- 1二次元好きの匿名さん22/04/26(火) 00:39:59
始まり
ムカつく...ぽっと出のくせに調子に乗って...そうだ......!|あにまん掲示板大量のにんじんを押し付けてやる!https://bbs.animanch.com/img/243226/595いくら良く食べると言ってもこの量は迷惑でしょ!これで体調でも崩せばいいのよ!bbs.animanch.com前回
ムカつく...ぽっと出のくせに調子に乗って…そうだ……!Part10|あにまん掲示板始まりhttps://bbs.animanch.com/board/255217/ひとつ前https://bbs.animanch.com/board/437871/オグリキャップとpart1の>…bbs.animanch.comオグリキャップと始まりの>>1の関係を妄想するスレです。
さらにオグリを困らせていきましょう。
- 2二次元好きの匿名さん22/04/26(火) 00:41:50
過去スレ 2~8
ムカつく...ぽっと出のくせに調子に乗って…そうだ……!Part2|あにまん掲示板https://bbs.animanch.com/board/255217/前スレオグリ×前スレ1の妄想をしよう!!!bbs.animanch.comムカつく...ぽっと出のくせに調子に乗って…そうだ……!Part3|あにまん掲示板前スレhttps://bbs.animanch.com/board/255217/https://bbs.animanch.com/board/258049/オグリ×前スレ1の妄想をしよう!!!次は&…bbs.animanch.comムカつく...ぽっと出のくせに調子に乗って…そうだ……!Part4|あにまん掲示板前スレhttps://bbs.animanch.com/board/255217/https://bbs.animanch.com/board/258049/https://bbs.animanch.…bbs.animanch.comムカつく...ぽっと出のくせに調子に乗って…そうだ……!Part5|あにまん掲示板これまでhttps://bbs.animanch.com/board/255217/https://bbs.animanch.com/board/258049/https://bbs.animanch…bbs.animanch.comムカつく...ぽっと出のくせに調子に乗って…そうだ……!Part6|あにまん掲示板前スレhttps://bbs.animanch.com/board/255217/https://bbs.animanch.com/board/322746/オグリ×前スレ1の妄想をしよう!!!次は&…bbs.animanch.comムカつく...ぽっと出のくせに調子に乗って…そうだ……!Part7|あにまん掲示板震源地https://bbs.animanch.com/board/255217/前スレhttps://bbs.animanch.com/board/340647/オグリ×震源地>>1の妄…bbs.animanch.comムカつく...ぽっと出のくせに調子に乗って…そうだ……!Part8|あにまん掲示板全ての始まり(閲覧推奨)https://bbs.animanch.com/board/255217/前スレhttps://bbs.animanch.com/board/368777/オグリキャップとP…bbs.animanch.comムカつく...ぽっと出のくせに調子に乗って…そうだ……!Part9|あにまん掲示板始まりhttps://bbs.animanch.com/board/255217/ひとつ前https://bbs.animanch.com/board/392526/オグリキャップとpart1の>…bbs.animanch.com - 3二次元好きの匿名さん22/04/26(火) 00:43:21
紹介スレ 本スレと併せて覗くと楽しいかも?
過去
あれは「ムカつく...ぽっと出のくせに調子に乗って...そうだ......!」スレと言って|あにまん掲示板このスレから概念化してPart化したスレなんだhttps://bbs.animanch.com/board/255217/私にツンデレ(デレデレ)な後輩のイチちゃんの妄想を書き込むスレなんだとくにルー…bbs.animanch.comあれは「ムカつく...ぽっと出のくせに調子に乗って...そうだ......!」スレと言って Part2|あにまん掲示板このスレから概念化してPart化したスレなんだhttps://bbs.animanch.com/board/255217/私にツンデレ(デレデレ)な後輩のイチちゃんの妄想を書き込むスレなんだとくにルー…bbs.animanch.comあれは「ムカつく...ぽっと出のくせに調子に乗って...そうだ......!」スレと言って 2.5|あにまん掲示板このスレから概念化してPart化したスレなんだhttps://bbs.animanch.com/board/255217/私にツンデレ(デレデレ)な後輩のイチちゃんの妄想を書き込むスレなんだとくにルー…bbs.animanch.com現行
あれは「ムカつく...ぽっと出のくせに調子に乗って...そうだ......!」スレと言って 3|あにまん掲示板このスレから概念化してPart化したスレなんだhttps://bbs.animanch.com/board/255217/私にツンデレ(デレデレ)な後輩のイチちゃんの妄想を書き込むスレなんだとくにルー…bbs.animanch.com - 43722/04/26(火) 00:43:34
もう11か…早いんだ
- 5二次元好きの匿名さん22/04/26(火) 00:44:38
- 6二次元好きの匿名さん22/04/26(火) 00:45:01
早いな…
- 7二次元好きの匿名さん22/04/26(火) 00:48:06
このレスは削除されています
- 8二次元好きの匿名さん22/04/26(火) 00:49:14
- 9二次元好きの匿名さん22/04/26(火) 00:49:31
- 10二次元好きの匿名さん22/04/26(火) 00:50:45
- 11二次元好きの匿名さん22/04/26(火) 00:55:10
- 12二次元好きの匿名さん22/04/26(火) 06:37:08
立て乙なんだ
- 13ゲロの人◇22/04/26(火) 07:01:16
保守なんだ◇
目指せパート20なんだ◇ - 14二次元好きの匿名さん22/04/26(火) 12:23:04
ふふふ、乙乙
- 15ゲロの人◇22/04/26(火) 16:21:02
10でも言ったがダークな表現募集中なんだ◇
卑しいように聞こえるが許して欲しいんだ。 - 16二次元好きの匿名さん22/04/26(火) 21:54:03
- 17二次元好きの匿名さん22/04/26(火) 23:03:01
- 18ゲロの人◇22/04/27(水) 00:28:43
- 19二次元好きの匿名さん22/04/27(水) 00:33:07
このレスは削除されています
- 20二次元好きの匿名さん22/04/27(水) 00:35:28
- 21二次元好きの匿名さん22/04/27(水) 06:36:04
このレスは削除されています
- 22ゲロの人◇22/04/27(水) 06:36:25
- 23二次元好きの匿名さん22/04/27(水) 12:37:51
保守なんだ
- 24二次元好きの匿名さん22/04/27(水) 12:42:41
- 25二次元好きの匿名さん22/04/27(水) 22:43:55
危ない橋は渡ってほしくないんだ…
- 26二次元好きの匿名さん22/04/27(水) 23:00:21
- 27了船長22/04/27(水) 23:03:20
(申し訳ないんですけど、自分が現状で削除できる人間ですので、私個人で危ういと思った表現は見つけ次第消しますので悪しからず)
(表現をするということそのものが、自分の考えを誰かに押し付けているのではないか、という可能性だけはどうかお忘れなく)
(架空ウマ娘でもなんでもルールは守っていきましょう)
(直接的な表現じゃなくても、そういう『官能的』な表現はできるとも思います)
(お互いにシャワーの後で髪や尻尾のケアをし合うとか、一緒に料理して食事をするとか、二人だけでおしゃべりをする、とか)
(これは怒られないギリギリの表現を探る、という下世話なものから、もっと高次元のものを目指していきませんかという提案です こんなこと本スレで言うことでもないですが) - 282422/04/27(水) 23:09:01
際どい表現はあくまでエッセンスなの
イチとオグリ始め登場人物が幸せだったりほろ苦かったりするのが大事なんだ
だから投稿された作品全部好き - 29二次元好きの匿名さん22/04/28(木) 07:38:15
保守なんだ
- 30二次元好きの匿名さん22/04/28(木) 18:57:53
保守なんだ
- 31二次元好きの匿名さん22/04/29(金) 00:25:44
みんな素晴らしいんだ
- 32二次元好きの匿名さん22/04/29(金) 00:36:51
このレスは削除されています
- 33二次元好きの匿名さん22/04/29(金) 00:37:38
そういえばシングレでイナリが出て来たんだ。ちょっと解像度が上がった気がするんだ
- 34二次元好きの匿名さん22/04/29(金) 07:21:29
想像以上にイナリが怖かったんだ
- 35二次元好きの匿名さん22/04/29(金) 13:23:21
イナリが太いんだ
ふとったのかな? - 36二次元好きの匿名さん22/04/29(金) 13:29:21
両津勘吉みたいって言われて笑ったんだ
- 37了船長22/04/29(金) 22:08:14
イナリワン号は中央に移籍してから体重が落ちた(なんでも神経質な気質と合わない食事のダブルパンチだったそうな)から、その表現のための前準備なんでしょうか(単行本勢なので読んでいないのですが)
それとも久住御大のご趣味なのでしょうか
- 38二次元好きの匿名さん22/04/29(金) 22:34:15
先生の趣味と考えられる ガラ悪いボーノみたいなんだよね
- 39二次元好きの匿名さん22/04/30(土) 00:28:47
イナリが痩せたら痩せたで怖いよ
- 40二次元好きの匿名さん22/04/30(土) 09:05:51
保守なんだ
- 41二次元好きの匿名さん22/04/30(土) 14:36:30
保守なんだ
- 42了船長22/04/30(土) 23:27:56
保守代わりの(
「イチ、ちょっといいだろうか。」
「うぅーん、どうしたの、オグリ。」
「今日の夕飯は、ぶり大根がいいんだ。」
「ぶり大根、ね。分かった。買い物行ってくるね。」
「本当か!分かった。楽しみにしている。」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ただいま、オグリ。」
「おかえり、イチ!」
「お腹減らして待ってたんでしょ。」
「うん。夕飯が待ちきれないよ。」
「ん、ちょっと待っててね。すぐできるから。」 - 43了船長22/04/30(土) 23:30:48
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「……ダメだ、なんか、めんどくさい……」
「今日、そんなにハードなワケじゃなかったんだけどな……」
「味付け、めんどくさいな……」
「あー、いいや。めんつゆ入れちゃえ。」
「ごめん、オグリ。手抜きしちゃって、許して……」 - 44了船長22/04/30(土) 23:44:07
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「はい、お待たせ。テーブル整えてくれて、ありがと。」
「私の方こそ、朝にリクエストしてしまって。ありがとう。」
「ううん、大丈夫。」
「……おお、出来立てだ。」
「うん。熱いよ。気を付けて。」
「それじゃあ、いただきます。」
「召し上がれ。」
「おお、おいしい!」
「えっ。」
「うん、やっぱりイチの料理はおいしいな。」
「そ、そっか。」
「いつもの料理もとてもおいしいが、今までで一番おいしいかもしれない。」
「……ありがとう。ごめんね、オグリ。」
「ど、どうしたんだイチ、昼間、何かあったのか。」
「ううん、そういうわけじゃなくて。これでよかったんだな、って。」
「い、イチ?……ほら、イチ。」
「ちょっ、まだ、食べてるでしょ。」
「いいんだ。……大丈夫、大丈夫だ。今日もお疲れ様、イチ。」
「……お行儀、悪いよ。」
「今だけは、許してくれ。」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ - 45了船長22/04/30(土) 23:45:14
『たのしみは まれに魚烹て 児等みなが うましうましと いいて食ふ時』 橘曙覧
了 - 46了船長22/04/30(土) 23:53:47
twitterで見かけたエッセイマンガをほとんどそのまんま落とし込んじゃいました
イチちゃんにリクエストするオグリ、とてもかわいい。
疲れてるけどオグリのリクエストには応えたいイチちゃん、とても健気。
そして名前を繰り返し読んでしまうオグリとイチちゃんの関係性、もう脳みそが溶ける。
オグイチはいいぞ - 47二次元好きの匿名さん22/05/01(日) 00:03:22
ああ、オグイチはいいな!
