【SS・クロス注意】おはよう、ウタ    その7

  • 1◆jTjAfv9SHdw323/04/30(日) 21:10:46

    こんなに長く書けるとは思いませんでした
    亀のようにゆっっくり更新し続けているこのSSを見続けてくれている方々、本当にありがとうございます
    このスレはポケモンのダークライがウタと日常を送るお話となっています
    何でこんな関係になっているかは最初から読んでくれると多分わかります
    ※スレ画は最初のスレで貰ったものです

  • 2◆jTjAfv9SHdw323/04/30(日) 21:12:12
  • 3◆jTjAfv9SHdw323/04/30(日) 21:14:27

    ↓参考としたダークライの大まかな情報
    ・人々やポケモンを深い眠りに誘い悪夢を見せてしまう能力「ナイトメア」がある。
    ・この悪夢を見せてしまう能力は、"自身の意思に関係なく勝手に発動してしまう"ものであるらしく、"コントロールや制御が出来ない。"その為、悪夢で誰かを苦しめてしまう事を望まないダークライは、誰とも関わろうとせず自ら孤独に生きているらしい。

    (以上、ピクシブ百科事典より一部転載)
    URL:ttps://dic.pixiv.net/a/%E3%83%80%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A4

    ttps://dic.pixiv.net/a/%E3%83%80%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A4%28%E3%83%9D%E3%82%B1%E3%83%80%E3%83%B3%29

  • 4◆jTjAfv9SHdw323/04/30(日) 21:31:55

    「こういうのってどのくらいすれば良いんだろうね」

    ・ウタはかなり準備を進めている。が、どこまでやれば大丈夫かわからないようだ。初めてなので無理はないと彼は思う。

    「ゴードンはいくらしてもし過ぎることは無いって言ってたけど、これじゃ終わらないよ…」

    ・国王ならそういうだろうと彼は思った。出来るだけ万全な状態にしてほしいと考えるのは自然だ。

    「シャンクスやルフィたちはどうしたかな」ムムムム

    ・確かに、大海賊の彼等なら答えられないことは無いだろう。しかし、後の祭りだ。その時は考えてなかっただろうから。

    「あんたも空を飛んでここに来たから航海なんて知らないよね…」

  • 5◆jTjAfv9SHdw323/04/30(日) 21:59:18

    〈……〉コク

    ・全くその通りで、生きた年月の割にはウタと持ってる知識の差は無い。

    「エレジアは“新世界”じゃないからそこほど厳しいわけじゃないみたいだけど…」

    ・少なくとも補給船が問題なく来れる海域ではある。国王が肯定した理由の1つかもしれないと彼は思った。

    「ちょっと散歩しよっか」

    〈……〉スック

    ———

    「〜♪〜♪」

    やっぱり風を感じながら歌うのは気持ちいい。気分転換するのには最高。

    〈…♪〉フンフン

    あたしの鼻唄に合わせてる。楽しそう。

  • 6◆jTjAfv9SHdw323/04/30(日) 22:25:13

    「あ、ここってさ」


    〈!〉


    お城に棲む前にあんたが居着いてたところだ。島の外れのここにずっと……1人で。


    「前に1回連れてきてもらったっけ」


    確かここでシャンクスの手配書を見せてもらったんだ。その時はあたしがシャンクスを誤解してたから泣いちゃったけど。


    〈………〉


    あんたにとってのここってどんなところなんだろ。見渡してるけど表情が無さすぎてわからないや。


    ワウ!


    「…!」


    野良犬。久しぶりに会った気がする。

  • 7◆jTjAfv9SHdw323/04/30(日) 22:40:28

    …ニヤリ


    〈?〉


    機嫌が良さそう。こっちに近づいてくる。


    クゥ……(スリスリ


    〈…!〉


    頭を寄せてきた!自分から!


    〈……〉ヨシヨシ


    クゥ〜〜!


    「良かった!動物たちにもわかってもらえて」


    そう、この人は良い人なの。もう悪夢なんか見せないってことがわかるみたい。

  • 8二次元好きの匿名さん23/04/30(日) 22:48:34

    たておつ!
    穏やかな関係がとても良い

  • 9◆jTjAfv9SHdw323/04/30(日) 23:09:08

    〈……〉グッ

    「わッ!ちょっと……」

    野良犬の前に抱き寄せられた。あたしも撫でてみてってこと?

    ……フンスッ!

    「……!」アワワワ

    ちょっと怖い。この子前に吠えられた気がするんだけど……。

    ベロッ

    「ひゃっ!」

    ベロッベロッ

    「ちょっと〜!」

    〈……♪〉フッフフ

  • 10二次元好きの匿名さん23/04/30(日) 23:14:17

    たて乙
    犬にペロペロされるウタ…

  • 11二次元好きの匿名さん23/05/01(月) 07:05:49

    hosyu

  • 12二次元好きの匿名さん23/05/01(月) 18:49:48

    ペロペロされるのほほえましい
    黒い人も犬になつかれるウタをほほえましいと思ってるんだな

  • 13◆jTjAfv9SHdw323/05/01(月) 19:32:12

    .

    .

    「結構舐められちゃった…」エヘヘ


    ああされたのは初めてだったな。よだれとかでもっと濡れると思ってた。


    「でも…今の結構気持ち良くて好きかも。あたしもペットほしくなっちゃった」


    〈……〉ニッ


    もしかしたら飼ってみたりとか出来ないかな。かわいい名前をつけてお世話してみたい。


    「……あの子は大きすぎるか」


    あたしどころかあんたより大きかったし、部屋に入れないんじゃないかな。


    〈……〉コクッ


    「だよね。でももっと仲良くなりたいな〜…」フフ


    配信でこのこと話してみよっと。みんなはどんなペットを飼ってるかな。

  • 14◆jTjAfv9SHdw323/05/01(月) 20:34:30

    .

    .

    「へ〜〜、犬っていろんなこと覚えるんだ」


    出来ることがいっぱいあるんだね。


    「町の犬を見せてくれるって?見たい見たい!」


    ファンの1人が電伝虫にその子を映してくれた。


     ……。


    シュシュっていうんだって。さっきの子より小さいけど、凛々しい顔。


    「カッコいい子だね。あたしも会ってみたいな…すごい、その子ってあなたの?」


    猫とか鳥とかいろんな子を見せてくれた。みんなかわいいな〜!

  • 15◆jTjAfv9SHdw323/05/01(月) 22:42:58

    「あんたはあの中に好きな子とかいる?」

    〈………〉フーム

    スリ...

    「ん?……一緒に選びたい?」

    身体を寄せてきた。あたしにも選んでほしいのかな。

    「じゃあえ〜っと……。前より仲良しだって?そうかな?」

    〈!〉

    前から態度はわかりやすいけど、言われてみれば最近はもっとはっきりしてきたかも。さっきのワンちゃんとのスキンシップも前ならしなそうだったし。

    〈♪〉

    そう言われて嬉しいみたい。何だかかわいい。

    ——————

    「うんうん!だいぶ進んできた!」

  • 16二次元好きの匿名さん23/05/02(火) 06:55:45

  • 17二次元好きの匿名さん23/05/02(火) 18:06:55

    ところで旅に出るなら1人かな?

  • 18◆jTjAfv9SHdw323/05/02(火) 22:43:27

    「順調みたいだな。ウタ」

    「もっちろん!多分これで出来ることは全部!あとはこれから次第ってとこ!」

    「治安は良くなったから旅もしやすくなった。だが、海はずっと同じだ」

    「わかってる。だから今まで勉強したんだし!」

    「出航の日が楽しみだな」

    「ありがと!」

    ゴードンがこんなこと言ってくれるなんて!

    〈……〉スタスタ

    「お帰り!」

    〈……〉サッ

    もう1人で牛のお世話も出来るもんね。

  • 19◆jTjAfv9SHdw323/05/02(火) 23:22:18

    「ところでだが、君はどうする?」

    ———

    〈?〉

    ・国王の問いかけに彼は首を傾げた。質問の意味がわからなかったからだ。

    「つまりだ。ウタが旅に出る時は君もついて行くのかということだ」

    〈!〉

    ・彼はようやく理解した。それは考えたことも無かった。

    「まァ君なら答えは1つだろうが…む?」

    〈………〉

    ・彼は考え込んだ。ウタの旅を喜んではいたが、自分のことなど全く頭に無かったからだ。

  • 20◆jTjAfv9SHdw323/05/02(火) 23:52:25

    〈……〉チラッ


    「ゴードンのことが気になるの?」


    ・彼は国王に目をやった。あることが頭に浮かんだ。


    「……まさか私を気にかけているのか?」


    〈……〉コク


    ・その通りだ。もともとここ(エレジア)には3人しかいない。ウタだけでなく自分も発てば、国王は独りになってしまう。


    「はは、私の心配なら無要だ。ここは私の国であり、故郷だ。国民や君たちとの思い出を振り返るだけでも退屈はしないとも」


    〈……〉チラッ


    「あたしの心配もしなくて良いよ!これはあたしが望んでることだから、何があっても後悔はしないつもり。誰かが心配だからとかじゃなくて、あんたがこうしたいって思ったようにして良いんだよ」


    ・彼の心配を解きたかったのだろう。ウタは彼の正面にまわり、凛々しく優しくこう口にした。

  • 21二次元好きの匿名さん23/05/03(水) 09:45:39

    保守

  • 22二次元好きの匿名さん23/05/03(水) 21:10:08

    ここは1択と思ったけど迷うのか

  • 23◆jTjAfv9SHdw323/05/03(水) 23:13:03

    〈……〉

    ・彼はちょっと申し訳なくなり、少しうなだれた。

    「気にしないの!その日までに決まってれば良いんだから、それまで楽しく過ごそ♪」

    ・これではどっちが年上かわからないと、内心彼は自嘲した。

    ——————

    〈……〉ピラ...

    「何読んでるの?」

    〈!〉

    あんたが何かを読んでるって珍しいような。

    「へ〜、動物の図鑑?この前ファンのみんなにペットを見せてもらったから?」

    〈……〉コク

  • 24◆jTjAfv9SHdw323/05/03(水) 23:21:48

    「どの子も可愛かったよね〜♪あ、あたしにも見して〜」

    他にもかわいい動物っているのかな。
    .
    .
    〈……!〉ピタ

    「ん?」

    手が止まった。気になる動物がいたかな。

    〈……〉チラッチラッ

    あたしと図鑑を見比べてる。

    「ひょっとしてうさぎ?あは、この子すごいね!」

    たくさん載ってるかわいい子たちの中に大きくてコワモテなのがいる!ラパーンっていうんだ。

  • 25◆jTjAfv9SHdw323/05/03(水) 23:45:03

    〈……〉ズイッ


    「な、何か付いてる?」


    顔をすごく見てくる。


    〈……〉ポンポン


    「んッ」


    〈……〉ナデナデ


    「む〜〜〜…」

    .

