- 1二次元好きの匿名さん22/03/11(金) 18:04:01
始まり
ムカつく...ぽっと出のくせに調子に乗って...そうだ......!|あにまん掲示板大量のにんじんを押し付けてやる!https://bbs.animanch.com/img/243226/595いくら良く食べると言ってもこの量は迷惑でしょ!これで体調でも崩せばいいのよ!bbs.animanch.comひとつ前
ムカつく...ぽっと出のくせに調子に乗って…そうだ……!Part8|あにまん掲示板全ての始まり(閲覧推奨)https://bbs.animanch.com/board/255217/前スレhttps://bbs.animanch.com/board/368777/オグリキャップとP…bbs.animanch.comオグリキャップとpart1の>>1のシチュを妄想しよう
オグリをもっと困らせていこう!
- 2二次元好きの匿名さん22/03/11(金) 18:17:28
過去 2~8
ムカつく...ぽっと出のくせに調子に乗って…そうだ……!Part2|あにまん掲示板https://bbs.animanch.com/board/255217/前スレオグリ×前スレ1の妄想をしよう!!!bbs.animanch.comムカつく...ぽっと出のくせに調子に乗って…そうだ……!Part3|あにまん掲示板前スレhttps://bbs.animanch.com/board/255217/https://bbs.animanch.com/board/258049/オグリ×前スレ1の妄想をしよう!!!次は&…bbs.animanch.comムカつく...ぽっと出のくせに調子に乗って…そうだ……!Part4|あにまん掲示板前スレhttps://bbs.animanch.com/board/255217/https://bbs.animanch.com/board/258049/https://bbs.animanch.…bbs.animanch.comムカつく...ぽっと出のくせに調子に乗って…そうだ……!Part5|あにまん掲示板これまでhttps://bbs.animanch.com/board/255217/https://bbs.animanch.com/board/258049/https://bbs.animanch…bbs.animanch.comムカつく...ぽっと出のくせに調子に乗って…そうだ……!Part6|あにまん掲示板前スレhttps://bbs.animanch.com/board/255217/https://bbs.animanch.com/board/322746/オグリ×前スレ1の妄想をしよう!!!次は&…bbs.animanch.comムカつく...ぽっと出のくせに調子に乗って…そうだ……!Part7|あにまん掲示板震源地https://bbs.animanch.com/board/255217/前スレhttps://bbs.animanch.com/board/340647/オグリ×震源地>>1の妄…bbs.animanch.comムカつく...ぽっと出のくせに調子に乗って…そうだ……!Part8|あにまん掲示板全ての始まり(閲覧推奨)https://bbs.animanch.com/board/255217/前スレhttps://bbs.animanch.com/board/368777/オグリキャップとP…bbs.animanch.com - 3二次元好きの匿名さん22/03/11(金) 18:18:52
番外編
あれは「ムカつく...ぽっと出のくせに調子に乗って...そうだ......!」スレと言って|あにまん掲示板このスレから概念化してPart化したスレなんだhttps://bbs.animanch.com/board/255217/私にツンデレ(デレデレ)な後輩のイチちゃんの妄想を書き込むスレなんだとくにルー…bbs.animanch.comあれは「ムカつく...ぽっと出のくせに調子に乗って...そうだ......!」スレと言って Part2|あにまん掲示板このスレから概念化してPart化したスレなんだhttps://bbs.animanch.com/board/255217/私にツンデレ(デレデレ)な後輩のイチちゃんの妄想を書き込むスレなんだとくにルー…bbs.animanch.comお母さんの味だった|あにまん掲示板元スレの1ですまさかここまでの事態になるとは思ってませんでした私も出力しなければ無作法というもの元スレhttps://bbs.animanch.com/board/255217/最近学園内で妙な噂が流…bbs.animanch.com - 4二次元好きの匿名さん22/03/11(金) 18:30:27
スレタテオツ
- 5二次元好きの匿名さん22/03/11(金) 18:31:26
スレ建て乙&保守
- 6二次元好きの匿名さん22/03/11(金) 18:58:12
縦乙
- 7二次元好きの匿名さん22/03/11(金) 20:00:58
まだオグイチが要るのだ
- 8元スレ主22/03/11(金) 20:35:57
最近リアルで色々あって来れなかったから前回から見返してくるんだ
- 9二次元好きの匿名さん22/03/11(金) 20:38:28
スレタテイチオツ
- 10二次元好きの匿名さん22/03/11(金) 21:39:41
保守ッ!保守をお忘れなくッ!!
- 11二次元好きの匿名さん22/03/11(金) 21:54:28
- 12二次元好きの匿名さん22/03/11(金) 21:56:00
- 13二次元好きの匿名さん22/03/11(金) 21:58:12
- 14二次元好きの匿名さん22/03/12(土) 00:37:46
可愛い
- 15二次元好きの匿名さん22/03/12(土) 00:39:54
また描いてくれないかな…
- 16>>3722/03/12(土) 00:57:30
オグクルはまど概念の観測が少なめだからな…
ssを練る難易度は高めだけどとても良い概念なんだ - 17二次元好きの匿名さん22/03/12(土) 07:50:27
up
- 18二次元好きの匿名さん22/03/12(土) 12:43:51
このレスは削除されています
- 19SS筆者22/03/12(土) 12:44:38
保守ついでの(
part7 38
◆超短編なんだ
◆「ワン」 →オグリキャップ号産駒 オグリワン号より。まだご存命なので、名前を全部書くのは(何となくだけど)避けました
「町内徒競走で4番」 →オグリワン号のデビュー戦での戦績
◆キャップさん、という呼び方の違和感がヤバいんですが、自分の知識不足から無理くりひねり出した呼ばせ方です
→同性カップルの子供への呼ばせ方の一つとして、「片方をお父さん/お母さんと呼ばせ、もう一人を名前で呼ばせる」というものがあったので、それを貰ってきました。
◆個人的にはイチちゃんの「キャップ」呼びが一番心に来る。いつから呼び始めたんだろう。
◆子供相手でも手を抜かないオグリ →ゲーム内オグリのgoodエンディングのセリフからインスピレーションを得ました
→エンディング内で、子供と触れ合うシーンの際、「私は速いんだ。ウマ娘だからな。」というセリフがある
→このセリフが『ウマ娘 プリティーダービー』における「オグリキャップ」というキャラクターのエッセンスが詰まった名文だと思っています。
◆食後のお茶 →オグリは食後にお茶をゆっくり飲んでいてほしい……ほしくない?そしてイチちゃんには誰かのためにお茶を淹れていてほしい……ほし(ry
「もうお腹も脚もダルダルだから」 →始祖リスペクト。ありがとうございます。
あと、今日の夜にモニーちゃんで1本投下します。
申し訳ないんですが、イチちゃんほとんど出てきません ごめん~~~~ - 20二次元好きの匿名さん22/03/12(土) 13:58:38
キャップ呼びだったりワンちゃんが出てきたりとたまげてしまったんだよね
でも幸せならOKです - 21二次元好きの匿名さん22/03/12(土) 18:33:50
改めて見ると凄い顔してる
- 22SS筆者22/03/12(土) 19:52:53
イチに、トレーナーがついた。
模擬レースで1着になったある日、トレーナーのほうからスカウトがかかったらしい。
封筒を抱えながら、やたら機嫌のよさそうな日があったのを覚えてる。私が何を言ってもニコニコな上の空で、心配になったくらいだ。
まあ、そのこと自体には驚かなかった。
私と同じような趣味とかノリしてるけど、トレーニングやベンキョーは真面目にやる。
だからと言ってガリ勉とか、図書館にこもるような感じとか、そういうのでもない。
学年に数少ない超優等生――ヤエノとかチヨちゃんみたいな――ってワケじゃない。
気軽に絡めるツレで、側にいるのが嬉しいルームメイト。
真面目な分、この間よくわかんない流れでケンカ、というか言い合いにしちゃったこともあったけど。
その真面目さが、トレーナーの目を引いたんだろう。
ああ、これで優等生サマと私で、さらに差が開いて行ってしまうんだな~なんて、自分にウソをつく。
私が持っていないものを、イチが先に手に入れていく。
相手の努力をバカにして、結果だけ見て文句を言うのは簡単だよね、ってきっとイチは言う。
それでも、毎日夕方にいい笑顔を浮かべてトレーニングするイチを見ると、イジけずにはいられなかった。 - 23SS筆者22/03/12(土) 20:04:42
ある日、ちらりとイチの姿をトレーニング場で見かけた。
去年のダート王者で最近引退した、クロガネトキノコエセンパイを相手に併走トレの最中だった。
イチもイチのトレーナーもペコペコお辞儀していて、相手の二人のほうが困っていた。
軽い打ち合わせをしたのだろう、時間を置いて始まったトレーニングは、正直言って、クロガネセンパイとの力の差が大きすぎるように見えた。
イチは必死に、どうにかして食いついてやろうともがくように走っていたけど、クロガネセンパイがちょっとでも姿勢を下げると、抜けるように距離が空く。
長いストライドを武器として、芝もダートも長い間走り続けてきたセンパイの走りのセンスは、暴力的なまでにイチ突き放していく。
センパイもやたら気合が入っていて、合図が出ているにもかかわらず、イチをギリギリまで抜かせようとしてなかった。
トレーニングなのに勝つつもりでやっていて、なんで引退したんだって笑える感じの走りをしていた。
あれがG1レースを勝つウマ娘の持つ、勝ち気の強さってヤツ?
去年のダートを支配した『鉄人』に必死に食らいつこうとするイチは、メチャクチャ苦しそうな顔をしていた。
ゴールの目印を横切ったイチが、風に吹かれる木の棒みたいに、パタンと倒れる。
最後の一本が終わったのだろうか。
ウッドチップのコースに仰向けに倒れこむイチは、疲れと悔しさと、これから自分が走ることになるかもしれない対戦相手達の壁の高さに、うんざりするような感情を混ぜた顔になっていた。
そんなイチの顔を見るのは、自分が負け続けることのようにツラかった。 - 24SS筆者22/03/12(土) 20:08:28
それから私は、ガラにも無く図書室に脚を向けていた。
私のルームメイトを徹底的に叩きのめしたあのセンパイについて、もっと知りたくなったからだ。
図書室の扉を開けると、眼鏡をかけて髪を三つ編みにした、いかにもって言う姿でカウンターに座る図書委員が目に入る。
その子は読みかけていた本から顔を上げて、こちらに軽く会釈している。
『怒るとメチャクチャ怖い』と言われているけど、ホントーなんだろうか?
