【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅤ【season2】

[1 チグハグ君 23/07/17(月) 17:06:28]

その胸に宿した夢の翼広げ

高く高く高く高く

空へ飛び立て

[2 チグハグ君 23/07/17(月) 17:06:49]

第1回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒です｜あにまん掲示板

第2回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅡ｜あにまん掲示板

第3回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅢ｜あにまん掲示板

第4回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅣ｜あにまん掲示板

第5回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅤ｜あにまん掲示板

第6回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅥ｜あにまん掲示板

第7回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅦ｜あにまん掲示板

第8回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅧ｜あにまん掲示板

第9回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅨ｜あにまん掲示板

第10回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅩ｜あにまん掲示板

第11回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅪ｜あにまん掲示板

第12回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒でⅫ｜あにまん掲示板

第13回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですXⅢ｜あにまん掲示板

第14回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですXⅣ｜あにまん掲示板

第15回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅩⅤ｜あにまん掲示板

[3 チグハグ君 23/07/17(月) 17:07:28]

第16回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅩⅥ｜あにまん掲示板

第17回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅩⅦ｜あにまん掲示板

第18回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅩⅧ｜あにまん掲示板

総集編

【まだ間に合う！】自分はグラスレー寮の生徒です【総集編】｜あにまん掲示板

[4 チグハグ君 23/07/17(月) 17:07:51]

season2

第1回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅠ【season2】｜あにまん掲示板

第2回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅡ【season2】｜あにまん掲示板

第3回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅢ【season2】｜あにまん掲示板

第4回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅣ【season2】｜あにまん掲示板

[5 チグハグ君 23/07/17(月) 17:08:50]

プロフィール
本名:ティガー・ハグラ(Tigaer・Hagler)
渾名:チグハグ
学年:2年生
学科:経営戦略科(合ってない)→パイロット科
学籍番号:LP014
性別:男
所属寮:グラスレー寮
身長:177cm
容姿:55(平均ちょい上)
髪色:青
瞳の色:青
身体能力:76(高い)
コミュ力:16(無い)→65(そこそこ頑張った)
協調性:29(ぼっち)
料理力:88
得意料理:シチュー
パイロット能力:93(凄い)

決闘成績:1勝1敗0引き分け

[6 チグハグ君 23/07/17(月) 17:09:17]

名前:ジェイソン・サダルメリク
愛称:ジェイス
学年:2年生
学科:パイロット科
性別:男
所属寮:シュネー寮(役員の家族)
一人称:「俺」
身長:164cm
容姿:113(超絶イケメン・めっちゃ女顔)
髪色:銀
瞳の色:紫
身体能力:99
コミュ力:100
協調性:93
パイロット能力:66
性格の良さ:70(善性よりだが完全な善人ではない)
備考:人形のように可愛がられてきたため、本当に信頼できる人間がおらず孤独だった。チグハグ君は初めての友達

チグハグ君の友達。とんでもないバカで頭のネジが飛んでいるが、ティガーを真っ直ぐ褒めてくれる数少ない友達の1人。ティガーからの好感度も高い

とてもバカ

[7 チグハグ君 23/07/17(月) 17:09:34]

<その他>

機体のオリジナル設定、合いそうな曲、提案お待ちしています

採用されるかは確実なことは言えませんが大いに参考になります

機体設定はスレ主の監修を得て採用されるかもしれません

[8 チグハグ君 23/07/17(月) 17:12:24]

あらすじ

プラント「グリムイア」に迫る脅威を退けたアルゴノーツ
しかし、それと同時に行方不明だったティガーとジェイスの親友「ドルム・ガナン」の愛機「グランゲイル」と酷似した機体が現れる
必死に追うティガーだったが、一つの不可解なメッセージを残して蒼い機体を見失ってしまった

そしてついに地球へと降り立ったアルゴノーツだったが、いきなりエンジントラブルに苛まれる
ジェイスは立ち寄った村の外れで廃棄されたMSの足元で暮らす少女と出会うのだった

[9 二次元好きの匿名さん 23/07/17(月) 17:12:45]

盾乙

[10 チグハグ君 23/07/17(月) 17:26:56]

「それ多分ウォモグラヘだね」

「ウォモグラヘ…？」

あの後、アルゴデッセイ号まで戻っていたジェイスは格納庫で作業をしているティガーの元を訪れていた　

「昔、グラスレーが作ろうとしてた重MS…それのコンセプト実証用機、それがウォモグラヘ」

「ほとんどデータのない機体でね、20年前くらいに作られたんだけど戦場に出る事も、販売されることもなく2機だけ作られてそれで計画が頓挫、しかもその後1機が盗まれて所在不明。まぁ、不遇な運命の機体だね」

「にしても、まさか盗まれた1機がこんなところにあるなんて思っても見なかったよ。よく見つけたね」

「あー…それなんだが、本当に相談したいのはここからなんだ」

そしてジェイスは今日自身が見てきたものを説明する
ウォモグラヘの足元に貼ってあるボロ布のタープ、その中で暮らす薄汚れた少女、そしてMSを「ダディ」と呼ぶ姿
全てをティガーへと語った

それを聞いたティガーは少し表情を険しくすると、眉間の中を揉みながら深くため息をついた

「そういうタイプか………」

[11 二次元好きの匿名さん 23/07/17(月) 17:32:25]

たぶんジェタークが登り調子な頃だから当時のデスルターとかのシェアを奪えないってサリウスとかが判断したんだろうな

[12 チグハグ君 23/07/17(月) 17:47:25]

「なんだよそういうタイプって？めっちゃ気になるんだけど!」

「まぁ、今のうちは推測に過ぎないから…とりあえず情報収集しないと」

ティガーの含みのある言い方に興味を示すジェイスをティガーは宥める
そして2人の会話を聞いた影が忍び寄っていた

「やぁ、随分面白そうな話をしてるじゃないか、少年たち」

アルゴノーツの新メンバー"ジャーナリスト"のリップがそれはそれはいい顔で2人を見下ろしていた

「あ、リップさんお疲れ様です」
「あぁ、絶賛面白い話中だぜ？」

「へぇ〜それはお姉さん気になっちゃうなぁ〜…で、なんなのよその話」

「あーえーと…かくかくしかじかで…」

「なるほど、てことは私は村でその女の子とMSの書き込み調査をしてくればいいわけね」

なんとも話の飲み込みの早い女性である。流石INNの敏腕記者といったところだろうか

「明日の昼までには資料にまとめておくわ」

そう言うと付き人として隣にいたヨハネスを引っ張り、取材へと出掛けてしまった

[13 二次元好きの匿名さん 23/07/17(月) 17:51:36]

そもそもチグハグ君がトラウマ持ちだからそういうのに詳しいのか

[14 二次元好きの匿名さん 23/07/17(月) 18:01:50]

やっぱりそういうことに慣れてる大人がいると違うな

[16 チグハグ君 23/07/17(月) 18:35:24]

「いやーバイタリティ凄いなぁ……」

「トンでもねぇ速度で行っちまったな…そうだティガー、あのガキンチョのとこ行くんだけどお前も一緒に来ねえか？」

「いやぁ…今はちょっと無理かなぁ…」

そう言うティガーの前にはなんとか回収できたグリムイアを襲ったガンダムの残骸が無造作に置かれていた

「こいつの解析しないといけないし、後はテロ…ソフィさんの乗ってたガンダムの解析もまだ気になるところがあるしね」

「そっか…まぁ、お前にしかできないことだもんな。頼んだぜ、ガンダム退治の専門家さん」

「え、なにそれ？」

「今考えた」

「適当だなぁw」

「適当でいいだろ？俺難しいこと言うとおかしなこと言っちゃうしさ」

「確かにw」

人の少ない格納庫では2人の笑い声がよく響いた

[17 二次元好きの匿名さん 23/07/17(月) 18:42:55]

【🎲】ベネリットグループ次期主力MSコンペディション｜あにまん掲示板

思い出した　スレ画たぶん初出はこのスレだ

というかあのガンダムやグランゲイルもここ出身？

設定を変えての再利用といった感じかな？

[18 チグハグ君 23/07/17(月) 18:45:46]

「……ねぇ、ジェイス」

一通り笑い終えて、この場を後にしようとしたジェイスにティガーは問いかける

「この前のアレ…どう思う？」

「…どう思うって」

「…アレ、やっぱりドルムくんのグランゲイルだと思う？」　

ティガーの心の中ではグリムイアで相対したグランゲイルに良く似た機体と、その機体から送られてきたメッセージが心に引っかかっていた

「俺にはなんも…ただ…本当にアイツがドルムなら変わっちまったんだなって思うよ。アイツならあんな事ぜってェしねェよ…」

グリムイアの時のドルムの様子は2人が知っているものとはかけ離れていた

「それにさァ …」

「？」

「アイツ生きてたら真っ先に「ニカ〜！」って走っていくだろ？」

「言われてみれば」

友人のそんな変な特徴で納得してしまう2人であった

[19 二次元好きの匿名さん 23/07/17(月) 18:55:11]

解　釈　一　致

[20 チグハグ君 23/07/17(月) 19:34:19]

ティガーと別れた後、ジェイスは再びあの少女の元へ向かっていた

「別にこのくらいの山道どうってことないが…」

ﾋﾟｮｰﾝﾋﾟｮｰﾝ

「なんでお前まで一緒に着いてきてんだよ！？」

『オメツケヤク！オメツケヤク！』

心配性のティガーは、自分がいけないからとハロを同行させていた
ティガーのハロはロウジとの共同改造で、どんな地形でも走破できる高い地形適性を誇っている。そのため、今進んでいるような荒れた岩山でもスイスイ進むことができるのだ

後ろでピョンピョンと弾むハロの音を聞きながら歩き続けていると、再びあのMSの姿が見えた
再びあのMSを見ると、至る所が錆びついていて数年ここにあるのが見て取れる。そもそも20年も前の機体ならメンテも気を使うだろうに、こんな所にほったらかしにしても良いものなのだろうか？
そんな疑問を抱きながらタープの中に入ると、数時間前と変わらず少女はMSの脚に抱きついていた

「よっ」

ジェイスが声をかけるが少女からの反応はない
ただじーっとジェイスを見つめてくるだけで、それ以外に行動を起こそうとするそぶりも見れなかった

[21 チグハグ君 23/07/17(月) 19:34:57]

「なぁ、お前ここでずっと暮らしてんのか？」

少女は答えない

「ご飯は1日にあれだけか？」

少女は答えない

「……お前の父ちゃんってそれか？」

「ダディ」

少女はそれだけ言うとまた黙る
どうやら父親の話題にだけは反応するようだ
その後もジェイスは少女との会話を試み続ける

「好きなものとかあるか？」

少女からの返答はない

「お前ってここで生まれたのか？」

少女からの返答はない

「お前の父ちゃんはここにいんのか？」

「ダディ」

少女はそれしか言わない

[22 チグハグ君 23/07/17(月) 19:35:08]

「ダァッ!会話が進まねぇ！」

そしてついにジェイスの我慢の限界を迎えてしまった
だがそれでも少女の表情が変わることはない。
それよりも怒ったジェイスの瞳をじっと見つめてきたのだ。なんだかバツが悪くなってジェイスはタープの外に出てしまう

これは随分と強敵になりそうだと、ジェイスは天を仰いだ

[23 チグハグ君 23/07/17(月) 20:33:39]

─夜　アルゴデッセイ号

あたりがすっかり暗くなってきた頃、アルゴデッセイ号の医務室には、船医のフローレスとティガーの姿があった
ティガーの視線はガラス窓越しに機械に繋がれているソフィに注がれていた

「目覚めましますかね、彼女」

「正直わからない。私もデータストーム汚染の患者なんて見たことがないからね。知識として知ってるくらいさ。だがまぁ、人に絶対という言葉はないし目覚めない、とは断言できないかな」

そんなティガーの質問にフローレスはコーヒーを一口飲み答える

「仮に彼女が目覚めたとしてだ、君は彼女に何をさせたいんだ？尋問？テロの証拠集めかい？」

少し意地悪な質問にティガーは黙り込んでしまう

「質問を変えよう、どうして君は彼女を救いたいと思ったんだい？あの子は君の学校を襲撃したテロリストなんだよ？」

少しの沈黙の後、ティガーが口を開いた

「…自分は誰にも悲しんでほしくないんです」

「悲しい事も辛い事も、本当はこの世界のそういうもの全て自分が変わってあげたい。でも、そんなの無理だって分かっています」

「だから自分の手が届く範囲、自分の力で救える人は救いたいんです」

「戦うための大切なこととか、まだたくさん探し物はあるけれど、これだけはずっと、子供の頃から変わりません」

「…それに、彼女は「家族が欲しい」と言っていました。見捨てられなかったんです。家族からもらう愛を知っているからこそ、あの子にもそれを感じてほしいと思うんです。愛を貰えないまま死ぬなんて…そんなの辛過ぎますから」

[24 チグハグ君 23/07/17(月) 20:33:55]

それはティガーの本音の一部で、彼が戦う理由の根底に近いものなのかもしれない

「早く、元気になってくれるといいですね。このままじゃ、眠っている彼女の手すら握れない…」

ガラス窓越しのソファの容態を見て、悲嘆の表情に暮れるティガーを見て、フローレスはなんとも微妙な表情をしていた
残っていたコーヒーを飲み干すと、読みかけの論文を読み始める

そしてふと呟く

「君は…君達は……あまりにも英雄に向きすぎているよ…」

[25 二次元好きの匿名さん 23/07/17(月) 20:35:48]

行き過ぎた自己犠牲はもう最早悪行だよ、自分のことを思ってくれている人々のことを考えていない

[26 二次元好きの匿名さん 23/07/17(月) 20:38:32]

まあソフィノレも恵まれない境遇なのはわかるんだがな、アルゴノーツには善にも悪にも寄りすぎないフラットな見方が出来る奴が必要なのかもしれない

[27 二次元好きの匿名さん 23/07/17(月) 21:14:13]

>>26

チグハグ君達が限りなく純粋な善であるからこそ、罪ある人々は自分達が穢れた存在であると認識してしまうわけだからな、まあ真に穢れてるのは貧民の孤児とかを使い潰して何の良心の呵責も感じない奴等だが

[28 チグハグ君 23/07/17(月) 21:45:42]

─翌日　昼頃

「というわけで、書き込み調査完了」

ティガー達にラップがクリップで止められた数枚の資料を手渡す

「……これだけですか？」

資料を速読したティガーが困惑の声をあげた
この資料の内容はあまりに少なすぎるのだ。なんせ少女の境遇について

「数年前、山の方で騒ぎがあったので行ってみたら、そこにあったのは荒らされた木々とMSに縋り付く少女だけだった……これじゃほとんどわかんねぇよ…」

たったこれっぽちの加入しかなく、少女の素性や過去についてわかるようなものはほとんどなかった

「まぁ村の人らからしても山で小さな女の子がMSから離れようとしないから、目捨てる事もできずに食料を届けてあげている…くらいの関係しかないもの。正直、これ以上はその女の子から聞くしかないわね」

「わかった、もう一度行ってくる」

「待ってジェイス」

[29 チグハグ君 23/07/17(月) 21:45:59]

