルキア救出の味方を助けながら通常状態で隊長達と互角に戦い続けルキア救出の為に誰よりも精力的に動いた滅却師」なんだよね
「仇討ちの為に隊長は倒したけど滅却師最終形態使ってその後戦力外になった自分」と比較した結果死神代行編のそうかそうか君はそういうやつだったんだなが再び深く刺さって凹んでた所に竜弦の才能ない発言が追い討ちになってメンタルやばい可能性ない？

[71 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 18:10:33]

ここでばっちり破面の硬度や超速再生が無い疑惑まで掴んでるの、本当に対面での情報収集は優秀だな
現場に残された証拠探しはポンコツ気味なのに…

[72 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 18:13:29]

石田だって天才なのに隣に異次元の怪物がいるせいで凹むなんて見てられねえよ…
石田が光属性の男でよかったな…拗らせてたらカワキと石田で縁壱と兄上みたいになってた可能性も……

[73 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 18:16:56]

ルキア救出は勿論砕蜂に啖呵切って助けてくれた件もあるから割と真面目に十三番隊にカワキファンクラブ出来ててもおかしくないからな…

[74 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 18:19:30]

カワキファンクラブ草　会報が気付いたら消えてるやつじゃん
常に光源のある場所に保管しておかないと

[75 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 18:21:12]

カワキファンクラブ…女性死神協会の小遣い稼ぎに狙われそう

[76 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 18:27:19]

カワキちゃんはプロフェッショナルらしく継戦能力がアホみたいに高いから戦闘の勝敗ではなく任務達成の貢献度を考えた時に石田は可哀想である
男子高校生に無茶言うな

[77 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 18:30:43]

悲しきかな所詮混血統と純血統だからな…
竜弦の言う通り才能の差もある

[78 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 18:35:04]

純血の生まれ・最高の教師陣・鍛錬に没頭できる時間と環境・潤沢な装備……差がついて当然なんだ。でもこれ全部石田からは見えない部分だから落ち込んでしまうという……
そもそもカワキの方がずっと年上だし……

[79 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 18:35:45]

読者から見ると竜弦の言う他の修行方法がもっと術とか剣とか格闘磨けよってことか？ってなるの笑う

[80 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 18:37:47]

石田が帰宅後に予習復習に当ててる時間で
カワキは酒タバコと寛いでるからな
力は求めているけど焦りがないのは強い

[81 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 18:38:50]

>>78

仮に全部知ってても石田から見ると一緒に修行してたのにカワキちゃんは霊子操作と飛廉脚がアホみたいな伸び方してるから…

[82 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 18:39:10]

カワキは攻略本(ダーテン)読み込んでから尸魂界に行ってるしな　隠し通路やキャラのステータスまで丸見えだぞ

[83 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 18:41:09]

情報の差や戦闘経験の差は比べるもんじゃないが才能の差だけでも凹む余地はあるからな…
違うんだ石田
竜弦と真咲と片桐とカワキがおかしいだけでお前も天才なんだ…

[84 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 18:42:31]

カワキが先にゼーレシュナイダー剣術や銀筒殺法をお見せしてたせいで向こうの読者視点、石田がカワキを参考にして色々な技術を身につけたっぽく見えてそう

[85 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 18:42:45]

死神代行編～SS編掘り下げた結果石田が曇るのは想定外すぎる…

[86 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 18:44:47]

>>70

諸々の比較追加されるカワキ戦績の結果、原作でも血を吐くような思いで条件をのんだだろうに、この世界戦ではさらに誇りも葛藤もポリシーも全て引き換えにしての「誓います」になるのか

そしてこの後真面目に死にかけまで追い込まれる精神と肉体

心だけが思いに応えてぎりぎりを生き抜き力を取り戻すのか……

[87 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 18:47:18]

良く考えるとカワキちゃんからしたら霊子が薄い現世ってだけで相対的に帝国より負荷がかかって滅茶苦茶修行になる環境なのか？
そりゃ帝国と比べて爆発的に伸びるか…

[88 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 18:49:17]

カワキなら出来たぞ？とか
自己嫌悪して欲しい

[89 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 18:51:52]

石田だって混血統だけど、才能に胡座をかいた純血統よりは天才の筈なんだ。
ただカワキちゃんは常に更なる力を求めてるある意味努力の天才でもあるから…

[90 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 18:54:10]

倒れてるたつきを見たチャドと井上
見た事ない人型で虚の孔を持つヤバそうな奴と戦闘態勢のカワキ(友だち)
どっちが犯人かは明らかだよな？

[91 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 18:56:06]

ヤミーウルキオラが弱かったらカワキちゃんも本気出さずに済んだから全面的にあっちが悪い

[92 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 18:56:18]

>>88

消失篇がそれっぽいな

月島に気を取られてたとはいえ背後から銀城に斬られた石田

不意打ちで月島さんをボコり、銀城を半殺しにしたカワキ

[93 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 19:00:16]

消失篇のカワキはみなぎる殺意で章を終わらせかけてたからな…

[94 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 19:00:19]

そんな石田も最終的に唯一物理的にカワキに禁酒させられるようになるんだからすげぇぜ

[95 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 19:02:40]

そういえば消失篇でもカワキと竜弦はサスペンスしてたよな　あの空気感好きだわ

[96 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 19:08:07]

