- 1二次元好きの匿名さん22/11/03(木) 10:24:27
- 2二次元好きの匿名さん22/11/03(木) 10:24:37
元スレ一覧
ムカつく...ぽっと出のくせに調子に乗って...そうだ......!|あにまん掲示板大量のにんじんを押し付けてやる!https://bbs.animanch.com/img/243226/595いくら良く食べると言ってもこの量は迷惑でしょ!これで体調でも崩せばいいのよ!bbs.animanch.comムカつく...ぽっと出のくせに調子に乗って…そうだ……!Part2|あにまん掲示板https://bbs.animanch.com/board/255217/前スレオグリ×前スレ1の妄想をしよう!!!bbs.animanch.comムカつく...ぽっと出のくせに調子に乗って…そうだ……!Part3|あにまん掲示板前スレhttps://bbs.animanch.com/board/255217/https://bbs.animanch.com/board/258049/オグリ×前スレ1の妄想をしよう!!!次は&…bbs.animanch.comムカつく...ぽっと出のくせに調子に乗って…そうだ……!Part4|あにまん掲示板前スレhttps://bbs.animanch.com/board/255217/https://bbs.animanch.com/board/258049/https://bbs.animanch.…bbs.animanch.comムカつく...ぽっと出のくせに調子に乗って…そうだ……!Part5|あにまん掲示板これまでhttps://bbs.animanch.com/board/255217/https://bbs.animanch.com/board/258049/https://bbs.animanch…bbs.animanch.comムカつく...ぽっと出のくせに調子に乗って…そうだ……!Part6|あにまん掲示板前スレhttps://bbs.animanch.com/board/255217/https://bbs.animanch.com/board/322746/オグリ×前スレ1の妄想をしよう!!!次は&…bbs.animanch.comムカつく...ぽっと出のくせに調子に乗って…そうだ……!Part7|あにまん掲示板震源地https://bbs.animanch.com/board/255217/前スレhttps://bbs.animanch.com/board/340647/オグリ×震源地>>1の妄…bbs.animanch.comムカつく...ぽっと出のくせに調子に乗って…そうだ……!Part8|あにまん掲示板全ての始まり(閲覧推奨)https://bbs.animanch.com/board/255217/前スレhttps://bbs.animanch.com/board/368777/オグリキャップとP…bbs.animanch.comムカつく...ぽっと出のくせに調子に乗って…そうだ……!Part9|あにまん掲示板始まりhttps://bbs.animanch.com/board/255217/ひとつ前https://bbs.animanch.com/board/392526/オグリキャップとpart1の>…bbs.animanch.comムカつく...ぽっと出のくせに調子に乗って…そうだ……!Part10|あにまん掲示板始まりhttps://bbs.animanch.com/board/255217/ひとつ前https://bbs.animanch.com/board/437871/オグリキャップとpart1の>…bbs.animanch.comムカつく...ぽっと出のくせに調子に乗って…そうだ……!Part11|あにまん掲示板始まりhttps://bbs.animanch.com/board/255217/前回https://bbs.animanch.com/board/496278/オグリキャップと始まりの>>…bbs.animanch.comムカつく...ぽっと出のくせに調子に乗って…そうだ……!Part12|あにまん掲示板始まり(閲覧推奨)https://bbs.animanch.com/board/255217/前のスレhttps://bbs.animanch.com/board/568105/オグリキャップと>…bbs.animanch.comムカつく...ぽっと出のくせに調子に乗って…そうだ……!Part13|あにまん掲示板オグリキャップと>>1ちゃん、さらには>>1ちゃんの周りのあれやこれやを妄想して楽しむスレです。もっともっと困らせてやりましょう。bbs.animanch.comムカつく...ぽっと出のくせに調子に乗って…そうだ……!Part14|あにまん掲示板オグリキャップと>>1ちゃん、さらには>>1ちゃんの周りのあれやこれやを妄想して楽しむスレです。もっともっと困らせてやりましょう。bbs.animanch.comムカつく...ぽっと出のくせに調子に乗って…そうだ……!Part15|あにまん掲示板オグリキャップと>>1ちゃん、さらには>>1ちゃんの周りのあれやこれやを妄想して楽しむスレです。もっともっと困らせてやりましょう。bbs.animanch.comムカつく...ぽっと出のくせに調子に乗って…そうだ……!Part16|あにまん掲示板オグリキャップと>>1ちゃん、さらには>>1ちゃんの周りのあれやこれやを妄想して楽しむスレです。もっともっと困らせてやりましょう。bbs.animanch.com - 3二次元好きの匿名さん22/11/03(木) 10:25:06
紹介スレ(裏スレ)なんだ
こっちでは創作の質を高めたり関係あることを雑談したりする場所だったんだ
初めての人は暇なときにでも見て欲しいんだ
あれは「ムカつく...ぽっと出のくせに調子に乗って...そうだ......!」スレと言って|あにまん掲示板このスレから概念化してPart化したスレなんだhttps://bbs.animanch.com/board/255217/私にツンデレ(デレデレ)な後輩のイチちゃんの妄想を書き込むスレなんだとくにルー…bbs.animanch.comあれは「ムカつく...ぽっと出のくせに調子に乗って...そうだ......!」スレと言って Part2|あにまん掲示板このスレから概念化してPart化したスレなんだhttps://bbs.animanch.com/board/255217/私にツンデレ(デレデレ)な後輩のイチちゃんの妄想を書き込むスレなんだとくにルー…bbs.animanch.comあれは「ムカつく...ぽっと出のくせに調子に乗って...そうだ......!」スレと言って 2.5|あにまん掲示板このスレから概念化してPart化したスレなんだhttps://bbs.animanch.com/board/255217/私にツンデレ(デレデレ)な後輩のイチちゃんの妄想を書き込むスレなんだとくにルー…bbs.animanch.comあれは「ムカつく...ぽっと出のくせに調子に乗って...そうだ......!」スレと言って 3|あにまん掲示板このスレから概念化してPart化したスレなんだhttps://bbs.animanch.com/board/255217/私にツンデレ(デレデレ)な後輩のイチちゃんの妄想を書き込むスレなんだとくにルー…bbs.animanch.comあれは「ムカつく...ぽっと出のくせに調子に乗って...そうだ......!」スレと言って 4|あにまん掲示板このスレの紹介スレみたいな立ち位置で分裂してPart化したスレなんだhttps://bbs.animanch.com/board/255217/私にツンデレ(デレデレ)な後輩のイチちゃんの妄想を書き込…bbs.animanch.com - 4二次元好きの匿名さん22/11/03(木) 10:25:20
- 5二次元好きの匿名さん22/11/03(木) 10:25:30
- 6二次元好きの匿名さん22/11/03(木) 10:25:43
- 7二次元好きの匿名さん22/11/03(木) 10:25:57
- 8二次元好きの匿名さん22/11/03(木) 10:26:07
wikiが開設されたんだ
過去スレを辿って過去絵等を見るのが面倒な時はここを使うと良いんだ
resanchorone @ ウィキ【7/18更新】レスアンカーワンwikiへようこそ https://bbs.animanch.com/board/255217/ を発端に、ウマ娘世界に爆誕した>>1ちゃん(仮名:レスアンカーワン)のまと...w.atwiki.jp - 9二次元好きの匿名さん22/11/03(木) 10:26:18
- 10二次元好きの匿名さん22/11/03(木) 10:26:33
次スレは>>190に任せるんだ
よろしくお願いするんだ
- 11二次元好きの匿名さん22/11/03(木) 10:28:53
立て乙なんだ!
- 12二次元好きの匿名さん22/11/03(木) 10:34:26
- 13二次元好きの匿名さん22/11/03(木) 10:41:26
立ておつなんだ
- 14二次元好きの匿名さん22/11/03(木) 11:14:14
乙なんだ
- 15二次元好きの匿名さん22/11/03(木) 11:57:17
thanks
またSS書きたいんだけど中々時間がないんだ… - 16二次元好きの匿名さん22/11/03(木) 11:59:29
- 17元スレ主22/11/03(木) 13:38:41
イチちゃんはめっちゃ地雷系の服着て黒マスク着けててほしい
- 18二次元好きの匿名さん22/11/03(木) 15:55:00
3600回の嫌がらせなんだ
3600mと言えばステイヤーズステークス、日本の平地重賞のなかで最長距離の競走があるんだ
ステイヤー血統の需要が少なくなってしまったとしても、「耐えうる者」たちの熱戦には目を見張るものがありますねえ - 19了船長22/11/03(木) 15:57:57
- 20二次元好きの匿名さん22/11/03(木) 22:19:35
イチはモニーと一緒にプライベートでオグリにバレないように地雷系着てる絶対着てる
- 21二次元好きの匿名さん22/11/03(木) 22:24:48
やろうやろうと思いながら腰が重くてすまない…
- 22二次元好きの匿名さん22/11/03(木) 23:08:28
ミスを補完してくれてありがとうなんだ!
- 23二次元好きの匿名さん22/11/04(金) 08:10:10
イチちゃんカワイイヤッター!
- 24二次元好きの匿名さん22/11/04(金) 12:41:37
保守なんだ
- 25二次元好きの匿名さん22/11/04(金) 13:50:57
もっと詳しく聞こうじゃないか
- 26了船長22/11/04(金) 21:25:18
- 27二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 00:52:17
(困った…どこがそうなのか分からない)
- 28二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 01:08:56
wikiの方の元スレ一覧のページに17、18(現行)の追加、左のリンクをpart18に編集して寝るとかいうテロ行為をして寝るんだ。
atwikiあんまり慣れてないからもし何か不備があったら前の版に戻してほしいんだ。 - 29二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 01:12:57
自分も確認した限り不備はなかったんだ乙なんだ
ただよく分かってはいないので自信ないんだ! - 30二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 08:53:47
あげるんだ
- 31了船長22/11/05(土) 09:05:34
4thイベントフードエリアの「円弧のマエストロカレー」と「オグリキャップがなりたかったどて煮」キッチンのお手伝いに来たイチモニ。
「マエストロ……?」「なりたかったどて煮……?」と疑問が絶えないが、人をさばくのに忙しくて解消されることなく残り続けてしまう
休憩時間にまかないご飯を食べながらほっとした気持ちになっていると「あ、なりたかったってそういう」と気づくモニちゃんと、「お野菜小さく切りすぎたかな」とついつい料理のことを考えてしまうイチちゃん(保守)
ライブは関係者席で、永世三強+タマセンパイの出番のところを楽しんで見てるんだろうなあ - 32二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 13:29:55
イチモニが可愛いんだ!