図書室なんて普段来たことないので、こちらも首だけで会釈しながら、その子に話しかける。
「スンマセン、ちょっと調べたいんですけど。」
「はい。どんな本ですか?」
「えー、センパイについて調べたいんです。」
メガネの子は首を横にひねっている。
「ウマ娘についての資料……ということでよいでしょうか?」
「あっ、そう、それで。」
「わかりました。ええと、お名前を聞いても良いでしょうか?」
クロガネトキノコエです、と伝えると、見た目とはかけ離れたスピードで机のキーボードを叩いて、何かを印刷してくれた。
「はい、こちらがトキノコエさんについて書かれている資料の一覧です。」
2枚に分けて印刷された紙を受け取ると、文字と暗号の山。
目が文字を全く追ってくれなくて、すぐ質問してしまう。
「エート、これをどうすればイイ?」
「あ、もしかして、図書室のご利用は初めてでしたか?」
そういうと、膝掛けを脇に置いて、カウンターから出てきてくれる。
私よりも背の小さい図書委員さんは、キラキラした目でこちらを見上げる。
「資料探し、お手伝いします。ぜひついてきてください!」 - 25SS筆者22/03/12(土) 20:23:14
それから渡してもらった資料集を、横にドンと積み上げる。
つい最近引退したばかりなのにすごい量だ。
紙の文字を読むのは慣れてないし眠くなるけど、頭を振りながらガンバって読み進める。
読んだ矢先に忘れてしまうから、気になったことはスマホにメモ。
メモの量が増えていくうちに、色んなことが分かった。
センパイは、『身体が弱い』『腰回りが緩い』ってずっと言われ続けてきた。
それは生まれ持った体質だったみたいで、それを無理に克服しようとした結果、身体を壊しかけてしまったことがあるらしい。
「弱いところを補強する」トレーニングをしていくのはフツーだけど、クロガネセンパイはダメだった。
それでも、センパイは勝つことをあきらめなかった。
とにかくたくさんレースに出て、経験を積むようにしていたみたい。
どんなに負けても、鉄は叩けば叩くほど強くなるんだと言わんばかりに、とにかく走っていた。
3戦目のレースでデビューをした後、毎年走っていない季節が無いくらい、芝ダート問わずいろんなレースに名前が載っている。
センパイのトレーナーへのインタビューでも、『焦ってトレーニングを積むようなことはしません』『ゆっくりと、大器晩成してもらえれば』っていろんな記事で言ってる。
詳しいレース経歴は読み飛ばしたけど、戦ってきたメンツがはっきり言ってヤバかった。
ジャパンカップでルドルフ会長の2着にまで食い込んだロブストティーガーセンパイに、逃げウマ娘としてメチャクチャ勝ったデュークダウンセンパイ。
これだけのウマ娘たちを相手に、大きなケガをすることもなく、泥臭い勝負根性で戦い続けたセンパイは、まさに『鉄人』だ。
ひたすら揉まれていって、その姿がファンを虜にしていって、センパイは走り続けていた。
弱いところを叩くのではなく、得意なところを伸ばしながら能力を上げる方向に舵を切ったのが、センパイのスゴイところだ、と思った。 - 26SS筆者22/03/12(土) 20:24:12
最後の資料から気づいたことをメモに書き込んで、資料を脇に置く。
積み上げられた山が私の右側から左側に移っていることに気付く。
ぐっ、と伸びをすると、図書室がもうすぐ閉まる時間。周りにはまばらにしか人が残っていなかった。
山を崩して本棚と委員の人に返しながら、考える。
できないことを無理に直さなくてもいいんだ。
得意なところで頑張るのは、私にはチョー嬉しい。
上手くできたらチョーシに乗って、もっと伸びればいいってことだから。
私の武器は何だろう。
欠点はたくさん見つかるけど、そういえば、得意なところを見つけようとしてこなかった。
何かが得意って言って、それができなかったときに打ちのめされたくなかったから、わざと無視していたのかもしれない。
でも、今日トレーニングコースで見たイチの姿が、私の頭にこびりついて離れなかった。
ケンカした夜に言われた『アンタには負けないから』の言葉も、頭の中に響いて止まらない。
いい加減、イイワケするのはよそう。
私の得意なことって、なんだろう。
私の、得意なことは。 - 27SS筆者22/03/12(土) 20:30:22
正直言って、私は脚が速くない。
イチと真面目に競走したら、多分、トップスピードの差で差し切られてしまう。
実際、トレーナーがつく前にイチと走った練習レースでは、きっちり差されていた。
イチがオグリキャップの真似をして走るようになってから、最初のころは『オグリギャル』って言ってからかっていた。
ところが、チリも積もればというものなのか、マネ続けていれば最後は本物になれるのか、最近のイチはメキメキと強く走るようになっていた。
それを見て、普段イチとつるんでいた私たちもちょっと燃えたし、ムカついたし、少し自信を無くした。
真似をするだけで強くなれるんだったら、いくらでも真似する。
けど、そう普通は上手くいかない。
オグリキャップの真似をするイチの真似をしたところで、それは私の力には少しもならない。
ウンウンとうなって考えてみるけど、いいアイデアなんて一つも振ってこなかった。
私の武器は何だろう。
ベンキョーやレース戦術書、教官の指導でいろんな戦い方を学んだけど、それを現実に落とし込んでみると驚くほど結果がついてこなかった。
分からないし言われた通りにやってもわかんないなら、とりあえず走ってみっか。
図書室を出て、すっかり暗くなった廊下を昇降口に向かって歩く。
練習届出してないけど、別に走っても怒られないっしょ。
へとへとになるまで走ってやる、と決めた。 - 28SS筆者22/03/12(土) 20:32:40
あれから1週間たった、模擬レース本番の日。
胸にトレーナーであることを示すバッヂを付けた人や、観戦ので見に来たウマ娘たちで、座席兼階段のあたりは埋まっていた。
あれは近くの小学校からの校外学習だろうか、ジャージに紅白帽をかぶったちっちゃい子たちがこちらに手を振っている。
前日に、イチに『見に来てよ』とからかい交じりに誘ったけど、普通に予定があるからパスって言われてしまった。
なんともったいない。この私が勝つところをみすみす見逃すなんて。
仲いい人に見られる方が変に緊張して良くないのかなと思う。
今日の私は、普段よりもキアイが入りまくってる。
そんな心持ちで出走メンバーを見やると、他の子たちもメラメラとキアイが入ってるように見えた。
今まで『いくら天下のトレセン学園でも、皆そんなマジになってない』って思っていたのは、間違いだったのかもしれない。
私がマジになって走ってなかったから、マジになってる子たちが見てる風景に追いついていなかっただけなんだ。
正直、今でもマジになってる自分がケッコー恥ずかしい。
そんな気持ちを振り払うために、軽く飛びあがって熱をほぐす。
1着になるのが、どこかカッコ悪いと思ってた。
本当はそんなことなくて、負けてヘラヘラしてるほうが、実はカッコ悪いんじゃないかって。
誘導係に連れられて、ゲートに入る。
ゲートは苦手だ。
狭くて、暗くて、そのくせ走らなきゃいけないコースだけ見せつけてくる。
隣からは、息まいた熱が、私の肩と頬を舐めるように撫でる。
ここを失敗したらお前は負けるんだ、って思わせてくる。
深呼吸して、目の前の扉を睨みつける。
テメー、あんまりチョーシ乗んなよ。
今日は私の番だ。
私が、アンタたちをブッツぶしてやる。 - 29SS筆者22/03/12(土) 20:34:26
芝、2000mの中距離、2枠3番の内枠。
メイクデビュー戦でもあんまり開かれない距離に、ワザワザ登録した。
私の武器は何だろうか、ってずっと考えてきた。
図書室でめっちゃベンキョーしたあの日の夜、イチの走っていたトレーニングコースを全力で、何度も何度も走った。
私のほかにも何人か自主トレしてる子たちがいて、一緒に走った。
1周目。頭の悩みは、ちっとも晴れなかった。私より先に走っていた子に、何度かかわされた。
3周目。身体は熱を持ち始めたけど、やっぱり悩みは晴れなかった。私より先に走っていた子に、1回だけかわされた。
5周目。やっとまともに走れるくらいに息が整ってきた。私より先に走っていた子は、だいぶ息が上がっていた。
7周目。悩みについて考えるのが、やっと面倒くさくなってきた。私より先に走っていた子の音が、聞こえなくなった。
9周目、だと思う。まだまだ、まだ走れる。私より先に走っていた子は、スタート位置で座り込んでいた。
もういいだろう、と思って脚を止める。私より先に走っていた子たちを、私は立ったまま見下ろしていた。
脚は、確かに遅い。
では、その脚の長さはどうだ。
私はこれまで、負けたくなくていろんなものから逃げてきた。
逃げるのは得意だ。簡単だし。
駆け引きできる頭も、最後に全部ブチ抜く豪脚も持ってない。
誰かと真っ向から勝負するのも、ビビッちゃって苦手だ。
なら、最初からハナを取る。
長めの距離を、いの一番にブッ飛ばして、他の連中を置いていく。
誰かと勝負しないで、私一人で勝負を終わらせればいい。
得意なものをひたすら伸ばして、生かして、一番最初にゴール板を横切る。
『逃げは勝ちの定石ではない』
『最初は良くても、レース勘がつかなくなるから後々苦労することになる』
そんなお説教、知ったことじゃない。
スタミナバカのガン逃げ、絶対ついてこさせないから。
早く、早く開いて!
一秒でも1ミリでも、先に飛び出さなきゃいけないんだから!
早く! - 30SS筆者22/03/12(土) 20:37:52
『ゲート収まって……今、スタートです!』
- 31SS筆者22/03/12(土) 20:38:12
自分でゲートを押し開けるつもりで、すぐさま飛び出せ。
0.1秒でも遅れたら、もうおしまいだ。
後ろを振り向くな。
前を見続けろ。
折り合いをつけるな。
多少掛かったって、どうせみんな私と同レベルだ。
捕まるな。
スタミナしかない私は、逃げ続けるしかないんだ。
上手に曲がろうと思うな。
余計なことを考えず、一番内側を取ろうとこらえ続けろ。
前へ押して、押して、押しまくれ。
2000mの長い距離、坂も全部まとめて、押し尽くせ。
「6」の数字を通り過ぎたら、準備。
立ち続ける余力も残らないくらいに、ブチ撒ける用意をする。
「4」の数字を通り過ぎて目の前に開ける、誰もいない最後の直線。
なんてサイコーの景色なんだろう。
見たことない景色に、少し面食らう。
前へ、前へ、進むんだ。
「2」の数字を通り過ぎて、脚の動きは変わっていない。
誰がどこにいるかなんて、知ったこっちゃない。 - 32SS筆者22/03/12(土) 20:39:07
あの目印の前に、一歩でも、一秒でも速く、早く!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
『エイジセレモニー、エイジセレモニーです!2000mの長丁場を見事、逃げ切ってしまいました!』
ゴール板を横切って、一番最初に聞こえてきた、会場に響き渡る実況の声。
見ていた皆の視線が、私に向いている。
レース場のものほどじゃないけど、拍手と歓声と、ザワザワとどよめく声。
聞き耳を立ててみると、『まさか逃げの子が出てくるとは』みたいな内容が聞こえる。
胸の奥から、喜びと快感が湧いてくる。
初めて勝ち取った、一着。
もう立ち上がれないつもりで全力を尽くしたけど、まだまだ真っすぐ立てるくらいに、体力が残っていた。
イチが言っていた『絶対に勝つ』って、こういう気持ちだったのか。 - 33SS筆者22/03/12(土) 20:43:55
勝利の余韻に浸っていると、誘導員さんから声をかけられる。次のレースがあるから動いてほしい、と。
こんなところで文句言っても仕方ないから、言われた通りロッカールームに戻って、シャワーを浴びて、着替える。
今日の夕飯はどうしようか。せっかく勝った日なんだから、ちょっと豪華なものを食べてもいいかも。
あ、イチにねだってみるとか?
そんなことを考えながら学園を歩いていた時、声をかけられた。
「そこの子、模擬レース見てました。……あの?」
大人の人の声。ウマ娘の声じゃ絶対ない。
頭の中に雷が落ちたみたいな衝撃が来て、背筋が伸びる。
顔がひとりでににやけてしまっている。
「はい、何ですか?」
「単刀直入に聞くけど、今、専属のトレーナーさんってついてるかな。」
来た!
いません、いませんとも!
「いや、今はフリーですね。」
そう返事をすると、そっか!と言って、肩から下げていた鞄を漁っている。
しばらく探した後、取り出してきたのは一つの封筒だった。
「今日の模擬レース、見てました。もしよかったら、これ。受け取ってほしい。」
「マジですか!ホントに?」
「ええ、とてもいい逃げっぷりでした。ぜひ。」
褒めてもらえる言葉がむず痒い。
この瞬間、サイコーだわ。一日上の空になる気持ちが分かった。
差し出された封筒を勢いよく受け取って、わきに抱える。
「トレーナーさん、正しいスカウトしてますよ。マジで。」
「そう?他の人が声をかける前に、と思ってさ。」
私は空いてる方の手を差し出して、言ってやる。
「一緒に、頑張っていきましょ。私、勝ちたいヤツがいるんです。」
それを聞いたトレーナーは、うん、と一つ確かに頷いて、私の手を取った。
「わかった。じゃあ、その子に勝てるよう、一緒に頑張ろう。」 - 34SS筆者22/03/12(土) 20:46:33
待ってなさいよ、イチ。
アンタばかりに先へ先へとは逃がしはしない。
出遅れたけど、私ももうすぐ追いついてやるから。
ケンカを吹っ掛けたのは私だけど、勝っちゃえばこっちのモン。
今日はイチと一緒に夕飯を食べよう。そこで、報告してやるんだ。
ようやく走り出せた実感を得た私は、来週からのトレーニングが楽しみで仕方なかった。
了 - 35SS筆者22/03/12(土) 20:57:46
久々にたくさん書けるとなると、なんだか嬉しくなりました。
ちょっとでもモニちゃんのファンが増えて、イチちゃんのファンの人も増えます様に。
イチvsモニのシリーズ、最低でもあと2本は続けたいと思っています。
何卒。 - 36二次元好きの匿名さん22/03/13(日) 01:29:21
乙!
