【その5】○月✕日 晴れ 今日も不完全な世界を消すことは叶わなかった。

  • 1二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 14:10:03

    お初にお目にかかります、またはお久しぶりです
    以前、こちらのスレ名でアカギ様の日記を失礼させて頂いていた者です
    約3年に渡り音沙汰なく、以前スレッドを見守っていて下さった方々に大変なご迷惑をおかけ致しました
    私生活の忙しさと皆様のご厚意に甘え、大変失礼な対応であったと存じ上げます
    謹んでお詫び申し上げます。申し訳ございませんでした
    今回スレッドを立てさせて頂きましたのは、アカギ様の日記を完結させるに至りましたので更新分をこちらにレスとして記載させて頂くためです
    早急に第二報をお伝えすると書かせて頂きながら、結局このような結果となってしまいました
    ですので、拙作を公開させて頂くかどうかとても判断に迷いました
    しかしながら、未公開という形で終わってしまうのは更に不誠実を重ねる形になってしまうと判断し、踏み切らせて頂きました
    ご意見などございましたらできる限りお答えさせて頂く所存です
    ここまでご拝読ありがとうございます
    皆様の気が向きましたらよろしくお願い申し上げます

  • 2二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 14:10:45
  • 3二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 14:14:04

    ○月☆日 雨
    今日も不完全な世界を消すことは叶わなかった。
    急な寝床の移動であったが、睡眠状態に悪影響はなし。
    フィールドワーク先で悪天候の中テントを張り一夜を過ごしたこともある身だというのに、このように余計な気を払う必要が出ているのは不便極まりない。

    8:00昨日雨に濡れてしまったレインコートや、干しかけていたところだった衣服が生乾きになってしまったため、洗濯室を借りる。
    8:29アオギリとマツブサが喧嘩しながら入って来る。
    器用に片側に洗濯物を抱えながら、もう片側で物理攻撃を仕掛け合っていた。
    争いの8割は、自分がトリを譲ってやったと主張するアオギリと、自分が先行を許してやったのだと主張するマツブサという要領を得ない内容であった。
    席を彼らから見え難い位置に移動すると共に、マニューラを肩に乗せて遮蔽物を作ることで気付かれずにやり過ごす。
    約20分後、トバリシティのジムリーダーとキッサキジムのジムリーダーが通りがかり、通行の妨げになると苦情を入れたところ言い合いは終了した。
    9:07乾燥機に移行。マニューラに見張りを頼み、使用不可の物を部屋へ干しに戻る。
    ギャラドスが昨日に引き続き、掛け布団を何度も投げて弄んでいたため、再度注意を行う。

  • 4二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 14:16:07

    ○月☆日 雨 2ページ目
    9:23再び洗濯室。マニューラが見知らぬニューラに絡まれていた。
    ボールに戻そうとしたところで、シルバーが辺りを見回しながら入って来る。
    私とマニューラの顔を見るなり、ニューラをすばやく抱き上げ踵を返す。そして出入り口に立ったところで唐突に、おまえにすらポケモンとトレーナーの間に必要な心のつながりがあるんだな、などとのたまう。
    反論しようとしたが、続いて明後日の作戦について演説のごとく話しだしたため、黙って聞く羽目になる。
    どうやらシルバー自身も勝負する側で参加する他、マーマネはマーレインと一緒に周囲の警戒役を務めることになったらしい。
    故意だと悟られないようにある程度時間と場所、人物を変えて何度も行うとのこと。
    おまえに連絡が行くのは、当日犯人らしき人物を確保した後になるだろうと話す。
    ホウオウに認められたからには矢面に立つ、と言いながら挑戦的な目をしてこちらを振り返る。
    そして、作戦の中心が軒並み裏社会に警戒されている連中なせいで、本番は裏方しかできないヤツばかりになっていたから丁度いいと笑う。
    最終的に、周囲の者たちへの遠回しな心配や、サカキへの不信感などを追加して語り、10分ほどで出て行った。
    9:36マニューラと手分けして洗濯物を運んでいたところ、廊下でロトムと出くわす。
    戻りが遅れていたのが気になったようだ。ポケッチに入り込むのを見届ける。
    10:00マーレインに滞在場所を変えたことを連絡、シルバーから当日の動向は大方聞いたことも伝える。
    滞在場所変更についてはWPM運営から連絡が行っており、既知だったと発言。
    また、念のためにとシルバーに伝えられた情報を改めて伝えられた。
    くれぐれも勝手に現場へ顔を出さないように、犯人と顔を合わせたら洞窟でサカキと接敵した時のように体調を崩して、最悪そのせいで逃げられるかもしれないんですからと、何度も釘を刺される。
    わたしひとりが体調を崩した程度で犯人が捕まらなくなる、と言いたげなその主張は意味不明であったので詳細を詰めたかったが、不毛なやり取りになりそうだと察知したため、無言で済ませた。