勇足で向かおうとするジェイスの方をティガーの腕が掴む

「自分も行くよ」

「いいのか？その…解析の方は？」

「ある程度は終わらせたからね、あとは夜にでもやるよ。それに、ウォモグラヘの状態が酷いようだし、直せる人間は必要だろ？」

「そりゃそうだけど…工具持ってくの大丈夫なのか？」

「あ」

工具運搬のことを何も考えていなかったティガーは図星を突かれて黙ってしまう
そんなティガーの背後から1人の男が声をかけてきた

「脚ならオレが準備しよう。なんのせ、この状況じゃ操舵士は暇でしょうがないからな」

名乗り出たのはアルゴデッセイ号のメイン操舵士である「マンフレート・ティピュス」であった

[30 二次元好きの匿名さん 23/07/17(月) 22:04:53]

操舵手か、ノイマンレベルとはいかずとも優秀であればいいなあ

[31 チグハグ君 23/07/17(月) 22:24:40]

というわけでアルゴデッセイに搭載されたSFS(サブフライトシステム)「ケッァル」には操縦士を務めるマンフレートの他にティガーとジェイス、そしてエオリネが乗り込んでいた

「なんで僕まで……」

「お前この前潰れててあの子に会ってないだろ？それに気分が沈んだ時は音楽に限るしな!」

ごもっともな持論を語るジェイスにエオリネは反論する気力も湧かなかった

「それにしても、アルゴデッセイだけじゃなくて、SFSまで乗れるなんてすごいですね」

「凄くはないさ、この程度、パイロット科の君たちなら楽々乗りこなせるさ」

「いや、コイツは実際すげーぞ！なんてったって操舵に関して言えばアスティカシアでトップの奴だからな」

「お世辞はよしてくれ、オレは操舵一科目でしか1位を取らないんだからさ、得意な科目でいい点とっても威張れないだろ？」

それでも充分すごいのでは？とティガーは言いたかったがぐっと飲み込んだ。どうにもアルゴノーツは自分が知って思っているよりも優秀な人材が集まっているのかもしれない、そう思うティガーであった

[32 二次元好きの匿名さん 23/07/17(月) 22:33:17]

それを言うなら君も操縦技術という点ではおそらく1位だぞl

[33 二次元好きの匿名さん 23/07/17(月) 22:42:17]

>>32

実際オンボロ旧型機でエアリアルとかいう人間入りのインチキMS追い詰めるのはバケモンとしか言いようが無い

[34 チグハグ君(今夜の最後) 23/07/17(月) 23:02:23]

<もっと分かる！ワード解説>

もしグエルと決闘したら…？

もしティガーとグエルが決闘した場合、どちらが勝つのでしょうか？

結論から言うと昔なら機体相性の差でグエルが勝ちます

というのも、グエルの決闘での主力機であった専用ディランザはブレードアンテナが太く、ティガーの得意技であるビームワイヤーでの切断が非常に困難となっています

さらにティガーの得意とする近接武器である片手鎌がそもそも重装甲な機体相手には効きずらいなどの弱点もあり、ディランザ・ハイングラ時代ではグエルが勝ちます

では今のダリルバルデvsペジュレヴァリエではどうなるでしょうか

これは正直五分五分です。お互いの戦闘技能は互角ですが、ティガー君には対ドローン兵器に対する最強の回答札「相手のドローン兵器を足場にする」がありますので、アンビカー等はいい足場になってくれます

ですが、ペジュレヴァリエはそもそも大味な武装が多かったり、単純明快なパワータイプには弱かったりと弱点らしい弱点もあります(というかその弱点は味方との連携で埋めるの前提)

それを加味すると今だとどちらが勝つかはわかりませんね

[35 二次元好きの匿名さん 23/07/17(月) 23:13:36]

成程、対等な状態での単純なマシンスペックのゴリ押しには弱いって感じか

[36 二次元好きの匿名さん 23/07/17(月) 23:18:49]

>>35

チグハグ君本人が技巧全振りみたいなやつだから上から圧殺してくるタイプはそりゃ苦手だよね

逆を言えば技術だけでどんな化け物でも沈められるってことなんだけど

[37 二次元好きの匿名さん 23/07/17(月) 23:27:49]

個人的には本人の気質も影響してる気がする、グエルは精神状態が戦闘能力にあんまり作用しない安定した強さだけど、チグハグ君は通常状態がアホみたいに強い代わりに精神状態によってデバフがかかることでバランスが取れてる感じがある

[38 二次元好きの匿名さん 23/07/17(月) 23:33:08]

>>37

グエル→常にパフォーマンスが変わらない安定した強さ

ティガー→ノったら誰も手が付けられないムラのある強さ

って感じか

[39 二次元好きの匿名さん 23/07/17(月) 23:38:53]

>>38

チグハグ君今だにデバフが解除された感じがないからデバフありが通常状態でみんなを守るモードになった時にデバフが限定的に解除されてる感はある

特にグラスレー寮対地球寮の時とプラントクエタ、グリムイアの時とでは言動の感じがぜんぜん違うし

[40 二次元好きの匿名さん 23/07/18(火) 00:36:58]

>>39

団体決闘の時はおそらく、

・友人であるスレッタに刃を向ける

・相手のMSは家族同然のエアリアル

・意図せず枷になっていたハイングラ

・地球寮とグラスレー寮の間の葛藤

っていうデバフがかかってたからね、それでもエアリアルと対等以上に渡り合うあたり本当にガンダムメタ過ぎる

[41 チグハグ君 23/07/18(火) 08:08:51]

ウォモグラヘの前の開けた場所にケッァルを着陸させる
VTOL機の利点はやはりこういうところにあるのだなと、確か同じ機能を搭載していたはずのペイル社のティックバランは優れた航空機なのだと再確認していた

「あぁー、マジでウォモグラヘだ…」

ケッァルから降りると、崖に鎮座したウォモグラヘがティガー達を出迎えた

「それにしてもここから見るだけでも相当傷んでるなぁ…これコックピット生きてるかなぁ…」

見ただけでこれを修理するのは相当な難題になりそうだなと、少し辟易しているとジェイスが1人ズカズカと進んでこちらに手招きしていた

「この子が…」
「うっ…生臭…」
「……………」

初めて見る少女に驚くエオリネ、タープの中の匂いに顔を顰めるマンフレート、黙っているティガーと反応は三者三様であった

[42 二次元好きの匿名さん 23/07/18(火) 09:30:26]

しかしチグハグ君がデバフ無しで戦える相手って世界征服を目論む悪の組織ぐらいしか思い浮かばないぞ

[44 チグハグ君 23/07/18(火) 14:26:09]

「はい！それじゃァ班分けすっぞ」

というわけでジェイスの一存で4人は２つの班に分けられた
ウォモグラヘの修理を担当するティガーとマンフレートのメカ班と
少女とのコミュニケーションを図るジェイスとエオリネの調査班である

「えー、俺もこっちっなんすか！？」

「当たり前だろ、そうじゃなかったらなんでお前を連れてきたのかって話だからな」

調査班の2人は早くもエオリネのボヤキを嗜めるジェイスという上下関係が出来上がっていた

「改めてお願いします。自分はメカニック科2年のティガー・ハグラです」

「噂はよく聞いてるよ、あのシャディクに見込まれたすごいパイロットガイルってね。オレはマンフリート・ティピュス、メカニック科の3年だ」

「はい！よろしくお願いしま…マンフリート……？あ！もしかして「マッハバロン」の！？」

「あぁ…そんなふうに呼ぶ人もいたなそういえば…でもそんな畏まらなくてもいいって」

「いいえ！操縦の腕から気づくべきでした…校内フェンシング大会では知らぬものはいない名士にして天才操舵手「マンフレート・ティピュス」先輩！お会いできて光栄です!」

「だから、そんなに畏まらないで………………」

こっちはこっちでなんだかおかしなことになっていた

[45 チグハグ君 23/07/18(火) 17:59:37]

─ジェイスside

「よォし！それじゃァ、まずはアレやるか！」

「アレっすか？」

いまいちジェイスという人間を掴み切れていないエオリネは、アレだよアレと言いながらタープに無神経に入っていくジェイスがヤクザかその他の類のものに見えていた

「船長、あんま怖がらせちゃダメっすからね？」

「わーてるよ」

エオリネの忠告を軽く聞き流すと、少女の前でしゃがみ込んだ。これからジェイスが何をしでかすのか、エオリネは固唾を飲んで見守っていた

「よぉ、俺はジェイソン・サダリメルク。見ての通りイケメンな兄ちゃんだ。お前は名前、なんていうんだ？」

エオリネはズッコケた
あんな仰々しく中腰になってやる事がこれかと、拍子抜けしてしまったのだ

「やっぱ答えちゃくれねェか…おいエオリネ、次はお前の番だぞ」

「あ、はいっす」

「初めまして、俺…あー自分はエオリネ・オルファっす。どうもよろしく」

挨拶をしたエオリネを少女は少し怖がっていた。薄暗くてよくわからないが、それでも微かな表情の動きで判別できる

[46 チグハグ君 23/07/18(火) 17:59:59]

「…このバカ、しゃがめ」

ジェイスは怖がられていることにショックを受け、棒立ちしているエオリネの肩を掴むと、強制的にしゃがませた

「何するんすか!」

「こんなガキに上から挨拶するバカがどこいんだよこのスットコドッコイ」

「スットコ……！？いやそんな……あ」

そしてエオリネはそこで初めて気づく。少女の顔に影がかかっていないことに
あの時、エオリネが挨拶した時は彼の体が光を遮り、少女を影の中に隠していた。彼女の目にエオリネはとても威圧的に見えていたのだ
つまりジェイスは初めから分かっていてしゃがんで少女と話していたのだ。それを気づかずにジェイスの行動に茶々を入れていた自分自身を心の中で猛省していた

[47 二次元好きの匿名さん 23/07/18(火) 18:58:49]

こういうとこなんだろうなあ、バカだけど心の機微がわかる、バカだけど

[48 二次元好きの匿名さん 23/07/18(火) 19:07:46]

>>47

さすがはコミュ強

さすがは協調性高

さすがはお馬鹿

[49 チグハグ君 23/07/18(火) 19:31:34]

「……船長、少し席を空けるっす」

「え？ちょ、おまどこいくんだよ〜！」

ジェイスの制動も効かず、エオリネはタープから駆け出して行ってしまった

「あー…あの兄ちゃんも別に悪いやつな訳じゃないんだ。ただ…お前と仲良くしたくて空回りしちゃってんだこれが」

そんなジェイスのフォローも少女にはうまく伝わっていないようだった

───────────

「お待たせしたっす！」

「おう！お帰…なんだそれ！？」

5分ほど待って、エオリネが帰ってきた
とんでもない大荷物を持って

「あ、これっすか？アコーディオンっす！」

「いや、それはわかるけど、なんで持ってきたん？」

「ちょっと考えがあって」

そういうとエオリネは少女の前に座ると、アコーディオンを胸の前に構える

[50 チグハグ君 23/07/18(火) 19:32:17]

「俺は〜エオリネ〜アコ〜ディオン弾き〜空からやって来た〜陽気なやつ〜♪」

エオリネが考えたのはアコーディオンで音楽を奏でながらの自己紹介だった。音楽家としてアルゴノーツに所属しているエオリネならではのアイデアだった

「ほ〜しこ〜え、空もこえ〜、大地をゆく〜俺たち勇敢〜アルゴノ〜ツ〜♪」

おそらく初めて見るであろうアコーディオンに少女は目を丸くして、興味津々といった様子だった

「はじめましてお嬢さん〜ごきげんよ〜もしよければわたしに〜教えてください〜あなたのステキなお名前を〜♪」

そして演奏を終えると、緊張した様子で少女の返答を待っていた

[51 二次元好きの匿名さん 23/07/18(火) 21:09:40]

アコーディオンってこれか、すげえ重そう…

[52 チグハグ君 23/07/18(火) 22:25:49]

「………？」

少女の反応は芳しくはなく、ミュージカル調の自己紹介兼名前の聞き出しは失敗に終わった

「でも良い線言ってたと思うぞ、小さな子に音楽で聞くのはナイスアイデアだ👍」

「うぅ…先輩……」

「さて………どうしようかね」

「もうすでに万策尽きちゃいましたよ…」

「もうこの際だしなんか一曲踊ってみるか？なんかメデイアがすんげー昔の話で、引きこもりの女を踊りで誘き出して引き摺り出したっつー話があるって言ってたし」

「それ本当に大丈夫なんすか？」

早くも万策が尽き、アレでもないコレでもないと迷走極まる作戦会議が繰り広げられるが、バカとそこそこな脳みそのやつでは一発逆転の解決なぞ思いつくわけもなかった

悩むジェイス達の背後からピョンピョンとリズミカルに跳ねる音が聞こえる

「ハロか、どーしたんだよお前、ティガーんとこにいなくていいのか？」

ジェイスの問いかけには答えずハロは少女の元へと向かっていった

見つめ合うハロと少女
ハロが耳をパタパタと動かせば少女の視線は動く耳に釘付けになる
そして少女の手がウォモグラヘから離れ……ハロの頂点部へと触れた

男2人はズッコケていた

[53 二次元好きの匿名さん 23/07/18(火) 22:57:03]

やっぱり可愛いものが好きか

[54 二次元好きの匿名さん 23/07/19(水) 00:35:58]

ま、負けた…

[55 チグハグ君 23/07/19(水) 08:11:51]

「うわぁ…こりゃ酷い……」

最初に一通りウォモグラヘの現状を調査することにしたメカ班は、そのあまりの状態の悪さに顔を顰めていた
そもそも20年ほど前に作られて機体であるが故、経年劣化等はあって然るべきなのだがそれにしたってあまりにも物の状態が最悪すぎた
関節は漏れ出たグリスや錆でガチガチに固まっており、装甲は雨風に晒されたことで腐食され、一部には虫食いのような穴さえある
何より酷いのはバッテリーパック装填口がズタズタに破壊されているのと、開きっぱなしになったまま放置されていたコックピットであった
コックピットの上の方には野鳥が作ったと思われる巣の残骸のようなものがあり、ペダルやシートが鳥のフンで汚れていた

そして、電装系もこれまた酷かった

「うわぁ……コンバットシステムまでぶっ壊れてる…」

特にシステム面に関する機器がことごとくイカれており、戦闘の要であるコンバットシステムを司る回路すらショートして使い物にならなくなっていた

「これ、もしかしなくても無理じゃね……」

あくまでメカニックとしては門外漢のティガーにこの重傷患者を超えたナニカの修復は不可能に思えてならなかった

[56 二次元好きの匿名さん 23/07/19(水) 08:20:13]

まあ20年も放置されてたらなあ

[57 チグハグ君 23/07/19(水) 17:39:52]

「この様子だと、ブラックボックスも生きているかどうか怪しいなぁ…」

ガサゴソとコックピットを漁るチグハグ君

見つかったもの

dice1d3=3 (3)

1.ブラックボックス(音声データのみ)