- 37二次元好きの匿名さん22/03/13(日) 01:41:41
全うにスポ根だ!バチバチもしろ!
オグリの真似ってことはイチの脚質は差しでいいのか - 38>>3722/03/13(日) 02:25:48
乙なんだ。
少年心をくすぐられる熱い文だったんだ。
こういうの大好きなんだ… - 39二次元好きの匿名さん22/03/13(日) 02:40:46
モニちゃんはヤエノチヨと同学年、つまりオグリを先輩と呼んでたイチより年上でいいのかな
- 40二次元好きの匿名さん22/03/13(日) 10:23:35
保守~
- 41二次元好きの匿名さん22/03/13(日) 19:46:57
セレちゃんという愛称はイチちゃんにだけ呼ばれてるとかだったら私性合
- 42二次元好きの匿名さん22/03/13(日) 20:39:41
スポ根路線はモニ いけない純情話はセレと二刀流でいきたい
- 43SS筆者22/03/14(月) 00:08:46
- 44二次元好きの匿名さん22/03/14(月) 00:55:28
- 45二次元好きの匿名さん22/03/14(月) 05:34:54
- 46二次元好きの匿名さん22/03/14(月) 12:51:29
待ってる
- 47SS筆者22/03/14(月) 20:20:04
「……あ~……」
「……う~ん……」
「はぁ……」
「……もう。」
「オグリ!そんなコソコソしてなくてもいいじゃない!」
「……」
「オグリ!バレてるんだからね!」
「な、なんで分かったんだ、イチ。」
「葦毛って自分が思ってるより眩しいもんなの。」
「そ、そうだったのか。すまない……」
「いや、なんで謝ってるの。意味わかんないって。」
「……なんで出てこないのよ。」
「い、いや。側に行ってもいいのか、ちょっと分からなくてな。」
「……そりゃいいでしょ。となり、空いてるし。」
「そうか、そうしたら、そちらに行くぞ。」
「うん、うん?」 - 48SS筆者22/03/14(月) 20:21:45
「なんで立ちっぱなしなのよ。」
「それは、隣に座ってもいいのかどうか、分からなくてな。」
「なんか今日ヘンだよ、オグリ。」
「そ、そうだろうか?」
「そうです。どうしたの。」
「うん、その、今日は何の日か分かるか、イチ。」
「3月14日、だけど。」
「そうだ!だから、何の日か、分かるか?」
「あぁ~……円周率の日ね。」
「え、円周率?」
「うん。3.1415926535……あとなんだったかな。」
「おお、すごいな。暗記したのか?」
「小学校の時の友達で100桁言える子がいてさ、面白がって言ってもらってるうちにちょっと覚えちゃった。」
「イチはすごいんだな……いや、そうじゃないんだ。」
「あ、ごめんごめん。」
「それで、今日は何の日か分かるか?」
「え~、パイの日だね。」
「ぱ、パイ?」
「そう。パイ。」
「どうしてパイ……なんだ?」
「さっきの円周率とおんなじ。πって言うじゃん。」
「そうなのか?」
「えっ、数学の時間に……」
「私はてっきり、アップルパイとか、ミートパイとかの……」
「あー、ああ。そういうことでもあるよ。私はデザートっぽいのより、ごはんな感じのパイのほうが好き。」
「そうなのか。私は……うん、どちらも好きだな。」
「そういえばまだ作ったことなかったなあ。今度、クリークさんとかタマモ先輩とかみんな誘って、パイでパーティしよっか。」
「おおっ、それはとてもいいな!もう、今からおいしそうだ。」
「こら、まだ日付も人も決めてないのに。」 - 49SS筆者22/03/14(月) 20:23:54
「……はっ。そうじゃないんだ!」
「わっ、何、オグリ。」
「イチのパイ料理はすごく楽しみだが、違うんだ。」
「何が違うってのよ、あ、私が洋風な料理作るのはおかしいって?」
「ちがうんだイチ、そういう話じゃないんだ。」
「あ、今日が何の日か、って話だったね。」
「そう!それだ。」
「え~~~っとね、う~~ん……」
「……分からないだろうか。」
「……アハハ、降参。もう思いつかないや。」
「私はてっきり、イチが本当に分からないのかと……」
「ごめんごめん、なんか様子がおかしかったから、ちょっとイタズラしちゃった。」
「むぅ……イチは意地悪だな。」
「そんなしょげないでよ、オグリ。ちゃんと謝る。」
「うん。」
「ごめんなさい。」
「うん。ありがとう。」
「それで、つまりホワイトデーね。何、お返ししてくれるの?」
「もちろん。」
「別に、私はオグリにチョコ、あげてなかったじゃん。」
「でも、イチはとても美味しい生姜焼きを食べさせてくれたじゃないか。」
「……あ!そうだった、そうだった。」
「だから、私もお返しをしたくなったんだ。」
「えー、ありがとう。何くれるの?」 - 50SS筆者22/03/14(月) 20:26:05
「……それなんだが、その。」
「どうしたのオグリ、なんか今日、歯切れ悪くない?」
「最初は、ホワイトデーらしく、マドレーヌとかマカロンとか、そういうものでお返ししようかな、と思ったんだ。」
「うん。」
「ただ、さっきイチが言ってくれた通り、イチが贈ってくれたものはチョコではないから、普通のお返しはふさわしくない、とも思ったんだ。」
「お返しでもらえるものなら、なんでも嬉しいのに。」
「いや、それは違う、と思って……それで、これを。」
「ん、なんだろう、これ。」
「待ってくれ、イチ。」
「な、何。中、見ちゃダメ?」
「いや、ぜひ見てほしいんだ。ただ、プレゼントについて、悪く思わないでほしい、とだけ……」
「あー、分かった、けど……」
「うん。よろしく頼む。」
「じゃあ、開けるよ?」 - 51SS筆者22/03/14(月) 20:27:02
「わっ、カッコイイ包丁!」
「ペティナイフ、というらしい。」
「すごいきれいだね、これ。」
「私は詳しくないが、野菜にも魚を捌くにもこれ一本、衛生面も安心なものだそうだ。」
「どこで見繕ったの。」
「実は、私の地元がある隣の市が、刃物で昔から有名なところなんだ。」
「えー、そうだったんだ。」
「うん。なんでも、包丁やナイフは世界一らしい。地元の誇りだ。」
「ちょっと中から出して、握ってみてもいい?」
「もちろん!」
「うん。……わ、軽い。」
「これでもっと、イチが料理を楽しんでくれたら、私も嬉しい。」
「ありがとう、オグリ。嬉しいよ。」
「私のほうこそ、ありがとう。美味しいお肉のお礼だ。」
「教えてくれた通り、今度、お魚捌いてみるね。ありがと。」 - 52SS筆者22/03/14(月) 20:30:02
「あの、イチ。……あっ。」
「わ、危ないって。どうしたの、しまうからちょっと待って。」
「すまない。……それで、イチ。」
「うん。」
「私は、イチとの縁を終わらせたいとは、全く思っていないからな。」
「はっ?……あ、さっき言ってた、悪く思わないでほしいって、そういう?」
「ああ。贈り物で刃物を贈るのは、良くないという記事もたくさん見てしまって……」
「なんだっけ、なんかあれだよね、マナーがどうのみたいな。」
「イチならきっと大丈夫だと信じてはいるんだが、どうしても疑いの気持ちが晴れなくて。」
「大丈夫だよオグリ、分かってる。嬉しい。」
「良かった。イチを疑ってしまって、すまない。」
「わ、そんな謝んなくてもいいじゃん……あ、そうだ。……はい。」
「そ、そんな、イチ、お金なんていらないぞ!」
「いや、受け取ってほしいんだって!」
「イチ、これは私からのお返しなんだ。どんなに安くても、お金はいらない。」
「違う違う、そうじゃなくて!」
「イチ、大丈夫だ。そんなにお小遣いに困っているわけではないから、その5円玉をしまってくれ。」
「ごえんのお返し!」
「5円でも、お返しのお返しは……!」
「だから、ご縁!」 - 53SS筆者22/03/14(月) 20:31:46
「ご、ご縁?」
「オグリが心配してくれて、切れかけちゃったご縁の、お返し。」
「ご、ご縁、か。」
「そう!だから、はい!ちゃんと握って。」
「わっ、イチ……なるほど。」
「うん。ゲン担ぎとか、なんかそんな感じ。」
「……そうか。そうだな。ありがとう。」
「こういうダジャレっぽいの、日本語っぽくてありそうじゃん?」
「うん。その感じは、なんだか分かるぞ。」
「ふふ。ナイフ、ありがとう。大切にする。」
「大切にする……使って、もらえるよな?」
「いや、もちろん使う使う。早速明日から活躍してもらいますよ。」
「本当か!もしできるなら、その包丁を使った一番最初の料理は、私が食べたいな。」
「分かった。お魚は無いけど、何か美味しいもの作ってくるよ。」
「ありがとう。明日の朝が楽しみだ。」
「私も。」
了 - 54SS筆者22/03/14(月) 20:35:16
part6でバレンタインSSを書き終わった瞬間にネタというか、流れは全部思いついていたんですが、2月14日当日にホワイトデーネタをやるのは「掛かり」すぎているので、実は一か月の間ずっと悶々としていました。
ウマ娘同士のバレンタインは「右耳飾りの子が左耳飾りの子に」
ウマ娘同士のホワイトデーは「左耳飾りの子が右耳飾りの子に」
そんな習慣に変わっていたらとってもかわいいだろうな、と思います。
ただのお馬さん好きが無理やり当てはめてるだけだろ、っていうツッコミはその通りなんですが
楽しんでもらえたら嬉しいです。 - 55SS筆者22/03/14(月) 20:38:09
- 56SS筆者22/03/14(月) 21:06:07
- 57二次元好きの匿名さん22/03/15(火) 00:12:22
右が牡馬で左が牝馬だから逆ですね
- 58二次元好きの匿名さん22/03/15(火) 00:47:56
そういや正妻ムーヴの生姜焼きだったなあ
- 59二次元好きの匿名さん22/03/15(火) 01:00:58
この人のバレンタインSS読んだ後に豚の生姜焼き食べた人いたのおもろかった
- 60>>3722/03/15(火) 03:51:53
乙なんだ
もう雰囲気が完全に熟年夫婦じゃんね
最近ssを書けていないんだ…
書くか… - 61二次元好きの匿名さん22/03/15(火) 03:53:05
しっかり待ってるんだ
- 62二次元好きの匿名さん22/03/15(火) 11:16:57
早保守
- 63SS筆者22/03/15(火) 18:13:04
保守ついで(
part7 101~105
◇定番で使っているネタ意外に特に元ネタとかはないんだ
◇文章を可能な限り始祖の元ネタから引用することは心がけたんだ パズルやってるみたいで楽しい
part8 116~124
◆お風呂場・サウナのくだり →騎手さんたちがレース前日に泊まる「調整ルーム」を参考にしました。
→生徒会のカメラがうんぬん、はいつかの競馬番組でDAIGOさんたちが調整ルームに取材した回の描写そのまんまです。ヤバい曇りかたしてます。
→イチちゃんの後ろを歩いていたのはゴールドシチーさんのつもりです
◆part1 110の神神アンド神セリフをそのまま持ってくるのはちょっと冗長でしたので、分割しました。
◆モニーさん、嫌味なキャラクターで初登場させてしまって、ほんっとうにごめんなさい
→今日はたまたまお互い火がついてしまったんですが、いつもは仲いいと思うんです。書きたい。
「求められてるのは早熟なエースたちってワケ」→ たまに言われる、現在の日本競馬に対する批判の一つ。
→日本ダービーが最高峰の栄誉として非常に重要視されていること、古馬路線のG1レースがイマイチ盛り上がりに欠けることなどに焦点が当てられて語られます。
→三冠馬はもてはやされるが、古馬でもてはやされるにはテイエムオペラオー号級のド級な成績を残さねばならない。JRA頼むでほんま
◆「耳を後ろに回す」 →馬の感情表現。強い不快感・警戒感を示します。
◆上がり3Fはみなさん検索してみてね わかりやすい解説があると思う
「勝ちたいという本能に逆らえるウマ娘なんて、絶対にいない。」→ シーズン2のマックイーンさんのセリフオマージュ。正直、全ウマ娘のメディアを通して一番好きなセリフの一つ - 64>>3722/03/15(火) 19:50:56
オグクルを書いてるんだけどふんわりとした設定すら無いのでとても難航してるんだ…
- 65二次元好きの匿名さん22/03/15(火) 21:18:01
ウィナーズサークルとは別の後輩ちゃんという事でもアリよ?