- 48二次元好きの匿名さん22/05/01(日) 00:16:00
イチちゃん稀にじゃなくいつも作ってあげてる雰囲気がでとる
- 49了船長22/05/01(日) 00:32:48
- 50二次元好きの匿名さん22/05/01(日) 00:44:07
自分で言って自分で死んでる…
- 51二次元好きの匿名さん22/05/01(日) 10:02:44
- 52ゲロの人◇22/05/01(日) 15:03:18
ゴールデンウィークが始まったんだ◇
これに乗じてなんか書くのだ◇ - 53二次元好きの匿名さん22/05/01(日) 15:11:44
わくわく
- 54了船長22/05/01(日) 22:50:11
どなたか絵の描ける方、どうかイチちゃんとオグリをゲーム版ライブの"We are DREAMERS‼”バックダンサー8番と13番のポーズで書いていただけませんでしょうか
日本語がおかしいけどどうか何卒お願いします - 55二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 00:21:00
今更だけど「ムカつく...ぽっと出のくせに調子に乗って…そうだ……!」ってスレタイ凄い良い
- 56二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 10:03:59
良いよね…
- 57二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 10:39:25
このレスは削除されています
- 58二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 12:44:07
このレスは削除されています
- 59ゲロの人◇22/05/02(月) 16:10:13
描くんだ◇
- 60ゲロの人◇22/05/02(月) 17:21:08
- 613722/05/02(月) 17:32:43
- 62二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 17:41:17
- 63ゲロの人◇22/05/02(月) 18:55:09
- 64了船長22/05/02(月) 20:18:31
唵 阿謨伽 尾盧左曩 摩訶母捺囉 麽抳 鉢納麽 入嚩攞 鉢囉韈哆野 吽
冗談のつもりで提案してみたら描いて貰えてて仕事終わりのアレコレが吹き飛んだ
衝撃のあまり光明真言を唱えてしまいました
ありがとうございます……ありがとうございます……眼福です……
- 65二次元好きの匿名さん22/05/02(月) 20:25:18
- 66二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 00:30:46
多分勝負服を着ることもできないからアニバやハーフアニバ等の衣装になる気がするんだ
- 67二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 08:46:27
アニバ衣装でもイチは可愛いんだ
- 68二次元好きの匿名さん22/05/03(火) 13:18:23
保守なんだ
- 69了船長22/05/04(水) 00:05:24
保守ついでの(
レスアンカーワンのカンタンレシピ part3(?)
美味しいもの食べたいけど、ガスコンロ使いたくない。
洗い物めんどくさいですし、その理由、とってもわかります。
そこで炊き込みご飯! 炊飯器一つでおいしいもの、作っちゃいましょう!
①玉ねぎを1個、皮を剥いて縦に切れ目を入れます。
②お米にコンソメ好きなだけ(お水に薄く色つくくらい)いれて混ぜる。
※お水は少な目で大丈夫です。玉ねぎから出てくるから
③そこに玉ねぎ1個丸ごとと、切ったベーコン、ソーセージを入れます。
④炊飯スイッチON!炊けるまでワクワク待つ!
甘くなったとろとろの玉ねぎと、お肉のうまみが混ざったご飯はとっても美味しいです。
コショウをかけるともう止まらなくなっちゃいます。
さて、私も……って、あれ、さっき炊いたご飯は!?
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ごちそうさまでした。今日もとっても美味しかったな」
了 - 70二次元好きの匿名さん22/05/04(水) 00:09:16
メモしとこう
- 71二次元好きの匿名さん22/05/04(水) 09:47:23
- 72二次元好きの匿名さん22/05/04(水) 20:03:40
保守なんだ
- 73了船長22/05/04(水) 20:41:01
- 74二次元好きの匿名さん22/05/05(木) 00:26:17
- 75二次元好きの匿名さん22/05/05(木) 09:47:29
やはり美味しそうなんだ
- 76二次元好きの匿名さん22/05/05(木) 14:47:33
- 77二次元好きの匿名さん22/05/05(木) 15:23:20
- 78二次元好きの匿名さん22/05/05(木) 15:28:41
か、可愛すぎる…良すぎる……
>>普通の子(つまりモブ)は用意されてるパターンから選んで最低限の出費で作ってるとか妄想してた
これすごく心に響いた!
- 79了船長22/05/05(木) 20:34:19
いや えっ 何かきれいなものが見える
タニノギムレット号とシンボリクリスエス号の実装ニュースも吹き飛ぶレベルの新イラストが投稿されていてもう俺の身体と頭は耐えられない
勝負服事情については自分もちょっと考えてました
ゲームの都合と言えばゲームの都合ですけど、モブ娘さんたちの勝負服がよく似ている理由は、ある程度のフォーマットに従ってデザインを選んでいる(家庭科のエプロン作るときに、形は同じで模様だけ異なるみたいな)のがあるのかな、と……
そうでない場合はいわゆる星2までのあの衣装を着用するのかな、みたいな。
それよりもイチちゃんの後ろにある申請書の通しが「イ」「ロ」「ハ」になっているところに解像度の高さを感じました すごい その風景俺も見たい(
- 80二次元好きの匿名さん22/05/06(金) 00:27:13
イロハで選択するのってお役所仕事とかで使うんですか!
- 81二次元好きの匿名さん22/05/06(金) 00:31:23
JRAは国営だからURAも多少はね?
- 82二次元好きの匿名さん22/05/06(金) 06:34:57
なるほど…
- 83二次元好きの匿名さん22/05/06(金) 12:41:31
どれを着ても可愛いんだ
- 84二次元好きの匿名さん22/05/06(金) 21:37:04
全部着てるのを見れたら楽しそうなんだ
- 85二次元好きの匿名さん22/05/06(金) 22:34:44
汎用勝負服自腹なの健気や…
- 86ゲロの人◇22/05/06(金) 23:53:14
保守ついでに1つ。
ゲロの人◇の秘密
実は、SSでゲロを書いたのはこれが初めて - 87二次元好きの匿名さん22/05/07(土) 08:56:38
- 88二次元好きの匿名さん22/05/07(土) 11:24:36
SS自体が初めてなのかゲロの表現がそうなのか、
いずれにせよ己と向き合い昇華している! - 89エノラの人22/05/07(土) 12:15:37
- 90二次元好きの匿名さん22/05/07(土) 22:14:14
保守なんだ
- 91二次元好きの匿名さん22/05/08(日) 07:47:57
朝の保守なんだ
- 92二次元好きの匿名さん22/05/08(日) 18:36:54
保守なんだ
- 93二次元好きの匿名さん22/05/09(月) 00:20:58
保守なんだ
- 94二次元好きの匿名さん22/05/09(月) 04:34:04
イチとモニが勝負服届いてキャッキャしてる夢見たんだ 大分浸かっている
- 95二次元好きの匿名さん22/05/09(月) 12:44:48
それは素晴らしい夢なんだ
- 96二次元好きの匿名さん22/05/09(月) 16:25:05
ある食事会の日の風景
「ふう···ただいまタマ」
「おーお帰りー、オグリ。お邪魔してます」
「イチ、もう来てたのか」
「こらこら、そうじゃないでしょ」
「むっ···
ただいまイチ、いらっしゃいませ」
「うん、よろしい」
「イチは厳しいな。お母さんみたいだ」
「誰が誰のお母さんよ」
「イチが私のお母さんみたいだ」
「···説明しろって意味じゃない」
「違うのか?」
「ハァ···もういいわ」
「タマ達はどこに行ったんだ?」
「タマモ先輩とクリークさんは何故か足りなくなってた料理の材料を買いに出掛けました」
「」ピタッ
「タマモ先輩曰く『おっかしいなぁー、昨日まで確かにあった筈なんやけどなぁー、昨日寝る前に確かに確認したのに授業が終わって一旦帰ってきたら足りなくなってるわー、しゃーない買いに行ってくるわー。
···それはそれとしてオグリは何か知らへん?』ですってよオグリさん?」
「」メソラシ
「オグリ」
「ナ、ナニモシラナイゾ」ギギッ
「ふーん」ジーッ
「」ダラダラ
「へぇー」ジジーッ
「」ダラダラダラ - 97二次元好きの匿名さん22/05/09(月) 16:26:03
「ま、知らないんなら仕方ないか」
「ううっ···
す、済まないイチ。夜中にお腹が空いてしまって、つい」ショボン
「はぁ···そういう時は私かクリークさんにLINEでも送ればいいでしょ。大体アレは材料であって料理じゃないでしょうに」
「だが、その、夜中に私のお腹ためにイチ達を起こして迷惑をかけるのはやっぱりダメだ」
「···気を使うポイントがずれてるのよ、アンタは」
「?イチ?」
「えいっ!」パチン
「あいたっ!?」
「うりうり」ムニムニ
「な、何をするんだ、酷いぞイチ」
「餅みたいね、アンタのほっぺ」ムニムニ
「私のほっぺは食べても美味しくないぞ」
「···いい、オグリ。私は誰?アンタの何?」
「それは···
レスアンカーワン、私の親友だ」
「っ!」
「イチ?」
「あーなんでもない···コホン。
そう、アンタの友達よ。
ならつまらないこと気にしてないで困った時は頼んなさい」
「そうか···そうだな、わかった。
ありがとうイチ、私はいつもイチに助けられてばかりだ」
「心配しなくてもこの貸しはいつかまとめて返してもらうから」
「ああ、任せてくれ。その時はどんなことでも全力でイチを助けてみせる」
「(···ばーか、こっちはとっくに返しきれない程のものアンタから貰ってるわよ)」 - 98二次元好きの匿名さん22/05/09(月) 16:27:33
「それはともかくイチ」
「ん、なあに?」
「そろそろほっぺを放してくれ。本当にお餅になってしまう」
「えっ、あ、ゴメ···」「ただ今帰りまし···あらぁ?」
「」「ああ、お帰りクリーク、タマ」
「タマちゃん」
「なんや、どしたんクリーク?早く入ってくれんとウチが入れんやろ」
「ちょっと学食でお茶してきましょうか、一時間位」
「へ、なんでや?今戻ってきたばかり···ちょっ、そんな引っ張んなや!?」
「もう、ダメですよタマちゃん。お二人の邪魔しちゃ、めっです」
「クリークさん?!ちょっと待って!誤解だから行かないで!話を!話を聞いてください!」
「なあ、イチ。もう私は(お腹が)我慢出来そうにない」グウーッ
「このタイミングで誤解を招きそうなこと言うなー!」
何が書きたかったか途中から分からなくなったけどいつの間にか書いてた奴
済まない本格的なイチャイチャを書くにはリビドーと文章力と構成力が決定的に不足してるんだ
ほのイチャ(?)もどきで許してくれ
駄文失礼しました - 99二次元好きの匿名さん22/05/09(月) 17:50:36
いや、助かる 不足気味だった。
- 100二次元好きの匿名さん22/05/09(月) 18:20:09
改めてオグリのキャラソンに「イチ」という単語が入ってることに運命を感じる
もうこの話したっけ? - 101二次元好きの匿名さん22/05/09(月) 18:44:41
- 102二次元好きの匿名さん22/05/09(月) 19:45:26
あ〜かわいい
終始にやにやしてしまう - 103二次元好きの匿名さん22/05/09(月) 20:02:19
何故か聞き覚えがある、でも何度話してもいいんだ!
- 104了船長22/05/09(月) 20:39:22
なんだい今日は……ほっぺモチモチSSにイチちゃん学会での新事実発見(少なくとも自分は『Unbreakable』にイチという単語があるのを認識しておらず、これまでのスレでも今まで見かけていなかった)に、むっちりヒップと太ももな勝負服イラストまで……やたらと供給が多いようだが……
胸やけが
なんて幸せなんだ
死 - 105二次元好きの匿名さん22/05/09(月) 20:58:09
船長の人は不死鳥かな?