2.メインカメラの記録映像

3.何も見つからなかった

[58 チグハグ君 23/07/19(水) 17:55:34]

「成果ゼロ………」

「お疲れ様、まぁ気を落としちゃいけないよ」

結局なんの成果もなかったティガーは己の不甲斐なさに意気消沈していた。マンフリートが気遣ってプロテインバーなどを差し出すが落ち込むだけで受け取ろうともしなかった

下の方ではジェイスとエオリネが先ほどからあーでもないこーでもないと言い合って、時折アコーディオンの楽しげな音が聞こえて来ていた

「情けないなぁ…」

そう呟くと、額を膝で隠しながら、目を瞑った

────────

そして再び目を開けるとそこは

閑散とした舞台の舞台上であった

[59 二次元好きの匿名さん 23/07/19(水) 18:03:53]

またパメ空間か？

[60 二次元好きの匿名さん 23/07/19(水) 18:08:58]

エアリアル戦見返したけどプロスペラとエリクトの情緒がおかしくなってそう、プロスペラからすれば愛娘が覚醒した瞬間に過去に自分たちを虐殺した因縁の機体が襲いかかってきてるし、エリクトは自分がロウソクにした機体が20年の時を超えて逆襲してきたように見える

[61 チグハグ君 23/07/19(水) 19:55:40]

「えっ！？なんだここ！？」

あまりに唐突なその展開に驚きが隠せないティガーは、周囲を見渡し他に人がいないかを確認する。しかし、舞台上にも観客席にも人はおらず、この寂れた小劇場のような場所に、ティガー1人がポツンといる状態であった

『怖がることはないよ、ここは君の世界なんだから』

突然響いたその声に驚くと、声のした方向─舞台袖から赤い瞳と赤いグラデーションの髪の少年がやって来た
その姿にティガーは見覚えがあった、なんのせ生まれてから毎日その顔を見続けているのだから

「もしかして…君がアルゴス……？」

『あぁ、こうして会うのは初めてだね、私はアルゴス・ジェミニィ。こうやって話せるのが嬉しいよティガー』

小劇場の舞台の上で、同じ顔をした瞳の色の違う少年が相対していた。赤い瞳の少年は穏やかな微笑み、青い瞳の少年はすこし引き攣った表情、こんなところでも2人の印象は対照的だった

「あの…アルゴス……さん？」

『今まで通りアルゴスでいいよ』　

「それじゃぁ…アルゴス、あの「君の世界」ってどう言う意味？」

『あぁ、それか。なに単純なことだよ。この場所、この舞台は君の世界、もとい君の心の中の世界なのさ』

「僕の心の…中」

『そう、君はここで「ティガー・ハグラ」という存在を演じている。私はそれをずっと舞台袖から見守って来たのさ』

[62 二次元好きの匿名さん 23/07/19(水) 20:05:42]

データストームの先の世界とはまた違うのか

[63 チグハグ君 23/07/19(水) 20:33:24]

「ティガー・ハグラを演じてる……？」

『…人間の体は入れ物に過ぎない。僕らの本体は魂で、名前や姿なんてのはただのフレーバーなんだ。僕らは肉体の限界が来るその瞬間まで、その名前の人間を演じているだけに過ぎない。だから同じ名前でも魂が違えばそれは別の人間になる』

「あー、ごめん、難しくてよくわからないんだけど、つまり本当は魂と体がバラバラなのが人間ってこと？」

『……まぁ、その認識でもいいかな。大事なのは、同じ肉体でも魂によってその在り方は変わってしまうということさ』

「それが今の僕とアルゴスの関係ってこと？」

『理解が早くて助かるよ。流石はティガーだ』

「え、あ、ありがとう」

正直ティガーにはよくわかっていなかった。いきなり魂とか肉体との結びつきがなんとかと言われてもなんのこっちゃという疑問しか出てこない

「なんかわかんないけどわかった。……じゃぁさ、なんでいきなり心の中になんて来ちゃったの？」

『それは君が一番よくわかっているんじゃないかな？』

[64 二次元好きの匿名さん 23/07/19(水) 21:01:35]

エリクト・サマヤが肉体を失ってガンダム・エアリアルという存在になってもエリクトの魂は変わらないしな

[65 チグハグ君 23/07/19(水) 21:11:09]

「自分が1番わかってるって……じゃぁなにさアルゴスならあのウォモグラヘから欲しい情報引き出せるわけ？」

『できるよ？』

「できるの！？」

ダメ元で聞いてみたことだが、なんと二つ返事で可能だと言ってきた。願ってもない行幸…というかいささか都合が良すぎる気もするが、解決できるのならそれに越したことはない

「ありがとう！これであの子のこと少しはわかるかも!もし何か決定的なものがあれば、あの子の現状を解決できる手段もわかるかもしれない!」

『……変わらないなぁ』

「え？なんか言った？」

『なんでもない、ただの独り言だよ。それじゃぁ、体の方の瞳を開けるんだ、そうすれば意識は体の方に戻る。戻ったら私に代わってくれ、なんとかしてみるよ』

「わかった！ありがとうアルゴス」

『……待って』

[66 チグハグ君 23/07/19(水) 21:11:30]

別れ際、アルゴスに感謝を告げると、元の視点に戻るために再び目を閉じる…だが、その時アルゴスの手がティガーの肩に触れた

「どうしたの？」

『いや、なんでもないさただ…いつでもここに来ていいよって言いたかっただけ』

「……行き方はわからないけど、また来るよ。アルゴスと話したいことまだまだ沢山あるし！」

『そうか…じゃぁ、また会える時を楽しみにしているよ』

「僕も楽しみにしておくね！それじゃぁ代わったらよろしくね!」

そして今度こそ、ティガーの意識は心から体の方へと戻っていった

『……あと何回、君と話せるんだろうね』

舞台上から袖へはけながら、アルゴスはまた誰にも聞こえない独り言を呟くのだった

[67 二次元好きの匿名さん 23/07/19(水) 21:28:23]

なるほど･･･アルゴスは残滓のようなものなのか

[68 二次元好きの匿名さん 23/07/19(水) 21:45:29]

ティガーという肉体に本来違う存在のアルゴスが入ったら無理が出るってことか

[69 チグハグ君 23/07/19(水) 22:26:24]

「────丈夫──えて─」

「大丈夫！？声聞こえてる？」

「……はっ！」

マンフリートにゆすられ、微睡にも似た温もりの中にいたティガーの意識が覚醒する

「大丈夫？いきなり電源落ちたみたいに動かなくなっちゃったから心配したよ」

「すいませんマンフリート先輩」

「大丈夫ならなかったよ…」

急に動かなくなった後輩を心配していたマンフリートであったが、心配ないと示すようにブンブン腕を振るティガーの姿を見て、ほっと一安心していた

「さて……よろしく頼むね、アルゴス……チェンジ・スイッチ・オン」

入れ替わりの合言葉を言った瞬間、ティガーの青い髪の毛先が赤のグラデーションへと変わっていき、その瞳は真紅に染め上げられる

「これが、ティガー君の入れ替わりか…」

『そんなに珍しいものではありませんよマンフリート・ティピュス先輩』

再びこの世界へと現れたアルゴスは得意げな顔でマンフリートへと笑いかけた

[70 二次元好きの匿名さん 23/07/19(水) 22:34:26]

いや珍しく無いわけねえんだわ

[71 チグハグ君 23/07/19(水) 22:53:20]

『それでは始めます』

アルゴスはエリシオンをウォモグラヘとケーブルで繋ぐと、パーメットの流れをコントロールし、ウォモグラヘ内のデータをエリシオンへと吸い出していく

「おぉ、それでデータ取得できるんだ」

『あくまで吸い出しているだけです。詳細な確認にはデータのクリーニングを行わなければいけません』

マンフリートと話していると、データの吸い出しが終わったようで、ケーブルがエリシオンから外される

『さて、私の仕事はここまでです。…チェンジ・スイッチ・オン』

髪と瞳の色がティガーのものへと戻っていく

「今回は随分短い入れ替えだったね」

「まぁ、吸い出しをお願いしただけですので…それに、ここからは自分の役目ですから」

そう言うと、ウォモグラヘのコックピット付近から地上まで─大体10mくらい─飛び降りる。綺麗に着地すると、上にいるマンフリートから拍手が送られた

[72 二次元好きの匿名さん 23/07/19(水) 23:05:07]

やっぱ身体能力高いんだな、チグハグ君でこれならジェイスはどうなるんだ･･･？

[73 チグハグ君 23/07/19(水) 23:28:28]

『ティガー！ティガー！』

盛大に着地を決めたティガーの元に、タープからハロが駆け寄ってきた

「どうしたハロ？なんか進展あった？」

「あったぞ」

ティガーの質問に答えたのはハロではなくジェイスだった

「あのガキは多分ネコ好きだ。お前のハロを滅茶苦茶気に入ってたからな」

そう言うとジェイスは大層恨めしそうな目でハロを見つめる。なんだかタープの中で一悶着あったみたいだ

「そりゃそうだよ!ハロの可愛さはエナオ先輩も公認済みだからね！一緒に連れて行くと毎回エナオ先輩に撫でられてるんだから！いっつも……」

ハロの可愛いさがいかに優れているかの熱弁をしていたティガーだが、エナオの話しをし始めると、それが少し詰まった

「……やっぱ、お前の先輩たちのこと気になんのか？」

「そりゃね…最近、連絡取れてないし、なんか取りづらいし…ほら、シャディク先輩、総裁選に立候補するなんて噂もあるらしいし……なんか、勇気がない」

「……まぁそんな時もあるだろ。人と話す時は無理やり勇気を作るもんじゃねぇさ。本当に話したい時は勇気なんていらないで、すらすら言葉が出てくるもんだからな。今はちょっとお休み期間ってだけさ」

「…いつもありがとう、ジェイス」

「なんだよいきなりw」

ジェイスの優しい慰めの言葉が、ティガーには優しすぎるように感じられて、少し胸が暖かくなった

[74 二次元好きの匿名さん 23/07/20(木) 00:02:36]

ああ、まだ裏切りのことを知らないのか･･･全てを知った時に出る感情は立ち直れないほどの悲しみか、味わったことが無い程に我が身を焦がす怒りか、それとも･･･

[75 チグハグ君 23/07/20(木) 08:35:07]

少年達が少しずつ真実に近づいて行っている頃、そんな彼らを遠方から観察する者がいた

「…あれか、テロリストどもにブン獲られたデカブツは」

茂みに潜み、双眼鏡でウォモグラヘを観察しているその者は胸ポケットからシガレットを取り出す。ない煙を吐き出す動作をすると、口角をあげ標的を睨んでいた

「さて…先ずは外回りから始めますか」

コックピットに乗り込むと、各種スイッチを入れアイドリング状態の機体を立ち上げていく

深い木々の森の中、紫のラインが映える漆黒のディランザがそのセンサーを鈍く輝かせた

[76 二次元好きの匿名さん 23/07/20(木) 09:33:27]

テロリスト？それにディランザ持ちってことはおそらくスペーシアン･･･もしやドミニコスか？

[77 チグハグ君 23/07/20(木) 18:02:35]

─その夜

「というわけで、映像のクリアリング完了したのでみんなで見ようか」

深夜の食堂には少女と直接会った4人の他、メデイア含め数名のアルゴノーツメンバーが席に座り、ティガーの解析した映像を見に来ていた

再生のスイッチが押され、まず映し出されたのはどこかの格納庫と作業着を着た数名の作業員であった

「あー…ここは関係ないので飛ばしますねー」

ある程度映像を飛ばすと、次に映されたのは見窄らしい廃工場の中であった

「ここは…？」

「おそらくどこかの廃工場…このタイミングで盗まれたのではないでしょうか？」

「メデイアさんの言う通り、多分このちょい前くらいに盗まれたっぽいですね。日時も記録と合致します」

メデイアとティガーの解説を挟みつつ、映像が巻で流されていく
代わる代わるウォモグラヘの周囲を移動していく作業員達。彼らの着ている服は統一感もなく、中には作業服すら着ていないものもいたが、みなウォモグラヘの足元で整備をしたり、酒盛りをしたりと楽しんでいる様子が画面越しに伝わってくる

[78 チグハグ君 23/07/20(木) 18:03:28]

「なーんだ、案外大事にされてたんだなアイツ。クソみてぇな状態だったからコキ使われてるもんだと思ってたわ」

「でもアレは盗品で彼らは盗賊ですよ。どれだけ物に愛情を注いでもその事実は変わりません」

「なんだよ、機体心がわかってねェな。出会いはどうあれ、大切って思う気持ちに変わりはねぇだろ？」

「艦長、盗人に感情移入しすぎです」

機体を愛するパイロットの視点で彼らのウォモグラヘへの愛着を見抜くジェイスと、彼らは所詮盗人であると感傷に浸ることもなく、事実だけで物事を見ているヨハネス
感じる側と伝える側の違いと言える物事の捉え方の違いであった

[79 二次元好きの匿名さん 23/07/20(木) 18:16:26]

アーシアンの強盗組織ってとこか？まあどれだけ言い繕うと盗人は盗人だからな

[80 二次元好きの匿名さん 23/07/20(木) 18:29:34]

フォルドみたいな奴らか

[81 チグハグ君 23/07/20(木) 18:47:42]

映像は続いていく

陽気な宴会をする男達と、小言を言いに来た女達
項垂れながら水を撒き、たまに彼─ウォモグラヘ─の方にも水を撒く作業服の男
入ってきた落ち葉を外へと片付けながら、大きな腹をさする女
厚着に身を包み、身を小さく縮こませながらいそいそと工場の中へと入ってくる男達

カメラの映像は工場の一点を映すだけで、外の季節などはよくわからないが、彼の映すその映像が、彼の見てきたその記憶が、そこに生きる人々の姿が早送りで消費される映像の中で確かに時間を刻んでいた

そして冬が明け、柔らかな日差しが工場へ差し込む頃、彼が映す人間が1人増えた
髭を生やした男が彼の顔のそばに登ってくる。その腕の中には小さな赤子が抱き抱えられていた。ふくふくとした赤みがかったその赤子は彼に向けて手を伸ばしては、口を半開きにして、まるで微笑んでいるかのような表情で彼を見上げていた

そして季節は再び巡りだす
彼の目の前に置かれた大きな桶に水を張り、赤子と共にその中へ飛び込み、桶の中の水を全てぶちまける男の姿があった
赤子を抱き抱え、箒を握る男達に喝を飛ばす女の姿があった
厚着をして白い息を吐きながらひっきりなしに走り回る人々の姿があった
スコップを持って項垂れ、物に当たり散らかしたり、頭を掻きむしる男の姿があった

彼は彼を取り巻く人々の営みをずっと見てきたのだ

[82 チグハグ君 23/07/20(木) 19:52:54]

そうして何度も季節を巡った頃、薄暗い夕暮れの工場の中で人々が慌ただしく動いていた
ある者は武装を施した四輪の車輌に乗り込み、またある者はバイクの前後に円盤のようなモノをつけた車輌へと乗り込み、次々に工場を後にしていった

そして彼にもその順番が回り、彼のコックピットに顎髭を生やした男が乗り込んできた。
彼の初めての出撃は、なんとも慌ただしいものであった

暮れていく陽を背にしながら、彼は木々の生い茂る森を行く
彼の重装甲な身体は地球重力下での二足歩行には適さず、ホバーユニットでの移動を主な移動手段としている
これが戦闘であるのならば大した問題にはならなかったはずだが、これが"逃走"である事がそれを大問題へと押し上げていた

ホバーでの移動はその性質上、二足歩行に比べ、移動時に大量の砂塵を巻き上げてしまうと言う問題がある。これが逃走を行っている彼には問題で、巻き上がった砂埃と持ち前の巨体のせいで隠れながら進む事が不可能になっていた

おかげで追ってきたMS達の攻撃を浴びることになる
だがそこは腐っても重装甲。彼の堅牢な装甲と取り付けられたチェーンメイルは敵の攻撃による効果を最低限に抑え、火が完全に沈み辺りが暗くなるまで、その形を保ち続け、パイロットを守り抜いていた

そして彼は、小高い山の開けた場所へと辿り着く
ここは事前に決めた合流ポイントの一つであり、そこには工場から逃げてきたパイロットの仲間達もいた
彼らは這々の体でやってきた彼と彼のパイロットに手を振っていた。それに応じるように彼も手を振った
誰もが安心しきっていた

そんな時森の奥の方から音がし、皆がその方向を向いていた。注意深く目を凝らす。何やら森が奥の方から明るくなる
ドーン！と大きな音がする
彼の目の前で、森から飛翔してきたミサイルがパイロットの仲間を乗せたトラックを焼き貫いていた

[83 二次元好きの匿名さん 23/07/20(木) 20:47:26]

身構えを解いた瞬間に死神に囚われたか

[84 二次元好きの匿名さん 23/07/20(木) 20:57:56]

セキュリティフォースに襲撃されたあの難民キャンプみたいなやつがあったのか

[85 チグハグ君 23/07/20(木) 21:10:33]

彼の眼は肉体が吹き飛び、かつて仲間であったモノの残骸が炎で焼けこげるのを克明に記録している
まだ息のある人間がもがき苦しみ、のたうちまわりながら死んでいくのを記録している
否、記録するしかなかった。彼のコックピットにいるパイロットが操縦桿から手を離してしまっていたのだ
彼は人によって操られる機械でしかない
彼に心はないし、それを起点とする感情もなければ自由に体を動かす意思もない。彼は人が何かをしなければ永遠とそのままなのだ

そんな木偶の坊になっている彼の眼が一つの影を映した
それは子供であった。まだほんの幼い子供が、その大きな目から大粒の涙を流しながら彼の元へと近づいてくる
"助けを求めて近づいてくる"

そんな少女を狙おうと森の中から真っ暗な巨体の怪物─ディランザ・ソル─がビームトーチを手に飛び出して来た
少女の小さな体ではほんのつま先があたるだけで、その肉体は形を維持できなくなるだろう。それだというのに、黒き巨人は少女を殺すにはあまりに大仰なビームトーチを大上段に構えていた
そして、そのまま少女へと振り下ろされ……


その刃が少女に触れることはなかった
彼がビームトーチの軌道にその手に持つビームアックスを割り込ませたのだ
彼は少女を背にするようにディランザ・ソルと向かい合う
ここから先には通さないと言わんばかりに、ビームアックスの出力を上げ、それによって待機中に生じたプラズマでディランザ・ソルを威嚇する
そして、背後にいる少女をもう一度その眼に映すと、フレームを軋ませながらその脚でディランザ・ソルへと突撃して行く

[86 二次元好きの匿名さん 23/07/20(木) 21:23:28]

しかしわからん話だな、スペーシアンのMS部隊が盗品の試作MSの回収のためにここまでやるか？他に後ろ暗いことでもやってたか

[87 チグハグ君 23/07/20(木) 21:43:50]

巨悪を前にした主人公が、怒りに燃え敵を倒す
古来より紡がれてきた多くの物語において、それは何度も繰り返されて来た王道だ

─だが、彼らにそんな事は万に一つも起こらない─

ディランザ・ソルへと迫る彼の前に、もう1機、深緑の機体─ザウォート・ヘビィ─が現れる
とはいえザウォートは細身の機体だ、彼がパワーで負けるわけが無い。標的をザウォートに変え、ビームアックスを振りかざす
当たればひとたまりもない一撃、ザウォートに防ぐ手段はない。
─だがそれは彼らの技術が対等であればの話だ

ザウォートの手刀が彼のコックピットを貫くと、その中にいるパイロットを引き摺り出す。そして無造作に握りつぶすと、主人を失った彼をディランザ・ソルが崖まで突き飛ばした

あまりにも圧倒的な差
たかが盗人の彼らに訓練された正規の軍人に勝てる未来など一つたりともない。彼らは物語の主人公ではないのだ

─彼らは罪人なのだから─

彼はノイズ混じりになり、敵機の正確な認識さえできなくなった眼で敵を境に捉え続ける。あの2機がそれ以上何かをする事はなかった
もう動く事はない彼に使う無駄な球など無いのだ

彼はその最期に何を思っていたのだろうか
意思なき機械は、己の生に悔いを残す事はあるのだろうか
最後の最後、映像が途切れる寸前、彼の足元に縋り付く少女の姿を映し、彼はその眼を閉じた

[88 二次元好きの匿名さん 23/07/20(木) 22:22:07]

まあ所詮テロリストではなあ

[89 チグハグ君 23/07/20(木) 22:57:10]

映像を見終えた食堂は、空気が死んでいた
無理もない。あの少女のことを事前に聞かされ、そしてなぜあの少女がMSに縋り付いていたのか、その一部始終が記録されていたのだから

「……俺たちのせいか？」

誰よりも先に声を出したのは、一番少女と関わっていたジェイスであった

「俺たちの安全のために、定期的に地球のテロリストの掃討ってやってんだろ？それのせいで、あのガキんちょは父ちゃんと死に別れることになったのか？」

「全然違うわよ」

珍しく弱気なジェイスの言葉を、リップが即否定した

「どれだけ感動的なストーリーがあったとしても彼らは盗人、罪人よ。貴方は罪人に感情移入して、無実だって言うつもり？」

「いや、んなわけゃァ…」

「貴方の発言はそういうことを言っているの。いい、たとえ傲慢だと言われても彼らのやっている事は言い訳の余地なしの罪よ。画面に映っていないだけで、彼らは盗みを日常としているでしょうし、それで殺されたって文句なんて言えないのよ」

リップの言葉は、正論であるが、正論であるが故により場の空気を重くする
人の感情は損得では語れないと言われるように、一度心を動かされてしまえば、そちらに心を持って行かれてしまうモノなのだ
そういう意味では、先ほどの映像はアルゴノーツ達の学生メンバーの心を揺さぶるには十分過ぎた

[90 二次元好きの匿名さん 23/07/20(木) 23:02:28]

そしたらアーシアンのテロで家族を失った人間(チグハグ君？)もいるわけだしな、どんな立場であろうと罪は罪であり、社会的弱者だったからしょうがないというラインはMSという殺人のための兵器を用いた瞬間に超えている

[91 二次元好きの匿名さん 23/07/20(木) 23:15:54]

やっぱり間違った方向に行きそうな時に修正してくれる大人は必要だな

[92 チグハグ君 23/07/20(木) 23:23:35]

「でもさァ、あのガキんちょ、父ちゃん目の前で殺されてるわけじゃんか。俺、別に親そんな好きなわけじゃねェけど…それでも、その父ちゃんがどんな悪人でも子供から父ちゃんを奪うのはやっちゃダメだろ！」

「…そうね、どんな事情があろうと子供から親を取り上げること、それは私もダメだと思う。でもね艦長さん、世の中そんな単純じゃないのよ、この世界には両の手じゃ数えきれないほどの正義があって、生きている限り自分の信じる正義で誰かを傷つけながら生きていかなきゃならないの」

「自分の正義だからって絶対に正しいのかよ！？…俺は俺が正しいと思ったことをして独りぼっちになった。でも、ティガーが親友になってくれて独りぼっちじゃなくなった。誰かの正義で傷つく奴がいるなら、そいつを助ける人間だっているだろ！？それが俺たちアルゴノーツじゃねぇか！」

「じゃぁそうやってこの世界の全てを救うなんて夢物語を振りかざして、間違ったことを代わりに許してあげるなんて傲慢なことを言うつもり？」

「………」

「いい？みんなも聞いてちょうだい。人は、優れた生命体じゃない。毎日毎日、自分の手で死の要因を作り出し、それを自ら手繰り寄せながら生きている、そんな愚かな生命体、それが人間なの。人は愚かだからこそ成り立つし、愚かだから支える心が際立って見える」

「その愚かさは自分で抱えて生きなきゃいけないないの。自分の尻は自分で拭く、自分の罪は自分で背負う。誰かの罪を赦してあげるなんてそんなの神様にでもならなきゃ無理よ」

感情論では人は救えない
人を救うのは理性的な科学に裏打ちされた理論であり、可哀想だから、寂しそうだったから、そんな理由でなんの考えもなしに人を救い続けらる訳がない
1人救えても次の人は救えなくなる
だからこそ、人を救う時は理性的でなければならない。ここらの情動の赴くままに飛び出しても物語のようにはいかないのだ

[93 二次元好きの匿名さん 23/07/20(木) 23:36:59]

テロリズムをやった者が許されたところでそのテロリズムで死んだ人間の家族はたまったものでは無いだろうからな、それで許せたらサイコパスか何かだ

[94 二次元好きの匿名さん 23/07/20(木) 23:56:02]

まあ戦争シェアリングもクソだがそれでテロに走るのは正当化されるわけが無いからねえ、それもドミニコスとかの軍に挑むならまだしも民間人を一方的に殺そうとするセコいことこの上ない行為だし

[95 チグハグ君(今夜の最後) 23/07/21(金) 00:01:44]

「これに関しては、リップさんの考えが正しいと思う」

リップの正論で静まり返った食堂にティガーの声が響いた

「確かに、誰かが犯した罪を赦してあげられるのは神様だけだし、どんなに事情があっても、ダメな事はダメだと思う」

「ティガー……」

「でも、ジェイスの考えもわかるよ。確かに父親がいなくなるって、すっごく辛い事だから……それがあんな小さな頃ならなおさら…助けたいって自分も思う」

「では、どうする気なのですか？」

後ろで話を聞いていたヨハネスが手を挙げる

「助けると言っても、ボクらは精神科医でもありませんし、ましてや心のダメージのプロフェッショナルでもないただの素人集団ですよ？それなのにできることなんて」

「ないよ」

「何もない。あの子を救ってあげられる都合のいい方法なんてない。…心ってね一度壊れると元には戻らないんだよ。誰かが優しい言葉をかけてもそれは気休めにしかならない、結局は自分の手で治さなくちゃいけないんだ。だから自分たちができるのは…治そうって前向きな気持ちになれるようにするかじゃないかな？」

「例えば…あの子に笑顔を取り戻す……とか」

[96 二次元好きの匿名さん 23/07/21(金) 00:06:23]

経験者は語るってやつか

[97 二次元好きの匿名さん 23/07/21(金) 00:17:00]

常に自分が出来る善い事を行うのが最善の道だ

[98 二次元好きの匿名さん 23/07/21(金) 10:52:00]

やっぱ達観してんな

[99 二次元好きの匿名さん 23/07/21(金) 11:08:50]

総裁選が開かれる前ってことは今回はグエルが地球からアス高に戻ってる途中の空白期間の話なのかな

[100 チグハグ君 23/07/21(金) 12:05:11]

子供達がそれぞれの部屋に戻った頃、食堂にはフローレスとリップの2人だけがいた

「はぁ〜大人って損な役回りよね」

リップは悪態をつきながらウィスキーの入ったグラスを回していた。中に入った氷が側面に当たりカラカラと特徴的な音が鳴る

「職業柄……ってやつなのかしらね。本当は、正論で救える人なんてほんの一握りなのに、正論を言わざるを得ない」

「君は立派にやっている方さ。間違いを正さずに世界に発信する人間のなんと多いことか。例え耳障りの悪い言葉でも正しいことを言える君は素晴らしい人間だよ」

愚痴を吐くリップの相手をするフローレスは縁に塩がついたグラスを煽ると、どこか遠くを見る目をして、一つため息をついた

「バタンガなんて、随分珍しいの飲んでるのね」

「研修時代に友人から教えられたやつでね、以来酒の席ではコレと決めている」

「へぇ、いいご友人ね。今でも付き合いはあるの？」

[101 チグハグ君 23/07/21(金) 12:05:34]

その質問をされたフローレスはグラスをコースターへと置き、少し間を置いて口を開いた

「…数年前に、宇宙線にやられちゃってね。処置が悪くて合併症を併発して、そのまま…」

「ごめんなさい、流石にデリカシーがなかったわ」

「いいのさ、こいつを飲んでいる時はアイツのことを嫌でも考えるから」

2人だけの食堂に、二つのグラスの中の氷がカランコロンと不規則なメロディを奏でる。深夜の夜、薄暗い部屋の一角、照明の下で男と女の沈黙は続く

「色々あるのね、貴方も」

「生きていれば胸に抱えるモノは増えていくものさ。君もそうだろ？」

「えぇ…そうね……大正解…」

静かな夜はまだまだ続いていく
子供達が寝静まった後も、大人達は目覚め続ける
酒の匂いとしんみりした世間話が食堂を満たしていた

[102 チグハグ君 23/07/21(金) 19:22:46]

─次の日　近くの村

「それじゃ、よろしく頼むね」

「おう！任せといてくれ」

ジェイス達はアルゴデッセイ号が停泊している近くの村の魚屋で、タッパーに入った焼き魚を受け取っていた
いつもは魚屋の息子が届けに行っているらしいが、店主に頼んで配達を代わってもらったのだ。それはあの少女との関わりが欲しいと思ったジェイスの考えからであった

「おやっさん、そのまま食えるやつとかある？」

今日の分を受け取り、少女の元へ向かおうとした時、随分とガタイのいい、口髭と顎鬚の豊かな男が魚屋を訪ねてきた

「どうした坊主？俺の顔に何かついて…お、それお前の昼飯か？」

「アンタの顔にはなんもついてねェよ。俺ほどじゃないがイカしたツラなら張り付いてるけどな。後これは俺の分じゃねェ」

「へぇ、随分とお世辞が上手いじゃねぇか。お前も俺ほどじゃねぇがなかなかナイスなツラしてるぜ？」

ジェイスは心のどこかでは目の前の男を警戒していたが、話してみた感じは特に脅威を感じることはできなかった。というよりも、案外話せるタイプの人間なのではと思い始めていた

「俺はジェイソン・サダリメルク、オッサン、中々話してて面白ェな」

「そりゃそうだ坊主、俺は泣く子も黙るジョージ・セイルコフだぜ？バーでこの名を言えばどんなビッチなチャンネーでもイチコロだ」

魚屋の前で出会った男達は何故か即意気投合していた

[103 チグハグ君 23/07/21(金) 20:31:43]

「ところで坊主、そのイカした服はどこで買えるんだ？」

ジョージが興味を示したのはジェイスが着用しているアルゴノーツの制服であった

「あーこれ？生憎、コイツは非売品なんでなアンタには買えないよ」

「非売品かそれなら仕方ないな。まぁ普段使いには向かなそうだし、MS乗ってる時はパイロットスーツで着る場面がないけどな!」

「アンタ、MSのパイロットなのか？」

「あたぼうよ、「黒い竜巻」とは俺のことさ」

「へー、相当腕利なんだなアンタ。そんな仰々しい二つ名付けられるっつーことは相当なテク持ちなことで」

「そういう坊主も、MS乗りの顔をしてるがな」

「当たり前だ。男なら一生に一度は乗るもんだろ？」

「言えてるな。玉と竿持って母ちゃんの股から生まれたからにゃMSに乗らなきゃ生まれてきた意味がねぇってもんだ」

2人はそんなバカな会話を小一時間ほど続け、そのまま魚屋の前でお開きとなった
ジェイスを見送ったジョージは端末でとあるニュースを確認していた

「ジェイソン・サダリメルク、グリムイアを救った少年集団アルゴノーツのリーダーねぇ…」

ニヤッと笑うとジョージは懐からシガレットを取り出し、吸っているフリをしながらジェイスとは反対の方へと歩き出した

[104 チグハグ君 23/07/21(金) 22:36:06]

「あ、ジェイス〜！」

「すまんすまん、遅れた」

ウォモグラヘの周りには昨日と比べて多くの人が集まっており、その大半が昨日ウォモグラヘの記録映像を見たメンバーであった

「どうしますジェイソンさん？」

メデイアがジェイスへと問いかけた

「モチのロンよ！」

dice1d3=2 (2)

1.エオリネ頼んだ!

2.ティガー、頼んでたやついけるか？

3.というわけでハロ's手筈通りに！

[105 チグハグ君 23/07/21(金) 23:12:45]

「勿論!」

そう言うとティガーはどこからともなく鉄板のついた荷車のようなものを運んでくる

見たこともないものに疑問を持ったメデイアがティガーへと問いかける

「こちらは？」

「あー、移動式の鉄板屋台です。まあ似たようなのを作ったことがあるんですけど、それの簡易盤みたいな感じですね。材料は村の方で調達してきました」

「なるほど、でもこれで何を…？」

「それは……」

答えようとしたティガーの前にジェイスが一歩前に出る

「dice1d3=2 (2) だ！」

1.焼きそば

2.ホットケーキ

3.お好み焼き

[106 二次元好きの匿名さん 23/07/21(金) 23:46:09]

ギアスの日常回的なエピソードだ

[107 チグハグ君 23/07/21(金) 23:50:56]

「というわけで本日作りますはホットケーキです！」

「たまごを溶き、砂糖と一つまみの塩を加えて、よくかき混ぜます」

「牛乳を加えたら、卵の白身が完全に消えるまで混ぜます」

「混ぜ終えたらここに、小麦粉、ベーキングパウダー、溶かしたバターを加えてドロっとするまで混ぜます。ワンポイントアドバイスですが、小麦粉はふるいにかけながら入れるとダマになりにくいです」

「生地が出来上がったら、焼き上げていきます。蓋をして蒸し揚げのようにすると焦げないように作れますよ」

「焼き上がったら、あらかじめ作っておいた生クリーム、木苺のジャムをかけて……」

「完成!」

[108 チグハグ君(今夜の最後) 23/07/22(土) 00:04:30]

「美味い！」

「美味しいですティガーさん」

「ほへー、料理男子だ」

「うーん、お酒欲しいなぁ…」

「リップさん、糖尿病になりますよ？」

メンバーには割と好評だった

少女からの評価

dice1d100=14 (14)

[109 二次元好きの匿名さん 23/07/22(土) 00:25:27]

なんと･･･なんでだろうか

[110 チグハグ君 23/07/22(土) 08:28:57]

どうにも少女はお気に召さない様子だ

理由

dice1d3=2 (2)

1.木苺のジャムの酸っぱさは子供にはまだ早かったようだ

2.そもそも生クリームを食べたことがないのですごく困惑している

3.パンケーキがそんなに好きじゃない

[111 二次元好きの匿名さん 23/07/22(土) 09:24:17]

生クリームって慣れてないと気持ち悪くなるからね…

[112 チグハグ君 23/07/22(土) 09:34:33]

「なんか…あんま気に入ってなさそうだな」

「お気に召していないのでしょうか…？」

よく見ると少女は生クリームを避けて食べていた

「生クリームを食べ慣れていない可能性を考慮し忘れていた……」

「……ドンマイ」

ティガーはガックリと肩を落としていた

次の案

dice1d3=1 (1)

1.みんなで踊る

2.ハロ達の数でゴリ押し

3.そんなんあるわけないだろ

[113 チグハグ君(ちょっと改善) 23/07/22(土) 13:00:29]

ジェイス「というわけで、次は踊るぞ」

ヨハネス「どういうわけです！？」

ティガーによる料理作戦が失敗した事を受け、ジェイスは次の作戦へと切り替えた

マンフリート「いやでも艦長さんこの格好はないだろ…」

ジェイス「え」

ヨハネス「はい、流石に…」

ジェイス「なんでダメなんだよ!」

ヨハネス「……じゃぁ、今から僕らが踊るダンスを言ってください」

ジェイス「サンバだけど？」

ヨハネス「なんでですか！？なんでサンバ！？しかも上裸！？」

ジェイス「いや、サンバってそういうものらしいしじゃん？」

チグハグ「ヨハネス君、ジェイスは一度決めたことは突き通しちゃうから何言っても無駄だよ……」

少女からの評価

dice1d100=43 (43)

[114 チグハグ君 23/07/22(土) 13:42:55]

ジェイス「どうだ！結構いい感じじゃないか？」

マンフリート「相対的に…が前置詞としてつきそうだがまぁ、そうだな」

得意げな顔で胸を張るジェイスにマンフリートが彼の意見を肯定する

エオリネ「サンバの音楽ってやっぱ演奏してて楽しいっすね！」

チグハグ「エオリネ君、アコーディオン以外もイケるんだね」

エオリネ「そりゃこの船の音楽家ですんで！」

演奏を終えたエオリネの元には飲料水の入ったボトルを持ったティガーが駆け寄り、音楽についての話を聞いていた

ジェイス「やっぱメデイアの言う通りだったな。閉じこもってる人を誘き出すには踊りと音楽がイチバンってな！」

メデイア「dice1d3=2 (2) 」

1.覚えていたんですね……ちょっと覚え方が怪しいですが

2.天照大神のことでしょうか？それなら何故サンバ……？

3.ジェイソンさん…確かにニュアンスとして正しいですが小さな女の子に対して誘き出すはダメですよ…

[115 チグハグ君 23/07/22(土) 14:01:11]

その後も、ジェイス達アルゴノーツによる少女を笑顔にする作戦は続いた

時にハロ達による組体操

時にヨハネスによる様々な珍しい楽器での演奏

時にメデイア含む女性メンバーによって体を洗われたり

時にティガーとマンフリートが隠し芸披露で仲良くなったり

時間を見つけてはティガーやメカニック班、ハロ's達の手によって最低限稼働できる状態までウォモグラヘをしゅうりしたり

アルゴノーツ達の作戦は夕暮れまで続いた

最終的な少女の満足度

dice1d100=51 (51) +40

[116 チグハグ君 23/07/22(土) 16:18:56]

陽が沈み、空が茜色に染まってきた頃、アルゴノーツの面々は夕食を取るためにほとんどがアルゴデッセイ号へと戻り、暗くなり仕事が難しくなったメカニック班も作業を終えていた

エオリネがジェイスを夕食へ誘おうとタープの中に入ると、ジェイスは未だ根気よく少女と向かい合っていた

エオリネ「船長、ご飯行きません？」

ジェイス「あー、すまん。ティガーに弁当頼んでるんだわ」

エオリネ「あぁ、そうすっか………船長、随分その子にオ熱っすね」

ジェイス「………そうだな」

エオリネ「なんで、そんなに気にかけるんすか？確かに、可哀想だなとは思うっすけど…」

エオリネの問いかけに、ジェイスは姿勢を変えると、一つ息を吐いて、話し始める

ジェイス「お前、自分の父ちゃんは好きか？」

エオリネ「え、あーまぁ…そこそこ好きっすよ、親ですし」

ジェイス「…そうか、いい親なんだな。俺は、自分の父親は嫌いだよ」

エオリネ「以外っす」

ジェイス「だろ？よく言われるよ…その外見なら親の脛齧ってそうってな」

エオリネ「言えてるっすw」

[117 チグハグ君 23/07/22(土) 16:20:04]

ジェイス「じゃかましぃ！……確かに、ちょっと前までは親の脛齧ってたのは事実だ。親の金で美味いもん食ってたし、MSも…まぁ今でもそれは変わらんけどな」

ジェイス「俺はほら、見てくれが良いからさ、よく会社の広報広告に使われてたんだよ。それこそガキの頃からな。…今でもそうだ、父親は俺のこと息子としても愛してるんだろうけど、それ以上に広告塔として期待してんだ。父親も母親もな」

ジェイス「あー、でも親が嫌いなわけじゃねぇんだ。最近、その辺もわかってきた。…親の愛が欲しいなんて女々しいことは言わねぇよ、だけどな、それでもやっぱ寂しいんだよ。疑わなくても得られる愛がさ、もう無理なんだけど」

エオリネ「船長も苦労してるんすね…」

ジェイス「……みんな何かしら苦労してんだろ。お前と名前が似てる総裁のとこの白女も、グラスレーの半裸野郎も、同じ寮の奴らも…誰も彼も何かしら苦労を抱えてんだ。お前もそうじゃねぇのか？」

エオリネ「うーん特には……あ、最近油物がキツくなってきたとかすかね？」

ジェイス「オッサンみてぇな悩みだな…まぁ良いや。…つまり、俺がこのガキんちょを目にかけてんのは…俺と同じ目をしてたからだ」

エオリネ「つまり、自分と同じかそれ以上に親の愛を得られない境遇にいるその子に同情したって事っすね？」

ジェイス「……そういうことだな」

エオリネに自身の考えを翻訳され、ジェイスはちょっと気が抜けていた

[118 二次元好きの匿名さん 23/07/22(土) 17:06:53]

半裸て、いやまあ言われてもおかしく無いけども

[119 二次元好きの匿名さん 23/07/22(土) 17:23:41]

ジェイスくんいいキャラしてるなぁ

[120 二次元好きの匿名さん 23/07/22(土) 18:09:19]

得られないんじゃなく気付いてない場合が多いよな、ただしデリング、お前はアウトや

[122 チグハグ君 23/07/22(土) 18:29:48]

「お前も、寂しいのが早く終わるといいな」

ジェイスはそういうと、ウォモグラヘに寄りかかって眠る少女の髪をかき撫でた
メデイア達が洗ったおかげで、随分サラサラになり、服も綺麗なものへと変えられた。とはいえ、彼女の名前や身分が記されているものはなく、依然として少女の名前すらわかっていなかった

「船長、見てくださいよめっちゃ三日月っすよ!」

「三日月でいちいち騒ぐなよ…どれどんなもん…」

エオリネに手招きされ、大層綺麗だという三日月を見るためにジェイスがタープから出てきたその時であった

空を一瞬黒い影が覆ったかと思うと、巨大な質量が着地したことを示すような暴力的な振動音に加え、目を開けられなくなるくらいの砂埃があたり一面に撒き散らかされる
ようやく目を開けると、そこには赤紫のバイザー型センサーを光らせる黒き巨人がそこにいた

「ディランザ！？いやでも…あんな形のやつ知らねぇぞ！」

肩に巨大な円柱状の物体を装備し、手には戦鎚を持ったその黒いディランザはジェイスはおろかエオリネすら知らないフォルムで、その威圧的な外見が足元の2人を萎縮させていた

そのディランザのコックピットでは、パイロットの男─ジョージ─がウォモグラヘを自機のセンサーで認識して再度確認をとっていた

「やはり盗品か…にしてもなんでこんな山の奥に放置して……ん？」

そして、足元に人間がいることを示す対人アラートに気づくと、その下に見慣れた顔の少年がいることに気づく

「あ、アイツ魚屋の…へぇ…フロントを救ったかと思えば盗品あさりかい。最近の子供は随分悪ガキだことで！」

ジョージの中でとんでもない勘違いが発生していた

[124 チグハグ君 23/07/22(土) 19:53:46]

ジェイス「誰だアンタ！何しにきやがった!」

突如現れたディランザにジェイスは啖呵を切るように叫ぶ。何を馬鹿なことをしているんだうちの船長は、と思ったことを口に出しそうになったエオリネであるが、余裕がなさそうな横顔と、後ろにあるタープを守るように立つ姿を見て、ジェイスが今、人間とMSという覆し難い戦力差の状況で必死に少女を守ろうとしていることを悟った

ジョージ「なに、お前達を殺しにきたわけじゃない。そこでおねんねしてるMSを回収しに来ただけさ。恨んでくれるなよ、これが仕事なんでね」

ジェイス「…狙いはウォモグラヘか」

エオリネ「船長、ここは素直に引き渡すべきっす！変に抵抗したらあの子まで巻き添えになるっすよ！」

ジェイス「わかってるよんなことは！だけどな、いまアイツからこのMSを取り上げちゃダメだ。ガキからお気に入りのぬいぐるみ取り上げたら泣き止まねぇからな…」

エオリネ「そんなりゆ…いや、そんな理由で、そんな小さな悲しみとも戦うのがアルゴノーツっすもんね！」

ジェイス「よく言ったエオリネ!聞いてっか！クソデカ肩パッドのディランザ！俺たちはここから一歩も下がらねぇし、ここから一歩も通さねぇ！このMSもどこにも持って行かせやしねぇ！」

つま先で地面にラインを刻み、ファイティングポーズを取るジェイスはその絶望的な質量差すら関係ないといった様子でディランザに啖呵を切って見せた

[125 チグハグ君 23/07/22(土) 20:40:41]

ジョージ「……そうか、残念だよ」

ディランザはその手に持つ戦鎚を起動し、針山のようなビームを出現させる。それはビームメイスと呼ばれる武器であり、近接では絶大な殺傷能力を示す武装である
勿論、人間が受ければひとたまりどころでは済まない威力である
そしてその脅威の前にジェイス達は生身で立っていた

エオリネ「さっ…流石に不味くないですか……？」

ジェイス「なーに、流石にあのパイロットもマジでアレを俺たちにゃ使わねぇよ」

そんなジェイスの言葉に反するようにビームメイスは明確な殺意を持って、こちらをその光で照らしていた

ジェイス「……使わねぇよな？」

エオリネ「知りませんよ！？」

そんなバカなやり取りをしている間にも、ディランザはジリジリとその距離を詰めていく。もはや定めたラインまで幾分もない。一応、アルゴノーツの護身用装備としてテーザーガンを持ってはいるが、MSに意味をなすモノではない

[126 チグハグ君 23/07/22(土) 20:40:58]

ジェイス「……！」

エオリネ「やばいやばいやばい…ヤバいですよ先輩!」

ジェイス「いや、大丈夫だ」

エオリネ「はっ？」

ジェイス「俺の親友を信じろ!」

ついに、ライン側まで追い詰められてしまった

ジョージ「……南無」

そしてビームメイスが振り下ろされ……ることはなかった

ビームメイスが宙を舞う
ディランザとジェイス達の間に緑の星が煌めく

チグハグ「ごめん、ジェイス！遅れた!」

ジェイス「ジャストタイミングだぜ、ティガー!」

ジェイス達のピンチにティガーが駆けつけた

[127 二次元好きの匿名さん 23/07/22(土) 21:16:28]

このわざとかと言いたいほどのヒーロー登場よ

[128 二次元好きの匿名さん 23/07/22(土) 21:17:36]

しかしなんのために回収するんだ？まあ盗品のMSが地球にあるとよろしく無いのはわかるが

[129 チグハグ君 23/07/22(土) 21:22:52]

ペジュレヴァリエのコックピット付近から、オレンジの物体が器用に跳ねながら降りてくる
それはティガーのネコミミハロだった

チグハグ「ジェイス！安全な場所までハロが連れて行ってくれる！あの子を連れて早く！」

ジェイス「わかった!ぜってぇ無茶すんじゃねぇぞ！」

チグハグ「わかってる！」

突然登場した見知らぬ機体に驚くジョージだったが、すぐに距離を取り体勢を立て直す

ジョージ「今の…攻撃行動ととってよろしいかな？」

チグハグ「友達を守るための正当防衛だ。貴方こそ、人間に使うにはいささか過剰なんじゃないのか？」

ジョージ「盗人がどんな武器を持っているかわからない以上、念には念を入れなくてはいけない、そうは思わないか？」

チグハグ「盗人…？」

ジョージとティガーの問答が続く中、アルゴデッセイ号からの通信が入る

[130 チグハグ君 23/07/22(土) 21:23:10]

メデイア「ドドーナによる解析、完了しました。該当機確認、パーメット識別コード一致、間違いありません。カテドラル所属「ジョージ・セイルコフ」並びに乗機「ディランザ・タービュランス」です！」

ティガー「カテドラル！？こりゃ不味いことになったぞ…」

カテドラル
それはモビルスーツ評議会が設立した、監査・取締りを目的とした組織であり、そこに所属するMSパイロットは腕利のみが集められる、ベネリットグループの中でも武力としての質は最高レベルである

故に、学生の身分でしかないティガーに対応できるのかは未知数であるのだ

ジョージ「それじゃぁ英雄くん、反省会の時間だ」

与えられた情報、目の前の機体から発せられるオーラに、ティガーはコックピットで冷や汗をひとつ流していた

[131 チグハグ君 23/07/22(土) 21:35:49]

<MS紹介>

ディランザ・タービュランス

型番:MD-0031UL-T

全高:18.5[m]

重量:92.2[t]

パイロット:ジョージ・セイルコフ

所属:カテドラル

ジョージ専用にディランザ・ソルをベースにカスタマイズが施された機体。隅から隅までいじくり回しており、もはや彼以外には扱えないレベルでバランスが極まっている。

通常との変更点としては腰部フロントアーマーには機体固定用のアンカー射出装置や、バックパックは推進力を重視し、ミサイルランチャー等は取り外されている

主武装はビームメイスへと変更され、ビームトーチは胴体部から懸架されたハーネスに装備され、ビームライフルはリアスカートに懸架する方式となっている

そして本機の一番の特徴は、両肩部にシールドの代わりに装備された竜巻発生装置「ブリンガーファン」である

これは荷電粒子の竜巻を発生させる装備であり、一度捉えられれば最後、自力で抜け出すことはできず、竜巻に耐えきれずに機体が破壊されるか、ビームメイスで砕かれるかの2択を強いられる

この戦法は「ジェットストリームアタック」と言われ、ジョージの大名詞となっている

[132 チグハグ君 23/07/22(土) 21:58:27]

最初に仕掛けてきたのはジョージであった

胴体部に懸架されたホルスターからビームトーチを引き抜くと、ホバーを生かした射線を読む暇を与えない高速かつ不規則な移動で、ペジュレヴァリエへと迫ってくる

対してペジュレヴァリエは下がるという選択肢を封じられている現状にある

一歩でも下がれば、ディランザがタープへと突っ込む可能性がある。避難が済んでない今、それだけはどうしても避けなければならない

ティガーの選択は

dice1d3=1 (1)

1.ビームシックルを使ってビームトーチを正面から防御

2.逆に走り出し、すれ違いざまにワイヤーを引っ掛け、ウォモグラヘとジェイス達から引き離す

3.アイギスをシールドモードに防御

[133 二次元好きの匿名さん 23/07/22(土) 22:03:44]

接近戦か？

[134 チグハグ君 23/07/22(土) 22:24:04]

チグハグ「(下手に避けると当たっちゃう…なら！)」

ティガーの選択は真正面から受け止める、だった
確かに、受け止めること自体には成功した
しかし…

チグハグ「重っ………なんだこのパワーッ……」

それはティガーの読み間違いであった
以前、スポンサー契約で様々な機体に乗った時、ディランザに乗る機会もあった。しかし、その時のディランザは決闘用にOSに制限がかけられ、出力も7割ほどしか出せなくなっていた
ティガーはその出力で相手を考えていたが、今は実戦である
いくらペジュレヴァリエが優れた機体であろうと、パワーで言うなら魔改造されたディランザ・タービュランスが勝っていた

チグハグ「このままじゃ、押し込まれる……なら！」

ペジュレヴァリエの脚部、足首につけられた円形パーツが展開する。エネルギーが収束され、円形のビーム刃となる

「ビームサーキュラーキックッ！！」

足に形成された円形のビーム刃を伴った蹴り上げ
当たればひとたまりもない殺意の塊のような攻撃だ
幸い、違和感を感じたジョージはすぐさまバックスラスタをかけ距離を取っていたので、被害はなかった。
しかし、すぐにその場で防御を取ることにした肝の座り方、そして押し込まれていながらも状況を打開するための対応策、それを気づかせない操縦テクニック、今目の当たりにしたティガーの操縦により、目の前の機体を本気で倒さなければいけない脅威であるとも認識していた

[135 二次元好きの匿名さん 23/07/22(土) 22:38:34]

初めて相手にするパワー型、パイロットは百戦錬磨のドミニコス、試練の時だな

[137 チグハグ君 23/07/22(土) 22:44:59]

チグハグ「マジで強い……！流石カテドラルパイロット」

ティガーはコックピットで感嘆の声を漏らしていた
元カテドラル、それも特殊部隊であるドミニコスでパイロットをやっていた伯父の操縦を見せてもらったことがあるが、記憶の中のそれと同等かそれ以上の強さを感じていた

それは相手もそうである

ジョージ「ヒュッー、やるねぇ。なら、敬意を持って全力で相手をさせていただこう」

ディランザのフロントアーマーのワイヤー射出装置から機体固定用のアンカーが射出され、肩部ブリンガーファンが正面を向く

アルゴス『アレはまずい！逃げろティガー!』

アルゴスの警告も虚しく、致命の一撃が放たれる

ジョージ「ブリンガーファン、ターン・オン」

ブリンガーファンから放たれた荷電粒子の竜巻が、ペジュレヴァリエを飲み込んだ

[138 二次元好きの匿名さん 23/07/22(土) 22:55:59]

そこは確定で喰らうか

[139 チグハグ君 23/07/22(土) 22:59:42]

ジェイス「ほら、逃げるぞ!ここにいたらティガーが戦えねェんだ」

ティガーがジョージと死闘を繰り広げている頃、ジェイスはタープの中の少女をなんとかして避難させようとしていた
しかし、以降に少女は動こうとしない。それどころか余計にウォモグラヘへと縋り付いていた

ジェイス「怖ェのか……」

ジェイス「大丈夫だ、俺の親友が必ずお前の父ちゃんを守ってくれる！だから今は逃げるぞ!」

それでも少女は動こうとしない
困り果てていると、タープの中にあのオレンジのよく跳ねるハロがやってくる
ハロは少女の前に行くと、じっとその瞳を見つめる
少女はその瞳に何かを感じ取ったのか、ウォモグラヘから手を離すと、ヨロヨロと立ち上がった

ジェイス「よし、良い子だ。さぁ、手を」

ジェイスは少女の手をしっかりと握ると、タープの外へと出ようとした

エオリネ「船長！今は出ちゃだめっす!」

その時、エオリネの絶叫が響いた
そして次の瞬間、聞き返す間も無く、ジェイスは強烈な風に煽られ、後方へと吹っ飛ばされる
腕の中で抱きしめるように少女を庇ったため、少女に怪我はなかったが、壁に叩きつけられたジェイスは、背中を強打し、過呼吸になっていた

なんとか息を整え、空を見上げると
あの竜巻によって巻き上げられ、力無く落下してくるペジュレヴァリエが見えた

[140 チグハグ君(今夜の最後) 23/07/22(土) 23:31:19]

「不味い！メイン電源が死んだ！APUは…」

竜巻に巻き上げられたペジュレヴァリエはその機能のほとんどをロストしていた
ディランザ・タービュランスの両肩にあるブリンガーファンから放たれる竜巻はただの竜巻ではなく、荷電粒子の竜巻である。その竜巻に触れた機体はまず、すべての機能に障害が生じ、最悪の場合システムがロスト(電源落ち)してしまう

そして、なすすべなく地面へと落下していくペジュレヴァリエの元に、ビームメイスを持ったディランザ・タービュランスが凄まじい速度で迫る

ブリンガーファンによって生じる荷電粒子の竜巻で相手機体のシステム、電装系を破壊し上空へと巻き上げ、落ちてきたところをビームメイスの一撃でし止める
これこそジョージの十八番にして必殺「ジェットストリームアタック」であった

ジョージ「チェックメイトだ、英雄ボーイ」

ペジュレヴァリエの胸部にビームメイスが叩きつけられる
ノックの要領で、吹っ飛ばされたペジュレヴァリエは、ウォモグラヘの対岸の崖にぶつかり、そのまま沈黙した

ジェイス「…ティガー?……ティガー!おい返事しろ!ティガー！ティガー！」

ジェイスの必死の呼びかけにペジュレヴァリエは答えない
その胸部装甲には大きな凹みと数箇所の穴が無惨に空けられ、センサーは真っ黒に染まっていた

ジェイス「ティガー……」

エオリネ「………ちょ……、せんちょ…」

ジェイス「エオリネ!」

ジェイスの左斜め後ろでは、直で竜巻を浴び、吹き飛ばされたエオリネがうずくまっていた。介抱しようとするが、エオリネの容態すら正確に把握できない状態では対処にも限界があった

なんとか仲間を救おうとするジェイスを、夜だというのに真っ暗な影が覆う
ディランザ・タービュランスが、小さなジェイスを見下ろしていた

[141 二次元好きの匿名さん 23/07/23(日) 00:03:30]

やっぱプロは強い･･･技術云々じゃなく戦略的に戦闘を行ってる差が出たか

[142 二次元好きの匿名さん 23/07/23(日) 01:57:55]

前のガンダム戦と違って戦力ダイス無かったのはチグハグ君が悪手選んじゃったからって感じなのかな？それともプロット上のイベント？

[143 チグハグ君 23/07/23(日) 13:20:29]

ジョージ「……無駄な抵抗はよせ」

ディランザから冷たい警告が響く
心臓を握られたような冷たい感覚が体を支配していく
「勝てない」そう思ったことは何度かある。学園最強のパイロットであるグエルに負けた時、ティガーに瞬殺された時、自分の実力とは隔絶したパイロットに出会った時、なんだかそう思った
だが、今はそれらとは別種の恐怖がジェイスの前に立ち塞がっていた

どうする、このまま素直に謝るか？
今謝って投降して事情を話せば分かってくれるはずだ
でも、それならウォモグラヘはどうなる……？
あの少女からあのMSを引き剥がすのか……？
でも、そうしないとティガーもエオリネも……！

答えを出せずにいた時、制服を引っ張る手に気づいた
ジェイスの腕の中、父親を奪ったのと同じ機体が目の前に現れ、恐怖の渦中にいる少女は震える手で必死にジェイスの制服の裾を握っていた
榛色の目が震え、目尻は大量の涙を抱えてジェイスをまっすぐに見つめていた

その瞬間、ジェイスの思考は固まった

ジェイス「大丈夫、お前ェも、お前ェの父ちゃんも俺が守ってやる！」

そう言うと、倒れているエオリネを背負い、少女を抱き抱え走り出した

[144 チグハグ君 23/07/23(日) 18:21:35]

とは言え、2人も抱えているジェイスにできることは少ない。その恵まれた運動神経故にディランザの攻撃をかわすことはできても、現状を打開する起点を作れない
それは様子を見ていたアルゴデッセイ号のブリッジメンバーもそうであった

マンフレート「……見ちゃいられない、俺が行く」

メデイア「行ってどうする気ですか」

マンフレート「決まってる、アイツらを助けに」

メデイア「ディランザ・タービュランスの荷電粒子竜巻に捕まれば航空機はひとたまりもありません、発信の許可は出せません」

マンフレート「そりゃそうだが、じゃぁここで見てろってのか!」

メデイア「はい、その通りです」

待機の命令にマンフレートは苦虫を噛み潰したような表情をする。彼自身が一番この状況での出撃が無謀であることを理解していた
確実を取るならアルゴデッセイ号を出撃させることだが、メカニック班がエンジンの安全確認のゴーサインを出さない以上、ブリッジメンバーにできることはない

メデイア「…彼らならなんとかしてくれます」

マンフレート「なんとかって…その自信は一体」

メデイア「自信などありません、私は人を信じているのです。窮地に追い込まれた時に発揮される、人間の底力を」

メデイアは強い瞳でそう言い切った

[145 チグハグ君 23/07/23(日) 18:35:52]

ジェイス「なにか…なにか、なんかねェのか…？」

かれこれ10分以上逃げ続けていたジェイスであったが、流石にそろそろ体力の限界が見え始めていた

ジェイス「飯…早めに食っとくべきだったな」

自身への愚痴を吐いても現状は何も変わりはしない
ただ何かがキッカケで現状が変わることを願い、走り続けるしかなかった

少女「………」

ジェイスに抱き抱えられている少女は、その瞳に大きな影が立ち上がるの様を映していた

少女「ダディ…」

ディランザのコックピットでも敵機接近の警戒アラートが鳴り響いていた

ジョージ「……後ろか！」

素早く察知し、後ろを向き直りつつも距離を取るが、胸部装甲に一閃、ビームアックスの切り傷ができる

ジョージ「動くのかよ、お前！」

ディランザの頭部センサーは二本の脚で地面に立つウォモグラヘの姿をありありと映していた

[146 二次元好きの匿名さん 23/07/23(日) 18:50:49]

なんで動いたんだろ

[147 チグハグ君 23/07/23(日) 19:19:42]

ジェイス「なんで動いてんだ……」

ウォモグラヘ自体はメカニック班とティガーによって最低限動かせるようになっているはずだが、今ここにMSを動かせるパイロットはジェイス以外にはいない
では誰が…
そんな疑問を感じた時、ジェイスはあることに気づく

ジェイス「まさか……ハロか!」

ハロ『ダイジョウブカ！ダイジョウブカ！』

ウォモグラヘのコックピットあたりから、馴染みのある人工音声が響く
ウォモグラヘを動かしてるのはティガーのハロであった

少女「ダディー！ダディー!」

動くウォモグラヘに何かが刺激されたのか、少女は手を伸ばし必死にウォモグラヘを呼んでいた
なるべく早くウォモグラヘの元へ連れて行ってやりたいが、今は逃げるのが先決だ

ジョージ「……やってくれるねぇ」

あの黒いディランザはそう簡単に諦めてはくれないだろうと分かり切っているからである

[148 チグハグ君 23/07/23(日) 19:30:40]

ディランザが砂塵を巻き上げウォモグラヘへと突撃してくる

戦闘能力(相対評価)

ウォモグラヘ:dice1d50=47 (47)

ディランザ・タービュランスdice1d50=8 (8) +50

ウォモグラヘの対応

dice1d3=3 (3)

1.質量差で勝っているのでこちらもホバーで激突

2.ティガーの戦闘データが蓄積されているハロが操縦しているので、その場でホバーを活かし大回転し始める

3.残念!とりあえず動くだけなので不具合で動けない!

[149 二次元好きの匿名さん 23/07/23(日) 19:34:57]

ジョージディランザが地球の魔女達と戦ったらどんな感じになるかちょっと気になる

[150 チグハグ君 23/07/23(日) 19:46:01]

ハロ『ハロッ！ウゴカナイ！ウゴカナイ！』

勇んで発進したものの、突貫工事に突貫修理の機体では発進だけで限界だったようで、その場で固まったかのように右腕を挙げたまま動けなくなっていた

ジョージ「座りっぱなしじゃ動けんだろう!」

そんな案山子状態のウォモグラヘへの気遣いなど皆無のジョージは、ハロのいる丸見え状態のコックピットにビームメイスを叩き込もうとする

『おっと、それは見過ごせないな』

確実にウォモグラヘを貫くはずだったビームメイスはその軌道上に割り込んできたアイギスによって防がれる

ジョージ「なんだ、随分雰囲気が変わったな…」

アルゴス『ご老体に武器を振るうとは随分と乱暴者じゃないか、竜巻くん』

騎士のように剣と盾を構えるペジュレヴァリエはその"黄色"のセンサーアイをビカリと光らせた

[151 二次元好きの匿名さん 23/07/23(日) 19:50:03]

>>149

順当に勝つんじゃねえかな、ドミニコスでも名ありって感じだろうし

[153 チグハグ君 23/07/23(日) 19:55:39]

総合戦闘力

ペジュレヴァリエ(inアルゴス)

dice1d100=55 (55) +30

ディランザ・タービュランス

dice1d100=71 (71) +50

さてどうするか

dice1d3=3 (3)

1.ペジュレヴァリエの中の人(パイロット)の変化に気づいたジョージは空中まで距離を取る

2.短期決戦のために竜巻を発生させる

3.順当にビームメイスで接近戦をしかける

[154 二次元好きの匿名さん 23/07/23(日) 19:58:28]

やっぱり単純戦闘力はアルゴスよりチグハグ君の方が上って感じだな

[155 チグハグ君 23/07/23(日) 20:07:47]

ジョージ「…様子は違うが、スキルが変わるわけでもないだろう!」

ジョージはビームメイスを持ち、ペジュレヴァリエへと接近戦を仕掛ける

アルゴスの対応

dice1d3=1 (1)

1.意外と盾と剣で捌ける

2."見えている"かのように攻撃が当たらない

3.崖側まで追い込まれる

[156 二次元好きの匿名さん 23/07/23(日) 20:19:01]

チグハグ君はマニューバと創意工夫、アルゴスはオーソドックスな戦いの上手さ、それぞれに強みがある

[157 チグハグ君 23/07/23(日) 20:26:10]

剣と盾でディランザの攻撃を捌き続けるアルゴス
とはいえ、捌き続けていただけでは攻勢に出ることはできず、徐々に徐々に押し込まれて行った

ジョージ「どうした！威勢のいい煽り文句は口だけか!」

ジョージもアルゴスに反撃の隙をか与えぬよう、猛攻に猛攻を重ね、アルゴスが隙を晒す瞬間を今か今かと待ち続けていた

そしてついにその瞬間が訪れる

盾を持つ手を弾かれたアルゴスは脇腹がガラ空きになってしまう
そこを見逃すジョージではなく、瞬時にビームメイスを脇腹へと叩き込もうとする

しかし、ビームメイスが直撃するその瞬間、ペジュレヴァリエの体が下へと落ちる
いつのまにか崖側まで追い込まれていたアルゴスは崖から落ちてしまったのだ

ジョージ「後ろには気をつけるんだなぁ！」

落下していくペジュレヴァリエに今度こそビームメイスが息の根を止めるために振り下ろされる

[158 チグハグ君 23/07/23(日) 20:40:03]

アルゴス『君こそ、後ろには気をつけるんだな』

アルゴスの忠告の意味を脳で理解する前に、ジョージは後ろを振り返っていた
そこには右手を高く掲げ、ビームアックスを振り下ろそうとするウォモグラヘの姿があった

ジョージ「不味い！？」

瞬間、ジョージはスラスターを吹かしウォモグラヘから距離をとる。しかし、そこで自身のミスに気づく
ウォモグラヘは"動かない"のだ
右手を天に掲げたまま、その手を振り下ろす素振りはない
。当たり前だ、ウォモグラヘはその状態から動けないのだから
思ったように戦闘が進まず、焦り始めていたジョージはそのあまりにも初歩的で、前々のトラップに引っかかってしまったのだ

アルゴス『確かに、君は強い……だが！』

後ろへとバックジャンプしてきたディランザを空中へと蹴り上げると、アイギスをスラスターモードで背面に接続し、空中で体勢を整える

アルゴス『我々はチームなのでな!』

そしてペジュレヴァリエの右腕に鉄球のついた装備が接続される。逆転のルートは気付かぬうちに整っていた

[159 チグハグ君 23/07/23(日) 21:34:19]

メデイア「NxW-02 ファエトン、射出及びコネクト確認しました」

アルゴス『こちらもだ。オービットコネクト確認、ファエトン起動』

アルゴスが手元のレバーを押し込むと、右腕に装着されたワイヤーによって繋がった鉄球が、高速回転し始める
それは恒星を中心に回る惑星の公転そのものである

ジョージ「味な真似をッ！ブリンガーファン、ターン・オン!」

妙なことをされる前に決着をつけるべく、ジョージは再び両肩のブリンガーファンを回転させ荷電粒子の竜巻を引き起こす。2頭の獰猛な竜のように緑の騎士へと襲いかかる竜巻を前にアルゴスはニヤリと笑ってみせた

アルゴス『竜巻のような巨大な存在を打ち破るもの、それは何か知っているかい？』

ファエトンの回転数が上昇していく

アルゴス『答えは簡単さ』

限界まで回転数を上げたファエトンをディランザに向け振りかざすと、その質量と回転が直線運動へと変換され、ペジュレヴァリエの躰を凄まじい速度で弾き出す
荷電粒子の竜巻を引き裂くように飛んでいくペジュレヴァリエは隕石のようにその質量をディランザへと叩き込む

アルゴス『それは、回転数を上げて投げつける巨大質量！』

左腕を関節ごと潰され落下していくディランザは、機体制御を失い、地上へと落下していく

[160 二次元好きの匿名さん 23/07/23(日) 21:45:24]

相手も特殊機能使ってきたからな、意趣返しって奴だ

[161 チグハグ君 23/07/23(日) 22:01:41]

アルゴス『捕え……あっ！』

アイギスを捕縛モードへと変形させ、落下中のディランザを捕縛しようとしたアルゴスであったが、地上にいるジェイス達を発見してしまう
このままではディランザの落下地点に巻き込まれてしまう
かと言って、このまま無理にディランザを蹴り飛ばすと中のパイロットを殺しかねない
決めあぐねていたアルゴスの耳に地上からのジェイスの声が届いた

ジェイス「大丈夫だー！！こっちは俺がなんとかするからー！！構わずやっちまえー！！」

そう叫びながらジェイスは2人を抱え、全速力で走り出していた
その言葉を信じ、アルゴスもアイギスの捕縛モードを起動する
アイギスのウイングバインダー部分が展開し、ディランザを包み込むように広がる

アルゴス『レゴリス散布！』

アイギスの側面スリットから砂塵が噴出される
この砂塵は「レゴリス」と言い、帯電性があり、ティガーが実戦での対策が不可能だと判断した捕縛のための"ギミック"であった

アルゴス『EMバースト!』

ペジュレヴァリエのセンサーカラーが黄色から緑へと変化し、左腕─カトブレパス─が展開し、電磁パルスが放たれる
帯電したレゴリスはディランザの関節へと付着し、ショートさせていた

アルゴス『これでチェックメイトだ、竜巻くん』

こうして突然始まった戦いは幕を閉じたのだった

[162 二次元好きの匿名さん 23/07/23(日) 22:08:05]

ファラクトのあれか

[163 チグハグ君 23/07/23(日) 23:21:28]

─翌日　アルゴデッセイ号

ジョージ「いやぁーマフィンにデカいベーコンを挟んで食うのもいいなぁ!」

ジェイス「だろ？これもティガーの手作りなんだぜ？すごいだろ!」

朝の食堂には多くのアルゴノーツメンバーが詰めかけ、調理班の作った朝食をとっていた
その中にはディランザ・タービュランスのパイロットであるジョージの姿もあった

ティガー「ほんと、昨日はすいません…」

ジョージ「いいのいいの、こっちもこっちで早とちりしちゃってたしさ」

ティガーは何度もジョージにペコペコと頭を下げ、その度にジョージもどこか申し訳なさそうにするというのがもう何回も続いていた
どうしてこんなことになったかというと

[164 チグハグ君 23/07/23(日) 23:21:46]

─────────

─昨日　夜

リップ「何をやってんのこのバカちんどもがぁ！」

ディランザを無力化した後、動けなくなったディランザ、怪我をしていたエオリネ達を連れアルゴデッセイ号に戻ったジェイス達を待っていたのは、リップからのお説教であった

ジェイス「だって、あのガキんちょの大切なものを取ろうとしてたし…」

ティガー「ジェイス達が危ないと思って…」

ハロ『モウシワケナイ、モウシワケナイ』

怒られているジェイス達は、どこか納得がいかないといった様子で、その様子がさらにリップの怒りのボルテージを上げていく

リップ「あのねぇ、アンタ達がやったのは犯罪なのよ、犯罪!公的機関の人間に喧嘩売るとかなにやってんのよ！」

ジョージ「まぁまぁその辺で、怒りすぎるとせっかくの綺麗なお顔が勿体無いですよレディ？」

そんなリップを止めたのはディランザのパイロットであるジョージだった

ジョージ「確かにお前らがやったのはダメなことだが、俺の方も結構非があるからな、ここは喧嘩両成敗ってことで手を打たないか、船長さん？」

ジェイス「……まぁ、確かに両方悪いしな、うん。じゃぁ握手で仲直りだ」

────────

というわけで怒られつつも、なんとなく事態は一応解決したのである
とはいえ、ティガーは未だ申し訳なさが勝っているようだが

[166 チグハグ君(今夜の最後) 23/07/23(日) 23:41:57]

ジェイス「ティガー、あのMSどうなん？」

ティガー「ウォモグラヘか…うーん今ハロ'sに精密検査してもらってるけど……正直、もう無理かな…あの子は？」

ジェイス「今はメデイアの部屋で寝てるよ。そろそろ起きるんじゃねェか？」

ティガー「昨日は色々ありすぎて疲れてるだろうしね…」

重苦しい表情のジェイスは決意したかのように、切り出す

ジェイス「あのガキんちょ、どうすっかな……」

ティガー「……そうだね」

dice1d3=2 (2)

1.ジェイス「このまま連れて行くって手はあると思う」

2.ジョージ「……俺が引き取る」

3.ティガー「一応、グラスレーの孤児院って選択肢はあるけど……」

[167 二次元好きの匿名さん 23/07/24(月) 00:03:54]

おいチグハグ君最後のはもうトチ狂ってるとしか言えんぞ

[168 チグハグ君 23/07/24(月) 08:39:43]

ジョージ「……俺が引き取る」

ジョージが突然、真剣な表情でそんな事を言った

ジェイス「なんでアンタが！？」

ジョージ「どうにも俺が首を突っ込んだせいで事態がややこしくなったっぽいからな。責任は取るさ」

ジョージ「それに、今回の俺の任務はあのMSの回収だったからな。あの子がいたんなら多分引き取る選択をとってたさ……孤児院にはいい思い出がないんでね」

責任という言葉を使われると人間は弱い。他者の責任を他人が取ることは難しいし、相手がそれを自分のものだと主張しているのならこれに何かを言う隙もない

ジェイス「……ダメだ」

処遇がほぼ決まりそうになった時、ジェイスがポツリと呟いた

ジェイス「アンタにはまだ、あのガキんちょを預けられない」

ジョージ「…そんなに俺が信じられないか？」

ジェイス「いや、アンタは多分良い人だ。それは話してりゃ分かる。だがな、俺たちのやる事が終わってねェんだよ」

ジェイスはまっすぐジョージの瞳に向かい合うと、毅然とした態度で言い放つ

ジェイス「俺たちは…俺は、まだあのガキんちょを笑顔にしてねェ！」

[169 二次元好きの匿名さん 23/07/24(月) 08:59:25]

まさかグラスレーのアカデミー出身なのか？

[170 チグハグ君 23/07/24(月) 10:09:44]

ジョージ「で、やるのがあのMSの修繕と来たか」

ジョージの見上げる先では、未だ天にビームアックスを突き上げたまま直立不動で動かないウォモグラヘの姿があり、アルゴノーツメカニック班やティガー、ハロ's達メカに心得のある者達が必死になって機体の点検作業を行なっていた

ジェイス「ダメか？あれか、ジョーキョーショーコってやつか？」

ジョージ「いや、そんなんじゃ無いさ。ただ俺としては美味しいものを食べさせるとかそういう方法かと思っただけだ」

ジェイス「あー、それは昨日やったんだよなァ…」

ジェイスは考えが上手くいかない現状に少し困って、後ろ頭を掻いていた

ティガー「あー…脚部はフレームレベルで死んでますー！」

「右腕もダメだこれー！イヤーな感じで稼働軸が折れてるー！」
「無理やり起き上がらせたせいで腰フレームも怪しいー！これここから移動させるのもキツイぞー！」

メカニック班の芳しく無い報告が飛び交い、それを周りで聞いていた男子メンバー達は皆、お手上げ状態で天を見上げていた

[171 二次元好きの匿名さん 23/07/24(月) 10:43:50]

もうこのまま元の姿に治すよりカスタムありきでオーバーホールした方が良いんじゃない？その方が安い気がする

[172 二次元好きの匿名さん 23/07/24(月) 10:53:52]

和解できてよかったな…

[173 チグハグ君 23/07/24(月) 11:57:39]

あーでもないこーでもと男子陣が議論を交わしている頃、少し離れた場所では女子陣が少女と輸送機ケツァルの陰で涼んでいた

メデイア「難航してますねアレは…」

オペ子「なんでもーMSが複雑骨折してるーらしいですよー」

メデイアは膝の上に少女を乗せ、間延びした声が特徴のオペレーターの少女─通称「オペ子」─と話していた。その手は無意識に少女の頭を撫でており、その度に少女は目を細めて背筋を伸ばしていた

「ま、アッチは男衆に任せて私達はこっちの事をやりましょう」

恰幅のいい少女が両手に大きなクーラーボックスを抱えてケツァルから降りてくる。彼女はアルゴデッセイ号の料理番を務めており、その腕前はティガー以上だ

「ドライフルーツのパウンドケーキ作ってみたんだけど、食べる？」

そう言うと、懐からいつの間にか出てきたバケットから綺麗に切り分けられたパウンドケーキが取り出される。レーズンやマンゴー、パインなど色とりどりのドライフルーツがその断面に見てとれた

「昨日、生クリーム食べられなかったって言ってたからね。甘さは控えめにしてみたから、これなら食べられるんじゃない？」

オペ子「さーすがーうちの女将さんだねー」

メデイア「食べれる？」

少女は、メデイアに差し出されたパウンドケーキを恐る恐る口元に運ぶと、小さく一口齧る。ゆっくりと確かめるように咀嚼し飲み込むと、少しだけその顔が明るくなり、またパウンドケーキを齧る
そのままあっという間に1枚を食べてしまった

「こりゃ大成功だね！」

女将さんと呼ばれた少女は得意げにサムズアップを決めて見せた

[174 二次元好きの匿名さん 23/07/24(月) 12:41:51]

しかしティガーもプロのパイロット相手だとここまでやられるのか

万が一に通常MSもある程度乗りこなせるパイロットが乗ったガンダムが相手になったりとかしたらキツそうかもな

[175 二次元好きの匿名さん 23/07/24(月) 12:48:44]

>>174

後ろにジェイス達守る対象がいたのもキツかった

チグハグ君の戦い方的にやっぱ何かを守りながらの戦いが本当に向いてないんよ

[176 二次元好きの匿名さん 23/07/24(月) 12:54:51]

>>174

アルゴスの戦力ダイスは振られたけどチグハグ君のはノーダイスだったからなんとも言えんなあ、プロとアマチュアの差って言われればそれまでだが奇襲の上に生身の人間を守る必要があったってデバフもあるからね

[177 二次元好きの匿名さん 23/07/24(月) 13:17:30]

>>174

でもGUNDフォーマットってソフィノレやラウダみたいなそこまで強くないパイロットをトップ層とやり合えるまでブーストさせるのが強みだから手練れが乗ったところであんまメリットないのよね、熟練であるほど伸びは悪くなるというか

[178 二次元好きの匿名さん 23/07/24(月) 14:45:59]

>>177

言われてみれば確かにそうか

GUNDフォーマットを使うメリットがあるのはラウダレベルかそれ以下までで、プロのパイロットが使っても無駄に命削るだけで殆ど意味ないんだな

[179 二次元好きの匿名さん 23/07/24(月) 14:46:55]

>>175

前スレにもあったけどチグハグ君ってデバフがかかってるのが通常状態だからな、解除されるのは自身に一欠片の負い目もない戦いか、或いは相手をなんとしてでも消すという殺意に目覚めるか･･･

[180 チグハグ君 23/07/24(月) 16:20:59]

日差しがカンカンと照っている

この辺りは現在、夏に相当する気候であり、炎天下で作業する男達の正常な思考判断能力を奪い取っていた

そして暑さにやられた男達は

dice1d3=1 (1)

1.上裸になって水風船合戦を始めた

2.ハロをスイカに見立ててスイカ割りを始めた

3.次々に倒れていった

[181 二次元好きの匿名さん 23/07/24(月) 17:07:02]

2が狂気に支配されてる･･･

[182 二次元好きの匿名さん 23/07/24(月) 17:10:13]

>>178

更に言えば最大の特徴であるガンビットに関してもチグハグ君だと足場による空間殺法にしかならんから本当にガンダムのメリットがない

[183 二次元好きの匿名さん 23/07/24(月) 17:23:23]

>>181

下手したらアルゴスくんに埋められるぞ…

[184 チグハグ君 23/07/24(月) 17:36:39]

頭がイカれ出した男メンツ、上着を脱ぎ捨て、水風船かっに興じ始める

合戦の激しさ

dice1d3=1 (1)

1.ジェイスが持ち前の運動神経を活かし、豪速球で次々と敵を沈めていく

2.メカニック班が持ち出したガトリング水風船射出機で蹂躙される実動班並びに戦術班

3.陣形を組んで襲いかかるハロ's対猿のように奇声を発しながら立ち向かう男子陣+ジョージ

女子達の反応

dice1d3=3 (3)

1.メデイア「…何をやっているんですか💢」

2.オペ子「あらーせいきまつー」

3.おや…？少女の様子が……？

[185 チグハグ君 23/07/24(月) 18:10:45]

合戦の方はジェイスが両手やズボンのポッケに溢れんばかりの水風船を抱えて、次々と敵を撃ち落として行く
もちろんその標的にはジョージも含まれており、顔にぶつけられたジョージは子供のようにはしゃぎながらアルゴノーツ達と水遊びに興じるのだった

そんなバカな男子陣を女子陣は冷めた目で見ていた

リップ「…なぁーんで男っていつになっても馬鹿なままなのかしらね」

オペ子「心に5歳児がーいるからじゃないですかー」

女将さん「ウチの兄弟たちもいい歳してあんな感じですから、男なんて子供の頃から変わらないんですよ」

オペ子「メデイアちゃんはー許嫁さんがーあんな子供っぽいのはどー思ってるのー」

メデイア「えっ…！？私がですか……？」

急に来たオペ子の質問にメデイアは少し悩む素振りをすると、少し微笑んで答える

メデイア「…私はジェイソンさんの事をたくさん理解したいと考えています。それはカッコいいところもダメな所も、だから、あんな一面を知れたことが嬉しいです。ここ最近は、顰めっ面ばかりでしたから」

リップ・オペ子・女将さん「「「………」」」

メデイア「皆さん……？」

リップ・オペ子・女将さん「「「い、いい女!」」」

メデイア「えぇ！？」

それからはやれあのバカ船長には勿体無いだの、嫁入り修行は任せてだの、色々ともみくちゃにされたメデイアであったが、とあることに気付く
膝に乗せていた少女が、男性陣を見つめていたのだ

[186 チグハグ君 23/07/24(月) 18:11:08]

──────────

「───！、見てみろ!マックスがポーズ決めてるぞ！ほら、アッチはパパだぞ」

「───は可愛いねぇ、将来はお姫様かな？大人になった───は世界一可愛いだろうなぁ〜」

「ほら、ウォモグラヘに挨拶しよう。何かあったら、パパとこいつが絶対に───を守るからな!」

「何やってんだい！さっさとMSの整備すませな！───ちゃん、待ちくたびれてるよ！」

「じゃーん、今日のパウンドケーキは自信作だよ!こらスティラ！他のやつの分まで持ってこうとすんじゃないよ！」

「うぉぉ！今日の王子様役は俺だー！！」「なんのー！───ちゃんの隣は俺っすよ!」

「そうか、───はパパみたいになりたいのか…大丈夫！───なら、きっとなれるぞー!ほら、パイロットごっこだ！パパグラヘ発進！ブォーー!」

「アハハハハハ！」「ワハハハハハ！」「ウィヒッヒッヒッ！」「ウハハハハハ！」

───────────

[187 チグハグ君 23/07/24(月) 18:11:20]

少女はこの光景と同じ景色を知っていた
それは遠い昔の記憶、少女が幸せだった些細な時の記憶
そんな記憶の中で輝く景色と同じ景色が目の前に広がっていた
もう2度と手に入らないと思っていた、もう2度と会えないと思っていた。だが、少女の目には確かに写っていたのだ
あの日の大好きな父の笑顔が、愛してくれた家族のような優しい人たちの姿が、確かにそこにいて、少女に手を振るのだ。

「アハハハハハハ！」

その景色は、少女に再び笑顔を取り戻したのだった

[188 二次元好きの匿名さん 23/07/24(月) 18:20:59]

笑ってるよ！！

[189 二次元好きの匿名さん 23/07/24(月) 19:06:08]

子供に罪はないからな、良かった良かった

[190 チグハグ君 23/07/24(月) 19:53:16]

─数日後

ジョージと少女との別れの日がやって来た
破壊されたディランザ・タービュランスの修理も終わり、新品同然まで整備が施されていた
その整備の腕を見込んだジョージがメカニック班やハロ'sをカテドラルにスカウトしようとしていたが、皆ちょっと引き気味に断っていた。ジョージの勧誘はいささかしつこかったらしい

少女はあの日以来、1日の回数こそ少ないが笑うようになっていた
メデイアやジェイス、ジョージ達と村に買い物に行った時には、いつもご飯を届けてくれた魚屋の店主と息子さんにペコリと小さくお辞儀をして感謝を告げていたようで、感激した店主さんがたくさん魚を持たせてくれ、その夜は魚パーティとなった
昨日の夜はメデイアやリップ達女子組と一緒に、ドライフルーツがたくさん入ったパウンドケーキを作っていた。レシピもストーンペーパー(鉱物粉末から作られた紙)で破れないようにしたものを女将さんが渡していたので、この船を離れてもまた作れるだろう
作ったパウンドケーキはアルゴノーツのメンバー以外にも、村でお世話になった人たちにも配られた
アルゴノーツの皆が少女の目覚ましい回復にほっこりしている裏で、ジェイスは1人背中を向けて涙を流しながらケーキを勿体なさそうにちまちまと食べていた
なんでも

「船長が船員に涙なんてみせられっか！」

とのことらしい

そして今日、少女は新しい親であるジョージと共にこの船を旅立つ
その手にはアルゴノーツのメンバーからのたくさんの贈り物が詰まったスーツケースの持ち手が握られていて、少女の着ている純白のワンピースは女性メンバーが夜なべして作り上げた自信作だ

ジェイス「うぅ……新しい父ちゃんと元気にやるんだぞ…！」

ホームドラマにありがちな台詞を言いながら鼻水を啜るジェイスに一同笑いが起こり、それにキレたジェイスが特に声の大きかったメンツを追いかけ回す、もう日常の一つになってきたアルゴノーツの風景が流れる

「それにしても、ウォモグラヘ残念だな」

メカニック班の誰かがつぶやいた

結局、ウォモグラヘの修理は不可能ということになり、その場で置きっぱなしにするのもアレなので解体されることになった。
解体の様子は絶対に少女に見せないようにしようと皆で決めていたが、どうしても行くと強い意志で訴えかける少女の瞳に根負けしたジェイスが、少女を解体現場まで連れていったのだ

[191 チグハグ君 23/07/24(月) 19:53:43]

数年間雨風から守ってくれたウォモグラヘが解体されていく様子を、少女はじっと見守っていた。泣くことも騒ぐこともない、大切な人を送り出すような、どこか大人びた瞳をしていた。メデイア曰く、父親の魂とお別れがしたかったのではとのことで、彼女なりの弔いだったのかもしれない

そして、解体されたウォモグラヘのパーツはどこへ行ったのかというと……

チグハグ「ごめーん！ちょっと遅れちゃった!」

ティガーが台車を押しながら向かって来た。随分と大荷物である。台車に積まれている荷物には布がかけられていて正確な大きさはわからないが大体1mぐらいだろうか。その重さが相当なものであろう事がティガーの汗をかいた顔から読み取れた

ジェイス「おせーぞ、どーしたんだよ？」

ティガー「ちょっと、"贈り物"の準備に手間取っちゃってね」

ティガーは少女を手招きしすると、台車の布を握らせそれを取るように促した。少女の手によって少しずつ布がとられていく。そして一番高い所から布が落ちると、"贈り物"が姿を現した

ジェイス「ウォッ……ウォモグラヘ！？」

それは1mくらいの大きさにまで縮尺され、角部が丸っこくなりデザインのデフォルメが施されたウォモグラヘであった

ヨハネス「これってSD……あ、そうか！ティガー先輩の推薦企業って!」

ティガー「そう、これはウチの会社「フロッグ」の商品の一つSDMS(スーパーデフォルメモビルスーツ)のフレームをベースにしたオリジナル。搭載AIのベースはハロにしてそこにウォモグラヘの記憶データを搭載してる」

ティガーの手によって作られたSDウォモグラヘは台車から降りると、少女をじーっと見つめる。少女もそれに応えるようにじーっと見つめ返すと、その強化プラスチック製の体を抱きしめた
どうやら気に入ってくれたようである


遂に、本当に別れの時が来た
ディランザの手のひらに乗ろうとしている少女にアルゴノーツの面々はそれぞれ言葉をかける
元気にしてね、美味しいものたくさん食べるんだよ、たくさん友達作ってね、風邪ひかないようにね、いつでも会いに行くからね
どれもこれもが心からの暖かい言葉だった

[193 チグハグ君 23/07/24(月) 19:55:23]

そんな言葉を受け取った少女は少しはにかむと、こちらに向かって手を振る。それに応え、アルゴノーツ達は引きちぎれんばかりに大きく大きく手を振りかえす
ディランザの離陸の直前、少女はめいいっぱい息を吸う

「あ…ありが……とう…！！」

それは今までほとんど失語症同然だった少女が振り絞った、別れ際の感謝の言葉だった

「こちらこそありがとー!」

誰かが言った感謝の返事が伝播してゆく。空へと上昇して行くディランザに割れんばかりのありがとうの声が届けられる
これから新しい世界へと旅立って行く少女をアルゴノーツ達は大きな声でいつまでもいつまでも、見送り続けた

[194 二次元好きの匿名さん 23/07/24(月) 20:44:23]

こうして少年は英雄となり仲間達と共に星の海原を往く

取り残された怪物は…

[195 チグハグ君 23/07/24(月) 21:09:43]

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【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅥ【season2】｜あにまん掲示板

[196 二次元好きの匿名さん 23/07/24(月) 21:11:41]

>>194

底知れぬ恨みと満たされぬ飢え、冠無き王子を僭主へと変え、怪物に堕とす

[197 二次元好きの匿名さん 23/07/24(月) 22:06:43]

埋め

[198 二次元好きの匿名さん 23/07/25(火) 07:14:45]

うめ

[199 二次元好きの匿名さん 23/07/25(火) 12:39:22]

うめ