    .

    〈……〉パッ


    「…気は済んだ?」


    〈……〉コク


    いっぱい頭や顔を撫でられた。いつも自分からはあまり触ってこないのに。


    「急にどうしたの?あたしの顔を触り出して……ふふ」

  • 26◆jTjAfv9SHdw323/05/03(水) 23:59:05

    そういうことね。

    「あたしがうさぎみたいだって言いたいんだ」ピョコ

    〈……〉コク

    やっぱり!ページを見たらわかっちゃったんだ。

    「これ見たんでしょ?“うさぎの撫で方”ってところ」

    あたしが撫でられたところがちょうどうさぎが撫でられたら嬉しいって書かれてる。

    「も〜!あたしはうさぎじゃないんだぞ〜♪」ピョッコピョコ

    からかってやれ!ぴょんぴょん!

    〈……♪♪〉

    「あ、今の好き?」

    〈♪〉

    そうみたい。だって楽しそうだもん!

  • 27◆jTjAfv9SHdw323/05/04(木) 11:01:41

    「じゃあもっとやったげる♪」ピョコピョコ

    いつかうさぎに会ったらこんな風に撫でてあげよ。あたしもちょっと気持ち良かったし。

    ——————

    〈………〉

    ・さぁ、時は来た。彼は決めなければならない。

    〈……〉

    ・ウタと共に行くか、見送るか。彼にとってはとても悩ましかった。

    〈……〉

    ・もう疑う余地も無くウタは好きなので一緒にいたい。しかし、長く居着いたこの島にも愛着がある。国王と静かに暮らしたいという気持ちもあった。

  • 28◆jTjAfv9SHdw323/05/04(木) 11:44:13

    〈……〉

    ・2人とも彼自身が望むことをして良いと言ってくれた。しかし、それを聞いた彼は嬉しかったものの更に困ってしまった。

    〈……〉

    ・もう船の準備は出来ている。最初から自分でやりたいのだそうだ。

    〈……〉

    ・誰の側にいようか選ぶなんて、彼は初めてだった。それだけ国王のことも、いつのまにか好きになっていた。

    〈………!〉チラッ

    ・彼は視界に入ったものを見た。

      ガッ

    〈……〉ゴォッ!

    ・そして、心を決めた。

  • 29二次元好きの匿名さん23/05/04(木) 22:06:41

    維持

  • 30◆jTjAfv9SHdw323/05/04(木) 22:34:16

    ———


    「そう!だからもしかしたら、画面の前の誰かと直接会えちゃうかも!」


    ここで配信することは当分無いからちゃんと話しておかなきゃね。


    「もっちろん楽しみだよ!みんなが教えてくれたあんなものやこんなものがとうとうこの目で見れるんだから!」


    時代が変わったおかげか、応援してくれる人が多い。みんなを怖がらせてたものは本当に減ったみたい。


    「あの人?……このことはちゃんと話してるよ。でもどこにもいないの」


    この後出発なのに、どこを探してもいない。


    「ケンカなんてしてないよ?昨日までずっと一緒だったし。……ん?こういうことじゃないかって?」


    ファンの人たちは一緒に考えてくれた。そして1番それらしい答えが出た。

  • 31◆jTjAfv9SHdw323/05/04(木) 23:17:00

    「お別れを言いたくない…か」

    きっとゴードンとここに残るのを選んだんだ。でもさよならって言うのが辛いからどこかに隠れてる。みたいな感じじゃないかって。

    「はは、だよね。最近は笑ってくれたりくっついてくれたり、態度も素直だったのに」

    そりゃあ背を向けて行っちゃうのが悲しいのはよくわかるよ?わかるけど、やっぱりいてほしい。

    「でも後で来るかもしれないよね!落ち込むのはまだ早い!」

    あの人なら絶対最後は会いに来るはず!

    「じゃあ、今日まで配信を見てくれて本当にありがとう!次にこうして配信する頃にはいくつもアルバムを作れるぐらい、たっくさんいろんなことを見てくるよ!またね〜!!」

    ピッ
    .
    .
    .
    「良い天気だ」

  • 32◆jTjAfv9SHdw323/05/04(木) 23:31:40

    「うん、船出日和って感じ」


    「結局彼は……ここにいないということはお前と行くわけでは無さそうだな」


    ゴードンも意外そう。絶対あたしについてくと思ってたみたい。


    「さっきの配信ではお別れを言いたくないんじゃないかって言ってた」


    「そうか。…それでこの場に来ないとは、少し子どもみたいな態度だ」


    「ね。……やっぱり見送ってほしかったな〜」


    ちょっと気持ちに正直過ぎるよ。


    「……それじゃあ勝手に挨拶言っちゃお」


    「ああ、それが良い。彼にも聞こえるように、大きな声で言ってみせよう」

  • 33◆jTjAfv9SHdw323/05/04(木) 23:55:02

    「うん!……すゥ〜〜〜」

    大きく息を吸い込んで。

    「今日まで!!ずっと!!!一緒にいてくれてありがとう!!!」

    島の端まで聞こえるぐらい大きく!

    「あたしが悪夢でうなされても!!辛くてメソメソしちゃっても!!あんたも辛かったのにずっと側にいてくれて嬉しかったよ!!」

    「じゃあ行ってくるよ!!!絶対帰ってきて!!!飽きるぐらいいっぱい思い出を聞かせてあげるから!!!またね〜〜!!!」

    「……聞こえたかな」

    「ああ、間違いなく聞こえたとも」

    「……だよね!じゃあゴードン、行ってきます!」

  • 34二次元好きの匿名さん23/05/05(金) 09:21:31

    待機

  • 35二次元好きの匿名さん23/05/05(金) 20:35:15

    保守

  • 36二次元好きの匿名さん23/05/05(金) 20:45:49

    そうかエレジアに残ってお別れか
    寂しいな…
    また会えるだろうか

  • 37二次元好きの匿名さん23/05/06(土) 08:17:13

    エレジアのどこにいるだろう

  • 38二次元好きの匿名さん23/05/06(土) 19:55:24

    保守

  • 39◆jTjAfv9SHdw323/05/06(土) 20:07:33

    「うむ。……いってらっしゃい、ウタ」 ポトッ

    ———


    どんどん遠くなっていく。あの子はどこへ行って何を見てくるだろう。


    「………本当に、本当に良かった」ウルッ


    涙が滲み出てくる。まるで本当に孫娘を持った気分だ。特に、トットムジカを処分した後の時間は幸福だった。


    「寂しくならないと……いや、大丈夫だ」


    もうこれまでとは違う。私が心配する必要は無い。きっと素晴らしい経験をしてくるだろう。


    「もうウタは行った。出てきても良いぞ」


    これからは彼と思い出話を楽しもう。12年分の日々を。


    「……」


    「……はて?」

  • 40◆jTjAfv9SHdw323/05/06(土) 20:40:28

    彼がいないな。もうウタはとっくに旅立ったというのに。


    「どこにいるんだい?」


    ウタの声が聞こえなかったはずは無いと思うが。彼がよくいると聞いている場所へも行ってみたが、見当たらない。いくら自分で選んだとはいえ心の整理がつかないのだろうか。


    ———


      ザーーン……


    「………」


    波風が気持ちいい。何だか祝ってもらってるみたい。


    「ちょっと広い気がするな〜」


    黒い人も来るかなって思っていろんなところを大きめにしたから、スペースが余ってる。


    「……ううん、大丈夫大丈夫」


    こんなこと思ってたらまた心配されちゃうよ。この前ああ言ったのに。

  • 41◆jTjAfv9SHdw323/05/06(土) 22:09:34

    「こういう時は……」スゥ!

    ♪♪♪♪♪♪♪

    ウタワールド!昔はここでよく退屈しのぎしてたっけ。

    「ん〜〜………何にもない」

    周りに海しかないからかな。イメージが上手く出来ないや。

    「じゃあ今まで行った街を……ダメ、これもあんまり」

    これも全部覚えられてるわけじゃないからちゃんと作れない。エレジアぐらいちゃんと覚えてなきゃ。

    「昔は上手く出来てたのに」

    そういえばこういう使い方、全然してなかったな〜。すぐ悪夢になっちゃって出来なかったし、そもそも1人きりになることだって……。

  • 42◆jTjAfv9SHdw323/05/06(土) 22:43:31

    「う〜〜ん」


    ポンポンッ

    音符の人を作ってみたり。この人たちで時間を潰そう。……ちゃんと外(現実)の方も見えてるからね!



    「ふゥ……」


    [……]

    [……]


    あんまり時間が経った気がしない。この人たちってほとんどあたしの思い通りにしか動かないし、そりゃあ面白くないよね。戻しちゃお。


    「まぁしょうがないか。陸に着くまでの辛抱!」ボンボンッ


    こういうことはこれからもあるよね!外に集中出来るようにウタワールドは解いて…


    「ん?」


    人影が見える。みんな戻したはずなんだけどな。


    「……え?」


    いる。いるはずの無い人が。

  • 43二次元好きの匿名さん23/05/07(日) 09:13:11

    保守

  • 44二次元好きの匿名さん23/05/07(日) 20:00:37

    黒い人ついてきたのか
    一緒に旅するのかな

  • 45◆jTjAfv9SHdw323/05/07(日) 21:49:17

    「……あたし何やってんだろ」

    そんなに寂しいのかな。ウタワールドにあの人を出すなんて。消したくないせいか戻せないし。

    〈……〉スタスタ

    うんうん、近くにいてほしいって思った。ちゃんとこっちに来る。

    「じゃあ……ちょっと暇だからあたしの話聞いてくれる?」

    〈……〉コク
    .
    .

    「だからね、今はちょっと寂しいけど頑張るよ!」

    〈……〉ウム

    「ありがとね」

    黒い人はいつものように、親身になって聞いてくれた。まぁ出してるのはあたしだからあたしの考えたように動いてもらってるだけなんだけど。

  • 46◆jTjAfv9SHdw323/05/07(日) 21:59:10

    「それにしても上手に動かせてるな〜」

    やっぱり一緒にいたからイメージがしっかりしてるのかな。自然過ぎてあたしが出してるのを忘れちゃいそう。

    「よし、じゃあ気分展開に食事しよう!」

    たくさん日持ちするのを積んだから長持ちするはず。その分あんまり美味しくないけど。

    「え〜っとどれにしようかな…」

    コロコロコロコロ

    「?」

    何か転がってきた。食糧に混じってたのかな。

    「……!」

    これって…あれだ!

