【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅨ【season2】

[1 チグハグ君 23/09/26(火) 21:49:20]

思うように進めない　日々をまた繰り返して

[2 チグハグ君 23/09/26(火) 21:50:19]

第1回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒です｜あにまん掲示板

第2回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅡ｜あにまん掲示板

第3回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅢ｜あにまん掲示板

第4回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅣ｜あにまん掲示板

第5回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅤ｜あにまん掲示板

第6回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅥ｜あにまん掲示板

第7回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅦ｜あにまん掲示板

第8回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅧ｜あにまん掲示板

第9回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅨ｜あにまん掲示板

第10回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅩ｜あにまん掲示板

第11回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅪ｜あにまん掲示板

第12回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒でⅫ｜あにまん掲示板

第13回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですXⅢ｜あにまん掲示板

第14回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですXⅣ｜あにまん掲示板

第15回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅩⅤ｜あにまん掲示板

[3 チグハグ君 23/09/26(火) 21:51:19]

第16回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅩⅥ｜あにまん掲示板

第17回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅩⅦ｜あにまん掲示板

第18回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅩⅧ｜あにまん掲示板

総集編

【まだ間に合う！】自分はグラスレー寮の生徒です【総集編】｜あにまん掲示板

[4 チグハグ君 23/09/26(火) 21:51:43]

season2

第1回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅠ【season2】｜あにまん掲示板

第2回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅡ【season2】｜あにまん掲示板

第3回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅢ【season2】｜あにまん掲示板

第4回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅣ【season2】｜あにまん掲示板

第5回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅤ【season2】｜あにまん掲示板

第6回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅥ【season2】｜あにまん掲示板

第7回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅦ【season2】｜あにまん掲示板

第8回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅧ【season2】｜あにまん掲示板

[5 二次元好きの匿名さん 23/09/26(火) 21:51:51]

たておつ

[6 チグハグ君 23/09/26(火) 21:52:18]

プロフィール
本名:ティガー・ハグラ(Tigaer・Hagler)
渾名:チグハグ
学年:2年生
学科:経営戦略科(合ってない)→パイロット科
学籍番号:LP014
性別:男
所属寮:グラスレー寮
身長:177cm
容姿:55(平均ちょい上)
髪色:青
瞳の色:青
身体能力:76(高い)
コミュ力:16(無い)→65(そこそこ頑張った)
協調性:29(ぼっち)
料理力:88
得意料理:シチュー
パイロット能力:93(凄い)
乗機:ペジュレヴァリエ

決闘成績:1勝1敗0引き分け

[7 チグハグ君 23/09/26(火) 21:52:50]

名前:ジェイソン・サダルメリク
愛称:ジェイス
学年:2年生
学科:パイロット科
性別:男
所属寮:シュネー寮(役員の家族)
一人称:「俺」
身長:164cm
容姿:113(超絶イケメン・めっちゃ女顔)
髪色:銀
瞳の色:紫
身体能力:99
コミュ力:100
協調性:93
パイロット能力:66
性格の良さ:70(善性よりだが完全な善人ではない)
備考:人形のように可愛がられてきたため、本当に信頼できる人間がおらず孤独だった。チグハグ君は初めての友達

チグハグ君の友達。とんでもないバカで頭のネジが飛んでいるが、ティガーを真っ直ぐ褒めてくれる数少ない友達の1人。ティガーからの好感度も高い

とてもバカ

[8 チグハグ君 23/09/26(火) 21:53:17]

アルゴス・ジェミニィ

チグハグ君の精神が強いダメージを受けた時に現れたもう一つの人格
基本的に紳士だが、どこか憂いを帯びていてミステリアス
その言動には謎が多く、本人曰く「パーメットの揺らぎが見せた一瞬の夢」
戦闘面に関しては前に進みながら回避する攻撃的な戦闘スタイルをとっていたチグハグ君とは異なり、とにかく敵の攻撃を交わしながら的確に敵の急所を撃ち抜くカウンタースタイルへと変化している
チグハグ君との入れ替わりには「チェンジ・スイッチ・オン」という必要がある

[9 チグハグ君 23/09/26(火) 21:53:38]

アルゴノーツの仲間達

メデイア・コギタティオ
ベネリットグループ外の医療機器メーカーのご令嬢。ジェイスの許嫁であり、アルゴデッセイ号、アルゴノーツの名付け親。副艦長的なポジションでもあり、作戦立案等も担当している

マンフレート・ティピュス
アルゴデッセイ号のメイン操舵士。アスティカシアのメカニック科3年であり、操舵技術は学園トップクラス。フェンシングも得意でついた渾名は「マッハバロン」

ヨハネス・エルギノ
アルゴデッセイ号の広報担当。アスティカシアでは経営戦略科の1年生。古い縦型カメラを愛用しており、1年生ながら新聞部のエースでもある。同じ経営戦略科のリリッケのことがちょっと気になってる