オグリに憧れるのは一人な訳ないだろうし - 66SS筆者22/03/15(火) 21:51:09
自分が余計な提案したのがある意味諸悪の根源といえば根源なので……
オリジナルの子がダービーはじめ、「オグリ先輩の走れなかったクラシックレースを頑張る」でもよいと思います。
一応、自分の中で見つかっているウィナーズサークル(ウマ娘)のアイデアを下記に。
・混じりけのない綺麗な葦毛
・オグリの1年後輩
・茨城県出身(=地方出身でオグリと共通点)
・オグリに特別な感情を抱いている
→「走らないと言われた葦毛でもやれる」という単なる憧れでも、恋心からくる憧れでも、憧れを恋心と勘違いしているのでも、どんなものでもよいと思います
・右耳飾り
・「天バ(マ?)」と呼ばれていたことの反応
→誇りに思っているのか、少し引け目な気持ちなのか
→からかわれ気味に「テンちゃん」とか呼ばれてたらカワイイ
・道悪巧者
・とても心優しく、ケンカやもめごとが苦手
→ウィナーズサークル号が温厚な性格、というよりも、争いごとを避けるような性格をしていたため
→おかげで「強いのになぜか最後、勝とうとしなくなってしまう」そうで……
・ミスターシービーが仲のいい先輩の一人
→調教師が同じ松山師だった
などです 一助になれば。 - 67二次元好きの匿名さん22/03/16(水) 02:04:37
夫婦の食卓に並ぶ肉料理は生姜焼きのイメージ
- 68二次元好きの匿名さん22/03/16(水) 11:37:50
生姜焼き久しぶりに食うか
- 69SS筆者22/03/16(水) 21:43:27
イチちゃんの輪がまた広がってほしいと願ってるんだが、やはりもっともっと早いスパンで概念を投下するべきだろうか
- 70二次元好きの匿名さん22/03/16(水) 21:55:43
長期スレの悩みという事だろうか。焦っても仕方ないしマイペースでいいんだ。
- 71SS筆者22/03/16(水) 22:01:34
- 72二次元好きの匿名さん22/03/17(木) 00:43:02
地震でそれどころじゃない可能性もあるから早めに私が保守しておくんだ
◆多分いらないだろうが - 73二次元好きの匿名さん22/03/17(木) 00:50:18
- 74二次元好きの匿名さん22/03/17(木) 03:52:25
このレスは削除されています
- 75二次元好きの匿名さん22/03/17(木) 03:54:53
このレスは削除されています
- 76二次元好きの匿名さん22/03/17(木) 13:27:37
- 77二次元好きの匿名さん22/03/17(木) 15:33:33
このレスは削除されています
- 7872なんだ22/03/17(木) 15:37:37
- 79SS筆者22/03/17(木) 15:55:20
うおお>>76がファインプレーすぎたんだ
もしもうっかり消えてしまったらどうしようかと思っていました。渋に出し続けるわけもいかないし
- 80二次元好きの匿名さん22/03/17(木) 21:02:20
このレスは削除されています
- 81二次元好きの匿名さん22/03/17(木) 21:02:55
- 82二次元好きの匿名さん22/03/17(木) 21:20:00
- 83二次元好きの匿名さん22/03/18(金) 00:22:23
落ちてなくて良かった
- 84二次元好きの匿名さん22/03/18(金) 02:12:42
- 85元スレ主22/03/18(金) 09:16:08
- 86二次元好きの匿名さん22/03/18(金) 12:51:37
卒業おめでとうございます!
- 87SS筆者22/03/18(金) 16:52:05
卒業おめでとうございます。
世界的伝染病であらゆる物事が止まっているかと思いきや、遠くない地で人のあまりに激しい活動が起きてしまっていたりと、大変な時期ではありますが、主の先に続く道が輝かしいものでありますように。
堅苦しいけど卒業は本当に大事な人生のイベントなんだ。
今日は美味しいもの食べて良く寝てほしいんだ
- 88元スレ主22/03/18(金) 20:05:51
思ったより時間かかるかもしれないから、とりあえず出来た分あげてきます
「いたい…イタい…痛い゛ィ゛」
「頑張って下さい!もう少しの辛抱ですよ!」
「ムリ!無理!止めて!?」
「ごめんなさい…でもここで止めたら症状は回復しません…大丈夫です!絶対に治してみせます!!」
今いったい何をしているのか…それは…
─数日前
足が重い気がする
ただの勘違いじゃないかと思うレベルのもので意識しないと分からない、普通なら放っておく人が大半だろう
しかし私達にとっては死活問題である
原因は恐らく走りすぎ、中央のなかでは常識の範疇を出るものではないが、それはあくまでアスリートの中での話、一般的な感性からすれば絶対に走りすぎである
どうしたものか走るのを止めたくはないし、かと言ってコレを放っておくのもモヤモヤする…
「どうしたの難しそうな顔して」
悩んでいると仲の良いクラスメイトから話しかけられたのでダメ元で事情を話してみた
「じゃあ足つぼマッサージとかしてみたら?」
「足つぼ?」
「そ、えっと、はん…はんしゃ…?」
「反射区のこと?」
「そう!それ圧してもらったらスッゴイ足軽くなったの、後輩の子が凄い上手でさ、イチちゃんも試してみたら?」
足つぼか…正直あまり信じていない、医学的な根拠も特にないようだし、だがコレと言った解決方もないので乗ってみることにした
「おっけ〜じゃ、お願いしとくね
言っとくけどマジで痛いから覚悟してね」
そう言うが足を圧されるぐらいそんな痛いなんてことはないだろう、テレビでたまに見るが、アレはオーバーリアクションだ…そうたかをくくっていた
「わかった」
このとき私は
まさか、この歳で痛すぎて絶叫するとは思わなかっただろう - 89元スレ主22/03/18(金) 20:06:02
そんなこんなあって今に至る
ピンクの悪魔の猛攻を耐え抜き施術の効果を確かめるため軽く足を上げた
足が軽くなっている
今まで足の裏に5キロぐらいの重りが引っ付いていたのではないと錯覚するほどだった
感心と安堵を覚え一息ついていると一つの考えが頭を過った…
オグリのやつも老廃物溜まってるんじゃないか…?
なんだったら私よりハードスケジュールだし石みたいになってるのでは…
アイツの痛がっている姿を間近で見れるのでは…
そう考えた私はすぐさまマッサージのコツを聞きだし自主練を重ねた
─数日後 - 90元スレ主22/03/18(金) 22:10:29
「いいのかイチ?マッサージなんてしてもらって」
「いいのよ、いつものお礼」
「そんな!私は何もしていないぞ…なんだったらイチにお世話になってばっかり」
「はいはい、それはいいから早く椅子に座って」
オグリを座らせ、さっそく施術を開始する
まずは僧帽筋…肩の反射区を圧す、肩は長時間座っているとすぐにこってくる、それに走るときに手を動かしているときに使っていたり、想像よりも頑張ってくれている部位だ
ゴリッゴリッ
思った通りだ、間違いなく私より老廃物が溜まっている
予想以上の痛みだったのかオグリは顔を歪ませて耐えていた
ここで、これだと『あそこ』はどうなってしまうのだろうか
次は親指を後ろに倒しボコッと浮かび上がる足底筋膜を圧し上から下へと流してゆく
走るときによく使う場所のようでマラソンランナー等がよく痛くなるようだ
「うぅ…痛いィ…」
さすがのオグリも痛がって声を出さずにはいられないようだ、でも私はこれで絶叫していたから本当に我慢強い、中央生はここを酷使する、逆に言えば、ここさえ乗り越えれば後は楽だ…しかし、ことオグリに関して言えばこれを遥かに上回るほど酷使している部位がある、次はそこだ - 91元スレ主22/03/18(金) 22:11:20
「多分これ一番痛いと思うから準備できたら言って」
忠告する、大袈裟だと思うかもしれないが予想が正しければさっきとは比にならないほど痛い筈だ
「…大丈夫だ!いつでも来てくれ!」
一番痛いと聞いて不安そうな顔をしたが私に悪いと思ったのだろうか気丈に振る舞ってみせた、正直オグリの中の一番痛いと私の思う一番痛いは比較にならないぐらい差があると思う
だが、それを言っても伝わらないだろう
できるだけ早く終わらせよう、そう心に決め指を沈めた…
胃の反射区へ…… - 92元スレ主22/03/18(金) 22:11:56
圧した瞬間、体が弓のように跳ね上がりカハッと息が押し出されたように漏れる音が聞こえた
「痛い!痛い!?イチ!!?やめ!やめて!!ホントに、い゛!!!??」
予想を遥かに上回る痛がりように胸が痛くなる
こんなに痛がっているのに治りませんでしたでは許されない一欠片も残さぬよう入念に丹念に足に巣食う老廃物をゴリゴリと削る
その間、ずっとオグリは椅子を掴み必死に声を抑えようとしていたが、あまりの痛みに耐え切れず声を出していた
ゴメン…ゴメンね、オグリ…すぐに終わるからね…
施術が終わり足から手を離し顔の方に目をやると涙を流していた胸が締め付けられるような感覚になりいたたまれなくなった
「あ…ぅ…」
涙をハンカチで優しく撫でると漏れだしたような消え入るような、か細い声をだし、コチラを見つめてきた
「ッ!?…ごめん…オグリ、いくら貴女のためとは言え、こんなに痛い思いをさせて…痛かったね…ゴメンね…」
「大丈夫だ、私のためにありがとう」
息を整え、先程とは打って変わって優しい顔をしながら私にそう言った
「すごい…ほんとにかるい…」
施術した足を上げ信じられないといった様子で自分の足を見つめている
自分の施術に効果があったことに安心すると共に心苦しさを感じていた、それはなぜか…それはオグリを再び地獄へ突き落とす残酷な事実を告げなければならないからだ
「ねぇ…」
「ん…?なんだイ「まだ反対あるけど」
「…ひッ」 - 93元スレ主22/03/18(金) 22:12:27
─翌日─
周りの反応がおかしい…私を見るたびピクッと体を跳ねさせ蜘蛛の子を散らすようにいなくなる…
「ねぇイチ先輩って…」
「あぁ見えて意外だよね…」
なんの話だろう…?
「なぁ…イチ…」
「タマ先輩?」
「初めてで張り切ってまうんは分かるんやけどな…その…無理矢理やるんは…ヤメときや…」
…?…どうゆう…ん?…ハッ!?まさか!?とんでもないモノと勘違いされてる!!?
「違、違うんですアレは…あの、えっと…」
マッサージしてただけって言えばいいのに焦りすぎて言葉が出てこない、これは天罰かもしれない、オグリの涙を拭いているときの妙に蕩けた目にドキドキしていたことに対しての
終わり - 94元スレ主22/03/18(金) 22:17:41
- 95二次元好きの匿名さん22/03/18(金) 22:24:30
- 96二次元好きの匿名さん22/03/19(土) 00:33:57
凄い…
- 97二次元好きの匿名さん22/03/19(土) 00:35:39
このレスは削除されています
- 98二次元好きの匿名さん22/03/19(土) 00:36:09
- 99二次元好きの匿名さん22/03/19(土) 00:43:29
嫌がらせのつもりが居た堪れなくなって、でも苦痛相応の成果の為続ける頓珍漢な行動がとてもイチちゃんで好き
- 100二次元好きの匿名さん22/03/19(土) 01:03:58
◆タマもやってみるんだ
- 101二次元好きの匿名さん22/03/19(土) 11:15:30
足ツボを試してみたぞ
セルフだと怖くて力が入らない… - 102二次元好きの匿名さん22/03/19(土) 18:43:26
落ちた紹介スレも含めて、ウマ娘では得られない知識やレシピが得られる妙なスレ
鶏むね肉のレシピ結構美味かった - 103二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 00:30:26
- 104元スレ主22/03/20(日) 02:34:11
概念のみの方が見やすいのではないかと思い裏スレを改めて建てました
あれは「ムカつく...ぽっと出のくせに調子に乗って...そうだ......!」スレと言って 2.5|あにまん掲示板このスレから概念化してPart化したスレなんだhttps://bbs.animanch.com/board/255217/私にツンデレ(デレデレ)な後輩のイチちゃんの妄想を書き込むスレなんだとくにルー…bbs.animanch.com書き込みがないときは本当にないので建てようか悩んだのですが
本スレに概念と感想を書き込んで他を紹介スレに書き込んでいたときが一番使いやすかったので2.5ということで建たせてもらいました
それと前々から私はでしゃばりすぎている気がしていました
あまり内輪の雰囲気が自分と合わないという人もいると思うので
私はコチラに書き込んでたまに概念を本スレに書き込もうと思います
- 105二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 02:45:49
元スレ主の意見を尊重しよう
- 106二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 08:27:42
保守
- 107二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 13:34:05
高校卒業の話題で思いついたんだけど、いつかはオグリの卒業をイチちゃんが見送ることになるんだよな
- 108二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 14:19:59
なんか紹介スレまたできてるからそっちに投稿するわ
- 109SS筆者22/03/20(日) 14:23:30
日々を忙しく過ごしていたら足つぼSSとイチちゃんレシピを試してくれた人と紹介スレが復活していてびっくり。
part2の紹介スレは(一番使っていた可能性があるにもかかわらず)落としてしまってごめんだったんだ - 110SS筆者22/03/20(日) 23:15:10
自分がイマイチ違いを分かっていないんですが、「概念」って短文でまとまるアイデア的なもの、って認識であってます?
