【あにまん】生生世世【青空文庫】 ※再投稿

  • 1121/11/07(日) 22:00:34

    仕事を終えて来てみたら、何故かスレが落ちてて草

    なのでダメもとで再度投下。これで駄目なら創作全般スレにて投下します。

    以下注意事項

    *多分異世界転生+人外もの。世界観や一部のキャラなどは、海外の某TRPGなどからいろいろ拝借しています(先生、これはオマージュです)

    *≫1の作品の人命などは羽毛布団の綿のように軽い(友人曰く)

    *内容や文章が肌に合わない方は読まない方がいい(友人曰く"万人受けはしない")

    *リハビリを兼ねて適当に書くため、設定や文章が高確率でガバるまたはエタります(期待はしないで)

  • 2121/11/07(日) 22:01:30
  • 3二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 22:02:27

    期待

  • 4二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 22:02:33

    来たわね(歓喜

  • 5121/11/07(日) 22:02:52

    では投下いたします

  • 6二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 22:03:40

    「生まれた者には死が必ず来る。死せるものは必ずまた生きる。避けられぬことを嘆くなかれ」
                                   ──バガヴァッド・ギーターより


    辺り一面に燃え盛る炎と煙、そして新鮮な肉が焼け焦げる濃厚な臭いと阿鼻叫喚の悲鳴に包まれながら、"私"は怯え逃げ惑う人型生物と彼らから流れ出る魂の数々をただ只管に狩り、絶望と恐怖といった底無しの負の感情に満ちた霊を賞味していた。味わい損ねた霊魂はまるで、私をボロボロの半透明な外套あるいは足元で舞う土埃のように包み込み、その泣き叫ぶ悲鳴と怨嗟から成る、絶え間ない"合唱"による濃厚な音の重なりは、私に昏い愉悦と感動を与えるほどの傑作であった──まるで、かの"ワーグナー"のようではないか。

  • 7二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 22:04:10

     ふと、そんな事を思い出しながら私は、只独りで静かなる歓喜に打ち震えながら、呪われた人生とやらを謳歌する哀れな人型生物たちを黙々と屠殺する──私なりの憐れみと同情を微かに抱きながら。その途中、焦土と化しつつあるこの村──最も、その原因はこの私なのだが──へと急ぎ駆け付けたと思われる騎士の一団と出くわしたが、まるでお話にならなかった──今では全員仲良く"合唱団"に加わり、素晴らしいコーラスを私に提供してくれている。
     私が人間であったのであれば、この"合唱団"に何らかの賞でもくれてやりたいところであるが、生憎な事に今の私は完璧な人外そのものであり、残念ながらあの"忌まわしい戦争の騎士様"に使われるご身分だ。久しぶりに日の当たる物質界へと顕現できた以上、可能な限り多くの魂を収穫して"破滅界アバドン"へ奉納しなければならない──それが"冥魔(ダイモン)"たる今の私の務めだ。

  • 8二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 22:04:52

    このレスは削除されています

  • 9二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 22:05:31

     穏やかな陽光と清々しいまでの蒼天、そして何よりも新鮮な生の空気に満ちた物質界を訪れてから、どれほど時が経過したのであろうか──日差しの具合から見て丁度、正午頃であろうか。
     ふと一面を見渡せば、かつて賑わいを見せたであろう名も知らぬ村があった場所は、無惨な瓦礫と焦土の荒れ地と化していた。無論、生存者の気配など微塵も感じられず、私に狩られてしまった以上、死者の霊すらそれを嘆くことができぬ有様であった。

    「ふむ。我ながら素晴らしい仕事ぶりだ。何かキャンバスと絵具でもあれば、この風景を描いて保存しておきたいほどに美しく、完璧ではないか。」

     一人自画自賛しながら、ふと気配を感じて私の後方を見ると、恐怖と絶望に怯えた美しい人間女性の乙女と幼い子供の二人組が見えた──どうやら、様子と雰囲気を察するに偶々外出していた所、この様な"悲劇"に出くわしてしまった
    らしく、一見したところこの二人は姉弟のように見えた。

  • 10二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 22:06:27

    「嗚呼、仲良く"合唱"の列に加わることなく、不幸にも呪われた生を過ごすべく生き延びてしまうとは、何と気の毒か──老婆心ながら、この私が果てしなく続く不毛なる人生から"解放"してあげよう。」

     そう述べつつ自分なりに"紳士的な笑み"を浮かべたつもりだが、この姉弟にはそうは見えなかったらしい──せっかくの美しい顔が恐怖と涙で台無しではないか。少し興を削がれつつも、私は愛用のハルバードを振りかざし、姉弟仲良く一突きで"合唱団"へ迎えさせてあげようとその矛先を向け、姉と思わしき少女の顔を深く目に焼き付けたその瞬間──想像を絶する強い動揺と苦悩が私を襲い、あろうことか、私が人間だった頃の記憶の断片が鮮やかに蘇ってしまった。

    「──まさか、まさか君は、あのエヴァなのか!!?──」 風前の灯火の命である眼前の哀れな少女は、私が人間だった頃に愛した妻の若い頃と恐ろしいほどに瓜二つであった。

  • 11二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 22:07:23

    「忘れられるものか!君は確かにエヴァだ!!エヴァ、私だ!思い出してくれ! "あの時"は、あんな最期を迎えさせてしまったが、今度は違う!!"今度こそ"は、あんな最期を迎えさせやしない!"今度こそ"は、全ての過ちを正して見せる!!頼む、もう一度私の名を呼んでくれ! 君なら──君が私の"エヴァ"なら、かつての私の本当の名を呼んでくれるはずだ!!最後まで私の傍に愛を持っていてくれた君ならば!!!!!」

    私は眼前の少女に向かって、狂った様に捲し立てながら一方的に喋りかけ──少女は泣き叫びながら、私に無情なる言葉を述べた。

    「・・・・し、知らない。わ、私は貴方なんて知らない!!貴方のような"化け物"の名前なんて知らない!!!! 私は"エヴァ"なんて人じゃない!!!!!!」──今の私が最も聞きたくなかった言葉を耳にした時、私は衝動的に手にしたハルバードをこの姉弟の前に勢いよく振り下ろし──

  • 12二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 22:09:59

    ハルバードは姉弟の眼前にある地面を深く抉り突き刺した。

    「ならば、さっさと私の目の前から消え失せろ!! 不快な紛い物風情が目障りだ!!もう二度と、私にその面を見せるな!!!!」

    私は身の毛のよだつ雄叫びのような怒声を上げながら、一方的に怒鳴りちらすと、二人は声にならない悲鳴を上げながら、私の眼前から勢いよく走り去っていった。

  • 13二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 22:10:47

     こうして不毛な平原に一人取り残された私であったが、内心は安堵していた──いくら偽物とはいえ、エヴァと瓜二つの少女を"二度"も殺してしまいたくは無かったのだ。

    それに何だかんだで私は、あの名も知らぬ姉弟に最大の感謝の念を抱きつつあった──あの少女のお陰で"全て"を思い出したのだ。私が人間であった頃の全ての記憶を──

    かつての"記憶"を全て取り戻した今、ダイモンとしての現在の地位や立場といった全てが最早どうでもよくなっていた──"狂った終末馬鹿ども"の駒としての生に何の価値があろうか。

  • 14二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 22:11:29

     底無しの闇黒と虚無に包まれた私の呪われた第二の生に、微かではあるが一筋の光明が差し込んだように思えた──今や人外とは言え"私"がこうして存在しているのであれば、彼女も──最愛の"エヴァ"もこの世界かそれともまだ見ぬ次元宇宙の何処かに、確かに新たな生を受けているのはほぼ確実に言える事実。

  • 15二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 22:11:58

    今までの青空文庫までまとめてくれたのか。ありがたい

  • 16二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 22:12:24

    地位や権力といった数々に縛られていた"あの時"の私は、彼女を素直に愛することができず、結果として彼女を不幸に追いやってしまった──だが、今度こそは。

    もし仮に彼女が既に幸福な人生を送ってしまっていたのであれば、無論、私は潔く身を引こう──だが、せめてもう一度、最愛の彼女の顔を一目見たい。

    どれほどの時を掛けてでも"彼女"と再会する──そう確かな決意を固めると、私はふと自身の手を眺め、ポツリと独り言を漏らしてしまった。 

    「・・・化け物か」 

    確かに今の私は完璧な化け物だ。情熱に満ちた人間らしい赤い血はおろか、最早涙すら流せやしない──日が沈みつつある平原のど真ん中で、私は皮肉に満ちた笑みを浮かべながら、ただ茫然と立ち竦んでいた。
     
                                            ──明日から仕事なので続かない

  • 17二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 22:17:00

    乙。

    続きを見たいわ! >>1の続きを見せてちょうだい!

  • 18二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 22:44:19

    復活ッッッッ!!! あにまん青空文庫復活ッッッッ!!!

  • 19二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 22:46:18

    青空文庫からしか摂取できない栄養があるのだ!!

  • 20二次元好きの匿名さん21/11/08(月) 15:50:29

    >>16

     私がしばしの間、立ち竦んでいると日が沈んだ平原の彼方から僅かな人影が見え──その瞬間、私の右膝に焼けるような熱い痛みが襲った。予期せぬ痛みと事態に驚きつつ、私の右膝を確認すると一本の矢が完璧に突き刺さっていた。


    燃えるような鈍い痛みとこの不快な感覚には覚えがあり、私は苦虫を潰したような顔で矢を引き抜くと、無意識の内にこう呟いた「"銀製"の矢──しかもご丁寧な事に"魔力"が宿った代物──」


    暗視能力を駆使して私が矢の飛んできた方向を注意深く凝視すると、そこには3人の人型生物が見て取れ、矢を放ったのは真ん中にいる狩人らしき格好をした輩だった。

  • 21二次元好きの匿名さん21/11/08(月) 15:50:59

     遠目で確認しただけとはいえ、本能的に解る──日中に出くわした騎士共とは明らかに格が違う──私が相応の巨体とは言え、ダイモンたる私の鋼の如き外皮をいともたやすく撃ち破った挙句、夜の帳が覆い始めたこの平原の中でこうも正確に射貫くとは。予期せぬ不意打ちを喰らった不快感や怒りよりも、警戒感と賛辞の方が微かに勝った。

    「・・・面白い。貴様らが私の新たな人生の門出における障害になるというならば、不足は無い。相手をしてやろうではないか!!」 この程度の些細な膝の傷や痛みなど何ら問題ではない──私は、狂った獣の如く叫びながら、相手のいる方向へと勢いよく駆け始めた。

  • 22二次元好きの匿名さん21/11/08(月) 15:53:08

     夕暮れ時にも拘らずギルドから急な依頼が舞い込んだのは、ちょうど俺達が一仕事を終え、馴染みの酒場で一杯やろうとしていた頃だ。ちょうど酒場は俺達のような同業者と地元の酒飲み達で賑わいを見せ始める時間帯であり、鍛冶屋のクレンコの親父を筆頭とした一部の連中なんぞは、もう既に"出来上がっている"有様であった。


    『何だぁ!?珍しい!! ギルドのお偉いさんがこんな大衆酒場に何の用だぁ!!』 『クビにでもなったかぁ!?」「奇遇だなぁ!俺も今日クビだぁ~!! ヒック・・・』
                『"こんな"とは何様のつもりだぁ!クレンコ!! 』 
                   「あーあ、まーたやってるよあの二人・・・』『いつもの事だよ。全く・・・・」
    「とうとうカミさんに愛想でもつかされたかぁ!?ご愁傷さん!』 
           「・・・何かいつもと様子が違わないか?」「・・・・・?」 
    『明日の見出しは決まりだな!!──ギルド長、遂にカミさんに捨てられる──だ!!」
                     『ギャハハハハハ!!それはおめぇんとこだろう!?ジョーゼフゥ!!』
    『カミさん指輪を外して実家に帰ったらしいなぁ!? ユン!?』
      『あの怒りようはやべぇーぞぉ!?早く詫びに行って来いよぉ!!』──「うるせー!!高けぇ指輪が無事ならそれいいんだよぉ・・・!!グス・・・・』
               『『『泣くんじゃねーよ、バーカ!!!! 』』』────ギャハハハハハハハ  
       「──おい、ちょっと静かにしろ」「厄介毎の匂いがする」 
           『ん~ッ?どうしたぁ~!?そんな葬式みたいな湿気たツラしてよぉ?」


    息を切らしてまで態々ここに訪れたギルド長"イーゾック・オズボルト"は、俺達のいる席に向かって大声でこう述べた。

  • 23二次元好きの匿名さん21/11/08(月) 15:54:17

    『──貴公らが仕事を終えて疲れているのは承知している・・・ギルドとしては勿論、常識的に考えてみても無礼なのも百はおろか千も承知だ・・・!! だが、その上で我がギルド有数の冒険者たる貴公ら3名に急な討伐を、私から直々に依頼をする!! 頼む!!!!今すぐカズミル平原に赴き、外部に情報や噂が出回る前に一体の魔物(フィーンド)を即刻討伐してほしい!!! この案件は我が町はおろか共和国全体の存続と維持に関わる最重要案件だ!! 頼むッ!!!この通りだッッ!!!!!』
    そう言い終えるや否やイーゾックは、勢いよく酒場の地面に頭をこすりつけ土下座をしたのだ。

  • 24二次元好きの匿名さん21/11/08(月) 15:54:49

     酒に酔い痴れていた馴染みのアホ共の雰囲気や酒場の様子が一気に変わり始めたのは言うまでもない──堅物でおなじみのあのギルド長が、公衆の面前で土下座だと!?──こんな光景を地元のゴシップ記者連中が目にしようものなら。驚愕の余り口から心臓を吐きだしかねない。

    「──ちょっとちょっと、待ってくれよギルド長。取り敢えず頭を上げてもらっていいか? 余りに予想外の出来事過ぎて自体が飲み込めん。」 チーム内の射手を務める俺"レオニス・ライオヴァルト"は思わずとっさに呟いてしまった。

    「フィーンドの討伐は結構だが、そこまでの事態なのか?」 我がチームに属するドワーフのファイター"ベルガ・オウディウス"は、困惑した様子で述べる。

    「・・・そのフィーンドの種類と仮想とする脅威度はどれほどで?」インテリじみた優男に見えるが、こう見えても我がチームの中で最も最年長者たるエルフのソーサラー"ウーリ・エルンスト"は、淡々と警戒しつつ発現する。