死神代行編カワキのそうかそうかきみはそういうやつだったんだなが石田を苦しめる

[97 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 19:16:56]

最低なこと(チャド見捨て、たつき無視)をしても、それを上回る功績(懺罪宮最速到着&仲間の治療、ヤミー撃破)で無かったことになるのがカワキ

[98 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 19:18:38]

カワキエーミールが単なる感想程度の気持ちで言った言葉が石田に突き刺さる
この時グサッとメンタルやられて弁明できなかったせいで年単位でアヴェンジャーの誤解を受けるのも合わせて笑う

[99 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 19:54:26]

現世育ちの滅却師は繊細なんだ！

[100 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 20:06:37]

キルゲさんより神聖滅矢の威力がある時点で石田は滅却師としてヤバいけど隣にいる奴が更に馬鹿火力の神聖滅矢を斉射してくるのが悪い

[101 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 20:10:28]

チャンイチはカワキの神聖滅矢くらった事ないもんな。銀城庇った時に受けてもおかしくなかったけど、カワキが誤射なんてする訳がない

[102 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 20:18:22]

カワキは破面篇前半でヤミー、後半でノイトラぶち抜ける火力はとっくにあるから本気で放たれたら大体の敵が風穴開くから洒落にならない
神聖滅矢で虚夜宮の壁や床をぶち抜いて移動してたし………

[103 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 20:21:44]

そしたらカワキのアネキが1人でその場所に行ってなァ 神聖滅矢をぶっ放して虚夜宮を木端みじんにしてもうたんじゃ

[104 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 20:24:04]

壁ぶち抜いて移動しても敵が集まって
来る事も無いと剣ちゃんの移動で
学んだのか

[105 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 20:33:48]

これ壁（天井）ぶち抜いた方が速いなって思ったら即ぶっぱするカワキちゃん

[106 スレ主 23/01/28(土) 21:06:35]

じゃあ、次。ウルキオラvsチャド＆カワキの話。大変な事に巻き込まれてしまってるたつきが可哀想。
一護の到着まで。

[107 スレ主 23/01/28(土) 21:06:54]

『井上さん、茶渡くん。二人も来たのか』

　正直、少し驚いた。離れていても、霊圧だけでわかる筈。彼らじゃそこで血だらけになっている方の破面にだって勝てない。なのに二人とも来るなんて、と。

「カワキ…こいつらは……？」
『私にも詳しいことわからない。現時点でわかるのは……仲良くできる相手ではないって事だけだよ』

　カワキも銃を向けたが、先に仕掛けたのは破面達の方だったと思う。友好的な関係を築きたいと願っている者がこんな霊圧を放って出てくる訳も無い。そう考えて質問に回答した。

「たつきちゃん！　たつきちゃん…っ！」

　井上が必死に呼びかける声が、カワキの耳に届いた。きょとん、と目を丸くする。

｟有沢さん？　近くに居たのか…｠

　先程からずっとそこに居たのだとして、まだ生き残っているなんて驚きだ。

『有沢さんは、さっきまでの戦闘の余波で魂魄が潰れかけてるんだと思う』

　淡々とした声でたつきの状態を告げる。

[108 スレ主 23/01/28(土) 21:07:38]

　カワキは周囲の人間の命なんてどうなろうと知った事じゃないと思っていた。きっと相手の破面もそうだったと思う。戦闘中、ずっとそこに倒れていたなら、受けた負荷は相当のものだった筈だ。
――仮に、近くに倒れていた彼女の存在に気付いていたとして。カワキが戦闘に加減を加える事があっただろうか？

｟彼女の生死は任務に関係が無い。破面を相手に加減をする理由も無い｠

　結論は出ている。カワキは気付いていたとしても加減などしなかった。けれど意識の無いたつきを抱き寄せた井上があんまり嘆くものだから、カワキは念の為に謝罪の言葉を口にする。

『悪いね。とてもじゃないけど加減できる相手ではなかったんだ』
「…ああ、わかってる。こいつらは強い」

　同意を返してくれたのはチャドだった。その顔は闘志に満ちているように見える。カワキはガラス玉のような瞳で瞬きを繰り返して、小さく首を傾げた。

｟さっきの言葉…実力差がわかっていない訳じゃない。なのに、戦う気でいる……｠

　そうか、彼は強敵との戦いを好む気質があるんだ。思い返せば、京楽との戦いでも退く気配がまるで無かった。納得と共に、次の動きを決める。

[109 スレ主 23/01/28(土) 21:08:24]

『茶渡くん、私が援護するよ。……一緒に戦ってくれる？』
「…ああ…もちろんだ」

　頷いてもらえてよかった。この手合いは戦いに割り込まれるのを嫌がる事も多い。快く共闘の申し出を受け入れたチャドに、カワキが安堵する。

「…井上。話した通り…有沢を連れて退がってくれ…」
「うん…無理しないでね、カワキちゃん…茶渡くん…」

　井上は、たつきを抱き締めるようにして退がった。チャドが前衛、カワキが後衛の役割を担って立ち位置を変える。その様子を黙って見ていたウルキオラが、怪訝そうな顔でカワキに訊ねた。

「そのゴミを前に出してどうする気だ？　そいつが俺に勝てると本気で思っている訳じゃあるまい」

　その通りだ。言われるまでも無い。胸の内で肯定の言葉を返したカワキが、静かに銃口を持ち上げた。
　カワキとて戦力差は理解している。チャドに前衛を任せた理由は勝利する為では無い。得られる情報を少しでも増やす為だ。