- 33二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 13:58:48
ライブ会場の画像見てるとご飯美味しそうなんだ
- 34二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 19:39:05
- 35了船長22/11/05(土) 23:01:51
私は日本ウマ娘トレーニングセンター学園――「中央」トレセンの――生徒だ。
走るのが特別好きってワケじゃなかったけど、ここ一番だけ頑張ってみっか、と試験やレースで少しだけ頑張ってきた結果、ここにいる。
取り立ててメチャクチャ強いとか、速いとか、そういうことは一切ないけれど、私はここで生活している。
色んな能力を積み上げていこうなんて熱意もないし、これから頑張って成り上がってやろうというような気概もあんまり無い。
真剣に取り組んでないのは失礼だろう、中央の学生なんだからヘラヘラするな、ってご意見もよーくわかる。でもこの通り結果は出しているんだし、これは才能でしょ。ときっと私は胸を張る。
私のことを恨む人がいるなら、どうぞご自由に恨んでほしい。『人を呪わば穴二つ』なんて言葉はまるっきり嘘で、呪われて落ちるほうは気にしすぎ、呪ってるのに落ちるほうはただの準備不足なだけだ。私はそう信じて疑わない。
「どうして」も「こうすれば」もない。タイミングを見逃さずにチャンスへ飛び掛かって、するべき時に自分のできることを全力でする。結果は後からついてくる。もっと言えば、その人の能力に見合ったところまでしか出てこないから、事実上決まっているようなものだ。
悩む暇があったら行動するべきだし、可能なら準備を整えて飛び出すべき。そうすれば、後は多少手を抜いてもうまくいく。
誰かに合わせて自分の気持ちや行動は変えなくていい。相手がどう思っていようと、私のスタンスを変える必要もない。私の調子を決めるのは私で、何がベストかを決めるのも私だ。
私を本当に祝福できるのは私だけだ――まあ、いい結果が出た時に褒められるのは、悪い気持ちにはならないけど。
とにかく、私はそうやってここまで来て、ここに居る。 - 36了船長22/11/05(土) 23:02:56
その日、私の目覚めは最悪だった。起き出すときの様子が、いつもと違いすぎているからだ。
いつも通りだったのは、私が起きたときにルームメイトの姿が部屋にもういなかったところだけ。
違ったのは、どんどんどん、とドアを叩く大きな音が部屋に響いていたこと。びっくりして跳ね起きる。スマホを確認すると、いつもよりも2時間以上早い。
寝ぼけてる目でドアを見つめたあと、タオルケットに包まり直す。でも、鳴りやまない。ドアを叩く音はむしろ強くなってもいた。加えて、私の名前まで呼ばれ始めた。
ああもう、なんで同室のレスアンカーワンじゃないんだ、と思う。早朝に起き出して何かしてるのはそっちの方です、私は寝てるハズなんです。
身体を起こしてスリッパを履く。名前を呼ばれてしまったら反応しないわけにはいかない。ワザとゆっくりドアまで歩いて、ドアノブに手をかける。
ノブを回し切った直後、扉が勢いよく開け放たれた。柄にもなくわっ、と声が出る。
視界に飛び込んできたのは、エプロンを握りしめながら肩で荒い呼吸を繰り返し、涙目になっているGⅠウマ娘――クリークちゃんだった。
「モニーちゃん、助けてください」
そう言って、私の手を取る。悪意があるわけじゃなかったけど、驚いてしまった私は思わず、抵抗するように腕を引いてしまった。それでも、クリークちゃんはすがるようにして、手を放してくれなかった。
「なんなん、一体」
「イチちゃんが、イチちゃんが」
焦りと涙でえづいてしまい、うまく喋れていない。とにかくこの人を落ち着けてないとことが進まないと思い、肩をさすって落ち着いてもらえるよう手伝う。
「イチがどうかしたの」
「イチちゃんが脚から血を流して、倒れて」
「えっ」
「イチちゃんがキッチンで倒れていたんです、真っ青で」 - 37了船長22/11/05(土) 23:03:08
言われた数秒間、時間が止まったような気がした。自分の耳を疑う。
「マジで?」
「はい、一緒に朝ごはんとお弁当を作っていたら、突然」
包丁を持ったまま倒れちゃったんです、と息も絶え絶えになりながら話している。あまりにショックだったのだろう、話しながら彼女もふらつき始めた。さする手で肩を掴んで支える。
「ちょっ、大丈夫?」
「私は大丈夫なんです、けれど、イチちゃんが」
「イチは今、キッチンにいるんだよね」
私の問いかけに力なく頷く。彼女を部屋の中に引き入れて、ベッドに座らせる。
「フジさん呼んでくる。ここで座ってて」
「でも、私も」
「まずは落ち着かんとでしょ、後でまた呼びに来るから」
それだけ言って、部屋を飛び出す。納得するまで説得し続けたら、倒れてるらしいイチにたどり着くのが遅くなる。
私は朝日が差し始めて薄暗くなった寮の廊下を、校則をまるっきり無視して、レースさながらのスピードで駆け抜けた。 - 38了船長22/11/05(土) 23:03:48
今思うと、フジさんを起こすために寮長室のドアを叩きまくった私とクリークさんは、よく似ていたような気がする。唯一違っていたのは、部屋から出てくるスピードくらいなものだ。
珍しく髪の毛がハネていたフジさんだったけど、イチがキッチンで倒れてるそうです、と伝えると表情が切り替わった。
「モニーちゃんが最初に気付いたのかい?」
「いや、クリークちゃん」
「今どこにいるのかな」
「私の部屋で休ませてる」
うん、とフジさんが神妙な顔で頷く。
廊下を走りながら情報交換を済ませる。風紀委員が見たら驚くスピードだ。凄いスピードで二人とも走っているのに、私の気持ちは目的地のキッチンから少しずつ離れていった。想像できないものは、見たくない。
でも走っていればいずれはたどり着く。その先では、見慣れたルームメイトが真っ青になって、薄暗い中でも銀と黒に光輝く恐ろしい刃物と一緒になって倒れていた。その脚からは赤黒く小さい粘性をもった液体が一筋、つらりと垂れてもいた。
脚が傷ついているのを見ると、私はともかく、フジさんも少なからず、自分の命が脅かされたような気持になっているようだった。
「モニーちゃん、傷口を」
「救急箱とか?」
「うん、確かその戸棚」
少しだけ震えた声でフジさんが指示を出す。それを聞いて、私もすぐに反応する。私もフジさんも緊急事態に対応するのが得意なんじゃないか、と現実逃避めいたことを考えてしまう。 - 39了船長22/11/05(土) 23:04:11
救急箱の中からガーゼと絆創膏を取り出して、気を失っているイチに向き合う。一つ息を大きく吸って、ぐいと力を込めて傷口をガーゼで押さえる。そのガーゼの上からフジさんが包帯を手早く巻いていく。
二人とも無言のまま手早くイチの左半身を下側に向け、頬の下に手を添わせる姿勢に直す。
「そうしたら、私は宿直の警備員さんを呼んでくる。モニーちゃん、ありがとう」
「ん、クリークちゃんの様子を見てくる」
「うん。二人で休んでいて。大変だったね」
別れの言葉もそこそこに、キッチンを足早に離れる。まだ解決したわけじゃないから、私も安心できなかった。
部屋に戻ると、少し回復したのか、平静を取り戻したクリークちゃんが迎えてくれた。
「イチちゃんは」
「大丈夫、フジさんが人を呼んできてくれるから」
「ありがとうございます」
「いや、ヘーキです。ウチらも休みましょ」
時計を見てまだまだ寝直せるくらいの時間だと判断した私は、タオルケットに包まりなおした。私たちにとって大事件過ぎて、想像よりも長い時間が経っていたように感じられた。
いつもはスマホを見続けないと寝つけなかったのに、この時ばかりは、目を閉じた途端に気を失うようにして眠りについた。 - 40了船長22/11/05(土) 23:05:53
(part5モニちゃん視点、0日目終了です)
(長すぎるので分割して投稿していくことにしました wikiの方ありがとうございます 踏ん切りがついた)
(何とか終わらせますのでどうかスレの流れは止めずにどうぞ) - 41二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 23:48:31
超楽しみなんだ
応援するんだ - 42二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 01:28:57
やべっ不穏な展開に続きが気になる…!!!
クリークが慌てるなんて相当ですよこれは - 43二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 11:13:26
できた段階までであげていただくと続きが気になって尋常じゃないワクワク感に包まれるという知見を得た
- 44二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 13:20:30
楽しみです!
- 45二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 13:23:06
- 46二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 21:46:52
続きが気になるんだ
- 47了船長22/11/06(日) 23:04:16
もう一度ベッドの上で目が覚めたあとも、それはまるで釈然としない一日だった。
いつも通り朝の身支度を済ませて鞄を手に取るけれど、頭の裏がチリチリと小さく燃えているような感覚が止まらなかった。あんなものを見てしまったら、心配せずにはいられない。
部屋を出ると、なんとなく脚がキッチンの方に向く。ドアから覗いてみるともうそこにイチの姿はなく、何もなかったかのように片づけられていた。
唯一、イチのスマホだけが台の上に残っていた。それだけ回収して、鞄に入れる。手に取って画面に表示されたロック画面には、メモアプリのスクリーンショットが表示されていた。
どんだけマジメなの、あいつ。
スーパーへの買い出しのメモだろうか、食材の名前がずらりと、それも野菜ばかり書き連ねてあった。どうしてそんな食材ばかりが書いてあるのか、さっぱり分からなかった。
どうせ毎朝アホみたいに早い時間に起き出して料理するんなら、野菜料理じゃなくて美味しいもの作ればいいのに――
そのメモと今朝の惨状に思考が引っ張られてしまったせいか、授業にもトレーニングにも、まるで身が入った気がしなかった。どうせ普段から全力投球、って感じではないんだけど。
朝に時間をとてつもなく遅く感じた分、昼間の時間が逆に素早く過ぎていくようだった。 - 48了船長22/11/06(日) 23:04:35
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
一日の終わりに寮の自室へ戻ると、イチが自分のベッドに横たわって眠っていた。
てっきり病院か保健室に送られたのだろうと思っていたから、ドアを開けて目に飛び込んできた光景にギョッとする。
イチは顔を青くして、眉間に重そうな皺を寄せて、もがくように苦しそうな呼吸を繰り返している。時折、んん、とこらえるような声。脚が寝ていても痛むのか、と思ってかけ布団を少しめくって脚を見ると、綺麗に巻き直された包帯が目に入る。
どうして倒れてしまったのかは分からないけれど、なにかにひどく苦しんでいることは明白だった。
眉間の皺だけでもとってやりたいと思って手助けできそうなことを探すけど、まるで思いつかない。せめて、スマホだけでも充電しておこう。
カバンからイチのスマホを取り出して、サイドテーブルから伸びた充電ケーブルに差し込む。慰めるつもりで、オグリのぬいぐるみのすぐそばに置いておく。いつか皆で出かけた時に、私が取ったものだ。
私はクレーンゲームが楽しいから取っただけで、「サイドテーブルにでも置いとけば」とか言ってぬいぐるみ自体はイチに押し付けた。
タマセンパイも乗っかって、「アンタがこれ持ってき」と言っていた。
実際、イチがどれだけこれを気に入ってるのかは知らないけれど、時折手に取ってじっ、と眺めるときもあるから、少なくとも悪いようには思っていないハズ。
改めてぬいぐるみを見直すと、呆けたような、まるで罪のない顔が私を見返してきていた。
イチがやっているようにぬいぐるみとにらめっこをしていると、とんとん、と部屋のドアをノックする音が聞こえてきた。
ドアの方に振り向いて、開いてますよー、と少し声を小さくしながら返事をする。 - 49了船長22/11/06(日) 23:05:03
「突然すまない、お邪魔してもよいだろうか」
ドアを開けたのは、ぬいぐるみがそのまま大きくなったようなウマ娘――オグリキャップだった。ぬいぐるみと同じように、罪のなさそうな顔をしている。
部屋に入って来るやいなやベッドで寝ているイチに気付いたのか、驚きと心配が織り交ざった表情に切り替わる。
「やっぱりか」
「やっぱり?」
「今日はまだ、イチに出会っていなかったんだ」
