先生のPCに隠されていた「極秘」って名前の厳重なパスワード付きファイルを開けたら

  • 1二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 20:20:58

    先生が不慮の事故で命を落とした時の為に作ってた引継ぎ資料、そして生徒1人1人に対して書かれたその生徒にだけ通じるパスワード付きメッセージファイルが出てきた時のコユキ

    ちなみにコユキ宛のメッセージには「もしも何でもない時に開けたならすぐ閉じてね」「誰にでも出来る事じゃないから自分の能力に自信を持って」「コユキとの時間はいつも刺激的で楽しかったよ」「追伸:もしパスワードが解けなくて困っている子がいたら協力してあげて」などなどのメッセージが記されていた

  • 2二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 20:23:12

    一斉送信……と

  • 3二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 20:23:20

    唐突に強火で焼くんじゃあない

  • 4二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 20:23:55

    このコユキは吐くまでガチ泣きするコユキ

  • 5二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 20:24:42

    こいつ根っこはネガティブだからそんなもん見つけたら距離感おかしくなってキョドってくるぞ

  • 6二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 20:26:03

    コユキ遺書概念すき

  • 7二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 20:27:00

    プレナパテスの一件を経たら、そりゃ伝えられる事は遺しておこうってなるよな

  • 8二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 20:29:42

    何も無い時なら閉じろって言われてるのに全部読んでるじゃねえか!
    と思ったけどその内容で見なかった事にするのは無理だよな普通に…

  • 9二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 20:33:02

    >>5

    あー見つけちゃったかぁ、まあコユキだもんね仕方ない。と速攻で気づいてコユキのメンタルケアに入る先生。

  • 10二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 20:33:50

    コユキはちょっとアレなだけで悪い娘じゃあないんですよ!

  • 11二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 20:34:55

    >>10

    ちょっと債権を無断発行しただけだからな……

  • 12二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 20:35:27

    >>10

    悪気がない分タチが悪い奴なのでは……?

  • 13二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 20:35:52

    コユキ宛ならデタラメに打ち込んだパスワードでも何も問題ないのにわざわざ初めて2人で遊んだゲームの名前や「四葉のクローバー」をパスワードに設定してる先生
    コユキの脳は焼かれる

  • 14二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 20:35:57

    >>10

    (善)悪(の)く(べつが)ない

  • 15二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 20:39:28

    >>1

    先生に対するセリフは同じかもしれんが絶対にこんなギャグ顔じゃないな

  • 16二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 20:39:53

    「ぜん゛ぜい゛じな゛な゛い゛で~~~~!!!」とか言いながら泣き縋ってくるから周りが勘違いするやつ

  • 17二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 20:47:39

    先生が普通に健康で存命だとしても火力が高過ぎるって!

  • 18二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 20:52:15

    方舟組とかモロに平行世界の先生の末路を見てるからな……こっちも思うところあるだろう

  • 19二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 21:00:25

    >>13

    縋りついて離れなくなるぞ

  • 20二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 21:15:35

    厳重なパスワードを解く能力があって、極秘のファイルを見そうなのがちょうど大ダメージを受けるコユキという巡り合わせ
    あとは清楚系病弱美少女天才ハッカーさんとかもこっそり覗いてダメージ受けてそう

  • 21二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 21:26:01

    いつか別れが来るとしてもコレは相当クるだろなぁ…
    いくら元気でも遺書の準備とか見ちゃうとちょっと吐きそうになるもん

  • 22二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 21:51:46

    タイミング悪く先生にインフルエンザか肺炎で入院されたらパニック起こしそう

  • 23二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 21:52:10

    これをやったら他人が嫌がるってことが分かっててもストッパーにならない程度に倫理観が終わってて反省する機能が死んでるだけで悪いやつじゃないんです!
    可愛い生徒なんです!

  • 24二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 21:55:32

    >その生徒にだけ通じるパスワード

    この時点で過剰火力

  • 25二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 21:56:42

    >>22

    この騒動の翌日にシャーレで仕事中に突っ伏して寝てたら蜘蛛の子を散らす大騒ぎになる

  • 26二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 21:59:37

    何人かが嗚咽漏らすし、何人かは「はぁ...まったくあの人は...」って後方理解者面するし、大変なことになる

  • 27二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 22:50:17

    新しい思い出ができる度に書き足しててほしい
    更新履歴を見て気づくやつ

  • 28二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 22:50:21

    コユキが大号泣している様子からしか得られない栄養素がある
    普段からうぁぁあなんで──!してるのはそうなんだけど栄養の性質が異なる

  • 29二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 22:52:26

    先生と一緒に反省室に篭ろうとするコユキは可愛いですね

  • 30二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 23:43:52

    普段やかましいコユキが部屋の隅で啜り泣いてた場合も先生の罪悪感デカそう

  • 31二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 23:51:13

    普段から思ってることを素直に書き出しただけだから見られてもまぁ大丈夫でしょと楽観視してる先生!
    文脈が文脈だけに嘘偽りない感情を避けようのない超豪速球でぶつけられる事になるコユキ!
    大事故だよ!

  • 32二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 23:58:56

    >>31

    >>普段から思ってることを素直に書き出しただけだから見られてもまぁ大丈夫でしょと楽観視してる先生!

    おバカ!それでも過剰火力だわ!

  • 33二次元好きの匿名さん23/05/17(水) 06:20:33

    書き込みたいネタ思いついたけど仕事行かなきゃならんので保守

  • 34二次元好きの匿名さん23/05/17(水) 08:08:40

    常に貼り付いた笑顔になるコユキじゃん
    あと四つ葉のクローバーを常に持ってる

  • 35二次元好きの匿名さん23/05/17(水) 08:42:07

    >>33

    仕事が終わるか書き込めるくらいの余裕が出来たらぜひ!

  • 36二次元好きの匿名さん23/05/17(水) 12:31:04

    保守

  • 37二次元好きの匿名さん23/05/17(水) 13:23:16

    これっきりパスワード開け出来なくなりそう

  • 38二次元好きの匿名さん23/05/17(水) 13:43:58

    >>37

    金庫のパスワードは開けられるけど、パソコンのパスワードは解除できないコユキ

  • 39二次元好きの匿名さん23/05/17(水) 13:59:44

    コユキに無理矢理引きずられてミレニアムの医療施設に連れて行かれる先生!
    セミナー権限を全力で振りかざして総動員されるミレニアムの医療系部活生!
    すぐさま明らかになるちょっと言い訳しようがないレベルで悪い先生の健康状態!

  • 403323/05/17(水) 16:01:23

    仕事の息抜きにちょっと書いた分投下
    SSなんて初めて書くから勝手が良く分からんけどまあいいだろ!どうせ場末の掲示板!恥はかき捨てじゃい!


    「本日の当番!黒崎コユキ、来ちゃいました!に・は・は・は!……あれ?先生?」
    今日は久々のシャーレでの当番、気合を入れてきてみれば先生の姿が無い。同時に端末からモモトークの受信音。
    もしやと思い名前を確認。案の定先生から。
    『お疲れ様。今日も当番ありがとう、コユキ』
    『けどごめんね、ちょっとゲーム開発部に緊急で呼ばれちゃって』
    『執務室につくのが30分程遅くなりそうだから』
    『その間はくつろいどいて貰えるかな?』

    「ええー!せっかくの私の当番なんてレアなのに!」
    普段はユウカ先輩がシャーレへ行くことが多い。
    私が行きたいと思っても、なぜか既に当番募集の枠にはユウカ先輩の名前が入っているのだ。いや本当に。
    けれど件の先輩も、今日は会計業務で圧迫されている。だからこそ私がこれた。
    ……あまりにも当番をとられるから、いくつかの部活の予算を弄り、確認書類をかさ増ししてしまったのは内緒。
    すぐにばれるだろうけど、少なくとも今日の当番の間くらいは誤魔化しておける。
    それなのに。

    「ぶー。先生と遊べるチャンスだったのに……いえいえ、手伝いももちろんしますよ?しますけど……ちょっとくらい、ねえ?」
    先生が普段腰掛けているオフィスチェアに座り、思わず独り言がこぼれた。やはり私は運が悪い。
    普段はユウカ先輩はたくさん先生と遊んでいるんだから、たまにはかわいい後輩に譲ってもらおう。
    そう勇み足で当番に来てみればこれだ。
    「まあすぐ来るみたいですし、先生が忙しい身なのも分かりますけど……」

  • 413323/05/17(水) 16:15:01

    手持ち無沙汰で椅子にもたれながらくるくる回る。
    当番用のチェアの位置とは当然場所が違うからか、少しづつ見慣れてきた室内も新鮮に映る。
    そうして執務室を見回していると、ふと目についた先生のデスク。
    「執務用のPCは変わらずそのまま……。相変わらず不用心ですねえ」
    以前深夜にこっそり忍び込んだ時と何も変わっていない配置。
    これで私がまたファイル閲覧を目論んだら今度こそ見れてしまうのに。

    「ま、さすがにもう見ようとはしませんけどね~」

    「……」

    「…………」

    「………………」

    「………………!!」

    こほん。
    「け、けど?確かに先生とは【シャーレの秘密をもう見ようとしない】とは約束しましたが!?先生の私物は約束の範囲外でした!」
    「そしてそれは、PC内データだって例外ではありませんよ!」
    閃いてしまった。
    大体、当番を頼んでおいて遅れてる先生が悪いのだ。先生がきちんと時間通りに来てくれていたなら、きっと私はこんな考えを思い浮かべもせず先生と楽しく遊べ、もとい仕事を手伝っていたに違いない。
    そう思考が回り始めてしまったら、その時には手が動いていた。
    PCを立ち上げ、パスワードを入力する。……前回と変わっていない。

    「にははは~!必要経費だと思ってあきらめてください!」
    前回物理的に引き出しを開けた時には思った以上のものが出てきてしまって面食らったけど。
    今回はそれを踏まえ、何が出てきても平静を保てる心構えをもってフォルダを開けよう。

  • 423323/05/17(水) 16:28:26

    「ふむふむ……。シャーレの秘密もそっくりそのまま……。ですが!ま、約束は約束ですからね!こちらには手を付けない私に感謝してくださいね先生!」
    「あら、律儀に「私用」なんてフォルダを分けちゃって。こんなのもう私に見てくださいって言ってるようなものじゃないですか!」
    エクスプローラーを開き、フォルダの階層を潜っていく。ハッキングにすらならない、ただのPCの操作。
    そして見つけた、「私用」フォルダの中。ご丁寧に「極秘」なんて名を付けられた、何の変哲もないフォルダ。
    まるで私に見られることが前提であるかのような佇まい。