（…ヤミーとの戦いでわかる…無駄な事をする女じゃない。…どういうことだ…？　一体――…）

[110 スレ主 23/01/28(土) 21:09:38]

　カワキの意図が読めず、ウルキオラが警戒を強めた。緑の目がチャドを睥睨する。

（ゴミに見えるこの男に、何か隠された力があるのか。それとも…こいつを囮に何かするつもりか）

　ウルキオラの視線が静かに佇むカワキに向けられた。視線が逸れた瞬間を狙ってチャドが大地を蹴る。ウルキオラに黒い拳が迫るもウルキオラは動かない。
　突進してくる男も、迫る拳も、どちらもウルキオラの目には止まって見えていた。軽く身を捻って躱す。

「判らんな。やはりゴミはゴミだ」
『ああ。君にはわからないだろうね』

　避けた先に弾丸が飛来した。青白い光を打ち払い、ウルキオラが向けられた言葉の真意を知りたいという目でカワキを見る。

「……何が言いたい」
『言葉の通りだよ。君にはわからない』

　カワキは情報が欲しい。チャドは強敵と戦いたい。各自がバラバラの思惑を持って行動しているのだから。カワキが薄笑いを浮かべた。

｟どうやら彼は、私と茶渡くんが意志を同じくして作戦を共有していると誤解してるらしい。好都合だ｠

　攻撃を避けられ、一度後退したチャドがカワキを気遣うように小さく訊ねた。

[112 スレ主 23/01/28(土) 21:11:21]

「…カワキ。まだ動けそうか…？」
『ああ、お陰様でね。…茶渡くんは？』
「俺は大丈夫だ。…先に向こうの男と戦っていたんだろう…？　……無理はするな」

　カワキの消耗を案じたチャド。カワキはウルキオラから視線を動かさずに答える。ウルキオラもまた、カワキを警戒して迂闊に動けないようだった。

｟これ以上、戦いを引き延ばしてはさすがに気付かれるだろうな｠

　カワキが冷静に計算する。ウルキオラはカワキの目から見ても強い。探知能力もヤミーより上に思えた。今はカワキに何か策があるものと警戒して、様子見をしているようだがあまり長引くと、策が無い事も看破されるだろう。

『茶渡くん。長期戦になればこちらが不利だ。撤退の準備を』
「…いや…奴は強い。…俺が囮になろう。
……その隙に、カワキは井上達を頼む…」

　束の間、カワキはチャドが何を言っているのか理解できなかった。蒼い目が見開かれる。しかし、すぐに合点が入った。
――ああ、とうとう強敵と一人で戦いたい気持ちに抑えが効かなくなったのか、と。

[113 スレ主 23/01/28(土) 21:12:09]

｟いや、この手合いにしてはよく保ったと言うべきか……。彼は協調性がある方だ｠

　カワキはそのように結論づけた。そして考える。撤退するなら、一瞬でも囮が居て困る事はない。たつきと同様に、チャドの生死も任務に関係は無いのだ。戦いたいと言うならその気持ちを尊重しよう。

『…わかった。茶渡くん、健闘を祈るよ』

　一瞬。カワキに贈られた言葉にチャドが目を瞠る。すぐに小さく微笑みを返して、言った。

「…ああ。……あとは頼む」

　決死の表情でウルキオラに向かっていくチャド。その背後で撤退しようとしていたカワキが、動きを止めて街の方角を見た。

｟ああ、またか――…！｠
「…くだらん。俺の考え過ぎか」

　ウルキオラはチャドの突撃を白けた表情で見ていた。これまでの自身の警戒を杞憂だったと判断し、様子見から一転、チャドを仕留めようとする。その逃れ得ぬ一撃がチャドに迫る。

「！」
「…一護…」
「…悪い。遅くなった、チャド。カワキ」

[114 スレ主 23/01/28(土) 21:12:23]

　現れた一護が、ウルキオラからチャドを守った。チャドはどこか悔しげな様子で、一護の姿を見遣る。戦況はまた大きく動こうとしていた。

[115 スレ主 23/01/28(土) 21:13:21]

以上

カワキ…チャドへの理解度が著しく低い。チャドの事を強敵との戦闘が大好きな悟空メンタルと誤解している。戦闘ジャンキーなのに協調性があって良いね！　してる。撤退するか〜してたら一護が来てしまってお仕事が始まっちゃった。

チャド…ウルキオラが強いのはわかってるけど、カワキも大概ヤバイという事はまだわかってない。このままじゃ全滅だと思い囮役を買って出た優しい男。何やら悩みがあるらしい一護は巻き込みたくなかった。

ウルキオラ…カワキを警戒して様子見していた。カワキの言葉を「虚に人の心なんてわからないよな」系の煽りだと誤解して、「自分と似てるのにこいつには心がわかるのか？」と思った。誤解でしかない。

[116 スレ主 23/01/28(土) 21:18:04]

カワキ視点を多めに取り入れて書くと石田は死神憎しのアヴェンジャーになるし、チャドは完全に戦闘大好きマンになる。
カワキに見えている世界、ズレまくり。どうしてこれで数年間、現世に潜入できていたのか謎でしかない。