- 111二次元好きの匿名さん22/03/20(日) 23:18:53
タマ「イチのお母さんか…どんな人なんやろ、緊張するな…」
モニー「タマ先輩も緊張とかするんですね」
タマ「レースとはまたタイプがちゃうからな、どんな人か知っとるかモニー?」
モニー「ノリが軽くてちょっと変なことする人だってよく言ってます、それ言ってるときのイチの顔満更でもなかったのでいい人だとは思いますよ」
タマ「まぁイチのお母さんやし悪い人ではないやろうけど」
モニー「そういえば、イチを産んだときから見た目全然変わってないらしいですよ」
タマ「ホンマかそれ、凄いな…イチのお母さんやしスラッとした綺麗な人なんやろなぁ」
モニー「そうでしょうねぇ」
イチママ「どうも〜イチちゃんのお友達さん!」
タマモニ「あ、どう」
タマモニ「!!!!???」
- 112二次元好きの匿名さん22/03/21(月) 01:18:46
- 113二次元好きの匿名さん22/03/21(月) 05:34:40
娘の友達と会う時は常に制服なのか…
イイ - 114二次元好きの匿名さん22/03/21(月) 13:30:02
保守
- 115二次元好きの匿名さん22/03/21(月) 20:51:25
イチやモニーは実力的には条件戦でチャンスを掴めるかぐらいなんたろうか
重賞クラスだとちょっと普通の子なイメージが無くなる - 116二次元好きの匿名さん22/03/21(月) 20:54:19
中央に行けてる時点で自慢できるレベルなんだ
- 117SS筆者22/03/21(月) 23:05:44
「ねえモニー、明日、タマモ先輩来るから。」
イチが部屋でくつろいでいた私に声をかける。
「タマモ先輩が、ナニ?」
「いや、その、明日さ、私、いないんだ。」
やけに照れたような顔をしながら、返事をしている。
「え、なんで?」
「オグリの奴がさ、明日、二人で話さないかって誘ってきたの。」
「……えー、マジ?」
「うん、それで、すぐそばにいたタマモ先輩がさ、『二人きりのほうがええやろ』って言ってくれて。」
「……ああ。」
「それで、一晩だけ部屋を交換しようって言って、さ。」
マジか。寮長にチクってやろうかな。
「悪いんだけど、ゴメン。」
「ちょっと、ルームメイトほっといてそれは、ヒドくない?」
「フジ寮長には内緒でお願い!」
うわ、見透かされてた。
「まー、いーけどさ。」
「ありがと、助かる。」
○●〇●○●〇●○●〇●○●〇● - 118SS筆者22/03/21(月) 23:05:57
○●〇●○●〇●○●〇●○●〇●
「おー、ジャマするで。」
「あー、こんちは。」
昨日言っていた通り、タマセンパイが来た。
「せっかくジャマするから、菓子持って来たで。」
「え、マジですか?あざっす!」
レジ袋からにんじんチップスを取り出して、見せてくれる。
私も小型冷蔵庫からスポドリを出して、紙コップに注ぐ。
「おっ、おおきに。」
「いや、ウチのイチが、すみません。」
軽く、平謝りする。
「いや、ほんまにあの二人仲ええよなあ。」
「ね、なんか妬けちゃいますよねえ。」
タマセンパイがお菓子の袋を開けて、つまんでいる。
「ほうか?別にまあ、そんな珍しい話でもないしなあ。」
「まあそうですけど、いざ自分のルームメイトがって思うと、なんかイヤじゃないですか。」
「ウチはそういうのあんまり気にせえへんからなあ。」
ポリポリ、と小気味よい音を鳴らせている。
「なんや、モニちゃんは実は、オグリの恋敵だったりするんか?」
タマセンパイがニヤニヤしながら、わざとらしく悪い顔をして聞いてくる。
センパイからその話題を振ってくれるの、待ってました。
「そうなんです、実は、ずっとイチのことが好きで。」
すると、大げさに顔を手で覆って、ワー!と叫び出す。 - 119SS筆者22/03/21(月) 23:06:07
「えー、そんな昼ドラみたいな話、あるんやなあ。」
「はい。まあ、気づいたのは最近なんですけど。」
センパイが身体を前に乗り出してくる。
「どんなとこが好きになったん。」
「えっ、まあ、近くでずっと見てましたし。」
「せやなあ。普段、ご飯とかも一緒に行ってたんか?」
「あ、いや、お互い仲いい子のグループあるんで、そういうわけでもないですね。」
「そうなんか。休みの日とかはどうするんや。」
「休みの日も、あんまり一緒に出掛けたりとかは無かったかも……」
タマセンパイが、だんだん怪訝な顔になっていく。
「モニちゃん、奥手なんか?」
「いや、友達からはそういうタイプじゃないって言われます。」
私の言葉に、腕を組んで首をかしげている。
「私のほうが先に好きだったのに、オグリに取られて、納得いかないんです。」
「納得いかん、か。」
「はい。だって、私、ずっと前からイチのこと見てましたし。」
私の言葉に、嬉しそうな顔をしていたタマセンパイが、お菓子をつまんでいた手を止めた。
「うーん、いや、モニちゃん、それは多分好きとは違う気持ちやで。」 - 120SS筆者22/03/21(月) 23:09:19
私はすかさず、タマセンパイの言葉に噛みついた。
「なんですか、私が、イチのことが本当は好きじゃないって言うんですか。」
「そや。本当は、イチちゃんのことなんて好きやないねん。」
私の言葉に素早く、ピシャリと言葉を返してくる。
「イチちゃんのことが好きなんやのうて、ただ羨ましいだけや。」
「意味わかんないです。どういうことですか。」
「イチちゃんはオグリにべったりで、オグリもイチちゃんにべったり。それはわかっとるやろ。」
「はい。」
せやけど、と言ってセンパイがベッドの上であぐらをかく。
「別に、イチちゃんからモニちゃんには、なんもしとらんやんか。」
「そうですけど、それがイヤなんですっ。」
うーん、とタマセンパイが腕を組みなおす。
「モニちゃんはオグリより先に、好きや!とは言っとらんのやろ?」
「あたりまえじゃないですか。ルームメイトなのに、そんなこと言ったら普通ドン引きですよ。」
せやなあ、と身の詰まってなさそうな返事が返ってくる。
「ほな、そんな怒られても、イチちゃんはなんも分からんやろ。」
「そりゃ、そうですけど……でも、ムカつくじゃないですか。」
「それ言うとったら、モニちゃんは出遅れた上に後出しジャンケンしとるやん。そんなん、ズルすぎるやろ。」
正論を突き付けられて、グゥの音も出ない。
こらあかんな、とセンパイは天井を見上げている。
「モニちゃんが一方的にカッカしてるだけやんな?」
「そうですよ。イチばっかり幸せになってるみたいで、羨ましいんです。」
私の言葉に、タマセンパイがパチン、と一つ、手を鳴らす。
勢いよくセンパイが右手の人差し指で、こちらを指さした。
「それや!」
「はっ?」
「いや、モニちゃんそれやで。よう気づいたな。」
指さしてきたかと思うと、また腕を組んで、一人でウンウンと頷いている。
「イミ、分かんないんですけど。」
「いや、せやからそういうことやって。」 - 121SS筆者22/03/21(月) 23:11:12
一人で納得してるような素振りをして、何も言わないセンパイにイライラがつのる。
「センパイもなんか、ムカつきますね。」
「ちょちょちょい、それは酷いわ。」
こちらにツッコミを入れるように、平手で空気を叩くふりをしている。
「ほんとは、自分もわかっとるんとちゃうんか?」
「なんですか、バカにしてるんですか。」
言葉のとげを隠そうとも思えなくなる。もう、年上とか、そういうのは関係なくなった。
『私はすべてを分かってます』みたいな態度、ムカつく。
何を見たいかもわからないのに、助けを求めるようにスマホを取って、真っ暗な画面にカラフルな何かを映す。
親指だけが滑らかに動くけど、私の脳みそは何にも見つめていないみたいに、どの情報も頭の中を滑って落ちていった。
「あー、こらあかんな。すまん。」
自分の世界に閉じこもった私を見かねたのか、センパイが頭を下げている、ように見える。
センパイの謝罪に、反応もしたくない。
そのまま、重苦しい静けさが部屋を包む。
エプロンをあしらった、イチの目覚まし時計が鳴らす、カチ、カチ、という音だけが響いている。
私がこうして世の中の理不尽に燃えている間に、イチはオグリに何を話しているんだろうか。
どっちかが膝枕して、二人は仲よく夢の中にいるのか。
心の中の澱みを吐き出すかのように、少しだけ勢いよく、ため息をついた。 - 122SS筆者22/03/21(月) 23:13:05
今、センパイの部屋では、きっとこの私の部屋とは違う風景が流れているんだろうな、とスマホの光を目に取り込みながら考える。
タマセンパイも呆れたのか怒ったのか、何も言わなくなった。
ガタガタ、と窓が音を立てて鳴り始める。その後、ポツ、ポツと水滴がガラスに当たって弾ける音。
別に雨まで降らなくていいじゃん、と、全く無関係なところにも心が反応して苛立ってくる。
こんな気持ちで、こんな音を聞かされて、どうやって夜を過ごせというのか。
叫び出したいけど、センパイがいる以上、声を出すのも憚られる。
苛立つ熱が私の中で暴走しそうになった手前くらいで、パン、と快活な音が一つ、部屋の中に轟いた。
驚いて、スマホから顔を上げる。
「おし!モニちゃん、着替えぇ。」
タマセンパイがベッドから軽く飛び降りて、四股を踏むような姿勢を取っている。
「は?」
「いや、せやから、着替えぇ。走りに行くで。」
全くつながらない唐突な言葉に、理解が追いつくまで時間がかかった。
「走りに?」
「せや。ジャージあるやろ、はよ着替えって。」
肩を入れて、ストレッチを始めている。
「バカなんですかセンパイ、外、雨ですよ。」
「モニちゃん、なかなか手厳しいなあ。言葉がほんまに痛いで。」
ふざけるように、センパイが胸を両手で押さえて、悲しそうな顔をする。 - 123SS筆者22/03/21(月) 23:15:12
「いや、そういうの、マジでいらないんで。」
「いらなくてもやってしまうんがウチなんや、堪忍やで。」
「そういうのもいらないです。」
何をバカなことを言っているんだろう。
真面目に取り合ったら損すると思って、ベッドに横になる。
すると、よっ、という掛け声をかけながら、タマセンパイが無理やり私を持ち上げた。
思わず、スマホを取り落す。
そんな小さい身体のどこに、こんなパワーがあるんだ。
「ちょっ、やめて、何してんの?」
「そんな気持ちで寝っ転がったって眠れやせえへんやろ。ほれ、立った立った。」
それに、と私を持ち上げたまま私の目を見て、言葉を続ける。
「GⅠ3勝、3冠バたちができなかった天皇賞を春秋初連覇した、『白い稲妻』が一緒に走ろうって言うてるんやぞ。」
「……だから、何だって言うの。」
「引退してる身やけど、ウチのトレーナーの元には併走トレーニングの依頼がぎょうさん来とるんや。こんなチャンス、中々無いで?」
そりゃ当たり前でしょ、って思う反面、後から走りたくなっても走らせてもらえないウマ娘なのは間違いない。
「ウチのでっかい胸を借りた上で、モニちゃんの気持ちを誤魔化せるんや。ちょっと雨にぬれても、得しとるやろ。」
そういうセンパイの目は、ギラギラと光っていて、『いいえ』とは言わせない迫力がこもっていた。
これがGⅠを勝ったウマ娘のもつ、胆力というか、迫力というものなんだろうか。
まるでガラの悪いヤンキーじゃないか。
「……胸はともかく、分かったんで、降ろしてください。」
ちょちょちょい!とお決まりのような反応をしながら軽くドツかれたが、タマセンパイは私を地面に降ろした。
観念した私は、ジャージに着替えるために、寝間着のボタンに手をかけた。 - 124SS筆者22/03/21(月) 23:18:42
「おおー、ええやん!ちょっと肌寒いくらいがちょうどええで!」
イチのジャージを勝手に借りて、ぶかぶかに余らせた袖を捲っているタマセンパイが叫ぶ。
夜も少し深まって、小雨も降ってきたトレーニングコースには、当たり前だけど、誰もいなかった。
「センパイ、そんなデカい服で走れるんすか。」
「おー、今、身長小さいってバカにしよったなぁ?」
うりうり、と言うように肘で小突いてくる。
こうしていると、ただのかわいらしい葦毛のウマ娘にしか見えない。
上下に揺れる青赤のリボンをつけた、身長の小さい、愉快な子だ。