    「さてさて、何が出ますかね~。ユウカ先輩に怒られるロボットのおもちゃのデータ?それともC&Cの秘蔵バニー写真?……まさか私のバニー姿まで!?い、いやあ、?まあ別に構いませんけど?私は!?」
    薄い本を見つけた時も恥ずかしかったけど、私のバニー姿はまた別ベクトルの恥ずかしさだ。それを保存なんてしておかれたら、流石に照れるなんてもんじゃない。これは先生に厳重抗議だ。
    なんてことを思いながら、正直、フォルダの中身は何でもよかった。
    先生の恥ずかしい秘密でも、何の変哲もない写真でも、何なら家計簿でも(普段あれだけユウカ先輩にガミガミ言われている先生が付けられるとは思えないけど)。

    これを見られたことを知った先生が、大慌てしながら──してくれながら私を叱って。
    セミナーの先輩方に連絡をされたら、流石に厳しいけど。特に会計業務を改ざんしたことも相まってユウカ先輩にはこってり絞られ、ノア先輩には反省部屋へ押し込まれてしまうだろう。
    けれどそれも、きっと先生がお見舞いに来てくれるきっかけになるし。そうしたらあの部屋で先生と遊べばいい。どう転んだってトータルで見れば私の丸儲けなのだ。かんぺき~。……なんて。

    そんな浮かれた気持ちでフォルダをクリックした。
    最後の抵抗とばかりにパスワードが要求される。だけど、そんなもの私の前にはないも同然。
    適当に頭に浮かんだ「○○○○」。4桁の数字をためらいもなく入力する。

    ───?あれ、この数字……?どこかで見たような……?
    日付……誕生日?いや、多分違う……。
    一瞬だけ覚えた違和感は、エンターキーの押下とともに押し流された。

    そうして開かれた「極秘」フォルダ。
    その中に置かれていたのは。

  • 433323/05/17(水) 18:11:51

    「to_airi」
    「to_akane」
    「to_akari」
    「to_ako」



    「to_koyuki」



    「to_yuuka」



    「to_noa」




    4桁の数字への違和感は。
    先刻まであった私の浮かれた考えは。
    脳裏に浮かんでいた、先生の困ったような、呆れたような、そんな叱ってくれる表情は。

    並び立つフォルダに圧倒され、消えてしまっていた。

    「……?なんです、これ」
    「生徒の名前?それも、ひとりひとり?」

  • 44二次元好きの匿名さん23/05/17(水) 18:15:00

    良いぞ……

  • 45二次元好きの匿名さん23/05/17(水) 18:29:25

    このレスは削除されています

  • 46二次元好きの匿名さん23/05/17(水) 18:39:48

    っぱ自分が軽率にパスワードを開けて遺書を見つけたトラウマで解錠能力を失ってしまうコユキなんですよね
    「誰にでも出来ること」も出来なくなっちゃって、これでもう本当に一般生徒と変わらないねえ

  • 473323/05/17(水) 18:51:49

    「ふ、ふーん?こんなに女の子の名前ばっかり?」
    「いやあスミに置けませんねぇ先生は!まったく!けしからんってもんです!そりゃあユウカ先輩だって小言が多くなりますよ!」

    ゲヘナの風紀委員長、トリニティのシスターフッド、百鬼夜行の陰陽部などなど、私でも耳に挟んだことのある名前から、見覚えのない名前まで。
    傾向として考えるに、先生と交流のある生徒の名前なのだろう。
    「……きっとデートとか、その時撮った写真とか!そんなムフフな写真ばっかりですよ!これは!」
    「そうです!いやまったくまったく!!」

    にははは、と声に出して笑ってみる。
    口をついて出る軽口が空回りしているのが良く分かる。
    だって。ただのデートの写真なら。日常を切り取った一瞬を保存しているなら。忘れないために、色褪せさせないために振り返る「思い出(メモリアル)」なら。
    「to」なんてつける必要が無い。その生徒とのただの記録として取っておけばいい。

  • 483323/05/17(水) 18:52:45

    なのにわざわざ───
    「そ、そうだ!試しにユウカ先輩のフォルダを見てみましょう!」

    何かに考えが至る前に、自分の次の行動を口に出す。
    「なにせ、先生と先輩との思い出に関して私は詳しいですからね!」
    これは嘘ではない。ユウカ先輩からお小言をもらっている最中、ぼそっと「……先生」とつぶやく高確率で矛先がずれるから。主に先生への不満点?へと。

    やれ先生の領収書のまとめ方が雑だから、私がまとめないと。
    だの。

    やれ食費を削っておもちゃを買うなんて信じられない。
    アリスちゃんと一緒にチョコを渡した、喜んでくれただろうか。
    だの。

    やれ普段は少し頼りないのに、ゲーム開発部の時も、サンクトゥム攻略の時も頼もしくて。
    そういえば私は先生に可愛くないところばかり見せてしまった、印象が悪くなってないか。
    だのと。
    そういったあれやこれやを延々とつぶやき、しばらく待つと顔を真っ赤にして去ってしまう。
    そんなことを繰り返している内、知らずと私はその二人の思い出に関しては詳しくなってしまったのだ。

    「そ、そうです!あの話とこのフォルダの中身が一致しているか確認すればいいんです!それで一件落着ですよ!」
    思考を回してはいけないとばかりに、考える前に口を動かす。
    行動を口に出せば体がついてくる。体が動いていれば、余計なことを考えない。
    脳裏に浮かんだ予感を振り払うかのように、「to_yuuka」フォルダへとポインタを動かした。

  • 493323/05/17(水) 18:54:38

    「to_koyuki」フォルダへは、ポインタを向けられなかった。

  • 503323/05/17(水) 19:45:45

    当然のごとくパスワードが要求されたが、もちろん私の前では意味をなさない。

    だけど……これ……。
    「kakutei_shinkoku」
    「確定……申告?なんで?」
    そもそもパスワードなんて文字列の羅列でしかないけど、それにしたってなぜ先生はこの文字列を設定したんだろう?
    浮かんだ疑問を頭の片隅に押しやり、下の階層へ潜る。
    格納されていたのは二つのテキストファイル。
    「引継ぎ.txt」
    そして

    「ユウカへ.txt」

    「……ッ!」
    思わず息を飲む。このフォルダを開く前に何が出てくることを期待していたのか。それさえ思い出せない。
    教える、とか。教育用とか。研修用でもいい。それならまだ説明がつく。シャーレに人が増えるのかもしれないし、先生が忙しいのは当然知っている。
    専属の人が増えるなら、私はちょっと寂しいけど、先生の忙しさが解消されるならそれでもいい。
    ユウカ先輩がそうなるとしたら。セミナーの仕事は火の車になってしまうが、今はそれでもかまわない。

    だって、「引継ぐ」のは、違う。それは──。
    首を振って考えを振り払う。まずい、もう思考が追い付き始めた。何とかしないと。でも何を?とりあえず今は、目の前の事を。

    震える手で「引継ぎ.txt」を開いた。

  • 513323/05/17(水) 20:30:45

    ・書類の保管場所について
    ・機密情報の保管期限について
    ・執務室の鍵の置き場所
    ・業務の進め方
    ・現在抱えている案件、将来の案件
    ・終わった案件、過去の仕事の反省点
    ete......

    半分程度流し読みした時点で閉じてしまったから、順番なんて覚えていない。内容が合っていたかどうかも定かじゃない。
    だけど結論から言えば。見ない方が良かった。
    これは本当に「引継ぎ」だ。当番に任されている仕事の事なんて書いてない。先生しか担当できない領域について懇切丁寧に、このファイルさえあれば仕事ができるように記載されている。
    それはつまり。

    先生が居なくなった後。
    先生が今まで行っていた仕事を。
    先生以外の誰かが出来るように。

    その意図をもって作成された書類だった。

    しかも
    「これ……更新されてます……!?」

    目をそらしたくなる気持ちを抑えて、もう一度ファイルに目を通す。
    律儀にも更新年月日が記載されていて、その日付が。

    「昨日の、日付……」
    とりあえず作るか、とか。一応の保険として念の為、ではなく。
    いつでも使えるよう整備されている。

  • 523323/05/17(水) 20:31:19

    鏡なんて見てないけど、自分の顔が真っ青になっているのが分かる。
    これがあって。そして。名指しのテキストファイルなんて。
    「ま、まだ決まったわけではないですし?」
    明らかに声が震えている。ここに来た時の楽しさ、久々の当番で浮足立っていた気持ちが懐かしい。
    でも、此処まで来たら引き返せない。
    私は、そこでは止まれない。
    そこで止まるような性質ならそもそも、反省部屋が私の半個室になんてなっていない。

    「ごめんなさい、ユウカ先輩」
    そう呟いて、もう一つのテキストファイルを開いた。

  • 53二次元好きの匿名さん23/05/17(水) 20:33:32

    凄くいい…
    コユキが見つけちゃうってのがいいよね…

  • 54二次元好きの匿名さん23/05/17(水) 20:40:09

    思ってた数倍くらいのクオリティのSSが出て来てびっくりしてる……これ見つけちゃうコユキ辛いなぁ……

  • 553323/05/17(水) 21:03:10

    【ユウカへ。】
    【こんな形で文章を残すことになったのを許してほしい。】
    【けれど──】

    ダメだ。
    これ以上は、さすがに私でもわかる。違う。知らなかった。分からなかった。けれど、教えられた。
    この先を読むことは、あの時の先生との約束を破るモノだ。
    このテキストファイルは、充てられた本人以外が読んではいけない類のモノだ。
    意識的に上の一文のみを注視して、すぐにウィンドウを閉じた。

    「……なんで先生はこんな──めいたモノを」

    ユウカ先輩のファイルはこれ以上読めない。
    だけど、自分宛てのモノなら?

    それなら、見てもいいんじゃないだろうか。
    私に贈られた、いや、送られた……「手紙」なら。それなら、先生との約束は破らない。
    何せ別人が見る訳でも、誰かに見せる訳でも無い。
    先生が私に宛てて、それを私が読むだけなのだから。

    息を一つ大きく吐き、浅くなっていた呼吸を整え、階層を一つ上る。
    PCの画面は生徒名のフォルダを表示する。
    ゆっくりとスクロールすれば、目当てのフォルダはすぐに見つかった。

    「to_koyuki」

    にははは。
    極めて意識的に。いつもの通り笑う。笑い方を思い出さないと笑えなかった。全然いつも通りじゃない。
    そう考える自分の手が、相も変わらず震えるポインタが、フォルダを開く。

  • 56二次元好きの匿名さん23/05/17(水) 21:07:45

    XDXDXD

  • 573323/05/17(水) 21:29:11

    表示されたパスワード要求。
    何を入力すればいいかはすぐに分かった。

    「……私にパスワードなんて意味無いって知ってるじゃないですかぁ……!」

    個人に宛てられたこのフォルダ達。
    当然、読み手が開けられなければ中身を見る事さえかなわないのだから、開封可能なパスワードを設定するのは当然。
    だけど、それは私以外の生徒の話。
    私にはどんな文字列だろうと開錠にかかる時間は変わらない。
    精々、文字数による打鍵の時間が前後する程度だ。
    だったら、適当な文字列でも入れておけばいいのに。
    よりによって。

    「lucky_clover」

    あれは、あの時の景色は。私にとって大切な、色褪せない思い出だ。
    きっと先生も同じように思ってくれてたのだろうか?だからわざわざこの文字列を、いや、「四つ葉のクローバー」をパスワードに設定したのだろうか?