  • 47◆jTjAfv9SHdw323/05/07(日) 22:11:16

    ———

    「全く…彼はどこにいるんだ」

    城の中にもいない。よほど落ち込んでいるのだろうか。

    「いつまでも隠れていてはますます落ち込んでしまうだろう。そろそろ出てきて……む?」

    無い。部屋に保管してあったボールが。持ち出すとすれば……

    「!…そうだよな。やはり君は……」

    ———

    このボールがあるってことは、この中にいるのかな。

    「ん〜〜……」

    ダメ。まだ喜ぶのは早い。でも中身を見るのが怖い。

    〈……?〉

    ウタワールドのあの人は不思議そうにしてる。あんたが本物かどうかは大事なことなの!

  • 48二次元好きの匿名さん23/05/08(月) 06:49:00

    しゅ

  • 49二次元好きの匿名さん23/05/08(月) 06:53:43

    自分でボール持ってついてったのかな
    ウタも気づいたか
    本物だったらすごく喜ぶだろうな

  • 50二次元好きの匿名さん23/05/08(月) 18:35:08

    よかったね二人とも

  • 51◆jTjAfv9SHdw323/05/08(月) 22:41:59

    「それじゃあ……」


    ♪♪♪♪♪♪♪


    能力を解いた。あとはこの中を確認するだけ。


    「……」グッ


    大丈夫、いなくたってやっていけるから。


    「よし!」


    投げよう!これを!


    「出ておいで!」ヒュン!



      クルクルクルクル....


      ポンッ!


    〈……!〉ドドン!


      キラリンッ!

  • 52◆jTjAfv9SHdw323/05/08(月) 23:45:33

    「あ……!」

    本当に出てきた…!

    〈……〉

    「………!!」

    飲み込めない。何でいるの?あの時はどこにもいなかったし、ボールだって持ってきてなんか……。

    「どうやって……?」

    ——少し前-—

    〈………〉

    ・彼はここに残ることに決めた。城の影から2人を覗いている。

    〈………〉

    ・直接会わないのは、嫌だからだ。別れの挨拶をしたら、それっきり2度と会えないのではないかという根拠の無い不安が彼にはあった。

  • 53◆jTjAfv9SHdw323/05/08(月) 23:59:15

    〈………〉

    ・ウタが見えなくなったら国王の元へ行こう。そして何て言ってたか聞くのだ。そうすれば何とか耐えられる。

    「今日まで!!ずっと!!!一緒にいてくれてありがとう!!!」

    〈…!!〉ビクッ

    ・この声はウタだ!

    「あたしが悪夢でうなされても!!辛くてメソメソしちゃっても!!あんたも辛かったのにずっと側にいてくれて嬉しかったよ!!」

    ・どうしても別れの挨拶がしたかったのか。島の反対側まで届きそうなほど大きな声で、彼に向かって叫んだ。

    「じゃあ行ってくるよ!!!絶対帰ってきて!!!飽きるぐらいいっぱい思い出を聞かせてあげるから!!!またね〜〜!!!」

    〈………〉ジワッ

    ・一語一句全てが、彼の耳にはっきり聞こえた。聞こえてしまった。彼の瞳は湿っていった。

  • 54二次元好きの匿名さん23/05/09(火) 06:54:46

    しゅほ

  • 55二次元好きの匿名さん23/05/09(火) 18:26:38

    感謝や別れの挨拶の声聞いて耐えられなくなってしまったか
    ずっと一緒にいたんだから別れたくないよね…

  • 56二次元好きの匿名さん23/05/09(火) 23:19:00

    このレスは削除されています

  • 57◆jTjAfv9SHdw323/05/09(火) 23:20:07

    〈………〉

    ・かつての、ウタと出会ったばかりの頃の自分ならば、顔色1つ変えずに別れを受け入れられただろうと彼は思った。だが、今の彼は違う。

    〈………〉プルプル

    ・彼の拳に力が入った。何故あんなことをするんだ。それを聞くのが怖いから隠れていたのに。

    〈………〉ウルウル

    ・いろんな気持ちが混ざっていた。こんな想いをさせた怒り、これで終わりかという不安、自分を放っておかないでくれたことへの喜び。まるで赤ん坊のように、感情を涙に変えていた。

    〈……!〉

    ・彼はいま一度ウタの方を見た。もう行ってしまう。いなくなってしまう。もはや彼は、少女との別れに耐えるなど出来なくなっていた。かつては彼が寂しさから少女を守っていたが、すっかり逆転していた。

  • 58◆jTjAfv9SHdw323/05/09(火) 23:39:53

    〈………〉


    ・とはいえ、そのまま顔を出す勇気も無かった。ウタは自分が残ると思っている。もし、万が一断られでもしたら……と、ウタならしそうも無いことを気にしていた。それだけ彼は不安に駆られていた。


    〈!〉ビュンッ!


    ・彼は閃いた。思い出に耽ろうと持っていたボールを握りしめ、ウタの船の上空へと飛んだ。


    〈……〉カチッ


     シュインシュインシュイン……


      バシィンッ!!


       クルクルクルクル...

    「だよね。じゃ、ゴードン!行ってきます!」


    「うむ!いってらっしゃい、ウタ」 


      ポトッ

  • 59二次元好きの匿名さん23/05/10(水) 07:05:54

    保守

  • 60二次元好きの匿名さん23/05/10(水) 07:51:25

    自分で密航してきたのか
    二人なら旅も心強いな

  • 61二次元好きの匿名さん23/05/10(水) 19:07:37

    終わりが近いのかな

  • 62◆jTjAfv9SHdw323/05/11(木) 00:56:56

    ———

    「へ〜〜、つまり自分でボールに入って船の上から乗ってきたってこと?」

    〈……〉コク

    直接乗ってくれば良いのに。

    「何でそんなまわりくどいやり方で……もしかして、あたしがダメって言うと思ったとか?」

    〈……〉ウンウン

    顔が不安そうになった。まぁ1度は行かないって決めたもんね。怒る人もいるかも。

    「も〜〜怖がりすぎ!ほらおいで!」

    〈……〉ススーー...

    「あたしがそんな風に言ったことある?ほら、怖くない怖くない」ヨシヨシ

    〈……〉フゥ...

  • 63◆jTjAfv9SHdw323/05/11(木) 02:05:15

    安心してくれたみたい。本当に態度が昔から変わった。



    【「ねェ、一緒に歩いて帰ろ?」


    〈……〉


    前はあたしが面倒見られてる感じだったのに。子どもの頃のあたしに今のあんたを教えたら何て思うかな。


    「……そんなにあたしと一緒が良いんだ」

    〈……〉ウム


    でもこういうところは変わらないね。自分の気持ちにすっごく正直。

  • 64二次元好きの匿名さん23/05/11(木) 06:42:43

    保守

  • 65二次元好きの匿名さん23/05/11(木) 18:04:45

    〈……〉ウム

    かわいい

  • 66◆jTjAfv9SHdw323/05/11(木) 23:40:02

    「……へへ、ありがと」


    好きだって言ってくれるのが嬉しい。昔からずっと、本心からそう。


    「じゃあ、これからもよろしくね」


    〈……〉グッ!


    もう不安は無いのか、力強く頷いてくれた。凛々しい顔付きがすごく頼もしい。


    「よし!それじゃあ日も暮れそうだし……ん?」


    〈……〉スッ


    ボールを差し出してきた。


    「これあんたのだよ?」

  • 67◆jTjAfv9SHdw323/05/11(木) 23:56:22

    あんたにしか効かないんだからあたしが持っててもしょうがなくない?どこかに閉まった方が良いような。

    〈……〉

    まっすぐ見つめてくる。どうしてあたしに…。

    「……!いつでもあんたを出し入れ出来るように?」

    〈……〉コクッ

    このボールを使ってほしいんだ。あたしが快適なように。

    「あんたはそれで良いの?あたしの都合でボールに入れちゃったりして」

    〈……〉ニッ

    笑顔を返した。「もちろん」って言ってるみたい。

    「……わかった。じゃあこれは持っててあげるし、使いたい時は使ってあげる。そんな時なんてあるかわかんないけど」

  • 68二次元好きの匿名さん23/05/12(金) 07:02:21

    ポケモントレーナーのウタ

  • 69二次元好きの匿名さん23/05/12(金) 17:39:08

    そうかたまたまゲットした形になったからボールの使い方とかはまだわかんなかったんだな

  • 70二次元好きの匿名さん23/05/12(金) 17:41:04

    >>68

    このウタは普段はボールに入れなそう

  • 71二次元好きの匿名さん23/05/13(土) 00:59:34

    保守

  • 72二次元好きの匿名さん23/05/13(土) 11:10:59

    >>69

    そういえばポケモンが他にほぼいないから誰も使い方知らないのか

  • 73◆jTjAfv9SHdw323/05/13(土) 21:21:44

    あたしを信じてる証。って思えば良いのかな。


    〈……〉クッ


    ボールを取ってる手を握られた。


    「何?」


    それからボールのスイッチを自分の方に向けさせた。何をさせたいんだろ。


    「えっと…こうすると?」


      シュインッ


    「あ」


    入ってった。これがやらせたいこと?だとしたら…。


    「ん〜〜、出てきて?」パッ


     ポンッ!

  • 74二次元好きの匿名さん23/05/13(土) 22:03:00

    このレスは削除されています

  • 75◆jTjAfv9SHdw323/05/13(土) 22:06:18

    ちゃんと出てきてくれるね。


    「……わかった。ボールに入れたい時はこうしてねってことか」


    〈……〉コクリ


    正解みたい。このことは覚えといてあげる。


    「……じゃあ食べよっか!あんたの分もあるよ!」


    〈……〉キョトン


    意外そうな顔をされた。


    「何その顔!そりゃあの時はああ言ったけどさ、あたしもゴードンも絶対ついてくるって思ってたんだから!」


    〈……?〉キョトトン


    そうなの?って感じの顔してくる!