この身体のどこから、すべてをブッちぎる走りが湧き出てくるのか。
私の前をセンパイが小走りでかけていく。
「ほな、ここスタートな。」
タマセンパイが、慣れた様子でダートコースに線を引く。
「それで、距離はどうする?」
こちらに顔を上げて、タマセンパイが私に聞く。
「いや、別に、何mでもいいけど。」
「ほうか。そしたら突然やけど、一つ問題や。」 - 125SS筆者22/03/21(月) 23:19:14
タマセンパイが指を立てる。
「このダート、一周は何mでしょーか。」
「え、そんなの、別に知らないっすけど。」
そう答えると、またわざとらしく目を手で覆って、あちゃ~、と声を上げている。
「アカン、アカンで、モニちゃん。」
「何なんすか。」
「自分が走るコースやレースの条件くらい、ちゃんと覚えとらんと。」
何を教官みたいなことを言っているんだ。
「ちなみに、正解はセンロクや。」
「は?」
「1600mってことや。」
「良く知ってますね。」
「せやろ?ま、ウチはここのコース、使ったことないんやけどな。」
飄々と言葉を話すタマセンパイに、メラメラと気持ちが湧き立つ。
「さすが、重賞ばっかり出てたセンパイは違いますね。」
「ほうかなあ。ダートも随分前に、走ったっきりやしなあ。」
ワザとやっているのか、それとも天然なのか。めちゃくちゃに煽られていることだけは分かった。
もう、センパイに喋らせたくない。
ここで走って、勝ってやる。
勝って、黙らせる。 - 126SS筆者22/03/21(月) 23:20:02
「ほな、行くで。よーーーい……」
ドン、という言葉を合図に、思いっきり土を蹴り出す。
そのまま、後先考えないで、全力のハイペースで飛び出した。
スタミナには自信がある。1600m――センロクなら、テキトーにブッ飛ばせば大きなリードが取れる。
勝てないだろう、なんてもちろん思わない。
絶対に勝てる。
ダートのトレーニングコースは、私たちのほうが多く走るからだ。
芝のコースは、タマセンパイ含めて強い子たちに使われてしまうことばっかりだ。
その分、私たちはダートを走る。
経験と慣れでは、絶対に私のほうが勝ってる。
文字通り、土をつけてやる。
借りたジャージをドロドロにして、怒られてしまえばいいんだ! - 127SS筆者22/03/21(月) 23:24:29
私の野望は、かくも簡単に打ち破られた。
本当のレースなら怒られるかもしれないような展開だった。
3コーナーに差し掛かったころで、聞こえなかったはずの雷鳴は、もう後ろまで差し迫っていた。
ヤバい、と思ってギアを上げようと思った時には、相手の加速は終わっていた。
追い抜いた後も、そのままスピードを上げていた。
私に格の違いを見せつけるかのように、グングンと伸びていって、私に5バ身以上差をつけてゴールした。
遅れてゴールした私に、余裕綽々とした表情で声をかける。
「おう、最初の勢いは良かったやんけ。」
「まだ、別に、1周目ですから。」
私の返事に、やれやれ、とタマセンパイが肩をすくめる。
「そんなんやからオグリにも出遅れるんや。レースは一回しかないんやで?」
真っ当な正論に、私は黙るしかなかった。
「なんや、なんも言うことないんかい。もう一回とか言うんかと思ったけど。」
どこまで本気で言ってるんだ。
ムリな勝負をふっかけて、確定的な実力差を見せつけて、その上でもっと煽りをかけてくる。
今までトレセン学園で感じたことないほどの熱と怒りが、胸の奥から湧いてくる。
それでも、目の前の勝負に勝ちたい、と思ってしまうのは、ウマ娘だからなんだろうか。
「……もう一度。」
私は、ひねり出すように声を上げる。
「おっ。なんやて?」
「もう一度っす。私はまだ走れるんで。」
タマセンパイはにやり、と笑う。
「ええやん、その意気や。グズるだけあって、諦めるようなヤツではないってことやな。」
「GⅠ取ってるからって、バカにしないでくださいよ。」
「おう、分かっとる。モニちゃんの合図で良いで。」
そう言って、スタートの準備を取っている。
絶対に勝ってやる。
なんなら、相手が潰れるまで再戦して、『勘弁してや』って言っても走らせてやる。
ケンカを売ってきたのはアンタなんだから。
私は、スタミナだけは、あるんだ! - 128SS筆者22/03/21(月) 23:26:38
「おうモニちゃん、もう終わりかいや。」
ぜえ、ぜえ、と軽く肩を上下させながら、タマセンパイが私を見下ろす。
あれから何度『もう一度』と言ったのか、このコースを何周したのか、もう覚えてない。
全力で逃げているから、相手が追い込んできているから、そんなレベルの話ではなかった。
ダートだから、芝だから、そんな話でもない。
ただただ、圧倒的に、私の力が足りていなかった。
ショックと疲れで地面にへたり込んで立ち上がれない私に、雨が容赦なく打ち付ける。
「モニちゃん、ウチが何のレースで勝ったか、知っとるやろ。」
思いついても、口から漏れてくるのは荒い呼吸ばかり。
日本で最長の平地G1レースを勝っているその実力は、多少環境が変わったところで揺らぐものではなかった。
悔しい。
それでも、悔しかった。 - 129SS筆者22/03/21(月) 23:30:19
雨雲が光を反射して、薄明るくなっている空を見つめながら、言葉が漏れる。
「……意味、無いじゃんか。」
「なんや?」
一人でにこぼれた言葉は、もう一度自分に戻ってくるようで、酷く惨めに聞こえた。
「もう、私に、意味なんて無いじゃんか。」
「意味やと?」
「イチも取られて、有利なのにアンタに勝てなくて、もう何にも残ってないじゃん。私。」
タマセンパイはしばらく黙って、こちらに向き直った。
「意味なんかハナっからあるもんかい。最初から、全部諦めがちに取り組んどったんやろって。」
けどな、とタマセンパイは一つ呼吸を置く。
「ええ逃げやった。スタートの反応もいい。ただ、他の能力が足りとらん。」
「いいですよね、センパイは能力が足りていて。」
私が不貞腐れるように答えると、タマセンパイがズン、ズンとこちらに歩み寄ってきた。
へたり込む私の腕を強引に握って、思いっきり引き上げられる。
「うわッ。」
「ウチに能力が足りてる、やと?」
そう言い放つ先輩は、明らかに怒っていた。
「ウチはな、精一杯努力したんや。他の連中を見返してやる、環境なんか関係ない、そう思って、ナンボでも努力してきた。」
据わった目で見つめられて、喉が詰まる。
怖い、と思った。
「他のウマ娘が羨ましくなることもぎょうさんあった。せやけど、やればできると思うて、腐らずにのし上がってきたんや。」
そういい終わると、握っていた手を放す。握られていた場所が、雨に当たっているのに、じん、と熱くなる。
ドスの効いた声で、タマセンパイのこれまでが込められた言葉は、鈍器のように私の心を強く打った。
「……でも、私は、どうしたらいいんすか。」
タマセンパイは、私のすがるような疑問に、すぐ答えた。 - 130SS筆者22/03/21(月) 23:33:12
「勝つんや。」
「えっ。」
「トレーニングして、勝って、勝って、勝ちまくるんや。」
タマセンパイの顔を見上げる。
「イチちゃん――いや、イチに、レースで勝て。戦績で勝て。タイムで勝て。なんでもええ。勝つんや。」
真っすぐな目で、タマセンパイが私を見る。
「モニちゃんが羨んだらアカン。羨ましがられるようになるんや。」
タマセンパイが、雨に肩を濡らしながら、言葉をつなぐ。
「自分、分かったやろ。モニちゃんは別に、イチのことが好きなんやのうて、羨ましいんや。」
羨ましい。
「自分にはオグリほど自分のことを好いてくれる人がおらん、自分よりも早くトレーナーがついた、自分よりもタイムがいい……他になんか、あるか?」
「……イチは、私より料理ができる。」
「せやな、せやけど、それは全部イチが自分で動き出して、勝ち取ったもんや。」
そうだ。
私は、必死になって何かやっているイチを、高みから動かないで見ていただけだった。
誰かに見てほしくて、その高みにいるのがまるで、大人ぶってるようで、ずっとしがみついていた。
その気持ちを、たまたまルームメイトになったイチにぶつけていただけだった。
「それを羨ましいって言うと自分が弱く見えるから、好きだってことにしてただけや。」
ま、王様気取りでベソかいとっただけってことやな、と言って、上に伸びをする。 - 131SS筆者22/03/21(月) 23:36:58
「タマセンパイ。」
「おう、なんや。もう一本行くか?」
「私に、レースを教えて。」
「高くつくで。」
「……何したらいいの。」
せやな~、と少し考え込むフリをして、こちらを見る。
「まずは、未勝利戦突破やな。」
「タマセンパイが教えてくれたら、それ、払える。」
「おっ、言うやんけ。」
タマセンパイが、口の片側だけ上げて、こちらに手を伸ばす。
「なぁ、モニちゃん。」
「はい。」
「今、勝ちたいか?」
「うん、めちゃくちゃ勝ちたい。」
センパイの手を取る。
そのまま、グッ、と引き上げられて立ち上がる。
「戦って勝ちたいと思えるヤツ、おるか?」
「いる。顔も身長も、得意なことも知ってる。」
ウンウン、とセンパイが頷く。
握っていた手を一度ほどいて、握手し直す。
「お願いします、センパイ。」
「おう、大船に乗ったつもりで、任しとき。」
その言葉を聞いて、わざと誰もいない空をつま先立ちで見上げる。
「ん、こりゃまた、立派なモーター漁船だなあ。」
「そうそう、後ろにはちゃんと壊れた時用のオールも一緒に……ってコラ!それじゃ小舟やんけ!」
胸を手の甲で叩かれる。
私、このセンパイとならやれるかも。
センパイの雷は、私を高みから引きずり落しただけじゃなくて、どこに行けばいいかも照らしてくれた。
やっと、ここまで落ちてこれた。
今度は何をされても壊れないような、立派な塔を、自分で建ててやる。 - 132SS筆者22/03/21(月) 23:37:09
二人で特別感に浸っているとき、突然、背後から声が聞こえた。
「ポニーちゃん?タマモ先輩?こんな時間に、雨の中、何をしているのかな?」
振り返ると、懐中電灯と傘を持って、不気味な笑顔を浮かべる寮長が経っていた。
音もなく近づいていた寮長に、二人で声にならない悲鳴を上げて、跳びあがる。
スタートダッシュの速度の差でタマセンパイだけ捕まっちゃったのは、多分、別の話。
私のタイムが次の日のトレーニングで少しだけ良くなったのも、多分、タマセンパイと一緒に走ったから……だと思う。
了 - 133SS筆者22/03/21(月) 23:49:56
オグリとイチちゃんのスレなのにイチちゃんはおろか、名前しか出てこないオグリ。
これカテ違いじゃね?(そんなはずはない)(ないはず)
モニちゃんにさらに火をつけるの回でした。
ベテランの葦毛ウマ娘二人の力を借りて、イチちゃんとモニちゃんの快進撃がとうとう始まります。
最低、あともう一本は書きます。また長くなってしまうかもしれませんが、お付き合いくださると。 - 134二次元好きの匿名さん22/03/21(月) 23:51:45
ダート1600なのに勝つとはタマモしゅごい…
モニちゃん頑張ってほしい、応援しちゃうんだ - 135二次元好きの匿名さん22/03/22(火) 00:42:43
ありがとう…
ありがとう… - 136二次元好きの匿名さん22/03/22(火) 07:35:43
保守なんだ
- 137二次元好きの匿名さん22/03/22(火) 12:48:00
保守なんだ
- 138二次元好きの匿名さん22/03/22(火) 14:07:41
- 139SS筆者22/03/22(火) 21:03:40
- 140二次元好きの匿名さん22/03/23(水) 00:26:09
執筆乙なんだ
- 141二次元好きの匿名さん22/03/23(水) 07:36:04
保守なんだ
- 142二次元好きの匿名さん22/03/23(水) 12:47:29
保守なんだ
- 143二次元好きの匿名さん22/03/23(水) 20:47:35
保守
- 144二次元好きの匿名さん22/03/23(水) 23:25:18
【中央生専用掲示板】
レスアンカーワンとか言うオグリギャルwwwww
1:一般ウマ娘
デキてるよね?