  • 25二次元好きの匿名さん21/11/08(月) 15:55:27

    「・・・幸か不幸かフィーンドの種類はハッキリと判別できてしまった。報告を受けて遠視したギルド内の占術師の一人が余りの恐怖で失神した以上、間違いなく断言できる──100%アレは"脅威度B"の魔物"オブシスダイモン"だ。」
    ──絶望の表情を浮かべたギルド長から漏れ出たその発言は、酒場内に満ち溢れた賑やかな喧騒と酔った雰囲気を一瞬で醒まし、この場の空気を重く澱んだ墓場の底の如く凍てつかせるには充分過ぎた。

    酔いが醒めたどころかこの世の終わりのような表情を浮かべた、常連のクレンコは思わず呟いてしまった 「お、オブシスダイモンだぁ・・・・・!!??」

  • 26二次元好きの匿名さん21/11/08(月) 15:56:17

    ⛧オブシスダイモン(学名:ジェノサイド・ダイモン)

     鷲の翼、鋭い牙の生えた狂犬のような顔、筋肉質な骨格を持ち、巨大かつ残虐なハルバードを手に聳え立つ破壊的なオブシスダイモンは、戦争の最も暗い要素を擬人化している。オブシスダイモンは名誉と栄光に満ちた戦場の虚飾、交戦中の戦術の複雑さや甘美な大義名分や正義といった概念、戦争における暗黙のルールや秩序といった全てを剥ぎ取り、残忍で暴力的かつ無慈悲で救いようのない紛争の真実だけを核として残し、生きとし生ける全てから生ある未来を奪い去った挙句、今までの争いの歴史が焦土作戦と大量虐殺以外の何物でもないことを明確に明らかにする。

     民族浄化、人口の減少、その他冷酷でシステム的なその他全てと、粛清といった市民集団の組織的な抹殺の形態といった恥ずべき人類の汚点と黒歴史を反映するオブシスダイモンは、多種多様な死を体現する冥魔(ダイモン)の中で最も強力なメンバーの一種である。この非人道的な存在は小さな人口地域の果てから遂には大都市の中心部へと到着し、
    瓦礫と灰の荒れ地のみを残す。生ける戦禍であるオブシスダイモンが赴く所では哀れな死者の霊魂ですら、その悲惨な破壊や犠牲の有様を嘆くことができず、このダイモンは無実の者だけでなく、定命の存在の歴史と血脈といった全てを一掃し、言葉上のどの意味であっても犠牲者の未来が存在しないことを保証する。

     

  • 27二次元好きの匿名さん21/11/08(月) 15:56:44

     定命の者が生前に大量虐殺を行い、その死後に魂が呪われた"破滅界アバドン"へと堕ちた場合、無限の悪意に満ちたこの世界にて狩人の一員として永く生き残ることができたのであれば、それはオブシスダイモンになる可能性がある。そのような強力な個体は、裏切りに次ぐ裏切りが絶えぬアバドンの無限の蠱毒において、自身の生存権を確保するためにありとあらゆる有能かつ有害な他の味方を破壊する意志と力があることを、その身でもって既に証明しているため、執拗深い一種の"廃棄物"たる下位のダイモンらの手下の管理といった諸問題を抱えている事は殆ど無く、オブシスダイモンは破滅界アバドンの地にて一定の自由と栄光が保証される。

     最終的にオブシスダイモンへと発展した悪質な魂は、その道に立つ全て者に降りかかる無差別かつ容赦無き最悪の死の前触れとして機能し、このダイモンは孤独的に虐殺を実行する為に諸世界を彷徨う。生前、この様な魂は恐らく特定の選ばれた集団や民族だけを殺したいと願っていたことだろう。しかし、オブシスダイモンとして変成を遂げた嘗ての存在は、今や全ての定命の者の抹殺と滅亡を求めている。

  • 28二次元好きの匿名さん21/11/08(月) 15:57:30

     オブシスダイモンを特徴づける明確な能力は、その巨大な身体から滲み出ているように見える"魂の外衣"である。それは救い無き破壊と死の象徴であり、その破滅的かつ殺人的な能力はかなりの範囲にいる観測者に明確な凶兆と死の暗示を与える。オブシスダイモンが多数か人口全てを一方的に虐殺するとき、一度に全ての魂を平らげるのではなく、後
    で有効利用するために犠牲者の霊を捕らえる。
     抵抗勢力を相手にしたこのフィーンドは、特に強力な攻撃を繰り出す必要がある(あるいは厄介な相手を確実に殺したいと思った)場合、その力を更に強化し、完璧なる滅亡を確実に実現させるために保存しておいた魂を無慈悲に消費する事で知られ、一部のオブシスダイモンはこの魂の断片を細工して形成し、それを用いて愛用の武器や肉体を強固に包むために、秘術的かつ冒涜的な方法の数々を独自に開発するという。

     全ての定命の者の生命と魂を他のダイモンの種にも益して貪欲的に狩り、体系的な虐殺へと傾倒するために熱心に働く殆どのオブシスダイモンは、同様の理想を共有するダイモンの神たる"戦争の騎士"に仕えている。"戦争の騎士"の奉仕において、オブシスダイモンは組織的な虐殺を実用的な芸術に昇華するだけでなく、その優れた技術を利用するため
    に、"戦争の騎士"の助祭(ダエコン)たるプロダイモン(学名:ウォー・ダイモン)の軍隊を率いる長や高官として共に行動する。

     一部のオブシスダイモンは代わりに"疫病の騎士"に仕える事で知られ、"疫病"による征服行と病死による支配を実現すべく、通過する何マイルもの地形や地域に有害な毒と病原菌の雲を撒くルーコダイモン(学名:ペスティランス・ダイモン)の巨大な軍の先頭に立つ事で、同様の役割を果たすこともある。

  • 29二次元好きの匿名さん21/11/08(月) 15:59:47

     時には、契約を結んだか雇われたであろうオブシスダイモンの傭兵団が、侵略する魔鬼(デーモン)や悪魔(デヴィル)といった他のフィーンドの軍団の後ろを辿り、虐殺された定命の者の痕跡が灰と塩の柱で満たされた大地の中に、何も残らないことを保証しているかもしれない。この様なオブシスダイモンは全ての生命を滅ぼすだけでなく、その後、その土地や地域に生きているクリーチャーが未来永劫棲むことはおろか繁栄できぬように尽力を尽くす。

     更に一部のオブシスダイモンは、冥魔王(アークダイモン)たる"黙示録の騎士"の何れかや、有力なダイモンの半神たる"先苦者(ダイモン・ハービンジャー)"に仕えず、代わりに無意味な大量虐殺と戦時下における無限の虐殺を遂行するある種の"エージェント"として機能することを選択する。遊牧的かつ想像を絶する悪意に満ちたこの利己的な存在は、次元宇宙から次元宇宙へと当てもなく放浪し、次々に文明と生命を蹂躙する。

     特に狡猾なオブシスダイモンの一種は、単なる定命の者風情では自身の素晴らしい力を制御できないことを知っており、愚かな悪の召喚術士や野心に満ちた未熟な術師といった"優秀な愚者"にワザと招来させることを望み、意図的に自身の真名を物質界に広める。そのような召喚者の99%は、嬉々として顕現したオブシスダイモンによって、しばしば肉体や精神はおろかその霊魂をも喰い荒らされ、その後に暴れまわるオブシスダイモンを覆い隠す、苦しむ霊の衣に織り込まれる最初の魂としてその愚かな生を終える。

     基本的にオブシスダイモンは身長25フィート(約7m)、翼幅は30フィート(約9m)、体重15000ポンド(約6803㎏)以上であるが、賢者やフィーンド学者らによれば、この一般的なサイズのほぼ3倍に匹敵する個体がいると噂されている。 

                                            ──これから仕事なので続かない

  • 30二次元好きの匿名さん21/11/08(月) 16:08:43

    乙。ガチクズのモンスターで草も生えない

  • 31二次元好きの匿名さん21/11/08(月) 16:14:49

    乙!モンスター紹介文の所を大川透さんで脳内再生している俺がいるw

  • 32二次元好きの匿名さん21/11/08(月) 19:44:05

    拙者作品内の設定好き好き侍、更なる情報の開示を切望する

  • 33二次元好きの匿名さん21/11/08(月) 23:33:53

    >>32

    同じく外道な人外好き侍

    義によって助太刀いたす

    イッチは好きなように設定開示してどうぞ

  • 34二次元好きの匿名さん21/11/09(火) 15:42:08

    >>29

    「・・・・一体何処でそんな化け物が確認された? 発見された時間は? 見つけてからどれくらい時間が経過してしまった? 数は? 他のダイモンやフィーンドの姿は!?」冷静さを装いつつもも微かな焦りが見え隠れするウーリは、ギルド長に矢継ぎ早に問い詰める。


    「・・・確認できたのはその一匹のみ。現時点で入手できた周囲の被害状況を見る限り、単体での顕現──恐らく、誤って召喚された個体だろう。命懸けで知らせてくれたのは、カズミル平原にある"イドル村"に住んでいたという、幼い姉弟だ。夕刻の4時頃に訪れた姉弟の話を聞く限り、もう既にあの村は・・・・」


    「"イドル村"だぁ!!? う、嘘だろ?嘘だといってくれよ!?ギルド長!!? あの村は俺のカミさんの実家があるところだぞ!!??なぁ、何かの聞き間違えじゃねぇのか、なお、オイ!?!?」予期せぬ不穏な情報に、カミさんに愛想をつかされたらしいジョーゼフが慌てふためきながらギルド長に詰め寄り、驚いた周囲の男どもがそれを全力で止めた。感情と情報処理が追い付かないほどの凶報にジョーゼフは最早、錯乱状態に陥りつつあった。



    「落ち着け!ジョーゼフ!! まだお前のカミさんが実家に帰ったと決まったわけじゃねぇだろう!?」

    「頭を冷やせよ!」 「離せ!離しやがれ!!俺は、俺は行くぞ!!アイツが、ダリアが俺を待ってるかもしれねぇだろうがぁ!!?」

           「下手に出向いたらお前も殺られちまうぞ!?」「そ、そうだ、そうだ!そう簡単にあのカミさんがくたばる様なタマかよ!?」 「クソッ!!なんて力だッ!!」

      「おい、ミルコ! ジョーを店の奥で休ませてもいいか!?というか無理にも押し込めるぞっ!?」「分かった、分かった!! 急げ!!」 「ゴーシュ、手を貸してくれ!」



    常連達は錯乱しつつあるジョーゼフを急いで店の奥に押しやり、尋常でない雰囲気と事態を察した店主のカミさんは、急ぎこの店を閉め、今この場にはギルド長と俺達、そして、予期せぬ事態に巻き込まれ困惑している常連の客と酒場の店員らのみとなった。

  • 35二次元好きの匿名さん21/11/09(火) 15:43:21

    「当然の事だろうが、ギルド長。もう既に行政府には情報を伝達してるだろうな?」

    「無論だ!秘密裏にギルドの幹部を"人民宮殿"へと向かわせた。今、この事態を知るのはギルドと行政府、そして、この酒場にいる者達のみだ。」


    「なぁ、騎士団による直々の討伐か増援とかは望めねぇのかよ!?こんな時の為の騎士様だろう!?」
            「アホか、お前!? 脳味噌にまでアル中になったのか!? "このご時世"にわざわざ騎士団の戦力を割けるわけないだろう!?」 「何のためにわざわざ、この国が冒険者等の"志願兵"で構成されたか忘れたか!!?」

     「我が国の最高戦力たる"大鷲騎士団"の殆どは、この国はおろか世界の平和の為に"連合十字軍の遠征"に出向いてんだ! それに"黄金軍"は国境地帯の警備で忙しいし、"鋼の鷲団"に到っては国内の厄介毎に処理で昼夜働きづめだ! いくら冗談でもはっ倒すぞ!!?」「・・・・わ、悪かったよ」


    「──可能であれば勿論、騎士団の戦力を利用したい。だが、今下手に動いて、今の混乱した状況を"帝国"に知られるのは非常に不味い・・・・!!」

    「"善き隣国を脅かすダイモンの討伐と被災した村及び住民の救済"──そんな大義名分を掲げた挙句、ワシらの国の国境を平然と踏みにじるのは目に見えている。」

  • 36二次元好きの匿名さん21/11/09(火) 15:43:45

    「・・・今動ける"黄金級(ゴールド・クラス)"の冒険者は俺達だけか? 確かこの国に定住した"黄金級"の冒険者は、俺たち以外にあと"7つ"いたはずだが?」

    「"鋼の六人"は北部国境に存在する"ドロスカー火山"の調査へ向かったばかり・・・。 "グリーンスリーブス"は西部の"アースフェル大森林"における"例の騒動"を探索中・・・。"英霊文化研究会"は"アブサロム"へ──」

    「あ~あ、分かった、分かった──"今この町にいて、かつ直ぐに動けるのは、俺達"三頭の鷲"しかいない訳だな?」

    「──すまないがその通りだ・・・。並のフィーンドならともかく、相手はダイモン──しかも上級冥魔(グレーター・ダイモン)たるオブシスダイモン・・・!! この町にいる"銅級(カッパー・クラス)"はおろか"銀級(シルバー・クラス)"の面々に出向いてもらっても、無駄な犠牲と被害を出すだけだ・・・!」

    「勿論、喜んで受けてやるさ。だが、その前に今ギルド内にある最高級の魔法の武器やポーション類を可能な限り差し出して欲しい。見ての通り、俺達は一仕事を終えたばかり──特に俺は矢弾の数が心もとない。」

  • 37二次元好きの匿名さん21/11/09(火) 15:44:33

     冒険者達の間では、危険な任務や仕事を請け負う場合、安全地帯や拠点において筋力や耐久力などの身体能力を増強させる呪文を宿すポーションをあらかじめ飲料し、何時でも戦闘態勢に入れるようにするのが常識である(無論、回復用を含めた予備のポーションまたは同様の呪文が記された巻物を常に携帯し、予期せぬ段階で効果が切れても再度かけ直せる様にする)。 
     これらの補助及び回復系の呪文(そしてそれらの効果を持つアイテム類)の重要性と需要の高さは言うまでもなく、冒険者のチーム内には必ず最低一人でも何らかの"術者(スペル・キャスター)"を加入させる(無論、この世界には例外もいるが)。