そう言いながら、イチのベッドのわきに膝をつくように屈む。
「いつもは毎朝、イチに会うから」
「毎朝?」
オグリの言っていることがイマイチ飲み込めない。やたら早起きするイチが、どうやらオグリキャップと毎朝会っているらしい。
朝という言葉と、オグリの共通点を考える。早朝の自主トレに出ているのは有名な話で、こちらに移籍する前もとても熱心だったことはトレセンの皆が知っている。
私が黙り込んでいると、話が分からなかったと思ったのか、オグリが屈んだままこちらに向き直る。
「実は、毎朝お弁当を届けてくれるんだ」
「は?」
「ずいぶん前からだと思うんだが、私が早朝のトレーニングから帰ってくると待ってくれている」
並列するにはふさわしくない単語が二つ聞こえ、私の脳は輪をかけて考えることにリソースを割き始めた。朝に、お弁当。しかも待っているらしい。
朝からトレーニングするオグリに料理を届けるには、少なくとも同じ時間かもっと早くに起き出さなければいけない。今朝、イチが倒れていたのはキッチンで、エプロンをつけていた。
そもそも、どんな弁当を作るって言うんだ。この健啖家を弁当一つでおとなしくさせるには、とんでもない量を持っていくか、硬いとか味気がないとか、はたまた嚙み切れないような食材を使って、満腹中枢をひたすら刺激するしかない。 - 50了船長22/11/06(日) 23:05:16
そんな食材、この世にあるワケ――いや、スマホのロック画面。
「その弁当って、野菜ばっかし?」
脳裏に浮かんだ仮説を確かめようと、やや興奮気味に質問を投げかける。
「そ、そうだ。イチから聞いたのか?」
オグリの反応を差し置いて、まるで推理小説のクライマックスを読んでいるときのような、謎が一気に解ける快感が脳の中を駆け巡った。
確定じゃあ無いけれど、イチの行動が腑に落ちた――わざわざオグリに野菜だらけの弁当を早起きしてまで差し入れているらしい。
そこまでやるなんて、やっぱり恋心か。嫌がらせのつもりでやるなら、他の人が見ているところで差し入れるほうが効果的なんじゃないだろうか。
「苦しそうな顔をしている…… 心配だ」
イチのおでこに手のひらを当て、顔を伏せている。
「まあ、たまたま貧血とかだったんじゃないの」
オグリの声で現実世界に戻ってこれた私の浮ついた返事に、うん、とオグリが頷く。
「立ち寄ったとこで悪いんだけどさ、イチのこと見ててくんない? シャワー済ませたい」
「分かった。モニーが戻ってきたら私の番だな」
イチをオグリに任せて、私は浴場へ向かった。 - 51了船長22/11/06(日) 23:33:48
お風呂場まで来たものの、浴槽に浸かる気分でもなかった。元からじっくりお湯に浸るような性分でもないのも相まって、シャワーですませて浴場から出る。
髪と尻尾の水気を取りラウンジで少し休憩していたら、知り合いの子から「寮長が探してたよ」と話しかけられた。サンキュ、とだけ返事して寮長室に向かう。
朝よりは控えめに寮長室の扉を叩く。開いているよ、と声が響いた。
扉を開けると、腰かけていたフジさんが立ちあがって私を招き入れた。
「一日お疲れさま、モニーちゃん」
「ども、お疲れです。朝はありがとうございました」
「いいや、モニーちゃんのおかげだよ。とても助けられた」
お茶でもどうかな、とフジさんがポットにお湯を入れ始めた。水で大丈夫です、と返事する。
「イチちゃんの様子はどうかな」
「メッチャ苦しそうに寝てます。今はオグリが看病中」
「そうか…… 毎年、何人かはいるんだよね。無理をしてしまう子が」
自分の分のお茶と、私の分のお水を見つめながら声に出す。
「イチのやつ、いつもめちゃくちゃ早く起きてるんすよ。もっと寝とけばいいのに」
「そうなのかい?」
「どうも、オグリに毎朝弁当差し入れてるみたいです」
へえ、とフジさんが顎に手を添える。
「そんな頻繁に、どうしてだろうな」
「さあ、イチが起きたら聞いてみますよ。メニューも野菜料理ばっかしみたいだし」
「野菜?」
そう伝えると、フジさんは顎に手を当て、ふむ、と何かに考えを巡らせ始めた。
静かになってしまった部屋で水を数口飲んでいると、フジさんの視線を感じた。傾けたコップの影からちらりと覗くと、彼女と目が合う。予想していたけれど少しギョッとする。
「おんなじこと考えてますかね」
「もしかしたらね」
「無理しちゃう理由って、好きだからですか?」
「いや、憎いからという時もある」 - 52了船長22/11/06(日) 23:37:02
はあ、と息を吐きだして椅子から勢いよく立ち上がる。
「水、ありがとうございました。オグリと代わってきます」
「そうしてきて。こちらこそ、来てくれてありがとう」
寮長室を出て、自室へ向かう。今朝走ってきたときと同じ道筋をゆっくり歩く。
あのマジメでお堅そうなレスアンカーワンが、オグリキャップに恋? 意外とカワイイところあるんじゃん。恋愛にはあんまり興味なさそうだし、なんならウブっぽく見えたけど。
部屋でイチの顔を見つめているであろうオグリを思い浮かべると、良いペアなんじゃないだろうかと思う。ライバルは多そうだけど。
自室の扉を開けると、果たしてそこには、私が思い浮かべていた通りにイチの顔をのぞき込むオグリがいた。
「お帰り、モニー」
「遅くなってゴメン、フジさんに呼ばれてた」
交代するよ、とオグリの肩を叩く。
「イチ、起きてなさそうだね」
「ずっと苦しそうだった」
寮長室で考えていたことが頭に引っかかって、私もオグリの横顔を意識してしまう。コイツ、マジで美人だな――ルームメイトが寝込んでいるというのに、少しばかり浮かれた気持ちになる。
部屋から出かかったオグリが、モニー、とこちらに振り返る。
「イチが起きたら、教えてくれ」
「あい、分かった」
オグリを見送ってばたん、と扉が閉まる。時折うめくイチと、部屋で二人きり。
消灯の時間ではないけれど部屋の電気を落として、スマホを手にベッドに横たわる。
おやすみを言う相手のいないさみしさの代わりに響く画面を叩く音。その日は、普段なら読み終わっても眠くならないネットの記事が読み終わる前に眠りに落ちた。 - 53了船長22/11/07(月) 00:06:59
(1日目 終了です)
(あともうだいぶ続きます) - 54二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 02:33:47
もしかするとこれは過去作とリンクしておるな…?
- 55二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 02:56:04
モニちゃん視点なのか
- 56二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 12:13:34
モニは夜更かししてしまうタイプか
- 57二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 21:23:29
Part5のイチちゃんの自白か
懐かしいレベル
続き楽しみにしてます - 58二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 00:29:37
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- 59二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 00:34:04
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- 60二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 00:39:28
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- 61二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 00:44:56
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- 62二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 01:52:28
結末を知ってるからこそどううするつもりなのか気になる…!
- 63了船長22/11/08(火) 02:40:15
薄明るい部屋で目が覚める。いつもならイチが開けるはずのカーテンは、今日もまだ閉まっていた。
身体を横に向けて隣のベッドを見やる。うずくまるような姿勢に変わっているけれど、相変わらず眠っているイチがいるだけだった。私はベッドから起き上がり、カーテンを開け放った。朝日が目にいきなり飛び込んで来て、思わず目を閉じる。
眩む目に視界が戻ってきたころ、部屋の変化に気付いた。スマートフォンの場所がズレている。一度は起き出して触っていたらしい。
もう一つ、妙な違和感を覚えた。サイドテーブルが広くなっている。正確に言えば、スマートフォンだけが机の上に乗っていた。側に添えていたぬいぐるみが消えていたのだ。
寝ぼけて落としたのかな、と思ってテーブルの裏を覗き込む。イチがマメに掃除するからか、ホコリも被っていない綺麗な床が見えるだけだった。
一体どうして――まさか、捨てた? ゴミ箱を覗き込んでみたけれど、何も入っていない。たまに見つめるくらいには気に入っているようだから、そんなワケはない、と心の中でつぶやく。もちろん、ベッドの下にもいなかった。
昨日の夜の寮長室の話が思い起こされる。恋か、その対偶か。
自分はてっきり、恋心だとばかり思っていた。不器用なマジメ屋さんのレスアンカーワンが、地方から来たヒーロー、しかも流行の中心人物に惚れこむ。かわいらしいストーリーだ。
けれど、本当はぬいぐるみを見えないところに捨てるほど憎んでいたとしたら――いやいや、それじゃあいつも見つめていたことの説明がつかないでしょ、と自分で否定する。
部屋の真ん中に棒立ちになって、目の前のベッドでうずくまるイチを見下ろす。私は、この数分間で、彼女のことが分からなくなっていた。
とりあえず、オグリには何も言わないでおこう――
考えにふけっていた私の頭に、校内の予鈴が容赦なく時間を知らせる。私は何にもまとまっていない思考を部屋において、慌てて寮の玄関口へ向かって飛び出した。 - 64了船長22/11/08(火) 02:40:30
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
釈然としない一日。それは昨日の話だ。今日は、受け入れ難い一日だった。
私は誰かのせいで自分のパフォーマンスが下がるような、そんなヤワなウマ娘じゃないと思っていた。これまでのレースも逃げまくって勝っていたから、私は一人で強くなれると信じていた。
そんな自分のアイデンティティを否定されたような気がしたからだ。ルームメイトがちょっと分からなくなったって言うだけで、小テストもトレーニングのタイムも何もかも、目に見えるように調子が落ちていた。極めつけは、私物のパソコンがエラーを出しまくったこと。――これは、私のせいじゃない。
どんなに調子が悪くても空腹感だけは一丁前に主張をしてくるようで、肩を落としながらカフェテリアの列に並ぶ。ハンバーグを見ると、またお腹がぐうと鳴る。
言葉通りつつくようにハンバーグを小さく切って、口に運ぶ。おいしいから、いいか。
こんな小ささで切ってたら時間がかかりすぎる――と思っていたら、おう、と声をかけられた。
「お疲れさん、モニちゃん」
「あー、タマセンパイじゃないすか。そっちはオグリ?」
そうだ、とおかずの山の向こう側から声が聞こえる。オグリが手に持っている食事量は、朝食を食べられていないからか、普段よりご飯もおかずもうず高く積まれているように見えた。
二人が机の向かいに座って、いただきます、と唱えて食べ始める。そういえば言ってないな、とばつが悪くなったので、いただいてます、と二人にならう。
「モニー」
「ん?」
「あれから、イチは起きただろうか」
オグリの目が料理の山の向こう側からかろうじて見えるくらい食べ進めたとき、オグリに質問される。部屋から消えたオグリのぬいぐるみのことを思い出し、本当のことを答えるかどうか少し逡巡とした気持ちになる。素早く口にハンバーグを放り込んで、噛んでいるふりをしながら考える時間を稼ぐ。
さて、どっちで答えるべきかな―― - 65了船長22/11/08(火) 02:40:47
「いや、見てないね」
「そうか……」
「クリークから聞いたで、えらいこっちゃな」
「寝返りは打ってるっぽかったけど、多分起き上がっては無いと思うわ」
それらしい理由を取ってつけて、ウソをつく。オグリは絶対に心配する。昨日の夜に会話したぶんだと、おそらく不調になるくらい落ち込むだろう。この私が堪えてるくらいだから、オグリはなおさらだ。
「イチちゃんなら大丈夫やって、オグリ。アンタに似て身体の丈夫な子やから」