  • 5二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 14:18:03

    ○月◎日 くもり
    今日も不完全な世界を消すことは叶わなかった。

    4:33ドンカラスが非常に騒がしく鳴く声で目が覚める。緊急時以外は最低限午前6:00まで騒がしくしないように注意した。
    夢を見ていた。
    何もない、何も感じない静寂の中、暗闇だけが続く世界を揺蕩う夢だ。
    良い夢であった。
    ドンカラスは特性ふみんだが、それはポケモン勝負の際にねむり状態にならないだけであり、全く睡眠を取らないという訳でもない。
    見た夢について語ったところ、じっとわたしの目を見つめ、聞き入っているようであった。
    お前も夢を見るのかと尋ねると、一声小さく鳴いた。意図は分からない。
    9:00食事を準備したが、まだベッドで眠りこけていたギャラドスを無理矢理起こす。
    おどろいたのか、はねるをしそうになったところを、ヘルガーとクロバットの二匹がかりで押し留めた。
    コイキングではないのだから体長を考えて行動するように注意をすると、部屋の隅で縮こまる。
    大きいからあまり動くなと言いたいワケではなく、力を持つ者なりの振る舞いをしなさいと言いたいのだと噛み砕いて伝えたが、今度は妙に反り返って動くようになった。
    意図とは異なる結果になったが、危険な状態ではなくなったので他のポケモンの食事の準備に戻る。
    9:38最近ポケモンたちの様子を観察していると、幼児退行でもしたのかと思う行動をしている時がある。
    クロバットは実に顕著な例だ。
    突如としてわたしの背に全体重を預けてきたり、ヘルガーを筆頭に他のポケモンへ喧嘩を売ったりと、なんとも忙しない。
    何かクロバットにとって行動が変化するきっかけがあったのだろうかと一通り考えるが、パルキアの件以外は細々とした案件しか浮かばないので、やはり原因はそれなのだろう。
    依然として大事の際に命令に背くことは無いが、ストレスがかかっていないかチェックを怠らぬようにせねば。

  • 6二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 14:20:27

    ○月◎日 くもり 2ページ目
    19:12ヘルガーが外に出たがったため、ついでに周辺の観察に赴くことにする。面倒事を避けるべく、格好を少し変えてから出かける。
    ホテル周辺はぽつぽつと街頭の明かりと星の瞬き、時折ポケモンが発しているのであろう光が見える程度で、セントラルシティ周辺の賑やかさとは縁遠い様相であった。
    少々暗いなと思案していたところ、ヘルガーが口から少し火を吹き出して見せたので、足元が危険だと感じたら伝えると言って止めさせる。
    帰り道に焼け焦げた跡のようなものがあるマントを羽織った少女が、神々しい雰囲気をまとった巨大で緑色の長いからだを持つドラゴンポケモンと思しき存在と向き合っているのに遭遇。
    ポケモンが吼え、その体が輝くと同時に、空に無数のりゅうせいぐんが流れていった。
    以前の住処で見かけたりゅうせいぐんは、もしかすると、このポケモンのものだったのかもしれない。
    今私に必要なのは遥か遠くへも届く眩しい輝きではなく、近くを照らす灯火だ。
    ヘルガーの明かりを伴い、帰路についた。
    24:05バルコニーに出て空を観察する。下弦の月も細くなり、もうすぐ新月に達するようだ。
    ここがバルコニー付きのホテルであることについては、洗濯物が干せる等の利便性と、朝に差し込む明かりが眩し過ぎて目が眩む等の不便、両方を実感することとなった。
    外出せずとも天体観測が行えるのは利点のうちのひとつだとは思う。
    空を見上げていると寝ていた筈のマニューラが後ろからそっと近付き脅かそうとするので、かなり近付いたところで急に振り返ってみると、マニューラの方がかなり驚いて真後ろに転倒してしまう。
    幸い外傷はなかったが、こんなことで一々心を動かさないようにと言い聞かせておく。
    改めて空の観察に戻ろうとしたが、マニューラは室内に戻らず、ポケッチからロトムも出てきたため彼らの行動観察の方に意識が行って集中できなかった。
    ロトムは性質上イタズラ好き、マニューラはニューラ時代から良く言えば活動的なところがある。
    マニューラにせいでんきを起こして脅かしたり、逆にマニューラが素早い動きでロトムを翻弄し怒らせたりと、とかく落ち着きがないため目が離せなかった。
    大声で鳴き出すような騒ぎになる前にまとめて部屋へ戻し、就寝させた。