     加えて、武器や武具の念入りな手入れ、使用する矢弾などの数の確認と調整(術師であればその日の内に唱えられるであろう呪文数の把握や再学習、そして、それらの呪文の発動できるだけの余力、詠唱時における安定した精神状態の確保など)といった準備も欠かせない。何故なら彼らは、依頼や様々な目的があれば洋の東西を問わず様々な場所へ赴き、陸・海・空はおろか果ては未知の次元界へと旅立ち、そこで命を懸ける。
     それだけのリスクや危険と引き換えに彼らは莫大な栄光や富──時には善・悪問わず様々な恩寵や介入の結果、人外じみた力の数々を手にする。

     だが、駆け出しやベテラン、あるいは神話や伝説で語られるような超人的な冒険者であれ、これらの基本的ルーティンの僅かな差が予期せぬ生死へと直結し、明日の日の出はおろか、ほんの数時間から数秒後の生ある未来が存在しているか否かが確定する。煌びやかな装備に身を包みながら、まさか思いもよらぬ場所でその生涯を終える者もいれば、たった一握りの短剣と僅かな装備で危険極まりないダンジョンを踏破する者も確かに実在する。
     何も知らぬ第三者から見れば、個々の冒険者の実力と運の要素の多分にあるやもしれぬが、その根本的な理由と原因の一つにはこのような微かな原因が確かに存在するのは否定できない事実と言えよう。

  • 38二次元好きの匿名さん21/11/09(火) 15:45:13

    「分かった、今直ぐ手配させる!」

    「ちょっといいか、レオ。イドル村なら何度も行き来した場所だ。戦闘の役には立てないが、ウチのチームには"上級瞬間移動(グレーター・テレポート)"を唱えられる術師がいる。直接あの村へ移動するのはマズいが、村からある程度離れた安全地帯に送り届ける事はできる。僅かでもいいから俺達のチームにも協力させてくれ。頼む!」──そう進言してくれたのは銀級の冒険者チーム"夜鷹の夢"に属する"ヨナト・イルバーク"であった。

    「おおっ!協力してくれるか。最悪の事態に備えて、状況を監視・報告してくる冒険者を丁度探していた所だ。勿論、君達にも然るべき礼と報酬は支払う。申し訳ないが頼まれてくるか!?」

    「もちろん、請け負うわよギルド長さん♡ それにギルド長の貴重な土下座が拝めたんだから、報酬何てタダでいいくらいよねぇ、ヨナ?」そんなジョークを返すのは同じチームに属する"ルイ・ハーカー"だ。

    「おいおい、このまま言いふらすのは勘弁してくれ!?あんな姿、家のカミさんにしか見せないんだぞ!?」──これらのやり取りに、酒場内の空気が幾らか和らいだのは言うまでもない。

  • 39二次元好きの匿名さん21/11/09(火) 15:46:24

     
     俺達が様々な準備と覚悟を決めるのに約1時間30分ほどを要した──半端な覚悟と決意でオブシスダイモンの相手など到底できない。気が付けば時間は夕刻6時を過ぎた頃であり、俺達は急ぎ"上級瞬間移動(グレーター・テレポート)"を用いて、イドル村から十数㎞ほど離れた場所へと身を潜めると同時に、俺は愛用している魔法のゴーグルで村の近辺を伺い──村を焦土化したであろう、例の化け物の姿を確認した。

    「・・・・ハズレて欲しかったが、間違いない。アレは確かに"オブシスダイモン"だ。」

    「3年前に他のチームと共同して戦った、エインシャント・レッド・ドラゴンの方が遥かにマシだったな。ダイモン連中の陰湿な邪悪さと狂気に比べれば、レッド・ドラゴンの悪意なんぞ霞んで見える。」

    「それにして一体どこの大馬鹿野郎があんな化け物を喚んだのやら──もしや、"帝国"の連中が国境付近でイザコザを起こすためにワザと喚んだか? 」

    「幾ら"帝国"でもそんな真似をする筈が無い──と断言できないのが困り所だよ。信仰のよりどころを失って悪魔崇拝に手を済めたあの国ならば、考えられそうな話だ。」

    「・・・勝ち目はあるの、レオ? アタシは初めて実物を見たけど、ここからでも震えが止まらないわ・・・・!!」

    「──勝ち目? そんなものは"創り出すに決まっている" なあ、ベル?」

    「当たり前だ。伊達にこの3人で生き残ってきた訳じゃない。それに、イザという時にはウーリが何とかするさ。のう、ウーリ?」

    「この期に及んで僕頼みか・・・。全く、今までよくこのチームで生きてこられたと我ながら感心するよ──まぁいいさ。お望み通りやってやろうじゃないか。あんな化け物に住み慣れた町や国を滅ぼされてたまるものかよ。」

  • 40二次元好きの匿名さん21/11/09(火) 15:47:12

    「・・・すまないが、俺達は更に遠くから様子を監視させてもらう──死ぬなよ、お前ら!?」

    「無事に生きて戻ったら、あの店で酒と飯──ついでに欲しかった魔法書でも奢ってもらいますよ?」

    「ドワーフの酒代は高くつくぞぉ、ヨナ?覚悟しておきな!」

    「達者でな、お前ら」────最期の挨拶を交わすとヨナのチームは何処へと消え去り、静まり返った夜の平原に残ったのは今や俺達だけとなった。

  • 41二次元好きの匿名さん21/11/09(火) 15:47:52

    #22 Moment of Truth + Daughter of the Dark God / OCTOPATH TRAVELER

    「────さて、別れの挨拶は済ませた。"覚悟はいいな、お前ら?"最悪の場合、肉体はおろか魂すら残らんが、まぁ悔いは無いだろう?」


    「殺られる前提で話すな、どアホ。3年前にあのクソトカゲに丸焼きにされても尚、こうしてピンピン生きとるんだ。そう簡単に死にはせんわ。」


    「戦術はいつも通り──というかそれしか手札は無いね?」


    「ああ、そうだ。俺達にはそれしかない。じゃあ、"行くぜ?"」──そう言い終えるや否や、チーム全員の顔と雰囲気が"戦士"のそれに早変わりする。そして、俺は愛用のコンポジット・ロングボウにすかさず矢を当て、遥か彼方にいるヤツに挨拶代わりの一射を放った──

  • 42二次元好きの匿名さん21/11/09(火) 15:48:24

     人間の記憶と僅かな人の心を取り戻したダイモンと"黄金級"の冒険者達───不条理な勝利と運命の女神はどちらに微笑むのか

     ──夜の帳と星々に覆われたカズミル平原において、短くも長い夜が幕を開ける──

                                                   ──多分続かない

  • 43二次元好きの匿名さん21/11/09(火) 21:15:31

    >>42


    『Ghaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!!!!!!』──狂喜と怒りに満ちた獣魔の咆哮が平原全体に木霊する。



    「ちっ、膝の急所を射貫いたってのにピンピンしてやがる──上手くいけば、1分でドラゴンすらぶっ倒れる毒すら仕込んだってのに何て野郎だ。」思わず愚痴りたくもなる。そうホイホイ簡単に手に入る毒じゃないんだぞ?

    これだからフィーンドは嫌になる。平然と毒に対する完全耐性を持っていやがるんだからな。


    「さあ!さあ!!さあ!!!さあッ!!!! 来やがれデカブツ!!!!この斧の錆にしてやらぁッッ!!!!!!」──猛る戦士の笑みを浮かべたベルガは、勢いよくダイモンへと飛びかかり、両者は激しい武器の応酬を始める。


    瞬く間に幾重もの鈍い金属音と烈火の如き火花がぶつかり合う中、俺の後方へと隠れたウーリは、すぐさま呪文の詠唱を行い、その精神を研ぎ澄ます。彼の指先には青白い光と不可思議な文字が現れては消え、現れては消えを繰り返し、

    その光の輝きと文字の構築速度は徐々に加速する。

  • 44二次元好きの匿名さん21/11/09(火) 21:16:33

    ────「『強いッッッ!!!!』」────


    「突く、払う、斬るの単純動作の繰り返し────只それだけだというのに何たる重さだと圧だッッッ!!!!」

         『何だこのドワーフ!? 巨人かドラゴンが化けているとでも言うのか!!?』

            「あのバカでかい獲物を軽々と振り回した挙句、一撃一撃が致命傷か即死級ときた!!! 瞬き一つした瞬間、装備毎ド頭を割られかねんッッッ!!!!」

     『いくら品質の良い武器を手にしているとはいえ、これほどの力とはッ!? 物質界にはこんな輩が、ゴロゴロとうろついているとでも言うのかッッ!?!?』

             「今までファイアー・ジャイアントを始めとしたデカブツやドラゴンなどの特大級と殺り合ってきたが、コイツの前じゃ比較にすらならんわ!!!!!!!」!

                                『ありえん・・・・・・ありえん!!!!』

     両者の怒涛の暴力と交戦による応酬の中───俺はすかさず無数の矢を放ち、ベルガに気を取られていた奴の様々な箇所に銀の矢が勢いよく突き刺さる。

  • 45二次元好きの匿名さん21/11/09(火) 21:17:08

    『グウッッッッ!!?』───糞がッ!!先程といい今といい、あの人間、肉体の急所や関節の隙間を的確に射貫いてきやがるッッッ!!!!
     
    「ガハハハハハハハハッッ!!!!?大嫌いな銀の矢のお味はどうだ!? クソ化け物!?───ど真ん中の守りがお留守だぜッッ!!?」──俺の攻撃で僅かに怯んだ奴の肉体に、アダマンティン製のバトルアックスによる重い連撃が無慈悲に貫く。


    『ガハァァッッッッ!!!!?』──下等生物風情がちょこまかと目障りなぁァッッッッ!!!!!!!!

    激しい怒りとダイモンの本能に火が付いた私が、持ちうる中で最大級の呪文を唱え、奴らを消し炭にしようと詠唱を始めた瞬間、いきなり眼前のドワーフが不敵な笑みを浮かべながら身を屈めた───その瞬間、奴らの後方に隠れていたエルフから、凍てつく冷気を纏った青白い極大の閃光が放たれ───

  • 46二次元好きの匿名さん21/11/09(火) 21:17:51

    濃密な冷気を纏った煙が晴れると平原の広範囲が完璧に凍結しており、その閃光の道筋には、ほぼ全身が凍り付いた状態の奴が不気味な沈黙を保ったまま鎮座していた。

    「・・・・さすがは、上級冥魔。まだ息の根がありやがるッッ!!」

    そう言い放つや否や、ベルガが止めの一撃を叩きこむために急ぎ駆けようとした瞬間──俺達は最悪の光景を目にする。

    「・・・・チッ!!!冗談だろ!!?」

    満身創痍のはずの奴は、あろうことか自身の周囲を漂う"煙のようなもの"を2~3個ほど、吸い上げた瞬間──今までの攻撃による傷はおろか、その身を覆っていた夥しい凍傷すらほぼ完治したのだ。

  • 47二次元好きの匿名さん21/11/09(火) 21:18:52

    ──いかんいかん、危うくダイモンとしての本能に呑み込まれるところだった。だが、幸か不幸かこの冷気のお陰で文字通り"頭が冷えた"。そう考えつつ、私は深呼吸を行うと、更に追加で魂を2つほど賞味し──

    「・・・・さすがに此奴ぁ不味いかもしれんな。」──第三者である俺達から見ても明らかに分かる。奴の肉体が初遭遇時よりも活性化して、力が増している・・・!!


    『ふむ──危ない所であった。もし、魂の貯蔵を切らしていたら、私は今ので確実に死んでいただろう。それにしても・・・・』不気味なまでに機嫌がいい奴は、全く予期せぬ言葉を吐いた。

    『素晴らしい!実に素晴らしいユンゲ達だッッ!!定命の存在でありながら、ここまでの高みに到るとは、実に優れた生物ではないかッ──"あの時"、君らのような戦力が私の傍にいれば、恐らく"我が国は決して敗北することは無かった"であろうなぁ!!!』


    眼前の化け物から飛び出す数々の賞賛の言葉──それに、コイツは一体さっきから何を言っていやがる!? "我が国"だと!? コイツ、まさか人間だった頃の記憶でも──!!?

    そんな考えが浮かんだ瞬間、最悪の閃きが浮かぶ──薄々感じてはいたが、このオブシスダイモンは"固有種"になりつつあるのでは──そう確信した途端、俺の身を凄まじい悪寒が襲う。

  • 48二次元好きの匿名さん21/11/09(火) 21:19:56

    *固有種

     通常の生物において、特定の国や地域にしか生息・生育・繁殖しない生物学上の種を指し、特産種とも言う。大陸などから隔絶されている島嶼などで多く見られ、地域個体群の絶滅が、即座に種そのものの絶滅につながるので、保護対象として重要であるのだが、それは"一般的な生物"に限った話だ。

     この世界における"固有種"とは数ある同種のクリーチャーの中から、他の同種が持ちえないはずの特殊な能力や才能などを手にしたことで独自の進化を果たし、その種の中で唯一無二の個を確立した存在の事を指す。冒険者たちが何らかのクラス・レベルを得て成長し、やがては大成してゆくように人外の存在達も同様の方向性を選ぶことがある。
     とある優秀なオークは、バーバリアン(狂戦士)としての才に目覚め、遂には他のオークの部族はおろか周辺の人型生物の集落や都市部すらも征服するかもしれない。

     また、別のオークは、伝統的なオークの神々か他の悪しき神格からの天啓(または呪い)により、秘術か信仰系統の呪文の才に目覚め、恐るべきオークの預言者や呪術師として想像を絶する権力の高みに昇るかもしれない。

     何れの理由や原因にせよ、ただでさえ脅威的なこれらのクリーチャー達がそのような"個性"を確立し、それが悪質な伝染病の如く特定の種の中に広まってしまった場合、今日まで安定傾向にある人間を筆頭とした人型種族の生存権や繁栄などは、一睡の夢の如く儚いものとなるのは言うまでもない。

  • 49二次元好きの匿名さん21/11/09(火) 21:21:23

    『だが、残念な事に全てはもう遅すぎた。私はこれからようやく明確な意思と目的をもって、新たな第二の生を歩もうというのだ。誠に惜しいが、君達のような優秀なユンゲが私の道筋を阻むというであれば──その霊魂もろとも灰となってもらおう!!』


    The Big O OST - Stoning Extended (Schwarzwald's Speech)

    (イメージBGM)



    そう言い終えると奴は遥か上空を指さしながら、ありえない速度で呪文を詠唱すると、その指先から四つの巨大な火球が舞い始める。


    これら一連の動作を最小の動作で終えるや否や、奴は高らかに最高レベルの秘術呪文の名を述べる──『"流星雨(メテオ・スウォーム)"!!』


    「──不味い!!!あれは──」普段滅多に叫ぶことのないウーリが、声を上げたが全てが遅すぎた。巨大な4つの火球は明確な悪意を持った獣の如く、猛スピードでこちらに向かい、凍てついた平原は今や大規模な爆発と激しい火柱を吹き上げるのであった。

      

                                                 ──続かない。

  • 50二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 09:48:10

    今来たけどめっちゃ続き気になる…読み直しながらずっと待ってます…

  • 51二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 13:13:23

    >>49



    ──平原の辺り一面を激しい爆炎と煙が包む──



    「ゲホッッッ!! ユーリが叫んでくれなければマトモに喰らってた・・・・!!!」

    ギリギリの紙一重で裂けたとはいえ、全身を生きたまま火炙りにされたような激痛が走る──火に対する抵抗力を持つ魔法の装備類を身に着け、かつ"避けた状態"でコレか・・・!!