    「びっくりしたのはあたし!ファンのみんなも心配してたよ!最近は配信でもはっきり笑ってくれるようになってたし!」

  • 76二次元好きの匿名さん23/05/14(日) 08:25:14

    「えッそうなの?」って反応しおって

  • 77二次元好きの匿名さん23/05/14(日) 08:31:18

    このレスは削除されています

  • 78二次元好きの匿名さん23/05/14(日) 19:38:28

    キョトンとしてるのかわいいな
    ボールの使い方憶えてこれでトレーナーだね

  • 79二次元好きの匿名さん23/05/14(日) 23:49:25

    野生だったダークライがこうして手持ちになったのか

  • 80二次元好きの匿名さん23/05/15(月) 10:03:32

    二人の旅が始まるんだな
    ここから仲間や友達がたくさんできて二人とも成長していくんだろうな

  • 81◆jTjAfv9SHdw323/05/15(月) 20:01:15

    〈……!〉フム

    ちょっと嬉しそう。目が煌めいた気がする。

    「もう昔と違ってあんたを心配してくれる人もいるんだからね。あ、味はあんまり期待しないで」ハムッ

    「…!」

    〈……〉ウンウン

    「あんたも美味しいんだ」

    船出する時に味見したら微妙だったのに不思議。

    「…何でだろうね♪」

    1人じゃないから?不安だったから?よくわからないけど美味しくなって良かった!

  • 82◆jTjAfv9SHdw323/05/15(月) 23:30:44

    〈……?〉クイ


    「あ、それはね〜。本に載ってたんだけど…」

    .

    .


    「今はここまで。食べすぎると後が大変だから」


    こうも食事が楽しくなるなんてね。楽しみが増えちゃった。


    「ん〜!気分良くなってきた!何か歌いたいな〜♪」


    〈!〉キラキラ


    あんたも聴きたそう!じゃあ尚更歌っちゃおう!


    「え〜ッと…そうだ!ぴったりな唄があるの」


    〈?〉

  • 83◆jTjAfv9SHdw323/05/15(月) 23:58:23

    「シャンクスたちと一緒に歌ったの覚えてる?」

    〈……!〉ピコン!

    思い出したっぽい。

    「そうそうあれ!楽しかったよね〜!」

    久しぶりにみんなでワイワイしながら歌えたのが最高だった!

    〈…?〉

    「伴奏?大丈夫!ちゃんと楽器は持ってきてるから!」

    今日はこのギターを弾きながらにしよっか。

     〜♪〜♪

    「あんたもリズムに合わせて…」

    〈…♪…♪〉ルンルン

    「…言わなくてもしてくれるか」

  • 84二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 10:43:57

    ビンクスの酒か風のゆくえかな
    みんなで歌うっていいよね

  • 85二次元好きの匿名さん23/05/16(火) 21:11:19

    黒い人ルンルンしててかわいいな

  • 86◆jTjAfv9SHdw323/05/16(火) 23:08:27

    リズムは取れてるからちゃんと覚えてそう。

     〜♪〜♪

    「やっぱりこの唄は仲間といてこそだからね!じゃあ行くよ!」

    〈♪〉グッ!

    いろんなことが待ってる、夢のある旅の始まりを祝って!

    「🎼ヨホホホ〜♪ ヨ〜ホホ〜ホ〜♪

    ヨホホホ〜♪ ヨ〜ホホ〜ホ〜♪」

  • 87◆jTjAfv9SHdw323/05/16(火) 23:22:21

    これでもともと書きたかった部分まで書けました
    始まった頃から読んでいただいてる人が今どのくらいいるかはわかりませんが、今まで反応をくれたことにとても感謝しています



    とはいえ途中で書きたいことが増えていったのでもうしばらく続きます
    この続きとか過去編(ウタが幼い頃)とか時系列がちょっとバラけるので見づらくなるかもしれませんが付き合ってくれると喜びます

  • 88二次元好きの匿名さん23/05/17(水) 06:50:22

    保守

  • 89二次元好きの匿名さん23/05/17(水) 18:12:14

    時間をかけて懐いていってて良かった

  • 90◆jTjAfv9SHdw323/05/17(水) 22:35:51

    .
    .
    楽しかった〜。あたしは海賊じゃないけどシャンクスの娘。きっと歌う資格はあるはずだ。

    〈……〉

    来てくれたおかげで広すぎた船がちょうど良くなった気がする。とりあえず退屈にはならなそう。

    「じゃあもう寝る?ベッド大きいから入れるよ?」

    あんたはゴードンさんぐらい大きいからベッドもそれに合わせたよ。

    〈……?〉

    ———

    「え?……入れるならもう1個持ってくれば良かったのにって?」

    〈……〉コク

    ・1人1つの方が使いやすいだろうと彼は思った。自分が来ると思ってたなら尚更用意しても良かったはずだ。

  • 91◆jTjAfv9SHdw323/05/17(水) 23:03:09

    「………だってあんたが来なかったらジャマになっちゃうし…」


    〈……〉ジトーーー...


    ・さっき「絶対来ると思ってた」と言ったじゃないか。と、彼は少し呆れた。


    「その顔!呆れてるでしょ!」


    〈……〉ウム!


    ・彼ははっきり頷いてやった。毎晩どうするつもりだったのだ。


    ———


    何か悔しい!


    「1人で寝るぐらい前にも出来たことあるってば!ライブ行く時とか部屋は別だったでしょ!」


    〈……〉ジーー


    「ホントに出来るの?って顔しないで!わかった!じゃあ今夜証明してやるんだから!」バッ


     シュインッ

  • 92◆jTjAfv9SHdw323/05/18(木) 01:12:02

    こんなにすぐボールを使うなんて思わなかった!

    「いっつも座ってるだけだから誘ってみたのに…」バフッ

    まさかあんな反応が返ってくるなんて。でも良いよ。1人旅になることだって考えてたんだからこのくらい平気だ。

    「……」ウトウト

    ベッドに入ってすぐ眠くなってきた。まァ寝れない理由なんて無いから当たり前だけど。

    「……綺麗」

    今日は満月。月が夜を照らしてくれてる。

    「ん?」クシクシ

    何か月が変。目がぼやけてるのかな。

    〈ーーーーーーーー〉

  • 93◆jTjAfv9SHdw323/05/18(木) 01:21:57

    「ッ!!」ビクッ


    ま、また遠くに月のオバケがいる…!


    「…!」バフッ


    毛布にくるまるしかできない。どっか行ってよも〜!


    〈ーーーー〉


    「……」プルプル


    ずっとこっち見てくる…!何するつもりなんだろう。


    「……」チラッ


    ボールから出てきてもらおうかな。そうすればこの前みたいにいなくなってくれるかも。


    「……」フルフル


    ダメ。そんなことしたらからかわれちゃう。「やっぱり」って顔される。

  • 94二次元好きの匿名さん23/05/18(木) 07:10:10

  • 95二次元好きの匿名さん23/05/18(木) 17:54:01

    もしかして新しい友達?
    ベッド一つだったけど一緒に寝ればもっと仲良くなれそう

  • 96二次元好きの匿名さん23/05/18(木) 21:24:00

    >>95

    そこそこ前から出てきてるぞ

    でもまだ友達じゃないからなれたら良いな

  • 97◆jTjAfv9SHdw323/05/18(木) 21:27:40

    「……!」


    そうだ。良いこと閃いた。

    .

    .

    黒い人はもう寝てくれたかな。


    「……」チラッ


    光は強いまま。きっとまだオバケがいるんだ。


    「デテキテ」ヒュッ


     ポンッ!


    〈……〉


    良かった。寝てる。


    「……」モゾモゾ


    ベッドの中にボールから出した。オバケがいる間はくっついて、いなくなったらボールに戻す。こうすれば黒い人にバレない。朝起きてもからかわれない。

  • 98◆jTjAfv9SHdw323/05/18(木) 21:40:21

    「……フフン♪」ギュ

    自分で言うのも何だけど良い作戦だ。私は最強。

    ———

    〈……〉パチ

    ・すぐにボールから出されることは彼の予想通りだった。が、理由は彼の予想と違った。

    〈……〉

    〈ーーーー〉

    ・彼は月明かりを見た。そこには“それ”がいた。

    〈……〉

    〈ーーーー〉

    〈……〉

    ・彼と“それ”は少し会話を交えた。互いにしか伝わらない話し方で。

  • 99◆jTjAfv9SHdw323/05/18(木) 21:50:16

    〈ーーーーーーーー〉カァアアアア!


    ・「あんたが怖がられている」。そういう話をしてるうちに“それ”は光を放って姿を消した。互いに軽い雑談をした気分だった。


    〈……〉


    ・“それ”の能力は自分と真逆だ。このことを彼は以前会った時に気づいた。きっと自分が悪なら“それ”は善だろう。…なのにウタからはこんな反応だ。彼は“それ”が気の毒に感じた。


    〈……〉チラッ


    ・“それ”はとりあえず去ったので、彼は何となくウタの方を見た。


    「スゥ…スゥ…」スリ...


    〈…………〉


    ・ウタが起きる前にボールへ戻れば良い。彼はそう言い訳し、動かなかった。

  • 100◆jTjAfv9SHdw323/05/18(木) 21:57:00

    ———

    「ん…」パッチ

    あれ?あたし寝ちゃった?

    「あ!」ガバッ

    しまったボールに戻してない!バカにされるッ!

    「……あれ?」キョロキョロ

    いない。隣にいるはずなのに。

    「どこ?……あ、ボールあった」スッ

    ということは。

    「出てきて」ヒュン

     ポンッ!

  • 101◆jTjAfv9SHdw323/05/18(木) 22:08:57

    〈……〉


    良かった!あたしちゃんとボールに戻してたみたい!覚えてないけど。


    「おはよッ!」


    《おはよう、ウタ》


    「ほ〜ら!ちゃんと出来るでしょ!」ドヤ!


    〈……〉フフ


    これで見直してくれたはず!


    「それじゃあ証明出来たことだし…」


    〈?〉


    「戻さなかった時は隣に座るとか……よろしく!」


    〈……〉


    いる方が落ち着くし!