  • 7二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 14:24:39

    ✕月○日 大雨のちひでり
    今日も不完全な世界を消すことは叶わなかった。
    1度目の作戦決行日。

    21:02マーレインより連絡。
    収穫は無かったため、2度目を明日に遂行予定とのこと。

  • 8二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 14:25:38

    ✕月✕日 大雨のちひでり
    今日も不完全な世界を消すことは叶わなかった。
    2度目の作戦決行日。

    14:36マーレインより収穫あり、いつもアオギリとマツブサが頻繁に争っている例の広場に来て欲しいとの連絡。
    15:01現場到着。マーくんのとげまるが僅かな物音に気が付いたお陰です、と誇らしげに語るマーレインに同行し、現場である広場近くに広がる林の中へ入る。
    警察官の制服をだらしなく着崩した見慣れない猫背の男が、おじさん門外漢なんだけど、とぼやきながら地面を真剣に見つめていた。
    マーレインが彼はクチナシという名であり、ああ見えてエリート警察官であると私に話すと、クチナシは地面を見たままひらりと左手を振った。
    そして、唐突に不敵な笑みを浮かべた顔でわたしを見上げたかと思えば、見覚えのない靴跡を3名分発見したと静かに言う。
    続けて一応作戦に参加する連中の靴跡取らせて貰ってたのよ、念のために軽く覚えといてよかったぜ、とヘラヘラ笑いながら語る。見かけ以上に食えない男のようだ。
    倣って地面を眺めてみると、入り混じってしまってはいたが、素人目でもよく観察すれば3種類の異なる靴裏模様を見つけられる程度にはくっきりとした足跡が浮かび上がっていた。
    土に少し触れてみたが、びちゃびちゃに濡れた後、急速に乾いてガチガチに固まったという様子で、全く崩れない。
    以前、アオギリとマツブサに何故勝負をし続けているのか尋ねたところ、事情については話せないと言われた、事情とはこの足跡の件で合っているかと尋ねる。
    マーレインとクチナシは顔を見合わせた後、そうですね、まあなとバラバラに頷く。

  • 9二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 14:27:29

    ✕月✕日 大雨のちひでり 2ページ目
    マーレインは、足跡を見る事を提案したのは自分の知り合いのポケモン博士、足跡の採取方法を考え付いたのはホウエンのチャンピオンとその友人のジムリーダーだと語る。
    彼らがたまたまアオギリとマツブサの勝負に出くわし、雨とひでりが激しく入れ替わる彼らの勝負の様子を見て閃きを得、協力を要請したのだという。
    また、彼らが勝負している様子を犯人に見せつけることも目的としていたようだ。
    当日までに当たり前の風景にしてしまうことで、不信感を持たせないようにしたかったとのこと。
    マーレインが語り終えたところに、クチナシが最初は本当に偶然道中で遭遇する度に喧嘩をしていただけだったらしいけどね、と茶々を入れる。
    一度喧嘩の最中にサカキの襲撃に遭い、何とか退けたが、二人がかりでも非常に危うい決着だった。
    その後、鍛え合う為に度々ポケモン勝負をするようになっていたところ、チャンピオンたちの目に止まったという経緯らしい。
    犯人が捕まっていないにも関わらず何故わたしをわざわざ呼び出したのか尋ねると、マーレインは、あなたのことですから進捗がはっきりしていないと飛び出してきそうなので、と苦笑いしながらのたまう。
    去る直前、明日カモフラージュに3度目の勝負を決行しつつ犯人確保を狙う予定だから、いい連絡出来るようにぼちぼちやるよとクチナシに伝えられる。
    19:48酔っ払ったシロナが特に要件は無いにも関わらず、何故か連絡を寄越してきた。
    11度着信音が鳴ると同時に切るを繰り返したところで、受けて放置した方が早いと気が付き、実行する。
    ロトムがいたずらでスピーカーに切り替えて戻せなくしてしまったため、シロナの取り留めのない戯言が響く中での作業となった。
    内容は主に一連の事件の愚痴であり、要約すると首を突っ込んだ時はすぐ解決できると思っていたのだけれど、こんなトレーナー総出で頑張る羽目になるなんて思わなかった、というようなことを幾度も繰り返し冗長に語り続ける。うるさい。
    22:28電話の向こうが静かになったため、通信を切った。