「私もそう思う。だが、それでも心配だ……」
言葉尻に口が進むにつれ、オグリの箸の動きが遅くなっていく。言い切るころには、左手で持っていたどんぶりご飯をお盆に戻し、肩も首も落としてしまっていた。
「うわ、珍しいな」
悪気は全くなかったけれど、目の前の光景につい、正直な気持ちを呟いてしまった。
彼女の顔を見つめながら、オグリキャップが食事中に箸を止めるほどにまで、レスアンカーワンというウマ娘は彼女に影響を与えていることを知った。
「元気だしいや、オグリ。アンタが落ち込んでもイチちゃんが元気になるわけとちゃう。いつも通り食べて、イチちゃんが起きた後には、いつも通り迎えてあげようや」
タマセンパイの言葉に、うん、と少ししおれたような声で返事をしている。すると、ブルブルと震えた後にガタッと椅子から立ち上がり、腕を肩と同じ高さまで上げ始めた。
「ほっ、ほっ、ひっ、ふー」
「何それ」
「元気を出すおまじないだ。イチにも届いていたらいいな」
タマセンパイと二人で、呼吸をくり返すオグリを見上げる。見つめているうちに私たちにも、食べ進めるだけの元気が湧いてきた。
「なんか協力できることがあったら言ってな、モニちゃん」
「あい、ありがとうございます」
私は、いただきますを言い遅れたご飯の席で、ごちそうさまだけはみんな一緒に合わせて言うことができた。 - 66了船長22/11/08(火) 02:42:04
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
扉の戸板を叩く。こんこん、という軽い音が響く。少し関西の訛りが入ったような返事が、扉の向こう側から返ってくる。
「はいはいはいー、と……お、モニちゃんやないか」
「お疲れ様っす」
入り入り、と扉を開けようとしてくれるタマセンパイの上から、それ以上開かないように手で扉を掴む。少し屈んで、耳に向かって小声でささやく。
「オグリっていますか」
タマセンパイは耳をピクリと動かし、声の調子を合わせてくれた。
「いや、今はおらんで」
「今、オグリが何やってるか知ってますか」
「風呂行っとる。行ったばかりやから当面は返って来んで」
あざっす、と声の調子を戻して返事する。タマセンパイも部屋の中に迎え入れてくれ、私はオグリの座るベッドに腰かけた。タマセンパイは自分のベッドの上であぐらをかくように座った。
「どしたんや、モニちゃん」
「相談に来ました、イチとオグリのことで」
うん、と準備していたようにタマセンパイが頷く。ヒソヒソ話をした段階である程度検討はついていたのだろう。
「どんな内容や」
「実は、イチが昨日――今日の夜中に、起き出してたっぽいんです」
私の言葉に、ホンマか! と驚いている。
「なんでそう思ったんや」
「昨日寝る前にイチのスマホを充電しといたんですけど、それがずれてたんです。あと、ぬいぐるみが無くなってて」
「ぬいぐるみ?」 - 67了船長22/11/08(火) 02:42:25
「ちょっと前に、皆で外出した時にクレーンゲームで私が取って、タマセンパイがイチに渡したやつです」
うーん……と首を10度くらいだけ横に傾けた後、そんなんあったなあ、と言って目を見開く。思い出したみたいだ。
「置いてたとこの向こう側とかに落ちただけとちゃうんか」
「いや、ベッドの下まで探したんですけど、完全に無くなってて」
私の返事のあと、しばらく、部屋の中を沈黙が漂う。タマセンパイが腕を組んで、何か考えている。
「……まさか夜中のうちに、イチちゃんが捨てた言いたいんか」
「でもそれしかなくないですか?」
そうなんよなあ、と言って、天井を仰ぎ見る。
「そしたら今夜もまた起き出すかもしれんなあ」
「私もそう思うんすよ。だから見張りをつけたいと思って」
「寝ずの番かあ」
うーん……と、首を今度は縦方向に、けれど90度くらい傾けるようにして考え込む。
「フジがええって言うかやな」
「言いますよ、頼めば絶対」
前のめりに説得を図る私の姿勢に、タマセンパイが腕を組んだまま、先ほどよりも深くうなる。 - 68了船長22/11/08(火) 02:43:25
- 69二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 12:13:52
- 70二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 22:11:28
続きを期待なんだ
- 71了船長22/11/08(火) 23:09:36
「ま、頼んでみよか」
しばらく悩んでいたタマセンパイが顔を上げる。私もその返事が嬉しくて、思わずベッドから立ち上がった。顔色を伺う限りいささかの心配は残っているようだけれど、腹を決めてくれたらしい。
「モニちゃんだけで一晩中はしんどいやろ、何人か協力してもらおか」
「助かります、クリークちゃんは乗ってくれると思います」
「クリークなら安心やな。オグリも心配やろうし、戻ってきたら当番決めよか」
「ダメ!」
タマセンパイが出した名前に、私は反射的に食いついた。驚いたタマセンパイがベッドの上で小さく跳ねる。
「オグリはダメです。呼んじゃマズい」
「なんでや」
「なんでもです。話がややこしくなるんで」
「どういうことや」
「どうしても」
理由を知ろうとして、タマセンパイから繰り返し飛び出してくる質問すべてにノーを突き付ける。私はタマセンパイが折れてくれるまで同じ流れを反復した。
そうこうしている内に、ただいま、という声と一緒に湯上りのオグリが帰ってきた。私たちはヒュッと息を吸って黙り込み、目線だけを合わせてこれまで何もなかったように振る舞う合図をした。 - 72了船長22/11/08(火) 23:09:47
「やあ、モニー」
「おす、ジャマしてるよ」
「二人ともどうしたんだ、そんなに肩を張って」
「なんでもないねん、ほな、ちょいと出かけてくるわ」
あまりにも不自然な流れで、タマセンパイが部屋の外に出ようとする。
「どこに行くんだ?」
「あ~、ちょいとフジに用があんねん」
「私も行こうか、タマ」
ついてこさせちゃゼッタイにマズい。私は慌てて会話に割り込む。
「いやいやいやいや、私が行く。部屋戻らなきゃいけないし。あ~、オグリはその、尻尾と髪、乾かしときな」
「分かった。あっ、そのまま部屋に戻るのか?」
「うん」
「少しだけ待っていてくれないか」
そう言うと、オグリはドアを閉めることすら忘れ、半開きのまま部屋を飛び出していった。タマセンパイと顔を見合わせて、安堵のため息を一つつく。扉を締め直しながらタマセンパイがつぶやく。
「ウチらの息、ぴったりやったな」
「助かりました」
「理由は知らんけど、オグリに聞かれたらよくないらしいっちゅうことだけは分かったからな」
この辺の察しの良さはさすが年長者だ。一つしか違わないなんて思えないほどしっかりしている。
「今のうちにクリークに連絡しといてくれへん?」
私はスマホを取り出して、寮長室まで来てもらうように手早くメッセージを打ち込んで送信した。たまたまタイミングが良かったのか、すぐに『わかりました』と返事が返ってくる。 - 73了船長22/11/08(火) 23:11:30
オグリに言われた通り、部屋で待ち始めて5分。もう行っちゃいませんか、と言おうとしたまさにそのとき、慌てた様子でオグリが戻ってきた。
「待たせてしまってすまない。これをイチに届けてくれないか」
手に持った白い花を一輪、私に差し出す。タマセンパイも目を丸くして花を覗き込んでいる。
「どこから持って来たんや」
「美化委員の人に貰って来たんだ。何か、お見舞いに合うものは無いかと頼んできた」
「ガーベラか。ええ色やな」
白いガーベラを注意深く受け取る。しっとりしているが、上に向かって伸びる花弁を見つめながら、私はこの花が「ガーベラ」という名前を持っていることしか分からなかった。
それでも、目の前にいる二人の毛色に似た光を放つそれは、たとえ一輪でも強い意志と希望を感じさせていた。
「部屋に花瓶、あったかな」
私の独り言に、オグリがはっ、と息を呑む。
「そ、そうか。すまない、また少し待っていてくれるか。すぐ借りてくる」
言いながら後ろを向き、また今にも部屋を飛び出そうとするオグリの腕を、タマセンパイが掴む。
「ええってええって、フジに言うたら借りれるやろ」
「そうそう。花、ありがと。イチのベッドの側に置いとくよ」
「よろしく頼む。早く、良くなってほしいな」
「それじゃ、おやすみ」
「ほな、ちょっとの間だけ留守番頼むで」
オグリに軽く手を上げ、タマセンパイの部屋から立ち去る。私たちはフジさんの部屋に向かって、真っすぐ歩きはじめた。 - 74了船長22/11/08(火) 23:14:43
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
昨日の夜とほぼ同じ時間、また寮長室の、しかも同じ椅子に私は座っていた。淹れてもらった水も同じくらい減っていた。昨日と違うのは、机の上にガーベラを差した花瓶が置いてあることと、私の側にもう二人生徒がいること。
「つまり、夜、イチちゃんが起き出しているかもしれないから、皆で看病したいということだね」
そうです、と私は間髪入れずに答える。クリークちゃんも私の隣で、うんうんと頷いてくれている。
「脚を切ってしまったのに、お医者さんのOK無しで歩き回るのは危ないですから、すぐ近くに誰かいたほうが良いと思うんです」
毅然とした声と面持ちでクリークちゃんが意見する。いつものふんわりとした、語尾を伸ばすような喋り方からは想像できない、固い意志を感じさせる調子だった。
ゆっくりと私たちの話を聞きこんでいたフジさんが、おもむろに口を開く。
「モニーちゃんの話だと、イチちゃんはオグリのぬいぐるみを自分でどこかに置いてきてしまった……」
そうつぶやくと、ふむ、と顎に手を当てて何かを考え始める。
「部屋にはぬいぐるみは無かったんだよね?」
「ゼッタイ無いです。部屋の外にあるのは間違いない」
「イチちゃんの脚の傷の様子は見たかい?」
「見てないですけど、ぬいぐるみをどかしたいだけならベッドに寝たままでもできますよ。部屋の外に出すには歩くしかない」
そうだよね、とフジさんがもう一つ小さくつぶやくと、また考え込むモードに入った。 - 75了船長22/11/08(火) 23:16:17
机の上に視線を向けるフジさんを見つめながら、私は昨日の話を思い出していた。この学園の子が無理をしてしまう理由は二つ。好きだからという理由と、憎いからという理由。
今朝の出来事が起きるまでは、「まさか、イチに恋バナがあるなんて」と無邪気に楽しんでいた。しかし、改めて一つ一つ状況を解きほぐすと、もしかしたらもう一つの方だったのかもしれない、と思わざるを得なくなってきた。
それまで傷つける素振りも無かったものに人に知られず手をかけたくなるような衝動の名前を、私はまだ知らない。私はそれが怖くて、それに従ったイチのことも少し不気味に思ったし、心配にもなった。
それを知りたい気持ちと、それは違うと言ってやりたい気持ち。その二つが私の中でせめぎ合っていた。
「……分かった。看病してもいいよ」
じっくり考えていたフジさんが顎から手を外し、私たちを見る。
「ありがとうございます。良かったぁ」
クリークさんが安堵したように、いつもの口調に戻る。そのゆったりとした響きが、私たちの気持ちにもいくばくかの安心感をもたらした。しかし、私たちの緩んだ気持ちを律するように、フジさんの凛とした声が部屋に響く。
「ただし、あんまり遅くまで起きているのは良くないから、午前3時までにしよう。3時間ずつで交代にして、11時から午前1時までがモニーちゃん、1時から3時まではクリーク、タマモ先輩は……」
「ウチはオグリの番やったるわ。慌てて何かしたがるかもしれんし、そっちのストッパーになる」
うん、とフジさんが頷く。
「クリークは途中からになるけど、それまでに何か準備とかはせず、きちんと休むんだよ」
「はい、わかりました~」
「何かあったら、必ず私に知らせてね。良いことでも悪いことでもいいから。常に起き出せるようにしておくよ」
作戦会議は着々と進み、各々の役割が決まる。連帯と使命感が私たちの間で共有され、不思議な熱気を醸し出していた。 - 76了船長22/11/08(火) 23:22:36
(二日目② 終了です)
(モニちゃんが頑張っています 二日目はあともう一日分続きます)
(もう少しで書き終われる 8月31日くらいに書き始めてから時間がかかりすぎてしまいました もう少しだ~~~~) - 77二次元好きの匿名さん22/11/09(水) 02:19:01
うーむ、名探偵フジなんだ
- 78二次元好きの匿名さん22/11/09(水) 12:15:00
楽しみにしてるんだ
- 79二次元好きの匿名さん22/11/09(水) 13:48:24
この話のイチモニはオグリたちの後輩でいいんだけっか?
- 80了船長22/11/09(水) 17:57:08
- 81二次元好きの匿名さん22/11/09(水) 22:34:29
問題ないんだ!のんびり続きを待つ!