- 106二次元好きの匿名さん22/05/10(火) 06:46:02
保守なんだ
- 107二次元好きの匿名さん22/05/10(火) 12:45:18
ほしゅなんだ
- 108二次元好きの匿名さん22/05/10(火) 20:07:27
ほしゅほしゅ
- 109二次元好きの匿名さん22/05/11(水) 00:17:02
お母さんってイチちゃんが露出してるの見たら
そんなに出しちゃダメよ!って言ってきそう - 110了船長22/05/11(水) 02:36:34
オグリ>イチ
すんなり手を繋ぐ。なめらかに指を絡める。離れる時もそれなりにスムーズ。
「イチの手はあったかいな」
イチ>オグリ
手を繋ぐのに理由がいる。一度繋いだら自然には中々離れないが、自発的にはすぐ離す。でも名残り惜しむ。
「別に、そういうわけじゃ…… ありがと」
- 111二次元好きの匿名さん22/05/11(水) 02:44:56
二人きりの時はイチちゃんから行ってほしい~
- 112ゲロの人◇22/05/11(水) 10:32:00
コテハン暴走してて草なんだ。
夕方くらいに新しいの書くんだ◇ - 113二次元好きの匿名さん22/05/11(水) 12:46:48
よろしくお願いしますなんだ
- 114ゲロの人◇22/05/11(水) 19:47:18
約束を果たしに来た!
今から書くのでちとお待ちを…◇ - 115ゲロの人◇22/05/11(水) 19:51:46
ぐうぐうと腹の音が鳴っている。
視界は真っ暗で何も見えない。
足音が聞こえる。ひとつはクリーク、もうひとつはイチの分。
美味しそうな匂いが鼻腔を満たす。しかし匂いの元にありつく事は出来ない。
全ては私の責任だ…… - 116ゲロの人◇22/05/11(水) 20:11:13
話は数分前、私が寮で貸し出しているキッチンに辿り着いた所から始まる。
「それじゃあクリークさん、お願いします。」
「こちらこそ、お願いします〜。」
そんな声が聞こえてしまった。
すぐさま私の腹は怒号を上げる。
「ん?」
「あら?」
気づかれてしまった。
(これでは、私が2人の料理に釣られてやってきた卑しいやつみたいだ!)
そんなことを思ってしまった。
咄嗟に私は
「ぐう……」
寝たフリをした。
キッチンの中に入り、ドアの前で座り込んで狸寝入りをした。
「…って、オグリじゃない。なんで寝てるの?」
「トレーニングの疲れが溜まってたのでしょうか…」
「まぁ邪魔しないみたいだし、少し動かして料理しましょう。」
2人に引きずられて壁に背をもたれる。
「胡椒とってくれる?」
「はい、どうぞ〜。」
カチャカチャと、2人のハーモニーが奏でられる。
だんだん美味しそうな匂いが満たされていく。
(もしかして……この状況不味いのでは?)
オグリ、史上最強のミスをしてしまったのである。 - 117ゲロの人◇22/05/11(水) 20:25:59
数分後、薄目で見てみると、料理が完成したようで食器の後片付けをしているようだった。
「やっぱりクリークさんは料理が上手いですね。忌憚の無い意見てやつです。」
「ありがとうございます〜。」
なんて話をしている。
「あ、そうだ。オグリー。ご飯出来たわよ。」
イチの言葉に脳髄が震え上がる。水を得た魚のように感情が跳ね上がる。
しかしオグリは
───────耐えた。
なぜなら、
(1回で答えても卑しいやつって思われるんじゃ…!)
と謎の意地を張ってしまったからである。 - 118ゲロの人◇22/05/11(水) 21:12:59
結果、
>>115に至るというわけである。
(もっかい呼びかけられたら起きよう……)
なんて考えていた。
この考えが甘かった。
何時でも助け舟は出港する訳では無いのだよと教えられた。
「………オグリちゃん、寝ちゃたみたいですね。」
(なにっ!?クリーク!起こしてくれ!!)
そんな願いが叶うはずもなく、
「そう、それじゃあ食べちゃいましょう。」
「ですね。」
2人が食べ始めてしまった。
オグリは寝ているというていなのですぐに起きることは出来ない。
オグリは詰んでしまったのである。
結局オグリが起きたのは、その数十分後で、料理は残り少なくなっていた。
「知ってるわよ寝たフリくらい…ププッ。」
「可愛かったのでイタズラしてしまいました〜。」
誰か私の顔を冷やしてくれ。
そう切に願う事しか出来ないオグリは無力なのだろうか。
ウマ娘で学ぶ昔話『児の空寝』
- 119二次元好きの匿名さん22/05/11(水) 22:11:03
照れオグかわよ
- 120二次元好きの匿名さん22/05/11(水) 22:20:43
- 121ゲロの人◇22/05/11(水) 22:21:32
- 122二次元好きの匿名さん22/05/11(水) 22:30:59
ああああああああ小賢しオグリもくっっっそかわいいいいいい!
- 123了船長22/05/11(水) 23:42:13
- 124二次元好きの匿名さん22/05/12(木) 07:35:17
ようこそオグイチ沼へ!
- 125二次元好きの匿名さん22/05/12(木) 12:45:19
保守なんだ
- 126二次元好きの匿名さん22/05/12(木) 21:47:56
保守なんだ
- 127◆JdtJJZ5dg8as22/05/12(木) 21:53:49
モニちゃんってボードゲーム得意そうだよね
なんでか知んないけど上手そう - 128了船長22/05/13(金) 00:45:35
イチちゃんはゲームを壊したり場を荒らしたりすることなく、ソーシャルに遊んでくれそうな印象を抱きました
「ラブ・レター」や「Ito」みたいな軽量ゲームよりも、もう少しだけ重たい「カルカソンヌ」とか遊んでいてほしい。でも、「カタン」とかの交渉系はてんでダメそう(人がいいため)。クリークさん他、賢さに補正の乗ってる子たちにうまくやられて「ん????」って首を捻ってそう。
そんなイチちゃんの間違いなく強いゲームは「キッチンラッシュ」でしょうね! オグリタマモニーちゃんはおろか、クリークさんすら従えて完璧に指示を出すことでしょう
モニーちゃんは逆に、本人にその気が無いのに所謂「重ゲー」が得意だと自分が嬉しいです。「ブラス・ランカシャー」みたいな。
「凶星のデストラップ」のような一対複数人のゲームではむしろ一の方が強くて、読み合いを制する確率が妙に高そう。優越感に浸ってニヤニヤしていてほしい。
誘われても「えぇー、ダルいなー」とか言っちゃうんだけど、インストは粛々と聞いているしワーカープレイスメントのゲームをやらせたら妙にテキパキしてる、みたいな。でも煮詰まってくるとちょっと不機嫌さが顔に出てくる……のかも。
アイデアに乗っかって長文にしてしまいました、すみません
- 129二次元好きの匿名さん22/05/13(金) 00:49:03
モニちゃんデスゲームイケそう…
- 130◆JdtJJZ5dg8as22/05/13(金) 00:54:57
- 131了船長22/05/13(金) 01:13:00
「ほな、集計や…… クリーク一着、ウチ二着、オグリとモニちゃんが同率で、イチちゃんはまたドベやんな」
「ふふ、また勝っちゃいました〜」
「もしかしたら、あの時木材を確保しておくべきだったのかもな……」
「イチ、貿易するの苦手すぎっしょ。交換レート相当酷かったじゃんかー」
「だってみんな、必要だって言うし。いつのまにか負けちゃってるんだもん」
「ありがとう、イチ。とても助かった」
「せやな、ホンマええお客さんになってくれたで、おおきにな」
「あー、いったん降参です! みんな小腹でも減ってない? 何か作るよ」
「ありゃ、そしたら休憩にしよか」
「イチ、私はサンドイッチが食べたい」
「あ、いいねそれ。伯爵じゃん」
「えぇー、パンあったかな。ありましたっけ」
「確か食パンしかありませんから、耳が残っちゃいますね〜」
「それでも大丈夫だ、よろしく頼む」
「わーい、イチのごはんにありつけるぞ〜」
「モニー、アンタの分、残らないと思うな」
みたいなssありませんか? - 132二次元好きの匿名さん22/05/13(金) 01:16:14
もうできてる!
- 133二次元好きの匿名さん22/05/13(金) 12:20:05
◇
- 134二次元好きの匿名さん22/05/13(金) 22:41:42
保守なんだ
- 135二次元好きの匿名さん22/05/14(土) 11:04:40
保守なんだ
- 136二次元好きの匿名さん22/05/14(土) 11:07:06
本スレは保守できたけど紹介スレは連続投稿により保守出来なかったんだ…
- 137二次元好きの匿名さん22/05/14(土) 11:11:35
それでもグッジョブなんだ!
- 138二次元好きの匿名さん22/05/14(土) 12:30:50
昨日この概念を見つけて二日かけて初めから全部読んだ
エデンはここにあったんだね - 139二次元好きの匿名さん22/05/14(土) 12:33:01
- 140二次元好きの匿名さん22/05/14(土) 17:01:31
>>138だが、いてもたってもいられずメモ帳に出力した
我慢できないので共有する
『お花見』
「ひゃー、流石に混んどるなぁ」
「満開ですもんね、桜」
「まぁみんな考えることは一緒っちゅーわけやな。お、犬もおるやん」
「場所はこの辺でいいかな……」
「なぁ、イチは犬と猫どっちが好きなん?」
「なんですタマ先輩藪から棒に」
「ん、いやー?さっき犬おったやん?せやからなんとなくなー」
「……それなら断然、犬です」
「断然ときたか。なんでや?」
「そうですね、すぐに鼻を近づけてきたりして懐っこいところ、尻尾を振って駆け寄ってくるところ、お手とかも嫌がらずにしちゃうところとかですかね」
「おお結構言うやないか。しかしまぁ、犬が好き言うたらそんなもんやろな」
「ならなんで聞いたんですか……」
「なんとなく言うたやろ……あ!おーい!オグリぃー!」
続
- 141二次元好きの匿名さん22/05/14(土) 17:04:49
続
「!」
タッタッタッ
「イチ、タマ、遅くなってすまない」
「かまへんかまへん。ウチらも今着いたとこやし。道ぃ迷わんかったか?」
「そう言えば方向音痴なんだっけ、オグリ」
「大丈夫だ。この公園は朝のランニングで通るからな」
「あ、そうなんだ。ねぇオグリ」
「む、イチ、なんだかいい匂いがするな」
「えっちょっ、顔近っ」
「ハンバーグの匂いがする。うん、今日のお弁当が楽しみだ」
「そっちか……」
「相変わらず食いもんにはめざといやっちゃなー。犬みたいな嗅覚や」
「さっきも尻尾振って走ってきてたし。本当に犬みた……い…………」
「どうしたイチ。お腹が空いたのか?」
「まだ来たばっかりやろがい!……ちゅーのは置いといて……なるほどなぁ?」
「いや、これはその、オグリはウマ娘だし!その、あの」
「イチ、慌てなくていいぞ」
ギュッ
「……お手までしよったわ」
「わ、わ、わ」
「大丈夫か?イチ!?」
おわり
それにしてもこれは……いい概念ですねぇ(CV:森川智之)
- 142◆JdtJJZ5dg8as22/05/14(土) 17:48:33
- 143二次元好きの匿名さん22/05/14(土) 19:38:17
- 144二次元好きの匿名さん22/05/14(土) 21:26:40
- 145二次元好きの匿名さん22/05/15(日) 00:34:50
素晴らしい概念なんだ!