[117 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 21:19:08]

すれ違いすぎて衝突すらしないこのてんでばらばらの内心ベクトル線……

[118 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 21:20:07]

本当なら主人公登場で喜ぶべき筈なのに
嫌な顧客から連絡来たみたいな感覚

[119 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 21:20:09]

全員でアンジャッシュしてる…

[120 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 21:21:04]

>>116

あんまり他人とコミュニケーションしてないからじゃないかな

現代だから事務的応答や相槌だけでもいけた　数十年前だったらちょっとかなりたぶん浮いてた

[121 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 21:22:26]

空座町はヤンキーが跋扈する町だからカワキみたいなのも珍しくない可能性

[122 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 21:25:33]

カワキはチャドを戦闘狂と誤解しとるけど死合狂いの代名詞である初代剣八から同類と思われてるとしか思えない好感度を稼いでるのがね……

[123 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 21:27:02]

カワキ→一護
「やめろぉ！危ないところに突っ込むな！！」
保護者→カワキ
「やめろぉ！危ないところに突っ込むな！！」

もうギャグだろ

[124 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 21:53:00]

＞――ああ、とうとう強敵と一人で戦いたい気持ちに抑えが効かなくなったのか

チャドをなんだと思っているんだ案件で草

全員でアンジャッシュするな

[125 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 22:01:37]

ちょっと待って
カワキのチャド評、というか思い浮かべてるやつ
「強敵との戦いを好む気質」
「とうとう強敵と一人で戦いたい気持ちに抑えが効かなくなったのか」
「この手合いにしてはよく保った」
「彼は協調性がある方だ」
これ、誰の情報やら気質やらと比べて言ってんの！？

[126 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 22:04:56]

チャド初見の奴ならやりそうな勘違いだけど
お前はチャドと友達だろ！

[127 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 22:10:47]

足の引っ張り合いが常の帝国の滅却師と比べたらチャドなんて協調性が服着て歩いてるようなもんだろ

[128 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 22:12:08]

>>126

織姫の嘆きに気を遣う友達対応はできるのに、チャドにはできないのはなんでだ

あれか、チャドは実力はともかくメンタルとしては戦士カテゴリだからか　心を配らんでいいと

そんなわけあるか

[129 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 22:15:04]

カワキは人を見た目で判断しないけど、言葉や言動をそのまま解釈するから…
カワキが不良をボコそうとした場面に割って入った過去があったら、カワキに彼は喧嘩が好きなのかと思われてもしゃーない

[130 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 22:15:15]

嘆きに気を遣ったというか「何かわからんけどめちゃくちゃ嘆いてる…とりま謝っとくか…」感が強いよな
わかったぞ　チャドももっと大袈裟に感情表現したら伝わるのでは？？

[131 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 22:21:48]

カワキに無口とツンデレはダメ
はっきりわかんだね

[132 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 22:40:45]

カワキが白一護ともし話したらどんな化学反応起こすんだろ。兄弟関連抜いても本当のことしか言ってない白一護はカワキ的にはどういう人格だと思うのか気になる

[134 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 22:55:13]

カワキ「私の兄弟を殺したそうですね」
白一護「そうだぜ」
カワキ「あの姉達を倒すなんて＿＿＿あなたとても強いんですね」
白一護「ん？」
カワキ「一護が完全虚化したアレみたいな力欲しいな…」
白一護「(ドン引き)」

[135 二次元好きの匿名さん 23/01/28(土) 22:57:27]

一護と織姫の理解度高いから白一護さんも理解度高い気もする

[136 二次元好きの匿名さん 23/01/29(日) 00:24:24]

カワキちゃんって強者のくせに全然舐めプしないよな
デバフも血装縛りも陛下のせいだし
味方がいると後衛や観察に回るのも壁要因だったり情報収集だったりする

[137 二次元好きの匿名さん 23/01/29(日) 00:37:12]

強くなりたいだけで戦うこと自体が目的じゃないからな

[138 二次元好きの匿名さん 23/01/29(日) 00:43:03]

前スレの資料漁りの時に髪のクリップを書類に流用するカワキ好きだ…いや髪のクリップを流用というか元々書類用なんだけど
髪下ろしてタバコ吹かして手にはグラスってすごくアダルティな魅力があってカッコイイ…

[139 二次元好きの匿名さん 23/01/29(日) 00:52:10]

帝国での教育環境を考えるに、戦闘において舐めプなんて姿勢が許されるような布陣の教師達(キルゲ、ハッシュヴァルト)じゃないからでは

[140 二次元好きの匿名さん 23/01/29(日) 01:08:45]

陛下もポテトもキルゲさんもいくらカワキのこと大事で可愛かろうと本人の為を思って指導では手を抜かなそう
多分アスキン兄さんやバンビーズは指導には関わっていないため好きなだけ遊んだり甘やかせる立場にいる

[141 二次元好きの匿名さん 23/01/29(日) 01:15:58]

年上の親戚に囲まれて育った末っ子感ある　実際、兄弟構成も弟二人とは三つ子だから実質末っ子だよな…
現世組と一緒にいる時のカワキも意外に可愛がられて育った末っ子属性出てたり？

[142 二次元好きの匿名さん 23/01/29(日) 02:01:17]