  • 10二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 14:28:15

    サカキの言っていたことが本当ならば、悠長に行動した結果、連中に逃げられてもおかしくないだろう。
    わたしはわたしの信念に基づき、行動する。

  • 11二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 14:29:03

    リリリリリリリ…… ……


    「…… ……
    …… ……。」


    プツン!
    ツーツー…… ……

  • 12二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 14:31:21

    9:30。
    レインコートを着、マニューラが獲物を狙う時のように気配を消し、草影に身を潜めた。
    監視方向の関係上目視はできなかったが、時折響く轟音から、本日もつつがなく勝負が行われていることは明白であった。
    そこから待つこと4時間6分。
    足跡が発見された場所に、3人組が現れた。
    フラダリを襲っていた3人組のブレイク団残党である。
    記憶喪失により一度犯人を逃すという大失態の発覚に際し、一層人間の記憶に頼らない小型記録媒体の強化をしていくことを改めて決意する。

    ……そこからは少々予定外もあったが、実に呆気なく下らない終わりだった。
    まず襲撃の指示を出す前にロトムが飛び出し、軽くでんきショックを与えてしまった。
    しかし腐ってもトレーナーということか、すぐに立ち直り、以前のように全員が一斉にポケモンを繰り出してきた。
    スリーパー、何やら土偶のようなポケモン、身体が淡く光っている海に棲むらしきポケモン。以前と同じポケモンだが、やはり私の頭から知識は引き出せない。
    スリーパーと土偶のようなポケモンはヘルガーのあくのはどうで追い詰め、ドンカラスのつじぎりで仕留めた。
    もう1匹の身体が淡く光るポケモンはエスパータイプのわざが効かないようだったが、マニューラのシザークロスであっさり沈んだ。
    それでも諦め悪く逃走を謀ったため、軽くギャラドスのじしんで足場を崩して阻止。
    自分はクロバットの背に乗り移動、一気に連中との距離を詰めた。
    ここまでは順調であったが、はずみで1人の懐からモンスターボールが落ち、中からポケモンが飛び出した。

  • 13二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 14:32:00

    その姿を見た瞬間、わたしは、すべてを思い出した。

  • 14二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 14:33:34

    あの日奪われたポケモンの名。
    心なき世界を作るために、あかいくさりを用い捕まえた2匹の伝説ポケモンのうちの1匹。
    じかんポケモンディアルガの対。
    くうかんポケモン、パルキア。
    それに付随する記憶。
    霧が晴れて澄み渡る空を見上げるように、何にも遮られることなく、それらについて考えを巡らすことができた。
    久々に目を合わせながら、ゆっくりとモンスターボールを拾い上げる。
    パルキアは特にこんらんすることもひるむこともなく、悠々とわたしの側に歩み寄り、3人組の方へと向き直った。

  • 15二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 14:42:33

    犯人どもはわたしについたパルキアを見るや否や、誰がもう1匹の伝説のポケモンを駆るかで争いを始めたため、それに気を取られている隙に無力化するだけで済んだ。
    ロトムにもう一度でんきショックをくりだして貰い、まひしている間に荷物を全て奪い去るという、少々手荒な方法にはなったが。
    軽く見分した荷物からあなぬけのヒモを見つけたので、それで拘束しつつ話を聞き出すと、特に拷問等も必要なく犯行内容の詳細から協力者の名まで、洗いざらいスラスラと自白する。
    こちらで予想していた通り、サカキが各所で突発的に仕掛けていたポケモン勝負に乗じて盗難を行ったとのこと。
    そして口を揃えて、こんな大事にするつもりはなかったとのたまう。
    魔が差した、ちょっと強いポケモンを手に入れたい程度の気持ちだった、悪人のポケモンなら盗っても許されるだろうとコイツが言っていた、懲らしめてやろうと言ったのはお前だろう等。それぞれが早口で自己弁護を並べ立てた。
    また、サカキに出会い、きみたちの好きなようにすればいい、わたしはわたしのやりたいようにやると背を押された、などと妙に誇らしげに語る。
    語り口から、ロケット団やブレイク団からの協力は受けていなかったが、その言葉で許された気になっていたと容易に伺い知ることができた。
    そして最終的には、危ない橋を一度渡って成功してしまってから3人共何かに取り憑かれたようになっていたように思う、捕まってむしろ安心したなどと、もっともらしく話を終わらせた。
    そこに折りよくシロナらが現れたため、所持品と彼らの身柄を引き渡してその場を後にした。
    何事か喚いていたが、何も耳に入らなかった。どうでもいい。それに用は済んでいた。
    感慨などというものはない。ただ淡々と脳内で一連の事件の反省点を並べ立て、今後にどう活かしていくのかを考えていく。
    これで、ようやく振り出しに戻ることができたのだから。
    わたしは、わたしを、取り戻したのだ。