- 146了船長22/05/15(日) 01:26:45
これは、私の話じゃない。
私がそばでずっと見てきた、ファンの人たちみんなのアイドル、ジンクスを叩き割った葦毛のスーパー・ヒーロー、そして私たち一緒に走るウマ娘にとって、あまりに強い怪物の話。
だから、あんまり長くは思い返さない。
その日、東京レース場は、人々が作り出した局地的な地鳴りで、揺れに揺れていた。
多くの人が口をそろえて、同じ音を叫ぶ。
期待を込めて、信じる気持ちを込めて。
中には、裏切られたと思ったがゆえに、非難するようにも聞こえる声色もあった。
夢、期待、願い。様々な思いが幾重にも重なって、彼女に向けられていた。
オグリ、オグリ、と。
澄み切った師走の空気を切り裂いて、約36万の直接的な視線と、間違いなくもっと多くの間接的な視線の先にいるウマ娘は、もうこれで終わってもいいと言わんばかりの、最後の力比べに飛び込んでいた。 - 147了船長22/05/15(日) 01:27:45
よく、私たちウマ娘の走りは、まるで空を飛ぶようだ、としばしば形容される。
でも、彼女の最後の走りは、間違いなく地を踏みしめ、大地を割って昇っていく、豪快で力強いものだった。
それはきっと、私の言葉と経験では言い表せない、誰の目にも見えない、とてもとても重く大きい何かをその背に乗せたまま、走っていたからかもしれない。
その重みを一つこぼさず全部背負って、さあ頑張るぞ、と決意を固めて走っていた。
いつも近くで――認めたくないけど――アイツが本当に苦しそうな顔をしていたのを、私は見てきた。
一時は誰の言葉も耳に入らないくらい追い詰められて、あんなにきれいな髪と尻尾が、何か真っ黒なものに呑まれてくすんでしまうんじゃないかと思ったこともあった。
私のご飯を食べた時のとろけるような笑顔は、私が思わず惚れこんでしまったあの表情は、二度と見れなくなってしまうんじゃないかって、本気で思ったこともあった。
もう、『おかわり』って、言ってくれなくなってしまうんじゃないかって。
それでも最後には、彼女は、アイツは、オグリキャップは、それらすべての期待に、真正面から答えてきた。
第4コーナーは涙でオグリの姿は見えなくなり、直線では世界から取り残されたように音も聞こえなくなって、祈ることしかできなかった。
それでも、ぼやけてはっきりしない世界の中でも、オグリキャップがゴール板を最初に駆け抜け、腕を挙げたところだけは、はっきりと見ることができた。
ああ、帰ってきた。オグリキャップは、やっぱりオグリキャップなんだ。
場内の人たち全員が一丸となって呼びかける波に、私は乗れなかった。内からこみ上げてくる気持ちで、立っているだけが精いっぱいだった。
この世の中に神様はいるのかもしれない。そう思った。
こんなこと、オグリには口が裂けても言えないけれど。
これは、私の話じゃない。
私が憧れた、オグリキャップの話。 - 148了船長22/05/15(日) 01:28:22
傾きが低くなった太陽が、眩しい光を直接注ぎ込む夕方の教室。
オレンジ色の光が、焼けた教室の壁と、私の目を一緒に照らす。
私はよせばいいのに、寒さを感じさせずギラギラと輝くそれをぼんやりと、目を細めて見つめていた。
別館の最上階の、そのまた隅にある空き教室で、私はトレーナーさんを待っていた。
廊下の向こう側からは、階段をパタパタと素早く駆けのぼる足音がいくつか聞こえる。きっと、近くの神社が埋まってしまった子たちのものだろう。
いつ使われなくなってしまったのかも分からないけど、綺麗な街並みを見下ろせるこの秘密基地をとても気に入っている。
その日のトレーニングメニューが終わって、じん、と熱を持つ身体を感じながら、私は水筒に余った水を口に含んだ。
しばらくすると、ペタペタというスリッパの足音が近づいてきて、引き戸ががらりと開けられた。
「お待たせしてすみません、印刷機が並んでまして」
ここまで階段を上ってくるのがしんどかったのだろう、すこし肩を上下させているトレーナーさんが、紙を手に教室に入る。
「お疲れ様です」
「いいえ、とんでもない。今日もお疲れ様でした。次の出走表です」
トレーナーさんが、印刷されたばかりなのだろう、まだぼんやりと熱を帯びているホチキス留めのコピー紙を差し出している。
もうすっかり読み慣れた、決まりきったフォーマット。
紙に印字された文章を読み飛ばしながら、最も重要なところだけを探しに行く。
2枚ほど紙をめくって、表の何行目に自分の名前が書かれているのか、上から順番に眺めていく。
『レスアンカーワン』 という文字列は、3番目に見つけられた。
「内ですね」
「はい。正直なところ、有利かどうかは微妙です」
私はトレーナーさんの返事がよく理解できず、聞き返す。
「あれ、そうなんですか」
「はい。条件がイマイチで」 - 149了船長22/05/15(日) 01:28:51
裏面に送ってしまった紙を元に戻して、条件の項目を探す。
『福島レース場 第8R 距離:2000m』 と記載があった。
「あ、内のバ場、もしかして荒れますか」
「それもありますが、福島はそもそも、内とか外の有利不利がデータとして表れにくいんです」
トレーナーさんが同じ出走表を眺めながら説明する。
「直線も短いコースです。四コーナーのあたりで三番手、最悪、五番手くらいにはいないと。枠の有利も薄いところですから、離されたら内にいても間に合わないかもしれないレースです」
そういうと顔を上げて、それもありますが、という言葉と一緒に私の目を見つめてきた。
「大外の子の名前、見ましたか」
紙面に目を落とす。
大外枠の9番には、ずいぶん――もう2年くらいにわたって――見慣れた名前が書かれていた。 - 150了船長22/05/15(日) 01:29:26
「……マジですか」
「大マジです。なんなら、お相手のトレーナーも同じタイミングで印刷したみたいで」
「向こうの人も驚いてましたか」
「ええ、本当に? って表情でした」
その反応を聞いて、少し安心する。少なくとも、私個人を先に対策されているというわけではなさそうだったからだ。
9番のところに書かれている名前を睨みつけるように見つめながら、その生徒のことを考える。
毎日顔を合わせること。寝る前にしゃべること。
私のすぐ後にトレーナーを見つけて、真面目にやり始めたこと。
消灯した後、スマホの光が割と眩しいこと。
二人ともレースに集中していなかったこと。お互いに一度ケンカしたこと。
私にもアイツにも、トレーナーがついたこと。
最近、二人とも同じようなペースでレースに出走してること。ひと月に2回は、相手が部屋にいないこと。
長いけれど意外と薄い内容が詰まった印象の過去が、私の脳裏をゆったりと流れていった。
あいつも同じことを考えてるんだろうか、と独りごちる。
レスアンカーワンさん、というトレーナーさんの声で、現実に引き戻される。
「その子の作戦とかは、良く知っていますか」
「いや、それがあんまり。レースについては話したことも無かったです」
「そうでしたか。そしたら、ちゃんと研究するしかありませんね」
トレーナーさんはそう言うと、残念、という素振りで、ちょっと苦笑してみせた。
「でも私、絶対負けないと思います」
私の言葉に、トレーナーさんが目を丸くした。
「それはまた、どうして」
「私のほうが、ずっと頑張ってきたので」
息を深く吸ってから発したその決意は、教室の壁に反響して、自分を奮い立たせる応援のようになって返ってきた。 - 151了船長22/05/15(日) 01:33:20
「それでは、こういう流れで。最後に1ミリでも先にいれば勝ちですので」
パタン、と大きくて分厚い手帳を閉じる音が教室に響く。私たちの作戦会議が終わるいつもの合図だ。
私もペンを走らせる手を止めて、コースの概略図が書かれた紙をファイルにしまう。
「マークの子はスタミナを武器に逃げ切る作戦を立てているようです。吞まれないようなトレーニングを積んでいきましょう」
「分かりました。今までやったことない相手だから正直、不安です。」
「最近では逃げの作戦を取る子は少なくなりましたからね。私も経験が多くあるわけではないですが、任せて」
そう言うトレーナーさんは、自分の言葉を茶化したりすることなく、真っすぐな目をしていた。 - 152了船長22/05/15(日) 01:34:07
「そうしたら、今日はひとまず、ゆっくり休んでください」
「お風呂も普通に入って大丈夫ですか」
「はい。今の体重なら食事規制もサウナの減量もいらないと思います」
すごいことですよ、と笑顔を向けてくれた。
「レスアンカーワンさんは無事是名ウマ娘の体現です。トレーナーとしても、ありがたいことです」
そんなことを言って、私に向かって深々と頭を下げた。
「でも、そんなに勝てていませんから」
「コンスタントに月に約2回、それを1年半以上続けているんです。中々できることではありません。地方トレセンの子と同じようなペースで走ってるわけですよ」
今まで褒められたことないところだったから、ありがとうございます、と言うところが思わず小声になってしまう。
「やっぱり、オグリさんの影響ですか」
「えっ」
オグリの名前が出て、ドキッとした。
実際のところ、私の気持ちをレースに向けさせたのは、どんなに口で否定したってオグリのおかげだ。
でも、それを素直に受け入れたり、ましてや本人に直接伝えることができるほど、私はまだ成長していない。
「別に、そりゃ、たまに話したりはしますけど」
「わかりますよ。でも、あなたの走りはオグリさんのいいところを、きちんと自分流に落とし込んだようなものだ。ただマネをしてるだけじゃない」
そう話すトレーナーさんは、スカウトしてくれた時と同じような、熱くて優しい表情をしていた。 - 153了船長22/05/15(日) 01:35:46
「レスアンカーワンさんが個人的にオグリさんと仲がいいですから、併走トレーニングもしてもらえますし」
「その度に、ものすごい人の壁ができちゃいますけど」
引退した『スーパー・スター』が、どこぞの誰とも知れない生徒と併走トレをするものだから、前告知なしに始まったとしても生徒会や風紀委員が出張ってくるくらいの騒ぎになる。
遅めの時間にこっそり始めても、誰か一人が見かけたが最後、どんどん人が集まるのだ。
私としては、実際に私が走るレースよりも目線が集まる気がしてるから、ちょっと腹立たしくもある。
「GⅠウマ娘の併走というだけでもすごいのに、あんな引退レースを飾ったんですから仕方ないと言えば仕方ないでしょう。そんな生徒を引っ張ってこれるあなたがすごい、ということです」
彼女の名前も、レース名も示されていないのに、耳のどこか奥で、地鳴りのような歓声が聞こえてくる気がした。
思い出そうと思わなくても、どちらかを聞くだけで思い出してしまう”あの”レース。
きっとこれからも語られて、記憶と記録に残り、何度も見返されて、新しい人たちをも取り込めるだけの力を持った、物語のクライマックス。
その主語を飾る彼女が走るのだから、人が集まらないわけがない。それが分かっていても、ウマ娘の性なのか、少しだけ悔しい気持ちが湧きだしていた。
私の子供じみた、とても小さな嫉妬心から偶然生みおちたこの関係に感謝できるほど、私はまだ大人ではなかった。
ちらりとトレーナーさんの顔を見ると、私と同じようなことを思い出しているのか、少し遠い目をしていた。
「友達って言うか、たまたま、知り合いになっただけですから」
私とオグリの関係をどこまで知っているのか分からない表情をしながら、「そうですか」とトレーナーさんは言った。
「オグリキャップのトレーナーさんは、『オグリは教えるのがヘタだろう』って言ってましたよ」
トレーナーさんの大げさなモノマネと、真実を言い当てている言葉に、思わず少し息が漏れ出す。
「ふふ、そうですね。ホントにヘタです」
「『引退してもマスコミ対応とか進路相談もあるんだから、あんまり引っ張り出すなよ』とも言われちゃいました」