    「ああ、だから」
    「みんな。パスワードを開けられて怒ってたんですか?」
    ふと口をついてそんな言葉が出た。何かが頭をかすめたような気がするけど、停止寸前でギリギリ稼働してるような思考ではそれを掴みとれず。

    私の手は正確にキーボードを叩いて、パスワードを入力した。
    そして私は、「to_koyuki」フォルダ、
    その階層へと潜った。

  • 58二次元好きの匿名さん23/05/17(水) 21:43:05

    おぉ…おぉ…

  • 59二次元好きの匿名さん23/05/17(水) 21:43:12

    保守

  • 60二次元好きの匿名さん23/05/17(水) 21:58:36

    いや素晴らしいなこれは

  • 61二次元好きの匿名さん23/05/17(水) 21:59:18

    美しい……これ以上の芸術は存在しないでしょう……

  • 62二次元好きの匿名さん23/05/17(水) 22:47:38

    私のフォルダ内には、一つのテキストファイルがあった。

    「コユキへ.txt」

    一瞬、私には引継ぎのファイルはないのか、と思ったけど。
    よく考えてみれば当たり前の事。
    私よりユウカ先輩の方がずっと当番をこなしていたし、先生の仕事についても理解が深かった。
    思うに引継ぎ、またはそれに類するファイルは、先生と多少以上に仕事を共に行っていた生徒に対して残されている。そう考えるのが妥当だ。
    それに、引継ぎのファイルは本題ではない。

    本命はこれ。
    本人にのみ閲覧を許されているファイル。これを読めば、少しだけでも「何故」の部分が分かるかもしれない。
    それでも。
    正直、開けたくない。
    思えばここまで気が乗らない電子ロック開錠も久々だ。
    ノア先輩やユウカ先輩に怒られた時も、C&Cが出張ってきた時でさえここまで気が乗らないことは無かった。

    ……違う。嘘だ。気が乗らないんじゃなくて。
    怖い。
    直視だけは避けてきた決定的な何かを目にしてしまうから。
    そう確信している時点で見ているのも同じなくせに、目を逸らす振りさえ出来なくなってしまうから。

    「それでも……。無視はできないんですよねぇ……」

    そうして、私は私宛のファイルを開いた。

  • 63二次元好きの匿名さん23/05/17(水) 22:52:29

    ああ開いてしまった……!

  • 64二次元好きの匿名さん23/05/17(水) 23:20:50

    クリックした瞬間きつく目を閉じて、一呼吸おいて恐る恐るゆっくりと開いていく。

    一言目に私の名前で。
    二言目には謝罪文で。
    三言目から思い出が。
    綴られていたらどうしよう。
    決定的な証拠を突き付けられたら、きっと私は動けなくなってしまう。

    そう思いながらも薄目で確認したファイルの先頭、一文目。

    【もしも何でもない時に開けたならすぐ閉じてね。】

    ……。

    …………。

    ん?
    あれ、なにかおかしい。
    ユウカ先輩の文面と毛色が違うというか。
    サンプルが少ないから完全に比較出来てはいないけど。

    【これはもしもの時の為に、みんなに残しているファイルだから。】

    いやいや。
    私は覚悟を決めてこのファイルを開いたはずだ。
    先生が何を考えて──めいたモノを残していたのか。それを知る為に。

  • 65二次元好きの匿名さん23/05/17(水) 23:21:26

    【だから、もし、何でもない時に。手持無沙汰で。暇を持て余した時にたまたま目に映った私のPC内を、少し覗いてからかってみよう、っていうノリでこのファイルを開いたんだとしたら。】

    ……これはもしや。
    ……もしかしなくても。
    【すぐに閉じて欲しいんだ。】

    ……全部お見通し?



    ひゅえ。

  • 66二次元好きの匿名さん23/05/17(水) 23:32:28

    うあぁあああ──!
    そう叫ぶ寸前でどうにか収めることができたのは、次の文が目に入ったから。

    【だけど。】
    【本当にもしもの事態が起きたか。】
    【もしくはここまで読んで、その理由がどうしても知りたいんだとしたら。】
    【この先も読み進めて欲しい。】
    【実はコユキに頼みたい事が多くて。】
    【その時に目を通したとしたら、間に合わないかもしれないから。】

    間に合わないかもしれない。

    その一文は、私の喉から悲鳴を取り上げるには十分な一撃だった。

  • 67二次元好きの匿名さん23/05/17(水) 23:37:49

    自らの役割を知るコユキ……!

  • 68二次元好きの匿名さん23/05/17(水) 23:38:33

    プレ先問題が圧し掛かる…!

  • 69二次元好きの匿名さん23/05/17(水) 23:46:17

    コユキだったら何にも無い時にイタズラ感覚で簡単にロック解除して見ちゃうかもって思って、最初に「もしなんでもない時に開けたらなら閉じてね」ってメッセージ入れてるの

    コユキのことちゃんと理解しているのがわかっていいですね……

  • 70二次元好きの匿名さん23/05/18(木) 00:09:29

    【この先は、もしもの時の事を想定して記載していくね。】
    【上の文で色々書いたけど、まずは、この形で伝えることになったことを許してほしい。】
    【ええと、そうだね。まずは、最初にあった時の事覚えてる?】

    ……忘れませんよ。そんなの。私、本当にびっくりしたんですから。「大人」の「先生」だなんて。
    まああの時は逃げ切る気満々だったので、こうして当番に来ることになるんて想像もしてませんでしたけど。

    【自信満々に私たちの事を捕まえて、そのあとすぐアスナにひっくり返されて。】
    う゛……。忘れて欲しい記憶ばかり掘り返すんですから……。

    【そしてその後──】
    そこから先は、私たちの思い出が綴られていた。
    ゴールデンフリース号でのこと。狙撃されて危うく溺れかけてたこと。
    サンクトゥム攻略戦にいきなり駆り出され、訳も分からないまま駆けずり回ったこと。
    この辺りはユウカ先輩とノア先輩から聞いたらしいけど……。私だって、とっても頑張ったんですからね?

    そして。
    またノア先輩に怒られて反省部屋に入れられてた時に、先生に助けて貰ったこと。
    そこから当番で執務室で会うことも多くなって。それからそれから。

    【──知りあい方からも驚いたけど。でも。コユキと過ごす時間は、いつも刺激的で、とても楽しかったよ】

    ええ。私だってそうです。
    だからこうして、わざわざ来てるんじゃないですか。


    ……なんで過去形なんですか。楽し「かった」だなんて。「楽しい」でいいじゃないですか。
    ……これから先だって面白おかしく私と遊びましょうよ。

  • 71二次元好きの匿名さん23/05/18(木) 00:10:35

    すごくいいSSを見つけてしまった……

  • 72二次元好きの匿名さん23/05/18(木) 00:30:02

    「なんでッ……!」
    その先の言葉は、まるで先回りするかのような先生からのメッセージでしぼんでしまう。

    【いつかコユキは言っていたよね。】
    【セミナーで割り当てられる仕事は、どれも退屈でつまらなかったって。】
    【コユキからすると出来て当然の事かもしれないけど。】
    【実は、誰にでも出来る事じゃないだ。】
    【だからコユキは。もっと自信を持っていいんだよ。】
    【もっと早くに伝えて上げられれば良かったんだけど。遅くなってごめんね。】

    「違ッ……!!そうじゃなくて……!!」

    遅い事なんて何もないのに!なんですべて手遅れかのように言うんです!?
    今言えばいいじゃないですか!!

    【そして出来れば、助けてあげて欲しいんだ。】
    【きっと。このフォルダまでたどり着いても。すべての生徒達が開錠出来る訳じゃない。】

    それは……そうかもしれない。
    普段のセミナーでの仕事だって、実際にはノア先輩にもユウカ先輩にも出来ない事に私が駆り出されるんだから。

    【でもフリーにして誰にでも閲覧可能状態で文章を残す訳にもいかない。】
    【私自身はあまり気にしないけれど、生徒達はそうじゃないから。】

  • 73二次元好きの匿名さん23/05/18(木) 00:30:56

    ああ、よかった。私はどうにか約束を破らずに済んだらしい。
    ……それにしても、気にしないなんてよく言ったものだ。
    …………あんな本を隠してるくせに。

    【それと何度も言ってるけど。あの本たちは没収したものだからね。本当にそこだけは勘違いしない様に。】

    ……やっぱり、見通されてる。

    【……話を戻すけど。】
    【このフォルダを見つけて、けれどパスワードを開けなかった生徒たちの為に。協力してあげて。】

    ええ。もちろんです。
    先生がそこまで言うなら、やってあげようじゃないですか。

    【そして───】

    え?