    「ハァハァ・・・・・!!"呪文反射の指輪(リング・オヴ・スペル・ターニング)"が、ここに来て役に立つなんてね・・・・!!外さないで正解だったよ・・・・・・!!」一番不安だったウーリは何とか奇跡的に無事らしいが──



    「・・・・・あのクソトカゲの炎よりはマシだが、中々に痛てぇじゃねぇかッ・・・・!!!!」──不味い・・・! ベルガの奴はマトモに2発も喰らってる・・・!!


    急ぎ、治療用のポーションをベルガへと投げ渡し、アイツがそれを勢いよく飲み干して傷を癒した瞬間───あり得ない速度で間合いを詰めてきた奴が、ハルバードを振り下ろしながら姿を見せる。

  • 52二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 13:13:52

    「ベルガッッッッッ!!!!!!!!」
    俺の声に辛うじて反応したベルガは、空になった瓶を瞬時に投げ捨てると同時に、愛用の斧で辛うじて奴の奇襲攻撃を防いだ──その瞬間。

    「グウッッッッ!!??」ハルバードで攻撃を防いだはずのベルガの全身に激しい電流が走る───奴のハルバードをよく見ると、あろうことか電気の火花がバチバチと音を立てている。

    「あれはまさか"電撃爆砕(ショッキング・バースト)"・・・!? まさか、あの煙らしき物を消費した際に、魔法の武器と化したのか!?」

  • 53二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 13:14:24

    *魔法武器

     魔法の武器は、より着実に攻撃を命中させ、より多くのダメージを与えられるような強化がなされており、それは武器に込められた魔法の数だけ多種多様な効果と性能を発揮する。あらゆる魔法の武器は、同時に高品質の武器でもあるのだが、更に希少価値の高い珍しい物質や素材などで構成されている事があり、言うまでも無くそれらの品々は想像を絶する高値で取引される──物によっては一つの大都市はおろか国が買えるほどには。
     無論、魔法の防具やその他の貴重な装備品、消耗品や芸術品なども星の数ほど存在し、中には忌まわしい呪いを秘めた忌み物も実在する。

  • 54二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 13:15:11

    「畜生ッ・・・・・痺れて痛てぇし、一撃がさっきよりも確実に重くなっていやがるッ!!!」

    再度、奴とベルガが激しい攻防を繰り広げるが──先ほどの戦いに比べてベルガが防戦一方であり、奴の武器に込められた魔法の電流は徐々に、しかし確実にベルガの体力を奪い、消耗させる。

    ──このままでは押し切られて殺られる!!! 俺は急ぎ手持ちの銀の矢を束ね、奴に向かって斉射する──が、その多くが不快な金属音を立てながら、勢いよく弾かれてしまう──あの化け物、単純な力や速度だけじゃなく外皮の硬度まで増していやがるのかッッ!!?
    ヤバい!!このままでは本当にベルガが殺されちまう!!!!──チーム内に焦りと動揺が広まり始める。

  • 55二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 13:16:03

    「・・・・・・・・クソッ!! 出来る事なら使いたくなかったが仕方がない!!!────余談ならぬ状況と事態を察したウーリは、忌々しげな表情を浮かべると共に何かを覚悟したかの様に、指先で不浄なる魔法陣を描きつつ、声高らかにこう告げた。

    『───"我が血に宿る忌むべき奈落(アビス)の冥約と無限に連なる大いなる死と骸の玉座に座す、"魔王(デーモン・ロード)アスティルテ"の御名において命ずる!!安息なき墓の底より、現世に来たれ!ジャオフェイ!!"』──極めて不本意ながらもウーリは、俺達のチームだけが知る最大級の"禁じ手"を用いてしまう。


    『──ア、アスティルテ・・・!!?? それに"ジャオフェイ"だとッ!!? 貴様のようなエルフ如きが何故、奈落界アビスの悪名高き魔王(デーモン・ロード)の従魔を喚べる!!??』──予期せぬ事態を察したためか、さしもの奴にも強い動揺と焦りの顔が見え始める。

  • 56二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 13:16:57

    やがて、ウーリの宣言が放たれたと同時に、平原の上空と地面にグルグルと廻り続ける不気味な魔法陣が描かれ始め、それは赤黒く輝く悍ましい光を放出したかと思えば、予期せぬパターンに沿って明滅を繰り返していた。

    そして、回転を止めた魔法陣から赤黒い光の柱が昇ったと思えば、周囲に濃厚な死の匂いと死の冷気が漂い始めた──その瞬間、光の中から聳え立つアンデッドのような風貌をしたフィーンドが堂々と姿を現す。

    知性と残酷さが入り混じった光を放つ目、干からびた象のような頭部、死体のように蒼ざめ、所々が腐敗または白骨化した肉体を有するこの怪物は、無邪気な子供のように邪悪な笑みを浮かべており、不快な笑い声と奇声を発しながら、ウーリに向かってこう述べた。


    『ヒャハハハハハハハハハハハハハハハハハハッッ!!!!!!!! だから言っただろう、ウーリィィィッ!? お前はその身に流れる血の定めからは、一切逃れられないんだよォォォォォッッッ!!!!!!』


     ────"鬼哭語り"のジャオフェイ。物質界でもその名を知られた、悪名高きグラブレズゥ・デーモンにして、グールと墓地のデーモン・ロードたる"食屍姫・アスティルテ"に仕える強壮なる従魔(エグザルフ)の一体────ある意味、俺達が死闘を繰り広げている"奴"よりも遥かに危険で、
    強大なフィーンドの一体を態々物質界に喚んでしまった──

  • 57二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 13:18:51

    ⛧グラブレズゥ(学名:トゥレチェリイ・デーモン) ※Treachery:裏切り、内通、不忠、背信行為、反逆ほどの意

     同種のサキュバス(学名:ラスト・デーモン)が犠牲者の肉体的な情欲と欲求を食い物にすることを手管としているのに対し、グラブレズゥは別の種類の誘惑を行う。獰猛な獣のような外見をしているが、グラブレズゥは実際には術策と虚言の達人である。感じのよい幻で自らの真の姿を覆い隠す能力を用いながら、グラブレズゥは自身の狡猾さと欺罔に屈した者への報いとして、定命の者の願いを叶える神の如き魔法を行使する。

     だが、グラブレズゥによって叶えられた願いは、常にその者の要求を可能な限り歪め、破壊的かつ破滅的な方法で満たす──無論、そのような方法は直ちに明らかになるとは限らず、最悪の真実が露見するのは幸福の絶頂にある数年後といったパターンも数多く見受けられる。
     被害の実例を挙げるのであれば、悪戦苦闘している無名の刀鍛冶は名声と製作技術の才能を望んだ結果、このデーモンの甘美な蜜の如き甘言と誘惑に屈してしまった。そして、願いを叶えてもらった彼は、その後の仕事の軌道があれよあれよと順調に乗り上げ、自身の腕と才能を高く評価する最高級の顧客を手にする事で多大な富と成功を手にする。
     だが、その最高の顧客の正体が、残忍かつ嗜虐的な連続殺人犯であり、今まで創造した武器や作品の数々が、数多くの無辜の民を苦しめた上に、"顧客"の破壊的な欲望と愉悦を押し進めるために使用されていたことが、後年に判明する───伝承によれば、この職人はその後に失意の自殺を遂げたようだ。

  • 58二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 13:19:16

     また別の事例を挙げるのであれば、伴侶を望んだ誰にも愛されぬ孤独な男は、誰もが羨むような絶世の美女を伴侶にするかもしれない──その正体が擬態した邪悪な妖婆(ハグ)などの人外であるという最悪の事実に目を背けながら。
     別の被害者は、予期せぬ事故や事件に巻き込まれて死んだ恋人との再会を望み、その恋人は嘗ての姿形で完璧に生き返ってくるかも知れない──ヴァンパイアやゾンビなどのアンデッドとして。この様にグラブレズゥは定命の者の願望や夢を上手く取り扱い、それを可能な限りに最悪な形に歪め、貶める事にかけては全くもって創造性と独創性に溢れている。

     一般的なグラブレズゥは身の丈18フィート(約5.5m)、体重6,000ポンド強(約2721㎏)。この不実なデーモンは、反逆者、誣告者、破壊的な活動家など、生前は偽りの証言をしたり、裏切りと詐欺で他人の人生を破滅させていた定命の者の魂から形成され、物質界に顕現した際は、生前の同種から成る大規模な詐欺組織や犯罪ギルドの真の首領、果ては自身に仕えるデーモン・ロードのカルトを結成し、その陰の指導者として暗躍する傾向にある。

  • 59二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 13:19:55

     さて、この様に狡猾にして悪辣なるグラブレズゥ・デーモンであるが、このデーモンの中にも先ほど挙げた"固有種"に該当する最悪の個体が確かに実在し、そのような輩はデーモンの本拠地たる奈落界アビスの地はおろか、次元間や時空間の境界を越えて物質界にもその悪名を広く知られる様になる──"絹の如き牙"ヴェジラック、"天国を穢す舌"オルハルズ、"堅忍なる者"モクラヴド、"呪文狩り"ジブリゲスと何れも錚々たる面々であるのだが、その中において最も忌み嫌われ、最も憎まれているのが"鬼哭語りのジャオフェイ"であるという事実は、定命の者はおろかアビスのデーモンですら否定できない事実である。

     ユニークな他の固有種同様、他のグラブレズゥと一線を画する彼は、知性と残酷さが入り混じった光を放つ目、干からびた象のような頭部、死体のように蒼ざめ、所々が腐敗または白骨化した肉体を有しており、アンデッドの如きその外見通りか、"グール・墓地・死者の記憶と秘密を司る強大なるデーモン・ロードの一柱たる"アスティルテ"に忠誠を誓っている。

  • 60二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 13:20:29

     "鬼哭語り"の異名の通り、ジャオフェイは一般的なグラブレズゥが有する魔法を行使するだけでなく、"死霊術"系統の呪文の扱いに何よりも長けており、上記のように愛する者を喪失した定命の者に対して的確な誘惑を行い、彼らの愛する者を望み通り"アンデッド"として蘇らせる形で報いる。そして、これら一連の出来事が如何なる結末を辿るにせよ、最終的に彼の手元には新鮮なアンデッドの"玩具"が最低でも2名は安定して確保される。

     また、ジャオフェイはこの様に蘇らせた死者の姿形を完璧に真似る変身能力を持ち、嘗て誰かが愛したであろう人物の姿で様々な村や国を放浪し、新たな犠牲者やアンデッドを着実に増やすことで、故人の尊厳を冒涜するだけでなく、有害な破壊の形を確実に広げていく。厄介な事に政府やギルドから指名手配されたその犯人が既に故人であるという事実は、その調査や捜査を大いに混乱させるだけでなく、何も知らない故人の血縁者や縁者が犯人として疑われてしまう───その結果、誤認逮捕や村八分などの凄惨な迫害、更に最悪の場合であれば、連座で一族が死刑になるような深刻な二次被害を齎し、この様な定命の者の愚行の数々とその悲劇的結末は、ジャオフェイにとって最高級の美酒のような芳醇な味わいを与え、その光景を見て彼は人間らの愚行を大いに嘲笑う。
     
     言うまでも無く、ジャオフェイはフィーンド狩りの聖騎士や聖職者、善の神々を崇め奉る国や教会からは激しい敵意と憎悪を抱かれており、その首には多額の懸賞金や法相の数々がかけられているが、今日に至るまでこの悪辣なフィーンドを討伐できた者は一人として存在していない──何故ならば、ジャオフェイは半神(デミゴッド)級の強壮なる怪物であり、彼の背後にはジャオフェイすら赤子同然と化すほどに強大な魔神が控えているから。

  • 61二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 13:21:35

    『ん~~~~~~ッ!?何だぁ~? 久方ぶりに顕現して見れば、虐殺大好きなオブシスダイモン様がいるじゃねぇか──────!?』そう言い放った瞬間、ジャオフェイが驚愕したかのような様子を浮かべ、しばし、オブシスダイモンを注意深く凝視する──そして

    『ギャハハハハハハハハハハハハハハハハハハッッ!!!!!!!! オイオイオイオイ!!!!!コイツぁ傑作じゃないか!!!! "お前"ヘルやアビスじゃなくて、よりにもよってアバドンへ堕ちてたのかよォ!!! ヒャハハハハハハハハハハハハハハハハハハッッ!!!!!!!!こ、これは面白すぎるぞ、何てオチなんだ"お前ェ!!!"』
    ───ジャオフェイはそう吐き捨てるや否や、腹を抱えながら盛大に嗤い始める。