    ……そうして曇りを取り除いた目で改めて見つめた世界は、

  • 16二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 14:43:17

     月 日
    事態収束。

  • 17二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 14:44:28

    「アカギと連絡がつかなくなった?」

    「…… ……
    …… ……そう」

    「ロトムも戻ってきたの」

    「あら、ずいぶんなかみなり模様じゃない」

    「…… ……そうね。こっちもなかなかの大荒れ」

    「えぇ、その噂は真実よ」



    「今日パシオで、ギンガ団の活動が確認されたわ」

  • 18二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 14:46:28

     月 日
    特記事項
    ・ロトムをカミツレに返却
    ・ギンガ団幹部らとの合流に成功、ディアルガ確保
    ・強力なポケモンの噂

  • 19二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 14:47:37

    ……………
    …………
    ………
    ……



    感じない。
    そう、自覚した。
    動かない。
    そう、決定した。
    考えない。
    そう、思案した。
    結局。今までの全てを取り戻したわたしも、正しく矛盾していた。
    何故か?
    心ある不完全な世界に産まれ生きる、不完全な生き物であるからだろう。
    この世界に居ては、わたしは本当の、完全なわたしになることができない。
    不完全な世界を消すことが叶った日にこそ、わたしは完全な存在となる。
    今の世界では、逃げるように息を潜めて生きることしかできない。
    不完全な世界の不完全な防人たちは、完全を希求するわたしの感情を、意思を、知識を阻み続ける。
    だが、負けはしない。
    新たな世界への扉を開く鍵は、今やこの手の内にあるのだから。



    ……
    ………
    …………
    ……………

  • 20二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 14:48:44

    ○月✕日 晴れ
    端末に幹部からの連絡。
    時は来た。
    ダークライの力で、今度こそわたしは完全な世界を作り出す。
    よって、日記はこれで終了とする。

  • 21二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 14:50:18

    リリリリリリリ…… ……

    リリリリリリリ…… ……


    「…… ……
    …… ……。」

    「ケテ!」


    プツン!

  • 22二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 14:51:35

    本だなはからっぽ!


    ダンボールの中は怪しげなドリンクでいっぱいだ




    冷蔵庫の中には食材がところせましと並んでいる
    ほとんどは腐ってしまっているようだ……
    …… ……
    …… ……
    見なかったことにした!



    ごみ箱の中にくしゃくしゃの紙きれが1枚入っている!
    読む?

    【読んじゃう!】 【読まない】

  • 23二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 14:56:07

     月 日
    昔は伝えたい言葉がいっぱいあふれてた。
    今はからっぽだ。
    聞いてほしいともだちは、もうどこを探しても見つかることはないんだって気が付いた時、一緒にどこかへいってしまった。
    しばらくして、からっぽになった場所へ、醜い感情が代わりに積もった。
    心と心で通じ合っていつまでも一緒だって信じていた日々の思い出も、持っていて辛いだけのものになっていった。
    誰かのせいじゃなくて、悪いものがあるんだとしたら、この世界だ。
    最初から醜い感情を生み出す心が無ければ、みんな苦しい思いをしなくて済むんだからね。
    きっとパルキアと一緒に忘れてしまった記憶の中に、完成形を確固たるものにするパーツがある。
    技術と、不完全な存在である心を消し去り、新しい未来を創るという決意が。