    【───彼/彼女の為に】

  • 74二次元好きの匿名さん23/05/18(木) 00:40:44

    彼/彼女ってああ…プレ先のこと…

  • 75二次元好きの匿名さん23/05/18(木) 00:50:04

    ……

  • 76二次元好きの匿名さん23/05/18(木) 01:18:41

    おおん……

  • 77二次元好きの匿名さん23/05/18(木) 01:26:43

    まただ。明確に話が変わる感覚。
    けどさっきとは違う。この手紙の冒頭は気持ちを立て直す猶予になったけど。今の転換は、私を混乱に叩き落とす転換だ。

    「ちょっと!ちょっと待ってください先生!」
    「だってここにあるファイルには生徒たちの名前しか……」

    【正直、ここから先の話は更に仮定を重ねることになる。】
    【その上、仮定に推論を重ねて根拠にして、それが結局全部無駄。なんてことにも。】
    【コユキにせっかく頑張ってもらっても、その努力が丸ごと無駄になってしまう可能性も大いにある。】

    【だから、これに関してはお願いですらない。】
    【もしも余裕があれば、頭の片隅にでも置いておいて欲しい。】
    【そんなレベルの話。】

    【そして一番重要な事なんだけど。】
    【もしこのお願いを聞いてくれようとした上でコユキに危険が及ぶなら。】
    【この話は忘れて欲しい。】

    【コユキの身を危険にさらしてまで頼むことでは絶対に無いんだ。】
    【わがままばかり言ってしまって申し訳ないけど、それだけは約束して。】

    【この話はこれ以上コユキへのメッセージに残すことじゃないから、この話はこれで終わりにするね。】
    【けれど、もしも手伝ってくれるなら。】
    【遺志を、繋げてあげて欲しい。】

    【私は。ここまでだったから。】


    ……なにがなんだか、分からない。

  • 783323/05/18(木) 01:31:50

    (ぶっちゃけここまで長くなるとは思わなかった、また明日書きに来る)

  • 79二次元好きの匿名さん23/05/18(木) 01:34:39

    >>78

    良質なSSをありがとうございます

  • 80二次元好きの匿名さん23/05/18(木) 02:02:04

    >>78

    ありがとう……素晴らしいSSです…明日また続き楽しみにしています

  • 81二次元好きの匿名さん23/05/18(木) 05:05:15

    >>78

    素晴らしいSSをありがとう……

    続き楽しみにしてます

  • 82二次元好きの匿名さん23/05/18(木) 07:09:09

    「パスワードを暴かれて皆が怒る理由」「自分に出来ること、皆に出来ないこと」「先生は全てお見通し」
    本題のインパクト以上に丁寧に色んな部分を詰めてて素晴らしいよ

  • 83二次元好きの匿名さん23/05/18(木) 10:03:37

    流れを切るようですまない、(先生がいつも死と向き合っている事、その覚悟を私だけが知っている…。知っているから私だけがその時に先生を支えたり守る事が出来る…私が…私が先生の傍にいなきゃ…)ってなる高重力コユキはアリか?
    色々落ち着いた後、以前と変わらないようでいて妙に距離が近いし時折ハイライトの消えた目で先生を見つめるようになったコユキの妄想してえんだ

  • 84二次元好きの匿名さん23/05/18(木) 10:52:28

    >>83

    かまわん

    いけ

  • 85二次元好きの匿名さん23/05/18(木) 11:41:24

    >>83

    ふむ

    続けて?

  • 86二次元好きの匿名さん23/05/18(木) 11:52:12

    >>84 >>85

    多謝

    とりあえず言えるのは大きな力(無条件ロック解除能力)で覗き見してしまったばかりに自分だけが果たせる大いなる責任が降ってきた、っていう今までは無視してきた因果関係を否応なしに理解してしまったコユキはいいぞ…

    知らなかった頃には戻れない、先生がそうしてきたように前へ前へ進むしかない…けれども先生と肩を並べている実感が確かにあるからそれは決して苦痛じゃないってわけよ

  • 87二次元好きの匿名さん23/05/18(木) 12:37:55

    これ、もしもすわ先生がほんとうにそういうことになったとして、一人だけ事情知ってるコユキが覚悟完了する展開になったら悲しいけどアツいね。

    遺言メッセンジャーコユキだ。

  • 883323/05/18(木) 16:49:08

    分からなくても。
    分からないなりに、理解しないと。
    その為に、警告を無視してまで読み進めてきたんだから。

    「…あとで……せんせいには文句言ってやりますからね……」

    そうだ。こんな心配を煽るような文章を好きなだけ書いて。
    先生にはお説教だ。
    ふふ。普段は怒られる側の私だけど、今回ばかりは私が怒る側に回るんだ。
    そんな想像でほんの少しだけ気持ちを落ち着ける。

    多分、あのフォルダにはまだ見ていないファイルがあるはず。
    思い返せば最初にフォルダを見たときは衝撃で細かい所にまで目がいかなかったし。
    二回目は私宛のファイルを開くことに緊張していたから。

    よし。まずは別のファイルを探してみよう。
    そう思って、私宛のファイルを閉じようとして──
    まだ、スクロールが残ってる。








    【ここまで読んでくれてありがとう、コユキ】
    【色々頼んで本当にごめんね。だけど。】

    【頼りにしてる。】

  • 89二次元好きの匿名さん23/05/18(木) 17:02:36

    これは覚悟決まっちゃうなぁ

  • 90二次元好きの匿名さん23/05/18(木) 17:11:16

    大いなる責任?なんですかそれ??とか言ってたコユキが本当に大きな力には大いなる責任が伴うことを知る…
    何このピーター・パーカー

  • 91二次元好きの匿名さん23/05/18(木) 17:15:51

    >>90

    やめろよ。先生がベンおじさんとか

  • 92二次元好きの匿名さん23/05/18(木) 18:28:35

    コユキ≒スパイダーマン説!?

  • 93二次元好きの匿名さん23/05/18(木) 18:44:37

    コユキユニバース

  • 94二次元好きの匿名さん23/05/18(木) 18:47:19

    自分の遺言を託すことで能力に意味づけして責任を学ばせるとか教師として誇らしくないの?

  • 95二次元好きの匿名さん23/05/18(木) 19:00:46

    でもさ、先生が先生自身を「いつか不要となるもの」「巣立つ前の拠り所」って考えてるのは
    寂しいけれど解釈一致なんだよなぁ

  • 96二次元好きの匿名さん23/05/18(木) 19:34:56

    幼年期の終わり……

  • 97二次元好きの匿名さん23/05/18(木) 19:37:00

    >>87

    >>94

    死んだ先生の遺言を届けながら、先生のやってきたこととか遺した軌跡、色んな人との関わりを眺めながら先生の死を受け入れ成長していくコユキ…。

  • 98二次元好きの匿名さん23/05/18(木) 19:38:41

    恩師の遺志を受け継いで覚醒する少女……これもう主人公じゃん……いや先生まだ死んで無いけどさ

  • 99二次元好きの匿名さん23/05/18(木) 19:43:26

    そうだったまだ死んでなかった

  • 100二次元好きの匿名さん23/05/18(木) 19:51:00

    ハッカーって電子の網を歩く蜘蛛みたいなものだから
    実質スパイダーマン……

  • 101二次元好きの匿名さん23/05/18(木) 19:56:22

    「~~~~~~ッ!!」
    「だから!そういう事は!直接言ってくださいよぉ……!!」



    決めた。
    先生にはユウカ先輩とノア先輩の前で、

    大きな声で
    「コユキの事を誰よりも頼りにしてる」
    って言って貰おう。

    次のユウカ先輩の当番の時に強引にでも割り込んでやる。
    ノア先輩もどうにか呼んでやろう。
    そんな場で先生が大声で叫んだとしたら。
    きっとユウカ先輩は私に詰め寄るより先に先生に食って掛かるに違いない。
    ノア先輩にだってニッコリ笑顔でじわじわと追いつめられるだろうし。

    そんな光景を脳裏に浮かべ、留飲を下げる。

    こんなことを。生徒の気持ちも考えずに。
    書きたい放題に書いておく先生には最大の罰ゲームだ。

    「ふん。先生なんかユウカ先輩ノア先輩から同時に詰め寄られてタジタジになってしまえばいいんです」
    「だいたい、あの時に裏切ってセミナーに通報したのだって、私は全然許してなんかなかったんですからね!」

  • 1023323/05/18(木) 19:56:34

    パンッと。
    自分の頬を叩いて気合いを入れる。
    まだ頭と心はぐちゃぐちゃのまま。むしろ最後の一文でよりいっそうかき回された。
    それを先生への怒りへ強引に変換し、さらに心の動力に変える。
    ここで止まってしまえば、もう先を見る気力も体力も持たないのが分かるから。

    さあ、ファイルを探さないと。

  • 103二次元好きの匿名さん23/05/18(木) 20:21:57

    良いぞコユキ……強くあれ……

  • 1043323/05/18(木) 21:57:29

    しかし、改めて見るとすごい数ですね……。

    これだけの数の生徒と交流をもって、
    シャーレでの仕事もこなして、
    その上他の学校からも仕事を依頼されるなんて。

    先生の過労っぷりも頷ける。

    「アコ……ヒナ……サクラコ……違う」
    「ナギサ……これも違う、っていうか……」

    確かこの人、トリニティのトップでしたよね?
    どうすれば不倶戴天の学校同士のそれぞれの生徒と仲良くできるんでしょうか……。

    って違う違う。
    気を取り直してファイルをスクロールしていく。

    そうして見つけた。
    100名以上の名前を下った先に。
    少しだけ、命名法則から外れたファイルが一つ。
    恐らく一番下に配置するために命名されたであろうファイルの名前は。


    「zz_to_teacher」




    「……先生宛?」

  • 105二次元好きの匿名さん23/05/18(木) 22:05:19

    コユキだったらちゃんとたどり着けるって信じてコユキ宛のメッセージに残してるの本当罪作りな先生…

    コユキに怒られても誰も文句言われんよ…

  • 1063323/05/18(木) 23:03:23

    なんでだろう。
    そもそもこれは……。

    いや。今更考えても答えはこのファイルの中にしかない。
    全てに目を通した後に考えよう。

    「……さあ、開きますよ」

    相も変わらず震えの止まらない手で、ポインタをファイルに合わせ、クリックする。
    他のファイルと同じように、パスワードが要求される。
    考えを巡らせるでもなく。私には直感的にその中身が分かった。
    昨日までの私なら、それはただの文字列。ただの障害に過ぎなかった。
    けれど、今の私は。
    思わず。意味を考える。

    先生はなぜ、この言葉を、鍵にしたのだろうか?

    「パスワードは─」









    ─phrenapates

  • 1073323/05/18(木) 23:46:23

    プレナパテス。

    ……やめよう。考えるのは後回しって決めたばかり。
    入力すればロックは解除され、ファイルの中身が見えた。
    格納されていたファイルは二つ。

    「コユキへ.txt」
    「先生へ.txt」

    ……さっきから気を取られる情報しか目に入ってこない。

    こほん。
    ひとまず、私宛のファイルについて。
    先ほどのファイルが私宛の手紙なら、こちらは指示書、あるいは頼み事、といったところだろう。多分。

    ならまずはこちらのファイルから。

    ポインタを合わせてクリック。
    その動きに従ってファイルが展開される。

    そして、先生からのメッセージが目に入る。

  • 108二次元好きの匿名さん23/05/18(木) 23:47:14

    このレスは削除されています

  • 1093323/05/19(金) 00:06:07

    (すまんけど108はちょっと文章いじったので消しました)


    【これを見てるということは、手伝ってくれるという事だね。】
    【改めてありがとう、コユキ。】
    【いきなりだけど本題に入るね。】

    【まず、このファイルの意図について。】
    【これは、私の、私達の生徒を「先生」に引き継ぐ為のファイル。】
    【そして、その引継ぎを私が出来なかった時の万が一の保険。】

    【コユキにお願いしたいことは大きく二つ。】

    【1.このファイルの削除】
    【2.このファイルを「先生」に届けること】

    【ここまでで、疑問点は多いと思う。その点についてはもう一つのファイルを見て欲しい。】
    【コユキに宛てたものではないけれど、そっちを読めばおおよその理由は分かると思うから。】
    【もう一つのファイルでも書いたと思うけど、私自身はあまり隠す必要性を感じていないから。見ても大丈夫だよ。】