そういうトレーナーさんは、別段困っているような様子もなく、むしろ嬉しそうに頭の後ろをおさえている。 - 154了船長22/05/15(日) 01:36:38
意識したわけでもないのにオグリの話を続けようとした私たちに横やりを入れるように、スピーカーから予鈴の音が鳴り出した。
私たちは慌てて、帰り支度を整える。いつもならこんなに話し込むことは無かったから、トレーナーさんも動きがぎこちなくなっている。
「ああ、いけない、もうこんな時間でしたか」
「すみません、つい」
「いや、私こそ。そしたらレースの日はこの時間に出発できるようお願いします」
はい、と返事しながら手早くレースの紙を受け取って、鞄を肩にかけた。
「お疲れ様でした」
施錠のために教室に残るトレーナーさんに挨拶して、私は教室を出た。
オグリのことを話そうと思ったわけじゃないのに、不思議と話題に上がってきて、私たちの時間を奪っていくみんなのアイドル。
地平線の向こうに隠れた太陽から漏れた光で少し薄暗くなった廊下を歩きながら、私は改めて、『オグリキャップ』の偉大さを実感した。 - 155了船長22/05/15(日) 01:39:30
寮の部屋に戻ると、同室の子はまだ帰ってきていなかった。
あいつに限って居残り自主トレなんて珍しい、と思いながら、いつものルーチンをこなす。
サッと座学の復習をして、栄養過多にならないように食事を済ませ、今日のミーティング内容を思い返す。
メモで余白が埋まり、見にくくなったはずのレース表の中で、私はある一行――大外の枠に書かれた名前――のところだけを、じっと見つめていた。
何かを考えているようで、何も考えていない時間がしばらく経ったとき、ガチャリ、とやや乱暴にドアが開けられた。
別に悪いことはしていないけれど、その音でなんだかばつが悪くなってしまった私は、慌ててレース表を隠すように机の引き出しに放り込んだ。
引き出しの前に立ちはだかって後ろを振り返ると、ジャージ姿のルームメイトが前のめりにフラフラと部屋に入ってきた。
「あ、お帰り」
私の言葉が聞こえているのかいないのか、返事をしないまま床に膝をついて、顔をベッドに埋め込んでいる。
どさり、と鞄を下ろして5秒くらいした後、右手だけ挙げて何か言ったようだった。
「珍しいじゃん、自主トレ」
顔を埋めたまま返事をしたみたいだけど、音がマットレスに吸収されて何も聞こえない。
「汚れてるんだから、パッとお風呂入っちゃいなよ。私も今行くところだったし」
思わず、口からでまかせを言ってしまう。お風呂は先延ばしにするつもりだった。
おそらく意味のある言葉で返事はしていないのだろうけど、分かった、というように挙げた右手をヒラヒラさせている。
見られていないうちに準備しなくちゃ、と思った私はお風呂セットを引っ張り出した。
「先、行ってるよ。食堂もしまっちゃうから、早めに行きなね」
まだベッドに顔を埋めたまま姿勢を変えていないルームメイトに話しかけて、私は逃げるように浴場へ向かった。 - 156了船長22/05/15(日) 01:43:45
シャワーで汗と汚れを落とした後、私はお風呂に浸かりながら、天井を見上げる。
モクモクと湯気が立ち込めて、伸ばした腕より先すら曇って見えにくい浴場の景色は、私だけを切り取って一人だけで居られるような心地がした。
オグリが二度目の毎日王冠を勝ったくらいの時期、私も自分のレースにより集中するようになった。
私が走るレースの日、都合の合う限り、オグリも見に来てくれる。
私はそれがイヤで、オグリの出るレース――大体はGⅠレースばかりで、私のと比べるとクラクラするくらい眩しいけど――の日程に被せて、自分の予定を組んでいた。
私のレース日程が近くなった時には、オグリも『私ばかりじゃなくて、イチにも頑張ってほしい』と言うので、朝の自主トレに混ぜてもらう。その時には、お弁当はナシ。
トレーナーさんにバレて、ほどほどにするよう注意を受けてからも、毎朝オグリに会う流れは崩せなくて、こっそり疲れの出ないくらいに二人でジョギングをする。
一緒に学園まで帰ってくると、いつも決まってオグリがパタパタと先にベンチまで走って行って、こちらを向いて座る。
その後、満足げな顔で手を振ってくる。
「何してんの」と聞くと、「イチの真似だ」と答える。
最初に聞いたときは『一度やってみたかったんだ』とも言っていた。
そんな日を繰り返して、彼女が昨年末に引退してからは、レースにもほぼ毎回見に来てくれている。
トレーナーさんの側で、良く似合うキャップと伊達メガネをして――いつか一緒に出掛けた時、私が選んだものだ――トレーナーさんの横で見ている。
入着したときには、ステージ上の光が反射してよく見えないけれど、この観客席のどこかで見てくれているんだろう、と思うと、気持ちがとても前向きになる。
オグリほど勝てているわけではないけれど、私の走りを見てくれる人がいる、という実感は、選手としての私を確実に支えてくれていた。 - 157了船長22/05/15(日) 01:46:27
最初のミーティングから何回か回数を重ねたある日、トレーナーさんから、どのくらいレースに出走したいですか、と聞かれた。
どのレースを目指したいですか、とはトレーナーさんから聞かれなかった。デビューが遅れこんだのもあったし、G1路線はおろか、重賞なんかに手が届くような実力は持ち合わせていなかったからだと思う。
出遅れしていた私も、堅実に実績を積み上げられる道取りで走っていくことにしようと決めて、出られるだけ出たいです、と答えたのを覚えている。
トレーナーさんもまだ新人だったから、及び腰というか、自信がなかったのも理由の一つだろう。
『まるで、オグリキャップみたいだった』と言われて、我を忘れて食って掛かったことを思い出す。
思わず顔が熱くなる。これはきっと、お風呂に長く浸かっているからだ。
火照った頭で、その後の『オグリキャップに追いつける』という言葉も続けて思い出す。
言われた当時は、その言葉が無邪気に自信のもとになった。
けれど今思えば、「実力は足りないけれど、どこかでオグリキャップに並び立つことができるかもしれない」という意味の、事実ではあるが真実ではない、実に大人らしい言い回しだったのだろうな、と自覚した。
そんなトレーナーさんは、今では私以外にも新入生の子を何人か複数人担当するようになって、以前より忙しそうだけど嬉しそうな顔をしている。
自分が役に立ったのかな、なんて思ってちょっと誇らしい気持ちになる。
途端に、そんなことを考えている自分がなんだか急に恥ずかしくなって、口元まで身体をお湯の中に沈める。
一、二、三……と百まで数えてから上がろう、と子供に戻ったつもりで遊ぼうとしたら、あんまり熱くて五十を数えたところが限界だった。
大事なレース前に湯あたりして体調を崩しました、なんてとても言えたものじゃない。
大人らしくきっぱり諦めることにした私は、湯気で仕切られた個室のような空間を少し名残惜しく思いながら、浴場を出た。 - 158了船長22/05/15(日) 01:47:21
尻尾までゆっくり乾かせて戻ってくると、すっかり部屋着に着替え終わったルームメイトが、ベッドの上で体育座りをしながらスマホを眺めていた。
「あれ、お風呂にいた?」
「いたよー」
「晩御飯はどうしたの」
「もう食べた」
せわしなく画面を触りながら、淡白な返事が返ってくる。
一体いつの間に、と思った私は、二つに折り畳まれ、ホチキスで留められた二つ折の紙が彼女のすぐ側にあるのを見逃さなかった。
どきり、と胸の奥が締まったような感覚がした。
やっぱり、見間違いでもなんでもなかったんだ、と現実逃避するように当たり前のことを思い直す。
そう考えると、スマホの上を滑る彼女の指も、本当に画面を操作しているのかどうか、怪しく思えてきた。
彼女を横目にお風呂セットを片付けて、向かい合うようにベッドに腰かける。
少し気まずい、緊張した空気が私たちの間に流れる。トレセン学園に入学して、初めて顔を合わせた時のような沈黙が、部屋の中を支配していた。
「ねえ」
モニーがスマホに目線を合わせたまま、声をあげる。
「イチ、今月の次のレースっていつなの」
いつもの砕けた感じとは違う、すこし芯の残るような硬い声だった。
「今週末だよ」
「ふーん」
相槌を最後に、モニーが口を閉じる。外で風に吹かれて窓に当たった小石が、カチン、と音を響かせた。 - 159了船長22/05/15(日) 01:48:59
「イチの前走っていつだっけ」
モニーが先ほどよりは短い沈黙の後、普段なら絶対に部屋で話さない、レースの質問をしてくる。
「二週間前だけど」
思わず緊張してしまった私の声も、幾分か上ずってしまった。
「1600mのマイル戦だったよ」
返事をした後にモニーの指が素早く動いているのが見える。それから、目線が上から下へ、何回か行き来しているようだった。
「4着だったん?」
「いや、3着だよ」
私の答えに、モニーが「えっ?」と素っ頓狂な声を上げた。こちらに一度顔を向けて、すぐスマホを触り直す。
「ウソウソ、4着」
「は、なに、ウソついたってわけ?」
モニーが耳を少し後ろに絞った。どうやら、私の考えは当たっていたみたいだ。
「ゴメンって、えっ、怒ったの?」
私の名前でレース結果を検索していたのだろう。イタズラ心も手伝って、ひっかけクイズみたいなことをしてしまった。
そんなこと聞かなくても調べられそうなものだが、どうやらモニーもずいぶん緊張しているようだった。
「珍しいじゃん、レースの話するなんて」
「別にいいっしょ、たまには」
話を逸らすついで、私もモニーから情報を掘り出そうと、トレーニングの話を振ってみることにした。
「今日のトレーニングはキツかったの?」
「んー、いや、まあ。併走トレ」
「え、誰と?」
「誰でもいいでしょ」
「もしかして、タマモ先輩?」
モニーがタマモ先輩と仲がいいことは、オグリから教えてもらって知ったことだ。
私は幾ばくかの確証をもって、モニーに質問していた。
「なんだ、知ってんじゃん」
「タマモ先輩と併走なんて羨ましいよ」
「イチだって、オグリと走ってんでしょ」
そう切り返されて、私も黙り込む。
それからは、消灯を告げる放送が流れるまで、お互いにけん制を避けるように黙り込んでいた。 - 160了船長22/05/15(日) 01:50:51
「じゃあ、おやすみ」
モニーはそう言うと、珍しくスマホを充電器に差してから、ベッドに入り込もうとしている。
「あれ、珍しいね」
「まあ、今日は疲れたし」
「タマモ先輩の併走って、やっぱキツイ?」
「うん、最後にはどうやっても差し切られるから」
そういった後、あっ、と声を上げる。自分が普段から逃げの作戦で走っていることをうっかりバラしてしまったかもしれない、と思っているのだろう。
その感じがなんだかおかしくなってしまい、少しだけ笑いが漏れてしまった。
「別に、モニーが逃げで走ってるのなんて知ってるって」
「イチはオグリみたいな控え方するよね」
「うん、まあね」
「やっぱり、元祖オグリギャルだし、直々に教えてもらってるってこと?」
「別に、そんなんじゃないし。モニーこそ、タマモ先輩は逃げるタイプじゃないから大変なんじゃないの」
「そうでもない。逆に、イチみたいな走りをする子のタイミング、知ってるから」
それに、と寝返りを打ったようなシーツの擦れる音を立てた後、はっきりした声で話してきた。
「イチは多分、タマモ先輩より速くないっしょ」 - 161了船長22/05/15(日) 01:51:43
私は、モニーのストレートな挑発に、血液が全身に回ったのを感じた。
このタイミングでそんなことを言うのか。さっき私がひっかけたから、その仕返しのつもりだろうか。
自分でも信じられないくらい、激しい闘争心が身体の中を駆け巡っている。
そこそこに重たいシーツを少し持ち上げるほど、尻尾が動く。
今すぐ起きて運動着に着替えろ、勝負してやる――という言葉を飲み込んで、何とかモニーと正反対の方向に寝返りを打った。
乱暴に寝返りを打ってしまったのだろう、ベッドの軋む大きな音が、部屋の中に響いた。