    『な、何だ・・・!!?貴様、デーモンの癖に私を・・・・私の事を知っているのか!!?』──眼前のオブシスダイモンに明らかな動揺と不安が広がる。

    『知っているもクソも無ぇだろうがよお~ッ!!! "お前、無名の人間だった頃"から俺達のようなフィーンドの間ではそこそこ有名だったんだぜ? それが権力を手にして以降、お前は"超有名人"よぉ!!! "お前"の穢れた魂が"地獄界ヘル"、"奈落界アビス"、"破滅界アバドン"の何処へ堕とされるのか皆、興味津々でさぁ、あん時ゃ中々愉しませてもらったぜぇ~!?』──ジャオフェイは只管愉しそうに語る。

    『いや~、でもそうかぁ~ッ。まさか、まさか、アバドンへ堕ちてたとはなぁ。賭けは俺様の負けだなぁ───んッ!?おやおやおやおやおやぁ~!?これはこれは、ウーリのお友達御一行様じゃありませんかぁ~!!?────まだ、生きたやがったか。』──俺達の姿を見つけるとジャオフェイは、楽しそうな雰囲気と調子から一転し、明確な
    悪意でもって冷酷な言葉を吐き捨てる。

  • 62二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 13:22:36

    「・・・・・・その台詞、そっくりそのまま返してやるぜ・・・・。死体好きのクソ野郎が・・・・・!!テメェなんざ、"飼い主"にでも殺処分されてりゃ良かったんだがな・・・!!!」──息絶え絶えになりながらも、ベルガはジャオフェイに対して毒を吐く。

    「よせッ!!ベルガ!!! 今はそんなやり取りをしている状況じゃない・・・・!!────冥約と貴様の"主"の御名において、僕が喚んだ・・・・!! 仲間への手出しは一切認めない!!!」──静かな怒りを秘めながら、ウーリがジャオフェイを嗜める。

  • 63二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 13:23:12

    『・・・・へぇーへぇー、冗談ですよ、じ・ょ・う・だ・ん。そうカリカリすんなよ、ウーリィ!? 呪文の唱え過ぎと魔法書の読みすぎでお疲れかぁ!?──それなら"カルシウム"でもくれてやろうか? 幸い"骨"なら沢山ある・・・!!』──そう吐き捨て、邪悪な笑みを浮かべた瞬間──

    『"大虐殺(マッサカー)"』──"詠唱も動作も無し"に最高レベルの死霊術呪文を、オブシスダイモンのいる方向に向かって軽々と解き放った──

                                                    ──続かない

  • 64121/11/10(水) 13:44:23

    >>57

    アカン、イメージ画像を貼り忘れてた(白目)

  • 65二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 13:52:43

    乙!!私こういうゲスキャラ、大好き!!

  • 66二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 18:55:35

    >>63



    「『──!!?──』」──全く予期せぬジャオフェイの動きに、"奴"も含めた俺たち全員は、何の反応も動作も取ることができず、奴に到っては壊滅的な死霊エネルギーの波をまともに受けたようだ。


    恐るべきことに解き放たれた死の波動は、オブシスダイモンに致命的なダメージを与えるだけでは飽き足らず、直線状へとただ只管に突き進み、草木や大地の生命すら容赦なく刈り取っていく。


    その光景をただ茫然と見ている事しかできなかった俺は、ふと我に返り───"あの場所にはヨナのチームが潜んでいたのでは?"───という事実に気付いた瞬間、全身から血の気が急速に引いていく。


    「ジャオフェイ・・・・・!!!!!貴様、まさかッッッ!!!!」──俺の怒りと動揺から全てを察したウーリの顔が大いに曇る。

  • 67二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 18:56:32

    『あ~あ、悪りィ、悪りぃ!? さっきからこっちをチラチラ見てやがるうっとおしい変態野郎がいるからよお~、"消し飛ばして殺ったぜェ!?"』──あろうことかコイツは、オブシスダイモンを攻撃するついでに、遥か後方に潜んでいたヨナ達をも巻き込んだのだ。

    「──────ッッッッ!!!!!!」──頭に血が上った俺がジャオフェイに向かって、"とびっきりの一発"をお見舞いしようとしたその瞬間─────

    「このクズ野郎ッッッ!!!! もう我慢ならねぇ!!!! 今度こそぶち殺してやらぁッッッ!!!!!!!!!」──我慢の限界を超えたベルガが、俺よりも早く衝動的に飛びかかるが、ジャオフェイは鋏のような手でそれを軽くあしらいベルガは勢いよく吹き飛ばさてしまう。

    「ベルガッッッッッ!!!!!!!!」

  • 68二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 18:57:34

    『ハッ!!相変わらず口と勢いだけは達者だな、クソ爺。万全な状態ならともかく、満身創痍の貴様の攻撃なんぞ、痛くも痒くもねえんだよォォォ!!』──ベルガの必死の足掻きをジャオフェイが容赦なく嘲笑う。

    やがて、ベルガや俺に対する興味が完璧に失せ始めたジャオフェイは、再びオブシスダイモンの方へと視線を戻し、いつもの狂った様な口調と台詞回しで奴を煽り始める。


    『にしてもどうだい? 効いただろう~、俺のお気に入りの呪文は? "虐殺の冥魔(ジェノサイド・ダイモン)"が"大虐殺(マッサカー)"の呪文で酷い目に遭うなんて、粋なジョークだろォ!!?────嗤えよ、ダイモン』

    そう言い終えると同時にジャオフェイは、意識朦朧としつつあるオブシスダイモンに様々な死霊術呪文を容赦なく浴びせかけ、弱り始めた奴を一方的に蹂躪する──最早、これは戦いと呼べるような代物では無かった。

  • 69二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 18:58:36

    『ギャアアアアアアアアアアアァァァァァッッッッッ・・・・・・・・!!!!!』

    『ギャハハハハハハハハハハハハハハハハハハッッ!!!!!!!! イイ反応だァッ!! 生きても死んでも蘇っても"お前"は、俺達の最高の玩具だなァッ!!!アビスに堕ちてたら、湿気たダイモンじゃなく俺らがもっと"可愛がってやった"んだがなァッ!!!!』

    「・・・・・・もういい・・・・!!!!あとは・・・・・後は僕たちが・・・・僕達が此奴に止めを刺すッッ!!! ・・・・・・・お前にもう用は無い!!!アビスへと還れ!!!」───見れば、生気を完璧に失い、衰弱しつつあるウーリが息も絶え絶えになりながら、ジャオフェイをアビスへ強制送還させようとしていた。

    「────ウーリ!!!!」───今や立っているのが精いっぱいな状態のウーリを俺が必死に支える。

    『・・・チッ!!、"いつもより消耗が早い"なァァァッ!? まだ、たった1分しか経ってないぜェェェッ!!? "お愉しみ"はこれからだってのになぁ!!!?』────あの様子を見るにウーリの野郎は、もう限界か。個人的には冥約なんぞ無視して、このままアイツが衰弱死するまで居座り続けてもいいが、そんな真似をしたら俺がアスティルテ様に殺られちまう。


     仕方ねぇな───不本意ながらも、俺はアビスに帰還する決意を固め───

  • 70二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 19:00:39

    『全くしょうがないなァ、ウーリ君は~!! 折角の物質界を堪能出来ないのは少し心苦しいが、俺様は素直にこの世界を去るぜッッ!!!────"この程度の事"で俺を喚んだら、次は無えぞ!?ヒヨッ子共ッッ!!!』───いきなり地面に現れた魔法陣の光に包まれながら、そう吐き捨てたジャオフェイは、このままアビスへと帰還する───そう思わせた瞬間───

    『折角だから、最後に置き土産だ────"グレーター・クリエイト・アンデッド(上級アンデッド創造)!!"』──奴がいきなり呪文を唱えたのだ──


    すると平原に無数の夥しい霊魂が集まり始め、それが一つの忌まわしい"カタチ"を凄まじい速度で形成し始める───まさか、コイツ、"イドル村"の犠牲者を!!!──そんな考えが浮かんだ時にはもう既に遅かった。

  • 71二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 19:01:22

    夜の平原に突如として身長10フィート(約3m)ほどの悍ましいアンデッドの巨人が誕生し、その開かれた胸の中には村の住人と思わしき無数の霊魂が、苦悶の表情と怨嗟を浮かべながら渦巻いていた。


    『ギャハハハハハハハハハハハハハハハハハハッッ!!!!!!!! お疲れだろうが精々頑張れ~!!───もしかしたら、"次"に遭うことなんてもう未来永劫無いかもしれないなァッ!?』───そんな言葉を残して、ジャオフェイはアビスへと戻り、後に残されたのは疲弊しきった俺達と"奴"───そして、"ディヴァウラー(貪る者)"と称される"脅威度C"の忌まわしいアンデッドの怪物のみとなった。

  • 72二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 19:01:47

    ⛧ディヴァウラー

     その名に"貪る者"の意を持ち、"魂を喰らう者"として忌み嫌われるこの強壮なるアンデッドの怪物は、多次元宇宙の遥か彼方で死んだフィーンドや邪悪な術者の遺骸から構成される。歪んだ肉体、異質な感情、生命への飢餓と共に最悪の形で現世に戻ってきたディヴァウラーは、全ての魂を貪り、脅かし、恐るべき苦痛に満ちた滅びを与えようとする。この痩せ衰えたアンデッドの身長は平均10フィート(約3m)だが、その体重はわずか200ポンド(約90㎏)である。 

     ディヴァウラーは殺害した生物の魂を体内に閉じ込め、その魂を消化する事で様々な魔法の力を発揮することができるだけでなく、自身に優雅な魔法や類似した効果を中に捕われた魂に強制的に押し付けることができる。だが、ある意味でそれ以上に厄介なのは、最高位の死霊術師であれば、このディヴァウラーを"死霊術で創造することができる"のだ。一部の賢者や秘術使いによれば、この様なディヴァウラーは、一般的なゾンビやレイスといったアンデッドのように死体や霊魂から創造されるのではなく、それらを触媒に"召喚"されるのではないかという仮説を立てており、特定の邪悪な死霊術呪文や類似した系統の呪文は、何らかの邪悪な存在によって創造され、意図的に広められたのではないかと推測している。

  • 73二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 19:02:39

    「・・・・不味い、不味いなぁ、こりゃあ・・・。いよいよ俺達のチームも年貢の納め時か?」──珍しくベルガが弱気な発言を見せる。

    「・・・・・まだだ、まだ諦めるな!!俺達はここで終わるわけにはいかない!!」──何の根拠もなくベルガを励ますが、さしもの俺も本能的に不味いと感じ始めていた。

    朝から魔力を消費した挙句、ジャオフェイを召喚し、その代償として生命力の一部を奪われたウーリはもう戦えない。

    ベルガは何事も無かったかのように平然に武器を握りしめているが、付き合いの長い俺達から見れば、最早満身創痍の状態──朝早くから"一仕事"を終え、殆ど休む間もなくオブシスダイモンと死闘を繰り広げたのだ。無理もない。

    そして、俺もウーリを抱えながらの状態では、まともな戦闘はおろか逃げ回るのですらキツイ──せめて、せめて俺達が万全な状態なら、ディヴァウラーなんぞ如何にかできるのだがッ・・・・!!!


    そんなことを思いながら、ふと思い出したかのように俺がオブシスダイモンの方を見ると───"奴"がまた煙のようなものを1つ貪り、その傷を癒し始めていた・・・・!!

                                                 ───続かない

  • 74二次元好きの匿名さん21/11/10(水) 23:10:09

    オイオイ、死んだわコイツ(確信

  • 75二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 00:10:21

    >>73


    『・・・・畜生めッッッ!!!!一体、一体アイツは何なんだッ・・・・・・!!!』──理解が全く追いつかない。不条理な災害のようにいきなり現れ、好き放題にこの場を搔き乱したかと思えば、厄介な"置き土産"を置いてこの場を去りやがって・・・・・!!!


    今や数少ない魂の貯蔵をまた1つ消費して、"ヒール(大治癒)"呪文による回復を行い、ある程度態勢を整えるも、今までの戦いによる疲労の蓄積と奴からの余りのダメージに傷が完全に癒えない。


    ふと、あのユンゲ達の方を見れば、あのクソったれによって召喚されたディヴァウラーによって彼らの生命は最早風前の灯火の状態であり、私が直々に手を下すまでも無いだろう。


    ──もうこの場に用は無い。さっさと退散して傷を癒さねば──


    そう思い、"上級瞬間移動(グレーター・テレポート)"を発動してこの場を立ち去ろうとしたが──私の中に微かに目覚めた良心が容赦なくそれを咎めた。

  • 76二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 00:11:30

      ──また、"お前"は見捨てるのか。──     ────"お前"はそうやって近しい者達をも見捨てた────
             ──愛する者も愛した祖国も何も守れず──      ──"我が息子"と言っておきながら、"お前"は"彼ら"に何をした?──


     ──「「「「「「空虚な希望と中身の無い美辞麗句を語りながら、"お前"は愛する者達と祖国に何を齎した?」」」」」──


             ──結局、"お前"は多くの命を奪っただけ。誰も幸せににしたことも救ったことも無い──                   ──"お前"は臆病者だ──
    ──怖いから、"あの時"の様に無辜の者達を容赦なく殺せる──   ──人の身であれ、人外の身であれ、結局のところ、それが"お前"の本性なのだ──


             ──「「「「「「そんな"お前"は、"また"エヴァを殺すだろう」」」」」」──

  • 77二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 00:12:11

    このレスは削除されています

  • 78二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 00:12:32

    耐え難い良心の声に私は、思わず苦悶の声を上げながらその場にうずくまり、今この場で最も認めたくなかった事実を突きつけられる。


     ──『・・・・嗚呼、そうか。結局、昔も今も"私"は"何も変わっていなかった"のだ』──


     私の呪われた霊が永遠の日蝕に覆われたあの世界へと堕ち、言語にする事も想像にする事もできぬほどの苦痛・恐怖・絶望の数々を味わいながら、"奴ら"の拷問によって徐々にダイモンへとその身を変えられた時、薄れゆく意識の中で私は、あの時こう思ったではないか──


     ──『もし、もしやり直す機会があれば、それがもし奇跡的に与えられたのであれば、今度こそは誰かを少しでも助け、幸せにしたい』と──

  • 79二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 00:13:08

    そんなことを思い出していると、何故かあの狩人の姿がふと視界に入り──その詳細な姿をハッキリと目にした瞬間、私は雷鳴が直撃したかのような強い衝撃を受けた。

    『な、何故、あのユンゲが"あんなもの"を身に着けている!?』──私はわなわなと震えざるを得なかった。私は"それ"に見覚えがあった──否、見覚えがあるなどという生易しいものでは無い!かつて、私が残した負の遺産を、まさかここでも目にしようなど一体誰が考えたであろうかッ!!?