人を使うのが身に染み付いてそうではある
多分世話係的な聖兵もいただろうし服も陛下チョイスだし仕事以外で自分でやることっていったら酒煙草料理訓練……
ここに現世で学んだ友人との接し方が合わさるとそれただの怠け癖だろって感じの甘え方になりそう
固めの蓋開けさせたり面倒がって服とかメニューとか選んでもらうカワキ

[143 二次元好きの匿名さん 23/01/29(日) 03:16:02]

案外料理になると皆で料理してる感出て楽しいかもしれない

[144 二次元好きの匿名さん 23/01/29(日) 07:15:56]

カワキは友人達の料理の盛る量
雰囲気で変えてそう
チャドは当然山盛りでチャン一も多め
井上はお代わりで調整できるよう普通盛り
石田はストイックな鍛え方してそうだからと
1人だけ小皿に少なめに盛られる

[145 二次元好きの匿名さん 23/01/29(日) 13:58:20]

お残ししないさせない育てられ方してそうだな
でも石田君も一応男子高校生なんで割と食べるかもしれんぞ～一護のお部屋でのパン食の集いに参加してるあたり(いやまさかあれ夕ご飯なのか！？)

[146 二次元好きの匿名さん 23/01/29(日) 15:29:34]

>>125

バズビーとか？

好戦的だし協調性はもちろん無いですね

[147 二次元好きの匿名さん 23/01/29(日) 16:39:08]

ニコチンとタールと素敵な何かでできている女

[148 二次元好きの匿名さん 23/01/29(日) 16:59:10]

>>147

アルコールも入ってそう

[149 二次元好きの匿名さん 23/01/29(日) 17:07:56]

中毒性のある女だな
ハマると毒される

[150 二次元好きの匿名さん 23/01/29(日) 17:48:02]

毒々しくって、
眩々するだろ？

[151 二次元好きの匿名さん 23/01/29(日) 19:41:52]

「殿下カワイイ〜」してるバンビーズ(一名除く)とアスキン

[152 二次元好きの匿名さん 23/01/29(日) 19:43:44]

>>151

まるでカワキが制服のタイプ選択の際にホットパンツとスカートでスカート選んでくれたからこの数値なのかと錯覚してしまう偏り

[153 二次元好きの匿名さん 23/01/29(日) 20:00:42]

カワキって潜入時にはバンビ(156cm)よりデカく(160cm)なるんだよな
きっとポテトも感慨深いよ

[154 二次元好きの匿名さん 23/01/29(日) 20:03:46]

バンビーズと比較してもアスキンのカワキへの好感度めっちゃ高いな

[155 二次元好きの匿名さん 23/01/29(日) 20:06:38]

キャンディス、ミニーニャ救出に最終手段でカワキ投入が考えられてそうなぐらいにバンビーズと仲良いよな

[156 二次元好きの匿名さん 23/01/29(日) 20:22:55]

>>155

バンビーズに関しては知り合いなわけだし殿下は見返りに更なる力か最高級の酒出せばやってくれる可能性あるからな…

[157 二次元好きの匿名さん 23/01/29(日) 20:51:04]

問題は陛下による枷がかけられてない殿下が動くと他者への気遣いが殆ど無いから周囲への影響がデカくて動かす側も相応の覚悟を要求されるんだ…

[158 スレ主 23/01/29(日) 20:56:25]

イラストあざっす！
バンビーズがお揃いさせたがって着せ替え人形にするのはありそう。こうして好感度が可視化されると差がヤバくてキャンディス可哀想で草。

カワキ13はリスクよりリターンが大きい（カワキ視点）なら動いてくれそう。周囲への気遣いは多分ないので依頼者側に良識があると頼み辛いやつだな…。

[159 スレ主 23/01/29(日) 20:57:55]

じゃあ本日の加筆投稿。一護到着後の一護＆カワキとウルキオラの戦いの話。
援軍到着からのウルキオラ達の撤退まで書いたらめっちゃ長くなっちゃったので今日はこれだけで。

[160 スレ主 23/01/29(日) 20:58:06]

「…悪い。遅くなった、チャド。カワキ」

　現れた一護の姿に、ウルキオラがぴくりと反応した。その様子を目敏く観察していたカワキが眉を寄せる。表情は底冷えするように冷たい。

「…チャド、カワキ。二人とも井上のとこまで下がっててくれ」
「…っ…ああ…」

　感情を堪えたような表情でチャドが後退する。
――共に戦えない事が苦しくて。守られるだけの自分が許せなくて。並び立てない自分の力不足が、ただただ不甲斐なかった。

「カワキ、お前も…」
『私は退かないよ。君を一人にはしない』

　力強い輝きを放つ碧眼が一護を貫いた。凛とした声が、逃げる気は無いのだと主張している。困ったように眉を下げた一護がもう一度名前を呼んでも、カワキが首を縦に振る事はなかった。
　二人の会話の間、ウルキオラは油断なく佇んでいた。その視界に、逃げたチャドの背とその向こうにいる井上達の姿が映る。

（回復術か……いや、違う。これは回復術じゃない）

　たつきを救わんとする井上の術を視界の端に捉えて、その異質さに気付いた。

[161 スレ主 23/01/29(日) 20:58:21]