「そうかもね」
どうしても震える声で、何とか言葉を音にする。
けれど、それ以上に何か返事を思いつくことができなかった。
何も言えなくなったのだろうと思ったのか、モニーが「おやすみ」ともう一度だけ言って、横になったようだった。
一度掘り起こされた熱はそう簡単に鎮まることなく一晩中続いて、私の眠気をすっかり吹き飛ばしてしまった。
目の冴えた私は、どんなに目を閉じても、その日は全く眠れなかった。
なんとか眠ろうと思えば思うほど、むしろ瞼の裏側は赤くなったように見えるし、聴覚は敏感になっていく。
私の背後から、ゴソゴソ、としきりに動く音が聞こえて、思わず身体を起こす。
窓から漏れてくる街頭の光と、暗闇に慣れた目が、どうやら眠れていないモニーの姿を映していた。
声をかけようかとも思ったが、そんな気分にはなれず、頭までシーツを被って横になる。
明日の朝、オグリに逃げる子の捕まえ方を教えてもらおう、そう思いながら一時間以上をかけて、なんとか眠ることができた。 - 162了船長22/05/15(日) 01:52:31
レース当日の朝、いつもと同じ時間に目が覚めた。
やっと木や鳥が起き出したくらいで、まだ人も町も動き出していない時間。
身体を起こしてぐっ、と伸びを一つして、隣のベッドに顔を向ける。いつもどおり、モニーはぐっすり眠っていた。
あの日以来、私たちは普段通りを装いながら、水面下で鬼も逃げ出すほどの戦いを繰り広げていた……と思う。
モニーのほうはどう思っているかさっぱりわからないけれど、少なくとも私は「気合が入りすぎている」と注意を受けるくらいに燃えていた。
昨晩済ませておいたレース支度の鞄を持って、部屋を出る。
ラウンジを通り過ぎて、そこから玄関に通じる扉まで真っすぐ歩こうとしたとき、「イチちゃん」と声をかけられた。
びっくりして後ろを振り向くと、手ぬぐいに包んだお弁当箱だろうか、それを大事そうに両手で持つクリークさんが立っていた。
「おはようございます、イチちゃん」
「ああ、クリークさん。おはようございます」
「今日はイチちゃんの大事なレースだと聞いたんです」
大事なレース、という単語に、気持ちが引き締まる思いがした。
決して一つ一つのレースをないがしろにしてきたわけではないが、数をこなすことを第一にしてきた私にとって、『大事な』という言葉はとても新鮮に感じられた。
「そうですけど、クリークさんみたいにGⅠレースに出るわけじゃありませんから」
よせばいいのに、こんな時でも卑屈さが顔を出す自分の気質に嫌気がさす。
それがクリークさんにも伝わったのか、優しさの溢れる笑顔が、きゅっ、と真面目な表情を帯びる。 - 163了船長22/05/15(日) 01:53:24
「イチちゃん、今日はモニーちゃんと走るんですよね」
「はい、そうですけど」
「私がオグリさんやタマモクロスさんと走るときは、レースの格なんて関係ありません」
そう言うと、クリークさんはキッチンで見たことが無いような、真剣な顔つきに変わった。
「ライバルのあの子に勝ちたい、一緒に走りたい、そのチャンスがやってきた。そうなったら、レース場でもトレーニングコースでも、私は勝つつもりで走ります」
私の空いている方の手を取って、その上に綺麗に結ばれたお弁当箱を置く。
「イチちゃん。私はモニーちゃんも一緒に応援しています。ですから、同じようにお弁当を渡します」
頑張ってきてくださいね、と言って、クリークさんは両手をお腹の前できれいに組みなおした。
クリークさんの言葉の意味をかみ砕いていた私は、しばらくその場に棒立ちになっていた。
しっかり飲み込んで、私の目を真っすぐ見据えるクリークさんに視線を合わせる。
「わかりました。ありがとうございます」
「行ってらっしゃい、イチちゃん。無事に帰ってきてくださいね」
「行ってきます」
お弁当を大事に抱えて、私はラウンジの扉を開けた。 - 164了船長22/05/15(日) 01:56:14
下駄箱の上に鞄とお弁当を置いて、靴を履き替える。外に出て深呼吸を一つ。
3回繰り返したころ、またしても突然、後ろから声をかけられた。
「イチちゃん、頑張ってね」
ぎょっとして後ろを振り返ると、ナイトキャップを被った、幾分リラックスした服装のフジ寮長が立っていた。
「わ、はい、おはようございます」
「私の分も、しっかり走ってきてね」
「ありがとうございます」
「もう、あの時みたいに迷っていたポニーちゃんはいないみたいだね」
ニコニコした笑顔を崩さないまま、思い返したくない――主に子供じみた過去の自分が恥ずかしい、という意味で――記憶を突いてくる。
「はい。もう、誰にも八つ当たりはしません。自分の結果は自分で背負えます」
私は苦笑しながら答えた。
「うん、そうみたいだね。オグリからも、レスアンカーワンからも、大事なものを学んだみたいだ」
貼りつけたようなフジ寮長の笑顔が一瞬だけ変わるのを、私は見逃さなかった。
母親と言うより父親のような、厳しく叱ってしまった子供が真っすぐ成長してくれたのを安心するような、そんな表情だった。
「フジ寮長、どうかしましたか」
「いいや、大丈夫。ありがとう」
そう言うやいなや、手を素早く一度振った。顔の高さで止まった手にはトランプのカードが1枚挟まれている。
はい、と言われて差し出されたカードを受け取る。
「スペードの6、ですけど」
「そうだね」
「いつも思うんですけど、そういうの、どこで覚えるんですか」
「そうだな…… イチちゃんが勝ったら教えてあげるよ」
相変わらず、どうやっても敵わない人だな、と思わされた。
「それじゃあ、応援しているよ、イチちゃん」
ありがとうございます、と答えながらお辞儀をする。
顔を上げるころには、もうフジ寮長の姿は消えてしまっていた。 - 165了船長22/05/15(日) 02:00:18
正門前でトレーナーさんと合流して、レース場に向かう電車に乗る。
2回乗り換えを挟んで、最後の駅からはバス。
住宅街の真ん中に突如現れる、巨大な建物にたどり着いた。
すでにお客さんで賑わっている入り口を横目に、関係者用の入り口に向かう。
そこで学生証やレース登録済みの用紙を確認してもらい、時間が来るまで控室で待機する。
控室は枠番が1~5番の子たちと、6~9番の子で部屋が分かれていた。
私はその前者に入り、先に着いていた競争相手に挨拶する。
他の子たちも聞いているけど、まずはトレーナーさんと最後の打ち合わせをする。
もう何度も経験して、すっかり慣れたと思ったレース前のこの時間が、今日は違った。まるでデビュー直後の一戦目の時みたいにドキドキしていた。
私の少し震える手を見たのか、トレーナーさんが「大丈夫ですか」 と声をかけてくれる。
「はい、なんとか」
「お気持ちは少しだけですが、分かります。緊張し過ぎずに」
緊張、という言葉に違和感を抱いた。
身体の外に動きが出てしまうくらいにドキドキしてはいるが、これは緊張ではない、と心の中で否定する。
初めて控室で体操服に腕を通し、ゼッケンをつけた自分を鏡で見た時、それはそれは恐ろしい気持ちが心の中で湧いていたことを思い出す。
自分は本当に勝てるのか、デビュー戦で勝てたのは実力ではなく、これから出走するすべてのレースに負けてしまうのではないか。それによって、学園を去ることになってしまうのではないか。
そんなことを考えていたこともあったが、案外自分は図太いほうなのか、五回も走れば落ち着くようになり、それ以降は神経が安定した状態になっていった。
それに比べて、自分が感じている今の震えは、明らかに何か性質の違うものだった。
ああ、分かった、と口の中でつぶやく。
「私、ワクワクしてるんだと思います」 - 166了船長22/05/15(日) 02:00:54
トレーナーさんが目を丸くしてこちらを見る。
「ワクワク、ですか」
「はい。ドキドキしてるんですけど、なんだか今日はやれるって、そう思うんです。走るのがすごく、楽しみで」
私の言葉にトレーナーさんがゆっくり目を閉じ、しばらく何かを考えた後、書類をそろえて鞄の中にしまい始めた。
「あれ、作戦会議、終わりですか」
「はい。レスアンカーワンさんは作戦を忘れたことはありませんし」
それに、と言葉を続ける。
「今の様子なら、絶対に悪い結果にはならないと思いますから。どうかご無事に、頑張ってきてください」
そう言って、椅子から立ち上がった。
私も立って、お辞儀をする。
「ありがとうございます。そしたら、また後で」
顔を上げてトレーナーさんと目を合わせる。
「はい。次はウィナーズ・サークルで。」
他の子がいるのにも関わらず、ずいぶん大層な約束をトレーナーさんは取り付けてきた。
普段ならこんなことはしない人なのに、私の熱がきっと移ってしまったのかな、と思う。
扉の方に振り返り控室から出ていくまで、トレーナーさんがもう一度こちらを見ることは無かった。 - 167了船長22/05/15(日) 02:01:08
パドックでのお披露目の時間になり、控室を出る。
長い地下バ道を通ってそこに着くまで、モニーとは一度も顔を合わせなかった。
順番に名前を呼ばれ、それぞれ全員が思い思いのポーズを取ったり、お辞儀をするだけだったり、個性のあるアピールをしている。
『2枠3番は、レスアンカーワン!』
アナウンサーの人が、場内に私の名前を高々と響かせる。何か派手にポーズを決めたりするのは恥ずかしいから、お辞儀だけ。
顔を上げると、何人かの人たちが私に向かって手を振ってくれたり、応援うちわを振ってくれる人、中には私そっくりの人形をこちらに掲げてくれる人を見つけた。
GⅠを走る子たちほどではないけど、とてもありがたい、応援してくれる人が私にもいる。そう実感すると、ますます自信が湧いて出てくる。
何人か挟んだ後、今日までずっとマークしている、あの名前が聞こえてきた。
『5枠9番、エイジセレモニー!』
そこで初めて、私はモニーの姿を見た。
今朝見た姿から一転して、軽く飛び跳ねた後に仰々しいお辞儀をしている。
睨みつけるというほどではないけど、私は彼女からしばらく、目が離せなかった。
モニーはレースを逃げることから、やはり一定のファンがいるみたいで、悔しいけれど私よりも少しファンの人が多く見えた。
向こうも私の姿は見ているはずだけれど、一度も言葉はおろか、目も合わせなかった。
きっと、私が挨拶しているときには、今の私と同じような目をしていたのだろう。
お披露目の時間が終わった後、やっぱりというべきか、私たちは言葉を交わさずにそれぞれの控室に戻っていった。 - 168了船長22/05/15(日) 02:03:06
「それでは選手の皆さん、間もなく本バ場入場ですのでご準備ください」
係のウマ娘が扉を開け、合図が入る。
その声を聞き、部屋にいる全員が立ち上がった。
私の右の席に座っていた子は、トレーナーさんと最後まで入念にコースのチェック。
私の左の席に座っていた子は、トレーナーさんと何やら、願掛けのようなものをしている。
両隣の二人が立つまで、私は目を閉じてゆっくりと深呼吸を繰り返しながら、初めて感じる高揚感の良いところだけを、ゆっくりと抽出しようと試みていた。
皆が部屋から出たのを確認して、最後にもう一回深呼吸をする。
大丈夫、必ず勝てる。
ドアのすぐそばにある姿見でもう一度服装をチェックしてから、私は地下バ道に続く廊下を歩いて行った。 - 169了船長22/05/15(日) 02:04:16
道の両側に取り付けられた蛍光管で照らされる地下バ道を歩く。
しばらく歩いて、とても長い登り坂に差し掛かる。外の光が差し込んで目がくらむその道の途中で、私は、思いもよらない人影を見つけた。
私よりも少し背の高い、綺麗な葦毛をなびかせて、ひし形の髪飾りをつけている女性。
その人の脚の間からは、ウマ娘であることが一目でわかる、やはり綺麗な葦毛をした尻尾の毛がのぞいていた。
相手もこちらに気付いたようで、こちらにゆっくりと歩み寄ってくる。
「オグリ!」
私が思わず名前を呼ぶと、そのウマ娘――オグリキャップは、手を胸の高さで振った。