- 82了船長22/11/09(水) 22:50:40
「あのっ」
その熱にあてられてしまったのか、私は思わず声を上げて真っすぐに立ち上がり、全員の顔を一瞥する。その場にいる全員の目が私に向く。そのまま、恥ずかしい気持ちが湧き上がってくるのを感じながら頭を少しだけ下げた。
「みんな、ありがとう」
「そんな、どういたしまして~」
「モニちゃんが言うてくれんかったらこうはならんかったんや、気にせんでええって」
「そうだね。モニーちゃんのおかげだ。素直に助けを求めてくれて、ありがとう」
三人の言葉に、ますますばつが悪い心持ちになってしまう。『誰かのために、他の誰かにお願いをする』という経験も気概も無かったからだ。
そんな場の空気を初めて吸った肺と脳が、情報を処理しきれずに混乱する。
「別に、そんなワケじゃ」
「モニーちゃんのおかげです、いいこ、いいこ」
「ちょっと、何」
「うふふ、よく頑張りましたね」
クリークちゃんが、まるで子供をあやすかのように目線の高さまで膝を曲げて、頭を撫でてくる。
別に、頑張ってなんか――むしろ、他人に自分のできないことを投げつけただけだ。タマセンパイもフジさんも、目元を緩めながらこちらを見るだけで止めようとは一切してこなかった。
「ああもう、解散解散。皆やることわかってるっしょ」 - 83了船長22/11/09(水) 22:50:50
せやな、と言ってタマセンパイが椅子から降りて寮長室を出る。クリークちゃんは私の頭を撫でる手を止めることは無かったが、ドアの方に身体を向けてくれた。
タマセンパイに続こうとして、フジさんに呼び止められる。
「モニーちゃん、忘れ物だよ」
振り向くと、花瓶を指さしていた。両手で持ち上げて胸の高さで支える。ガーベラの花が口元まで届きそうになる。
「モニーちゃんは、ガーベラの花言葉を知っているかい」
「知りません」
「希望、純潔、律儀。清らかで明るい未来を示し、誠実さも込められているんだ。そこに、本数によっても意味が加えられる」
「そうなんですか。一本だとどういう意味なんです?」
私の質問に、フジさんは一拍間をおいて、立てた人差し指を自分の口から鼻に向けて添えた。
「『あなたは私の運命の人』」
「マジ?」
飛び出た言葉に驚き、敬語も忘れてしまった。
「うん。オグリがそこまで知っているかどうかは、分からないけれどね」
じゃあ気を付けて、と言われ寮長室を出る。美化委員の子も知らないんだろうな――と思いながらクリークちゃんとも別れ、私は自室に戻った。 - 84了船長22/11/09(水) 22:51:17
寮のあらゆるところで、消灯を知らせる放送が響く。その音を合図に、電気を消して静かになる部屋と、明かりを灯しっぱなしであんまり静かにならない部屋がだんだんとはっきりしてきて、そのうち誰かに怒られて静かになる。
許可を貰った事実上の夜更かしができる非日常感とイチへの気がかりな心、好奇心がごちゃ混ぜになり、私は妙な興奮を覚えていた。クリークちゃんの来る25時まで起きて様子を見なければいけない。
部屋の電気を消す直前、イチの顔を見やる。苦しそうな呼吸音と眉間の皺は、まだそこでイチのことを押しつぶしているようだった。
パチン、と軽い音を立てて部屋の電気が消える。いつも通りの暗さにならず、軽い違和感を覚える。部屋を見回して、いつもは閉まっているカーテンが開けっ放しになっていることに気付いた。
この部屋のこと、実はイチに任せっぱなしだったのかな――少しだけ反省する気持ちが生まれてきた。次から、カーテンは自分で閉めるようにしよう。
その習慣の一歩目として、試しにカーテンを閉めてみた。部屋がいつもの暗さに戻る。
ぴったりと閉め損ねたカーテンの隙間から覗く月光に照らされた白いローズマリーと花瓶が、サイドテーブルの上に虹色の光を落として暗い部屋の中で淡く浮かび上がっていた。 - 85了船長22/11/09(水) 23:01:37
私物のパソコンの電源を入れ、読む気もない記事を片端からクリックしては閉じていく。そのうち、トレセン学園のホームページにたどり着いた。
特集はもちろん我らのヒーロー、オグリキャップ。クリークちゃんもいるし、イナリの名前もあった。同情するべきか、翌年にクラシックを迎える後輩たちのニュースのスペースは気持ち小さくなってしまっていた。
注目の子の名前はドクタースパート、サクラホクトオーに、『続け葦毛の伝説に』と大仰な見出しを載せられているウィナーズサークルという子たちらしい。ずいぶん田舎っぽい服装と顔立ちで、アワアワ、という声が聞こえてくるような、困ったような笑顔を浮かべている。
そんな見出しを書かれてはいるけれど、まだ未勝利戦にしか出場していない。レースの動画ではいい走りをするのに、ゴール手前で力が抜けて1着を逃している。勝つ気が無いのかと思う。
申し訳ないけど、この子たちのこと知らなかったな――
まだまだ知らない後輩たちの名前を見つめながら、イチと時計の進みを交互に見比べる。どちらも動いていないのではないかと思うくらい、時間が長く感じられた。
この調子で、あと2時間以上も耐えなきゃいけないのか。少しずつ迫りくる眠気と必死に戦いながら、イチとパソコンの画面を交互に見る。
そんな真面目にトレーニングしたわけじゃないのに何でこんなに疲れてるんだ、と思ったときにはもう、私の意識は自分の身体から離れていた。 - 86了船長22/11/09(水) 23:02:09
ヤバい、寝てた!
役割を思い出した脳が覚醒する。私の身体はバンジージャンプで飛び降りたあと、伸びきったロープが反動で戻るようにして文字通りに跳ね起きた。
慌ててイチを見る。姿勢が若干変わっていたけど、スリッパも毛布も、大きい変化はなかった。軽い動悸がする胸を落ち着かせながら時計を見ると、1時53分を示している。
いっけね、もうすぐクリークちゃん来るじゃん――と思った矢先、こんこん、と控えめに戸が軽い音を立てた。
パソコンを急いで、でも音を立てずに机の上に置き直して扉の方に向かう。スマホの光を懐中電灯代わりにして床を照らしながら、クリークちゃんを迎え入れる。
「おつ」
「お疲れ様です~。イチちゃん、大丈夫そうでしたか」
「わるい、寝落ちてた。いつからも分かんない」
「あら、一日大変でしたもんね」
「なんか体力無くなってて。ゴメン」
「交代して私に任せてください~。しっかり休んで、元気いっぱいです」
クリークちゃんがおどけて力こぶを作るふりをしている。
「さすが」
「見ててくれてありがとうございました、代わりますから、モニーちゃんはもう休んでください」
お言葉に甘えて素直にベッドの上で寝そべった。
「椅子、使って。膝掛けはイチのやつがそこにあるから使っちゃえ」
「分かりました。自分のを持ってきましたから、大丈夫ですよ」
ふわぁ、と自分の口からあくびが漏れる。ここ二日間の出来事で、元々の体力が削られているのかもしれなかった。
「それじゃ、先におやすみ」
「おやすみなさい、モニちゃん」
掛け布団の中にもぐりこんで、また目を閉じる。椅子の上でうたた寝していた時と同じように、私はするりと眠ることができた。 - 87了船長22/11/09(水) 23:19:13
(二日目③ 終了です)
(モニちゃんが慣れないことに頑張った結果、くたびれています。頑張れモニちゃん)
(モニちゃんが寝てしまった後、イチちゃんたちは……) - 88二次元好きの匿名さん22/11/10(木) 01:08:56
焦らすねぇ!!
楽しみなんだ - 89二次元好きの匿名さん22/11/10(木) 02:28:03
≫「『あなたは私の運命の人』」
オグリは無自覚にそういう事する - 90二次元好きの匿名さん22/11/10(木) 12:42:17
乙なんだ!
- 91二次元好きの匿名さん22/11/10(木) 13:24:08
とんでもない大ボリュームなんだ
こうしてみると分割投稿正解だったと思うんだ
おつかれさまなんだ、ゆっくり読ませてもらうんだ - 92二次元好きの匿名さん22/11/10(木) 20:47:50
ウィナーズサークルたちの小ネタが入ってるの好きよ
- 93了船長22/11/10(木) 22:13:05
光を感じて目が覚める。一度深夜に寝落ちていた分、幾分かゆっくりと起きることができた。
上半身を起こして部屋を見回す。クリークさんがどのあたりで看病していたのか分からなくなるほど、整頓して部屋をあとにしていたようだ。椅子も膝掛けも元通りになっている。
ベッドから立ち上がってイチの様子を見る。額の苦しそうな皺は取れ、顔つきも柔らかくなっていた。掛け布団のへりは曲がることなく真っすぐな姿勢で眠っており、呼吸も穏やかなものになっていた。
クリークさんが上手いことやってくれたようだ。
良かった――
肩と頭の先に感じていた重みのようなものが、すうっと晴れたような気持ちになる。制服に着替えるために腕を上げると、昨日おとといより幾分か軽い力で高く持ち上がる。
「心配かけんじゃないよ、不器用なクセに」
思わず口からこぼれた言葉は、幸い誰にも聞かれることなく、部屋の壁に吸い込まれて消えていった。 - 94了船長22/11/10(木) 22:13:49
「おはようございます、モニーちゃん」
挨拶に振り返ると、一体いつまで起きていたのか、やや疲れが見える笑顔でクリークちゃんが手を振っている。
「うわ、平気?」
「はい。あの後、イチちゃんが起きてくれたんです」
「やっぱり。朝起きたらイチの姿勢がやたら良かったから、上手くやってくれたのかなって」
「少し怖がっていた様子がありましたけど、ご飯も食べてくれて。ちょっとだけ叱っちゃいました」
そう言うと、クリークちゃんはへこんだような面持ちになる。
「どうせ何か、勝手に思い詰めて自滅してたとかでしょ? クリークちゃんが落ち込む意味無いって」
「そうでしょうか……私も少し、頑固になっちゃいました」
「いいっていいって、私たちにこんだけやらせておいて、叱られないなんて方がおかしいんだから」
この子は火山みたいに怒りを噴火させないんだろうけど、グツグツと煮えて、我をしっかりと通すタイプなんだろうと感じる。一番怒らせたくない。
「イチちゃんに食後の休憩をしていて欲しくて洗い物まで済ませていたら、寮長さんに『起き過ぎだよ』って怒られちゃいました」
「そりゃそうっしょ。夕飯作って食べさせてるところまででも大変だってのに」
ふわぁ、という音がクリークちゃんから聞こえて顔を見上げると、恥ずかしそうに口元を手で隠して涙目になっている。らしくないけれど、あくびを我慢できなくなるくらい遅かったようだ。
改めて感謝の意を伝え、教室に向かう。歩きながらも時おり口元を隠す仕草をする彼女は、『天才』と呼ばれる高速ステイヤーではなく、どこまでも人のために優しい、等身大の一人の学生だった。 - 95了船長22/11/10(木) 22:14:10
夕方になって用事を概ね済ませた私は、トレーニングも放り出して寮長室へまっすぐ足を向けていた。
もう慣れた手つきでドアを数回叩き、フジさんの返事を待って扉を開ける。椅子に深く腰掛けていて、クリークちゃんと同じく、少し疲れが残って見える表情をしていた。
「一日お疲れ様、モニーちゃん」
「お疲れです。どうしたんすかその顔」
私の質問に、「いやあ、少しね」と困ったような笑顔を浮かべる。
「昨日の夜、寝ました?」
「それがね……イチちゃんが起きたのは、もうクリークから聞いたかい?」
「はい。フジさんに怒られたってところまで聞きました」
私の指摘に、『困ったな』と言わんばかりの表情を作る。
よくよく考えると、時間を過ぎて世話を焼いたクリークさんもやりすぎだけど、それを夜のうちに叱ったフジさんは一晩中起きていたってことになる。いくら寮長とは言え、身体の調子をおかしくしてしまいかねない。
「フジさんは結構変なほうですけど、ずっと起きてたのはバケモンすよ」
「モニーちゃんの言う通り、今日はちょっと大変な日だったね。うっかり居眠りしそうになってしまったよ」
にこやかに笑っているけれど、話がすれ違ってしまって上手く噛み合わない。寝不足はフジ寮長の調子すらおかしくするのかと感心してしまう。
質問を直球で投げかけるべきだと思った私は、知りたいことをそのままぶつけることにした。
「イチ、どうでしたか」
何か反応を引き出せるんじゃないかと狙いをつけて、ワザと浮ついた質問にする。ところが、笑顔をほんの少しだけ緩めただけで、表情に大きな変化は表れなかった。
「自分の中で気持ちが混乱していただけだったよ。正義感の強い、とっても良い子だ。自分のことを悪者にしたがる節もあるけれど」