  • 102二次元好きの匿名さん23/05/19(金) 06:59:03

    保守

  • 103二次元好きの匿名さん23/05/19(金) 07:57:25

    >>96

    すまん抜けてた見直してくる


    ずっと一緒にいたから側にいてほしいよね

  • 104二次元好きの匿名さん23/05/19(金) 18:33:50

    保守

  • 105二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 06:05:26

    ホントもーこの歌姫は

  • 106二次元好きの匿名さん23/05/20(土) 17:43:13

    ちょっとマイペースなウタかわいい
    気を遣える黒い人はいい子だな

  • 107◆jTjAfv9SHdw323/05/20(土) 22:49:35

    ——○年前・エレジア——


    「………はァ」


    私は落ち込む時がある。いつも起きてる間は考えないようにしてるけど、どうしても頭にチラついちゃう。あの日のことが。


    「もう良いのかい?ウタ」


    「………風に当たってくる」


    あれが頭に浮かぶともうダメ。全然食べ物が喉を通らなくなる。


    「……」


    ゴードンに申し訳ない。せっかく毎日作ってくれるのに。私は悪い子だ。


    「……」ムスッ


    でもシャンクスが悪いんだよ。私がこうなってるのもアイツらのせいなんだから。

  • 108◆jTjAfv9SHdw323/05/20(土) 23:07:35

    〈……〉ヌッ


    「!!」ビクッ


    黒い人!急に来ないでよ音も立てないでさ!


    〈……?〉キョトン


    「びっくりしたじゃん…!……何?」


    〈……〉


    よく見たら料理の乗ったお皿を持ってる。しかもナイフにフォークまで。


    「……私に食べてってこと?」


    〈……〉ウム


    やっぱり。まァさっき全然食べてないからね。


    「ありがと」


    ゴードンが頼んだのかな。……食べなきゃ悪いよね。あんまり心配させたくないし。

  • 109◆jTjAfv9SHdw323/05/20(土) 23:23:17

    「………」

    〈……〉

    「…………」

    ダメ。全然手が動かない。口に運べない。

    〈……〉サッ

    「あ……」

    お皿を離された。

    「でも……食べなきゃ……」

    〈……〉ピトッ

    「ん」

    口に手を当てられた。…そういうことね。

    「無理するぐらいなら良いって?」

    〈……〉コク

    頷いた。正解みたい。

  • 110◆jTjAfv9SHdw323/05/20(土) 23:46:20

    「そう。ごめんね」

    手間かけさせちゃった。…シャンクスも私にこんなこと思ってたかな。手のかかるヤツだって。

    〈……?〉

    黒い人は首を傾げた。表情は変わらないけど、何となく言いたそうなことは伝わる。

    「何で謝ってるのって?…そのくらいわかってよ」

    私さっきから態度が悪いよ。自分でもわかるから嫌んなっちゃう。

    「そのお皿私のでしょ?食べちゃって良いよ」

    〈……〉パクリ

    どうせ私は食べないし、ならばせめてあんたに食べてほしい。

    〈……〉モグモグ

    ……そういえば。

    「ねェ、ナイフとフォーク使わないの?」

  • 111二次元好きの匿名さん23/05/21(日) 10:38:10

    昔から気にかけてくれてたんだよな…
    二人が完全に仲良しになれて本当に良かった

  • 112◆jTjAfv9SHdw323/05/21(日) 21:50:43

    〈?〉

    黒い人は左手でお皿を、右手で料理を掴んでる。

    「手が汚れちゃうしさ。せっかくあるんだから使おうよ」

    〈……〉フン

    ナイフとフォークを見てる。何か嫌そう。

    「使えないの?」

    〈……〉

    そうみたい。難しいのかな。

    「ん〜〜……」

    黒い人の手はやっぱり汚れてる。あっちは気にしてなさそうだけど、どうしても気になる。

    「…もう!ちょっとお皿置くよ!」

    〈?〉

    見てらんない!どこかちょうど良さそうなところに…。

  • 113◆jTjAfv9SHdw323/05/21(日) 22:44:45

    .

    .

    ———


    「ちゃんと手は洗った?」


    〈……〉


    ・どうやらウタは、彼にナイフとフォークを使わせたいようだ。彼は少し面倒に思った。


    「良い?ナイフとフォークっていうのはね」


    ・そう言って彼にそれらを持たせた。小さくて持ちにくいと彼は思った。


    「それでこうして--------ああして--------」


    ・ウタは食器の使い方を彼に教えた。説明が上手なわけではないが、彼の指と食器を頑張って動かしてとても熱心に教えた。そんなウタの手が彼にはとても小さく見え、ウタがまだ幼いこと、それにも関わらずシャンクスという親に捨てられたという事実を実感して彼は気の毒に思った。

  • 114◆jTjAfv9SHdw323/05/22(月) 00:05:52

    .

    .

    「ほら、切れたでしょ!」


    〈…!〉


    ・何とか食べ物をナイフで切れた。覚えてる限りでは初めて出来たので、彼は達成感を覚えた。


    「あとはフォークで口に運ぶの!」


    〈……〉スッ...


     ハム


    「やったね!できたじゃん!」パァアア!


    〈……〉モグモグ


    ・彼はやっと食器で口に運ぶことが出来た。ウタは彼自身以上に喜んでくれたが、彼はそれがどうしてかよくわからなかった。


    「ほ〜ら!手で掴むよりずっとサマになってる!せっかくスタイル良いんだから振る舞いとかそういうところもしっかりした方がみんなからモテるよ!」

  • 115◆jTjAfv9SHdw323/05/22(月) 00:23:31

    〈……〉ハム


    ・彼にはウタがどこか背伸びしているように見えた。お姉さんとして世話を焼くのが楽しそうだ。ルフィといた時はこんな風に振る舞っていたのだろうかと彼は考えた。


    「あんたって結構ゆっくり食べるよね。ゴードンと同じぐらい…」

      グゥウ〜〜〜


    〈!〉


    「……!」カァアアア‼︎


    ———


    何でこんな大きく鳴るのさ!


    「あの!ちッ違うから!これはあの…あれで…!」ワタワタ


    〈……〉ジーーー...


    真顔のまま見ないでよ!余計恥ずかしいじゃん!


    「も〜〜!やだ〜〜!」

  • 116◆jTjAfv9SHdw323/05/22(月) 00:43:08

    〈……〉スッ

    「いらないからね!今あたし食べれないから……あ」ヘタリ

    あれ、力抜けちゃった。

    〈……〉ヤレヤレ

    お腹空き過ぎてるのかな。ふらふらして上手く立てないや。

    〈……〉スッ

    「わッ」

     チョコン

    膝に乗せられた。…これじゃあたしが赤ちゃんみたい。

    〈……〉カチャカチャ

    頑張って食器を使ってくれてる。さっき覚えたばかりだからまだまだだけど。

  • 117二次元好きの匿名さん23/05/22(月) 06:48:06

    お姉さんの格好つけるけどお腹鳴って失敗しちゃうの微笑ましいな
    膝の上に乗って顔赤くしてるのが想像できてかわいい

  • 118二次元好きの匿名さん23/05/22(月) 18:30:56

    憶えたばかりの使い方でさっそく食べさせてあげてるのか
    一緒に成長してきたんだな

  • 119二次元好きの匿名さん23/05/22(月) 18:32:28

    ポケモンはそりゃナイフとか使わんよな
    ヤレユータンくらいか使いそうなの

  • 120◆jTjAfv9SHdw323/05/22(月) 22:04:49

    「うん、さっきよりは出来てる。…ん?」

    〈……〉ピタリ

    黒い人の手が止まった。

    〈……〉クイ

    ああそうか。お腹鳴っちゃったから。

    「………あ〜〜ん」

     パクリ

    「……」モグモグ

    食べさせてもらうなんていつぶりだろ。

    「…」ゴクリ

    ちゃんと食べれた。何だかさっきより美味しい。

    〈……〉ググッ

    顔を覗いてきた。返事を聞きたそう。

  • 121◆jTjAfv9SHdw323/05/22(月) 22:33:29

    「……もっと」


    〈……〉カチャカチャ


    あんたが始めたんだよ。ちゃんと付き合ってもらうんだから。

    .

    .

    「ありがと」


    〈……〉カチャン


    結局全部食べれちゃった。さっきのことが嘘みたい。


    「ふふん♪」


    久しぶりだな〜こういうの。ちっちゃい頃はこんな風に膝に乗せてもらって…


    【「そ〜らウタ!お前の指定席だ!」

  • 122◆jTjAfv9SHdw323/05/22(月) 23:03:59

    「わ〜い!シャンクスのうえ〜!」チョコン


    「ったく、ほんとにお頭が好きだなァコイツは」


    「もう飯は自分で食べれるよな?前の町じゃ出来ただろ」


    「やだ!シャンクスがちょうだい!あたしむすめだよ!」


    「しょうがねェな〜。ほら、あ〜ん」


    「あ〜〜〜ん♪」パクリ


    「町じゃ自分でやりたがってたのによく言うぜ」


    「カッコつけたかったんだな。はは」


    「美味いかウタ?」


    「うま〜い♪」】


    「………」ジワッ

  • 123◆jTjAfv9SHdw323/05/22(月) 23:37:30

    ———


    〈……〉


    ・食器を使うのも悪くなさそうだと彼は思った。まだ拙いが、少し使えるようになった今なら国王の手を見ればそのうち覚えられるはずだ。


     ポタッ


    〈?〉


    ・彼の手に雫が落ちた。雨だと思った彼は空を見上げたが、原因はそこではなかった。


    「ふゥ……うゥ……」ポロポロ


    〈…!〉


    ・雫の主はウタだ。堪えてるつもりのようだが涙は止まらない。彼は宥めようとした。


    〈……〉ギュッ


    「〜〜〜〜〜!!!」ギュ~~!!


    〈!?〉ビクッ


    ・どこか痛いのかと思って抱き寄せたらもっと泣いてしまった。彼はすっかり困ってしまった。

  • 124◆jTjAfv9SHdw323/05/22(月) 23:56:43

    〈………〉スッ


    ・どうすれば良いかわからない彼は、しがみつくウタをそのまま抱えて城へ戻ることにした。食器は後で取りに戻れば良い。

    .

    .

    「おかえりなさい。……!?ウタはどうしたんだ!?」


    〈……〉フルフル


    ・彼は首を横に振った。急に泣いた、だなんて言っても理由にならない。


    「……君が何かした、ということではないのだな」


    〈……〉コクッ


    ・国王の目は手厳しい。だが、彼には心当たりが無いので頷くしかなかった。


    〈……〉チラッ


    「……」キュッ


    ・食後だからか、泣き疲れたからか、ウタはいつの間にか眠っていた。苦しそうにしがみついたまま。やはり悪夢は辛いだろう、自分が離れれば少しは良くなるだろうにと彼は思った。


    〈…………〉フゥ


    ・満足に動けない彼は、ウタが泣いた理由をあれこれ考えて時間を潰した。

  • 125二次元好きの匿名さん23/05/23(火) 07:13:52

    保守

  • 126二次元好きの匿名さん23/05/23(火) 07:26:38

    思い出しちゃったか…

  • 127二次元好きの匿名さん23/05/23(火) 08:24:01

    捨てられたと思ってる時期だから楽しくなると思い出が刺さっちゃう

  • 128二次元好きの匿名さん23/05/23(火) 19:24:14

    この頃はこうなるよなぁ

  • 129◆jTjAfv9SHdw323/05/23(火) 22:50:55

    .