    ──必死に逃げ回る狩人のその首には、この世界に存在するはずの無い「騎士鉄十字章」がお守りの様にかけられていたのだから──

  • 80二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 00:13:41

    『・・・・これは、何かの運命なのか?』──いや、今はそんな事を考えている暇は無い。私はあのユンゲにどうしても聞かなければならないことができた──

    気を取り直して愛用のハルバードを手にした私は、ディヴァウラーへと勢いよく襲い掛かった。

  • 81二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 00:14:41

    「・・・なあ、レオ?・・・・ジャオフェイの野郎は、俺達に幻術でも掛けたのか? 一体、何が起きてやがるッ・・・・!?」

    「分からん、全く分からん・・・・!!生まれてこの方、こんな光景は見たことが無い・・・・!!」

    意識を失ったウーリを抱えた俺達は、眼前にて繰り広げられる奇妙な光景に、ただただ困惑するより他が無かった。

    まさか、敵対していたはずの化け物に助けられるとは思いもよらなかったのだ──よりにもよってフィーンドに、生者への憎悪で名高いあのダイモンに助けられるなんて、今まで見たことも聞いたことも無い・・・・!!

     オブシスダイモンからの予期せぬ攻撃を受けたディヴァウラーは明らかに動揺し、すぐさま必死に応戦を繰り返すが──まるで相手にならない。
     奴は家畜を屠るが如く、あのディヴァウラーを容赦なく惨殺し、気が付けばディヴァウラーはこの世のものとは思えぬ悲鳴を上げながら消滅し、奴の体内に幽閉されてた無数の霊は解き放たれ、瞬く間に天へと昇っていく──そして、再び静寂さを取り戻した平原には、最初の遭遇したあの時と同じように、奴と俺達の4人のみが残された。

  • 82二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 00:15:06

    邪魔者を消して満足したのか、オブシスダイモンはゆっくりとこちらへ視線を向け──俺達のいる場所に距離を詰め始める。

    そして、奴の間合いに俺達を収めると、残り僅かとなった煙のようなものを全て消費しつつ、こちらに向かって呪文を詠唱する──どうやら止めの呪文らしい。

    「・・・・どうやらワシらは、最後のメインディッシュらしい・・・・!!」──最後に残った気力を必死に振り絞りつつ、ベルガは愛用の斧を構えるが、最早マトモに戦える状態では無く、構えるだけで精一杯だ。

    「──万事休すか・・・すまない、皆。」──走馬灯のようにこれまでの思い出の数々が脳内を思い描き、俺が死ぬ覚悟を決めた瞬間──俺達を暖かい光が包む。

  • 83二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 00:15:41

    「・・・・こ、これは"ヒール(大治癒)"・・・・!!?」──気が付けば俺達の疲労や不調などは瞬く間に回復し、万全とは言い難いが充分に動けるほどには体力が回復してゆく。

    「い、いったい、一体何が起こったんだ・・・・!? レオ・・・・!?」──気が付けば、意識を取り戻したウーリが俺に質問を投げかけるが、それはこっちが聞きたいことだ。ハッキリ言って、状況が未だ呑み込めていない。

    「・・・どういうつもりだ貴様・・・。俺達を生かして何の得がある───さては、俺達に恩を売りつけて、冥約でも結ばせるつもりかッ!!?」──活力を取り戻すや否や、ベルガは急ぎ奴から離れ、すぐさま戦闘態勢に入る。

    その言葉と皮切りにウーリと俺も、再度戦闘の構えを見せる──が、奴からの返答は全く思いもよらぬものであった。

  • 84二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 00:16:37

    『・・・そんなつもりは無いよ、ユンゲ諸君──わたしは・・・私は少しでも君達を助けたくなっただけだ。』

     「「「「はぁッ!?」」」──予期せぬ奴の言葉を聞いた俺達は思わず気の抜けた声を出してしまう──ベルガやウーリに到っては、思わず茫然と口を開いて驚愕している。あいつらのこんな顔、今まで見たことが無いぞ?

    『治療のお礼の代わりと言っては何だが、一つだけ・・・・どうしても狩人の君に聞きたいことがある・・・・。その首にかけている勲章のようなものは、一体何処で、何時手に入れたのかね・・・・?』

    気付けば、奴からはダイモンといったフィーンド特有の滲み出る悪意が完全に消え失せており、その雰囲気や獣じみた顔も何処か穏やかに見えた。

    最初は何らかの罠を警戒し、適当な嘘ではぐらかそうと思ったが、今の奴の様子を見てそれを一転させた。今の奴になら、正直に全てを話してもいい───いや、"コイツには全てを話さなければならない"と俺の中の本能が何かを告げていた。

  • 85二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 00:17:03

    「・・・これは死んだ爺さんの形見の品だ。生前、爺さんはこれを後生大事に扱っていてな、何でも、実の父親のように親身に接してくれた"総統閣下"とやらに送られた直々の品らしい。」

    「・・・・こんな事をアンタに話していいのかは分からないが、俺の爺さんは"この世界で生まれた人間じゃない"──確か、俺の記憶が正しければ"ドイツ"とかいう国で生まれ育ったと聞いた覚えがある。」

    『・・・・・やはり、そうか。・・・話してくれて有難う。・・・・その内容だけでもう充分だ──だが、最後に、最後に君のお爺様の名前だけでも教えてはくれぬか。』

    「・・・・それくらいなら、別にいいさ。俺の爺さんの名は"アデル"──"アデル・ライオヴァルト" 名前は忘れちまったが確か、ナ、"ナントカ・ユーゲント"とかいう組織に所属したらしいぜ? ウチの爺様?」

    『──────ッ!!!??』───嗚呼、何処までも因果はついて回るのか。"私"はつくづく自分の業の深さと呪われた運命の重さを実感せざるを得なかった。

  • 86二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 00:17:35

    「そうだ・・・。折角だから、アンタの名前も聞きたい。何故だかなぁ、不思議とアンタと俺は縁が深いように感じるんだ。」──警戒を殆ど解いたであろう、眼前のユングは私に初めての笑顔を見せてくる──その顔は、私が地獄のような戦地へと向かわせてしまった、とある青年と瓜二つであった。

    『────私の名はミヒラウス。そう他の連中からは呼ばれていたが、これはダイモンとしての忌まわしい魔名であって、本当の私の名前じゃない。嘗ての私の本当の名は──』

  • 87二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 00:18:28

    『───ヒトラー。アドルフ・ヒトラー。嘗て、君のお爺様の生まれた国で生まれ育ち、そこで取り返しのつかぬ愚行をしでかしてしまった、罪深く愚かな人間の一人さ────』


                                          
                                                  ────終わり

  • 88二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 09:11:46

    いつの間にか終わっていただと!? 乙です1!
    時間ある時にゆっくりと読ませてもらう

  • 89二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 09:22:27

    超絶乙!!!正体がチョビ髭と分かってから改めて読むと、何か凄く納得できるわ…

  • 90二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 12:13:47

  • 91二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 15:48:18

    普通の一読者になり無心に楽しんで読めました…乙です

  • 92121/11/11(木) 17:49:01

    終わりといったな──アレは嘘だ。ネタが少し浮かんだから、もうちっとだけ続くんじゃ。

    あと少しだけお付き合いください。

  • 93二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 17:49:45

     俺達が街へ戻ったのはちょうど夜明け頃だった。奴──"アドルフ"──と俺達が腹を割って話し合った結果、"俺達との死闘の末、重傷を負った奴は呪詛の言葉の数々を吐きながら、アバドンへと逃げ還った"という設定で和解した。ご丁寧な事にアドルフは、片方の牙と外皮を覆う毛皮の一部を俺達に気前よく差し出し、「これを撃退した証拠として差し渡せ」と述べたため、俺達はそのご厚意に甘える事にした。

     残念ながら、安全地帯に潜んでいたヨナトとルイは、ジャオフェイのあの呪文によって完璧に事切れており、如何なる回復の手段も無駄であった。俺とベルガは二人の死体を如何にか持ち抱え、街への帰還の準備を整えると、ウーリが"上級瞬間移動(グレーター・テレポート)"の効果を持つ巻物から呪文を発動し、俺達は"アンドーラン共和国"の首都である"アルマス"へ無事帰還した。

  • 94二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 17:50:38

     俺達の帰還を祈りながら待ち続けていた町の住民らは、帰還した俺達の姿を目撃するや否や、早朝にも関わらず盛大に騒ぎ始め、さながら祭りの様相を見せていた。早朝にもかかわらず、わざわざ出迎えてくれたギルト長と人民議会の役員の一人である"アルベルト・モルデリオ"は、俺達の労苦を手厚く労うとともに、ヨナトとルイの予期せぬ死を大いに悼んでくれた。

     用意された最高級の宿へと向かう途中、老若男女問わぬ町の住人や見慣れた顔なじみ連中から、かなり派手に揉みくちゃにされたが、それもまた一興か──犠牲になってしまったあの二人には申し訳ないが、俺達はこうして何とか生きている。それでいい。今はただそれだけでいい。ただ、今は少しでも体を休めたい──そんな事を考えつつ宿の一室に入ると底知れぬ安堵と開放感からか、俺達は糸が切れた人形の如くに意識を失い、そのまま泥のように眠ってしまった。

  • 95二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 17:52:40

     目覚めたのはちょうど夕暮れ時であろうか──宿には派手な明かりが灯り、ふと窓を見下ろせば、今や見慣れたこの町特有の活気と喧騒で賑わいつつある。俺の目覚めに気付いたウーリとベルガも丁度覚醒したようで、強い空腹を感じた俺達はこの宿の洒落た豪勢な飯では無く、いつもの食いなれた料理で腹ごしらえをすべく、行きつけのあの酒場"酔いどれ天使亭"へと足を運ぶのであった。

     酒場の活気はいつもの十倍以上に感じられた────さては、こいつら明け方から飲んでやがったな。店に漂う濃厚なアルコールの匂いから俺が直感的に察すると、俺達の姿に気付いた馴染みの常連達はまるで、神話の英雄や神に出くわしたが如く、想像を絶する歓声と騒ぎぶりを見せ、その活気ぶりはこの店を壊しかねない程であった。

  • 96二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 17:53:02

    このレスは削除されています

  • 97二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 17:54:37

    「おいッ!おいッ!!来たッ!!来たぞッ!! 我等が英雄御一行様のご登場だッ!!!!」 
      「いよッ!!!!待ってましたぁーッッッ!!!!!!」
    「これで酒がさらに弾むぞぉー!!!! ミルコォ!!!!酒の追加だァァッッ!!!!酒をよこせーッッ!!!!」

    「うるせーッ!!!!! 朝早くから店開けてっから、人手が全然足りねえんだ!!! そこにあるから自分で持ってけ!!どアホッッ!!!!!」 

    「今日は無礼講だぁ~ッ!!!!お前らッ、飲め、飲めッ!!!レオ達も帰ってきたし、ダリアも無事だったし、今日はいい事尽くめだぁ!!!」
       「──アンタ、調子乗んなよ? ふざけてる暇あったら、この料理を早くあっちのテーブルに運びな!!!」 「────ハイ、すみませんでした・・・・」  

              「「「「「「「尻に敷かれてんじゃねーよ、バーカッッッッ!!!!!」」」」」」」」───ギャハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!!  

     『お前らもだよッ!! 吞んべえ共!! 朝から飲んでる暇があったら、そろそろ少しは手伝いなッッ!!!何時までもグダグダしてるなら、ドロスカー火山の火口に投げ捨てるぞッッ!!!!!』

             「「「「「「「────ハイ、すみませんでした・・・・」」」」」」」

     「怖ぇーなぁ、ジョーゼフのカミさん・・・」「冒険者になってりゃ、今頃歴史に名を残してたかもしれんぞ」
    「間違いなく適正クラスは、ファイターかバーバリアンだ」「その道を選んだダリアさんが居たなら、例のオブシスダイモンも案外何とかなったかも知れんな」

           ────────『そこも喋ってる暇があったら、手を動かせッッ!!!!』────────

                 「「「「────ハイ、すみませんでした・・・・」」」」


     ハハッ、相変わらず騒々しい店だ───だが、それがいい。俺達がいつもの席に着くと、店主の"ミルコ・ヴォルクス"とそのカミさん"イズミ・ヴォルクス"が、かなり豪勢な料理と酒をタイミングよく運んでくれた。

  • 98二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 17:55:07

    「レオ達のお陰で、この町はおろか国が救われた。あんまり嬉しくないかもしれないが、店にいるこいつらを代表して改めて、礼を言わせて貰う───本当に有難う。君達は間違いなく、私達の英雄だ。」

    「・・・・・あの二人の事は聞いたよ。"あの化け物の卑劣な罠によって、命を落としちまったそうだね・・・?" もう二度とあの子らに会えないは、確かに寂しいが、決して気に病む必要は無いよ。あんた達は立派に役目を果たしたうえに、こうして無事に生きて帰ってきたんだ。それだけで勲章もんだよ───もし、文句を言う馬鹿がいたら、"ゴドウィン1世"だろうが人民議会のお偉方だろうが、アタシがぶっ飛ばしてやるから安心しな!!」

     その言葉に少し、胸が痛みつつも俺達は、用意されたエールを勢いよく呷る────気のせいか、いつもよりも味が苦く感じる。 そんな事を思っていると────

  • 99二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 17:56:42

    ──────ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッッ!!!!!!!!───店に常連達の盛大な笑い声が木霊する───

     「そりゃあ最高だ!イズミ!!」  「そん時ゃ、俺も協力するぜぇ!!!」
    「ついでにいけすかねぇ、"シェリアックス帝国"の女王様でもぶん殴って来いよ!!そしたらある意味、世界最強の女になれるぜッ!?」 
     「そりゃあいいッ!! この町のゴシップ記者連中も、暫くの間はネタに事欠かないだろうよ!!」 