青く透き通った目が遠くを見やるように壁を見つめる。私たちを見守る、優しさにあふれた目だった。
「……よく分からんけど、とりあえず大丈夫そうなんすね」
「うん。あとは、当人たちで解決できると思うよ」
「オグリとイチで?」
私がフジさんの提案に驚いていると、それに合わせたかのようにコンコン、とドアをノックする音が響いた。 - 96了船長22/11/10(木) 22:14:30
「入るでー。お、モニちゃんもおったんか」
「タマセンパイ」
「お疲れ様、トレーニング終わりに呼んでしまってゴメンね」
かまへんかまへん、と手をヒラヒラさせながら私の隣に腰かける。ちょこん、という効果音を鳴らしてやりたい。
「今、なんや失礼なこと考えとらんかったか」
「え、すご。エスパーっすか」
「否定せんかい!」
タマセンパイが噛みついてくるも、どうにも滑稽さのほうが目立つ。逆に笑いがこみあげてきた。それを見て、また噛みつく。
ハイハイ、とフジさんも笑いながら会話の間に入ってくる。
「本題に戻ろう。結論から言ってしまうけど、モニーちゃんには今晩、部屋を一日だけ交換してもらおうと思う」
「交換?」
「オグリをモニちゃんの部屋に送って、二人で話し合わせようってことやんな」
「その通り。寝起きに顔を合わせても、オグリならヒートアップすることは無いだろう」
「イチが昨日の――正確には今日ですけど。夜どんな様子だったか知りませんが、ホントに大丈夫ですか」
私の疑問に、フジさんが一つ頷く。 - 97了船長22/11/10(木) 22:14:43
「大丈夫。イチちゃんについては、モニーちゃんも良く知っているだろう」
そりゃあ、別に暴れたりするタイプじゃないけど――逆に、何も言わずに閉じこもって、事態が変わらなくなる可能性は捨てきれないとも思う。
「オグリはああ見えて結構ガンコなところもあるからな、何かしら突破口は見つけるやろ」
タマセンパイの助言を聞くと、一抹の不安は残るけど、それもそうか、という気持ちになった。呆けているようで、ズンズンと踏み込んでいくのがオグリの強みだ。
決まりだ、とフジさんが手を叩く。椅子から立ち上がって、部屋を出る準備をし始めた。
「オグリは今どこに?」
「まだトレーニング中やけど、そろそろ夕飯食べるころやな」
「オグリには私から伝えておこう。モニーちゃんとタマモ先輩は準備を整えておいて」
私たちも席を立つ。
「モニちゃんはもうメシは済ませたんか」
「はい。あとシャワー浴びてくるだけです」
「シャワーだけとちゃうて風呂に浸かってき。どうせオグリもすぐには戻ってこんし。ほな、また後でな」
別に疲れてないし、シャワーだけで構わない。
そう思って寮の浴室でいつも通り身体を洗っていたが、ふと、タマセンパイの言葉を思い出してお湯に浸かってみた。足先から恐る恐る水面に触れると、熱くてびっくりする。
暑苦しくてメンドいな、と思っていたけれど、慌てた様子の他の子たちに「お風呂で寝たら死んじゃうよ!」と叩き起こされるまで、自分の体力が尽きていたことに気付いていなかった。 - 98了船長22/11/10(木) 22:26:13
(最終日① 終了です)
(誰かの面倒を見るというのは、たまらなく体力を使うことです)
(ところで書き溜めた分がなくなりました しかし明日には必ず終わらせます 追い込んでいけ) - 99二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 00:38:21
クリークの優しさとフジの頼りがいが光るわぁ
船長の人、続きは時間をかけても私は一向に構わんッ! - 100二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 08:18:24
楽しみに待ってるんだ!
- 101二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 12:42:12
素晴らしい!
- 102二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 21:52:29
保守保守なんだ
- 103了船長22/11/11(金) 22:46:53
まだ湯上りでふらつく足元で浴室から部屋へ戻ってくると、自室のドアの前でソワソワと動き回る影を見かけた。
「何してんの、オグリ」
「ああ、モニー。お帰り。フジからここで待つように言われていて……」
ドアノブをゆっくり回して、音を立てないように部屋へ入る。オグリを招き入れると、イチが視界に入ったのだろう、私の横を大きめの歩幅で通り過ぎてベッドの側へ駆け寄った。そのままイチのおでこに手を当てている。
「昨日より落ち着いてるでしょ」
「うん。顔色も良くなっている」
オグリの横顔を覗くと、心の奥底から本当に安心したような、優しい表情をしていた。私は自分の身支度を整えながら、背中越しにオグリに質問を投げかける。
「フジさんからなんて言われたの?」
「『イチちゃんと決着がつくまで一緒にいてね』としか言われていないんだ。モニーは何か聞いているか?」
「う~ん……まあお互い、腹割って話してみてほしいわ。私じゃ聞けないこともあるだろうし」
手早く充電ケーブルとパソコンをまとめて、脇に抱える。
「モニーではなく、私が?」
「そう。私も正直、イチのことよくわかんないんだよね。良いやつなんだけどさ」
「そうなのか……分かった。任せてくれ」
それじゃあ、と言って部屋を出ようとする直前、オグリに呼び止められた。
「イチを任せてくれてありがとう、モニー」
真っすぐな目でストレートに気持ちをぶつけられた私は、思わず目をそむけた。
「別に、毎朝会うほど仲いいんでしょ。私よりイチのこと、詳しいじゃん」
そう言うと、オグリが顔を伏せ、さっきまで頼もしかった表情を暗くした。 - 104了船長22/11/11(金) 22:49:03
「……実は、私はイチのことを良く知らないんだ」
「え?」
ゆっくりと息を吸いながら、重々しく言葉を紡ぐ。
「いつも、イチから色々なものを貰うんだ。お弁当だったり、応援の言葉だったり、元気も……だが、私は何もイチにお返しできていない。私は……イチの名前も知らないんだ」
「イチの本名ってこと?」
「そうだ。何か聞こうと思ったり、手伝おうとすると、いつも逃げられてしまう」
もしかしたら、と小さくつぶやいた後、耳を力なく前へ垂らしてベッドの側に膝をつく。
「嫌われてしまっているのかもしれない。貰ってばかりで、何かをしようとしている私に、愛想を尽かしているのかも」
そう言って落ち込んでいるオグリを見ていた私は、なんだかムカついていた。なんなんだ、この二人は。全くお似合いじゃないか。
イチもオグリもまるで鈍感だ。どんなに昔のラブストーリーでもこんな登場人物はいないだろう。なんせ、話が進まない。
私はまだ、この学園でそんなことしてくれる人に出会っていないのに――なんなら私の方が長く、イチと一緒にいたはずなのに。
そんなことを考えている自分にも攻撃的な気持ちが募っていた。自分のこのイライラと、これまで自分が積み重ねてきたことが反発しているから。
自分から相手を排し一人で強くなろうとしてきたんだから、そりゃ誰にも深く好かれはしない。そんなことはわかってる。
でも、実際に目の前で『うまくいったとき』の世界を見せつけられると、それはそれでどうしようもなくムカつく。
しかも本当のところ、イチはアンタのことを憎んでいるんだぞ――
「ねえ、オグリ」
少しだけ棘のある声が自分の口から飛び出す。はっとした様子で、オグリが素早く顔を上げる。
「今夜中に解決してよね、マジで」
「うん。任せてくれ」
真剣な表情と一緒に返事が返ってくる。やり場のないムカムカにブーストがかかる。
じゃあ任せたから、とだけ言い残して、私は足早にタマセンパイの部屋まで向かった。 - 105了船長22/11/11(金) 22:49:16
「お疲れです、ジャマします」
「おーモニちゃん、よう来たな」
少しだけ乱暴にドアを開けた私に、タマセンパイが目を丸くする。
「……どしたんや、なんかあったんか」
「別に、何でもないですッ」
「小指でも打ったんか」
「廊下を歩いてきたんだから、ぶつける所が無いですよッ」
喋りながらズンズンと大股で部屋に入り、空いているベッドに座り込む。そのままパソコンのケーブルを引っ張り出して本体とつなぎ、空いている電源を探す。
オグリの充電器引っこ抜いてええで、とタマセンパイが助言をくれた。素早く抜いて、私の分を差し直す。
「イチちゃん起きとったか?」
「いーや。まだスヤスヤしてます」
「……なんや、カリカリしとるなあ」
つっけんどんな私の口調が理解できないのだろうか、少しばかりの間をおいてタマセンパイが声を発した。振り返って見ると、手にはスナック菓子の袋を持っていた。
「せっかくやし、モニちゃんも食べるか?」
「貰います」
にんじんチップスを手のひらに乗せてもらって、一息に口の中へ放り込む。 - 106二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 22:53:18
このレスは削除されています
- 107二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 23:07:18
このレスは削除されています
- 108二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 23:16:49
このレスは削除されています
- 109了船長22/11/11(金) 23:44:31
「そんないっぺんに食べたら勿体ないやろ! 大事に食べや」
そういうタマセンパイは有言実行か、一つ一つつまみ出しては二回に分けて食べている。
「……イチがあんなに好かれてるって知らなくて。私もまあ頑張ったのに、なんかヤだなって思っただけです」
「まだイチちゃんはモニちゃんが頑張ったって分からんからなあ。起きてからちゃんと話せばええ」
タマセンパイが、ほれ、と言いながらまたお菓子の袋をこちらに出してくれる。受け取ろうとして手を差し出すと、袋を引っ込めて反対の手で握ってきた。
「うわッ」
「モニちゃんはよう頑張った。誰かに何か頼むの、得意じゃないタチやろ」
私は何も言わず、タマセンパイの手を見つめる。
「うちらもモニちゃんのこと、あんまりよう知らんかったからな。イチちゃんもどうやらお堅いだけのマジメってわけちゃうみたいやし、良かったなあってフジとも話しとったんや」
「……急に先輩風吹かせないでください」
「風も何も、こちとら稲妻サマやぞ。おおきにな」
誰かに頼りたくないのは、こういうのに慣れていないから。
いい結果ってワケでもないのに、褒めちぎられるのは気恥ずかしい。私だけが私の機嫌を取ればいい。
でも、タマセンパイにこうやって褒められるのは、悪い気分じゃない。
誰かと対話することを面倒臭がらないで、ちゃんと対話して、歩み寄る。
キザな考え方でホントは怖がってる気持ちを誤魔化さないで、必要な時にはきちんと頼る。
自分ばっかりの責任じゃ、できないこともある。
パソコンを脇に置いて、タマセンパイの手の上に重ねる。
「今日まで、ありがとうございました」
「大したことやないで、モニちゃん。今度はトレーニングの手伝いでも、やらせてもらおかな」
「イヤっす。絶対勝たしてくんないから」
イチのおかげで自分の殻を破れた私は、きっと少しだけでも、成長できたのだと思った。
了 - 110了船長22/11/11(金) 23:47:34
(最終日含め全編 終了です)
(全40レス以上にわたり消費してしまって申し訳ありませんでした 削除分とかを含めたらもっと超えそう)
(モニちゃんへの理解度が自分も深まりました 読んでくださった方、ありがとうございました) - 111二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 23:52:40
あ、結末がちょっと変わってる
トレーニングに誘う終わりも過去作の繋がりを感じて好きよ
とにかく乙なんだ - 112了船長22/11/12(土) 00:18:41
クリークさん、日常のお世話は小さいころからご両親のお手伝いをしてきたから得意だけれど、こういう刃物とか流血を伴うような緊急事態には、年相応ではないかなと解釈しています。解釈違いでしたら申し訳……
アレ書いたの10か月前ですって マジ?