（時間回帰か空間回帰か、どちらにしろ回復とは別の何か。見たことの無い能力だ）

　ウルキオラは未知の能力と、その使い手である井上に少なからず関心を覚えた。ぼそりと小さく呟く。

「…妙な人間だ。女…」

　その間にも、話はついたようだ。カワキが一護と並んで銃を構えた。ウルキオラの無感情な瞳が二人に向けられる。

『調子が出ないなら無理しない方が良い』
「大丈夫だ。…心配すんな。俺がこいつを……倒して終わりだ！！」

　一護が斬魄刀を前に構えて叫ぶ。

「卍　解！！　――天鎖斬月！」

　卍解を目にしたウルキオラが、やはりといった顔に変わった。その様子に、カワキの顔からすっと感情が抜けていく。

「…まさかヤミーの無駄な戦いのおかげでこうも簡単に燻り出せるとはな…」
｟“燻り出す”……という事は――｠
「オレンジの髪に…黒い卍解…。間違いない。捜す手間が省けた」

[162 スレ主 23/01/29(日) 20:58:44]

　カワキの中で、疑念が確信に変わった。
――彼らが捜していた“標的”とは一護の事か。

『本当に困った客人だね。目的は知らないけど一護は死なせないよ。そこの彼を連れて大人しく虚圏に帰ってくれないかな』
「断る」

　ウルキオラはカワキの言葉をバッサリと切り捨てた。予想通りの答えに、カワキは銃口をもたげる事で抗議の意を示す。
　一護は困惑していた。どうやら目の前の敵の狙いが自分だという事は理解できた。問題は、相手は誰でなぜ自分を狙うのか。それが何一つわからなかった。

「どういう事だよ…！　てめえらの狙いは俺なのか…！？」

　動揺する一護の頭の中をここに来るまでに感じていた違和感が駆け巡る。ヤミーとウルキオラを見る一護のこめかみに嫌な汗が流れた。顔が引き攣ったのがわかる。

（割れた虚の仮面…胸の穴…腰に差した刀は…斬魄刀か…？　ここに来る前から妙な霊圧だとは思ってたが…何なんだこいつら…！？）

　様子がおかしい一護を庇うようにして、カワキが一歩前に出た。ウルキオラが攻撃を仕掛ける。ウルキオラはカワキを避けて一護を狙った。

[163 スレ主 23/01/29(日) 20:59:04]

『――！』
「…く…っ！」

　一護はウルキオラの速さに対応できないようだった。躱し切れず鮮血が宙を舞う。ウルキオラの力に一護が戦慄した。
　カワキは一護の不足を補うように、致命傷になり得る攻撃に絞って防御に動く。

「邪魔をするな」
『君は私に用はないだろうけどね。こっちはそうもいかないんだ』

　カワキがベルトからゼーレシュナイダーを引き抜いた。一護とウルキオラを引き離すように一閃する。
　二対一なら戦況は拮抗して見えた。

「…やはり解せんな…。このガキが藍染様の脅威になるとは到底思えん」

　カワキの斬撃を避けて、二人から離れたウルキオラが怪訝な顔でぼやいた。刹那、その側頭部に銃口が突きつけられる。

『へえ…。…敵情視察が君の仕事…？』

　言葉と共に銃口が爆ぜた。ウルキオラは一瞬にして姿を消して弾丸を避ける。その速さにカワキが舌打ちした。

[164 スレ主 23/01/29(日) 20:59:24]

「“話す必要はない”と言った筈だ」

　カワキに注意が注がれた隙を衝き、一護がウルキオラに斬りかかる。先程の攻防でわかった。
――あいつを野放しにはできねえ。俺が…俺があいつを倒すんだ…！
　一護の攻撃にキレが増した事に気付き、ウルキオラが微かに眉を上げた。

「月牙――」

　一護が大技を放とうと刀を振り上げる。束の間、不自然に動きを止めた。その脳裏を掠めたのはもう一人の自分の顔。強い力を使う程に自分が自分ではなくなる。その恐怖に一護の身体が固まった。

「…なんだ…？　撃たないのか？」
｟――…失血か？｠

　不自然な動きに、ウルキオラとカワキの双方が違和感を覚えた。カワキはその原因を失血と疑った。小さな傷でも積み重なる事で流れる血の量は馬鹿にできない。

｟致命傷じゃなくても、これ以上傷が増えるのはまずいな。一護が動けなくなる前に事態を打開しないと――…｠

[165 スレ主 23/01/29(日) 20:59:45]

　ウルキオラはなおも一護を狙う事を止めないが、その血の気のない顔はどこか退屈そうだった。期待外れとでも言うような、突き放した表情で告げる。

「この程度、斬魄刀を使う必要もないな」
「…斬魄刀…だと…！？」

　カワキは先程の戦いを思い出していた。追い込まれたヤミーが見せた自信。あの時に握られていた刀が斬魄刀であれば、それも納得がいく。

｟破面に斬魄刀、か――…。さっきの男は始解でもする気だったのかもしれないな｠

　考察するカワキの横で、一護の心臓が早鐘を打つ。薄々気付いていた事が真実だと知り、頭の中で点と点が結ばれていく。
――虚の仮面。胸の穴。斬魄刀。奇妙な霊圧。そして狙われたのは――…。
　まさか。キーワードが一つ、また一つとパズルのように嵌っていく。違和感の正体に今――焦点が結ばれた。

（――同類か！？　平子や俺と――）

　その瞬間。一護の意識がぐらりと揺らいだ。体を折り曲げ、手で顔を覆う。視界が端から黒ずんでいく。指の隙間に覗く眼球までも黒く色を変えていた。虚の侵食だ。
　異変に気付いたカワキが一護を呼んだ。

[166 スレ主 23/01/29(日) 21:00:34]

『一護？』
「来るなっ！！！」

　必死になって自分から離れるように叫ぶ一護。カワキは突然の暴走を疑って、ばっと距離を取った。ウルキオラが一護の異変に気を取られて攻撃の手を止める。

（…妙だ…このガキ、急に霊圧の揺れがデカくなった…。しかも揺り幅が尋常じゃない…）

　カワキは一護から離れた位置で猫のようにじっと様子を窺う。ウルキオラも同じく一護を観察していた。

（低い時の霊圧はゴミみたいなモンだが…高い時の霊圧は俺よりも上だ……。…どうなっている…？）

　周囲の様子を窺う余裕すら、今の一護にはなかった。ただひたすらに心の中で悪態をつく。

（くそッ！　体が動かねえ…！！　俺がてめーを拒否したら…今度は俺の邪魔するって訳かよ……。……畜生……）

　少しの間は何もせず眺めていたものの、反撃の様子がない一護に興味を失くしたのか。ウルキオラの手がゆっくりと持ち上げられる。白い指先が向けられた。

｟虚閃か――！｠

[167 スレ主 23/01/29(日) 21:01:09]

　カワキが気付いて動く。しかし、カワキより一拍早く、背後の森から血のように濃く赤い斬撃が走り、一護の身を守った。

「どぉーーもーーー♡　遅くなっちゃってスイマセーン、黒崎サン、カワキさん♪」
「待たせたの」

　ウルキオラの放った虚閃が相殺された際に立ち上った土煙。それが晴れた先に居たのは浦原と夜一だった。

「浦原喜助と四楓院夜一か。潮時だな」

　ウルキオラの手が虚空を撫でた。まるでシャッターのように空間が裂ける。

「退くぞ」
「…逃げる気か？」

　ウルキオラは瀕死のヤミーに撤退の合図を出した。夜一の挑発ともとれる言葉にも冷静に返答する。

「らしくない挑発だな。貴様ら三人がかりでそこのゴミ共を守りながら俺と戦って、どちらに分が在るか判らん訳じゃあるまい」

[168 スレ主 23/01/29(日) 21:01:25]

　ヤミーが血塗れの体を引きずって、空間の裂け目に向かって歩いていく。その手前でウルキオラが一護に視線をやった。

「…今の戦いで死神もどきの底は見えた」

　一護は膝をついて項垂れたまま動かない。カワキは破面達が撤退するなら止める気はなかった。閉じていく裂け目を冷たい表情で見据えている。

「差し当たっての任務は終えた。藍染様には報告しておく。貴方が目をつけた死神もどきは殺すに足りぬ塵でした、とな」

　脱力したように俯いた一護を、閉じかけた裂け目の向こうからウルキオラが冷たい目で眺めていた。

[169 スレ主 23/01/29(日) 21:02:16]

以上

カワキ…拮抗してる時は防御に専念してたけど、思ったよりウルキオラが強かった為「あっ、これヤバイ」してギアを上げた。

一護…月牙を使うとホワイトさんが横からコントローラーを奪ってくるので、怖くて動きが止まっちゃった。破面の姿を見て、「俺とあいつら同類じゃね？」と気付いてガッタガタになってしまう。今は凹み中。怪我はそこまで深くない。

井上＆チャド…一護を安心させてあげたいのに結局は頼る事になって、自分の力不足を悔しく感じている。大きな怪我は無い。

ウルキオラ…井上の能力に興味を示した。ヤミーは瀕死だし、相手の援軍が到着したのでここは撤退する事にした。謎にカワキへの好感度が高い。虚無同士だからか…？

[170 スレ主 23/01/29(日) 21:06:47]

これでなんとか現世組の強化イベントと井上誘拐イベントが発生する筈……。カワキがヤミーをボッコボコにしてしまったせいでスレ主が加筆に苦労したわ…。

気が早いけど今から殺されかけた月島さんと銀城のシーンが不安になった。カワキ13が仕事をするとスレ主と各章ボスの皆さんが頭を抱える。

[171 二次元好きの匿名さん 23/01/29(日) 21:09:37]

井上とチャドはカワキちゃんが頑張ってる分余計に力不足を感じてるかもしれない

[172 二次元好きの匿名さん 23/01/29(日) 21:37:16]

破面への考察が出来始めてるのに一護達に教える気がないカワキ……

[173 二次元好きの匿名さん 23/01/29(日) 21:51:09]

カワキがなぜ考察を教えてくれないのか　こういう理由？もっとまわりの人とコミュニケーション取ろうね！
ダーテン由来の部分→根拠突っ込まれるから言えない
それ以外の部分→見たらわかるだろ？と思って言わない

[174 二次元好きの匿名さん 23/01/29(日) 21:57:47]

カワキは探偵としてはアレだけど事象を直で見た場合の考察能力はトップクラスの頭脳だから基準にされると困る……
霊王候補が周りにいたとしても陛下から霊王について余り教えて貰って無いだろうに霊王候補の基準を予想できてるのは凄い

[175 二次元好きの匿名さん 23/01/29(日) 22:37:15]