    【1から説明していくね。】
    【このファイルが開かれている時は、私がなんらかの理由で動けなくなっている、意識不明である、または命を落とした時、を想定して残している。】
    【そして、そうなった理由が明確である時。そして、キヴォトス内でそれが起こった時。】

    【例えば車に引かれた。事件に巻き込まれた、とか。その他考えられる原因は何でもいいんだけど。】
    【つまり「私の意識喪失の原因」が明確であり、かつ、キヴォトス内で発生した理由であるなら。】

    【その場合、このフォルダを削除して欲しい。】
    【あ、念の為言っておくけど、他の生徒宛のファイルは消さないようにね。】
    【その時は、できれば他の生徒達を手伝ってあげて。】

  • 1103323/05/19(金) 00:12:37

    【2つ目について。】
    【一つ目で削除タイミングについて述べたけど。それに当てはまらない場合。】

    【つまり、「私の意識喪失の原因」が不明であり、かつ、キヴォトス外から持ち込まれた理由である場合。】
    【そうだね。イメージとしては、サンクトゥム攻略戦みたいな感じかな?】

    【本当に少ない可能性だし、そうなっていない可能性の方が高いって思っているけど。】
    【その時は、もしかしたら。】
    【「私」が、いるかもしれない。】

    【ここにいる私とは、別の選択とった「私」が。】
    【ここまでで、足が止まらなかった「私」が。】

    【そしてその「私」に、私が会えなかった時。】
    【私の代わりに、このファイルを渡してほしいんだ。】
    【「先生」へ。】

  • 1113323/05/19(金) 00:19:18

    眩暈がする。吐き気がする。頭痛がする。
    先ほど燃やした先生への怒りなんていう動力はとっくの昔に消え去って。
    今は、なぜ自分が倒れていないか不思議なくらいに足元がおぼつかない。

    ……こうなるから、先生はきっと隠していたのだ。
    生徒に負担をかけることは望まない先生が、それでも後に残さなきゃいけないものがあって。
    一人では届かない事が分かったから。私に頼んで。
    そうでなければ、先生はきっとこんなことを私に頼んだりしない。

    きっと苦肉の策のはず。

    だから「極秘」なんて名前を付けた。アクセスする生徒を出来る限り減らすために。
    それでも私はきっと、開いてしまうかもしれない。
    でも見つけたのが、このファイルが不要である時なら。出来るだけ負担をかけないように。
    私宛のファイルではここまで書かなかった。
    引き返すチャンスを再三設けていた。

    それをすべて踏み倒したのは、私だ。

    悪戯心を出してファイルを覗いたりしなければ、こんな気持ちになることは無かった。

    だから悪いのは私。
    この眩暈もぐちゃぐちゃの感情も整理のつかない頭の中も。私が原因。

    だけど。
    だけど…。
    だけど……!

    「こんなの……あんまりですよぅ……」

  • 112二次元好きの匿名さん23/05/19(金) 00:27:17

    ちょっとした覗きが原因で先生死亡√のメインヒロインになってしまった……

  • 113二次元好きの匿名さん23/05/19(金) 00:49:40

    先生からのあまりに重すぎるお願い事…
    これもう絶対に今まで通りの接し方が出来なくなっちゃう…

  • 114二次元好きの匿名さん23/05/19(金) 00:55:53

    もし本当に先生が命を落とした時
    他の子たちのパスワード解除を手伝うたびに、先生からの言葉を見て泣いている姿を側で見ることになるよね。

    先生がどれだけ慕われていたのをその度に知って、悲しみを共有し続けることになるコユキ…先生もだいぶ酷なこと頼んだなぁ……

  • 1153323/05/19(金) 01:02:18

    なんでこんなにも淡々と。自分が居なくなった後の事を考えられるのだろう。
    その想像を、冷静に広げることができるんだろう。
    だって私は。今ではもうユウカ先輩もノア先輩も、先生にも会えなくなった時の事なんて考えられない。
    ゴールデンフリース号の時とは事情が違う。
    あの時はミレニアムから逃げ切って、心機一転新天地を見つける予定だった。

  • 1163323/05/19(金) 01:04:36

    だけど。それは叶わなくって。
    サンクトゥム攻略の時に強制的にセミナーに復帰させられて。
    それから。
    知った。

    ユウカ先輩のお小言も。ちょっと甘くて結局私を逃がしてしまって、実はあんまり怖くないところも。
    ノア先輩の夢に出そうなあの笑顔も。ユウカ先輩より実はすっごい怖いけど、体力勝負に持ち込めれば案外逃げ切れるところも。
    先生の優しさを。先生と遊んで楽しかったことを。一緒に、四つ葉のクローバーを探した時の。いつまでも色褪せていないあの思い出を。

    誰かと一緒に。

    その楽しさを知ったから。
    今の私には出来ない想像。

    それなのに。
    私には及びも付かないほどの人との交流を重ねて。
    その楽しさを知っているはずなのに。

    どうして。
    こんな冷静に。
    自分がいなくなった時。

    ああ、ダメだ。その単語だけは考えない様にしていたのに。
    とうとう思考が追い付いてしまう。
    他の事を考えて遠ざけるのも。これを見てしまったらもう無理だ。

    先生が何を考えていたのか。直視だけは避けてきたそれに。
    思考が、追い付いて。

  • 1173323/05/19(金) 01:05:05

    「遺書なんて、どうして書けるんですか───?」


    決定的な言葉が、こぼれた。

  • 1183323/05/19(金) 01:53:14

    まずい。頭ではそう思ったけれど、止められない。

    遺書だと。間違えようもなく認識してしまった。
    今まで堪えてきた感情が決壊して。
    涙が。
    止まらない。

    「うあぁあああ──なんで───!」
    「なんで……こんなこと書くんですかせんせぇ……!!」

    「私と海に行ったり、クルーズ船に乗ったりしましょうよぉ……!今度は「白兎」じゃなくて……!黒崎コユキとして一緒にカジノでもなんでもいいから遊びたいですぅ……!」

  • 1193323/05/19(金) 01:53:25

    もう、ダメだ。
    この先は読めない。
    心が、折れてしまった。

    まだ「手紙」なら耐えられた。
    「引継ぎ」でもギリギリ。
    居なくなることは仕方がない。仕方なくなんて無いけど、仕方ない。とても寂しいけれど。
    何か事情があると、自分を無理やり納得させられるかもしれない。

    でも。
    遺書はダメだ。

    だってそれは。
    完全に。
    死んだ後を、考えてる。
    死んだ後に、影響が無いように考えている。
    死んだ後の、私たちの事を考えている。
    つまり。
    自分の事を考えていない。
    それに思考が届いてからは。

    もう、先を。見る勇気が出ない。

  • 120二次元好きの匿名さん23/05/19(金) 02:16:57

    私を支えていた足はもう力付きて。
    いつの間にか床へと腰を付けていた。

    そのまま、どれくらい泣いていただろうか?
    10秒?
    30秒?
    それとも10分?
    そんな予想も出来ないくらい感情があふれて。
    何もまとまらない私に、声がかかった。

    「や、コユキ」

    「遅くなって本当にごめん」

    「ゲーム開発部に寄った後、C&Cの部室までお邪魔することになっちゃって」

    後ろから声がする。
    まだ少し距離があるけれど。

    今一番聞きたかった声。
    今一番聞きたくない声。

    「お詫びと言ってはなんだけど、スイーツ買ってきたから。一緒に食べない?」
    「なんでも新作らしくて、しかも評判もとっても良いんだって」
    「だからこれ食べて。終わったら、一緒に当番の仕事を手伝って貰えると───」

    だんだんと近づいてきて。

    「──どうしたのコユキ!?」
    くずおれている私の元に、先生が駆け寄ってきた。

  • 1213323/05/19(金) 02:22:57

    (やばい。二日かけて終わらなかった。明日また書きに来る。あとちょっとで終わる予定)

  • 122二次元好きの匿名さん23/05/19(金) 02:36:15

    >>121

    ありがとう…良質な連続小説を読んでるようで凄く楽しいです

    無理のない範囲で頑張って、楽しみに待ってるから

  • 123二次元好きの匿名さん23/05/19(金) 02:44:46

    >>121

    本当にありがとうございます

    無理だけはなさらないように

  • 124二次元好きの匿名さん23/05/19(金) 06:40:00

    面白いです。続き待ってます

  • 125二次元好きの匿名さん23/05/19(金) 07:28:39

    仕上がったら是非本にしよう

  • 126二次元好きの匿名さん23/05/19(金) 09:22:21

    同人のプロットにして誰か描いてくれねえかなあ

  • 127二次元好きの匿名さん23/05/19(金) 10:05:53

    pixivとかに投稿してくれ

  • 128二次元好きの匿名さん23/05/19(金) 10:31:37

    これをあにまんに埋もれさせるのは世界の損失

  • 129二次元好きの匿名さん23/05/19(金) 14:47:36

    コユキじゃなくても泣くわ

  • 130二次元好きの匿名さん23/05/19(金) 14:58:59

    戸惑うのも当然かと、すっかり働きの鈍くなった頭で考える。
    先生の視線が私、そしてデスク上のモニタへと順番に移ったのが分かった。

    「あー……。読んだんだね、コユ「なんで」……キ?」

    「なんで」

    「こんなの。こんな事書いたんですか……!?」
    「書けるんですか……!?」
    「遺書だなんて……縁起でもない……!冗談にしたって、タチ悪すぎですよぉ……!!」

    近づいてきた先生に思わず縋り付き。
    先生の言葉を遮って、一番聞きたかった疑問が。

    「こんなの残さなくったって、先生の周りにはそんな危険なんか排除できる人たちがいっぱいいるじゃないですか……」
    「ユウカ先輩だってノア先輩だって、それこそC&Cだって。それに……」
    私だって。協力するに決まってる。
    なのに。

    「どおしてですかぁ……?」

  • 131二次元好きの匿名さん23/05/19(金) 14:59:46

    そこから先の言葉は形にならずに。ただの嗚咽だった。

    言葉にならない言葉を吐き出しながら、先生の足元で泣いている私を慰めるように。
    先生の大きな手が、私の頭を撫でた。
    そのまましばらく、優しく撫でられて。ようやく少し涙が収まってきたくらいで、先生が。