    .

    .

    ———


    「んぅうう……」パチ


    いつの間にか寝てたみたい。…良かった、今見た酷い光景は夢だったんだ。


    「ん?」


    あれ。私黒い人に食べさせてもらって…どうしたんだっけ。お城の外にいたのに。


    「……!おはよう!」パァアア!


    〈おはよう、ウタ〉


    「ここまで運んでくれたの……な、何?」


    〈……〉ジーー...


    急にすごく顔を見てくる。

  • 130◆jTjAfv9SHdw323/05/23(火) 23:17:51

    「何?顔がどうかした?」

    〈……〉

    何も言ってくれない。けど何でも無かったらこんなことしないよね。

    「……あ」

    黒い人の目に写ってる私、目が腫れぼったい。てことは。

    「私泣いてた?」

    〈……〉ウム

    やっぱり。…そうだ、アイツとのこと思い出したんだ。

    「……」スン

    最低。ああしてもらって嬉しいのに、泣いちゃうなんて。

    「さっきのことさ…」

    《……モウ……シナイ》

  • 131◆jTjAfv9SHdw323/05/23(火) 23:49:51

    「最後まで聞いてよ!そうじゃなくて……」


    〈?〉


    「また時々やってほしいな、あ〜〜んって。あれ好きなの」


    良い思い出にしたいしさ。アイツじゃなくてあんたが思い浮かぶようになれば、辛くならないでしょ?


    ——現在——


    〈……〉モグモグ


    ・今思えば簡単な話である。自分の楽しかった思い出がシャンクスにとっては嘘だった。その時は事実だったこのことが、思い出を辛い出来事にしていた。


    「〜♪〜♪」


    ・間違いで良かった。楽しげに歌うウタを見ながら彼はそう思う。


    「…!」トテトテ


    ・何か思いついたのか、ウタは彼の元へ歩いてきた。

  • 132二次元好きの匿名さん23/05/24(水) 06:34:08

    ホント良かったよ

  • 133二次元好きの匿名さん23/05/24(水) 09:33:48

    当時分からなかったことが「簡単な話」になってるのが地味に良い
    隣に立ってるうちに理解したんだなと

  • 134二次元好きの匿名さん23/05/24(水) 20:06:38

    シャンクスとの思い出が辛い思い出じゃなくなってよかった

  • 135◆jTjAfv9SHdw323/05/24(水) 22:38:06

    「ふふん♪」チョコン

    ・そして、徐に彼の膝に乗ってきた。…あの頃よりもウタはずっと大きい。

    「……」トッ

    ・一口サイズのフルーツを掴んで。

    「あ〜〜ん♪」

    〈……〉パクリ

    ———

    久しぶりに膝に乗ってみた。……いつかはあんたぐらい大きくなれるかなって思ってたっけ。結局今でもあんたは見上げるほど大きいまま。

    〈……〉ムグムグ

    そういえば、あんたの口の中って見えたことないような。いくら目を凝らしてもいつの間にか食べ物が中に入ってて見えない。まァいっか。

  • 136◆jTjAfv9SHdw323/05/24(水) 23:00:34

    〈……♪〉フフッ

    「へへ、美味しい?」

    昔よりあんたが子どもっぽいって思うことが増えた気がする。あたしが成長したから?それとも昔は背伸びしてたとか?最初はこんなに笑ったりとかしてなかったはずだし。

    「ふふッ」ワシャワシャ

    〈♪〉

    しばらく撫でてあげよ。嬉しそうでこっちも楽しい。

    ——————

    「あ!やっと陸だよ!!」

    〈!〉パチッ

    港が見えるから町みたい。練習した通りに停められるかな。

  • 137二次元好きの匿名さん23/05/25(木) 06:46:06

  • 138二次元好きの匿名さん23/05/25(木) 07:13:37

    2人旅初めての町か感慨深いだろうね
    いい出会いがあるといいな

  • 139二次元好きの匿名さん23/05/25(木) 18:37:49

    旅するウタはデボラ味がある

  • 140◆jTjAfv9SHdw323/05/25(木) 22:59:47

    .

    .

    よし出来た!ちょっと町の人に手伝ってもらったけど何とかなるんだね。


    〈……?〉


    「何するかって?もちろんまずは買い物!特に食べ物とか薬はいくらあっても良いからね」


    旅するのに何がいるかはよく知ってるつもり。赤髪海賊団で過ごしてたんだから。


    「え〜ッと、何がどこにあるんだろ」


    〈………〉ジーー


    「ごめんごめん!この町初めてだもん」


    呆れた顔されちゃった。まぁ行き先なんて決めてないからしょうがない。海風気まかせ波まかせってね♪

  • 141◆jTjAfv9SHdw323/05/25(木) 23:24:17

    「じゃあついでに町や周りを見ておく?」

    〈……〉コク

    「じゃあ決まり!荷物はあたしが持つから心配しないで」

    〈……?〉

    「ん?」

    変なこと言ったかな。
    .
    .
    ———

    「ねェ見て!ペットフードのお店だって」

    ・かなり大きな店だ。人もたくさん出入りしてるから人気のようだと彼は思った。

    「あ!見てあの子!!」

    〈?〉

    ・ウタは看板犬に覚えがあるようだ。

    「このワンちゃん配信で見せてもらった子じゃない!?」

  • 142◆jTjAfv9SHdw323/05/25(木) 23:42:55

    〈!〉


    ・言われてようやく彼もピンと来た。そういえばそんな顔の犬を見せてもらった気がする。


    「シュシュが気に入ったのかい?」


    「この子ってお店の看板犬ですよね?かわいいですね!」ヨシヨシ


    ・シュシュという名の犬をウタは撫でている。シュシュは凛々しい表情のまま顔つきを変えない。


    「かわいいだけじゃないぞ!コイツは海賊に立ち向かうぐらい勇気のある奴なんだ!」


    「海賊と?」


    「そうだ!後の海賊王“麦わらのルフィ”と四皇“千両道化のバギー”が衝突した時にコイツはバギーの一味に立ち向かったんだ!」

  • 143二次元好きの匿名さん23/05/26(金) 06:47:40

    そうか、オレンジの町ってそういうことになるのか

  • 144二次元好きの匿名さん23/05/26(金) 15:56:47

    最初の町ここか
    ルフィの冒険した町はウタも興味ありそう

  • 145二次元好きの匿名さん23/05/26(金) 16:18:05

    ルフィvsバギーって後から事実だけ聞くとすごい話だよな…

  • 146二次元好きの匿名さん23/05/26(金) 23:47:30

    ある意味伝説の町に流れ着いたのか

  • 147◆jTjAfv9SHdw323/05/27(土) 01:10:35

    ・ルフィは言わずもがな、バギーも四皇に名を連ねるぐらいだから相当な強者に違いない。そんな2人の戦いがこの小さな町で起きていたことに彼は驚いた。

    「ルフィがこの町に?」

    「ああ!…どういうつもりだったかはわからねェけど、“麦わら”はバギーを倒してすぐに町を出て行っちまった。略奪もしねェで」

    「……」

    ・ウタは町民の話を食い入るように聞いた。新聞でも電伝虫越しでも無い、初めて聞く友達への本物の声である。

    「少なくとも、悪いことしてやろうとは考えてなかったんじゃないかって思うんだ。まぁおれはこう思うようになったのはあいつが海賊王になってからだけど、町長さんだけはもっと前からわかってた気がする」

    「町長さん?」

    「この町を興してくれた偉大な人さ。あの人、『わし以外あいつらを悪く言うのは許さん!!!』って言ったんだ。今思えば、“麦わら”が悪い奴だったら絶対こんな事言わねェよな」

  • 148◆jTjAfv9SHdw323/05/27(土) 01:36:13

    「……!」


    「あれから“麦わら”の記事を見るたびに一喜一憂してたし、あいつが時代を変えたことも町で誰よりも喜んでたよ」


    「そうなんだ。……ありがとう、ルフィと一緒に戦ってくれたんだね」ヨシヨシ


    ・ルフィは悪い奴じゃない。悪評ばかりで当たり前な海賊の友達をそう言ってくれる人がいる。初耳でこそないが、何度聞いてもウタにとって嬉しい言葉なのは揺るぎない。


     ...フンス


    ・喜ぶウタに撫でられてシュシュが鼻を鳴らした。ちょっと誇らしげに。


    「こいつも褒めてもらえて嬉しいんだな。ところで、あんたら旅人だろ?町を楽しんでな」


    「うん、ありがとう」


    〈…〉サッ

  • 149二次元好きの匿名さん23/05/27(土) 10:14:22

    実際ルフィ達の評価って両極端だよね
    実態を知ってるかどうかの差だから当然だけど

  • 150二次元好きの匿名さん23/05/27(土) 21:23:23

    基本的に悪評ばかりだけど人となりを知ればみんな好きになる
    ルフィというのはそういう人だ

  • 151◆jTjAfv9SHdw323/05/27(土) 23:42:54

    ・町民は去っていった。残されたシュシュはやっぱり同じ顔で店の前にいる。

    「ここってすごい町なんだね、シュシュ」

     ...

    ・気高き犬は無言のままだ。電伝虫で聞いた犬らしさは無いが、これはこれで良い犬だと彼は思った。

    「それじゃあ、あなたが守ってくれてるこのお店も見に行ってみようかな」

    ———

    「へ〜、こんなグッズもあるんだ」

    ペット用品とかエレジアには全然そういう本無かったから知らなかったな。

    〈………〉ジーーー

    「何か欲しい?」

    ペットフードを見てる。

  • 152◆jTjAfv9SHdw323/05/28(日) 09:15:46

    「うんうん、こういうのを貰えるペットはきっと幸せだよね。あたしもペットを持ったら大事にしてあげたいよ。じゃあそろそろ次のお店行こう」

    〈……〉

    微妙な顔になっちゃった。…もしかしてあんたが食べたかったとか?
    .
    .
    どうしよう。買いたいモノが多い。どこも良いお土産がたくさんある。でもあんまりそういうのばかり買っても…。

    「何か気になるのとかある?」

    困った。あたしじゃ選べない。ならば選んでもらおう。

    〈………〉フーム

    何買うかな。モノを欲しがることって今までもそんなに無かったし気になる。

    〈!〉
    .
    .
    「これ美味しい♪」

    〈…♪〉パクリ

  • 153二次元好きの匿名さん23/05/28(日) 15:17:55

    シュシュも頑張って戦ったからね店が再会できてよかった
    そして黒い人嬉しそうだ

  • 154二次元好きの匿名さん23/05/28(日) 22:33:33

    このレスは削除されています

  • 155◆jTjAfv9SHdw323/05/28(日) 22:35:10

    ポフィンっていうんだって!レシピを教えてもらったから機会があったら作ってみたいな!