モニちゃんが大分浸透してきましたので、あの時できなかったことを! と思いまして……
マジですみませんでした(
そんなつもりはなかったんですが、気が付いたらイチちゃんの恋の謎を解くような描写が増えていました
今回の話では「フジ寮長もクリークさんも、モニちゃんの申し出があったからこそその日に準備できていた」ということで、万能のスーパーウマ娘ではないように注意をして書いたつもりです。(じゃあpart5の最強マジシャンフジキセキな描写はなんなんだ、と言うのは気に入ってるから脇に置いとくとして……)
ありがとうございました。この方が確かに良かったです。時間も量もかけすぎてしまいました
ありがとうございます!!!! 自分も漸く最も好きな架空ウマ娘(競走馬)を本文中に登場させられて嬉しいです。皆も「吹けっ! 白い風 茨城に舞い降りた平成のダービー馬」読んでね!
ウィナーズサークル(ウマ娘)来ねえかなあ……
あんまりにも酷いセルフパロディでしたので、土壇場で変えてしまいました。ご迷惑をおかけしてしまい……
何よりただでさえ新規の方に厳しい昔話の掘り下げをしているのに、もっと難しくしたら良くないだろうと。
やるならこっちの方が前向きですし、綺麗にまとまっているので良いかなと!
- 113二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 01:07:24
慌てふためいたりやっぱり優しかったりするクリークがよかった(こなみ)
- 114二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 11:41:14
乙でしたなんだ!
- 115二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 20:27:28
ウィナーズサークルはワンチャンある気がするんだ
オサイチぃ - 116二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 23:06:25
素晴らしかったんだ!
ありがとうございますなんだ! - 117二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 08:22:26
とても良かったんだ。
乙なんだ - 118二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 11:11:06
不器用なイチとオグリのやり取りがもうね、たまりませんね。微笑ましくて愛らしい
- 119二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 13:16:10
かわいい!
- 120二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 22:59:52
素晴らしいんだ…
- 121二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 23:28:30
好きなオリウマssを読むとエディットモードがほしくなるんだ
- 122二次元好きの匿名さん22/11/14(月) 10:01:44
なんで実装しないのかが疑問なんだ
- 123二次元好きの匿名さん22/11/14(月) 20:11:21
保っ守なんだ
- 124二次元好きの匿名さん22/11/14(月) 21:08:42
スペ「あの、デジタルさん。『イチモニ』って知ってますか?」
デジ(ええぇ!?なんでスペシャルウィークさんがイチモニなんて単語を知ってるんですかぁ!
レスアンカーワンさんとエイジセレモニーさんのカップリングを知ってるなんてウマ娘好きでも通だけですよ。
もしかしてスペシャルウィークさんもかなりディープなウマ娘ちゃんオタク!?
純粋そうなフリして実は夜通しウマ娘ちゃんの愛を語れるタイプなんですかね。
まさか同士がこんなところにいるなんて思いもしませんでしたよっ)
スペ「デジタルさん、どうしたんだろう……鼻血出しながら固まっちゃった……。テレビの話をしただけなのに」
※北海道では『イチモニ!』という朝の情報番組が放送されています - 125二次元好きの匿名さん22/11/14(月) 23:14:23
その番組の存在を知ったイチとモニーの反応も面白そう
- 126二次元好きの匿名さん22/11/14(月) 23:36:46
もしかして”あさイチ”と”モーニング”を足したのが由来じゃな?
- 127了船長22/11/15(火) 01:01:25
- 128二次元好きの匿名さん22/11/15(火) 10:12:53
- 129二次元好きの匿名さん22/11/15(火) 21:49:26
保守
- 130二次元好きの匿名さん22/11/15(火) 22:24:21
- 131二次元好きの匿名さん22/11/16(水) 05:00:48
変な時間に目が覚めてしまった…カシオペアはアンドロメダの母親
イチママということだな! - 132了船長22/11/16(水) 14:50:14
- 133二次元好きの匿名さん22/11/16(水) 21:03:45
カシオペアテソーロって馬もいるんですね
しかも父ロブロイ、母父タイキというウマ娘血統 - 134二次元好きの匿名さん22/11/16(水) 21:08:03
ちょろっと調べてみたら2位3位が続いてて応援したくなる!
- 135二次元好きの匿名さん22/11/17(木) 02:29:48
保守
- 136二次元好きの匿名さん22/11/17(木) 02:51:39
ウヒヒシングレ面白くて寝られないよお…
助けてイチママ - 137二次元好きの匿名さん22/11/17(木) 12:36:54
かわいい!
- 138二次元好きの匿名さん22/11/17(木) 22:47:19
この機会にシングレ全部読んでオグリの解像度上げるぜ!
- 139元スレ主22/11/18(金) 08:14:30
久しぶりに何か書きたい
前にも同じようなこと言っといてリアルで色々あったせいで書かなかったのは本当に申し訳ない
しかし何となくこういう描写を使いたいなみたいなのはあれど全体の構想が思いつかない - 140二次元好きの匿名さん22/11/18(金) 08:26:50
おお久しい、のんびり待ってます
- 141二次元好きの匿名さん22/11/18(金) 17:46:18
楽しみにしてるんだ!
- 142二次元好きの匿名さん22/11/18(金) 22:02:28
スペ「あの、スズカさん。『イチ』って呼ばれてる娘、聞いたことありますか?」
スズカ「イチ・・・?ああ、もしかしたら」
スペ「知ってるんですか?」
スズカ「たぶん、あの子だと思うの。朝に走りこんだ後、よく見かけたことがあるから。いつも朝早くから誰かを待っていたわ。お弁当を持って」
スペ「お弁当を持って、朝早くから、ですか・・・?」
スズカ「そうみたいね。あんな早い時間にお弁当を作っていたなら、きっと早起きして用意したんでしょうね」
スペ「うわぁ・・・私にはムリかもです」
スズカ「ふふ、スペちゃんは朝が苦手だものね」
スペ「ぐぬぬ・・・。言い返せないのが悔しいです。でも、きっと――」
スズカ「きっと?」
スペ「その『イチ』さんが丹精こめてお弁当を作っているのはよくわかりました。きっと、大切な娘のために作ってるんでしょうね」
スズカ「私もそう思うわ。だって――」
――その『イチ』という娘はいつも、お弁当を持って誰かを待っている時、幸せそうな顔をしていたもの。
- 143二次元好きの匿名さん22/11/18(金) 22:13:07
- 144二次元好きの匿名さん22/11/18(金) 22:37:40
- 145二次元好きの匿名さん22/11/18(金) 22:42:32
何気ない日常の、でも幸せそうなイチを見かけた話好き
- 146二次元好きの匿名さん22/11/19(土) 08:06:51
素晴らしいんだ!
- 147二次元好きの匿名さん22/11/19(土) 11:06:51
あえて今まであまり出てこなかったウマ娘をもっと登場させたいんだ
- 148了船長22/11/19(土) 20:19:29
- 149二次元好きの匿名さん22/11/19(土) 20:42:35
どうしてモニちゃんは一人で踊ってるんだ?イチちゃんの前でも踊ればいいのに(ニヤニヤ)
- 150二次元好きの匿名さん22/11/20(日) 00:15:59
かわいいんだ!
- 151二次元好きの匿名さん22/11/20(日) 11:37:24
- 152二次元好きの匿名さん22/11/20(日) 12:06:45
- 153二次元好きの匿名さん22/11/20(日) 22:36:35
保守なんだ
- 154二次元好きの匿名さん22/11/20(日) 22:49:26
モニちゃんも顔真っ赤なシチュがよく似合う…
- 155了船長22/11/20(日) 23:20:39
「優等生サマ」は今日、帰りが遅くなるらしい。ドアの脇にかけられた、時の流れをイヤでも感じさせるほど色の抜けたホワイトボードが、私に語りかける。
別に、その優等生サマがとうとうグレたから、とかじゃない。無知なフリをできないくらいには、その優等生サマと一緒に過ごしてきたつもりだ。
中央の学生、特にレース専攻で選手として走る私たちは、求められたならそれを満たせるくらいにトレーニングに励まなければいけない。ひいてはそれがファンの人――沢山いるわけでは無いケド――の笑顔にもつながるから。最初の話題には上がらないけど、3次会くらいで「そういえばあの子すごいよね」くらいのレベルにつながれば、まあまあ嬉しい。
話を戻すけど、優等生サマで私のルームメイトが遅くなる理由は、ナイターレースに慣れるよう夜のコースを走り抜く練習をするから。地方のトレセンが主催するレースでは、夜遅くまでレースをする。珍しいことじゃない。「未成年を夜遅くまで走らせるなんて、どういうことだ」なんてくだらん口喧嘩する大人もいるにはいるけど、私達はやりたくてやってるんだから口出ししないでほしい。
- 156了船長22/11/20(日) 23:20:53
もちろん、遅くまでかかる練習はめちゃくちゃ疲れる。やっぱりこう、日が照らすうちにサボれるわけじゃないから、もう意外と辛いのにめちゃめちゃ追い込まないといけないから消耗が激しい。次の日の学科でうとうと船を漕いでる子がいたら「ああ、あの子は昨日、夜練だったんだな」と先生たちも配慮してくれるくらいには体力がなくなる。そんなときだけは先生に感謝です。でも小テストの量とクオリティ、落としてほしい。
ルームメイトが帰って来ないと分かった私は、いつも使っている、すっかり耳に馴染んだワイヤレスイヤホンを嵌めた。トレセン学園の合格が決まって、私以上に喜んでるパパとママに頼んだらするりと買ってくれた、ミドルクラスのイヤホンだ――ルームメイトに値段を話したら、「高くない!?」って驚くくらいの価格だけど。 - 157了船長22/11/20(日) 23:21:10
嵌めたあとにペアリングされたことを示すチャイムみたいな音を聞いたあと、私は音楽アプリを起動して、自分が最近ハマっている音楽の再生ボタンを押した。いつもならギリギリルームメイトの――もう面倒だからイチでいいや――声が聞こえるくらいの音量で音楽を流すけれど、今だけは別だ。ノイズキャンセリングモードに切り替えて、不必要なくらいに音量を上げる。私の耳を通じて、素早いベースの低音が頭の中を支配する。
次第にカットインしてくるバスドラムの音と、繊細だけれど硬くて芯の通ったボーカルが私の身体を揺り動かす。ウイニングライブの稽古では絶対に教わらないような、シンプルで洗練されていない体の揺れ。誰かを楽しませるためじゃなくて、私が満足するための踊り。私はただひたすら、私の耳から飛び込んでくる大きな流れに身を寄せて、恍惚に浸っていた。
これぞ先手必勝。気を遣う相手のいないうちに楽しまなきゃ損だ。これが「気持ちいいな」ということなんだろう。私だって誰にも迷惑はかけたくないなと思うが、それが起こり得ないのなら、自分が楽しむために全力を尽くしたい。それは例えば、部屋に同室のルームメイトがいない夜であり、大音量で流れる音楽に、己の望むがままに、無秩序なままに身体を揺らせる夜を指すんだろう。
私達は他のウマ娘たちと戦わないと褒めてもらえない。なんなら戦うだけではダメで、勝たなければいけない。せめて善戦しなければ、本当に褒めてもらえない。負けに負けたあと、それが逆に評価されるなんて、少なくとも私はそんなのを認められない。やるなら勝たないとダメじゃん――タマセンパイもそう言ってた。「勝て」って。 - 158了船長22/11/20(日) 23:21:22
曲のサビに近づくにつれて、私の身体の揺れはどんどん大きくなっていった。もっと、もっとだ。私を満たせ。脊髄反射で動く身体が、思わず涙を流すくらいに、絶体絶命なまでに私を追い込め。
右手に握った端末の音量ボタンを大きくする方に数回連打する。単純明快だ。大きければ大きいほど、私を気分良くしてくれる。部屋の真ん中で、悦に浸れる。
正味なとこ、レースはだりいし脚は痒いし、終わったあとはめちゃくちゃしんどい。でも私は、私達はどういうわけか、それを止められない。走りたくて、なおかつ勝ちたい。一人勝ちできるならそれに越したことはない。私がレースで先頭を走り続ける理由はこれだ。一人で戦って一人で勝てば、誰も文句は言ってこない。
私の膝が音に合わせて曲げられては、また伸びてを繰り返す。身体はどんどん心地よい音に身を任せていった。
そうしているうち、少し落ち着くような緩急をつけてから、最後の大サビに入る。繰り返されるメロディと韻を踏んだ歌詞、速いテンポが大きな波となって私をトレセンの寮室ではないどこかへ運ぶ。それに合わせて、身体の揺れは大きくなっていく。私は自分の世界にすっかり浸りきっていた。
気持ちいいな――
満足感と一緒に、ボーカルの吐息と共に音楽が終わる。すべてをやり遂げた気持ちで、太ももに心地よい疲労感も覚えた私はイヤホンを取り、寮室の天井を見つめた。トレーニングもレースも辛いけれど、時折こんな気持ちにひたれるのであれば、もう少し続けてやってもいい。 - 159了船長22/11/20(日) 23:49:06
「モニー、今なら聞こえるだろうか」
背後から飛びかかってきた予想外の音に、私は鳥肌を浮かべながら跳び上がった。きっと、みっともないような声も上げていたと思う。
「その、何か辛いことがあったのなら、相談に乗るぞ」
脂汗を耳の先から流しながら振り返ると、果たしてそこには、すっかりニュースの写真で見慣れた葦毛のスーパーウマ娘が、困惑しきった表情で立っていた。
「イチにも言えないことなら、私が聞ける。大丈夫か?」
一人で最も気持ちよくて、最も誰かに見られたくない姿を目撃された私は、レースで発揮する集中力さながらに、部屋を最大速度で飛び出した。
了 - 160二次元好きの匿名さん22/11/20(日) 23:53:06
いいんだ…!