    時間の流れは止められない、同じ場所にとどまってはいられない。
    全ては変わり続けている。
    この瞬間の、誰かの顔を思い出した時、一緒にわきあがってくる気持ちが惜しいと思う心も、まぼろしのように消えてしまうんだろう。
    でも、それだけで終わりじゃないことも、今だけは分かるんだ。
    流れ落ちる綺羅星のように、燃え尽きてしまう光でも、それが光だったことに変わりはないんだから。
    だから、今はもう一度、おやすみなさい。
    また夢が見れる日を待っている。

  • 24二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 15:18:33

    「…… ……
    …… ……。」
    「あぁ、よかった。あれで終わりなんてロトムもわたしも納得できなかったもの」
    「きみはでんきタイプジムリーダーではなかったか」
    「そうだけれど、何の話?」
    「……ゴーストタイプポケモンのような執念深さだと言っている」
    「うふふ。そういう楽しい皮肉、大歓迎よ。ほら、ロトム。遊びに行っておいで!今日はお友達がふたりも居ていいわね」
    「アカギさん。これからじっくり、お話しましょうね!まずはロトムの番だけど……」
    「ケテ!ケテテッ!」
    「うぐっ」
    「あらあら、かみなり並にかーみなりお怒り。しばらくはイタズラ三昧ね。甘んじて受け入れるコト」
    「アカギ様!どこまでもお供しますので外出の際はお声掛け下さいと……なんだこれは……」
    「あ。サ、サターンさん!ロトムがアカギさんの頭でせいでんきを起こして遊んでるんです。怒らないであげてくださいね、元はといえばアカギさんがロトムとの約束を破ったせいだから!」
    「…… ……ハァ」
    「今度はヒカリさんやコウキさん、ジュンさんも一緒にお話しましょうね!アカギさん!」
    「ケテ〜!」

  • 25二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 15:20:53

    ○月□日 晴れ
    また不完全な世界を消すことは叶わなかった。
    また、完全な世界を作り出すことも叶わなかった。
    心が生み出す可能性を提示され、不完全な心が生む悲劇を上回らないにしろ、一定の利用価値はあると判断。
    よって、別の方法を模索することを決めた。
    産まれ生きる世界が変えられないのであれば、産まれ生きるものたちを変えればよい。
    そうわたしは結論付け、心を完全なものにするべく活動を行うことを決定した。
    故に、記録を再開した。
    以前までの冊子は、ポケモン盗難事件時にホテルや根城に置いていった荷物ごと一旦押収されてしまっているため、新たな本を用意している。
    今後は心を完全なものにするべく行った活動を記していく。

  • 26二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 15:34:39

    ○月✕日 晴れ
    今日も心を完全なものにするべく活動を行う。

    15:00大して重大ではない要件で幹部たちがやって来る時間だ。
    事前に人数分の茶請けと飲料を用意しておいたところ、妙に用意されていた理由を尋ねられる。
    ここ数ヶ月の統計の結果から、お前たちが来ることは予測できていたからと伝えると、ジュピターにお心遣いありがとうございますと見当違いの礼を言われた。
    埒が明かないため、サターンに要件を尋ねると、今回はマーズの提案で雑談により心を鍛える運びとなったので、ボスであるわたしにも監督として参加して欲しいとのたまう。
    マーズ曰く、異なる考えと触れ合うことにより、完全な心に近付けるのではと思ったからとのこと。理屈は理解可能だが、何故雑談をすることと結び付いたのか理解できない。
    結局3時間ほど宇宙開発によるエネルギー資源獲得の是非についてや、手持ちポケモンたちの調子、友好な人間関係を構築するために効果的な話題とはなにかという議論を行った。
    19:12ピカチュウを連れた子供とマーマネがロトムを伴って来訪。夕飯を一緒に食べに来たと言い張る。
    君たちの分は無いと伝えたが、自分で持って来たからとサンドイッチを取り出す。最近やって来たバディーズに習ったと、聞いてもいないのに喋る。
    暫く一方的に話をされていたが、やにわにわたしとダークライの目の色はおそろいだと言い出した。
    マーマネが笑顔で同意すると同時、不意に、彼の周囲を飛び回っていたロトムがこちらに飛んで来る。
    顔に衝突する寸前で止まり、何故か隣に浮かぶ。
    すると マーマネが感心したような唸り声を上げた後、なるほどアカギさんとロトムの目の色もおそろいだったんですねと言う。
    そんな事を伝えてどうしたいのか疑問であったが、以前からのわたしの手持ち達は、全員赤系統の目をしていることを思い出す。外れ値が印象に残ったのだろう。
    薄青く光るプラズマがパチパチとぬるく目を焼いた。
    20:50子供をそれぞれの滞在場所の近隣まで送り届けて解散となった。