    「その様子だと……最後のファイルまでは目を通してないね?」

    「……うん。まずは一旦落ち着こうか」
    「温かい飲み物入れてくるから、ちょっと待ってて」

    そう言って私に手を差し伸べる。

    「…………」
    その手に掴まって、どうにか立ち上がり。

    「さ、」
    そう言って私を椅子へと誘導するけど。

    「……やです」

    「へ?」

    「…………。」

    私は捕まえた手を放さず……放せず。

  • 132二次元好きの匿名さん23/05/19(金) 15:00:01

    「……うん。分かった」
    「じゃ、一緒に飲み物、用意しよう?」

    「……はい」

    顔を上げられないまま、手を離せないまま。
    私は先生に半ば連れて行ってもらうかのように、給湯室へ向かった。

  • 133二次元好きの匿名さん23/05/19(金) 17:23:17

    初めて外に出た家猫みたいだ

  • 134二次元好きの匿名さん23/05/19(金) 19:46:20

    先生はコーヒー。
    私はココア。
    それぞれのドリンクを淹れ、執務室へ。

    ソファへ隣同士で座って。示し合わせた訳ではないけど同時にカップを口へ運ぶ。

    一口飲む。
    温かい甘さが口の中に広がって、強張っていた体を解していく。

    「どう?少し落ち着いたかな」

    こくん。
    カップを持ったまま頷く。

    「そっか。なら良かった」
    「......。」
    「改めて、コユキには説明しないと行けないけど......どこから話したものかな」

    「そうだね。順番に行こうか」
    「まず......。コユキはあのファイルの中を開いた。それは間違いないね?」

    こくん。
    カップを持ったまま頷く。

    「.........ごめんなさい」
    「せっかく先生と遊べる機会だったのに......遅刻するっていうから......」
    「先生の秘密を見たらちょっと面白いかなと思って......」
    「.......ちゃんと執務用のファイルじゃないことは確認しましたし、先生個人の秘密なら前の時の約束も破らないかなって......」

  • 135二次元好きの匿名さん23/05/19(金) 20:38:08

    「う゛......」
    流石にこれに関しては言い返せない......。

    「大丈夫、もう気にしてないよ」
    「ちゃんと謝罪も受けたしね」

    「じゃあ次は私の番」
    そういって、先生はカップを脇に避け。
    私に向き直って。

    「ここまで負担をかけるようなファイルを残してごめん」

    頭を下げた。

    「そん......」
    そんなことないですよ。
    反射的にそう言いそうになったけど。

    先程まで目にしていたファイルの内容が蘇る。
    それだけで。
    また目眩が、吐き気が、頭痛が。
    ぶり返したような気がして。

    そうなった理由を考えたら。
    溢れかけた言葉を飲み込こんで、別の言葉を出す。

    「そっ、そうですよ!なんであんなファイルなんて残してるんですか!?」
    「あっ、あんなの!私が見たから良かったものの!」
    「ユウカ先輩が見ていたらどうなっていたか!!」

  • 136二次元好きの匿名さん23/05/19(金) 20:42:32

    大嘘だ。
    私だってどうにかなってしまった。
    けれど。
    実際の先生と少し話ができて、「居なくなってない」事を実感できて、安心感を取り戻せた私の勢いは止まらない。

    「先生に私の気持ちがわかりますか!?いいえわかりません!」
    「ちょっとした悪戯心で先生の秘密を覗いてみようかな~なんて思ってた私は!」

    「普段と全然様子の違うファイル群を見せられ!中身を見たら遺書めいたメッセージ!」

    「極めつけは大きな責任がありそうな頼みごと!」
    「そういった様々を見せられて!私がどんな気持ちになったか!!」
    「あんなにノリノリで遺書なんて残す先生には絶対にわからないでしょうけど!?」
    「もう私はボロボロですよ!」
    先生は勢いに負けて何も返答できていないけど。
    表情は明らかに(コユキが見なければ良かったのでは......)と語っている。

  • 137二次元好きの匿名さん23/05/19(金) 20:43:35

    それは無視。さっきは私が先生の気持ちを受け止めたんだから。
    それこそ、『次は先生の番』だ。
    まだ私の言いたいことは言い切ってない。私の気持ちを受け止めてもらわないと。
    「だから!」
    「先生には!」
    「罰ゲームです!!」

    「えぇ......」

    「それもただの罰ゲームじゃあありません!」
    「次のユウカ先輩かノア先輩が当番の時!当番じゃない方の先輩と私もシャーレに来ますから!」
    「そこで!」

    「『コユキを誰より頼りにしてる』」

    「って大きな声で宣言して下さい!」

  • 138二次元好きの匿名さん23/05/19(金) 21:00:55

    言い切った。
    勢いのまま、先生と視線を合わせる。
    また昂った感情に押されて、涙が溢れてくる。
    だけど構わない。
    流れる涙も拭わず、視線をそらさずに先生の目を見つめる。

    「......私だって頑張りますからぁ......死んだ後のことなんて考えないで下さいよぉ......」

    「もっと今、私と遊んでくださいよぅ......また一緒に、
    四葉のクローバーを探しましょうよぉ......」

    「先生もあの時が楽しいと思ってくれたから、パスワードに設定したんじゃないんですか......?」

    言い切ったと思った。
    けれど。自分でも無意識のうちに、溢れてきた言葉が合った。

    それを受けて先生は。
    目を逸らさずに。
    頷いてくれた。

  • 139二次元好きの匿名さん23/05/19(金) 21:03:54

    (やばい、スマホだと文章の見落としが出る。以下のレスの間に一文追加で)


    >>134


    「そこまで配慮できるんなら、そもそもファイルを見ないって選択肢を取って欲しかったけどね......」


    >>135

  • 140二次元好きの匿名さん23/05/19(金) 21:13:24

    「......。」
    「うん、そうだね」
    「コユキは何も間違ったことを言っていない」

    「コユキには大きな心配をかけたし」
    「四葉のクローバーを探すのが楽しかったのも本当」
    「パスワードに設定した理由も正解」

    「けれど」
    「そうしてでも遺すべき物があったっていうのも、本当」

    「それを今から、説明していくね」


    ドクン。と。
    心臓の音が耳に響く。

    ここから先の話は、私一人ではくじけて見れなかった話だ。
    止まった震えがいつの間にか。
    もう一度手に現れた。

    その震えを、先生の服の裾を掴んで抑えて。
    先生の言葉に頷き。続きを促した。

  • 141二次元好きの匿名さん23/05/19(金) 23:22:39

    かわいいコユキかわいい

  • 142二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 02:40:38

    「私に分かっている範囲でだけど、コユキには全て話すよ」
    「それが、ここまで心配掛けたコユキに対する義務だし、知る権利があると思うから」

    先生と目を合わせたまま、また一つ頷いて続きを促す。
    恐らくここは私が口を挟まないほうが良い。


    「まずは、コユキにも参加してもらったサンクトゥム攻略戦」

    「あれが一段落した後、私と一部の生徒たちはウトナピシュティムの本船へと乗り込んでアトラ・ハシースの方舟の攻略へと向かった」

    「その理由は、虚妄のサンクトゥムの現出、引いてはキヴォトスを非常事態に陥れた元凶が居ると予測されたから」

    「そして予測どおり、方舟内に今回の騒動の大本とも呼べる存在がいた」

    「即ち、『色彩』によって歪められた『先生』と『生徒』」

    「つまり──私、だね」

    「............先生。その、色彩、というのは?」
    先生や先輩が乗っていった舟の名前も初めて聞いたけど、それ以上に。

  • 143二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 02:41:09

    『色彩』。
    全く耳馴染みが無い言葉だ。
    もちろん、言葉通りの意味であるなら分かるけれど。
    先生が言っているのは多分、そういうことじゃない。

    それに、なんだか不吉な感じがする。

    「うーん......。正直、私にもよく分かっていないんだ」

    「私に分かっているのはこの二つ」
    「一つ。触れた生徒を歪める、ということ」
    「二つ。歪んだ生徒は超常的な力を行使できる可能性が有る、ということ」

    この認識であっているかもわからないけどね、と付け足す先生。

    先生にもよく分かっていないということは、ここで質問しても無意味ということ。

    どうにか言葉通りの意味として説明を飲み込み、続きを促す。

  • 144二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 03:21:22

    ここからはさらに憶測に憶測を重ねることになるよ。
    そう前置きし、先生は続きを語る。

    「ここからが結構複雑でね......。とにかく、私が予測したことを話していくね」

    「一旦色彩については置いておいて、『私』と『生徒』について」
    「並行世界......とでも表現すればいいのかな。とにかくもう一人の『私』が居たんだ。どうにかまずこれを前提として考えて欲しい」

    ......???
    突然宇宙に放り出されたような話の飛躍。

    ............いや。まずは一旦受け入れよう。そうじゃなきゃ核心へ辿り着けない。

    私の目的は、先生が遺書を残した理由だ。

    一瞬ぽかんと口を開けて固まってしまったが。すぐに頭を振って正気を戻す。

    「......ありがとう。とりあえず進めるね」
    「もう一人の『私』。恐らくここにいる私とは別の選択肢を選んできた『私』」
    「選んだ選択によって結果が変わり。私とは別の結果に至った『私』」

    「最終的に『私』が至った結末では、どうやらキヴォトスが滅ぶ。ないしはそれに類するような状態になったらしいんだ」

  • 145二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 03:22:52

    「その結末では」
    「死者が多く出たらしい」
    「もちろん生徒を含んでね」

    「その最中、『私』も死んだみたい」
    「でも、その中でもどうにか生き残ってくれた生徒が居たんだ」

    「どういう選択を取ってきたのかは私にはわからない。分かっているのは」

    「『私』は最期まで生徒を支えられなくて」
    「導いてあげられなくて」
    「生徒を、自分さえも取りこぼして」
    「それでも尚、生き残ってくれた生徒のために」
    「手を、命を尽くした、ということ」

    そこでさっきの色彩が絡んでくるんだ。
    先生はそう言った。

    「どのタイミングかまではわからないけど」
    「『私』と『生徒』に色彩が接触してきて」
    「その性質を歪めたらしい」

    「目的は私には見当がついていない」
    「そういうことがあったんだろう、とだけ」
    「とにかく、そうして歪められた『私』は、それを逆に利用することにしたみたい」

    「歪められた際に現れた『生徒』の力を使って」
    「別世界の。自分とは別の選択を選んで、別の結末へ辿り着いた自分へ──私へ」
    「生徒を託すことを、考えた」

  • 1463323/05/20(土) 03:30:34

    (後少しで終わるとはなんだったのか。レスばっか消費して&長引いて申し訳ない。)
    (文の中で出てきた色彩や最終編の内容に関する話は、あくまで「先生はそう考えている、捉えている」って感じでどうにか)
    (そういう意味じゃねーよ!!って部分は各自正しい内容に脳内差替して頂ければ)

  • 147二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 03:57:52

    どんどんじっくり腰据えてやってくれ
    おつ

  • 148二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 05:03:18

    乙です
    時折こういうのが出てくるからあにまんはやめられない

  • 149二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 05:03:58

    これはもう一枚の大人のカードが出てくる流れ…

  • 150二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 09:43:22

    ここ数日ここで良質なSSを摂取してしまったせいで何回もここ来ちゃうよ

  • 151二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 11:14:29

    (33さんとは違う人だけど重力コユキを自給自足したのでお裾分けに)