    「ダリアと言い、イズミと言い、本当にやりかねんから困る・・・・。」
     「この町の女は、ほんと何でこんな気が強ぇんだか・・・・」 「どっちにしろ、ダンナの胃がストレスでぶっ壊れちまうのは確定だなぁ!!」 
    「オイオイ、倒れるのは勘弁してくれよ!? 馴染みの店じゃねぇと酒が不味くなるんだ!?」
     
    ─────『やかましい!!吞んべえ共!! 今はアタシが喋ってんだ!!ちょっとは静かにしなッ!!!』────

            「「「「「「「「────ハイ、すみませんでした・・・・」」」」」」」」


     いつもの馬鹿げたやり取りとその光景に実家のような安心感を覚えた俺達は、次々と用意された美味い飯と酒を喰らい、腹だけでは無く心も無事満たし───気が付けば酒場での楽しい一時は、あっという間に過ぎていった。

     しばしの間、この場所で浮世を忘れていたかったが、そういう訳には行かない───俺達はどうしても、ギルド長に"聞かねばならないこと"があったからだ。

  • 100二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 17:57:43

     後ろ髪を引かれる思いで、如何にか店を後にすると俺達は"パスファインダー協会・アンドーラン支部"のギルドへと向かい、そこでも残業をしていた思わしき職員達から手厚い歓迎を受けたが、俺達はそんな事の為に態々ここに来た訳では無い。
    俺達がギルド長のいる奥の部屋へ通されると、ギルド長のイーゾックは今も書類整理をしていたらしく、膨大な紙と資料の山に埋もれていた。

    「─────おおッ!? レオ達じゃないか!? 疲れてるだろうに態々こんな所までどうした!? 言ってくれれば私が、直々に宿か酒場まで駆け付けたというのに!?」──仕事中だというのに嫌な顔ひとつせず、対応してくれたギルド長に軽く挨拶を済ますと、俺達は徹底した人払いを願い、この部屋には俺達とギルド長の4人のみとなった。


    「一体何の──そうか、ヨナ達の事についてだな・・・!? あの二人を失ったのは大変悲しいが、お前達が気に病む事じゃあない。仕事終わりにも拘らず。本当に君達はよくやってくれたよ。改めてこの場で礼を言う。」──ギルド長は深々と頭を下げる。


    「それにな、レオ。既に葬儀や聖職者の手配も済ませているし、費用は勿論ギルド側で負担する。一応、町を挙げての盛大な葬儀と別れの会を執り行うつもりでな、それが彼らの犠牲に報い、その霊を慰める最善の方法かと────」───彼が続けさまに喋ろうとしていたのを、俺は所かまわず話を遮る。

  • 101二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 17:58:04

    「・・・・その案件もあったんだが、"本題は違う"───俺達が聞きたいのは、イドル村から訪れたという幼い姉弟についてだ。」


    「ワシらもあの村には何度か訪れた事があってなぁ、最後に訪れたのは、忘れもしない3年前のあの時。3年間に訪れた時の記憶が正しければ、ワシらが1週間滞在したにも拘らず、"幼い子供なんて、あの村では一切見かけなかった。"」


    「・・・・確か、あの村は高齢化と若者の都会や他国への流出により、人口が減少傾向にあり、"幼い子供はもうあの村には住んでいないはず"。人民議会でもあの村の過疎化に関する議題が、相応に挙げられていたはずです。」


    「─────!!!?」

  • 102二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 17:58:49

    「・・・・なぁ、イーゾックよ。あの時、"なんで態々、ギルド長であるお前さんが俺達に仕事の依頼を持ち込んできた?"。 お前さんとはそこそこ長い付き合いだが、"あんたが直々に依頼を寄越す何て、滅多に無いじゃないか?"」


    「・・・確かにあの時は予期せぬ事態で気が動転していたかもしれないが、混乱しつつある現場を纏めるはずのアンタが少しでも離れるのは、非常に不味いはずだ。ギルド長、真面目なアンタなら、自分の置かれた地位と責任の重さをよーく知っているだろう?。」


    「・・・そもそも、"見ず知らずの姉弟とギルド長との直々の面会を、何故ギルドの受付職員が許したんですか?"。 本来ならギルドの受付が然るべき対応と緊急時か否かの判断を行い、その後に上層部を通じてギルド長に情報が入るはず・・・。本来、あの場所にはギルド長では無く、報告を受けた上層部の職員が向かえば、それだけで冒険者には十分危機が伝わるはずです。」


    「・・・・・・ま、まさかあの姉弟は・・・・・・・!!!!?」


    「───残念だが、ほぼ確実に断言できる。あの姉弟の正体は"フィーンド"だ───」

  • 103二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 18:00:28

    ───時は少し遡る


     早朝から祭りのような賑わいを見せるアルマスの一画から、死闘を制した冒険者達の帰還を冷ややかに見つめる者がいた。


    『・・・・ダメでしたな、姉上。もう少し、奴には大規模な破壊と死を齎して欲しかったのですが・・・・・。』

    『まぁ、いいじゃない。"チョビ髭閣下"のお目覚めには充分役に立ったし、"トレルマリキシアン様"もこれでご納得してくださるでしょうよ。』

    ───その言葉を吐き捨てると同時に幼い姉弟の姿は、青い肌を持つ美しいフィーンドの姿へと早変わりし、この青い肌の美しい人間には雄羊の角、額には第3の目を持ち、唸りをあげる毒蛇の頭で終わる長い鱗状の尾が生えていた。

    『それに目の上の瘤も消えてくれたわ。これで次は私達が"先苦者"の候補になる───』

    『そして、我等が"先苦者"に昇り詰めた暁には、"四騎士"の何れかの座を───』

  • 104二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 18:01:36

     前述した様にオブシスダイモンを喚んだ召喚者の99%は、確実に滅ぶ───では、残りの1%は?。

    オブシスダイモンに勝るとも劣らぬかそれ以上の悪意を持ったものは、意図的に真名を広めたこの上級冥魔を"ワザと物質界か何れかの次元界に解き放つ"。
    そのような救いようの無い"悪"は、自身の口にするのも憚られるような野望と目的を達する為だけに、オブシスダイモンを利用するのだ────エロダイモンの固有種たるこの姉弟のように。


    ────はてさて、ダイモンの身でありながら、ダイモンであることを捨てた"彼"は、永劫に続く呪われた第二の生において、一体如何なる道を歩むのか。それは神々ですらも解らない────


                                               ───今度こそ終わり

  • 105121/11/11(木) 20:48:11

    頭を冷やして改めて見たら、嘘でしょ・・・ 直ぐに終わるはずだったのに100を超えてる(白目)


    何か勿体ないし、もうここまで来たら、>>32>>33の設定大好き侍の方の為だけに、ダイモン関連の設定を書いて埋めます。


    あらかじめ言っておきます。

    ≫1が影響を受けた海外某TRPGからほぼパクったものであり、自分ならこうキャラ付けあるいはこう設定すると独自解釈した代物となっています。


    *長文注意。クソ長いです。

  • 106二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 20:48:53

    ⛧ダイモン(冥魔)

     破滅の先触れにして死の最悪の形の体現であるダイモンは、苦痛に満ちた死、全てを貪る邪悪な渇望、生命の徹底的な破壊者の縮図である。デーモンは終わりのない不浄なる進撃の中で堕落と破壊を求め、デヴィルは定命の者を堕落させるため悩ませ奴隷とするが、ダイモンは定命の者の生命を貪ることだけを望む。野蛮な力を使って生命を奪い、脆弱な魂を餌食とする者もいれば、地域全体を破滅に導くような大規模な欺きを行う者もいる。あらゆる生命を所有していると主張し、あらゆる悪逆を行うダイモンは恐怖、不信、絶望を広め、存在の輝きを失わせ、最終的には次元宇宙を究極の破滅へと近づける。

  • 107二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 20:49:14

     生者への憎悪で悪名高いダイモンは、究極の野望には全ての定命の者の命を吹き消す――より暴力的あるいは恐るべき最期が望ましい――というものが含まれるがために闇黒の夢や恐怖に満ちた話のタネである。その手法は野放図なまでに様々で、典型的にはダイモンの種によって大きく異なる。多くの者は定命の者が住まう様々な次元界に潜入し、鉤爪の生えた腕で死を撒き散らすが、悪意ある人形遣いとして配下(定命の者も非定命の者も)を操り、自らの過酷な領域から大規模な災いを煽り立てようとする者もいる。

     このような手法の多様性のため、多くの賢者や学者はダイモンの陰謀を他の種類のフィーンドによるものだと誤解する。このしばしば致命的な過誤は、ダイモンが頻繁に他の来訪者と取引したり操ったりすることでさらに広まる。しかし、全ての場合において、絶望、破滅、死が陰湿な伝染病の様に広がることがダイモンの関与に特徴的であるが、そのような兆候が明らかになるのは、既に手遅れになってからの場合が少なくない。

  • 108二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 20:50:04

     ダイモンは永遠に沈まぬ日蝕、陰鬱なる冷たい霧、恐るべき形相と黙示録的な原風景、狩られた魂の昏い広がりである"破滅界アバドン"で繁栄する。この呪われた荒野へと堕ちた魂や生者を捕食しようとする土着のフィーンドやその他の恐怖、他の悪しき次元宇宙からの力から逃れた罪深い定命の者の魂は、徐々に情け容赦なくダイモンそのものへと変わる。

    この傷ついた荒野、毒の沼地、永遠の夜の領域の只中に、ダイモン達の暴君たる"黙示録の四騎士"の邪悪な領域がある。破滅の諸王であるこれら強大で唯一無二のダイモン神達は、多次元宇宙規模の虐殺、破滅、死を望み、次元界中に恐怖と悲しみを広めるため低位の同類達の軍勢を駆り立てる。言うまでも無く騎士達は唯一の目的を共有するが、その戦術と野望は様々である。

  • 109二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 20:50:47

     広大な領域を支配する四騎士は劣位の同胞からなる想像もできないほどに巨大な軍勢に仕えられているが、彼らの称号に縛られたダイモンの従者達がもっとも密接にしたがっている。ダイモンの間では助祭(ダエコン)として知られる、特定の種のダイモンの従者達は、騎士の称号を持つ者に奉仕する。このようなアークダイモンの道具達はその強さと能力に差はあるが、その数によって主君にほぼ同等の領土を保持できる軍団を与えている。

  • 110二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 20:51:19

     また、他の如何なるフィーンドの種にも増して、ダイモンの幾つかの種は魂を欲する。次元界の他の邪悪な住人達は生命の本質を堕落させ破壊することを望むが、多くのダイモンは定命の魂を保有し操ることに価値を置き、魂を捕えて所蔵する――そうすることで生命の自然な運行を妨げ創造の精髄を貶める事で、自らの恐るべき気紛れと悪意に従わせる。全てのダイモンが定命の者の魂を盗み、自分達が好き勝手に使えるようにできる能力を持っているわけではないが、最下級のダイモンである狂気のカコダイモンは生命の精髄を延々と捜し求め、貪り閉じ込める。

    この最下層種のダイモンは定命の魂に破滅を齎す機会を高めることを望んで、より強大な仲間に熱狂的に仕える。カコダイモンは自分が閉じ込めた魂に殆ど価値を置いていないが、より強大なダイモンは記念品、恐るべき儀式のエネルギー源、恐るべき主君の恩寵を得るための貢物として熱心に魂を集める。また、幾つかのダイモンの種は定命の精神を捕え、魂の力を導き出し、彼ら自身の邪悪な目的の為の完全なる破壊の力へと変換する悪名高い能力を有する。

  • 111二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 20:57:59

    このレスは削除されています

  • 112二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 21:06:08

    ⛧"先苦者"(ダイモン・ハービンジャー)
     破滅界アバドンに棲む膨大な数のダイモンの軍団の中には、自身に秘められた神性の火花と力を見出し、独自の変成と進化を遂げた個体が誕生する。これらの唯一無二の個性を手にしたダイモンは"先苦者(ダイモン・ハービンジャー)"として知られており、黙示録の四騎士に仕える"助祭(ダエコン)"を超える権力とアークダイモンに次ぐ位階を有する、強大な半神(デミゴッド)達である。

    これらの"先苦者"は小規模ながらも、四騎士と同様に破滅界アバドンの地にて専用の領土を所有しており、自らの崇拝者に対して神としての恩寵を付与できる。個々の"先苦者"同士は熾烈な競争相手でもあるが、彼らの大部分は特定のアークダイモンに従属している。これら"先苦者"は広大なる破滅界アバドンの地にて、数百から数千ほど存在しており、以下に記すはその中で最も有力かつ名を知られた存在達である。

    ⛧"先苦者"(ダイモン・ハービンジャー)の一覧(その1)

    魔名        属性      権能                             
    アエスドゥラス   中立にして悪  リッチ・魔法による災害・不死             
    アジズ       中立にして悪  切断・皮剥ぎ・戦利品の取得          
    アノジェト     中立にして悪  動物による攻撃・クーデター・革命       
    アルラクラマス   中立にして悪  人間性の喪失・処分・安楽死           
    ブラシモイス    中立にして悪  破棄された取引・細字部分・不当な掘り出し物  
    シジロン      中立にして悪  電気・火薬・有毒金属             
    コースベル     中立にして悪  失敗した殉教・偽りの崇拝・儀式的自殺     
    ディシード     中立にして悪  外来種の侵入・絶滅・自然災害         
    イルデーズ     中立にして悪  退行・先祖返り・野蛮な復讐         

  • 113二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 21:07:23

    ⛧"先苦者"(ダイモン・ハービンジャー)の一覧(その2)

    魔名        属性      権能                     
    フォルカ      中立にして悪  誘拐・見知らぬ人・菓子            
    ジオン       中立にして悪  悪夢・八つ裂き・蹂躙             
    ハストリケル    中立にして悪  爆発・焼身自殺・放火癖            
    ジャカルカス    中立にして悪  歩行不安定・ロボトミー・奴隷         
    ライヴェイニエル  中立にして悪  不安・甘やかし・病的な親の愛         
    ルラモーレック   中立にして悪  再生・通過儀礼・変容             
    モルネオス     中立にして悪  老化による痛み・臓器不全・老衰        
    ナルグムダー    中立にして悪  地下・クローゼット・安全への妄想       
    オソルミア     中立にして悪  鞭打ち・抑圧・自己否定            
    パヴヌリ      中立にして悪  カコダイモン・共喰い・秘密のメッセージ    
    ロゴロロス     中立にして悪  漂流物・汚染された水・海洋          