- 161了船長22/11/21(月) 00:05:22
- 162二次元好きの匿名さん22/11/21(月) 08:09:17
ありがとうございますなんだ!!
- 163二次元好きの匿名さん22/11/21(月) 12:40:04
- 164二次元好きの匿名さん22/11/21(月) 17:37:00
- 165二次元好きの匿名さん22/11/21(月) 23:16:40
~カフェテリアでの一幕~
タキオン「・・・はぁ」
シャカ「わざわざ隣の席に来てまで、辛気くせぇツラすんじゃねぇ」
タキオン「そうは言ってもねぇ、これは私にとって重大な問題なんだよ。命にかかわると言っても大げさじゃないんだ」
シャカ「どうせ聞くまで動かないんだろ。しょうがねえ、何があったか聞いてやろうじゃねえか」
タキオン「ああ、君はやっぱり優しいんだね」
シャカ「・・・テメーのPC、ハッキングして使い物にならなくしてやろうか?」
タキオン「やめたまえ、その脅しは怖すぎる」
シャカ「ならさっさと懸案事項を話したらどうだ」
タキオン「実はね、私の朝ごはんのことなんだが」
シャカ「あぁ?」
タキオン「そんなに怖い顔をしないでくれたまえ!モルモット君は昼ご飯しか作ってくれないんだ。朝ごはんまで作らせるにはさすがに忍びなくてねぇ」
シャカ「まあ、わざわざ早起きしてメシを作るのはそう簡単なことじゃねぇだろうな」
タキオン「ああ、そうだろう。でも聞いたことがあるんだ。あの芦毛の怪物に、ほぼ毎朝お弁当を作っているウマ娘がいるとね」
シャカ「ああ、レスアンカーワン・・・だっけな。物好きなヤツだな。オグリキャップに飯を作ってやるなんて、狂気の沙汰だぜ。炊飯器がいくつあっても足りやしねえ」
タキオン「まったくだ。論理的な行動とはいえない」
シャカ「確かに、ロジカルじゃねぇな」
――めずらしく意見が一致した天才たちは苦笑いする。
誰かに朝ごはんを作ってあげるなんて行為は、決して論理的ではないかもしれない。
でもそこに込められた想いが、決して軽くないことも、理解しているから。 - 166二次元好きの匿名さん22/11/22(火) 10:02:07
良き良きなんだ
- 167二次元好きの匿名さん22/11/22(火) 10:47:44
- 168了船長22/11/22(火) 11:07:22
わぁい気づいてもらえて嬉しいです👐
モニちゃんが聞いてるのもこの曲です。自分も書いてる間ずっと聞いてました。紹介してもらえて嬉しい
周りには公言しないけど、某電動ノコギリマン好きそうですよねモニちゃん
- 169二次元好きの匿名さん22/11/22(火) 21:54:41
保守なんだ
アプリで最強チームを作るんだ - 170了船長22/11/22(火) 22:07:04
イタズラ心で「ハツラツ」とからかうイチちゃん
どこでそれをと恥ずかしくなって赤くなるオグリ
可愛らしい姿につい庇護欲が生まれるイチちゃん
「イチはなんて呼ばれていたんだ」と聞くオグリ
「教えない」と言って頭を撫で続けるイチちゃん
まいにちイチちゃんでwikiに投稿する予定のネタでした 存分にいちゃついてほしい - 171二次元好きの匿名さん22/11/23(水) 08:20:22
可愛いんだ!
- 172二次元好きの匿名さん22/11/23(水) 18:17:28
良き良きなんだ
- 173二次元好きの匿名さん22/11/24(木) 00:40:24
保守なんだ
みんな素晴らしいんだ! - 174二次元好きの匿名さん22/11/24(木) 00:42:43
イチは当然ハツラツを可愛がるよなぁ?
- 175二次元好きの匿名さん22/11/24(木) 10:02:10
可愛がって欲しいんだ…
- 176二次元好きの匿名さん22/11/24(木) 20:14:34
イチちゃんは餌付けでハツラツを手懐けるオネロリ…
…オネロリ? - 177二次元好きの匿名さん22/11/24(木) 20:34:25
- 178二次元好きの匿名さん22/11/24(木) 20:36:12
(あまりいつもと変わってないな…)
- 179了船長22/11/25(金) 03:54:23
「前回までのあらすじや」
「ある日朝起きたらオグリがちっこくなっちまってさぁ大変、こんな時に限って肝心のクリークはレースで不在、とんと大変なことになっちまった。タキオンのヤツをとっちめなきゃなあ」
「騒ぎを起こさないために、何故か私とイチの部屋で預かることになったってワケ。……なんで?」
◇◇◇◇◇◇◇
「おねえちゃん、だあれ?」
「わ、私は……イチ。イチっていうの」
「イチ? イチおねえちゃん?」
「そうよ。ええと、よろしく、お願いします」
「うん! よろしくね……わあっ」
「あッ危ない、大丈夫? 痛くない?」
「……うう〜」
「痛かったわね、泣かないで。ほら、よいしょ! ……ね、あなたは強い子だから。そうだ、あなたのお名前は?」
「ハツラツ」
「は、ハツラツ?」
「オグリキャップだけど、おかあさんはハツラツって呼ぶの」
「ハツラツ、ハツラツ……かわいい名前ね」
「えへへ、ありがとう。……お腹へった」
「なにか食べよっか。おいで、作ってあげる」
「ほんと? やった!」
「いっぱい作るからね、全部食べるのよ?」
「うん!」
みたいな感じでしょうか(ハツラツさんはイチちゃんに抱っこされています)
- 180二次元好きの匿名さん22/11/25(金) 03:59:19
- 181二次元好きの匿名さん22/11/25(金) 08:44:43
「ちっちゃいオグリさんなら、わたしだって面倒みれるよね~」
とタカをくくったものの、慣れない子供の相手にストレスがたまってついチビオグリに辛く当たってしまい、ものすごく後悔と自己嫌悪に襲われるモニーちゃん? - 182二次元好きの匿名さん22/11/25(金) 10:35:01
- 183二次元好きの匿名さん22/11/25(金) 19:17:25
- 184二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 00:20:02
可愛いんだ!
- 185二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 00:55:17
- 186了船長22/11/26(土) 02:23:35
「前回までのあらすじや」
「タキオンに元通りの薬を最優先で作らせちゃあいるが、どうにも難航しててもうしばらく辛抱しないといけねぇ」
「小さくても沢山食べるだろうと思って、私達が普通に食べる一人前を作ったらペロリと食べちゃった。……なんで?」
◇◇◇◇◇◇
「ねぇモニーおねえちゃん、イチおねえちゃんは?」
「……あ、ごめん、聞いてなかった、何?」
「何してるの?」
「特に何も」
「わたしもみたい」
「ん……待て待て、ベッドから降りんなって言われてんでしょ」
「でも、みたいから。よいしょ」
「高いんだからやめとけって」
「だいじょうぶ……わあっ」
「うわ、言わんこっちゃない、なーッ、もう」
「……ううっ、ぐすっ」
「泣くな泣くな、ほら」
「うぅ〜……」
「立てる? 手、掴んで。そうだ、腹減ってないか、なんか食べに行くか?」
「……いかない。お腹減ってないもん」
「あー、そうか……」
「モニーおねえちゃんのやつ、みたい」
「そんな大したもんじゃないんだって」
「やだ! モニーおねえちゃんのいじわる」
「そういうワケじゃないんだけどな、だぁー、もう。そこ座っといて」
「うぅ、ぐすっ」
「泣くな泣くな、くそー、無理だ、分かんねー」
- 187了船長22/11/26(土) 02:51:25
◇◇◇◇◇◇
「ただいま」
「あーッ、イチ」
「どうしたの、モニー」
「私じゃ無理。代わって」
「オグリ、どうして泣いてるの」
「なんかベッドから降りたがっちゃって、うまく立てなかったみたいで」
「ハツラツ、大丈夫?」
「ぐすっ、イチおねえちゃん」
「うん。痛くない?」
「へいき。いたくない」
「うん、良かった。……一応、帰ってきてるクリークさんとタマモ先輩に連絡したほうがいいかな」
「分かった、任して」
「お願い、モニー」
◇◇◇◇◇◇
「呼んでくれてありがと、モニー」
「いや、別に……なんかごめん。マジで分かんなくて」
「私も分からないわよ、小さいオグリの面倒見るなんて……」
「でもなんだかんだ上手くない? あやすっていうか、自然に好かれるっていうか」
「そんなつもりは無いから、正直、自信ない。頼られてるのは嬉しいけど」
「なんかオグリも、思ったより足元緩いし」
「走るのはともかく、歩くのも辛そうに見えるのよね」
「うん……今のオグリからは想像できんわ」
「本当ね。オグリのお母さん、大変だったのかな」
「……次からホントに、目離さないようにする」
「うん。私も気をつける」
みたいな感じでしょうか(高校生くらいの年齢なら、子供に強く当たるのはいくらなんでもやらないだろうと思ったので、理解が及ばない未知の存在への小さな恐怖と意思疎通の難しさに困惑する、と解釈しました。失礼……) - 188二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 02:53:51
そうだった…ハツラツ時代は脚が…(´;ω;`)
- 189二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 13:06:56
よくここまで育ったね
- 190二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 13:08:06
- 191二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 13:08:18
そういやこれ親友スレだっけ
- 192二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 13:27:24
- 193二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 13:30:05
よろしく頼む
- 194二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 14:03:37
- 195了船長22/11/26(土) 15:09:37
自由でございます
親友、恋人関係、片思い、ライバル……姉妹とかの家族関係にまで持ち込まなければ、イチちゃんとモニちゃんの間はどんなものでも良いと思うのです(実は姉妹でしたというのはそれはそれで面白そう)
自由自在、ご自分だけのイチちゃんモニちゃんを定義してあげてください。合言葉は「あとはふんわり」ですので!
- 196二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 18:13:16
たて乙ァ!
- 197二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 18:45:18
たておつぁ!
- 198二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 19:03:42
乙なんだ!
- 199二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 19:04:10
ウメウメ
- 200二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 19:04:34
じゃあな!