  • 27二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 15:46:29

    ……ノートの書き込みはこのページで終わっている……



    「おい、何を見ている」
    「ケテッ」

  • 28二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 16:45:55

    更新分は以上になります
    まずは、貴重なお時間を割いて見て頂き、ありがとうございます。感謝しきりです
    初めて日記を失礼させて頂いた時からあまりにも長い年月が経ち、ポケモン最新作SVがもうじき発売2周年とのこと
    お待たせしてしまった時間の長さを痛感しております
    アカギ様の魅力は年月を得て深まり続けておりますが、こちらは全く進化の無い身でお恥ずかしい限りです
    ですが枯れ木も山の賑わいと申します。少しでもアカギ様の魅力を皆様に伝える一助となっていれば幸いです
    ご拝読、誠にありがとうございました
    このまま落として頂くなり、ご自由にお使い下さい

  • 29二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 16:48:44

    お疲れ様でした!完結まで読むことができて凄く嬉しいです

  • 30二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 16:50:11

    乙です!
    やっぱり「良ssは気長に待て」って言い伝えは本当だな・・・

  • 31二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 17:05:33

    自由にお使い下さいと書いた直後ですが、うまく話の中に入れることが出来なかった内容などをおまけ話として失礼させて頂きます……
    もったいない精神が我慢できませんでした。申し訳ございません


    アカギの記憶操作は彼が1人目の被害者だった関係で加害者も慣れておらず、かなり雑な仕事だった
    お陰で記憶が戻るまでのアカギは記憶が飛びやすくなる、頭痛などの体調不良を起こしやすくなる、精神不安定になりやすくなる、体調精神状態の悪化で脳に負担が掛かると退行する等々、数多くの不調を抱える羽目になった

    アカギ宅での会議(2つ目のスレッド142〜3つ目のスレッド54)が終了し日記を書き終えた後もアカギは犯人考察を続けており、答えに行き着きかけたものの、記憶操作に阻まれて忘れてしまった
    ただ無意識に覚えていたのか偶然なのか、3つ目のスレッド92の文章の頭文字を抜き出すと、『抜』『月』『罰』『日』『の』『散』『人』になる

    記憶とキュレムを取り戻したゲーチスは犯人を徹底的に潰したがった
    だが、サカキが下手を打てば国際警察に目を付けられることを伝えたことで、確かにこんな奴ら如きのために尻尾を掴まれる訳にはいきませんねとしぶしぶ納得したようだ

    パルキアが戻ってからしばらく、上を見上げる機会が増えたアカギ様は首を痛めた

  • 32二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 18:46:07

    お疲れ様でした
    ハッピーエンドで良かった!

  • 33二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 19:14:05

    お久しぶり!元気そうでほっとした
    完結おめでとうございます

  • 34二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 19:58:40

    マジで?そんなことある?って疑いながら見に行ったらガチじゃん…
    ありがとう…正直もう続きは見れないと思ってた…

  • 35二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 22:45:07

    完結おめでとう

  • 36二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 06:41:58

    1からリアルタイムで追ってたので完結まで見届けられたのがメチャクチャ嬉しい
    お疲れ様でした

  • 37二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 10:27:32

    ポケカテにずっといる人ってこんないるのか?

  • 38二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 10:56:35

    2スレ目から読んでいた者です。アカギさんと沢山のキャラクターを書いたこんなに素敵な物語を最後まで読ませて頂きほんとうにありがとうございます!今嬉しい気持ちでいっぱいです、アカギさんとスレ主さんに暖かい幸せがたくさん訪れますように!

  • 39二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 10:59:26

    本編の合間に矛盾なく挟めて、かつ沢山のキャラクターを動かしつつ解像度も抜群で最高の二次創作でした…終わりを見届けらことが出来て夢の一つが叶いました…ありがとうございます😭

  • 40二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 13:37:47

    完走するとは…!おめ

  • 41二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 16:48:44

    大雨のちひでり草一瞬でわかるの好き

  • 42二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 19:55:23

    名作完結おめ

スレッドは11/15 07:55頃に落ちます

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