    ——————


    「うえ〜ジメジメする〜」パタパタ


    〈……〉


    ・森に覆われた島に着いた。確かにこの蒸し暑さなら森ぐらい育つだろうと彼は思った。


    「でも面白そう!水も薬も用意してあるし大丈夫なはず!」


    〈……〉チラッ


    「わかってる。きっと危ないものはたくさんある。だからちゃんと気をつけるの!」


    ・悪夢をばら撒いていた頃なら勝手に動物たちは逃げ出していたが、今は違う。気は抜けなそうだと彼は思った。


    「え〜ッと、森にいる生き物ってどんなのがいたっけ…」


     ブ~~ン

  • 156◆jTjAfv9SHdw323/05/28(日) 22:39:59

    〈!〉ビクッ


     カサカサ


    〈……!〉ゴゴゴゴ


    ・何かがいる。彼は目を見開いた。


    「うわッ虎とか熊がいるんだ。歌で眠ってくれたら良いんだけど」


    ・ウタは気づいていないのかと彼は焦った。よくわからないが危険に違いない。


    「さっきから大丈夫?何か怖いとか?」


     わさわさ...


    「ん、何かくすぐったいような…」


    《ンッ!》ドンッ!


     ドサッ

  • 157◆jTjAfv9SHdw323/05/28(日) 22:51:32

    〈……〉フゥ...


    ・危なかった。彼はほっとした。


    「ふ〜ん、ムカデ付いてたんだ。…!大きい!」


    ・危ないところだったのにウタは呑気で彼は呆れた。確かにエレジアでも埃の溜まった部屋にはいたのだが。


    「あ、ねェあれ見て!」パタパタ


    〈?〉


    ・何かを見つけたようで、ウタは興奮気味で走り出し、それを捕まえて戻ってきた。


    「このクモ!エレジアのよりずっと大きくない!?」キラキラ


    〈!!!??〉ビクビクッ!!


     シュインッ!


    ———


    「あれ」


    びっくりしたのかな。ボールに引っ込んじゃった。

  • 158◆jTjAfv9SHdw323/05/28(日) 23:17:08

    「意地悪しなきゃ噛まない子なのにね」

     わさわさ...

    もしかして虫がダメ?オバケは平気なのに変なの。昔ルフィとやったみたいに虫捕り勝負とか出来るかなって思ったけど残念。

    「大丈夫、あんたのボールは守ってあげるから。じゃあまだまだ先が気になるし行ってみよ〜ッと!」
    .
    .
    〈……〉プルプル

    「ごめんね、怖かったね」ナデナデ

    開けたところに来たしボールから出してあげた。まさか虫が怖いなんて思わなかったな。さっき捕まえた“ヘラクレス”も見せてみたけど、やっぱりダメだったから間違いない。ルフィなら絶対喜ぶのに。

  • 159二次元好きの匿名さん23/05/29(月) 06:47:30

    そういえば黒い人むし苦手なのか
    怖がってるのかわいいな

  • 160二次元好きの匿名さん23/05/29(月) 07:05:01

    あくタイプはむし弱点かそういや

  • 161二次元好きの匿名さん23/05/29(月) 15:13:25

    確かに183回も勝負してたしどこかで虫捕りはやってそう

  • 162◆jTjAfv9SHdw323/05/29(月) 22:13:19

    「そういえば、どのくらいでログポース溜まるんだろ」

    さっきから全然溜まってる気がしない。あんまり長くならないと良いなァ。

     ガサガサッ

    〈!〉ビクッ

    「あ、また何かいるみたい。見てきて良い?」

    〈…………〉ムスッ

    行きたそうだけど、虫が怖いから動きたくないっぽい。

    「ん〜、わかった。じゃあまたボールに入る?」

     シュインッ
    .
    .
    これで側にいられるし虫にも遭わなくて済むね。それにしても…。

    「何だろうこの足跡」

    形は鳥みたいだけどずっと大きい。こんなに大きい鳥がいるんだ。

  • 163◆jTjAfv9SHdw323/05/29(月) 23:28:33

    ズシン


    「!」


    この足跡の持ち主かな。近くにいるみたいだけど周りが茂ってて見えない。


     ガサッ


    「?」


     グオオオオオオオオオ!!


    「うわあッ!?」バッ


    《ムッ!!》ポンッ!


      バッコォ!


    キヤアアアアア………


    「びっくりした〜〜…!今の何!?」


    黒い人に殴られて逃げてったそれは、鳥っぽい脚で身体はトカゲみたい。…じゃあ名前は鳥足トカゲ?

  • 164◆jTjAfv9SHdw323/05/29(月) 23:45:03

    「あんなのの前に行けるなんてすごいじゃん!怖くなかったの?あ、あたしは怖かったってことじゃないよ!噛まれたら危ないから飛び退いただけ!」

    〈……〉フゥ

    鳥足トカゲはそんなに気にしてなさそうだから怖くなかったっぽい。それよりもあたしが危ないって思ってくれたみたいでほっとしてる。

    「へへ、守ってくれてありがとう!あんたも怪我しなくて良かった」ニッ

    〈……〉

    でもあの鳥足トカゲ、森で見た中じゃ1番怖かったかも。あんなのを全然怖がらないなんて憧れちゃうな〜。…何であれは平気で虫は全然ダメなんだろ。
    .
    .
    .
    「ねェ、1週間ぐらいこの島で過ごしたよね?」

    〈……〉コクリ

    「どうしよう?ログポース全然溜まらない」

  • 165二次元好きの匿名さん23/05/30(火) 06:56:45

    1年だからなぁ

  • 166二次元好きの匿名さん23/05/30(火) 18:08:23

    >>165

    ってことはリトルガーデン…

    出航する頃にはだいぶ逞しくなってそう

  • 167◆jTjAfv9SHdw323/05/30(火) 22:56:34

    来た頃から変化があるように見えない。もしかしてマズい島に来ちゃった?

    「いつになったら次へ行けるかな。1ヶ月とか1年とか、それともずっとここにいなきゃいけないとか?」

    ジメジメするし危険もいっぱい。エレジアと比べても良いところと言えば退屈しないことぐらい。

    〈……〉

    ちょっと心配されちゃった。まぁ人のいない島に留まるっていうのはエレジアと似てるかも。

    「平気平気!エレジアと違ってここにはいろいろあるし、たくさん曲も作れたし、こんなすごい景色も見れて最高の気分だから!」

    今あたしたちは大きな岩の上にいる。島が全部見渡せて楽しいし風が心地良い。…本当にどこまでも森なんだね。

  • 168◆jTjAfv9SHdw323/05/30(火) 23:52:04

    ———


    「まァいつまでかわかんないけど、何とかなるよね!ひとまず寂しくはないし!」ニッ


    〈……〉グッ


    ・子どものように無邪気な笑顔を貰った。正直言って危険が多いし補給も無い分エレジアが滅んでからより状況は悪いのだが、こんな前向きなことを言えるほどあの頃から元気になったことを彼は喜んだ。


    「大きなクモとか鳥足トカゲとか、見たことないものばっかりで楽しいよ。ひょっとしたらあの雲の上にも何かいるのかな?」


    〈……〉フーム


    ・この島でいろいろ驚かされた彼は、普通ならあり得ないウタの発想も否定する気にはならなかった。


    「そういえばちっちゃい頃世界中を旅したいって言ってたな〜。それがやっと叶おうと…あ、海王類」


    〈!〉

  • 169二次元好きの匿名さん23/05/31(水) 06:54:42

    前向きやね

  • 170◆jTjAfv9SHdw323/05/31(水) 07:19:09

    ・島の近くを海王類が泳いでいた。いつ見てもとんでもない大きさである。


    「この大岩ぐらい大きいかな。…もしかしたらこれも海王類の骨だったりするのかもね」


    〈……〉フン


    ・大岩を撫でながらウタは呟く。彼は流石にそれは無いと思った。もしこれが海王類なら誰かが島に引き揚げたことになる。そんなことを出来る者がいるとは思えなかった。


    「あり得ないって顔しないでよ!あんたも知らないものをたくさん見たでしょ?これだってもしかしたらああいうのが…。……!」


    〈?〉


    ・何か閃いたようだ。


    「ねェ。島を出る方法思いついた」グッ

  • 171二次元好きの匿名さん23/05/31(水) 18:51:53

    なんとなく想像つくけどログなしで大丈夫か?

  • 172二次元好きの匿名さん23/05/31(水) 20:46:11

    絶対ルフィの幼馴染って感じの無茶な方法だ

  • 173◆jTjAfv9SHdw323/05/31(水) 23:00:13

    〈…?〉

    ・ウタはとても自信ありげに口にした。彼は理由がわからない。

    「もう大丈夫だし島を全部まわっちゃお!あの辺とかまだ行ってないよね!」ザザザザ!

    〈!〉ヒュウッ

    ・そう言うなりウタは大岩を滑り降りていった。危なっかしさに肝が冷えた彼は、きっとルフィも一緒にいた頃は振り回されていただろうと思った。

    —————

    また数日経った。充分この島は楽しんだし、もう出航しよう。

    〈……〉クイクイ

    指差されてる先には…海王類。よし、これならイケる!

    「OK!じゃあ船を出すよ!」


    〈……〉ソワソワ

  • 174◆jTjAfv9SHdw323/05/31(水) 23:40:42

    さっきから黒い人は落ち着きが無い。海王類の方をずっと見てるからそれが気になるみたい。


    〈……〉クッ


    不安そうに舵を掴んでる。そっか、海王類が怖いんだ。それに…もしかしてあたしの考えがわかってない?


    「向きを変えようって?これで良いんだよ!今海王類の方へ向かってるんだから!」


    〈!?〉ビクッ!


     ギョロリ


    あ、こっち向いてくれたね。それじゃあ船首の方へ行って。


      ジーーーー…


    〈………!〉ゴゴゴゴ


    すっごい迫力…!あんたが身構えちゃうのも納得。でも…。


    「心配しないで。あんたは何もしなくても平気」


    ここまで近づけば絶対聴こえる。それじゃあ…!


    「🎼新時代は♫この未来だ♪」

  • 175◆jTjAfv9SHdw323/06/01(木) 00:14:08

       ……?


    「🎼世界中全部♩変えてしまえば——————-♫」


       ………ガクン


    〈……!!〉ポカーン


    「やったァ!ほら見て!すごいでしょ!!」


       ZZZ……


    エレジアで動物たちにも効いてたから知ってたの!あたしの歌は海王類にも届く!!…流石に今のはちょっと怖かったけどね。


    「もう大丈夫!怖がらなくて良いよ!」


    〈……〉フゥ


    良かった。安心してくれて。


    「で、ここからが大事!」


    〈?〉


    ズズズズズ……


    〈!!!〉


      ザッバ—————ンッ!!

  • 176二次元好きの匿名さん23/06/01(木) 06:40:27

    大丈夫かなぁ?

  • 177二次元好きの匿名さん23/06/01(木) 06:41:01

    よかった無難だったと思ったら

  • 178二次元好きの匿名さん23/06/01(木) 17:32:13

    海王類を歌で止めれると思ったらこれだよ

  • 179◆jTjAfv9SHdw323/06/01(木) 22:48:51

    ———


    ・海王類は潜ったかと思えば、浮かび上がって船を背中に乗せた。


    〈……!?〉グルッ!


    ・彼は未だに事態を飲み込めず、ウタの顔を見た。


    「まだわからない?この子に人のいるところまで連れてってもらうの!じゃあお願いね!」


       ザバ————ン…


    ・ウタが一声かけると、海王類は船を乗せたまま泳ぎ始めた。目は閉じたままなので眠っている。


    「これならログポースが溜まってなくても次へ行ける。今はあたしの能力で動いてもらってるから、あんたはゆっくりしてて大丈夫!」


    〈……〉ストン


    ・あんな大雑把な命令で動かせることに彼は驚いた。すごい能力だとつくづく思う。

    .

    .

    ・太陽の向きを見るに、海王類は真っ直ぐ進んでいるようだ。

  • 180◆jTjAfv9SHdw323/06/01(木) 23:18:02

       ピタッ


    〈?〉


    ・このまま行けそうだと思った矢先に海王類は止まった。周りには人どころか陸地すら見えない。


    〈……〉スーーー


    ・何故急に止まったのか尋ねようと、彼は船首にいるウタのもとへ行った。


    「-----♪-----♩」


    〈…!〉


    ・ウタの様子がおかしいので、彼は身を寄せた。既にふらついていたウタはすぐにもたれかかった。


    「ハァ……ハァ……」


    ・とても疲れたようだ。息も浅いし、ものすごく瞼が重そうにしている。


    「ごめん……足りない……」


    〈………〉

  • 181◆jTjAfv9SHdw323/06/01(木) 23:35:43

    ・罪悪感からか、瞳が潤いだした。彼は表情を変えなかった。


      グラグラ…


    〈!〉

    「…!」


    ・海王類が揺れる。ウタの様子を見るに、能力は使えてなさそうだ。


      ン〜〜〜〜……


    〈…!〉ビュンッ!


    「あ…」


    ・瞼が動いているのを見た彼は飛び出した。おそらく、目を覚ます!


       ン〜〜?パチリ


    《フンッ!》ドンッ


       スヤァ……


    ・とりあえずまた眠らせて動きを止めた。いなくなられては困るからだ。

  • 182二次元好きの匿名さん23/06/02(金) 06:55:49

  • 183二次元好きの匿名さん23/06/02(金) 17:10:13

    体力を考慮してなかったか
    黒い人のサポートばっちりだ

  • 184◆jTjAfv9SHdw323/06/02(金) 18:46:32

    「海王類は?」


    〈……〉グッ


    ・彼は指で合図し、海王類は動かないことを伝えた。


    「そっか、…止めてくれたんだ」


    ・ウタはバツが悪そうである。


    「この子に乗ればすぐ行けるって……思ったんだけど……」


    〈……〉ニッ


    ・彼は微笑んでみせた。良い思いつきだと思ったからだ。現におかげであの島から出られたのだからすごいことだ。


    「……すごい?」


    〈……〉コクリ


    「……♪」


    ・頷いてみせると、安心したのかウタの瞳は降りていった。


    ・その後はウタが起きるたびに海王類を動かし、数日かけて次の陸地へと向かった。

  • 185◆jTjAfv9SHdw323/06/02(金) 21:40:36

    .

    .

    .

    ———


    「ね〜え〜!つ〜かれた〜〜!!」ユッサユッサ


    〈……〉ブランブラン


    海の大きさを改めて実感出来た。黒い人が眠らせる能力を持ってなかったら大変だったよ。


    「は〜、町があって良かった」


    海王類は町の近くまで連れていってくれた。ずっと付き合わせるのもかわいそうだし、あたしがもうやりたくないから逃がしてあげた。


    「動けない」ヘタリ


    黒い人に寄っかかる。せっかく着いたのに周る体力が無いや。


    〈……〉スッ


    「わッ」



    抱っこしてほしいってことじゃなかったんだけどな…。まァ良いか。このまま買い物してもらお。

  • 186二次元好きの匿名さん23/06/03(土) 07:06:16

    眠らせコンビ強力だな
    ログなしでグランドライン航海するには敵が少ない海王類使うのは無茶だけどいい方法ではあるか

  • 187二次元好きの匿名さん23/06/03(土) 18:30:19

    留守番させるんじゃなくて抱っこしてるのが習慣を感じる

  • 188◆jTjAfv9SHdw323/06/03(土) 23:42:06

      ザワザワ...


    「……」

    〈……〉コッコッ


      ザワザワ...


    「………」

    〈……〉コッコッ


    みんながこっち見てくる。その理由は何となくだけどわかる。


     ネェミテアノダッコ...

     マルデ...


    そう、黒い人の抱っこ。いつもこうされてるけど、ジロジロ見られてるのが恥ずかしくなってきた。


    「ねェねェ」


    〈?〉


    ああ、全然気にしてない顔。きっと恥ずかしいって言っても伝わらない。


    「……」パフッ

  • 189◆jTjAfv9SHdw323/06/03(土) 23:55:47

    でも今はきっと自分でしがみつけないし、昔からこの抱っこだし、やめてとか言いたくないや。フード被ってよ。


    〈……〉スタスタ


    「……?」


    急に向きを変えた。行きたいところを思いついたみたい。


    ———


    ・疲れた時は温泉がオススメだと、電伝虫で誰かが言っていたのを彼は思い出した。


    「いらっしゃいませ〜!」


    〈……〉ペコリ


    「2名様ですね!相当お疲れな様子ですが、忙しかったのですか?」


    「はい…!すっごく疲れてます〜…!あ、ちょっと降ろして?」


    〈……〉ストン


    「そうですか!いやどう見たってそうですよね!ぜひここで疲れを癒やしてください!温泉はこちらです!」

  • 190二次元好きの匿名さん23/06/04(日) 10:46:01

    これって1人じゃ沈むから入れないよね?

  • 191二次元好きの匿名さん23/06/04(日) 20:04:26

    お姫様だっこかな
    お風呂は一緒なんだろうか

  • 192◆jTjAfv9SHdw323/06/04(日) 23:08:01

    「良かった〜温泉宿あって」シュルリ

    こういうとこに入るのは初めてかな。ライブへ行く時はいつもシャワールーム用意してもらってたし。

    〈……〉スーーー

    またすり抜けてる。誰かが見てたら返事に困るのはあんたでしょ。

    「誰もいないか。ところであんた……いや何でもない」

    〈?〉

    あんたに脱ぐモノなんて無いって頭ではわかってるんだけど、つい脱いだらって言いそうになっちゃう。そのくらい格好が良い感じに纏まってる。

    〈……〉ジャアアアアア

  • 193◆jTjAfv9SHdw323/06/04(日) 23:37:20

    「……」ジーーー

    いつ見てもすごいくびれと脚。私プロポーションとか結構意識してるつもりなんだけど、それでも目に留まるぐらいほっそりしてる。

    〈…?〉

    「やっぱり食べなすぎじゃない?私ぐらい食べればいいのに」

    〈……〉フルフル

    時々あんたをどう見ればいいかわかんなくなるんだよね。体型や見た目は女っぽいのに、声は完全に男。心はどっちなんだろう。

    「まぁ案内されたんだし、ここじゃそういうことでいっか」

    〈……〉クルリ

    あっちもシャワーは済んだみたい。よし、入ろう。

      ジャプンッ

    「ふゥ〜〜〜♪」
    《……フゥ〜〜》

    ん〜気持ちいい!…やっぱり声はすごく男だね。宿の人に聞こえてないと良いけど。

  • 194◆jTjAfv9SHdw323/06/05(月) 00:19:25

    〈……〉クイクイ

    「ん?……わかった」

    結構深いんだって。滑ったり身体がズレたりしたら危ないってことね。

    〈……♪〉ザブ~

    気持ちいいのか、黒い人は更に身体を湯舟に沈めた。いくら浸かっても力が抜けないのが羨ましい。

    「……」チラリ

    〈……?〉

    良いなァ能力者のはずなのに。私だったらそんなことしたら溺れちゃうのに。

    「湯舟がもっと浅かったら良いのに。……?」

    〈……〉スッ

    「…良いの?」

  • 195二次元好きの匿名さん23/06/05(月) 06:44:57

    保守

  • 196二次元好きの匿名さん23/06/05(月) 17:50:40

    一緒に入るのか
    黒い人が抱っこか膝に座らせるかしてくれるのかな

  • 197◆jTjAfv9SHdw323/06/05(月) 23:24:10

    〈……〉ウム

    「じゃあ乗っちゃうよ」チャブ

    座らせてくれた。これで溺れるほど沈まないから私もちゃんと全身を浸かれる。

    「……そういえばさ」

    〈?〉

    「気にならないの?ほら、こんなにくっついて」

    〈………?〉

    首を傾げられちゃった。これじゃ私が変なこと言ったみたいじゃん。

    「男の人ってこういうのが気になるんだってさ」

    〈……〉フ~ン

    返事がすごく他人事だから何とも思ってなさそう。じゃあ心は女なのかな。それとも長生きし過ぎて興味無くなっちゃったとか?

  • 198◆jTjAfv9SHdw323/06/05(月) 23:40:09
  • 199二次元好きの匿名さん23/06/06(火) 00:19:02

    次スレ乙
    多分種族の違いだよウタちゃん

オススメ

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