ロイドロイドのカワキへの好感度はどうだったんだろな
陛下の記憶や精神をコピーしたら好感度が天元突破するのか、それともコピってなお「無理です殿下怖い」されるのか……

[176 二次元好きの匿名さん 23/01/29(日) 23:16:41]

言葉が足りないのは作中大体そうだからカワキちゃんそんなに浮かないの笑う

[177 二次元好きの匿名さん 23/01/29(日) 23:22:42]

現世任務に行く日のポテトめっちゃうるさそう

[178 二次元好きの匿名さん 23/01/29(日) 23:24:15]

カワキちゃんが探偵やるとポンコツなのは実はエージェントであるって伏線なのかな

[179 スレ主 23/01/29(日) 23:27:01]

イラストあざっす！
ポテトの心配を「うるせ…」してるカワキ笑う。右から左に聞き流そうにもポテトの小言は量が多いからな……。

[180 スレ主 23/01/29(日) 23:27:29]

>>175

ロイド・ロイド→カワキの好感度

L　dice1d100=58 (58)

R　dice1d100=26 (26)

高いほど好かれている

低いほど何考えてるかわからなくて怖い

[181 二次元好きの匿名さん 23/01/29(日) 23:28:51]

心配性のポテトママ……

[182 二次元好きの匿名さん 23/01/29(日) 23:31:04]

Lが剣八に殺られた方
Rが陛下に化けた方
だっけ？

[183 スレ主 23/01/29(日) 23:31:29]

Lの方はそこそこ良好寄りな数値、Rの方はまあまあ怖がってそうな数値

陛下の記憶と精神コピーはRの方だったよな？
コピーした結果「殿下怖い…」になっちゃったのか…？なぜ……

[184 二次元好きの匿名さん 23/01/29(日) 23:37:05]

Rは陛下の知るカワキ真実を知った結果、カワキの事を余計不気味に感じてしまったとか？

[185 二次元好きの匿名さん 23/01/29(日) 23:39:34]

カワキを赤ちゃんの頃から見てる陛下の記憶と精神コピったのに怖いが勝ったRのロイドに笑う

[186 二次元好きの匿名さん 23/01/29(日) 23:41:22]

深淵を覗いてしまったRのロイドに合掌

[187 二次元好きの匿名さん 23/01/29(日) 23:44:58]

カワキの置かれた環境ってヤバいもんな……

[188 スレ主 23/01/29(日) 23:56:38]

Rロイドが深淵を覗いたって言われてるの笑う。陛下の記憶の中でがらんどうの瞳と目が合っちゃったのかもしれんな…

逆も振っておく

カワキ→ ロイド・ロイド

L　dice1d40=37 (37)

R　dice1d40=36 (36)

[189 二次元好きの匿名さん 23/01/29(日) 23:58:06]

ほぼ同調じゃん
まあほぼ同じ奴らではあるけども

[190 スレ主 23/01/29(日) 23:58:11]

いやだいぶ評価高くて草
二人ともほとんど同じ数値だな。カワキ的にはセットで見てた感じか？

[191 二次元好きの匿名さん 23/01/30(月) 00:03:17]

陛下の影武者出来るという点では二人共有能だしな…

[192 二次元好きの匿名さん 23/01/30(月) 00:03:35]

カワキの自称仲良い人TOP5
Rのゴリラ40→殿下こわ
ジジ39→殿下カワイイ〜
バズビー37→殿下こわ
Lのロイド37→殿下はまあ普通
Rのロイド36→殿下こわ
うーんこれは事故

[193 二次元好きの匿名さん 23/01/30(月) 00:21:33]

ジジとかいう奇跡

[194 二次元好きの匿名さん 23/01/30(月) 00:25:11]

カワキ的騎士団で仲が良い人ベスト5(更新版)



石田「カワキさんは星十字騎士団で仲の良い人とかいるのかい？」

カワキ『ジェローム・ギズバット』

石田「…誰だい？」

カワキ『一次侵攻死んだからいないよ』

石田「…。その次は？」

カワキ「ジジかな。ほらあそこにいる」

石田「へぇ(女の人か)」
カワキ「あとはバズビー」
石田「なんか露骨に嫌な顔されてないか⁉︎」

カワキ「ロイド・ロイドとも仲良いよ」

石田「…その人は？」
カワキ「二人とも一次侵攻で死んだよ」

[195 スレ主 23/01/30(月) 00:33:02]

このスレに投稿した加筆SSのまとめはこちら

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加筆まとめ②

加筆まとめ②

[196 スレ主 23/01/30(月) 00:36:57]

次スレはこちら

【番外編】陛下の命令で空座第一高等学校に通うことになった【加筆】13｜あにまん掲示板

[197 二次元好きの匿名さん 23/01/30(月) 00:38:02]

ジジとは帝国崩壊後も仲良くしてくれ……

[198 二次元好きの匿名さん 23/01/30(月) 00:38:15]

>>194

石田の心に負担をかけてくスタイル

[199 二次元好きの匿名さん 23/01/30(月) 00:40:22]

ロイド・ロイドをニコイチで考えても次がキャンディスだからなぁ…酷い

[200 二次元好きの匿名さん 23/01/30(月) 00:40:34]

ジジ以外は戦死してるしお気に入りの半分は剣八にやられてるのは凄い