2:一般ウマ娘
距離感クッッソ近いよな
3:一般ウマ娘
一緒にお弁当食べてるの何回見たことか
4:一般ウマ娘
距離感近い友達ってだけじゃないの?
5:一般ウマ娘
ベンチで二人肩寄せ合って寝てたのも見たぞ
6:一般ウマ娘
→4
でもあのお弁当毎日イチちゃん先輩が作ってるみたいだよ
7:一般ウマ娘
→6
中身見たことあるけど凄かったよ冷凍食品ポイッと入れてとかそんなんじゃなくてそこそこ時間かかりそうなやつだった
8:一般ウマ娘
マジ…? - 145二次元好きの匿名さん22/03/23(水) 23:25:42
9:一般ウマ娘
→7
愛妻弁当…?
10:一般ウマ娘
俗に言う通い妻
11:一般ウマ娘
バレンタインのとき本命よって言ってオグパイにチョコ渡してるの見たぞ
12:一般ウマ娘
それ結構話題になってたけどどんな感じだったん?
13:一般ウマ娘
オグパイに生徒達が群がってたら颯爽とイチちゃん先輩が現れてチョコを渡したオグパイが義理チョコというやつかありがとうと言ったら本命よと言い放った黄色い歓声があがった保健室に一人担ぎ込まれた
14:一般ウマ娘
マジかよ…ホントにデキてそうだな…
15:一般ウマ娘
ずいぶん差したなイチちゃん… - 146二次元好きの匿名さん22/03/23(水) 23:26:26
- 147二次元好きの匿名さん22/03/23(水) 23:27:10
90:一般ウマ娘
エッッッ!!!??(困惑)
91:一般ウマ娘
ファァァーーーーwwwwWWW!!!??
92:一般ウマ娘
デキてる(確信)
93:一般ウマ娘
デキてる(確定申告)
94:一般ウマ娘
これでデキてなかったら逆に怖いわ - 148二次元好きの匿名さん22/03/23(水) 23:27:52
─────────
192:一般ウマ娘
ねぇ…オグリが「今日は気持ちよくしてくれ」って言いながらイチちゃんと同じ部屋に入っていったんだけど…
193:一般ウマ娘
!!!??
194:一般ウマ娘
こいつらうまぴょいしたんだ!
195:一般ウマ娘
…え?マジで…そういう…?
196:一般ウマ娘
オグリが「痛い!イチやめて!」って叫んでるんだけど…
197:一般ウマ娘
オグリ先輩が…猫ちゃん…?
198:一般ウマ娘
オグリ「吾輩は猫である」
199:一般ウマ娘
イメ損
200:一般ウマ娘
夏目漱石の方がイメ損されてないか…?
✎このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています - 149二次元好きの匿名さん22/03/23(水) 23:38:25
アンジャッシュみたいになっとる!
- 150SS筆者22/03/24(木) 00:41:41
- 151二次元好きの匿名さん22/03/24(木) 07:41:51
このレスは削除されています
- 152二次元好きの匿名さん22/03/24(木) 12:46:18
このレスは削除されています
- 153ぽっと出の22/03/24(木) 21:32:21
保守保守
- 154二次元好きの匿名さん22/03/25(金) 02:08:53
オチで笑っちゃったんだ
- 155二次元好きの匿名さん22/03/25(金) 12:45:27
保守なんだ
- 156二次元好きの匿名さん22/03/25(金) 20:44:24
- 157二次元好きの匿名さん22/03/26(土) 00:25:08
素晴らしい…
- 158二次元好きの匿名さん22/03/26(土) 08:52:54
保守なんだ
- 159二次元好きの匿名さん22/03/26(土) 11:45:47
たまにはやった方がいいわよねと何年ぶりになるか分からない柔軟をやってみるお母さん
昔はカカト触れるぐらい体柔らかかったけど引退して何年も経つからガッチガチになってて老化というものを身を持って実感してショックを受けるお母さん
このままじゃいけないとお父さんに柔軟されてギャーッ!!?ってなってるお母さんを妄想した
- 160二次元好きの匿名さん22/03/26(土) 12:04:58
- 161二次元好きの匿名さん22/03/26(土) 12:47:07
オグリの無自覚強者ムーブに振り回されるイチちゃんは良いものだ
- 162二次元好きの匿名さん22/03/26(土) 14:01:10
オグリのアホ毛ががががが
- 163二次元好きの匿名さん22/03/26(土) 22:09:59
保守なんだ
- 164SS筆者22/03/27(日) 00:01:37
「おうオグリ、おはようさん。」
とてもよく親しんだ、しかし、朝には聞きなれない声で目が覚めた。
声のした方向に首を向けると、タマ――ルームメイトで、友人で、最高のライバル――が、ジャージ姿でこちらを見ていた。
「どうしたんや、タヌキに化かされたような顔して。」
その場で軽くトン、トンと飛び上がりながら、不思議そうな顔をしている。
「お、おはよう。タマ。」
「おう、おはようさん。」
そのまま肩を入れて、肩甲骨と脚の関節を伸ばし始めた。
いつも私が起きるときにはタマが寝ているから、つい面食らってしまった。
タマがストレッチをしながら、口を開く。
「ちょいとオグリ、朝練付き合ってや。」
「……タマ?」
タマの口から出てきた思ってもいない提案は、寝ぼけている頭をすっかり通り過ぎて、何を言っていたのか分からなくなってしまった。
「ちょいオグリ、珍しく寝ぼけとんな。」
「いや、タマが朝のトレーニングを提案するのは、珍しいな、と……」
「せやろ、今日は気が向いたんや。そら、着替えた、着替えた。」
そう言うやいなや、タマは私のシーツを持ち上げる。
「今日は休みだし、タマはもう引退したじゃないか。」
「せやけど、たまには走らんと身体がなまるねん。ほれ。」
そう言って、私のジャージを取り出して私のベッドに置く。
ずっと競い合ってきたタマとゆっくり走る機会は、中々無かったことに気付いた。
私は、タマの申し出を、喜んで受けることにした。 - 165SS筆者22/03/27(日) 00:12:32
それから、いつもの朝と同じくらいの時間、いつもよりも少し軽いメニューを、タマと一緒に走った。
いつものような、一人で静かな街を感じながら走るのとは違って、私のものではないもう一つの足音を聞きながら走るのは、心なしか、とても賑やかだった。
誰かと他愛のない話をしながら、ゆっくり、流すように走って、心地よい風を感じる。
タマも、川沿いの知らない風景や、いつもすれ違う犬の散歩をしている旦那さんとの会話や、川に映る朝日を楽しんでいるようだった。
私の前を走っていたタマが、だんだんと歩くくらいまでペースダウンして、こちらに振り返る。
「おお、オグリ、こんなことしとったんやなあ。」
「うん。もう少しペースは上げているが、気分がいいぞ。」
「ほんま良かったなあ。もっと早く聞いとくべきやった。」
ま、そん時はオグリとバチバチやっとったんやけどな、と笑っている。
朝日を背に、朝日よりもギラギラ輝く明るい笑顔で笑うタマは、本当に眩しかった。
「そうしたら、そろそろ戻ろうか。」
私の言葉に、タマは何か都合が悪いのか、きょろきょろと周りを見回す。
「どうしたんだ、タマ?」
「いや、なんでもないんやけどな。」
そう言ったかと思うと、河川敷の土手に、すとん、と腰を下ろした。
「もう少ししゃべってこうや、せっかく休日なんやし、ゆっくり戻ってもええやろ?」
「あ、ああ。いいぞ。」
自分の隣の草むらを、ぽんぽん、と叩くタマの隣に腰を下ろす。
「今日のタマは、なんだかいつもと違うな。」
「せ、せやろか?たまったま早く起きただけやで?」
タマモクロスだけにな!と、いつものタマからは聞かないような言葉が飛び出してくる。
「……タマ、やっぱり、調子でも悪いのか?」
「何言うとんねん!スベったって言外に言うなや!傷つくわ!」
ぎこちない笑顔になったタマの横で、朝日を浴びながら、いろいろなことを話した。 - 166SS筆者22/03/27(日) 00:26:22
それからしばらく話した後、「おし、もうそろそろええやろ」と、タマが立ち上がる。
「引き留めてすまんかったなあ、オグリ。」
「いや、タマとゆっくり話せて、私も楽しかった。」
そう言うと、タマは、へへ、と鼻の下を人差し指で、恥ずかしそうに擦っている。
「腹も減ったし、帰ろか。」
「そうだな。もう、お腹がぺこぺこだ。」
いつもよりもゆっくりなペースで、学園まで戻った。
●◇●◇●◇●◇●◇●◇●◇●◇●◇●◇●◇●◇●◇
「お、朝トレお疲れっす、タマセンパイ。」
「おうモニちゃん、ご苦労さんやったな。」
朝のトレーニングから帰ってきた私たちを、モニー――イチのルームメイトのウマ娘だ――が出迎えてくれた。
気さくそうに挨拶を交わす二人が珍しくて、思わず質問する。
「二人は、仲が良かったのか?」
私の質問に、二人は目を合わせて、にやり、と笑った。
「ちょっとね、いろいろあって」
「せやせや、いろいろあったんや。」
そう話すモニーの目の奥には、一緒に走ったときのタマと、同じような色で燃える炎のような、強い思いが見えた。
思わずタマの方を見やると、一緒にG1レースを走ったときとは異なるが、しかし、モニーが宿しているものと同じような熱を、目の奥に蓄えていた。
思わぬプレッシャーを感じて、背筋に緊張が走る。
「ほんなら、オグリも腹減っとるやろうし、行こか。」
こちらを向いたタマの目は、朝、川沿いで見せてくれた目に戻っていた。
「行くって、どこへ?カフェテリアはこっちじゃないはずだが……」
混乱している私に、モニーが反応する。
「カフェテリアはまだ開いてないっしょ。」
彼女の言葉に、タマがうんうん、と頷く。
二人が阿吽の呼吸とでもいうようなテンポで会話を進めている。
どうにも、話において行かれているような気がしてならない。
「ま、とりあえずついてきて。」 - 167SS筆者22/03/27(日) 00:32:07
寮の共用ラウンジに近づくと、いつもと違うことに気付く。
遠くからでもわかる、誰だってお腹が空くような、香ばしいいい香りがラウンジから漂っている。
扉を開けてラウンジに入ると、一番大きいテーブルの上に、カフェテリアでしか見られない、『あの』料理が用意されていた。
5重にも積まれた特大ハンバーグ、その下に敷かれたたくさんのナポリタン、添えられたブロッコリーに、ポテトフライ。
その手前には、蓋がされた赤い汁物の器と、大きめのお茶碗に山のように盛られた、白く輝くご飯が用意されていた。
目に飛び込んできた風景に、思わず、お腹が鳴る。
「あっはは、オグリ、反応が早いって。」
モニーがお腹を押さえて笑っている。
「す、すまない。いつもなら、ご飯を食べている時間を過ぎているから……」
「分かっとる、分かっとる。イチちゃんのお弁当やろ。」
タマの言葉に、イチのお弁当を思い出してしまって、またお腹が鳴ってしまう。
ひとしきり笑い終わったのか、涙目になっているモニーが、私を案内してくれる。
「さ、座った座った。」
「こ、これは、どういうことだ、モニー?」
「ええから、手ぇ合わせて、いただきますって言うんや。」
モニーが椅子を引いて、タマが私の肩を掴んで座らせる。
「二人は食べないのか?これは、誰が作ってくれたんだ?」
私の質問に答えず、二人は手を合わせて、ニコニコしている。
「まずは、いただきます、や!」
「そ、いただきます、でしょ。」
「い、いただきます。」
色々な疑問が私の中をめぐっていたが、手を合わせてみると、その疑問よりも空腹が優に勝って、どこかへと消えていく。