    (解釈違いやズレは許して、別世界線って事で)

    heavy-koyukiコユキにあの極秘ファイルを見られてしまった日から2週間が過ぎていた。

    色々な意味で大変な時間が続いたせいだろうか、何気なくカレンダーを見て驚くくらいに早く感じる日々だった。


    現状、コユキの様子は落ち着いてきている。少なくとも表面上は。

    最初の数日はほとんど私にしがみつくようにして離れず帰らず、離れたとしても通話を繋げるか鬼のようにモモトークが届く時間が続いた。初日に至ってはどうしても帰るのを嫌がったため、結局シャーレに一晩泊めて過ごした。

    その後も健康診断に引きずって連れて行かれたり、常に健康状態を送信する装置や頑丈な防護アーマーを着用させられそうになったり、コユキの反省部屋をシャーレ近辺に移送する案を通そうとしていたり──本当に色々とあった。

    彼女は今も用の有る無しに関わらずシャーレにやってくる。私が不在の際、職員に私の行き先を尋ねて出先まで追いかけてきたことまであった。


    正直に言って、ここまでショックを与えてしまうとは思っていなかった。


    私はあのファイルの扱いについて様々な可能性を考慮してきた。コユキ以外にも、自然とたどり着いてしまうかもしれない誰かのことを考えて、メッセージを用意したつもりでいた。…
    telegra.ph
  • 152二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 11:21:29

    >>151

    こっちはこっちでいいじゃない……

  • 153二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 11:40:25

    「ただ、相当に無理があったみたい」
    「さっきも言った通り、『色彩』の対象に入るのは本来生徒達らしくて、私は違うみたいなんだ」

    「それを無理矢理自分に適用させたらしくて」

    第一印象としては壊れきってる、って感じだったかな。向こうの私は。なんと言うべきか.....残骸?

    先生はそう言った。
    「とにかく、『私』はどうにかここへ辿り着いた」
    「」
    「まだ滅んでいないキヴォトスへ」
    「自分と違う選択を選んできた私へ」
    「残してしまった生徒を託せる、『自分』へ」

    「それをこちらのキヴォトス全体を混乱に叩き込んででも、実行した」

    「かなり分の悪い賭けだったと思う。でも、」
    「多分勝算があったんじゃないかな」
    「『私達』の生徒なら、それを乗り越えられるって」

    「そうして賭けに勝って」
    「あの方舟の中で」
    「私に、生徒を託してくれたんだ」

    「その後のことは......知ってるかな?」

  • 154二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 11:42:30

    最後の一言だけ、ヤケに気まずそうに。
    先生はそう言った。

    ふと考えを巡らす。
    ......
    ............
    ..................
    ああ。そうか。通りで。
    この話の大本のファイル。「極秘」フォルダ。
    その4桁のパスワードに見覚えが有るはずだ。

    というか、見覚えだけでいうなら。覚えが有るのは多分私だけじゃない。
    キヴォトスでチラッとでもニュースを見る人なら当然知ってる。

    あの日付だ。
    「先生が.....その......ぜ、ぜん──」

    「コユキ!」

    「ひゃい!?」

    「私から振っといてなんだけど!この話は、止めよう!」
    「ね!」

    「ひゃい.......」

    以前、引き出しから。
    あの、う、薄い本を発見した時より大きな声。
    まあそれよりイヤですよね......。

  • 155二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 11:46:28

    「こほん」
    「......ともかく。そうして私は。『私』から生徒を託された」

    「その後は、時間がかかったけど。段々と元の生活を取り戻していったよね」

    「その中で思い始めたんだ」
    「今回は、たまたま私が託された側だったけど」
    「あの『私』は。いつ私が至ってもおかしくない結果なんだって」

    それは。
    そうかもしれない。けど。

    「あの『私』は。生徒達に最期に気持ちを伝えられなかったんじゃないかって」
    「同時に、私が選んだ選択の先に」

    「仮に類似した滅びあったとしても」
    「もしかしたら、生徒達を。その未来を。その指導を」
    「それを託せる誰かが──『私』が、居るかも知れない」

    「そう思ったら、用意せずには居られなかった」
    「生徒達への気持ちと」

    「私と違う結末へ進んでいく『私』へと。続きを見られなかった私へ至らないようにする、ささやかでも構わないから。その助けになるような」

    「遺書を」

  • 156二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 13:44:58

    「それが」
    「このファイルを準備した理由かな」

    ここまで話すのに、だいぶかかっちゃったね。
    苦笑いしながら、私へそう話す。

    「コユキがまだ見ていなかった最後のファイル。あの中には『私』宛の情報を書いておいたんだ」

    「生徒達の簡単な紹介。現時点におけるキヴォトス内の情勢。私が選んできた選択」
    「そして、生徒達を頼むためのメッセージを」

    なにせ、いつの『私』と接触できるか解らないからね。
    私より未来を知っているのか、知らないのか。
    『私』が私と同じ性別なのかさえわからないんだ。

    だから必要になりそうなことを片っ端からね。


    そんなことを、苦笑いのまま続ける。

    まるで全ての説明を終えたかのように。
    ある種開放された、みたいな。
    そんなのんきな顔で。

    違います、先生。
    まだ終わってなんかません。

    先生のせいですからね?

    また私の感情に火がついた。

  • 157二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 14:18:30

    ふつふつと湧き上がる感情のまま、掴んでいた裾から肩へと手を移動させる。
    そして、強く押して。
    先生が下、私が上の形へ。
    ソファへ一気に押し倒した。

    「うわっ、ちょっと、コユキ?」
    「いきなりどう──」

    「いきなりなんかじゃありません!」
    「正直、まだ飲み込めてない部分は多いです。色彩とか、もう一人の先生とか、生徒とか」
    「わからないことだらけですけど」

    「だけど、先生がどういう理由で、どういう思いであのファイルを用意したのかはわかりました!」

    「私には想像も出来なかった背景があったことも!」
    「でも!」

    「どうして、もっと相談してくれないんですか!?」
    「私じゃなくたっていい、他の誰だって構いません!」

    「──それは」
    先生が何か言いかけて。
    遮って、続ける。

  • 158二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 14:30:25

    「確かに先生は先生で、私達は生徒です」
    「私達を守る立場に立っていることもわかってます!」

    「けど、先生が私を、私達を助けてくれてきたみたいに」
    「私だって、先生の助けになりたいんですよ!?」

    「最悪の事態に備える前に!そんな事に陥らないように......!先生が、その、」

    「死ぬ......なんて、そんな」
    「そんなコトにならないように、そっちについて力を注いで下さい!」

    今日一体、私は何回泣いてるんだろう。
    私の頬を伝った涙が、先生へと落ちて、先生の頬を濡らす。

    「そうじゃないと......」
    「先生が誰の顔を見ても、目を逸らさずに」
    「力の限り頑張ったって!」
    「そう言える様にしないなら!」

    「先生のお願い事なんて知ったこっちゃありません!」

    「え、ちょっ──」

    「極秘がなんです!この私にかかればあんなパスワードなんてチョチョイのちょいってことを忘れてませんか!?」

    「ものの数十秒で全部解錠して!」
    「デタラメな生徒宛に送りつけちゃいましょうか!?」

  • 159二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 14:42:26

    「いえ、逆に!」
    「全部消しちゃいましょう!」
    「本当に必要になるかも解らないもう一人の自分宛ての遺書なんてもの!」

    「先生が書いても書いてもその度に!」
    「逐一私が全部削除しちゃいますから!」

    「それは──」

    「そうしたら先生はもう、遺書なんて残せませんし、もう一人の自分をアテになんてできません!」

    泣いているのは私なのに。
    まるで先生も泣いているみたい。
    そのくらい、先生の顔も濡れている。

    「だから──だから!」

    「先生がそもそもし、死ぬなんてことにならないように!」
    「それに全力を尽くしてもらいますから!」
    「私だって協力します、全力で!」

    「お金が必要なら幾らでも引っ張ってきます!」
    「それはダメ」

  • 160二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 14:48:08

    >>159

    「それはダメ」

    ここ好き

  • 161二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 15:05:24

    「う゛......」
    「と、とにかく」
    「私が協力が欲しいなら!私はその方面なら力を貸します!」
    「欲しくないなんて今更言わせませんから!あんな遺書まで書いておいて!」


    「......そのくらい、させて下さい」
    「先生の力になりたいのは本当なんです」
    「でも、お願いですから、もう」








    ──死んだ後のことなんて、考えないで下さい。

  • 162二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 15:14:05

    「うん、うん」
    「本当にごめんね、コユキ」
    そう言いながら、下から私の頬に手を伸ばし。
    止まらない涙を拭ってくれる。

    「そうだね。多分私も思いつめすぎていたのかも」
    「初めてのことだったから、動揺してたと思う」
    「そんな焦りが、コユキに負担をかけ過ぎちゃったね」

    本当です。
    たった数時間の間に、どれだけ心を動かしたことか。
    どれだけ泣いたことか。
    ……今も涙は止まってないけれど。

    「そして、心配してくれてありがとう」
    「目が醒めた気分だよ」

    「約束する」
    「そもそもあのファイルが必要にならないように全力を尽くすことを」
    「そしてその為に、みんなから協力を仰ぐことを」
    「コユキにも手伝って欲しい」

  • 163二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 15:24:41

    「......はい。もちろん!」
    「じゃあお手伝い第一弾で、明日早速、四葉のクローバーを探しに行きましょう!」
    「先生がピンチにならないように、ラッキーを見つけないといけないですからね!」

    「えぇ......この流れで私の生死が運任せになるの......?」

    上下で顔を見合わせて、二人で笑う。
    笑えた。
    笑い方を思い出すまでもなく、心から。

    ようやく冷静さを取り戻せた。
    同時に、腕の力が抜けて。

    ぽてっと。
    先生の腕の──胸の中に私の頭を預けるような形に。

    ……ちょっとこれ、だいぶ恥ずかしいじょうたいなんじゃないですか......!?

    先程までとまるで違う理由で、感情に火が着き始める。

    どうしようどうしよう。
    そんな思考が回り始めると同じタイミングで。
    ドタドタと。
    シャーレの入り口の方から、足音と。
    声が。
    あれは...... 冷酷な算術使い、もとい、ユウカ先輩......!?

    まずい!
    そもそもユウカ先輩の仕事を改ざんして無駄に増やしてたの忘れてたぁ!?

  • 164二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 15:43:29

    このレスは削除されています

  • 165二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 15:48:30

    ちょっとコユキ!?どういうつもり!?