「やあ、イチ」
「オグリ、どうしてここに」
「君のトレーナーが知らせてくれたんだ。今日はイチのとても大切なレースだって」
「帽子とか、変装は?」
「イチにはちゃんと姿を見せて会いたくてな。ちゃんと持ってきているぞ」
ふふん、という様子でオグリはそれらを鞄の中から取り出して見せた。
「忙しくないの」
「今日はちゃんと、予定を開けてきたんだ。どうしても応援したかったから」
そう言うと、オグリは私の手を取って力強く握り、胸元に寄せた。
「イチは絶対に大丈夫だ。私が一緒に走って練習したウマ娘なんだ。だから、必ず勝つ」
聞いたことないような、低くて、艶があって、力強い声。
私と雑談しているときのような柔らかさとは異なるけれど、この時初めて聞いたオグリの声は、私の中に自然と入って、じんわりと沁みた。
「うん、ありがとう」
「最後まで必ず見ている。だから、行ってらっしゃい」 - 170了船長22/05/15(日) 02:06:03
「おお、オグリやないか」
私の後ろから、こちらも聞きなれた、快活な声が響いた。
驚いて後ろを振り返ると、目線の高さにいたのは――モニーだった。
「モニー」
名前を呼ぶ自分の声が、思わず硬くなっているのに気付く。
するとまた、ちょちょちょい!と声が響いた。
「もうちょい下や!ヒドいなぁ、もう」
声に従って下を向くと、そこにいたのはオグリと同じ、綺麗な葦毛をまとめ、赤と青の髪飾りをしたウマ娘だった。
「タマじゃないか」
オグリも驚いたように声を上げている。
「オグリもかい!なんや酷いなぁ。そこまで小さくはないやろ」
「すまない、わざとじゃないんだ」
「それがいっちゃん傷つくっちゅーねん!」
タマモ先輩とオグリが、まるで学園のラウンジや教室で話すくらい、リラックスした雰囲気を作り出している。
そんなやり取りを聞きながら、私は――多分モニーも――その雰囲気に入れていなかった。
私たちは目線を逸らすことなく、獲物の動きを絶対に見逃さない猟師のようにじっ、とお互いの顔を捉えていた。
オグリの声も、タマモ先輩の声も聞こえなくなって、私たちだけが地下バ道にいるような、そんな錯覚に陥った。
それは、そのうちに地下バ道から、煽り合ったあの日の夜の寮室にタイムスリップしたようなものに変わった。
手の内は明かしていない。それでもお互いにわかるところは調べつくして、色んな人の助けを得て、アンタに勝つために必死に今日まで努力した。
絶対に勝つのは私だ――実際のところはわからないけど、モニーも私と同じことを思っているに違いない、と確信した。 - 171了船長22/05/15(日) 02:09:39
先に沈黙を破り、私たちを元の地下バ道に引き戻したのはモニーだった。
「何しに来てるの、『シンデレラの小間使い』さん」
モニーの言葉に、先に反応をしたのはオグリだった。
「なっ、モニー」
オグリは少し慌てたように、私とモニーを交互に見ながら間に立った。それに対して、タマモ先輩はケラケラと笑っている。
私はそれを聞いて、特に何を思うこともなかった、というのは嘘になるけれど、怒ったりとか、そういうような感情は何も湧いてこなかった。
ただ、これを言われっぱなしにするのは、私よりもオグリの方を貶めているように思えて、それが一番許せなかった。
うろたえるオグリの前に一歩出て、モニーの目をひるまずに見据えて、言葉を返す。
「こっちのセリフよ、『積乱雲のちぎれ雲』さん」
私の言葉を聞いて、モニーが表情を変えないまま、眉を片方だけピクッ、と動かした。
アンタにだけは絶対に負けない、たとえ試合に負けても、アンタとの勝負ははっきりつける。
相手の目の中に映る自分を見つめる。
そこには、自分でも恐ろしくなるような表情をした自分がいた。
モニーのことを見ているのか、それとも自分のことを見ているのか分からなくなってきたころ、良く響く笑い声が、私たちをまた現実に引き戻した。 - 172了船長22/05/15(日) 02:11:18
「あっはっは! こりゃ敵わんなぁ」
距離が近い私たちの間に、タマモ先輩が笑いながら割って入る。
「なんやお二人さん、バッチバチやないか。知らんかったで。」
そう言いながら、タマモ先輩は音が立つくらいの強さでモニーの背中を叩いて、オグリを見上げた。
「ウチのモニちゃんは強いで、オグリ。怪物の娘さんなんか一撃や」
それを聞いたオグリは、私の手を強く取り、タマモ先輩を見返す。
「私のイチのほうがもっと速いぞ、タマ。それこそ、光よりもずっと」
うん、と二人は大きく一回頷いて、私たちの背中をレース場に向かって強く押した。
私もモニーも、いきなり押されたものだからよろけてしまって、びっくりした顔でそれぞれのパートナーを見つめた。
「ほな、あっちで決着、きっちりつけるんやで! モニちゃん、負けたら承知せんぞ!」
「君はレスアンカーワンなんだ、イチ。頑張ってきてくれ!」
二人の声に押されて、私たちは光が差す地下バ道の出口に向かって、脚を揃えて歩き出した。 - 173了船長22/05/15(日) 02:12:28
「ねえモニー」
私は歩きながら、どうしても確認したいことがあって、モニーに話しかける。
「何、どうしたの」
「さっき言ってたの、本気?」
「割とね」
「そう。じゃあ、私も割と本気だから」
あともう一歩で外に出るということろで、私たちは示し合わせたように立ち止まって、お互いを見合わせた。
「私、絶対にモニーより前で踊るから」
「そ。そしたら、イチはレース中もライブ中も、私より前にいることは無いから」
そう言って、人の声が響くレース場に二人で足を踏み入れる。
その会話を最後に、私たちはゲート入場まで、一言も話さなかった。 - 174了船長22/05/15(日) 02:13:25
遠くで小刻みにトランペットが鳴らされる。
その音を合図に私たちは準備ができた子から、順番にゲートに入る。
レース直前になって怯えてしまう子がいることもあるが、今回のメンバーは全員スムーズにゲートインした。
背中の方で、扉が閉まる音がする。
これまで数十回走ってきて、すっかり慣れたゲートの景色。
私はスタートの姿勢を取る前に、肩の力を抜いて真っすぐ立つ。それから、目を閉じて深呼吸を一回。
広いコースの真ん中でする深呼吸より、狭い空間でするそれのほうが、なんだか深く息が吸える気がする。
腰を落として、目を開く。脚は肩幅の広さに開き、手を前に出す。
後は、ゲートが開いて、この視界が明るくなるのを待つ。
私は金網上になっているところの隙間から、遠くの第二コーナーを見据えた。
さあ、早く。いつでも準備は大丈夫。
早く! - 175了船長22/05/15(日) 02:16:12
視界が明るくなって、ゲートが揺れる。
ガコン、という音が鳴ると同時に、私は芝を蹴り出した。
遠くを見つめていた視点を左右に振り、周りの状況を見る。
1、2番は私と同じスタートを切ったようだ。けど、2番の子が加速を失敗して後ろに下がっている。
サッと確認した後、より人数の多い左側に素早く視界を移す。
すると、9番ゼッケン――今回のマーク相手――が、最も先に出ているのを見つけた。
スタートが上手いのは情報通りだったけど、想像以上の集中力だったようだ。
そのまま右に重心を移して、内ラチ沿いに向かっていく。
それを見た6番が焦ったのか、9番に追いつこうと姿勢を低くしている。
9番に走らされているように見えた。これは追わなくてよい。
4番の子は6番に着いていくようなペース、5番の子は私の少し前。
7、8番の子はマイペースで進めることにしているのか、無理に内側に入ろうとせず、私のすぐ隣くらいで位置を決めたようだ。
長い直線を走る中、9番が一度だけ、ちらりと後ろを確認した。
6番が競り合おうとしているのを確かに見ると、スッ、と速度が上がる。
先頭だけは絶対に譲らない――そんなプライドが垣間見える走りだった。
第一コーナーに入って、9番が「14」のハロン棒を通り過ぎてから、自分がそこに到達するまでの時間を数える。
1、2、3。ともう少し。
大体、3.5バ身。
まだ、言うほど抜けているわけじゃない。大丈夫。 - 176了船長22/05/15(日) 02:19:07
第一コーナーの中間点、一番膨らむところ。
オグリの走りを後ろで見て、その走りを無意識に真似してきたけれど、オグリのコーナーリングだけは今でも真似できない。
だから、トレーナーさんに言われてきた通り、コーナーでは失速しないことを意識して走る。
丁寧に、ラチのカーブの先端を見ながら、それに身体を沿わせていく。
この一瞬だけは、位置取りや周囲のことを一旦脇に避けて、身体の傾きと重心に神経を注ぐ。
吹っ飛んでしまいそうな遠心力を半身で感じながら、反対の脚でかろうじて踏ん張る。
芝から片方の足が離れるたびに、私はレース場の外からワイヤーで思い切り巻き取られるような感覚を覚えていた。
それに抗うために、もう片方の脚に、頼むからこらえてね、とお願いをする。
速くも、上手でもないけど、何とか周りきることに成功した。 - 177了船長22/05/15(日) 02:22:50
向こう正面。多分、このレースの肝になるところ。
自分の周囲をすぐ確認する。コーナーに入る前と、そこまで全体的な位置取りは変わっていない。
もしかしたら、今回コーナーが特別に得意という子はいないのかもしれない、と分析した。
それなら、この直線で前に出る準備をしなければいけない。
バ郡の中で、少し位置をズラして9番を探る。
「10」のハロン棒を通過して、登り坂に入るところだった。
短いが確実に存在する坂を、9番は脚を細かく動かすことで素早く上りきっていった。
それを見て、良く知ってるじゃない、と思わず恨み言が漏れる。ピッチ走法を身に着けていることが分かってしまった。
このコースは最後の直線200mくらいから、また同じような坂がある。
短い直線の上り坂で速度を落としてくれないとなると、最後にはスタミナを中心に据えたスパート合戦になってしまう。
9番に逃げられるのは癪にさわるけど、やや長めになるスパートに備えて、一度息を入れなければいけない、と判断した。
私たちも遅れて、同じ坂に差し掛かる。
頑張れ、がんばれ、私。
自分を鼓舞しながら上り坂で無理やり加速して、バ群にもう一度再合流する。
後ろから足音がいくつか、私の左側から聞こえてくる。遅れていた2、7、8番が追い上げてきたようだ。
この3人に私は目をつけて、ここで息を入れよう、と潜伏することに決めた。
申し訳ないけど、この三人よりは後からでも絶対前に出られる。そんな自信があった。
隠れながら、二番手にいる6番をちらりと見る。
やっぱり9番に走らされていたようで、ずいぶん消耗しているようだった。 - 178了船長22/05/15(日) 02:24:54
そう思っていた矢先、第三コーナーに差し掛かる手前で、9番がわずかに位置を上げたように見えた。
もう、コーナーに入るところで急ぎ足しなくてもいいじゃない。
「6」のハロン棒の脇を、9番が通過した。
私も慌てて加速する。「6」の数字が迫ってくる。
1、2、3、4秒。
まずい。差が開きすぎている。
素早く外に出る準備をしながら、私も第三コーナーに入った。
第一、第二コーナーとは違って比較的平坦とはいえ、苦手なのは変わらない。
けれど、そんな言い訳で間に合うような差じゃなかった。
早めにスパートをかけて、最後にハナ差で9番を差し切る。
差しのコツは、終盤となる前に好位につけることが大原則だ。今行かなければ、間に合わない。
ここまでの走りか、焦りを感じたからか、足先から鈍い痛みがこみ上がってくる。
歯を食いしばってそれに目をそむけて、コーナーで加速を試みる。
お願い、少しだけでもいい、アイツに届かせないといけない。
私の作戦を周りが感じ取ったのか、全員が私よりも前に行こうと速度を上げる。
9番に走らされていた6番の子に追いついてきて、距離が縮まってきた。 - 179了船長22/05/15(日) 02:26:54
こんなところで垂れるわけには行かないの、お願い、ちょっとどいて!
6番と、私の後ろからやってきた7番の速度、自分の速さの加減を考慮して、早めに横移動を決めて外に抜け出す。
第四コーナーに差し掛かって、9番の通過した「4」のハロン棒の脇を、私は3秒弱の差で通り過ぎることができた。
先頭からマークの9番、速度の落ちた6番、私がいて、すぐ後ろ内目に7番。それ以外の子とはもう、勝負しなくていい。
6番の子は200mまでに追い抜けるだろう。
7番の子は息を入れていないから、私のほうがスパートの速度も距離も勝っている。抜かれない。
だから、後は9番、アンタだけ。
だからモニー、待て。
待って! - 180了船長22/05/15(日) 02:28:16
『さあ第四コーナーを回って一番手は9番エイジセレモニー、二番手には6番リボンオペレッタ、三番手には3番レスアンカーワン、四番手には7番アウトスタンドギグが上がってきました』
『差が詰まってきた、コーナーから直線コース、さあ先頭は9番エイジセレモニー、やや苦しいか、リードはまだ三バ身ほど、残り200mを切っています』
『6番リボンオペレッタも苦しいか、外、3番レスアンカーワン上がってくる、上がってくる、7番も負けていません』
『さあレスアンカーワン差し切れるか、差が詰まっています、後100mほど、三番手争いは6番と7番』
『しかし9番だ、9番のエイジセレモニー逃げ切りを計る、3番レスアンカーワン届くか』
『粘るか、届くか、9番速度を落としません、今ゴールイン!』
『勝ったのは9番エイジセレモニー、二着に3番レスアンカーワン、三着争いは接戦、7番アウトスタンドギグがやや優勢か!』
『好スタートから勝負強さを見せました、9番エイジセレモニー。迷いのない、見事な逃げ切り勝ちでした!』 - 181了船長22/05/15(日) 03:35:48
第四コーナーまでは把握できていた周囲の風景が、たった400m弱の直線を走るだけで、何もわからなくなる。
真っ黒な視界に、歓声も拍手も聞こえない。酸素を求めて荒い呼吸を繰り返して、脚は立っているだけで精一杯だ。
そんな状態でも、ゴール板の前を横切るまでに、モニーが私よりも前にいたことだけは覚えていた。
あともう少しなのに、スピードは足りていたはずなのに、なぜか届かなかった、あと数cm。
その最後の瞬間だけが、繰り返し頭の中でチラついて止まらなかった。
レース係のウマ娘たちに支えられながら、ターフの上から移動する。
おおざっぱに汗と汚れを落としてもらって、ゼッケンを取る。
ここでゼッケンを取らないのは、勝った選手だけだ。
ゼッケンの数字が良く見えるように汚れを落とすモニーを横目で見る。モニーもこちらを見ていたようで、目が合った。
それまで疲れと痛みで何も思わなかった感情が、相手の顔を見た途端にこみあげてくる。
堰だけは切らないように、頭を振って地面に視線を落とす。
「歩けますか」と係の子が聞いてくれた。何とか帰れます、と答えて、うつむいたまま歩き出す。
モニーはそのままウィナーズ・サークルに戻って、私は地下バ道に続く道へ足を向けた。 - 182二次元好きの匿名さん22/05/15(日) 03:48:22
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- 183了船長22/05/15(日) 03:53:43
壁に手をつきながら歩いていると、何もないはずの地下バ道で、何かに優しく受け止められるようにぶつかった。
「トレーナーさん、ですか」
「お疲れ様、イチ」
顔は上げなかったが、それは間違いなくオグリの声だった。
「よく頑張ったな」
そう言うと、背中と頭の後ろに温かい熱を感じた。
「ごめん、ごめん、オグリ」
「ううん、本当に接戦だった。格好良かったぞ」
レースで自分が感じたことのないとめどない悔しさを、オグリにぶつける。
負けても見えていないフリをしてきたこれまでの悔しさや至らなさが、モニーとのぶつかり合いですべて吐き出すような勢いで、オグリに泣きついた。
泣いても泣いても止まらない気持ちを、オグリはただ黙って、受け止めてくれた。
「とてもいいレースだった。レースの中身も、それまでも。二人が一生懸命積み上げてきたものが全部表れていた」
それに、と言葉を付け足す。
「私はイチが勝っても負けても、レースが終わってすぐのイチの側にいられて、とても嬉しい」
「バ鹿、それは違うでしょ」
「違わない。私はまだ走れないが、一緒にレースに参加できているようで嬉しいんだ」
オグリが手を離れて、屈みこんだ。
「ちょっと、今は見ないで」
「イチだって、私が負け込んでしまっているときに、いっぱい支えてくれた。今は、私の番と言うだけだ」
オグリがトレーナーさんを呼ぶ。
「本当に、とってもいいレースでした」
「トレーナーさん、あの」
ごめんなさい、と言いかける前に首を横に振っている。
「謝るのはナシです。レースに勝てるのは一人だけ、そういうものですから」 - 184了船長22/05/15(日) 04:01:47
「さぁ、きちんと身体の汚れを落としたら、ウイニングライブですよ。2番手ですからよく見てもらえることでしょう」
トレーナーさんが私を勇気づけようとして、明るい声を出す。
「私もすごく楽しみにしているんだ。イチのレースに割り当てられた曲は、私のお気に入りでもあるから」
「でも、いわゆるお下がり曲だよ」
「そんなものは関係ない。私は、コースの上と、ライブの上で輝くイチが大好きだ」
ストレートな好意が、疲れてしまった身体に強烈に響いた。
「オグリ、そんな、何を言って」
「あっ、もちろん、料理を作る後ろ姿も、私を待ってくれる朝のイチも大好きだぞ」
「今、トレーナーさんもいるから」
思わずトレーナーさんの方を向くと、ちょっと困ったように、ただただニコニコした笑顔を浮かべていた。
「ふふふ、早く舞台監督さんと振付師さんとの打ち合わせに向けて、身体を休めましょう」
「笑わないでくださいよ」
「風のうわさには聞いていましたが、なるほどこれは、オグリギャルと呼ばれても仕方がないですね」
「トレーナー、その呼び方は少し、恥ずかしいぞ」
「えっ、なんでオグリが恥ずかしがるのよ」
私は、二人と話していて、自然と足が前に進んでいることに気が付いた。
また、もう一度モニーと走りたい。
それで今度こそ、私が勝つ。最後に前に出て、センターで踊る。
悔しさで苦くなっていた心境は、いつの間にかすっかり抜かれて、晴れやかで、甘くて刺激のあるような、前向きな気持ちに変化していた。 - 185二次元好きの匿名さん22/05/15(日) 04:12:20
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- 186了船長22/05/15(日) 04:12:36
『友情激突』
『根性の逃げ切り勝ち エイジセレモニー』
『先日福島レース場で行われた第6R、芝・2000mでは、ルームメイト同士のエイジセレモニーとレスアンカーワンが激突。』
『いずれの選手もデビュー時期こそ遅かったものの、今期では珍しい逃げ戦法とオグリキャップに似た走りでファンを魅了する二人。』
『1800mまでが得意なレスアンカーワンはスタミナが不安視されたが、レース中盤の潜伏作戦で最後までエイジセレモニーを追い詰めた。』
『結果こそスタミナに定評のあったエイジセレモニーに軍配が上がったが、一般戦らしからぬデッドヒート。割り当て曲だった「Never Looking Back」にふさわしいレース展開となった。』
『「二番手のレスアンカーワン選手に勝つために、何か特別なことはされましたか?」』
『「そうですね、やっぱり、煽りに煽ったことでしょうか」』
『「今のお気持ちを一言」』
『「今回私が勝ったのでもうやりたくないです、って言うのは嘘ですけど、もう一度やりたいです。応援、ありがとうございました』
了 - 187◆JdtJJZ5dg8as22/05/15(日) 04:16:44
いやほんと…凄い
読み終えた後の満足感というか映画館の帰り道というか
美しい作品だった
ウマ娘の究極の断片味わったような、ダメだ変な感想しか出てこない
ただひたすらに美しくて素晴らしくて…
本当にありがとうございました… - 188二次元好きの匿名さん22/05/15(日) 09:13:56
凄かった…
- 189二次元好きの匿名さん22/05/15(日) 14:20:55
やっと読み終わったぜ…。オールスターですごい満足感だ。
改めて「泣いてしまうイチと受け止めるオグリ」が大好きなんだ。
とにかく乙乙だぁ! - 190◆JdtJJZ5dg8as22/05/15(日) 22:25:55
スレ建てします
- 191◆JdtJJZ5dg8as22/05/15(日) 22:39:19
- 192了船長22/05/15(日) 22:45:28
今の今まで眠りこけていました
クソ長いのに読んでいただけて、そのうえでとても嬉しいコメントまでもらえてめちゃくちゃQOL上がってます。イチちゃんモニちゃんに幸あれ~~~~~ - 193二次元好きの匿名さん22/05/16(月) 00:37:35
オグリのラストランを見てがんばるイチちゃん好き
- 194二次元好きの匿名さん22/05/16(月) 11:45:43
最近、やっとgoogle検索の予測欄に "レスアンカーワン ウマ娘” が出てきて嬉しくなったんだよね
- 195二次元好きの匿名さん22/05/16(月) 11:56:59
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- 196二次元好きの匿名さん22/05/16(月) 11:58:47
- 197二次元好きの匿名さん22/05/16(月) 21:02:51
最近イチママが恋しいですね。
このスレのお色気?担当だから。 - 198二次元好きの匿名さん22/05/17(火) 01:33:40
着実に初めての人が増えていってて嬉しいんだ
- 199二次元好きの匿名さん22/05/17(火) 02:32:08
まだまだ必要なのだ
- 200了船長22/05/17(火) 09:58:19
200ならイチモニのライブが大成功する