二人に聞くのは、これを食べてからでもいいだろう。 - 168SS筆者22/03/27(日) 00:35:37
それから食べ始めたハンバーグ定食は、それはもう、とてもとても美味しかった。
お肉の味がしっかりと引き立つ、肉汁たっぷりのハンバーグ。
ホロホロと崩れるように柔らかい、どんな風に煮込んだのかもわからない、にんじん。
もちもちと、水分とケチャップのおいしさをたっぷり吸いこんだ食感の、おかずになりそうなナポリタン。
汁物は、味の濃いハンバーグのお皿から寄り道すると、口の中がさっぱりして心地の良い香りが広がる、優しい、透明なお吸い物。
見事に山の形に盛られた白いご飯は、私の好みを知り尽くしているような、完璧な炊き具合だった。
朝から、こんな素敵なものが食べられるなんて。
私はどれだけ幸せなのだろう、と思っているうちに、お箸は止まるどころか、加速していった。 - 169SS筆者22/03/27(日) 00:38:38
「それじゃ、本日のシェフのご紹介です~。」
モニーの声に顔を上げると、キッチンのほうを指さしている。
その指先の向くところから出てきたのは、髪の毛を三角巾の中にきちんとしまったエプロン姿の親友だった。
「イチ!」
初めて見るイチの料理姿が何故か嬉しくて、思わず立ち上がってしまう。
「ちょっと、オグリあんた、まだ食べてる途中じゃん。」
「す、すまない。エプロン姿のイチがかわいくて、つい……」
私の言葉に、タマとモニーがなぜか後ろに首を勢いよく向けたかと思うと、肩を細かく震わせている。
「……お粗末様でした。」
イチは居心地が悪いのか、手を後ろに視線を横に向け、手を後ろで組んでいる。
キッチンが暑かったのか、顔が真っ赤になってしまっていた。
「……ケーキは、午後ね。まだ、お昼にもなってないから。」
「ケーキもあるのか!」
「うん、そっちは、私だけじゃなくて、クリークさんのお手伝いもあるから、美味しいはず。」
イチの言葉に、私は首を振る。
「このハンバーグもとても美味しいぞ、イチ。」
「うん、まあ、ありがと。」
皆が、笑顔のままイチを見ている。
しばらく誰も何も言わなかったが、モニーがイチに合図を出している。
「ねえ、イチ、言うこととっとと言いなって。」
イチはそれでも横を向いたまま、肩だけ、もぞもぞ、と動かしている。 - 170SS筆者22/03/27(日) 00:41:40
それからしばらく、沈黙が流れた後、イチが口を開く。
「お誕生日、おめでとう。」
イチの言葉に、横の二人が手を、パン!と一つ、大きく鳴らす。
そうしたかと思うと、二人で『ハッピーバースデー、オ~グリ~』と、バースデーソングを歌ってくれた。
イチも、真っ赤な顔のまま、少し遅れて、歌ってくれている。
タマの突然の誘いですっかり忘れてしまっていたが、自分の誕生日であることを思い出した。
3人の心遣いに、心が強く打たれる。
私は、とても良い友人を持った、と思った。
「ありがとう、みんな。とても嬉しいよ。」
「……別に、その。」
そういって、イチが下を向く。
モニーがやれやれ、と言った様子で、イチにツッコミを入れている。
「イチ、あんたね、別にってのは無いでしょ。」
「……誕生日なのに、別に、は無かったね、ゴメン。」
「素直に、オグリのために心を込めて作りました、って言えばいいじゃないの。」
モニーの提案に、イチが噛みつく。
「ね、ねえ!ちょっと、モニー、あんた、バカ!」
「ば、バカは無いでしょ、バカは!」
今にも言い合いが始まりそうになった矢先、タマがするりと間に入って、二人の距離を腕で開けている。
「オグリの誕生日なんだから、素直になんなさいよ、イチ。」
「す、素直って、簡単に……!」
「なんなら、ずっとアナタのことが好きです、って言っちゃえばいいのに。」
茶化すようなモニーの言葉に、イチの顔がさらに赤くなる。
タマは何も言わずに、ただ二人の距離を、楽しそうな笑顔を浮かべながら開け続けていた。
「好きですって、ちょっと、アンタっ。」
「ホントのことじゃん、こないだなんかタマセンパイ追い出してさ。」
「それは、そのっ。」
二人の言葉に、私も以前、タマにお願いしたことを思い出して、恥ずかしくなる。 - 171SS筆者22/03/27(日) 00:45:55
「ハイハイ、お二人さん、そこまでや。」
タマが二人の会話に割って入る。
「そういうわけで、誕生日おめでとさん、オグリ。」
「ありがとう。もしかして、タマが私を朝のトレーニングに誘ったのは……」
「そういうこっちゃ。イチちゃんの手際がいいお陰で、無理に引き延ばさんでもよくなったんや。」
タマの言葉に、言い合いをしていた二人が静かになる。
「ちゃんと前々日くらいから準備してたのよ?」
「せやで。イチちゃんなんかなあ、ハンバーグのタネを仕込むのに、えらい丁寧に時間かけてたんやから。」
「そうそう。ハンバーグだけじゃなくて、にんじんの丸ごと煮も、スパゲッティも、茹でブロッコリーも、やたらこだわっちゃって……」
「せやせや。ベジブロス、やったか?ちゃんと作りたい言うて、カフェテリアの人に頼み込んで圧力鍋やら赤ワインまで、無理言って借りてきたんやで。」
「そんなにこだわってくれたのか、イチ。とっても美味しかった。」
何故か、イチが顔を赤くしたままうずくまる。
「あの……もう、洗い物したい……」
「ホントすごいこだわりだったよ、イチ。」
「ほんまになあ。そうや、ナポリタンは……」
タマが何か言いかけようとしたとき、うずくまっていたイチが、勢いよく立ち上がって、テーブルを指さした。 - 172SS筆者22/03/27(日) 00:53:07
「いくら誕生日で、いくらオグリが良く食べると言っても、朝からこんな量は迷惑だったでしょ!」
目尻に何故か涙を浮かべて、大きな声を上げている。
迷惑だなんて、そんなことは全くない。
イチの料理は、いつも、どんな料理でも、本当に美味しくて、ずっと食べていたいと思うくらいだ。
素直な私の気持ちを、イチに伝える。
「いや、イチの料理なら、私はまだまだ食べれるぞ。」
私の言葉に、イチは、うぐっ、と苦しそうな声を上げる。
「大丈夫か、イチ?」
「あんまり食べ過ぎて、体調でも崩しちゃえばいいのよ!」
これ以上は無いんじゃないか、と思うくらい赤い顔で、イチが私を指さす。
私の言葉が聞こえているのかいないのか、目を白黒させているイチに、タマとモニーが首を傾げた。
「いや、そないなことは起きへんやろ。」
「そうっすよね、オグリが体調を食べ物で崩すことはないっしょ。」
二人が似たような手つきで、イチにツッコミを入れている。
困っている様子のイチを助けるべく、なんとか、フォローの言葉を入れる。
「……あっ、いや、でもお母さんからもらって、ずっと大事にとっておいたおにぎりを食べた時は、さすがにお腹を痛くしたぞ。」
そういうと、二人は黙ったままこちらを向いて、やれやれ、と言った様子で、私にも同じように手の甲を当ててきた。
「ど、どうしたんだ、二人とも?」
「いや、なんちゅーか。」
「似たもの同士だよね、二人。」 - 173SS筆者22/03/27(日) 01:04:49
イチは、口を開けたまま固まってしまった。
何とかイチをほぐしてあげなければ、と思った私は、お箸でハンバーグを一口分取り分ける。
そのままイチの手を取ってこちらに寄せる。
「ちょっ、オグリ、何して。」
「イチ、あーん。」
言われるがまま、というより、元々開いていた口にハンバーグを入れる。
タマとモニーが、わっ、と口に手を当てて驚いている。
固まっていたイチも、もぐ、もぐとハンバーグを食べ始めた。
「どうだ、おいしいだろう。」
しばらく食べていたイチが、飲み込んでから口を開く。
「……確かに、おいしい。」
「私の親友が、誕生日の私のために作ってくれたんだ。」
「いや、その……そう、だね。」
「うん。ありがとう、イチ。最高の誕生日プレゼントだ。」
私の言葉に、少しイチの口元が緩む。
やっぱり、イチには笑顔が良く似合う。
「イチ、一つ、言いたかったことがあるんだ。」
「何、オグリ。」
私はしっかり息を吸って、はっきりと、イチに伝えた。
「イチ、ごはんのおかわりは、あるだろうか?」
少し笑顔が戻っていたイチの目が、私の言葉に、また白黒に戻る。
しかし、少し間をおいて、ふふ、と笑った。
「……しょうがないな、あるよ。どのくらい?」
「最初と同じくらいで、頼む。」
うん。
イチは、「しょうがないな」と言いながら、私の大きなお茶碗を受け取って、キッチンの方へ向かってくれた。
了 - 174二次元好きの匿名さん22/03/27(日) 03:50:36
今日このスレに相応しいお話でほっこりした
- 175二次元好きの匿名さん22/03/27(日) 12:41:51
保守なんだ
- 176二次元好きの匿名さん22/03/27(日) 21:56:58
保守
- 177二次元好きの匿名さん22/03/28(月) 04:31:15
オグリとモニーが仲良しな夢を見た
どういうことなの - 178二次元好きの匿名さん22/03/28(月) 12:47:10
- 179二次元好きの匿名さん22/03/28(月) 21:31:11
- 180二次元好きの匿名さん22/03/29(火) 01:26:06
- 181二次元好きの匿名さん22/03/29(火) 01:26:35
- 182二次元好きの匿名さん22/03/29(火) 01:31:55
2pの一コマで爆笑した
- 183二次元好きの匿名さん22/03/29(火) 02:10:03
う、うしろ‥
- 184SS筆者22/03/29(火) 06:30:35
供給嬉しい……嬉しい……
- 185二次元好きの匿名さん22/03/29(火) 12:45:17
- 186二次元好きの匿名さん22/03/29(火) 18:05:55
こ、この子の正体と目的は…?!
- 187二次元好きの匿名さん22/03/30(水) 00:27:24
いい…
- 188二次元好きの匿名さん22/03/30(水) 07:37:52
保守なんだ
- 189二次元好きの匿名さん22/03/30(水) 12:25:09
- 190二次元好きの匿名さん22/03/30(水) 18:14:27
次スレを誰が建てるかまだ決まってなかったから私が勝手に決めちゃうんだ
次スレは>>195に頼むんだ。
- 191二次元好きの匿名さん22/03/31(木) 00:25:00
保守なんだ
- 192SS筆者22/03/31(木) 01:51:23
せ、1800回も困らせてやったわ。
え、次でミレニアムなの……? - 193二次元好きの匿名さん22/03/31(木) 02:59:43
- 194SS筆者22/03/31(木) 05:26:21
絶対このスレにいる人が建てたでしょと信じて疑わない
- 195二次元好きの匿名さん22/03/31(木) 13:05:03
- 196二次元好きの匿名さん22/03/31(木) 14:09:07
乙なんだ
- 197二次元好きの匿名さん22/03/31(木) 15:10:18
とうとう大台まで来たんだ めでたいなあ
- 198SS筆者22/03/31(木) 16:49:55
スレ立て乙なんだ
part10は折り返しでもキリのいい数字でもなんでもない、ただただ積み重ねていく数字なんだ
おめでとうイチちゃん - 199二次元好きの匿名さん22/03/31(木) 20:28:08
スッ(壁
- 200二次元好きの匿名さん22/03/31(木) 20:50:51
200ならイチモニの間にオグリが挟まる