    そんな声がどんどん近づいてくる。

    「あー、コユキ?」
    「この状態はちょっとシャレにならないし」
    「そろそろどいて貰えると......」

    近づく足音に比例して、私の心拍も高まっている。
    そして緊張が最高に高まって。

    私に名案が舞い降りた。

  • 166二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 16:01:03

    「.........にははは」

    「先生。──罰ゲームについて、話した事がありましたよね?」

    そう発言した瞬間。
    先生の心音も、私と同じくらい高まったのを肌で感じる。

    「「.........」」
    「コユキ......まさか!?」

    「鋭いですねぇ先生!」
    「そのまさかです!」
    「さあ!ユウカ先輩の前で!大きな声でお願いします!」

    「いや、これはマズイでしょ!?」
    「それに......そもそも!だよ!?ノアも居る所って言ってなかった!?」

    にははは。
    パニックになった先生が、遠回しに自分のクビを締めるようなコトを言う。

    早鐘の様になった鼓動に任せて、私は言い放つ。
    大丈夫。
    先程までと違い、今度は楽しさに満ちている。

    「更に鋭いですねぇ!でも大丈夫です!私は名案を思いついてしまっているので!」

  • 167二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 16:02:47

    そうだ。
    別に最初から一回だけなんて言っていない。

    ユウカ先輩の前で。
    ノア先輩の前で。
    そしてその二人が居る前で。
    これから先、回数を制限する必要なんて無い。

    簡単な話。こうすれば良いのだ。
    にははは。







    「───何回でも!言って下さい、先生!」


    これからの未来で、何度でも!

  • 1683323/05/20(土) 16:09:43

    っしゃあ!第三部、完!
    終わったぁ!

    何回もコユキを泣かせたけど、結局悪戯顔でにははは笑いしてる笑顔が一番似合うんだよなぁ!

    最初は2,3レスで書ききる予定だったのに、文字数カウントしてみたら原稿用紙55枚分も書いてるんだよね、バカじゃない?

    長文でレスを大幅に使ってスミマセンでした!

    解釈違いあっても大目に見てくれ!

    あとSS内で頻繁にユウカが出てくるけどノアが出てこないのは弊シャーレにはノアが居ないから!
    ちょっとお時間頂いてるノアしか知らないと解像度が足りなくて登場させられんかった!すまん!

    以上!解散!閉廷!

  • 169二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 16:19:09

    お疲れ様です!!
    これはあくまでも個人的な意見だけどpixivに投稿していただきたいな……上でも言われてたけど場末の掲示板に埋もれさすにはあまりにも惜しすぎる

  • 170二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 16:19:24

    みんな!遺言は信頼できる機関に預けるのが大切だぞ!
    あとから知らない親族が遺書持って現われるなんざチャメシ・インシデントだ!

  • 171二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 16:21:28

    奥深い概念と美味しいSSが楽しめるスレじゃったか…!!

  • 172二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 16:22:38

    ありがとう……めちゃくちゃ良いSS読ませて貰いました!渋なり笛吹なり投稿してくれたら嬉しいな

  • 1733323/05/20(土) 16:24:51

    勢いにまかせて解散って言ったけど33は別にスレ主ではありませんので!
    (解散する必要は)ないです

  • 174二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 16:25:20

    おつおつ 良い概念だこれは
    しれっと別の人が書いたのも挟まってるしコユキ遺書発見ブームとか起きねえかなあ(無理)

  • 175二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 16:25:49

    このレスは削除されています

  • 176二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 17:09:44

    お前…できる奴だな…
    名誉先生だな…

  • 177二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 17:11:06

    俺コユキを曇れせ隊かもわからん

  • 178二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 17:39:15

    コユキほしいなぁ……(新任先生Lv.57感)

  • 179二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 17:55:43

    上の方にもあったけどあにまんに埋もれさせるには惜しい大作だな…

  • 180二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 18:03:50

    >>178

    コユキは良いぞ

    気づいたらss書いてるくらいにはいいぞ


    性能的な面でも広範囲神秘アタッカーで使いやすいし、結構火力もでる


    あとつままれボイスが変な声族なので何回つまんでも楽しい(かわいい)


    メモロビも嬉しそうに撫でられてる顔がかわいいんだ

    他の生徒は比較的照れてる顔が多い中だから新鮮味もある

  • 1813323/05/20(土) 18:22:57

    >>179

    他のサイトに上げることも一瞬考えたんだけど


    40で投下始める前にスレで出てたセリフとか案とか結構意図的に取り込んだので厳密には一人で全部書いたって訳じゃないし


    そうなると一人の名義でアップするとん?って引っかかる気がしたのでハメや渋に上げることは無いと思う

  • 182二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 19:39:23

    おっと残念、このスレきちんと保存しておかなきゃ

  • 183二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 21:39:38

    >>1のスレのコユキは若干ギャグ顔な泣き方だが、このスレの遺書みたいなのみたら、間違い無くギャグじゃないマジ泣きになる。

  • 184二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 22:31:45

    おつかれさまでした

    「ひとりの力ではない」ことをキャプションで明言しておけばいいってことじゃん!ほら早くアップして

  • 185二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 22:40:34

    >>178

    わかる…コユキ欲しい

    トキ&ナギサ様ガチャで石が消し飛んだ+正月ムツキが控えてたのでスルーしたのを今滅茶苦茶後悔するぐらいには好きだわ


    素晴らしい概念を生んだスレ主と素晴らしいSSを書いてくださった方々に感謝…最高でした

  • 186二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 22:57:08

    完結お疲れ様でした!

  • 187二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 23:00:36

    >>25

    それでおでこに手をやったら熱があって病院で検査したら肺炎とインフルエンザのWパンチを受けていると分かって先生の回りはどったんバッタン大騒ぎ.......

  • 188二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 23:12:50

    スペシャルサンクス:元スレ「先生のPCに隠されて〜
    って付けりゃええねん

  • 189二次元好きの匿名さん23/05/21(日) 01:36:44

    最近。
    私の後輩の様子がおかしい。

    異様に真面目に仕事をする。
    仕事を任せると、設定した期限より必ず多めに巻いて仕事を完了させる。

    あれ程問題を起こしては逃げ、起こしては逃げ、を繰り返していたのに。
    今やその影を見ることすら無い。

    能力が高いことは知っていたし、それを当てにしてセミナーへ勧誘したのはそうなんだけど。
    それにしたって、真面目に能力を使えばここまでなのか、と舌を巻く。

    いや、真面目に仕事をするのは歓迎すべき事なのだけど。

    問題が一つ。



    ──開けた時間でシャーレに行っていること。

  • 190二次元好きの匿名さん23/05/21(日) 01:38:35

    先生に懐いていることは知っていたし、私の当番が重なるとぶーぶー文句を言いに来てはいたが。

    それでも、最近はやけに目にあま、こほん、
    頻度が多い。

    本人にそれとなく聞いても。

    「にははは〜。いやー、心境の変化と言いますか?」
    「相変わらず先生は忙しいみたいですし、私の手は空いているので」

    そう簡単に空けられる様な仕事量では無いハズなのに。
    それは、仕事を振っている私が一番良く知っている。

    「ちょーっとお手伝いして差し上げようかな?的な?」
    「安心して下さい、ユウカ先輩!」
    「先輩のポジションを取ったりはしませんから!」

    この問題児が何を安心しろと言っているのかは皆目、皆目!検討もつかないが!?

    閑話休題。
    ともかく。その様に誤魔化されてしまう。
    口調は前と同じくふざけているのに。
    その視線は真剣で。
    追求する言葉を飲み込まざるを得なくなる。

    きっかけは検討がついている。
    あの日。

    彼女がいつもの悪戯で私の仕事を増やし、その隙に当番を取って代わられ──代わるように仕向けられた日。

  • 191二次元好きの匿名さん23/05/21(日) 01:39:42

    彼女の行った悪戯を追求するべく、シャーレに向かった私が目にした光景。(仕事は当然終わらせてから。かんぺき〜)


    彼女は泣きながら先生に馬乗りになり。
    先生は意を決したような(ヤケクソとも言う)顔で。

    『私は──誰よりもコユキを信頼してる!』

    そう、執務室中に広がる大声で叫んだ日。

    そんな光景を目にした私は。
    思わず二人を正座させて小一時間問い詰めたけれど。

    「罰ゲーム、だよ?ね、コユキ?」

    「えぇ、えぇ。そうです!実はさっきまでチババ抜きを!愛してるゲーム変則罰ゲームせっとで!」
    「愛してるゲームはご存知ですか、先輩?」

    「愛してると言う側と言われる側に分かれて、照れた方の負け!なんて簡単なゲームですが」
    「それをババ抜きで敗けた側が言うわけですね」

    「ただまあ、流石に先生が生徒に愛を述べるのも如何なものかと」
    「なので信頼してる!ってセリフに置き換えた訳です」
    「あ、もしよければユウカ先輩も一緒にやりましょうよ!」

  • 192二次元好きの匿名さん23/05/21(日) 01:42:46

    なにそれ羨ましい。
    私だって言って欲、こほんこほん。

    ──なんて、一気呵成に捲し立てて誤魔化して。

    明らかにそんな雰囲気じゃ無かったくせに。

    あの時。
    絶対にあの二人の間になにかあった。

    それは間違いない。
    私の完璧な計算がそう告げている。

    だけど、それに対して口を割る気はないらしい、二人とも。

    なら。
    私は私の目で。
    何があったのか見極めよう。

    それに多分、彼女は一足先にシャーレへ向かっているだろうから。

    そう決意を新たにして。
    私──早瀬ユウカは。
    当番へ赴く。

    先生と、少し成長した様子を見せた黒崎コユキの待つ執務室へ。


    今日も、向かう。

  • 1933323/05/21(日) 01:44:27

    ふと思いついたユウカ視点の後日談!
    これにて今度こそ、完!

  • 194二次元好きの匿名さん23/05/21(日) 01:45:39

    お疲れ様

    良い概念からの良いSSだった

  • 195二次元好きの匿名さん23/05/21(日) 01:57:17

    > 『私は──誰よりもコユキを信頼してる!』


    マズイ話は先生も場所選んでるだろうし大丈夫だと思うけど

    執務室中に広がる大声、これ録音されてますよね?


    名前部分加工して売り出すようなことはないだろうけど

    大型連休動画見るあたり裏で共有されそう

  • 196二次元好きの匿名さん23/05/21(日) 01:59:10

    >>193

    ユウカ視点の後日談まで…ありがとう…あんたがNo.1だ…

  • 197二次元好きの匿名さん23/05/21(日) 02:17:22

    このレスは削除されています

  • 198二次元好きの匿名さん23/05/21(日) 03:06:48

    後日談含めて最高だったわ。
    こんなのが突如出てくるからあにまんはやめられない

  • 199二次元好きの匿名さん23/05/21(日) 03:54:07

    本当にありがとう…

  • 200123/05/21(日) 04:11:03

    感謝...!

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