  • 114二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 21:08:09

    ⛧"先苦者"(ダイモン・ハービンジャー)の一覧(その3)

    魔名        属性      権能                     
    ルアプセラス    中立にして悪  周期的な復讐・十字軍・不寛容         
    スランドレアス   中立にして悪  淫乱・媚薬・執着               
    スティギドヴォド  中立にして悪  老化への恐れ・不死に至る道筋・意志      
    タメード      中立にして悪  真菌・感染性創傷・腐敗            
    トレスマルヴォス  中立にして悪  汚水溜め・ネズミ捕り・下水道         
    ウランサーフ    中立にして悪  落下・非魔法的な飛行・発射物         
    ヴォラシア     中立にして悪  不治の病・苦痛に満ちた毒・毒性        
    クシステイド    中立にして悪  蛆・蠅蛆症・寄生虫              
    ザイガスナー    中立にして悪  肉体改造・致命的な虚栄心・ピン止め      
    ゼリシュカー    中立にして悪  放火・火刑・火葬               

  • 115二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 21:09:19

    ⛧黙示録の四騎士

     全次元宇宙にその悪名を轟かせる4柱の恐るべき王達は、ダイモンの絶望の軍勢を支配する。恐るべき同胞達の隊列の中から頭角を現し、先代のフィーンドの暴君を退位させた者が冥魔王(アークダイモン)、終末を齎す者、黙示録の四騎士の座へ到る。フィーンドの伝承を記した冒涜的な年代記や闇黒神話では、彼らは多次元宇宙の破滅を企てる大いなる預言者であり、脆弱な宇宙と絶対的な忘却へと崩れ落ちる前の無限の静寂に対しての勝利が運命づけられているという。
     同類の中でその権力を疑う者が無い、それぞれの騎士は荒涼たる破滅界アバドンの広大な領域を支配し、定命の者に破滅をもたらす異なる手法――疫病、戦争、飢饉、死の四区分を持つ。個々のアークダイモンは測り知れない力と影響力を持つが、ダイモン達の多くに忠誠心など無く、単に敵わないから従っているだけである。この様に騎士達は、ダイモン類の中で権力と操る力において比類が無いが、野心的な下位者の陰謀や他のアークダイモンの謀略から自身の栄光ある王座を守る必要がある。

     アバドンの有毒な広野の中でより低位のダイモンの有力者が小さな藩国を築き、王として振舞っており、諸世界に跨るような陰謀を行っているにも関わらず、彼ら全員が騎士達の前に膝を折る――例え、渋々そうしているだけだとしても。また、古代の闇黒神話は、謎めいた"第五の騎士"たる"アバドン王"について語っているが、そのクリーチャーに関する言及の殆ど全てが多次元宇宙から一掃されている。

    ⛧黙示録の四騎士(アークダイモン)

    魔名         属性      権能  司る領域      好む武器
    カロン        中立にして悪  死   悪・水・死・知識  クオータースタッフ
    アポリオン      中立にして悪  疫病  悪・風・闇・破壊  サイズ
    アズリエル      中立にして悪  戦争  悪・火・戦・力   グレートソード
    トレルマリキシアン  中立にして悪  飢饉  悪・地・狂気・天候 スパイクト・ガントレット

  • 116121/11/11(木) 21:16:14

    他にもまだ詳細な設定はあるけど、取り敢えずこんな所ですかね。

    お目汚し失礼しました。
    ネタが浮かんだらまた投下すると思うので、その時はよろしくお願い致します。
    では。

  • 117二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 07:51:45

    今更ながら乙
    設定厨のワイ歓喜

  • 118二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 11:13:14

    設定が細かいし、ガチすぎる…
    もしかして、キャラ一人一人の設定も固めてる…?(震え)

  • 119二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 12:44:32

    ごめん休憩中に読んで何個か気になった点があるんで、≫1に質問していい?
    あねちんのやつに出てたアーヴィン・ライオヴァルトとレオニス・ライオヴァルトってなんか関係ある?
    あとルラモーレックとゼリシュカーとかいうキャラは同じ作品内で言及されていたヤツと同個体?

  • 120121/11/12(金) 18:33:19

    >>119

    そこまで読み込んでくれるなんて・・・(感涙) ウレシイ……ウレシイ……


    本当に嬉しいので、厄介オタク張りに設定を垂れ流しますがご了承下さい。

    例の如く長文注意

  • 121121/11/12(金) 18:43:02

    では、まず「アーヴィン・ライオヴァルト」と「レオニス・ライオヴァルト」の両者について。

    何となくお気づきの方もおられるかもしれませんが、この二人は血縁関係です。

     まずレオの父親である「アデル・ライオヴァルト」は作品内の通り、ヒトラー・ユーゲントの一人として、この掲示板でもおなじみの総統閣下に我が子のように愛されます。

     やがて、そのアデルも時代の流れ故に地獄のような戦地に出兵しますが、そこである事態に巻き込まれて、瀕死の重傷を負った挙句、レオ達が住まう異世界へと流れ着きます。

     そこで彼はこの世界で生まれ育った女性に命を救われ、この世界で過ごすうちに親密な関係となります。そして、自身が元の世界に帰還できぬことを悟ったアデルは、その女性と結婚を果たし、この世界で子孫を増やします。その後、この作品の主役の一人であり、彼の孫にあたるレオニスが誕生します。

  • 122121/11/12(金) 18:50:29

     ですが、アデルにはドイツで婚約を果たしており、「フローラ・ライオヴァルト」という女性を既に妻帯していたのです。彼がなかなかその女性と深い関係になりつつも、結婚に至らなかったのは、妻の存在が忘れられないという最大の理由がありました。

     愛したアデルが戦地で戦死したと思い込んだフローラは、自身の夫を死に追いやった祖国ドイツと総統閣下に失望し、アメリカへと亡命し、国籍を取得します。

     そこで彼女は残された子供達を立派に育て上げ、ライオヴァルトの血筋はアメリカで繁栄します。その後、「星辰に願いを」で登場した「アーヴィン・ライオヴァルト」という優秀な孫が誕生し、彼はミスカトニック大学へ通うために、生まれ育った実家を離れ、アーカムで一人暮らしをします(尚、その後の末路)。

  • 123121/11/12(金) 18:58:27

    さて、「ルラモーレック」と「ゼリシュカー」についてです。

    単刀直入言ってしまえば、同一の存在になります。

    「星辰に願いを」で管理人(というかニャル)が言及したこの存在の正体は、実はグレート・オールド・ワンでは無く、エジプトの闇黒時代(クトゥルフ神話における「ネフレン=カ」の治世の頃+1の独自設定において、モーゼがエジプトから逃れる以前にエジプト神話本来の神に成り代わって、グレート・オールド・ワンとその他の邪神が跋扈していた時代)において、この2柱のダイモンが顕現していました。

     彼らは無知な人間がグレート・オールド・ワンとダイモンの違いを殆ど認識できないことを利用して、この時代に暗躍して崇拝を集め、その魂をアバドンへと送還していました。

  • 124121/11/12(金) 19:05:05

    まあ、1の世界観だとその後、なんやかんやで色々あり、その痕跡と事実は表の世界からは抹消されます。

    さて、ここで疑問に思われる方もいるかもしれません。
    管理人(ニャル)はアザトースの宮殿に拉致したクライド教授に「かつてあり、今もあり、これからもあり続ける"グレート・オールド・ワン"達のほんの一端に過ぎない。」と述べました。

    この設定は矛盾してるのでは? 
    1のガバがここにて発揮されたかと思われるかもしれませんが、実はそれなりに理由があります。

    それは――

                                       ――用事ができたのでまた後程・・・

  • 125121/11/12(金) 19:27:11

    >>124

    続き


    管理人(ニャル)が2柱のダイモンをグレート・オールド・ワンと断言したのには、相応の理由があります。


    まずその候補の1つ


    *管理人(ニャル)がクライド教授に嘘を吐いた。

    どう足掻いても滅びが確定したクライドに態々、あのニャルが全ての真相を話す理由がありません。

    どうせ、真実を告げたところで"ダイモンの存在など全く知らない"クライドに理解できるはずもなく、知ったところで更に絶望するだけという、ニャルなりの慈悲です。

  • 126121/11/12(金) 19:35:07

    候補その2

    *ダイモン達はグレート・オールド・ワンたる管理人(ニャル)達をも欺いた。
     ダイモン達の悪意と狡猾さは想像を絶するほどであり、ある意味、人間に無関心な彼らでは、ダイモン達の滅びと死に対する狂気と執念を理解できないかもしれません。
     特に黙示録の四騎士に到っては"神話の英雄はおろか並の神格では、指先を触れるどころか近づく事すら叶わないほどの圧倒的存在"であり、星辰から解き放たれた完全状態のクトゥルフやハスターといった最上位のグレート・オールド・ワンと互角に渡り合えます(仮に彼らの本拠地であるアバドン内であれば、彼らはおろか神話における主神級の神々ですら、然るべき手段と戦力を整えない限り、高確率で敗北します)。

  • 127121/11/12(金) 19:43:39

    最後に候補その3

    *「ルラモーレック」と「ゼリシュカー」の両名がグレート・オールド・ワンに進化しつつある。
     善・悪問わずこれらの神格じみた存在は、信仰によって力を集めます(例外もいるが)。一部の者達からグレート・オールド・ワンとして認識され、現在に至るまでも様々な世界に点在している彼らのカルトでは、この両名はダイモンでは無く、グレート・オールド・ワン(最悪のパターンでは、ダイモンにしてグレート・オールド・ワンという唯一無二の存在)として認識され、崇拝されている事でしょう。
      ――もし、それが原因で彼らが"自身の内側にダイモンの半神という特性に加え、グレート・オールド・ワンとしての神性の火花を、更に見い出してしまったのだとしたら?"

     そのような存在がもし誕生してしまったのであれば、破滅界アバドンの勢力図は大きく塗り替わる事でしょう。

     尚、余談ではありますが、自身をグレート・オールド・ワンと偽っているフィーンドは後「2柱」おり、1の世界観にはデーモン・ロードにしてグレート・オールド・ワンへの変成を遂げた魔神が一柱だけ存在しています。

     ――ネタが浮かび、時間があれば、「ルラモーレック」と「ゼリシュカー」そしてそのデーモン・ロードに関連する話でも書きたいところです。

  • 128121/11/12(金) 19:46:13

    取り敢えずこんな所ですかね。
    質問を下さり、また1の作品をお読みいただいて有難うございました。

    作品内の設定に関する疑問や質問があれば気軽にレスを下さい。
    1は大変に喜びます。

  • 129二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 21:49:08

    まさか、ダイモン・ハービンジャーって全員キャラ設定あるの?
    クローゼットの奴がスゲエ気になるから可能なら紹介してほしい

  • 130121/11/12(金) 22:21:54

    >>129

    一応設定は全部決まっています(個人的な解釈したのもあるため、内容には個人差がありますが)。


    折角なので、リクエストにお答えしてナルグムダーに関する設定を晒します。


    中二病かつ長文注意

  • 131121/11/12(金) 22:23:20

    ⛧ナルグムダー

    異名(または称号):階下で待ち受ける者

    本拠地:破滅界アバドン内・常闇経絡(支配者)

    権能:地下・クローゼット・安全への妄想

    崇拝者の属性:秩序・中立・混沌何れかの悪

    主な崇拝者:強盗や夜盗、サディスト、児童虐待者

    司る領域:悪・地・欺き・闇

    司る副領域:ダイモン・洞窟・欺き・損失

    好む(または神聖視する)武器:シックル

    主な邪印:暗闇へ続く階段

    神聖視する動物:蜘蛛

    神聖視する色:黒・茶

    属するパンテオン:ダイモン・ハービンジャー

  • 132121/11/12(金) 22:24:45

    ⛧設定
     ナルグムダーは、漆黒の闇と鋭い牙の生えた無数の歯を持つ粘体のような不定形の怪物であり、"常闇経絡"と称される領土を持つ。この領土は、アバドンに存在する全ての領域のその遥か下に存在する広大なトンネル網であり、一寸の光も射さず、人工的な光はおろか魔法的な光といった全ての光源は自動的に掻き消される。
     彼は普段の日常や夜に訪れる理不尽な恐怖であり、一種のブギーマンである。平凡な日常を過ごしている留守中の子供、または一家団欒を過ごしている家族はナルグムダーの手によって、超常的かつ理不尽な非日常へと追いやられ、言語に尽くせぬ恐怖の数々を味わう。そこで犠牲者は彼に何らかの暗示や催眠に掛けられたが如く、クローゼットなどの密室空間、地下室などの偽りの安全地帯に"勝手に閉じこもり"、希望に満ちた陽光が昇るまでの間、この凄惨な恐怖から逃れ、如何にかやり過ごそうと考える──だが、それはナルグムダーの大いなる罠だ。

  • 133121/11/12(金) 22:25:53

     この昏い愉悦と嗜虐性に満ちたダイモン・ハービンジャーは、その恐怖感と警戒感を次第に麻痺させ、「自分達は絶対に助かる(または誰かが助けに来てくれる)」あるいは「自分達は絶対に安全な場所にいる」と思い込み始め、遂には希望と安心感に満ちた自分達に都合の良い妄想を次々と思い浮かべ、それに浸り始める。
     やがて、彼は犠牲者が閉じこもった空間の最も昏い個所から顕現し、犠牲者をその避難場所ごと容赦なく貪り喰らう。彼の崇拝者も同様の傾向を持つ犯罪者であり、"階下に待ち受ける者"の大いなる御業と犯行の数々を模倣し、その犠牲者の魂を彼に捧げる。

    ⛧崇拝方法
     貴方は光が差さない地下室や蔵などの密室(可能であれば、それは貴方の所有物でなく、他人の物のが望ましい)にて、13時間ほど瞑想を行う。ナルグムダーが貴方の信心を認めた場合、貴方は闇の中で不利益を被ることなく、自由に動けるだろう。

                                  ――大体こんな感じです。 ではおやすみなさい。

オススメ

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています