【SS】ほぼ日セイちゃん

  • 1さくら◆QadlXyrFEc22/04/14(木) 00:08:04

    このスレはセイちゃん大好きな>>1がなるべく毎日セイウンスカイのSSを書いていくスレです。

    キャラが崩れたり架空のトレーナーさんといちゃついたりしますがそれでも可な心の広い人はよかったら読んでいただけると嬉しいです。

  • 2二次元好きの匿名さん22/04/14(木) 00:09:16

    楽しみ

  • 3二次元好きの匿名さん22/04/14(木) 00:10:02

    楽しみです!

  • 4二次元好きの匿名さん22/04/14(木) 00:10:55

    供給助かる

  • 5さくら◆QadlXyrFEc22/04/14(木) 00:13:06
    深夜なので|あにまん掲示板うっかりブラ付け忘れたまま登校してそのまま1日過ごすことになったウンスを妄想するbbs.animanch.com

    >>1はここで57として長らく書いてました。多分これの続きみたいなものを書くと思われますので気に入っていただけたら読んでください。

  • 6さくら◆QadlXyrFEc22/04/14(木) 00:16:42

    「………………」
    「……なあ、スカイ」
    「………………」
    「スカイ、そろそろ理由を話してくれないか?なんか君の気に障ることをしちゃったか?それとも具合が悪いとかか?」
    「……トレーナーさんのせいじゃ、ないですよぉ」
    「よかった、返事をしてくれた……じゃなくて、もう一声、トレーナー室に入ってくるなりソファーで丸まった理由を教えてくれないかな?」
    「…………んです」
    「へ?」
    「……まったんです」
    「待った?何が?」
    「フラワーの!トレーナーが!決まっちゃったんですぅ!」
    「うわぁ!いきなりだな!……でもそれでどうして君が落ち込むんだ?友達が一歩進んだならいいことだろう?」
    「いいわけないですよぉ!よりによってフラワーのトレーナー男なんですよ!?ああ不潔だよ……私のフラワーがぁ……」
    「……まあ落ち着いて。コーヒーでも飲むか?」
    「……とびっきり甘いやつでお願いします」
    ぼーっと、トレーナーさんがてきぱきとコーヒーを淹れてくれてる姿を見る。
    フラワーにもこんなトレーナーがついて二人でお茶なんてしちゃったり……
    「わああぁ!!不潔!不潔だよぉ!」
    「うわ!?どうしたスカイ!手も食器も洗ってるぞ!?」
    ともあれ。
    トレーナーさんとテーブルで向かい合う。
    「スカイ、熱いから気をつけてな。氷があったらよかったんだけど……」
    「大丈夫ですよ、ありがとうございます……あつっ!!」
    「だから言っただろう!ほら水道で冷やして!」
    「ついてないよぉ……これも全部あいつのせいだぁ……」

  • 7さくら◆QadlXyrFEc22/04/14(木) 00:16:51

    Take2.
    「……それで、ニシノフラワーにトレーナーがついたって話だったな」
    「そうなんですよぉ……フラワー可愛いから、トレーナーに変なことされてないかな……」
    「そんな不純な動機でトレーナーになれるようなやつはまずいないから安心してくれ。こう見えてもトレーナーは狭き門なんだから」
    「でも男らしいんですよ?」
    「それなら僕だってそうだろう」
    「新人らしいですよ、しかも。実績のない人にフラワーは任せられないですよ」
    「それなら僕だってそうだろう」
    「えーと……あとは……」
    「無理して欠点を探してるじゃないか」
    「ちーがーいーまーすー!私はフラワーが心配なんですー!フラワーを選ぶなんて絶対ロリコンですよあいつ!」
    「軽々しくそういうことを言うなよ……それ聞いてニシノフラワーのトレーナーにどんな顔で会えばいいんだよ僕は……」
    「とりあえず脛でも蹴ってやってください」
    「だからそういう物騒なこと言うなって!ニシノフラワーだって立派なウマ娘だし、実力を見込まれたんだろうさ」
    「当たり前ですよそんなの!フラワーは本当にすごい娘なんですよ!」
    「なら大丈夫だよ。トレーナーなんてのは、多かれ少なかれウマ娘の走りに魅せられてないとやってけない仕事だからな。それでも心配だっていうなら、君が見守ってやればいいじゃないか。トレーナーとのつきあい方も……やっぱダメだ。ニシノフラワーにサボり癖が移ると困るし」
    「私をなんだと思ってるんですか!フラワーにそんな悪いことなんて教えませんよ!……まあ、フラワーが成長できるのは嬉しいことなんですけど……」
    「なら祝ってあげればいいだろう。大丈夫、彼女が選んだトレーナーならきっといい人だよ」
    「変なことしたり泣かせたりしたらただじゃおきませんからね……男手が必要なときはトレーナーさんも協力してくださいね」
    「君のほうが強いだろう!?」
    娘が彼氏を連れてきたお父さんって、こんな気持ちなんだろうなぁ。
    私のフラワーは渡さんぞ!なんてね。

  • 8さくら◆QadlXyrFEc22/04/14(木) 00:18:09

    こんな感じのを書いてます。
    しょっぱなからだいぶめんどくさいセイちゃんですがご寛恕いただければ……

  • 9二次元好きの匿名さん22/04/14(木) 00:23:08

    毎日勢の仲間が増えた!!嬉しい!!保守!!

  • 10二次元好きの匿名さん22/04/14(木) 00:26:25

    こういうの凄くすき

  • 11さくら◆QadlXyrFEc22/04/14(木) 02:40:13

    7のおまけ セイちゃんとの出会い編

    「だいたいスカイだってトレーナーと付き合ってるんだし、フラワーにどうこう言うのはお門違いじゃないか?」
    「えー、乙女をたぶらかしたいやらしいトレーナーさんが言います?それ……」
    「言い方に悪意があるよな……というか、最初に騙してきたのは君のほうだろう。なんだよあの契約の仕方は」
    「それを言うならトレーナーさんだってトレーナーさんですよ。出会い頭にいきなり目の前で寝始める子に毛布をかけてくるのはあざとすぎません?そういう優しさが女の子を勘違いさせるんですよ?」
    「結果的には勘違いじゃなくなったんだしいいだろ。それに、担当じゃないにしろウマ娘の体調を軽んじるようなやつはトレーナー失格だよ」
    「……私以外にはしないでくださいね、そういうこと」
    「今はスカイがいるからな。……とはいえ、目の前で体調を崩しかねないウマ娘がいるのにそれを見過ごすのもトレーナーとしていかがなものか」
    「なら私を呼んでくださいよ~、私が対処します、気が向いたら」
    「そこは僕を信頼してくれよ。君の気が向いたらに懸けるのはちょっと怖すぎるんだよ」
    「釣りをする上で大事なことは魚がかかっても釣り上げ、バケツに移すまでは気を抜かないことですからね。トレーナーさんがいくら私に食いついてくれてるとしても、最後まで油断はできませんから」

  • 12さくら◆QadlXyrFEc22/04/14(木) 02:40:24

    「……自分を魚に例えるのは気が引けるけど、僕はもう君に釣られてまな板の上だよ。独占力を発揮してくれるのは嬉しいけど、君の嫌がることはしないさ」
    「まな板の上ですか……鯉なんでしたら、ちょっと滝登りしてみてくださいよ。竜になれるかもしれませんよ」
    「鯉じゃないし滝登りもできないし竜になりたくもないよ!」
    「でも私と相性がいいとは思いません?青雲の空を飛ぶ竜……絵になりますって!」
    「前段階の滝登りがまずハードル高すぎるんだよ。滝登り、滝登りかぁ……ふと閃いた!このアイディアはスカイとのトレーニングに活かせるかもしれない!」
    「やめてくださいよなんでもトレーニングに結びつけるのは!この学園そんな人ばっかりなんですか!?」
    「他のトレーナーは知らないけど、僕は関わったウマ娘からトレーニングのヒントをもらうことも結構あるな」
    「……トレーナーさんが私のために考えてくれたと思ってたトレーニングが他の女と考えたものだっただなんて……正直ショックです」
    「だから人聞きの悪い言い方はやめてくれって。マンガとかでもよくあるシチュエーションだろう?浮気かと思ったらプレゼントを選んでたところだった、とかそういうの。トレーニングは他の人に選ぶのを手伝ってもらったかもしれないけど、僕からスカイへのプレゼントではあるんだから」
    「……トレーナーさん」
    「だから受け取り拒否するのは傷つくからやめてほしいかな。ちゃんと受け取ってほしい」
    「遠回しにサボるなって言ってます……それ?」
    「直接言ったほうがいいか?」
    「勘弁してくださ~い」
    そう言って私はソファーでまた丸くなる。
    「つかの間の現実逃避をしたいので練習始めるまでお昼寝させてくださ~い」
    「もう始める時間だったんだけど……まあいいや、少ししたら容赦なく起こすからね」
    そう言ってトレーナーさんは私に毛布をかけてくれる。
    釣り上げられてるのはお互い様だなぁ、と思いながら私はまどろみの中に落ちていった。

  • 13さくら◆QadlXyrFEc22/04/14(木) 02:44:17

    初日がごねるセイちゃんだけだとあれだと思ったので急遽おまけを書きました。
    いちゃついて……るのかは微妙ですが、自分はこの二人にこういう中学生のカップルみたいにバカみたいなやりとりしててほしいなと思ってるのでこういうのが多いです。
    それからコメント、保守いただいた皆さんありがとうございます!
    9さんのおっしゃってるように他の方も毎日SSされてる方いらっしゃるんですかね?よかったら教えていただけると嬉しいです。

  • 14二次元好きの匿名さん22/04/14(木) 07:12:07
  • 15二次元好きの匿名さん22/04/14(木) 12:30:43

    更新楽しみです!

  • 16さくら◆QadlXyrFEc22/04/14(木) 18:42:33

    保守の概念を忘れていて落ちてたらどうしようと思いながら来たので残してくださってて安心しました……ありがとうございます

    >>14さんお返事ありがとうございます!もしかして宣伝もしてくださいましたか?正直自分で宣伝するのは難しいなと思ってましたのでとても嬉しいです!

    貼ってくださったリンク先見させていただきましたが、皆さん毎日別のスレを立ててる感じなのですね……自分の場合単発というよりゆるっと続いてる感じなのでここに書き連ねるのでいいですかね?

  • 17二次元好きの匿名さん22/04/14(木) 18:45:08

    >>16

    最悪安価つけたりして更新しました!


    とかでもいいかもですね...1番は更新する度にスレのURL貼って更新!とかがいいけど迷惑かな...ちょっと元のスレ主さんに聞かないと分からないですね

  • 18さくら◆QadlXyrFEc22/04/14(木) 19:37:00

    >>17

    お返事ありがとうございます!

    毎回書き込むのもご迷惑でしょうし、そんなに数がないまま宣伝するのも気が引けますのである程度ここがネタ切れせず伸ばせたら改めて生存報告みたいな形で宣伝させていただこうかと思います。

  • 19二次元好きの匿名さん22/04/14(木) 19:43:08

    >>18

    多分2週間?ぐらいに1回URL貼って宣伝するか上にある安価で更新しました(URLは張らずに)ぐらいかな?

  • 20二次元好きの匿名さん22/04/15(金) 00:08:46

    保守

  • 21さくら◆QadlXyrFEc22/04/15(金) 00:25:16

    「なあスカイ。完全な興味で聞くんだけど、尻尾のケアってどうしてるんだ?」
    「ちょっ……トレーナーさん大胆ですねぇ。ウマ娘に尻尾の話をするなんて、相手次第ではセクハラになりかねませんよ?」
    「え……そんなデリケートな話だったのか、ごめん」
    「別に私は気にしないですけどね~、でもいきなりですね。」
    「自分にない器官だしふと気になって……ほら、スキンヘッドの人が頭をボディソープで洗うのかシャンプーを使うのか洗顔料の適用範囲なのか、みたいな」
    「うっっっわ!最低!さいあく!今日のトレーナーさん本当にどうかしたんですか!?デリカシー家に忘れてきたんですか!?」
    「……うん、今のは失言だ。すみませんでした」
    「もー、これはセイちゃんの好感度、1下がりましたよ。絶対に他の子にこんなこと言っちゃいけませんからね!場合によっては通報もありえますよ!」
    「肝に銘じます……」
    「待てよ……逆にトレーナーさんがウマ娘にところ構わず尻尾のことを聞きまくるさいてー男だったら、取られる心配も浮気される心配もしなくて済むのでは?」
    「……スカイはそんなさいてー男と付き合うのでいいのか?」
    「私はいいんですよ。……トレーナーさんのさいてーじゃないいいところ、たくさん知ってますから」
    「……ありがとう」

  • 22さくら◆QadlXyrFEc22/04/15(金) 00:25:29

    「……うー、なんですかこの空気!やめやめ!それで尻尾の話でしたよね。これはトレーナーさんが知らなくても仕方ない話なんですが、専用のケア用品があるんですよ。繊細な子だと手入れ次第で走りに影響があるなんて話も聞きますしね」
    「なるほどな……」
    「私としてはスキンヘッドの人がどうやって頭を洗ってるのかのほうが気になります」
    「さすがに人によるんじゃないか……?ウマ娘ほど数が多いわけでもないし」
    「そりゃそっか。まあ私としては、あってもなくてもいいパーツって認識ですかね。実はあんまり手入れもしてないですし」
    「なるほど……やっぱりピンとこないな。自分の体であってもなくてもいいパーツなんて想像がつかない」
    「おしゃれな人はこだわりポイントが増えるから楽しいんでしょうけど、セイちゃん的には面倒ポイントですし。感情で勝手に動くのは勘弁してほしいです」
    「驚いたときにピンってなってるのはよく見る気がするな」
    「ほぼ無意識ですから言われないとわからないんですよね。後ろですし」
    「よく見るブンブン左右に振れてるときはどういう感情なんだ?」
    「……ちょっとセイちゃんわかんないですね~」
    うーん、そんなに勝手に動いてるのか。あってもなくてもいいじゃなくて邪魔かも、やっぱり。
    よく見られてるってことはきっとそういうことなんだろう。
    ちょっとこればっかりは教えるわけにはいかないかな、恥ずかしいし。

  • 23さくら◆QadlXyrFEc22/04/15(金) 00:28:54

    基本的にさくらは嘘つきですので調べて書いている部分もありますが特に言及されてない部分についてはだいぶデタラメ書いてますのでご注意下さい……前スレの足にキスとか……
    19さんもありがとうございます!とりあえずそこまで続けられてたら再宣伝させていただきます!

  • 24二次元好きの匿名さん22/04/15(金) 10:24:42

    保守

  • 25二次元好きの匿名さん22/04/15(金) 15:45:31

    保守

  • 26二次元好きの匿名さん22/04/15(金) 22:02:35

    保守

  • 27二次元好きの匿名さん22/04/16(土) 00:49:12

    保守でーす

  • 28さくら◆QadlXyrFEc22/04/16(土) 01:13:28

    「そういえばスカイ、もうすぐテストって聞いたけど大丈夫なのか?練習調整が欲しかったら早めに言ってくれよ」
    「そうですねぇ、ちょっと成績がピンチなので今から一ヶ月ぐらい休みが欲しいですかね」
    「なるほど、余裕だから休みはいらないか。僕もトレーナーとして鼻が高いよ」
    「冗談ですよ冗談!トレーナーさんも教え子が赤点で練習が滞るほうが困るでしょう?」
    「君が赤点を取るとも思えないけど……あれだけ如才なく立ち回るスカイなら、勉強だって要領よくこなしそうだ」
    「ところがどっこい、私には教科書を読むと眠くなる呪いがかかってましてですねぇ……」
    「そっちか……らしいといえばらしいけど」
    「ちょっとひどくないですか!?自分で言っといてなんですけど否定してくださいよぉ!」
    「そんな感じでテスト中眠くなったりしないのか?静かで快適そうだけど」
    「眠くなる前に問題を解ききれるかが勝負ですよね。寝たら怒られそうなので寝ないですけど思考力も落ちますし」
    「………………」
    「いやいや真に受けないでくださいよ。さすがにテスト中は大丈夫ですって」
    「僕だって信じたくないけどこれまでの実績が本当じゃないかって気分に……」
    「トレーナーさんもトレーナーなら自分のウマ娘を信じて私の冗談は信じないでくださいよぉ!私はトレーナーさんを信じてますよ!?」
    「ちょっと待って、訳わからなくなってきた。僕は何を信じればいいんだ……?」
    「自分の正しいと思うことを信じればいいのですよ……ほら、これまでのあなたの愛バがどうだったか、思い返して……」
    「……うん、休みをあげても勉強しなさそうだし練習はいつも通りにしよう」
    「……本気で赤点取って困らせてあげましょうか」

  • 29さくら◆QadlXyrFEc22/04/16(土) 01:13:44

    「わざと手を抜けるような性格じゃないだろう、君は。大丈夫、考えはあるよ。サボってしまうならサボれない環境にすればいい。やる気がないならやる気が出るようにすればいい。」
    「……その心は?」
    「ここで勉強すればいい。そうすればサボりはできないだろう?わからないところは僕が教えるし」
    「えー、トレーナーさん勉強できるんですかぁ?」
    「言っておくがトレーナーバッジは飾りじゃないんだぞ……」
    「指導力は問題なし、学力も担保されてるってわけですか……逃げ道をふさいでくれますねぇ」
    「これも可愛いスカイのためだ……恨まないでくれよ」
    「……サボりのほうは納得しました。ですけどやる気はどうやって出させてくれるんです?」
    「こういうモノで釣るような真似はしたくないんだが……テストが終わったら、デートに行こう」
    「……仕方ないから乗ってあげます。まずは化学からーー」

    「ってなわけで勉強教えてよキング~!一生のお願いだから~!」
    「どういうわけよ!この話の運びからどうして私に勉強を教わることになるのよ!」
    「だってトレーナーさんと勉強してると……同級生だったらこんな感じだったのかなってドキドキしちゃって勉強にならないから……」
    「なおさら逃げてるんじゃないわよこのへっぽこ!ついでにあなたの一生のお願いはこれで八回目よ!」
    私がウマ娘じゃなくてトレーナーさんもトレーナーじゃなくて普通のカップルだったら、なんて。
    恋の病は私に無駄な想像の翼を授けるのであった。

  • 30二次元好きの匿名さん22/04/16(土) 01:30:53

    お待ちしておりました…。
    恋の病なセイちゃん可愛い

  • 31二次元好きの匿名さん22/04/16(土) 07:47:25

    良いねぇ

  • 32二次元好きの匿名さん22/04/16(土) 10:41:49

    いいですね!

  • 33二次元好きの匿名さん22/04/16(土) 20:30:49

    保守

  • 34二次元好きの匿名さん22/04/17(日) 00:20:34

    保守

  • 35さくら◆QadlXyrFEc22/04/17(日) 01:00:14

    「ねえトレーナーさん、今日私お休みの予定じゃないですかぁ」
    「わざわざ確認しに来たのか?メールでよかったんだけど……うん、ゆっくり休んでくれ」
    「セイちゃん真面目なもんで。……それで、トレーナーさんは何してるんですか?」
    「ああ、スカイが休んでる間に片付けておきたい仕事がね……気にしなくていいよ。ウマ娘には休むのが仕事なときもある」
    「トレーナーとウマ娘は一心同体と言いますよね。それを踏まえて、自分の半身が働いてるのにもう半身はゆっくり休むなんて器用なこと、トレーナーさんはできます?」
    「……君が言いたいことはわかった。だけど納得はいかないかな。いつもはあんなに休みたがってるのにどうしたんだ?」
    「いやいや、私がトレーニングしたいって話じゃなくて。なんでトレーナーさんが働いてるんですかってほうですよ。トレーナーだって休息は必要ですよ?」
    「とはいっても休んでしたいこともないしな」
    「……その口振り、トレーナーさんちゃんと休んでます?」
    「休んでるよ。帰ったらちゃんと寝てるし」
    「そうじゃなくてプライベートな休みの日とかあります?トレーナーさん休んでるかと思ったら謎のヒントを持って次の日来るじゃないですか。仕事ばっかりだとダメなのはトレーナーさんも一緒ですよ?ここは一緒に休みましょう?」
    「……百歩譲って休むのはいいとして、君と一緒にっていうのは?」
    「トレーナーさん休むの下手そうですし一緒にのんびりしません?上手な休み方、教えてあげますよ」
    「……今回だけだよ」
    よし、かかった!
    「それじゃ、いきましょうか!」

  • 36さくら◆QadlXyrFEc22/04/17(日) 01:01:12

    「それでここは?」
    「この公園は野良猫ちゃんたちがいっぱいいるんですよ。ほらほら、私みたいに横になって……力を抜いて……」
    「前もこんなことあったけど……なんで毎度毎度君は僕がスーツ着てるときに地面に寝かせようとするんだ?」
    「タイミングが悪いんですよ~、というかトレーナーさんいつもスーツじゃないですか。ジャージとかゆるーい服にしましょうよ」
    「スーツが規則だから……部屋着でならジャージも着てるよ」
    「私ならどうにかなりそうですね~、窮屈すぎて……お、来た来た」
    私はやってきた猫ちゃんを抱き上げ、もふもふとした体を撫でる。
    「本当にスカイは猫を集めるのが得意だな。僕が横に寝たら逃げたりしないか?」
    「大丈夫ですよ。ここの猫ちゃんたちは人に慣れてますから。ほら、また来ましたよ」
    私は寄ってきてくれた猫ちゃんをトレーナーさんに渡す。
    「ちょっと待ってくれスカイ。猫を渡されても毛がつくと困るから……」
    「猫ちゃんを前に理性が強いですねぇ。もっとゆるっといきましょうよ」
    「でも……いや、仕方ないか」
    トレーナーさんは何かを決意したように私の横に寝転び、猫ちゃんを抱きしめた。
    「……うん。悪くないな」

  • 37さくら◆QadlXyrFEc22/04/17(日) 01:01:24

    「もー、そこは素直に褒めてあげてくださいよ。猫ちゃんも寄ってきた甲斐がないですよ?」
    「……これが……癒し……」
    「初めて感情を知ったロボットみたいなリアクションしないでくださいよ。ブルボン先輩じゃないんですから」
    「ステータス『もふもふ』を獲得」
    「……まあまあ特徴をとらえてるのがなんか嫌ですが……こうなったら他の人の物真似も見てみたいですねぇ」
    「その無茶振りはちょっと困るな……」
    そうしてふわふわした時間を一緒に過ごす。
    「……ありがとうな、スカイ」
    「お礼を言われるようなことはしてないですよ。私はトレーナーさんと一緒にお昼寝したかっただけですから」
    「ならそういうことでもいいけど……スカイが担当でよかったよ。いつもありがとう」
    「……そういうことすぐ素面で言うんですから……って、寝てるんですか?」
    トレーナーさんは恥ずかしかったのか狸寝入りを始めたようだ。ぜんぜん寝息じゃないし。
    「……おやすみなさい」
    起きてるのわかってるので恥ずかしいことは言いませんよ。
    でもまあ、いい機会ですし。
    私は寝てるふりをしているトレーナーさんの寝顔(ということにしておきましょう)をのんびり眺めることにした。ゆっくり休んでくださいね。

  • 38二次元好きの匿名さん22/04/17(日) 01:21:26

    いい…絶妙な甘さで

  • 39二次元好きの匿名さん22/04/17(日) 08:48:23

    いい…

  • 40二次元好きの匿名さん22/04/17(日) 13:13:19

    保守

  • 41二次元好きの匿名さん22/04/17(日) 17:58:35

    ほしゅ

  • 42さくら◆QadlXyrFEc22/04/17(日) 23:53:44

    「………………」
    「……なにかあったのか、スカイ?」
    「………………」
    「なにか言ってくれよ。袖を掴まれてちゃ仕事もできないしさ」
    「……笑わないって約束してくれますか」
    「そういうからには真面目な話なんだな。わかった。こっちも真面目に聞くよ」
    「実は……」
    私は、今日見た夢の話をした。
    トレーナーさんが私に愛想を尽かして離れていく夢だ。
    夢だってわかってる。それでも、怖くて仕方なかった。
    恐怖で目が覚めて、あれは現実じゃないって理解して、でも安心はできなくて。
    「……この年で悪夢を本気で怖がるなんてバカみたいですよね。……それでも、本当に怖かったんです。私にとってトレーナーさんはいつも側にいてくれるのが当たり前の存在で……」
    「………………」
    トレーナーさんは真面目な顔で黙って私の話を聞いてくれていた。
    「トレーナーさんは、私を置いてどこかに行っちゃったりしないですよね?これからも私のそばで、トレーニングを見てくれて、サボる私を注意して、それで……」
    「………………」
    言葉が途切れた私の頭をトレーナーさんが撫でてくれる。
    優しく、安心する手だ。

  • 43さくら◆QadlXyrFEc22/04/17(日) 23:53:58

    「それだけ僕のことを大事に思ってくれてるんだな。僕だって同じくらい君のことを大切に思ってるから、安心してくれ」
    「トレーナー、さん……」
    「だいたい捨てられるなら僕のほうじゃないか?君はあの強豪ひしめく世代の二冠ウマ娘だぞ。それこそ引く手あまただろうさ」
    「……こんなサボり癖のあるじゃじゃウマ娘を見捨てない優しいトレーナーなんて、あなたぐらいしかいませんよ」
    「………………」
    「……どうかしましたか?」
    「いや……スカイにあなたって言われたのが新鮮で……嬉しくてつい」
    「……なんですかそれ、へんなの。ふふっ」
    「笑わないでくれよ、と言いたいところだけどスカイが笑顔になってくれたならよしとしよう」
    私だっていつまでも走っていられるわけではないし。
    トレーナーさんがトレーナーさんじゃなくなる日も確実にやって来るけれど。
    「この先も、私のトレーナーさんじゃなくなっても、私はあなたの隣にいたいです」
    もう先に弱い姿を見せていたからか、今日は素直に自分の気持ちを伝えることができた。
    将来なんてわからないけど、トレーナーさんと一緒にいれたらいいな。

  • 44二次元好きの匿名さん22/04/18(月) 00:02:58

    結婚式はいつですか?(掛かり)

  • 45二次元好きの匿名さん22/04/18(月) 07:35:41

    保守

  • 46二次元好きの匿名さん22/04/18(月) 12:43:31

    保守

  • 47二次元好きの匿名さん22/04/18(月) 19:55:48

    ほしゅ

  • 48さくら◆QadlXyrFEc22/04/19(火) 00:36:25

    「トレーナーさんって、呼ばれてみたい呼び名とかあります?」
    「どうしたんだ?急に」
    「いやですねぇ、トレーナーさんのことを変わった呼び方で呼んでる子が多いなとふと思いまして。せっかくなら呼ばれる側が呼ばれたい名前で呼んであげたいっていうセイちゃんの思いやりですよ」
    「とはいえなぁ……自分から呼ばれたいっていうのは特にないかな。この前のあなた呼びはドキッとしたけど、常にあの呼び方だと何かしら問題になりそうだし」
    「学生時代とか昔のあだ名とかはどうです?」
    「あんまりあだ名がつかないタイプだったからなぁ。名前呼びのほうがしやすいみたいで」
    「ふむ……呼び捨てにするわけにはいかないよね……それじゃあこういうのはどうでしょう?耳を貸してください」
    「いいけど、何するんだ?」
    「んんっ……ねぇ、トレーニングなんて中止して、カワイイセイちゃんと遊びに行こうよ、お兄ちゃん♥️」
    「……いきなり何をするかと思えばカレンチャンの真似か……正直だいぶ破壊力はあるけどこれはダメだな」
    「えぇ~?何がダメなの?お兄ちゃん?」
    「シンプルに自分の担当ウマ娘にお兄ちゃんって呼べなんて言えるわけないからだよ!人生終わるわそんなの!」
    「じゃあこっちなら大丈夫です?……今日は体を休める日に当てるのはどうかな……?お兄さま……?」
    「ライスシャワーのほうもダメだよ!どっちもどっちだけど!」
    「まあそのお二人も記者会見とか公の場だとトレーナーさん呼びしてますしねぇ。でもそのギリギリ感がお好きだったり……」
    「しないよ!」

  • 49さくら◆QadlXyrFEc22/04/19(火) 00:36:40

    「うーん……特に変わった呼び方をしてる二人がダメとなると……ステータス『疲労』を確認。マスター、休養の許可を願います」
    「わかった、これ呼び方にかこつけて休みたいだけだろ!さっきからおんなじことしか言ってないんだよ!」
    「バレちゃったか、てへっ!」
    「セイちゃん、練習はちゃんとしないとダメだよ!」
    「うわ似てない!多分スペちゃんでしょうけど謝ったほうがいいレベルで似てないですよ!」
    「成人男性に女学生のモノマネなんてできるわけないだろう……」
    「いちおう弁解しときますと私が振ったんじゃないですからね。今度スペちゃんに会ったら私ともどもなにかおごってください」
    「スカイにもか!?」
    「当たり前ですよ!彼女いる身で他の子とおデートとか許されるわけないじゃないですか!」
    「そっちか……それじゃあ今度併走組んでもらって、ジュースでもおごるか」
    「まあここで言ってるだけですし別にスペちゃんにおごる必要はないと思いますけどね」
    「じゃあなんだったんだよ今のやりとり……」
    「どさくさに紛れてトレーナーさんにご馳走になりたいなと思いまして」
    「……今日のトレーニングちゃんとしたらな」
    「やったー!終わったら一緒にはちみードリンク飲みに行きましょう!」
    「あれ成人男性には甘すぎるんだよな……」
    呼び方を変える作戦は直球過ぎてあんまり効果なかったなぁ……
    サプライズでやってみるとか……それはそれで恥ずかしいし、効果がないと凹むなぁ。
    トレーナーさんをドキッとさせるアイデア、ゆる募で~す、なんちゃって。

  • 50二次元好きの匿名さん22/04/19(火) 00:38:04

    セイちゃん多分お兄ちゃんって呼びたいから仕掛けたな?

  • 51さくら◆QadlXyrFEc22/04/19(火) 00:38:25

    最近コメントが思いつかなくて無言で貼ってますがいつもコメント、保守ありがとうございます!
    実はめちゃくちゃ喜んでます!

  • 52二次元好きの匿名さん22/04/19(火) 00:49:36

    あなた呼びするセイちゃんの正妻感よ
    いつか名前で呼ぶのかな?

  • 53さくら◆QadlXyrFEc22/04/19(火) 02:04:04

    呼び名はネタにしといてなんですけど悩んでますね……あなた呼びが強すぎてこの先ってなんだろうってなってます。
    名前を設定したくないので(トレーナーさんを特定の人間にしたくない)名前呼びができないんですよね。
    自分の名前を使うとかも激しく解釈違いですしあえて名前をつけるとしたら鞍上、馬主さん、シェリフズスターあたりから合成してつけるとかですかね……

  • 54二次元好きの匿名さん22/04/19(火) 11:41:33

    保守

  • 55二次元好きの匿名さん22/04/19(火) 18:54:20

    保守

  • 56二次元好きの匿名さん22/04/19(火) 23:34:33

    保守、その辺は好きにやったらいいと思います。

  • 57さくら◆QadlXyrFEc22/04/19(火) 23:57:12

    「そういえばトレーナーさんって何座ですか?」
    「星座占いか?僕は射手座だけど、何を占ってくれるんだ?」
    「えーとですね……ふむふむ、トレーナーさんの今日の運勢はあんまりよくないですね」
    「えぇ、そうなのか……普段は特に気にしないけど、いざ聞かされるとちょっと凹むな」
    「なるほどなるほど。ラッキーパーソンは牡牛座の芦毛のウマ娘だそうです」
    「えらく具体的だな」
    「おやおや、偶然にも私は牡牛座ですねぇ。芦毛ですしウマ娘ちゃんです。これはトレーナーさん、ラッキーなんじゃないですか?」
    「そうだな。誰かの作為を感じるぐらいラッキーだよ」
    「なになに?今日の射手座の男性、および牡牛座の女性の運動運は大凶ですって!?トレーナーさん、これはピンチですよ!今日は大事をとってトレーニングは中止して、一緒に過ごしましょう!」

  • 58さくら◆QadlXyrFEc22/04/19(火) 23:57:26

    「……マチカネフクキタルあたりから着想を得た作戦かな?残念ながら通用しないよ。運動運なんて運勢聞いたことないし」
    「ちょっとは自分の担当ウマ娘を信用してくださいよ~、着想を得たはひどくないです?」
    「さすがに前科が多すぎるからね……ちなみにラッキーアイテムは何かな?」
    「ラッキーアイテムは~……えぇと……何がいいかな……」
    「ほら何がいいかなとか今考えてるじゃん!ボロ出てるよ!」
    「ラッキープレイスはトレーナー室だそうですし、ここでのんびり過ごしません?」
    「スカイ、この作戦で釣れるのはマチカネフクキタルくらいだ。トレーナーを欺ける作戦ではないよ」
    「うーん、残念ですねぇ……今日は私の負けですね、大人しくトレーニングに行くとしましょう」
    「毎度のこれは勝負だったのか……だとしたら黙ってサボれば確実に勝てるのに、なんでわざわざここに来るんだ?」
    「トレーナーさんは女心がわかってないなぁ……」
    「え?」
    「いえいえ、なんでもないですよ。強いて言うなら……そりゃあ勝負には勝ちたいですけど、ズルをして勝つのは負けるより嫌なんですよね、私。正々堂々、策略謀略で勝つのが私のスタイルですから!」
    「……最初の頃は練習に現れずにメールでサボり宣言してたのにな……勝負の場に立ってくれるようになっただけでも嬉しく感じる、のは違うだろ僕!騙されるな!」
    「トレーナーさん何と戦ってるんです?」
    「あえて言うなら君とだよ!」
    「にゃはは~!まあトレーニングに行くなら行くで、ちゃちゃっとやっちゃいましょう!」
    「なんか流された気がするが……」
    あちらを立てればこちらが立たず。
    トレーニングは面倒だけど、サボったらトレーナーさんと会えなくなっちゃうからなぁ。
    いつの頃からか、私の天秤はトレーナーさん側に傾きっぱなしだ。

  • 59二次元好きの匿名さん22/04/20(水) 00:02:52

    あらあら(ほっこり)

  • 60二次元好きの匿名さん22/04/20(水) 07:32:25

    あらあらあらあら♪

  • 61二次元好きの匿名さん22/04/20(水) 12:40:20

    保守

  • 62二次元好きの匿名さん22/04/20(水) 19:32:50

    保守

  • 63さくら◆QadlXyrFEc22/04/21(木) 00:10:33

    「つかれたぁぁぁ!トレーナーさん、私を甘やかしてください~」
    「テストお疲れ、スカイ。とりあえずコーヒーでも飲むか?」
    「めちゃんこ甘いのをお願いしますよ……脳が糖分を欲してます……」
    「よしきた。今日は氷も用意してるから安心してくれ」
    「トレーナーさんがふーふーしてくれるならそれでもいいですよ」
    「……冷静に考えて他人にふーふーされるのちょっと嫌じゃないか?」
    「なんです?私がふーふーしたコーヒーが飲めないってんです?」
    「飲めても飲めなくてもしこりが残るような質問はやめようか。……お待たせ」
    「ありがとうございます……あぁ、適度にぬるくていい感じですね。疲れた脳に甘みが染み渡ります……」
    「……ところでこれ、マンハッタンカフェのトレーナーオススメの豆なんだけど、違いとかわかるか?」
    「うんにゃ、これだけ甘いとインスタントでも変わらないかと。私、安上がりなもので」
    「そうか……実は僕も味の違いがわからなくてね。美味しいのは美味しいんだけどどこがどうって言われると困るんだよね」
    「ああ、オススメされたものが自分に合わないとコメントに困りますよね。あるあるですよね」
    「感想聞かれたらどうしような……」
    「素直に美味しかったでいいんじゃないですか?マズかったならともかく」
    「つい見栄をはって一言二言足したくなるんだよな……」

  • 64さくら◆QadlXyrFEc22/04/21(木) 00:10:47

    「気持ちはわかりますけど、知ったかぶりは後々痛い目見ますよ」
    「君の言うとおりだな。正直に美味しいけど違いがわからなかったって言うよ」
    「うんうん、人間正直が一番ですよ」
    「君がそれを言うか……そうだ、それなら今日は嘘禁止で過ごすっていうのはどうだ?」
    「えぇー、それ私が困るだけじゃないです?」
    「そんなことはないよ。僕だって建前やごまかしを言うことだってあるし」
    「うーん……どうせならゲームにしません?お互いに質問しあって、照れたほうが負けみたいな」
    「なるほど、嘘をつかないだけでは面白くないしな。それならこれから一週間のトレーニング予定を賭けるとしよう。勝ったほうの決めたスケジュールに文句なく従うことな」
    「それって私が勝ったら一週間丸ごとお昼寝にするでもいいんですか……?」
    「もちろんだ。なんならデートでも僕の奢りで食い倒れツアーでもなんでもいいよ」
    「男に二言はありませんよね?策士セイちゃんが後悔させてあげますよ」
    「それは楽しみだな。じゃあ僕から行くよーー」


    「……それで私のところに逃げてきたと。そう……理由はわかったけれど毎度ながら同情の余地が微塵もないわね、あなた」
    「先行とられたらもう勝ち目がないんだよぉあのゲーム……」
    「せめて語るところぐらい作りなさいよこのへっぽこ!一撃でやられるならあなたが先行でも初撃かわされてカウンターで沈んでるわよ!」
    「ひどいよキング、よよよ……キングもトレーナーさんとやってみてね、このゲーム」
    「やらないわよ!」
    決着がつく前に逃げたからなかったことに……はならないよね。
    懲役一週間が決定したことに肩を落とす私なのであった。

  • 65二次元好きの匿名さん22/04/21(木) 00:15:56

    彼女なんだから頑張って受け止めなさいよ!

  • 66さくら◆QadlXyrFEc22/04/21(木) 02:09:08

    最近短いので64のおまけ

    「……お疲れ様です」
    いくら気まずくても戻らなきゃいけない。
    キングが全然構ってくれなかったので、私はしぶしぶトレーナー室に帰ってきたのであった。
    「ああ、お帰りスカイ。思ったより早くて安心したよ」
    「……戻ってくるのを信じてたみたいな口ぶりですね」
    「君がゲームを提案したときからまあこうなるだろうなって思ってたよ。最近のスカイがすっぽかすとも思えなかったしね」
    「……なんともトレーナーさんの手のひらの上みたいで決まりが悪いですね」
    「まあそう言わないで。戻ってきたご褒美に今日は休みでいいよ。よかったらデートに行こう」
    「……へ?」
    「嫌なら休みでもトレーニングでも君の好きなようにするけど、どうしたい?」
    「ちょ、ちょっと待ってくださいよトレーナーさん。どういう風の吹き回しですか?私はこれから一週間みっちり地獄のトレーニングなのでは?」
    「そんなイメージ持たれてるなら抗議したいところだけど……忘れたか?勉強を教えるって話してたときに、テストが終わったらデートに行こうって約束してただろ。……結局勉強からはまんまと逃げられたわけだけど」
    「その節はどうも……って、あの約束生きてたの!?てっきり教えてもらわなかったから流れたものかと」
    「努力が報われるとは限らないけどさ、結果はどうあれ努力した子にはご褒美をあげたいなってこの年になると思うわけだ」

  • 67さくら◆QadlXyrFEc22/04/21(木) 02:09:22

    「素敵な教育方針だと思いますけど……子ども扱いはいただけないです」
    「難しい年頃だなぁ。いつ若く見られたいって言い出すか楽しみだよ」
    「………………」
    トレーナーさんは冗談半分で言ってるけど。
    一緒にいる未来を感じるその言葉が嬉しくて。
    私は、言葉を失った。
    「あれ、気に障ったか?ごめん!今日ばかりはスカイを労ってあげたかったんだけど……裏目に出ちゃったかな」
    「……本当に」
    本当に、この人は。
    「……あー、トレーナーさん、お腹すきません?またこの前食べたクレープとか食べたくないですか?セイちゃん、コーヒーだけだと糖分足りないかなって」
    「……ああ、いいぞ!いくらでも!」
    下手くそな話題転換に乗ってくれるお人よしめ。
    「そういえばスカイ、またキングヘイローのところに行ってたんだって?相手の邪魔になるからほどほどにな」
    「げげ、トレーナーさんが何故それを?」
    「一流バカから連絡があってね。まあキングヘイロー自身は頼られるのも満更じゃ……いや、なんでもない。とにかくあいつから文句言われるのは僕だから控えてほしいな」
    「……トレーナーさん同士の繋がりって厄介ですねぇ」
    「まったくだ。コーヒーの感想に困るしな」
    他愛のない話をしながら町に向かう。
    今日は終始トレーナーさんの思うつぼだったみたいでちょっとだけモヤっとするなぁ。
    え、いつもだろって?……うるさい。

  • 68二次元好きの匿名さん22/04/21(木) 09:57:45

    保守!

  • 69二次元好きの匿名さん22/04/21(木) 12:06:02

    いいねぇ

  • 70二次元好きの匿名さん22/04/21(木) 20:04:36

    保守

  • 71さくら◆QadlXyrFEc22/04/22(金) 00:30:55

    「うう……トレーナーさん、今日は休みにしてほしいです……」
    「スカイ?そういうサボりは……って、本当に調子が悪そうだな。大丈夫か?」
    「頭が痛いんです……トレーナーさん、助けてくださいよぉ」
    「僕に言うより保健室に行くほうがよくないか?もちろん休みで構わないから休んできなよ」
    「私はトレーナーさんに癒してほしいんですよぉ。愛の力でなんとかできません?」
    「と言われてもなぁ。とりあえずソファーに横になるか」
    「そうします……トレーナーさん、膝まくらしてください」
    「君がそういう直球の甘えかたをしてくるのは珍しいな。いいよ」
    ソファーに移動し、トレーナーさんの太ももに頭をのせる。
    「えへへ、いいですねぇ……頭痛がなければもっといいんですが」
    「頭痛がなければ逃げるだろう君は……」
    「いたたたたた、ちょっと痛くて何言ってるかわからないです」
    「そういう逃げかたもありか……」
    「あー、トレーナーさんに頭を撫でてもらえたらマシになるかもです」
    「それ君が大丈夫か?あとあと後悔しない?」
    「大丈夫ですって。本当に痛いのでお願いします……」
    「……まあ僕はいいけど」

  • 72さくら◆QadlXyrFEc22/04/22(金) 00:31:11

    トレーナーさんが遠慮がちに、それでいて優しく頭を撫でてくれる。
    「こうしてると……いや、なんでもない」
    「なんですか?私たちの間に隠し事はなしですよ」
    「いや……猫みたいだなって思って。近寄るといつも逃げる猫が懐いてくれたときみたいな気分で」
    「うーん……猫ちゃんは可愛いですし褒め言葉としておきましょうか。……にゃーん、なんちゃって」
    「……普通に可愛くて言葉が浮かばないな」
    「……へいへーい、頭を撫でる手が止まってますよー?もっと撫でてほしいにゃー」
    「……僕は今日のこと忘れるから、明日からも変わらずに来てくれよ」
    「やだなぁトレーナーさん、私は忘れませんよ」
    「むしろ忘れてくれよ頼むから!頭痛は仕方ないけど恥ずかしいからで練習止まるのはマジで避けたいんだよ!」
    「いたた……トレーナーさん、大声は響くのでやめてください」
    「あぁ、ごめん!」
    頭痛はしんどいけどそれ以上にトレーナーさんに頭を撫でてもらえるのは幸せだ。
    このまま寝ちゃったらトレーナーさん迷惑かな……でも眠い……
    「逃げられるのはともかく、甘えられるのは嫌じゃないからな、僕は……元気なときでも、このぐらい甘えていいんだよ」
    トレーナーさんの言葉が聞こえた気がするけど、なんだろう……
    とりあえず、おやすみなさい。

  • 73二次元好きの匿名さん22/04/22(金) 00:34:41

    毎日の楽しみです
    トレセイのイチャイチャは身体にいい

  • 74さくら◆QadlXyrFEc22/04/22(金) 02:04:30

    本日のおまけ 72の続きです

    「…………ん」
    目を覚ますと、もう夕方だった。
    トレーナーさんの膝から体を起こし、目をこする。
    「うーん……あれ、頭痛くない」
    特に薬を飲んだわけでもないのに、私の頭痛は治まっていた。
    「ほんとに愛の力で治してくれたんですねぇ……ありがとうございます、トレーナーさん」
    返事はない。
    どうしたものかと顔を見ると、トレーナーさんは眠っていた。
    「ありゃ、寝ちゃってますか。このまま帰るわけにもいかないし……」
    手持ちぶさたになんとなく歩き回りつつ、トレーナーさんが目覚める気配がないことを確認する。
    「せっかくだし、何かイタズラ仕掛けちゃおうかな」
    あれこれ寝起きの頭をひねるも何も出てこない。
    絶対に嫌われたくないし、どうせなら私のことを好きになってもらえるようなことをしたい、けど思いつかない。
    「とりあえず座ろっと。お隣失礼しますね~」
    小声で話しかけてからトレーナーさんの横に腰掛ける。
    「………………」
    いつもより、距離を詰める。腕と腕が触れるくらいに近づく。
    「膝まくらまでしてもらったんだし、今さら恥ずかしいのがひとつ増えたって変わらないよね」
    私はトレーナーさんの肩に頭を寄せる。
    思い描く恋人の姿そのもので、私の心は多幸感に包まれる。
    「……自分が寝ちゃうまで私のために動かないでいてくれるなんて、本当に優しいんだから」
    「……寝てるよね?本当に寝てるよね?……大好きです、トレーナーさん」
    私はトレーナーさんの反応がないことを必死に確認し、目を覚ましてないことに安堵して再びトレーナーさんに体重を預ける。
    「幸せだなぁ、本当に」
    トレーナーさんが目を覚ましたときの反応が楽しみだなぁ、と思いつつもう一眠り。

  • 75二次元好きの匿名さん22/04/22(金) 11:41:37

    ラブラブだなぁ

  • 76二次元好きの匿名さん22/04/22(金) 18:27:51

    保守

  • 77二次元好きの匿名さん22/04/23(土) 00:43:09

    まつぜ

  • 78さくら◆QadlXyrFEc22/04/23(土) 01:25:37

    「……ふぃー、ランニング終わりましたよっと」
    「お疲れ、スカイ。今日のトレーニングは終わりだから上がっていいよ」
    「はいはーい、お疲れ様でーす。トレーナーさんはまだお仕事です?」
    「ああ、でももうすぐ終わると思うし気にしないで」
    「……トレーナーさんの言う仕事って何やってるんですか?パソコンカタカタやってるだけじゃないですよね?」
    「ひっどい偏見だなぁ……主にスカイと同じレースを走る可能性のあるウマ娘の情報収集、効率のいいトレーニング方法を調べて計画を立てる、食事のアドバイスのための栄養学の勉強、あとは君には及ばないけど僕なりに作戦を考えてみたり、あたりかな」
    「へぇー、トレーナーさんもいろいろと忙しいんですねぇ。ささっとシャワー浴びてくるんで私も一緒に見ていいですか?」
    「構わないけど、湯冷めしないように温かくするんだぞ」
    「トレーナーさんって、ときどきおばあちゃんみたいな心配をしますよね……」
    そんな感じで汗を流してきた私は、トレーナーさんと並んでパソコンを眺めていた。
    「……なるほど、タンパク質を効率的に摂るには……スカイ、嫌いな食べ物とかあるか?」
    「いえ、だいたいは食べられますよ」
    「よかった、だったら……」
    トレーナーさんが顔を背ける。
    「ん、トレーナーさんどうかしました?」
    「いや、なんでもないよ」

  • 79さくら◆QadlXyrFEc22/04/23(土) 01:26:15

    「いやいや、様子がおかしいですって。私の顔になんかついてます?」
    「いや、大丈夫だよ。僕が悪いだけだから」
    「怪しいですねぇ……何を隠してるんです?ほらほら、セイちゃんに教えてくださいよぉ」
    「……わかったからちょっと離れてくれ」
    「え……っと、すみません……」
    嘘……嫌がられた……?
    なんで?私なんかしちゃったのかな……
    「いや、違う!スカイは悪くない!そんな悲しい顔をしないでくれ!」
    振り向いたトレーナーさんの顔は赤くなっていた。
    「……恥ずかしい話なんだけど、君から風呂上がりの匂いがしてドキッとしちゃって……つまらない意地で傷つけてごめん」
    「いえいえそんな、って、えぇ?」
    トレーナーさんがときめいてくれてる?
    これはチャンス?
    さっきのショックはどこへやら、私の心に魔が差す。

  • 80さくら◆QadlXyrFEc22/04/23(土) 01:26:27

    「なるほどですねぇ、トレーナーさんもオトコノコですし。セイちゃんのシャワー姿、想像しちゃいました?エッチだなぁ」
    「……忘れてるかもしれないけど僕は成人男性だぞ。あんまり挑発しないように」
    「えぇ?でも私のほうが強いですよ?」
    「なおさらたち悪いよ!大人をからかうもんじゃないよ!」
    「そんなこと言って~、トレーナーさんにこっそり見せてあげましょうか?私の……んゆ!?」
    トレーナーさんが急に私をだ、だきしめて……!?
    ぎゅってされてる!?
    んにゃぁぁぁぁあ!??
    「……ほへ」
    「……僕だって君を大事にしたいから我慢してるんだ。わかってくれたかな?」
    「ふぁい……」
    トレーナーさんから解放された私はふわふわと返事をする。
    夢みたいな時間は果たしてどのくらいだっただろうか。
    「それじゃ、今日は解散にしようか。……変な感じになったけど、明日も来てくれよ」
    「………………」
    「……スカイ?どうかし……うわ!?」
    私はふわふわしたままトレーナーさんの背中に抱きつく。
    「わたしも、トレーナーさんのこと、思ってるんですからぁ!」
    「スカイ、こういうので仕返しはよくないって!僕が悪かったよ!だからもっとロマンチックにさぁ!」
    トレーナーさんを解放し、マイナスにマイナスをかけるように逆に冷静さを取り戻しつつある頭で答える。
    「ふぅ……仕返しとかじゃないですよ。トレーナーさんからの気持ちに対する私からの、お返しですっ☆」
    「す、スカイ?」
    「それじゃ、お疲れ様でーす、また明日~!」
    完全に冷静になりきる前に急いでトレーナー室を出る。
    正直その後のことは覚えてない。次の日にキングから鬼メールの文句を言われたけど覚えてないから仕方ない。トレーナーさんの態度がちょっとだけよそよそしかった気がするけど覚えてないから仕方ない。
    こればっかりは私は悪くない。よね?

  • 81さくら◆QadlXyrFEc22/04/23(土) 01:29:27

    待たせてすみません……
    迷走してたかネタが出てこないか話が転がらないかのどれかがあると遅くなります……
    そういう時は総じて自分でも面白いか不安になってますのでハードルを下げて読んでいただけると幸いです……

  • 82二次元好きの匿名さん22/04/23(土) 01:36:13

    あまぁい
    ちょっと夜の香りがするのがベネ
    もうちょい大人になってからだよセイちゃん

  • 83二次元好きの匿名さん22/04/23(土) 11:54:37

    とてもいい

  • 84二次元好きの匿名さん22/04/23(土) 20:35:05

    保守

  • 85さくら◆QadlXyrFEc22/04/23(土) 22:59:07

    「それじゃ、お疲れ様でーす!トレーナーさんも遅くならないようにしてくださいねー!」
    「ありがとう、スカイ。……っと、ちょっと待って。傘持ってるか?さっき見たら雨降ってたけど」
    「えぇ、そうなんですか!?……まあ、寮まで短い距離ですし走れば大丈夫ですよ」
    「そういうわけにはいかないよ。体が資本なんだからこの傘を持ってってくれ」
    「ありがたいですけど……これトレーナーさんの傘でしょう?トレーナーさんはどうするんです?」
    「気にしなくていいよ。止むまで仕事してくつもりだから」
    「いやいや、早く帰るように言ったとこじゃないですか。仕事中毒も大概にしてくださいよ。私も心配なんですよ?」
    「……君に心配かけてちゃ世話ないか。とはいえ、今日雨降るなんて聞いてないし傘は置き傘のこれしかないんだよな……どうしたものか」
    「ふっふっふ、それなら私にいい考えがありますよ。お耳を拝借……」

  • 86さくら◆QadlXyrFEc22/04/23(土) 22:59:21

    数分後。
    私たちは、一本の傘で寮に向かっていた。
    要するに、相合い傘で帰っていた!
    「いやー、こういうのもたまにはいいですね。トレーナーさんの送迎なら遅刻もなくなりそうですよ」
    「調子のいいこと言ってるけどクラシックレースのときに苦労させられたの忘れてないからな……」
    「えー、まだその話蒸し返します?」
    「何回でも蒸し返すさ……菊花賞のときのホテルでは本気で終わったと思ったんだからな……」
    「そこは自分の担当ウマ娘ちゃんを信じてほしかったですねぇ」
    「信じた結果の絶望だったんだよ!普段の行いを省みてから言ってくれよ!」
    「困ったな、言い返せないや……おや、トレーナーさん?肩が傘から出てません?濡れちゃいますしもっと寄ってくださいよ」
    「といってもこれ以上寄ると君がキツいだろう……僕は大丈夫だよ」
    私はトレーナーさんを力ずくで引き寄せる。
    「もう、そういうのは言いっこなしですよ。トレーナーさんは、自分の愛バが自己犠牲をよしとするような子だと思ってるんです?……そこは自分の担当ウマ娘ちゃんを、信じてくださいよ」
    「……君はときどき本当に格好いいな。彼氏形無しだよ」
    「ときどきは余計ですよ」
    「いつもは可愛いからな」
    「もう、そういうのサラッと言うのはズルいですって……」
    恥ずかしいので話題を変える。
    「むむ?トレーナーさんの今の言葉でセイちゃんの好感度が、ピロピロピロ……ピーン!1上がりましたよ!おめでとうございま~す!」
    「ときどき思い出したように出てくる好感度システムだけど……今いくつぐらいなんだ?」
    「そういう無粋なこと聞いてると下がりますよーだ」
    そうこうしてるうちに寮に着き、トレーナーさんにお礼を言って別れる。
    名残惜しいけどまた明日ですね。

  • 87二次元好きの匿名さん22/04/24(日) 00:27:39

    いい…。
    とてもいい

  • 88さくら◆QadlXyrFEc22/04/24(日) 02:13:30

    86のおまけ

    「昨日言ってた好感度だけど、実際のところどんな感じなんだ?」
    「トレーナーさんわりとしつこいですねぇ……そういうこと言ってたら好感度下がりますよ」
    「君からの好感度が下がっても、僕からの好感度が下がることはないからな」
    「あーはいはい、嬉しいでーす」
    「今日の君はノリが悪いな……ちょっとぐらい乗ってくれてもいいじゃないか」
    「トレーナーさんが女々しいこと言うからですよぉ!彼女からの好感度聞きたがるってだいぶめんどくさい男ですからね!私の愛を疑わないでくださいよぉ!」
    「めんどくさい……まあそうだよな。悪かったよ」
    「……そう素直に引き下がられるとそれはそれで罪悪感ありますね……トレーナーさんはどうしてそんなにも私の好感度を気にするんです?」
    「……本当に君の言うとおり女々しい限りなんだが、君が僕を好きなことを確認したくて……」
    「そんなのいつも言って……言って……うーん」
    ずっとトレーナーさんを好きなことに間違いはないのだけど、思い返せばわりと誤魔化してばかりでストレートに伝えたことは少ないのかもしれない。
    トレーナーさんが不安になってたとしたら、私が悪いんじゃないの?これ……

  • 89さくら◆QadlXyrFEc22/04/24(日) 02:13:43

    「……トレーナーさん、愛してます。……今日のところはこれでよしとしてもらえませんか?」
    私なりに、誠意と愛を示す。
    珍しい真っ向正面ストレートだ。
    「………………」
    「……ちょっとちょっとトレーナーさん?私が正直に思いを伝えたのに、無言は悲しいですよ」
    「……ごめん、嬉しさと可愛さでフリーズしてた。……うん、めちゃくちゃ嬉しいよ!」
    「……にゃはは、やっぱり照れくさいものですねぇ、こういうのは」
    「君が逃げないでいてくれるのはもっと嬉しいかな。疑ってるつもりはなかったけど……それでも捻りのない君の言葉で相思相愛を確認できたことが、何より嬉しい。ありがとう」
    「うーん、トレーナーさんが喜んでくれてるのは伝わりましたけど、逃げてばかりとトレーナーさんにまで思われてたのはちょっと心外かなぁ。小言はキングからだけで十分だよ」
    「小言なんて言わないよ。逃げる君も可愛いからね。……まあトレーニングに支障が出るのは勘弁してほしいけど」
    「小言言ってるじゃないですかぁ!好感度下がりますよ!」
    嘘ですけど。
    「そういうことを言うなら具体的な数値を教えてほしくなるんだけど……」
    「にゃはは、秘密ですよ」
    そもそも実は昨日の1上がったって言うのも嘘だったりする。
    私からの好感度は、足し算引き算では変わらないんだから。
    なんて言うとバカップル一直線だし恥ずかしいから絶対言わないけど。

  • 90さくら◆QadlXyrFEc22/04/24(日) 02:19:03

    書きたくなったときに書くせいでネタ切れが怖くなってきました。とはいえおまけは新鮮なタイミングで出さないと使いどころを逃すので難しいところです……
    と、後ろ向きなこと言ってますがいける限り書いていきたいので、読んでいただけるとめちゃくちゃ嬉しいです。

  • 91二次元好きの匿名さん22/04/24(日) 11:34:59

    保守ー

  • 92二次元好きの匿名さん22/04/24(日) 11:37:03

    あまーい
    保守!

  • 93二次元好きの匿名さん22/04/24(日) 21:45:30

    好き...

  • 94二次元好きの匿名さん22/04/24(日) 23:17:51

    保守

  • 95さくら◆QadlXyrFEc22/04/25(月) 00:44:18

    「……これを君に聞く時点で敗北宣言な気がするんだけど……スカイ、デートで行きたいところとかないか?」
    トレーニング終わり。トレーナーさんが不意にそんなことを聞いてきた。
    「私としては特に思いつきませんかね~、トレーナーさんが行きたいところとかしたいことはどうです?」
    トレーナーさんと一緒ならどこでも楽しい、という本音を飲み込んで答える。
    「大人になるとそういう欲が枯れてくるもんでね……そこは若い君に合わせたいと思ってしまうんだよ 」
    「トレーナーさんだってそんなに年取ってないでしょうに……思いつかないなら、無理に出かける必要なんてないんじゃないですか?例えば 映画をレンタルしてきてトレーナーさんちで一緒に見るとか、そういうのも楽しいと思いますよ」
    「なるほど……とはいえ教え子を僕の家に上げるのも……」
    というわけで折衷案。
    予行演習としてトレーナー室で映画を見てみることになった。
    「予行演習ってなんなんでしょうか……というか、私はトレーナーさんの家に行ってみたかったんですけど」
    「まあ見るならお互いの好きな映画にしたいし、趣味のすり合わせは必要だろう。あと僕の家に行くのは卒業まではお預けだ」
    「……約束ですからね」
    「ああ。……それじゃあ見るか」

  • 96さくら◆QadlXyrFEc22/04/25(月) 00:45:51

    映画は、適当に動画サイトで人気のものを再生した。
    レースを引退して生きがいを見失ったウマ娘と、それに寄り添う猫ちゃんの話だった。
    「………………」
    つまらなかったらトレーナーさんの反応を見て楽しもうと思っていたけど、その必要はなかったみたい。
    寮だし今はペットなんて飼えないけど、家に猫ちゃんのいる生活というのもなかなか……
    「…………面白かったね、トレーナーさん」
    うっすら浮かんだ涙を誤魔化してトレーナーさんに話をふる。
    「ああ、適当に選んだけど大当たりだったな」
    トレーナーさんの袖が微かに湿って色が変わっていることを嬉しく思いつつも、気づかないふりをする。
    「いやー、動物ものはいいですね。特に猫ちゃんは!」
    「スカイは本当に猫が好きだな。将来……いや、まだ気が早いか」
    「ちょっとちょっと、そこで引かないでくださいよぉ。勢いのまま『将来は一緒に猫を飼うか?』ぐらい言ってください」
    「……君からそう言われるとはな。僕も逃げちゃってたか」
    「……どことなく含みを感じる言い方ですね。も、ってなんですかも、って」
    「自覚があったならこれから直していけばいいさ」
    「なんで私が悪い感じになってるんですか!?今回チキンだったのはトレーナーさんじゃないですかぁ!」
    「……このへんで終わりにしておこう。これ以上は喧嘩になりかねない」
    「……すみません、私も言い過ぎました」
    「こっちも嫌みを言って悪かったよ」
    「やっぱりトレーナーさんは大人ですね。敵いませんよ」
    「そう言ってもらえるなら無駄に年くった甲斐があるってもんだよ」
    「今日のトレーナーさんは妙に年齢を感じさせますねぇ。まだまだ若いですって。それにこれからは……」
    さっきトレーナーさんをからかっておいて自分は逃げるつもりか、セイウンスカイ。
    飲み込みかけた言葉を、今度はちゃんと吐き出す。
    「これからは、わ、私と一緒に年を重ねていくんですから……!長生きしましょうよ!お互いに!」
    勢い任せのじゃじゃウマ娘で並び立てる。
    「……やっぱりある程度はチキンでいてもらったほうがいいかもだな。これだけドキドキさせられてちゃ、身が持たないよ」
    私の身も持たないので言う通りかもしれないと思いつつ、余計なことも言ったトレーナーさんを軽く小突く。
    今日は同じ映画で泣いて、同じ逃げ腰をからかい合って、同じ未来を描いて。
    最後に同じ赤い顔で笑い合った。

  • 97二次元好きの匿名さん22/04/25(月) 00:51:44

    良き…。
    2人はどんな家族になるんだろ

  • 98さくら◆QadlXyrFEc22/04/25(月) 01:53:54

    96のおまけ

    車の音が聞こえてきたので、私に似て芦毛の娘が遊び疲れて猫と一緒に寝ているソファーをそっと立つ。
    鍋の中を確認してから玄関に向かう。
    ここであの人を待つ瞬間が、今の私の二番目に幸せな時間だ。
    一番はもちろん……
    「お帰りなさい、あ・な・た!」
    疲れて帰ってきた彼を笑顔で迎える瞬間。
    無事で帰ってきてくれることが一番のお土産だなんて、昔の自分に言ってもピンとこない話だっただろうな。
    「ただいま、スカイ。帰ると最愛の妻が待っててくれるなんて本当に僕は幸せ者だよ」
    「ふっふっふー、ご飯もお風呂も用意できてるけどどっちからがいい?もちろん私でも……うわっ!?抱きつくにしても何か言ってからにしてよ!……もう、仕方ない人だなぁ」
    私は諦めたように背中を撫でる。
    「トレーナー業はやりがいのある仕事ではあるけど、君と離れなきゃいけないのだけ辛いんだよな……」
    「あの子が大きくなったらサブトレーナーになれるよう勉強してるけどさっぱりだよぉ……」
    「トレセン学園の雇用制度でドリームトロフィーを走ったウマ娘は緩いんだから頑張ろうよ。僕も勉強教えるからさ」
    「うう……またあなたがトレーナーさんになるなんて……」
    「まあしんどい話は終わりだ!セイちゃん、今日のご飯何?匂いから既に美味しそうなんだけど!」
    「学生時代の呼び名を掘り返さないでくださいよトレーナーさん!今日はカレー!」
    しゃべり方が昔に引っ張られながら私たちは娘を起こし、食卓を囲む。
    クラシック期を走っていた頃に感じていた焦燥感や劣等感はもう感じない、幸福な時間だ。

    『ジリリリリリリ!!』
    ファンの人からもらった強力な目覚まし時計の音が私の目を覚ます。
    「んー、夢か」
    とても幸福な夢だった。そしてそれは、手を伸ばせばいつか届きそうな夢に思えたから、夢オチのショックはさほどなかった。
    「とはいえ、セイちゃんは今その夢の続きを見たいと思ってしまうんです」
    目覚ましを止め、二度寝の体勢に入る。
    結果として今日は寝坊に次ぐ寝坊によって大幅な遅刻をかまし、めちゃくちゃ怒られた。理不尽だよ!

  • 99さくら◆QadlXyrFEc22/04/25(月) 02:02:47

    セイちゃん一家は結婚後勝負服がキツいスレで非常に素晴らしい概念が語られてましたのでご存じなければ是非見てみてください。他の人の書いてる幸せそうなセイちゃんでしか得られない栄養がある……
    そことの差別化も気にしつつ新妻セイちゃんも書いてみたけど正直見劣りするのでぜひこっちも見に行ってみてください(ダイマ)
    bbs.animanch.com/board/541923/

  • 100さくら◆QadlXyrFEc22/04/25(月) 02:07:30

    http://bbs.animanch.com/board/541923/

    ミスってすみません……こちらです

    見すぎたら劣等感で書けなくなるか無意識にパクりそうで怖くてある程度で見るのやめたんですが、変に荒れてなければ素晴らしいスレですのでぜひ。

  • 101二次元好きの匿名さん22/04/25(月) 02:15:03

    >>100

    お母さん奥さんなセイちゃんからしか取れない栄養素があると思う…。


    そしてここの概念いいよね…。

    荒れもせずに無事に完走しましたよー

  • 102二次元好きの匿名さん22/04/25(月) 02:16:04

    >>101

    それと相変わらず素敵SSです!


    またセイちゃん一家書いてくださいまし…。

  • 103さくら◆QadlXyrFEc22/04/25(月) 02:22:20

    >>102

    お褒めいただきありがとうございます!

    無事完走しててよかったです!

    夢オチシリーズでいろんなパターン書くのも楽しいですがそればっかりも芸がないですし無理なく書ける方法を考えてみますね!

  • 104二次元好きの匿名さん22/04/25(月) 02:39:14

    なんだこのクソ甘い空間
    マックイーンがビックマックになっちまうよ…

  • 105二次元好きの匿名さん22/04/25(月) 12:06:52

    ほしゅ

  • 106二次元好きの匿名さん22/04/25(月) 21:42:48

    保守

  • 107さくら◆QadlXyrFEc22/04/26(火) 00:06:05

    「スカイ!誕生日おめでとう!」
    トレーナー室に入るなりパァン、とクラッカーが鳴った。
    下手したらレースで勝ったときより嬉しそうなトレーナーさんが私に何やらタスキをかけてきた。
    「ええと……本日の主役です?これ買う人本当にいたんだ……」
    「引かないでくれ!確かに出だしは間違えた感あるけども!」
    「うん……ありがとうございます……それじゃセイちゃんみんながパーティー開いてくれるので行ってきますね」
    「待って待って待って!ケーキとかあるから!見限るのもうちょっと待って!」
    「……パーティーあるのは本当なんで手短にお願いしますね」
    「了解!じゃあケーキは後にしようか!……えーと、そしたら……」
    いつも落ち着いてるトレーナーさんがわたわたと慌てている様子を見るのはそれなりに楽しい。
    これがプレゼントと言われても納得できるくらいだが、はてさて。
    「……よし、スカイ。目をつぶってくれ」
    「はいはーい」
    どんなサプライズがあるのか、少しわくわく。
    トレーナーさんの足音が……ありゃ、離れていく?なんで?
    ガチャリ、とドアの鍵をする音がする。
    「と、トレーナーさん?何をするつもりですか……?」
    「………………」
    「無言は怖いですって~、もしかしてさっき反応が微妙だったの気にしてます?とっさではんの……ひゃっ!?」
    トレーナーさんが私の手を取る。
    ……あれ、この感触は?

  • 108さくら◆QadlXyrFEc22/04/26(火) 00:06:21

    「……怖がらせてごめん、目を開けていいよ」
    恐る恐る目を開けると、私の左手の人差し指にかわいらしい猫ちゃんをあしらった指輪がはめられていた。
    「……これは?」
    「誕生日プレゼントだ。……どうかな?」
    「えーと……え?あのー……なぜ?」
    いろんな疑問がぐるぐる回って、それしか言えなかった。
    「……うん、今日は空回りが過ぎるみたいだな……えーと、自分で説明するの恥ずかしいなこれ。その指輪は、僕からの気持ちだよ」
    「……すみません、わからないことが多過ぎて脳が喜びに移れないんですが……まず、なんで私の指のサイズ知ってるんですか?」
    「まずそこか……この前寝てるときに測らせてもらったよ」
    「乙女の体のサイズを勝手に測るなんて!……と怒る気分でもないので次です。なんでトレーナー室の鍵を閉めたんですか?目をつぶらされた後にされたら相当な恐怖ですよあれ」
    「本当にごめん……これも怒らないで聞いてほしいんだけど、途中で君が勘づいて逃げ出したら困るなと思って」
    「……とりあえず最後まで聞きましょう。最後に、なんで人差し指なんですか?こういうときって普通薬指じゃないです?」
    「それも考えたんだけど……やっぱり左手の薬指に指輪を贈るのは、ちゃんとしたプロポーズのときにしたいなと思って……今日のはあくまで予告というか、なんというか……」
    「………………」
    「それでも君を祝いたくて……どうにも微妙な感じになってしまったけどその気持ちだけは本当なんだ」
    なんというか。
    拍子抜けした私はトレーナーさんの手を取る。
    「……トレーナーさんって、けっこうロマンチストですよね」
    「えっと……ごめん」
    「謝らないでくださいよ」
    私はトレーナーさんの体に手を回し、
    「私はそういうところも含めてトレーナーさんが大好きなんですから。……いい反応できなくて申し訳ないですけど、本当に嬉しいです。……ありがとうございます」
    「……スカイ」
    「……っと、すみません。みんなのパーティーに行ってきますね。そのあとで、一緒にケーキ食べましょう」
    「……ああ、楽しんできてくれ」
    赤くなった顔に気づかれないようにそそくさとトレーナー室を後にする。
    パーティーは楽しかったけど、途中でよりによってエルに指輪が見つかって嫌というほどからかわれた。
    ……まあ、からかわれるってわかってても外す気はなかったんだけど。

  • 109さくら◆QadlXyrFEc22/04/26(火) 00:08:31

    日が変わったら直後に貼ろうと思ってたんですがシンプルに遅刻しました。セイちゃん、誕生日おめでとうございます。
    ちなみに左手の人差し指の指輪は自信を持てるようにするみたいな意味があるそうです。諸説ありですがセイちゃんにつけてほしいなと思った次第です。

  • 110二次元好きの匿名さん22/04/26(火) 00:13:38

    スカイ誕生日おめでとう!
    いやはや甘いです

  • 111二次元好きの匿名さん22/04/26(火) 02:48:03

    こんなんみたらスカイ推しになっちゃう

  • 112二次元好きの匿名さん22/04/26(火) 12:27:28

    スカイが可愛い

  • 113二次元好きの匿名さん22/04/26(火) 18:56:47

    セイちゃん可愛い

  • 114二次元好きの匿名さん22/04/27(水) 00:33:25

    嗚呼カワイイ

  • 115さくら◆QadlXyrFEc22/04/27(水) 01:28:45

    「……お祭りのあとって虚しいですよね、トレーナーさん……」
    「そうだな。この年になるとそうはしゃぐこともないけどその気持ちはよくわかるよ」
    「えっ、昨日のあれははしゃいでなかったとおっしゃいます?」
    「あれは忘れてくれ……いや、あのテンションだけ忘れてくれ。プレゼントと気持ちをなかったことにはしてほしくない」
    「格好いいんだかかっこ悪いんだか……まあいいです。私が言いたいのはですね、ハレの日からケの日に急に戻るんじゃあ身が持たない、プールに入る前に腰洗い槽に身を浸すように、辛い日常に戻る前に慣らしが必要ではないかというわけです」
    「ふむふむ……やけに抽象的だけど具体的には?」
    「昨日私の誕生日でどんちゃん騒ぎしたわけですし、今日は慣らしとしてトレーニングはお休みにしません?」
    「なるほど、却下だ」
    「えー!?そりゃないですよぉ!」
    「それがまかり通ればデートするたび翌日が休みになっちゃうだろう!トレーニング予定考えるのも大変なんだぞ!」
    「むむむ……今日はまだセイちゃんの誕生週ですし、パーティー二日目といきません?」
    「それを通したら今度は誕生月が来るんだよ!四月の末とはいえそういう屁理屈は認めるわけにはいかない!」
    「どのみちゴールデンウィークですけどね……去年ってどうしてましたっけ」
    「目標レースが近かったからか普通にトレーニングしてたと思うけど……少なくとも長期休暇はなかったと思う」
    「ふんふん、それを乗り越えてきた私たちは偉いと思いません?」
    「急に話題を変えてきたな……まあ、頑張ってたのは事実だな」
    「そんな私たちにはご褒美が必要だと思いませんか?そう、例えばのんびりと公園に寝転び、空に浮かぶ雲を眺めるだけの贅沢な時間を過ごすだとか……」
    「そういう時間はお休みの日にしてくれ。お供が欲しいなら呼んでくれたら行くから」

  • 116さくら◆QadlXyrFEc22/04/27(水) 01:29:01

    「それはそれで嬉しいですけど……じゃなくて。それなら、トレーナーさんだけでも休みにしませんか?なんだかんだトレーナーさん、私がお休みいただいてるときでも働いてるでしょう?」
    「まあ……否定はできないけど」
    「でしょうでしょう?人間働きすぎはよくないです。休みましょう休みましょう!私は適当に自主トレしときますから」
    「それが狙いか。却下だ」
    「えぇ!?これもダメですか!?」
    「人類有史以来自習時間が成り立ったことはないんだよ!必ずサボるかふざける奴が出てくるんだから!」
    「それはトレーナーさんの偏見が入ってる気がしますけど……はぁ、わかりました。今日が休みになれば明日はキングの誕生日ということで休み、その次はゴールデンウィークだからとなし崩しにサボるつもりでしたが仕方がない。ちゃんとトレーニングするとしましょう」
    「とんでもないこと企んでたんだな……阻止できてよかったよ」
    「今日ちゃんとトレーニングしますんで明日のキングの誕生日パーティーは参加させてくださいね」
    「それはもちろん構わないよ。友達と過ごす時間は大事だからな。……それから、お言葉に甘えて今日は僕も休ませてもらうことにしようかな」
    「……えーと、それは体よくサボっていいですよってことですか?」
    「違うしだとしたら確認するなよ。仮にそうだとしてもその問いにイエスとは言えんだろ……まあ、厳しいメニューは出さないから、スカイの好きなようにトレーニングしてくれ」
    「それって……わかりました。トレーナーさん、ありがとうございます!」
    「礼を言われるようなことは言ってないよ。それじゃあ自主トレ頑張って」

    「……それで、なんで私のトレーニングを見てるんですか?休みというのはどこへ?」
    「いいや、休ませてもらってるよ。予定がないから彼女の練習姿を応援しに来たんだけど……ダメだったかな?」
    「……べっつにー?構いませんけどー?」
    その後、トレーナーさんは私がサボろうとしても特に止めることはなかった。なかったけど……
    「こんなことされて、サボれるわけないじゃん……」
    下手したら普通に指導されるより疲れた……不用意なことは言うもんじゃないなぁ。

  • 117二次元好きの匿名さん22/04/27(水) 01:33:40

    似た者カップルだなぁ

  • 118二次元好きの匿名さん22/04/27(水) 02:12:49

    常に駆け引きしてるのいいよね

  • 119二次元好きの匿名さん22/04/27(水) 12:22:23

    >>118

    いい…。

    恋の駆け引き見てる側はニコニコしちゃう

  • 120二次元好きの匿名さん22/04/27(水) 21:36:30

    保守

  • 121二次元好きの匿名さん22/04/28(木) 01:15:36

    ほしゅ

  • 122さくら◆QadlXyrFEc22/04/28(木) 01:49:01

    「会議があるから適当に待っててくれってトレーナーさん言ってたけど……」
    私はテーブルに突っ伏しながら一人ごちる。
    「特にすることないんだよなぁ……はぁ、暇だ」
    足をパタパタ振りながらテーブルの上をまさぐるも、手の届く範囲には特になにもなかった。
    昼寝するにも今は珍しく眠くないし……自主トレをしてるほどの真面目さも持ち合わせてないし
    「……散歩でもしようかなぁ」
    待ってても特にすることがないし、ふらふらとそのへんを歩くことにした。
    「誰か時間潰しに付き合ってくれそうな人、いないかなぁ……」
    窓からグラウンドを何とはなしに見ると、スペちゃんとそのトレーナーさんが何やら話しているのが見えた。
    「ほほう……」
    距離があるし何を話しているかは窓を開けても聞こえないだろう。でも、うっすら見える表情から二人は真面目な話をしているように見えた。
    「ふむふむ……またみんなで模擬レースをする日も近いかもしれませんねぇ……」
    「予定の調整もあるし日取りが決まったら早めに教えてくれよ。そういうイベントは邪魔したくないし」
    「はいはーい、了解で……ってうわぁ!?トレーナーさん、なんでいるんです!?」
    「会議が終わってトレーナー室に向かってたら君が窓を見てたから……真剣そうだったから声をかけづらかったし」
    「……考えてみればスペちゃんのトレーナーさんがいるわけだし、会議が終わったと考えるべきでしたね。それじゃあお疲れ様です」

  • 123さくら◆QadlXyrFEc22/04/28(木) 01:49:18

    「いやいや逃がさないよ?スペシャルウィークもああして頑張ってるんだし君も頑張らないと」
    「むむむ……スペちゃんめ……」
    「それにしてもあいつも遂にか……めでたいな」
    「トレーナーさん、スペちゃんのトレーナーさんとも仲いいんでしたっけ?」
    「君たちのトレーナーは同期なのもあってわりと仲良くさせてもらってるよ。みんなで飲み会したりもするし」
    「えぇー、情報共有されてそうで嫌だなぁ」
    「酔うと誰の担当が一番かわいいか喧嘩になることもあるな」
    「聞きたくない聞きたくない」
    「関係が進むときに区切りとして模擬レースを開催するようになったのは面白い習慣だってよく話題になるよ。あれがあった後は担当が勝った奴が飲み代をおごるのがルールになってて……」
    「私のせいいっぱいの覚悟の証を大人の飲み会の話の肴にしないでくださいよぉ!もう怒りましたよ!スペちゃんには申し訳ないけど、次の飲み会はトレーナーさんがおごることになりますからね!」
    「……自分の担当には勝ってほしいけど、あいついつからか担当に似てめっちゃ食うようになったからなぁ……」
    「追加で私が勝ったらスイーツ一週間ごちそうになりますからね!」
    「それは構わないよ。ご褒美は大事だし」
    「ふん、トレーナーさんを破産させちゃいますから覚悟しといてくださいね!」
    結果は……敢えて私が言うことでもないだろう。
    少なくとも言えることとして、トレーナーさんは浮いた飲み代を私のご機嫌取りのスイーツ代として消費するはめになったということぐらいだ。

  • 124二次元好きの匿名さん22/04/28(木) 02:08:33

    相変わらずの駆け引きカップル可愛い

  • 125二次元好きの匿名さん22/04/28(木) 07:06:17

    皆公認カップルなのか…

  • 126二次元好きの匿名さん22/04/28(木) 11:24:59

    前のSSでそんな話してたからね

  • 127二次元好きの匿名さん22/04/28(木) 20:58:35

    セイちゃんいいよね…

  • 128二次元好きの匿名さん22/04/29(金) 00:36:10

    すごくいい…

  • 129二次元好きの匿名さん22/04/29(金) 01:49:30

    保守

  • 130さくら◆QadlXyrFEc22/04/29(金) 02:32:58

    「トレーナーさぁん、なんか楽しいことしましょうよぉ」
    「ざっくりしてるし最悪誤解を招きかねないからそういう言い回しはしないように。それはそうと楽しいこと、か……何故かトレーナー室に置いてあったトランプでもやるか?」
    「トランプですか……二人でやって楽しい遊びってあります?」
    「神経衰弱とかは人数関係なく遊べるし、スピードみたいなそもそも一対一で遊ぶものもあるよ。あと多人数でやるゲームだと相手の手持ちのカードが全部わかるから違った味わいになる……と思う」
    「なるほど、七並べとかだと相手がどれを止めてるかがわかるからそれゆえの戦略がってわけですね。ちょっと面白そうですしやってみましょう!」

    「スカイ……これダメだわ。カードの回り次第で速攻で詰む」
    「ある程度戦略を考えて出す二人だとあんまり面白くないですね……スペちゃんみたいな子がいれば変わるんでしょうけど」
    「その文脈で名前を出すのはどうなんだろう」
    「スペちゃんと書いてルビはしょうじきもの、でお願いします」
    「うーん、それじゃ二人でやるルールのスピードとかやってみようか」

    「……これもダメだな」
    「ですね……ここまで身体能力の差が出てしまうとは」
    「その言い方に嫌味がないのがますます敗北感を煽るんだよ……いや70キロの早さで走ってるんだからそりゃ動体視力も判断力もすごいわな。手も早いしそれを利用して手品とかできそうだじゃないか?」
    「どうですかね……フジ先輩はウマ娘じゃなくても普通にできそうな人ですし参考にはならないね。手品は早さより器用さが求められそうですし。」
    「それじゃあ神経衰弱にするか。これは身体能力関係ないし一番楽しめるだろう」

  • 131さくら◆QadlXyrFEc22/04/29(金) 02:33:18

    「………………」
    「………………」
    「まさか一番グダグダになるとは……」
    「これは私たちが悪いですね。相手の足を引っ張ることを重視しすぎて途中から自分が勝とうとしてなかったですし」
    「僕がカードを見るたびに違う数字を口にして覚えづらくしてきたのはたちが悪いよ」
    「トレーナーさんだって数字が揃ってるのに取らなかったのはあれなんなんですか。ゲームの妨害以外の意味が読み取れないんですけどあれ」
    「あれはボーッとしてて気づいたときには数ターン経過してたんだよ」
    「……まあそれはいいとして、開き直ってからはちょっと面白かったですよね。お互い相手に気づかれないようにカードの位置を変え始めてからは全然揃わなくなって逆に笑っちゃいましたし」
    「バレないようにカードを重ねて取るイカサマのせいで最後に残ったツーペアが四枚とも違うカードだったのはもう笑うしかなかったな」
    「今度は素直に誰か呼んでやりましょう。トレーナーさんが私たちのトレーナーさんの中で一番仲いいのは誰です?」
    「それなら一流バカかな……というか、素直に君たちでやればいいんじゃないのか?」
    「わかってないですねぇトレーナーさん。私はトレーナーさんと楽しいことがしたいから言ってるんですよ」
    「……光栄だけどくれぐれも外でそれ言わないでね」
    「……そうだ、指相撲と腕相撲と手押し相撲だとどれがいいですか?」
    「どれも勝ち目がなさそうだから却下で……」
    あるいは付き合いたての手を繋ぐことにドキドキしてた頃の私なら意外といい勝負だったかもしれない。
    勝負が楽しんだもん勝ちなら、今日は私もトレーナーさんも勝ちでいいだろう。
    逃げてばかりと言われるけど、このルールなら私でも常勝無敗だよ、多分。

  • 132二次元好きの匿名さん22/04/29(金) 07:32:57

    良い…

  • 133二次元好きの匿名さん22/04/29(金) 13:37:13

    ちょこちょこ甘さがあって良き…

  • 134二次元好きの匿名さん22/04/29(金) 23:52:35

    保守!

  • 135二次元好きの匿名さん22/04/30(土) 02:21:41

    保守

  • 136さくら◆QadlXyrFEc22/04/30(土) 03:15:20

    「トレーナーさん、10回クイズです。好きって10回言ってください」
    「……いきなりどうしたんだ?まあいいけど。好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き」
    「………………」
    「10回クイズなら照れてないで続きを言ってくれよ」
    「……はっ!失礼しました!……今度はクイズとか関係なくスカイ、好きだって10回言ってもらえます?」
    「……いいけど逃げないでくれよ。スカイ、好きだ。スカイ、愛してる。スカイ……まだ二回だ、逃げるには早いぞ」
    「首もとつかむのやめてくださいよぉ!制服が伸びるじゃないですか!」
    「こっちこそそういう自爆をトレーニング前にするのはやめてくれないか!?逃げられてもトレーニングできないし逃げなかっても目に見えてパフォーマンス落ちるしで仕掛けられた時点でこっちに損しかないんだよ!」
    「乙女の恋の駆け引きを損得で語るの禁止でーす!こっちだって必死なんですから!」
    「トレーニングにもそのぐらい必死に取り組んでもらいたいんだけどな……ちなみに、10回クイズはどんな問題の予定だったんだ?」

  • 137さくら◆QadlXyrFEc22/04/30(土) 03:16:41

    「……魚へんに喜ぶでなんて読むでしょうか?」
    「えっと……素でわからん」
    「正解はキス、ですよ。もしかして魚に関しての知識では私のほうが上だったりしますかね?」
    「……それはそうかもしれん。別に君に負けるのが悔しいとかではないんだけど、好きなものを共有できてないのは悔しいかな」
    「まあ釣りってハードル高く感じますよねぇ。いつもみたいに私がやってる横でトレーナーさんが座ってる時間も、私は嫌いじゃないですよ?」
    「僕も楽しそうに釣りをしてる君を見るのは好きだからあの時間は好きだな。その場で捌いてもらう刺身もおいしいし」
    「……私がトレーナーさんの趣味を楽しむ方向でもいいと思うんですけど……トレーナーさんの好きなことってなんですか?」
    「うーん……こう言っちゃあ怒られるかもしれないんだけど、やっぱりウマ娘のレースを見るのが好きだなぁ。……恥ずかしい話、僕は学生時代特にのめり込めるものもなくてさ。この瞬間を全力で走る姿にどうしても惹かれるものがあるんだよ」
    「なるほど、トレーナーさんがトレーナーになった理由はそのへんにあるんですかね。よく私に友達と過ごす時間を大事にしろとか若いんだからとか言うのはもしかして自分の後悔があったりとか?」
    「……否定は、できないかな。押し付けがましいだろうけど、君には君の好きなことをしてほしいと思ってるし、振り返って後悔がないと言える青春を過ごしてもらいたいんだ。だからこそデートは君のしたいことをしてほしいし僕の時間のほうに君が合わせることに……これでいいのかって迷いもあったりする」
    「私が大人びたデートをしたいって言うたびに自分たちの歩幅でいいって言ってたのはそういうことですか。トレーナーさんの配慮はありがたいですけど、ちょっと的外れですよ。私は後悔なんてない今を過ごしてますから」
    「スカイ……?」
    「クラスのみんなと遊ぶのも、競い合うのも、ときどき喧嘩するのも、他のみんなが協力してくれて仲直りするのも、全部楽しいです。恋バナなんかもしますしね」
    「その恋バナについてはちょっと聞き逃せないかな」
    「トレーナーさんたちだってやってるからその苦情は受け付けませんよ。……それと優劣をつけることはできませんが、トレーナーさんと過ごす時間も楽しいんです。あなたは私の大好きな今の……青春の一部なんです。」
    「……スカイ」

  • 138さくら◆QadlXyrFEc22/04/30(土) 03:17:21

    「季節は巡るものですよ。青い春がまた巡り来てもいいじゃないですか。トレーナーさんの一回目の青春は、二回目の青春を全力で楽しむためにエネルギーを蓄えてたんですよ、きっと」
    「……ずいぶん遠回りな励ましだな。君らしくて好きだな」
    青春が人生を四分割したうちの最初の一つってことは知ってるけど、それこそ野暮だよね。
    終わってなかったとか、朱い夏にも楽しいことがあるとかより、二回目が巡ってくるって考えるほうがロマンチックだ。
    そして、日常から逃げずに一歩進む瞬間もまた、ロマンチックであってほしいと私は思うわけで。
    「お褒めにあずかり光栄でございます……それじゃあ、10回クイズもう一回やってみてくださいよ。今度は逃げないからさ」
    「……信じるよ。好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き」
    「……魚へんに喜ぶって書く魚はなーんだ?」
    「えっと……あれ?なんだっけ!さっき聞いたのに!」
    「しまらないなぁ……」
    私は苦笑する。
    「彼女の言葉はちゃんと聞いててくださいね」
    トレーナーさんの顔を近づけ、唇と唇……は恥ずかしいのでほっぺたに……いや!
    勇気を出せ!私!
    トレーナーさんと私。唇と唇が触れる。
    やわらかい感触が伝わり、おそらく私の唇もやわらかい感触を伝えている。
    多分3秒ぐらいが3時間ぐらいに感じた。幸福感と達成感、脳の残りのスペースを埋め尽くすエマージェンシーアラート。
    「……はぁ、はぁ……わ、私の初めて、なんですからねぇ!」
    トレーナーさんはあっけにとられた顔で私を見ている。
    「スカイ、君……」
    「これで魚へんに喜ぶ、鱚を読み間違えることはないでしょう!セイちゃんの体を張った授業を無駄にしないでくださいね!」
    「スカイ……ああ、君のそういう、好意を伝えたいけど素直になりきれないところ、好きだよ」
    「……私も、トレーナーさんの素直に好きって言ってくれるところ、好きです」
    「僕だってスカイのーー」
    「私だってトレーナーさんのーー」
    10回クイズは変な方向に進みつつも、お互いの好きなところを10個ずつ挙げたところで終わった。
    「……それでスカイ、今回の10回クイズの問題はなんだ?」
    「そうですねぇ、おほん!……次は、トレーナーさんからしてくれますか?」
    唇を指しながら聞く。答えはきっと……
    「任せてくれ。彼氏として、勇気を出してくれた君に恥じないよう頑張るよ」

  • 139さくら◆QadlXyrFEc22/04/30(土) 03:17:34

    その後、トレーニングが始まるまでの間という約束でトレーナーさんの膝枕でまどろむことを許可してもらった。
    「前にも言ったかもしれないけど、僕は君に甘えられるのは好きだからな。こんな膝枕でよければいつでも貸すからな」
    「にゃはは、それは嬉しい……ですねぇ……」
    多幸感と眠気に包まれながら、私は今を楽しむ。
    青い春の空に浮かぶ雲のように、ふわふわとした気分で、頭を撫でてくれる手を取り頬擦りする。
    いつまでも続かないことはわかってる時間を、それでも少しでも長くようにと願いながら。

  • 140さくら◆QadlXyrFEc22/04/30(土) 03:25:50

    久しぶりの長尺で投稿に苦労しました。ゴールデンウィークで実家に帰るので一週間ぐらいはまず投稿できないかと思います、申し訳ありません……
    残ってたら戻ってきてから書きますが、落ちて実家の回線でスレ立てするのは面倒が多いですし潔く落として建て直しでもいいかとも思いますので保守もどっちでもいいです。次スレ立てるときは目次作るとかもうちょい見やすいように気をつけます。
    長文失礼しました。皆さんもよいゴールデンウィークをお過ごしください!

  • 141二次元好きの匿名さん22/04/30(土) 10:23:57

    青春、朱夏、白秋、玄冬か

  • 142二次元好きの匿名さん22/04/30(土) 14:10:02

    ファーストキスっていいですよね…。
    スレの件了解です!
    一応保守はしときますね

  • 143二次元好きの匿名さん22/04/30(土) 23:53:13

    保守

  • 144さくら◆QadlXyrFEc22/05/01(日) 00:51:26

    朝の五時、目覚ましの音が鳴り始める前に目を覚ます。
    他の二人を起こしたくない一心か、現役のときは微塵もなかった早起きの才覚に目覚めたのか。
    そろりと布団の間を抜け、キッチンに向かう。
    三人で川の字になって寝たいという提案はどちらともなく出てきた。ベッドを買うお金がなかったわけではない(なんなら睡眠に一家言ある私がこだわり抜いた二人用ベッドがある)のだが、家族を味わいたいという理由のもと娘が生まれてからは川の字だ。
    生活費は主にお父さんのトレーナー業から賄われているため、私の現役時代の賞金にはほとんど手がつけられていないので、正直暮らしに不便を感じることもない。
    「まさか私が普通に主婦やれてるとはねぇ。昔の私に言っても信じないだろうなぁ」
    二人のお弁当と朝食のお味噌汁を平行して作っていく。卵焼きは二人が好きな甘めの味付け、ウインナーはタコさんにすると喜んで食べてくれる……
    「……おはよう。いつもありがとな」
    「ありゃ、起こしちゃった?まだ朝ごはんかかりそうだし、寝てていいよ」
    「君にばかり負担をかけるのは心苦しいしな。せっかくだし手伝うよ」
    「ふふっ、それじゃあお味噌汁お願いしようかな。目玉焼きは二つでいい?」
    「うん、よろしく」
    さすがに台所に大人二人、それもコンロに用があるというのは少し狭い。けど。
    狭いところが苦手な私だけど、この狭さは例外かな。

  • 145さくら◆QadlXyrFEc22/05/01(日) 00:51:51

    「いやはや、別の女に会いに行く旦那にせっせとお弁当を作る私、とってもいい女じゃない?」
    「人聞きの悪いことを言うなよ。全国の妻帯教師が全員悪者になるだろ」
    「今日は無理だけどそのうち監視がてらコーチに行きますからね、トレーナーさん」
    「今日は確かスペシャルウィークが北海道から遊びにくるんだっけか。君のコーチは好評だし助かるから是非来てほしい、んだけど……サボりかたとか余計なことも教えるのはやめてもらえないかな?」
    「だって私の発見したサボりスポットが誰にも受け継がれず廃れてくのは寂しいじゃん。まあ旦那を取られたくない妻のいじらしさだと思って笑って受け止めてよ」
    「何度も言ってるけど僕は君一筋だから。他のウマ娘は眼中にないよ」
    「その言い方もどうかと思うけど……おやおや、パパが大声出すからチビちゃんが起きちゃいましたよ?」
    「そんな大声出してないよ……弁当も朝ごはんもほぼ完成してるし面倒見てきてくれるか?」
    「はいはーい、配膳はよろしく!」
    目を覚ましたまだ小さい我が子を抱きしめる。
    私に似ず、素直な子に育ってほしいな。

  • 146さくら◆QadlXyrFEc22/05/01(日) 00:54:26

    102さんがリクエストくださってて書きかけてたセイちゃん一家になります。書きかけだったのでなんとか出せました。
    書けないとか言っといて初日になんだこいつって感じではありますがよろしくお願いします。
    あと明日の春天タイトルホルダー君に勝ってもらいたいです。

  • 147二次元好きの匿名さん22/05/01(日) 09:09:01

    >>146

    リクエストした者です…。

    セイちゃん家族また見れて嬉しいです、健康になりました。

    お母さん奥さんしてるセイちゃんはなんぼあってもいいですからね。


    春天はホルダー君頑張れー!

  • 148二次元好きの匿名さん22/05/01(日) 13:59:37

    しゅごい…

  • 149二次元好きの匿名さん22/05/01(日) 19:23:05

    いいね...スレ主の好きなセイちゃんのイベントとかあります?

  • 150二次元好きの匿名さん22/05/01(日) 23:42:59

    保守

  • 151さくら◆QadlXyrFEc22/05/02(月) 02:19:46

    「ねぇねぇトレーナーさん、これ見てくださいよ」
    「えっと……コインか?それがどうかしたのか?」
    「これをですね……よっと!」
    私はコインをトスし、右手の甲で受けて見られないように左手で蓋をする。
    「さて、表か裏か、どっちでしょう?」
    「数字が書かれてるほうが表でいいんだよな?少なくとも受けた瞬間は見えなかったし……表に賭けるよ」
    「正解は……ほい!」
    私が左手を開く、そこにはコインがなかった。
    「あれあれ~?消えちゃいましたねぇ。それじゃあ、トレーナーさんの左ポケットを確認してもらっていいですか?」
    「え、まさか……おいスカイ、何も入ってないんだけど」
    「にゃはは~、冗談ですよ。正解はこの本に挟まってますよ」
    机に置いてあるトレーニング教本を手に取り、渡す。
    「えっと……本当だ!しかも裏だ!」
    「ふっふっふー、ドロワのときにフジさんに習ったんですよ。驚きました?」
    「確かに驚いた……けど、フジキセキがやるにしては普通のマジックだな。彼女のマジックって、もっと質量保存の法則を無視してる印象だったけど」
    「あはは、手厳しいですねぇ。まあフジさんから聞いたマジックはもうちょっと派手だったんですけど、相応に技術が必要でして。これは私が適当にアレンジしたマジックなんですよ」
    「ってことはヒントはあれど君が考えたのか!?すごくないかそれ?」
    「いえいえ、タネがわかればトレーナーさんにもできるようなシンプルなものですよ。……もう一回挑戦します?」
    「ああ、是非見破りたいな」
    同じようにマジックをして、幸いにもトレーナーさんはトリックを見破れなかった。

  • 152さくら◆QadlXyrFEc22/05/02(月) 02:20:05

    「見事だな……やっぱり練習したのか?」
    「白鳥は水面下のばた足を自慢しないものですよ」
    「そういうわりにはビート板使ってるよな、スカイ」
    「それは今関係ないでしょう!比喩ですよ比喩!そういうトレーナーさんは泳げるんですか!?」
    「……指導者が優秀な競技者であるとは限らないし、逆もしかりだ。人には向き不向きがあるんだよ」
    「誤魔化したー!トレーナーさんだってカナヅチのくせに!」
    「……そんなに言うなら今日はプールトレーニングだ。トレセン学園のプールだと僕が入れないから市民プールで泳ぎを練習しようか」
    「わーい!プールデートだー!」
    「はしゃいでるけど水着が恥ずかしいからとか言って逃げないでくれよ?」
    「そんなのいつもトレーニングで見てるでしょ?今さらなんとも思いませんって。それとも、いやらしい目で見てるからそう思うんですか?」
    「……どうとられても構わないけど、君の体は素晴らしいと思うよ」
    「カウンターパンチにいつものキレがないですよー?」
    「……移動時間もあるし行くよ」
    「今日はトレーナーさんが逃げてますねぇ。逃がしませんよっと!」
    私はトレーナーさんの左ポケットに手を滑り込ませる。
    本来マジックに必要のない手順を挟んでまで確認した空き家に忍び込み、家主が戻ってくるのを待ち構える。
    「……今日は君が一枚上手だな」
    トレーナーさんが諦めたような顔で左手をポケットに入れる。もちろん逃がさないようにしっかりと掴まえる。
    「なんのことだか。私はマジックを披露しただけなのにトレーナーさんの口車に乗せられてあわれプールトレーニングをさせられるんですよ?冷えないように右手を暖めるぐらいしてもいいでしょう?」
    「……照れて逃げられるよりはよっぽどいいか」
    人間万事塞翁がウマ娘、常に好調でいられるわけもないわけで。
    いや、違いますよ。トレーナーさんの肉体にドキッとさせられたとか、細身だと思ってたトレーナーさんが意外と筋肉がついててギャップにやられたとかそんなんじゃないから。
    違いますから!

  • 153さくら◆QadlXyrFEc22/05/02(月) 02:27:37

    逆に体調不良でスマホいじるしかできないからこそ書けたみたいな……とはいえノリだけですし家のWi-Fi以外でスレ立てしたくないしよっぽど自信作ができない限りは上げないほうがいいのかもしれないですね。

    ちなみにセイちゃんのマジックは左手のひらでコインを掴んで右手に注目されているうちに相手の指定してない面を上にして本に忍び込ませるってイメージです。試してないのでできるかはわからないです。


    >>149さんのご質問ですが誰がために君は走る(先輩トレーナーに自分のトレーナーがバカにされてムキになるイベント)とか秋天終了後の怪我を伝えられてそれでも有馬記念を走りたいって言うあたりですかね。いろんな魅力的な面のあるセイウンスカイですが、個人的には負けず嫌いだったり人のためにしれっと力を発揮するところが特に好きです。引けてないですが(血涙)フラワーのイベントの泥まみれで花壇にカバーかけるところとかお前ほんま……って感じですね。

    以上夜中に長文失礼しました。

  • 154さくら◆QadlXyrFEc22/05/02(月) 02:33:58

    あとマジでどうでもいいと思われそうな追記ですが、春天、タイトルホルダー君が勝ってくれてマジで嬉しかったです。
    ノリさん経由で鞍上に継承されてるアンスキがまたいい仕事しててセイちゃん大好きな身としては感涙でした。
    騎手親子三代制覇だのセイウンスカイ以来の菊花賞逃げ勝ちだのその菊花賞はドゥラ君の忘れものだの本当にドラマメイカーなので現役馬で一番好きです。皆さんもよかったら調べてみて同じ沼にハマってもらえると嬉しいです。

  • 155二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 02:50:03

    >>154

    お洒落な水着着るのかなセイちゃん

    21世代組が好きなのでタイホ追いかけてましたし、もちろん応援してましたよー


    横山家の体内時計(アンスキ)遺伝はガチだなと

    今回はイングランディーレ完全再現でしたね


    セイちゃんに息子が生まれたら名トレーナーになるかもしれない

  • 156二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 12:05:57

    保守

  • 157二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 20:39:30

    保守

  • 158二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 00:14:04

    保守

  • 159二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 08:37:11

    保守

  • 160二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 13:12:36

    保守

  • 161二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 23:52:30

    ほしゅ

  • 162二次元好きの匿名さん22/05/04(水) 09:38:52

    保守

  • 163二次元好きの匿名さん22/05/04(水) 20:37:15

    保守

  • 164二次元好きの匿名さん22/05/04(水) 23:29:42

    保守

  • 165二次元好きの匿名さん22/05/05(木) 01:49:11

    保守

  • 166二次元好きの匿名さん22/05/05(木) 12:44:08

    待機

  • 167二次元好きの匿名さん22/05/05(木) 20:45:37

    待機

  • 168二次元好きの匿名さん22/05/06(金) 00:21:00

    待機

  • 169二次元好きの匿名さん22/05/06(金) 00:21:33

    セイちゃん可愛いよね...特に猫みたいなところ好き

  • 170さくら◆QadlXyrFEc22/05/06(金) 00:56:59

    「……あれ、寝てたのか、僕……」
    「おはようございます、トレーナーさん。仕事中毒も大概にしてくださいよー?授業終わって来てみたらトレーナーさん机に突っ伏して寝てるからビックリしましたよ」
    「面目ない……ってことは、スカイがソファーに運んでくれたのか、ありがとう」
    「いえいえ、私たちからしたら大人一人ぐらい軽いもんですし。気にしなくていいですよ」
    「頼もしいな。僕も男だし君をお姫様抱っこできるぐらいの甲斐性は欲しいんだけどな……」
    「トレーナーさん見るからに細いですしね。それじゃあ私はこれで」
    「ああ、お疲れ……なんて言うわけないだろ!何しに来たんだよ君は!」
    「何って……だらしない彼氏への生活指導ですよ。仕事中に寝落ちしちゃうほど疲れてるトレーナーさんの手を煩わせるのも申し訳ないですし」
    「……それは確かに弱みではあるけどなんでも通せるワイルドカードではないからな?」
    「このまま続けても分が悪いか……まあ今日は私の負けでいいですよ。ちゃちゃっとトレーニング済ませちゃいますか」
    「それは負けというかようやくゲートインしてくれたというか……まあいいや。今日のメニューはーー」
    まあ今日は真面目にやることにしますよ。
    だって……

  • 171さくら◆QadlXyrFEc22/05/06(金) 00:57:18

    さかのぼること十数分前。
    さっき話したとおり私がトレーニング室に来たとき、トレーナーさんは机で寝ていた。
    「やや、これは珍しいな」
    近づいて見ると、机に置かれたスマホの画面には今から半時間くらい前の時刻が書かれたアラームが表示されていた。
    「なるほど、名探偵セイちゃんの推理によれば、トレーナーさんは私が来るまでちょっと休憩のつもりがアラームでは起きられずそのまま寝てしまっていると……まったく、半時間も準備に費やすなんてトレーナーさんも格好つけなんですから」
    体を起こして椅子を引き、慎重に担ぎ上げてソファーに運ぶ。
    可哀想だし起こさないようにしないと。
    まだ寝ているトレーナーさんをソファーに横たえて、いつぞやの毛布をかけてあげる。
    「頑張りすぎはよくないっていつも言ってるのになぁ。私の態度を見習ってほしいものですよ」
    なんとなく寝顔を見つめる。かなりレアだから見つめてるのであって他意はない、です。
    「……写真撮ったら起きるかな……」
    スマホで寝顔を撮影する。
    ……よし、思わぬ収穫だ。
    「……ぅん……」
    トレーナーさんが声をあげたので私はビックリしてスマホを取り落としそうになった。
    「……スカイ……」
    起きてはないようでひと安心。それにしても寝言でまで私の名前を呼ぶなんて、この人は。
    「……今日はトレーニング、まともに受けてあげましょうか」
    決して寝言にほだされたわけじゃないからね。
    寝顔を見せてもらった対価……ってこれじゃ寝顔を見たかったみたいだし……うーん……
    必死に私のために仕事をしてくれてることと、寝言で名前を呼ぶほどの思いへのお礼、ってことでどうでしょう?

  • 172二次元好きの匿名さん22/05/06(金) 01:35:02

    久しぶりの新作!
    お待ちしておりました…。 

    寝顔隠し撮りは正義

  • 173二次元好きの匿名さん22/05/06(金) 12:07:49

    保守

  • 174二次元好きの匿名さん22/05/06(金) 21:32:30

    保守

  • 175さくら◆QadlXyrFEc22/05/07(土) 02:32:02

    「……スカイ、そろそろトレーニングだから起きてくれ」
    「すやすや……」
    「訂正する。その寝てるふりをやめてくれ」
    「むにゃむにゃ……もう食べられないよ……」
    「本当に寝てる人はそんなベタなこと言わないんだよ、スカイ。頼むからトレーニングをだな……」
    「うーん……トレーニングしてほしくばハグを要求します……むにゃむにゃ」
    「わかった」
    トレーナーさんは間髪入れず私の体を抱き起こした。
    「ひゃうゎ!?と、トレーナーさん!?躊躇とかないんですか!?」
    「やっぱり起きてたな。君へのハグを躊躇う理由なんてないよ」
    「むむむ……」
    「約束だしトレーニングといこうか。おかわりが欲しいならその後でいくらでもするからさ」
    「汗かいた後のハグなんて嫌ですよ!トレーナーさんだって他人の汗でスーツが湿るのなんて嫌でしょう!?」
    「君の汗なら、っていうのはさすがに気持ち悪いとしても、少なくとも芝生に寝かされるよりはマシかな」
    「今度は敷物とか用意しましょうかねぇ。毎度スーツが汚れるのは申し訳ないですし」
    「なるほどな。それは名案だな」

  • 176さくら◆QadlXyrFEc22/05/07(土) 02:32:22

    「でしょうでしょう?さっそく買いに行きません?」
    「ストップ、残念だけどそっちに流されはしないよ。買いに行くのはトレーニングの後だ」
    「ちぇっ、駄目か……ひとつ貸しですからねー?」
    「担当ウマ娘がトレーニングに参加するたび貸しカウントだとトレーナーが奴隷になるんだよ、普通のウマ娘のとこは」
    「まるで私が普通のウマ娘じゃないみたいな口振りじゃないですか!」
    「普通のウマ娘はここまでサボろうとはしないんだよ!」
    「普通普通と……トレーナーさん、普通ってなんでしょうねぇ」
    「今度はどういう手だ?」
    「私たちは相手の裏をかく作戦を立てて戦うスタイルですよね?そんな私たちが、普通なんて狭い檻に囚われちゃうのは自分の強みを捨てることに繋がりません?」
    「君にしてはわかりやすい詭弁だな。普通を裏切るなら普通をよく知るべきだろう」
    「だからって私たちまで普通になる必要はないです……ダメだ。正論を屁理屈で誤魔化すのはここらが限界だよ」
    「わかっててやってたのか……まあトレーニングやってくれるならいいよ」
    「それじゃ、足どりは重いですが行きましょうか……の前に!」
    私はトレーナーさんにハグをした。体と体がトレーナーさんと私、どちらも平常時より明らかに早い鼓動を伝えあう。
    多幸感と臆病虫のせいであてにならない体内時計で10を数え、体を離す。
    「……はい、トレーナーさん分補充しましたし今度こそ行きましょうか!……おやおや、トレーナーさん?顔が赤いですよー?」
    「……それは君もだろう」
    「……自分の顔なんてわかんないですよーだ。ここ鏡ないですし」
    トレーナーさんに背を向け、ドアに向かう。
    「……終わったら、敷物とか一緒に見に行きましょうよ」
    「ああ、もちろん構わないよ」
    屁理屈のゴールがどこかなんて私にはどうでもいい話なんだけど、それでも今日はいい着地点にたどり着いたものだ。
    放課後のショッピングデートを楽しみにしつつ、実はそこまで嫌じゃないトレーニングに向かうことにした。

  • 177二次元好きの匿名さん22/05/07(土) 10:13:40

    あらぁ

  • 178二次元好きの匿名さん22/05/07(土) 17:39:32

    あらあらあらぁ

  • 179二次元好きの匿名さん22/05/07(土) 23:36:25

    ほしゅ

  • 180さくら◆QadlXyrFEc22/05/08(日) 01:53:51

    「……うああ、疲れたよトレーナーさぁん。足が重いよぉ」
    「練習前ならともかく練習後にそういうことを言うってことはちょっとメニューが重かったのかな。申し訳ない」
    「練習前はってなんですか練習前はって。まるで私がサボりのために疲れてる振りをしてるような言い方じゃないですか」
    「君のことは好きだけどそれはそうとして君はサボりのために疲れてる振りぐらいならすると思ってるよ」
    「最近トレーナーさんは注意に好意を混ぜて私からの反論を封じるテクニックを駆使してますよね!もう騙されないですよ!」
    「嘘はついてないんだから大目に見てほしいんだけどな……それより、疲労具合が心配だな。病院に行く必要があるかまではまだわからないけど、現時点での症状を言ってくれるか?」
    「そうですね……最近休んでも足の疲れが抜けにくいと言いますか、だからなのか走りの伸びが悪いのを感じますねぇ」
    「ふむ、指摘すべきか迷ってたんだけど、ここのところキレが悪いなと思ってたんだが……その疲れが原因だったのか」
    「トレーナーさんから見てもそうでしたか。それはなんともですね……あ、痛みとか熱を持ってる部位があるとかはないので安心してくださいね」
    「そういうタイプの故障じゃなさそうなのはよかったけど……だとしたらその疲れの原因はなんだって話になるよな。故障してても痛みがない場合も考えられるか……」

  • 181さくら◆QadlXyrFEc22/05/08(日) 01:54:33

    トレーナーさんは医学書みたいなよくわからない分厚い本をペラペラとめくり始めた。
    「家電とかでも原因不明のエラーメッセージとかありますしね。原因がわかってるほうがマシと考えるべきなのか重度の故障でないことを喜ぶべきなのか……難しいですね」
    「君は家電じゃないだろう。……簡易的だけどいくつか症状の確認をするから今からする質問に答えてくれ。まず爪先を反らしたときに痛みはあるか?」
    トレーナーさんの質問は7つぐらいあり、そのどれもが私に明確な故障症状がないことを示していた。
    「……となると僕のスケジュールミスか休息の質が悪くなってるか……最近生活習慣レベルで変わったこととかないか?例えば寝る前にコーヒーを飲むようになったとか」
    「そういうのはないですねぇ、変わらないと思いますよ。……ところで、コーヒー飲むと寝つきが悪くなるって本当なんですか?」
    「いろんな説があるけど……結局は個人差ってところに帰結するみたいだな。確かにコーヒーに覚醒作用はあると言われてるけどコーヒーが癒しになってよりリラックスできるって人もいるし……みたいな話だ。そもそも覚醒作用にも個人差があるわけだし」
    「なるほど、それで可能性のひとつとして挙げたわけですか 」
    「そういうことだ。何が原因かわからないならこれまでとの違いを挙げていくのが正攻法だからな」
    「ふむふむ……考えたくない話ではありますが、ウマ娘特有の原因も考えられますよね。時期としてもそこまでおかしくないですし……」
    「それは考えるだけにしておいてくれ。本当にそのときが来たなら認めて対策を考えないといけないけど、その検証をするのは最後の最後にしたい。……現実逃避と笑ってくれ。弱いトレーナーでごめんな」
    トレーナーさんのあまりに真面目な顔に私は黙るしかなかった。
    私だって認めたくない。まだやれるって信じたい。

  • 182さくら◆QadlXyrFEc22/05/08(日) 01:55:14

    「にゃ、にゃはは~、空気が悪いですよトレーナーさん?その医学書、ですか?そんだけ分厚いんですから、押したら疲れがポンと取れる秘密のツボみたいなの書いてないんですか?」
    「仮にあったとしてもそのキャッチフレーズはマズいな。えーと……気休めにしかならないかもしれないけど、疲労回復に効果のあるマッサージならあるぞ」
    「いいじゃないですかマッサージ!是非やってくださいよ是非!さっと足洗ってきますんでお願いします!」
    「あ、ああ……やけに乗り気なのが気になるが、わかった。手順の確認してるから君も準備してきてくれ」
    「はーい!」
    このとき、私の中に不純な気持ちがなかったと言えば嘘になる。
    純粋に疲れが取れるならいいかなという思い四割、単純に気持ち良さそうだしいいなという思いが三割、残りがトレーナーさんも男だし……という思い。
    ……いやまあ、担当ウマ娘の足を触って興奮するトレーナーさんは嫌だけど、一切関心を持たれないとそれはそれで落ち込む。

  • 183さくら◆QadlXyrFEc22/05/08(日) 01:55:28

    複雑な乙女心を抱えて、私はトレーナー室へと戻ってきた。
    「それじゃあお願いしま~す。そこのソファーに座ればいいですかね?」
    「ああ。……それより、なんで制服になってるんだ?スカートだと、その……」
    「え?ジャージだとめくるの手間じゃないですか。それに汗かいてるジャージをまた着るのも嫌ですし新しいのをおろすのも気が引けましたし……ああ、もしかして中身にご執心だったりします?残念ですが短パンはいてるので大丈夫ですよ。ほらほらー」
    「女の子がスカートをピラピラめくるんじゃありません!」
    「トレーナーさんやらしいんだー、先生に言っちゃおー」
    「それしたらマジで僕終わるから!いいからマッサージするよ!」
    前半戦は私リードと言っていいだろう。とはいえこんな小競り合いのちょいドキドキで満足はしていない。
    さあトレーナーさん、お覚悟!
    「いつでも大丈夫ですよ~。いやぁ、楽しみです……ひゃん!」
    「……変な声出さないでくれよ。僕は真剣にやってるんだから」
    「わ、わかってますよ。今のは急に来たから……んっ!……ぜ、全然大丈夫ですからぁ!?」
    痛いやら気持ちいいやら、変な感覚で頭が真っ白になって変な声が出る。
    マズい。トレーナーさんは真剣そのもので私のこと全然意識してくれてないし!
    「そ、そうだ。セイちゃん用事あるの思い出しちゃいました!トレーナーさん!ありがとうございました!ありがとうございました!」
    「え、どうしたの急に?」
    「マッサージは以上!あー元気出てきたなー!ありがとうございました!それでは!」
    「ちょっと待っ……行っちゃったよ……」
    不本意ながら逃げるときの足はちょっとだけ軽くなっていた。
    かといって本当に疲れが抜けるまであのマッサージをされたら今度は別の意味で動けなくなりそうだし。多分今日はちゃんと眠れないだろうし。
    トレーナーさん、本当に面倒なウマ娘の世話をしてくれるなぁ、と他人事のように思った。

  • 184二次元好きの匿名さん22/05/08(日) 01:58:34

    あーいいですねぇ…。

  • 185さくら◆QadlXyrFEc22/05/08(日) 02:01:31

    今さらですがゴールデンウィークの間の保守ありがとうございました!多分明日か明後日ぐらいにこのスレ終わりそうですし新スレに移っても読んでいただければ幸いです。
    休んでる間は本当に離れていてネタのストックができてるわけでもないので相変わらず不定期な投稿時間になりますが、よろしくお願いします。

  • 186二次元好きの匿名さん22/05/08(日) 09:37:47

    了解です
    待ってますね

  • 187二次元好きの匿名さん22/05/08(日) 14:17:11

    了解しました!

  • 188さくら◆QadlXyrFEc22/05/08(日) 20:47:26

    「坂路トレーニング終わりましたよ~、もうクタクタです……」
    「お疲れ様。今日はこれで終わりだし上がっていいよ」
    「どうもです……ねえトレーナーさん、疲れたので私をトレーナー室まで運んでもらえません?」
    「構わないよ……って言いたいところではあるんだけど、僕の筋力面に若干の不安がね」
    「別にお姫様抱っこしろなんて言ってませんし、おんぶとかでいいからお願いしますよ~」
    「……仕方ないな。僕の体力が続くまででいいならお運びしましょう、お嬢様」
    「ふふふ、苦しゅうないぞトレーナーさんよ。では失礼して……」
    私はトレーナーさんに後ろから抱きつくみたいに手を回す。
    ……お姫様抱っこよりも恥ずかしいかも。
    いやいや、怪我した子がトレーナーさんに運ばれてるところとかよく見るし。全然普通のことだし!
    「よっ……と。じゃあ行くぞ」
    「お願いしま~す」
    「……なあ、スカイ」
    「なんでしょう。重いとか言ったら首絞めますよ」
    「いや、むしろ君が軽すぎて不安になるぐらいだって話なんだけど……ちゃんと食べてるか?」
    「トレーナーさん、よく私にもっと食べろ食べろと言いますけど、周りからは減量が大変だとか食事制限がどうとかよく聞くのでどうなのかなとも思うんですが」
    「もちろん度が過ぎれば問題だけど、アスリートとしては食べることも体作りに大切な要素のひとつだからな。もちろんステイヤーとしては身軽なほうが有利に働くこともあるけど、スタミナを維持できる体作りにはよく食べる必要があるという面もある。君の場合もう少し肉付きがよくても問題なさそうに見えるからそういうアドバイスが多くなるんだろう」

  • 189さくら◆QadlXyrFEc22/05/08(日) 20:49:02

    「ふーん、トレーナーさんが太りぎみフェチとかじゃなくてよかったです」
    「とんでもない疑惑をかけられてたんだな……いや、仮にそうだとしても公私混同はしないからな!」
    「てっきりトレーナーさんは私をまるまる太らせておいしく頂くつもりなのかと思ってましたよ。いやー、期待に添えずすみませんねぇ」
    「さっきから滅多なことを外で言わないでくれないか!?聞く人が聞いて勘違いされたら僕は無職のおじさんに早変わりするんだよそれ!」
    「それは困ります。私みたいなウマ娘に付き合ってくれるトレーナーさんなんてそうそういないでしょうし。他の人の元で走るなんて……」
    言いかけてはたと気づく。
    「走るなんて……」
    私はもともとじいちゃんにいいところを見せたくて……ダービーはスペちゃんに取られちゃったけど、去年はわりといい結果を見せてあげられたと自負してる。
    「………………」
    いつからだろう?トレーナーさんの存在がこんなに大きくなってたのは。
    トレーナーさんが私の走る理由をこんなにも占めるようになってたのは。
    「……スカイ?大丈夫か?」
    「……にゃはは~、ちょっと疲れすぎですかね、ボーッとしちゃいまして。やる気が下がっちゃいそうだな~……なんて」
    「この前から続いてるな。トレーニングのスケジュールを考え直す必要があるな……」
    「そこで耳よりな話がありまして。なんと今ならこの後一緒にスイーツを食べに行くことであなたの愛バのやる気を上げることができますよ!愛バの笑顔とやる気を得られるなら安い買い物だと思いません?」
    「……君の言うとおりだな、スカイ。お買い得だ」
    「限定セールですよ、今から10分限定!さあ急いで!」
    「無茶言うなぁ君も!」
    必死で走るトレーナーさんの背中で揺られながら、さっきまで考えていたことを反芻する。
    大事なものであればあるほどなくしたときに悲しくなる。
    トレーナーさんはまだ若いし一生私しか担当しないなんてことはないだろう。
    疲れが取れず思うように走れない私とまだ見ぬ可能性を秘めた新しいウマ娘。
    トレーナーさんが他の子を担当することになったら?そのとき私は?
    トレーナーさんの邪魔はしたくない。けど。
    私のスタイルには合わない独占欲が影を落とし、この日のスイーツは味がしなかった。
    ……うまく笑って誤魔化せてたらいいんだけど、トレーナーさんにはきっとバレてるだろうな。

  • 190二次元好きの匿名さん22/05/08(日) 23:09:15

    独占欲いい…。
    そして脚が心配になって来る

  • 191さくら◆QadlXyrFEc22/05/09(月) 00:23:56

    「探したよ、スカイ」
    「……よくここがわかりましたね、トレーナーさん」
    トレーナーさんはスーツが汚れるのも気にせず私の隣の芝生に座る。
    「君とはもう長い付き合いだからな。この公園だって一緒に来たことがあっただろ?……それで、どういうつもりなんだ?昨日から様子がおかしいし、『探さないでください』なんて置き手紙、今日日なかなか見ないぞ」
    「あはは、トレーナーさん顔が怖いですよ?セイちゃんがサボろうとするなんていつものことでしょう?」
    「普段の君ならこんな一線を越えた手は使わないだろう。僕の知ってるセイウンスカイというウマ娘はそうだ。なのにそんなことをしたってことは、普段通りじゃいられないなにかがあったってことだ。違うか?」
    「……にゃはは~、そんな大層な話じゃないですよ。……ちょっとだけ、臆病風に吹かれちゃいましてねぇ」
    「……臆病風?」
    「ええ。今さら外面取り繕っても仕方ないですしぶっちゃけますと、もうレースで勝てる気がしないんですよ。私の限界はここなんです。疲れもとれないしタイムも伸びない。タネのバレてるマジックじゃ観客も自分も騙せない。潮時なのかなって思いますよ」
    そう。自分だけのものにできないのなら。
    他の人の手に渡りなくしてしまうぐらいなら。
    先に捨ててしまうほうが悲しみは少ない。
    「……スカイ」
    「トレーナーさんも若いんですしもう私なんて見切りをつけて次のウマ娘を探すべきです。二冠ウマ娘を育成した若手なんて引く手あまたでしょう」
    そして、捨てることができないなら相手から捨ててもらえばいい。

  • 192さくら◆QadlXyrFEc22/05/09(月) 00:24:35

    「……僕の担当ウマ娘は君だ。二冠で終わらせるつもりなんてないし次なんて考えてない」
    「そうは言っても霞を食って生きていけるわけじゃないんですよ。……本当は猫みたいに最後を見せずに去れたらよかったんですけど」
    「……本当にそう思ってるなら置き手紙なんてしなければよかっただろう。探さないでくださいなんて逆効果だってわかってるだろう?」
    そんなことわかってる。トレーナーさんがそう言われて黙って引き下がるわけないなんて、百も承知だ。
    それでも手紙を残したのは。
    「……認めます。トレーナーさんに探してほしい気持ちもありましたよそりゃあ。それでも、トレーナーさんには私を見捨ててほしいと思ってる。私は……あなたの足枷になんて、なりたくない」
    「……本気で言ってるのか」
    「本気……ですか。トレーナーさんに見つけてほしかったのも、トレーナーさんに見捨ててほしかったのも、同じぐらい強く思ってます。どっちが本音か自分でもわからないんです」
    「……それだけ思ってくれてるなら十分だ」
    トレーナーさんはおもむろに私の足に手をかける。
    「頼むからじっとしててくれよ」
    トレーナーさんは私の靴と靴下を脱がす。
    「ちょ、ちょっとトレーナーさん!?いきなり何を……」
    トレーナーさんは躊躇なく私の足の甲にキスをした。

  • 193さくら◆QadlXyrFEc22/05/09(月) 00:24:54

    「……トレーナー、さん」
    「……何度だって言うよ。勝手な話だけど僕は君に夢を見てる。君と勝ちたいと思ってる。だけどそれ以上に、君の隣にいたいと思ってる。勝ち負けなんてどうでもいいんだ」
    「……普通じゃない。おかしいですよトレーナーさん……勝ちウマ娘に乗るべきでしょう。空に浮かぶ雲に乗ろうとする人がいますか?あなたまで落ちますよ」
    「この前普通を否定してたウマ娘がいてな。その子に感化されてさ……って冗談は置いといてだ。君が落ちてくなんて思わないしそうはさせないけど、もし落ちるなら一緒だよ。水くさいこと言わないでくれよ」
    トレーナーさんが微笑む。
    「そのウマ娘さんも今頃困惑してますよ……全く、敵わないですね、トレーナーさんには」
    「前も言ったけど君のワガママはどんと来いだからな。それに……ふっ!」
    トレーナーさんが私を持ち上げ、そのままお姫様抱っこする。
    「え、トレーナーさん!?無理はダメですって!そんなに細いのに!」
    「まるで雲みたいに軽いな!これじゃあ足枷になんてなれないなぁ!」
    「トレーナーさん無理しないで!手が震えてますよ!」
    「これは……姫を守れる栄誉に思わず手が震えて……」
    また格好つけて変なこと言ってる。
    私は体を起こし、トレーナーさんのおでこに唇をつける。
    「……スカイ!?」
    「格好つけのナイトさんに祝福あれ、ですよ。……ってちょっと!落ちる落ちるうわぁぁ!!」
    最後が締まらないのが私たちらしい。
    どちらも手離せないのなら仕方ない。まだしばらくは私だけのものでいてもらおう。
    どんと来いと言うなら、これからもワガママで困らせちゃいますからね、覚悟しててよね。

  • 194さくら◆QadlXyrFEc22/05/09(月) 00:33:05

    一応このスレの最終回っぽい話が書きたくてこんな感じになりました。盛り上げたい話でセイちゃんがめんどくさい女ムーブして仲直りする話が多いのはめんどくさいセイちゃんとかそういう話が好きだからです。ワンパターンですみません。
    とりあえず明日まではもたなそうですし新しいスレを立てますね。できたらそこでももう一本……書ければ……
    ゴールデンウィークほぼ全休しましたがそれ以外は休みなく続けられたことに自分が一番ビックリしてます。皆さんも読んでくださり本当にありがとうございました。
    それではまた新しいスレでお会いしましょう。長文失礼いたしました。

  • 195さくら◆QadlXyrFEc22/05/09(月) 00:43:00
  • 196二次元好きの匿名さん22/05/09(月) 00:47:41

    最新話更新ありがとうございます&お疲れ様です!
    めんどくさい彼女なセイちゃん好きなのでどんと来いです!

    次スレも楽しみに作品お待ちしてますね

  • 197二次元好きの匿名さん22/05/09(月) 10:45:56

    お疲れ様です!!!

  • 198二次元好きの匿名さん22/05/09(月) 21:15:59

    次スレたったので埋める

  • 199二次元好きの匿名さん22/05/09(月) 21:26:59

    次のスレでもよろしく

  • 200二次元好きの匿名さん22/05/09(月) 21:27:35

    俺の嫁は可愛いなあ

オススメ

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