セイウンスカイ「へんたいキング♡」

1二次元好きの匿名さん21/08/31(火) 01:39:10

私、キングヘイローとスカイさんはよく一緒に映画を観る。
といっても映画館に行くより部屋でレンタルDVDなどを観ることのほうが多い。
今日も私の部屋で鑑賞会をしている。
ウララさんも入れて3人で観ることもあるが、あいにくウララさんは地方への遠征で不在だった。
二人きりの鑑賞会、静かな時間が流れ───
「あ、この男の人怪しい」
───るはずもなく、スカイさんからネタバレを食らいまくる。
「もう！ミステリーで犯人言っちゃったら元も子もないでしょ！」
「だって～怪しいものは怪しいし～」
スカイさんのへにゃへにゃ笑いにのらりくらりとかわされる。
ウララさんがいるときのほうが静かなんじゃないかしら……。
こうしてあーだこーだ言い合いながら映画が終わった。

2二次元好きの匿名さん21/08/31(火) 01:39:43

ちなみにスカイさんの言っていた男の人は全く推理に絡んでこなかった。
「違ったじゃない！」
「にゃはは～、キングってば素直～♪そもそも私は怪しいって言っただけだもーん♪」
ムッとしている私を尻目にスカイさんがプレイヤーからDVDを取り出す。
少し蒸し暑いだったため、二人ともTシャツにショートパンツのジャージだ。
しかもスカイさんのジャージはなぜかやや大きめで袖口からちらりと柔肌が顔をのぞかせていた。
……いやいやいや、待ちなさいキング。
着替えの時とかいつも見てるんだからそんなに気にするものでもないじゃない。
そう言い聞かせても目はスカイさんを追ってしまっていた。
パタパタと襟元で風を送り込むスカイさん。
そのたびにちらちらと彼女の肢体が見え隠れする。
きれいな首筋から鎖骨、そして控えめな胸が───
「キング？」
心臓が飛び出そうになる。
恐る恐る目線を上げるとスカイさんが悪い笑みを浮かべていた。
「へえ～……キングってばセイちゃんのカラダに興味津々なんだあ～」
「ち、違うの！別にそういう意味じゃ……」
次の言葉を発する前にスカイさんがずいと距離を詰めてくる。
そして耳元に息がかかるくらい近くで。
「盗み見なんて、へんたい♡
　へんたいキング♡」

3二次元好きの匿名さん21/08/31(火) 01:40:00

瞬間、私の身体は無意識にスカイさんを押し倒していた。
目を丸くするスカイさんの顔に私の身体が影をかけている。
「も、も～、ごめんってキング～。からかいすぎたって～……」
スカイさんからの言葉は聞こえている。
でも身体は勝手に彼女との距離を詰めていく。
「ちょ、ちょっとキング、それ以上は、ね？まずいから……ひゃっ」
普段のスカイさんからは考えられないような態度と声。
心臓の音がどんどん大きくなる。
ついに鼻先同士が触れ合うくらいまで近づく。
「はへ、ふ、ふへえ……」
スカイさんの口から出る言葉はもはや言語になっていなかった。
もう少しで唇が触れ合うというところで。
ふわ、と彼女の匂いがした。
汗と石鹸と空の匂い。
ふっと身体が軽くなったような気がした。
急いでスカイさんから離れる。
「ごごごごめんなさいスカイさん！ちょっとぼうっとしちゃって！」
我ながら苦しい言い訳だ。
「え、あっ！うん！そうだね今日暑いからね！」
スカイさんも顔を真っ赤にしながら立ち上がる。
「そそそ、それじゃ自分の部屋戻るね！じゃあねキング！」
私の返事を待たずにスカイさんが逃げるように部屋を出て行った。
ことさら静かに感じる部屋にぽつんと座り込んでいる私。
「……なんだったのよ今の」
独り言にだれか答える人がいるわけもなく。
空色の香りが私の身体に生々しくまとわりついている気がした。