エオリネ・オルフェア
アスティカシア学園経営戦略科1年生。アルゴノーツの音楽担当であり、大抵の楽器の演奏ができるが得意なのはアコーディオン

オペ子
間延びした声が特徴的なアルゴデッセイ号のブリッジクルーその1。緊張感のない雰囲気はあるが、かなりの敏腕でオペレーターとしての能力は高い。メデイアとはよき女子友達である

ポイちゃん
アルゴデッセイ号のブリッジクルーその2。オペ子からヤバ目な仕事を投げ捨てられる苦労人ポジではあるが、本人は逆境に立たされると普段の数倍のスペックを引き出せるタイプなので意外と理にかなっていたりする　

女将さん
アルゴデッセイ号のご飯担当。風体はザ・食堂のおばちゃんだが、れっきとした学生である。料理のバリエーションが豊富であり、腕前はティガーと互角かそれ以上

リップ・プロノイア
INNの女性記者。グリムイアを救ったアルゴノーツに興味を持ち、アルゴデッセイ号へ乗船。船ではみんなを見守る大人の1人として、暴走しがちなメンバーにお灸を据える役割を担っている

フローレス・パイエン
アルゴデッセイ号の船医。落ち着いた性格であり、思春期特有の悩みを抱えがちなアルゴノーツのメンバー達のメンタルケアも行っている。ちなみに三十路で恋愛経験はない

[10 チグハグ君 23/09/26(火) 22:00:19]

独立救援組織「オルレア」

ソテイラ・ヴァンサンク
オルレアのリーダーを務める赤い髪の少女。メガネがトレードマークで、その姿はどことなくスレッタ・マーキュリーを思わせるが肌は白い

キング
何かにつけてスペーシアンであるティガーに反発する少年。ティガーよりも年下であり、紫の髪と褐色肌が特徴
左腕には自身の愛機「ユウヒ」を呼び出すための通信装置「ボイスコマンダー」を装着している

ジルド・ペロー
オルレアの副代表を務める青髭の男。忠義に厚く、ソテイラを神のように崇拝している。意外と小さな子供たちにも人気がある

ジャック・ライル
タンクトップが特徴的な筋肉質の大男。気持ちのいい性格であり、頭のいい筋肉バカである
ジェイスとはとてもソリが合う

[11 チグハグ君 23/09/26(火) 22:00:47]

<その他>

機体のオリジナル設定、合いそうな曲、提案お待ちしています

採用されるかは確実なことは言えませんが大いに参考になります

機体設定はスレ主の監修を得て採用されるかもしれません

[12 二次元好きの匿名さん 23/09/26(火) 22:01:40]

おつ！

[13 二次元好きの匿名さん 23/09/26(火) 22:09:20]

>>11

地球って廃棄or払い下げされたMSを改修して運用している例（デストルーパーみたいな）とかめっちゃありそう

[14 二次元好きの匿名さん 23/09/26(火) 22:17:08]

あらすじ

オルレアと行動を共にし始めたアルゴノーツ
いつもの日課の整備のために深夜に格納庫へと向かったティガーはそこで鼻歌混じりにガンダム─ジャンヌダルク─を掃除するソテイラを目撃する
その姿に衝撃を覚えつつも、それ以上の干渉はなかった
翌日、海辺の電波塔の整備に向かったティガーはスペーシアンを嫌う少年「キング」から睨まれていた
なんとか午前の仕事を終え、作業を再開しようとしたその時、ドローン戦争時に使用された陸戦自律兵器「テケテケ」の襲撃に遭ってしまうのだった

[15 チグハグ君 23/09/27(水) 00:17:51]

チグハグ「そうかわかった！」

アルゴス『一体何がわかったんだい？』

突然大声を出したかと思うと、ティガーは自身の内にいるアルゴスへと語りかける

チグハグ「ソテイラさんのガンダムだよ！なんで今まで気づかなかったんだ！」

興奮覚めやらぬと言った感じのティガーはソテイラの愛機ジャンヌダルクを指差す

チグハグ「あのガンダムは、体の部位ごとにガンドフォーマットを適用できるんだよ!」

[16 二次元好きの匿名さん 23/09/27(水) 00:44:45]

盾乙

[17 二次元好きの匿名さん 23/09/27(水) 09:05:02]

>>13

このシリーズ結構既存MSの改造あるよね傭兵が使ってた警備機体の改造品とかディランザタービュランスとか

[18 二次元好きの匿名さん 23/09/27(水) 16:26:48]

保守

[19 二次元好きの匿名さん 23/09/27(水) 23:16:33]

保守

[20 二次元好きの匿名さん 23/09/28(木) 08:52:31]

保守

[21 二次元好きの匿名さん 23/09/28(木) 19:52:37]

保守

[22 二次元好きの匿名さん 23/09/29(金) 00:24:29]

保守

[23 二次元好きの匿名さん 23/09/29(金) 00:26:55]

>>17

ヴァナディースハートってガンダムとデミ？以外の他にモビルスーツってなにかいたっけ？

[24 二次元好きの匿名さん 23/09/29(金) 02:07:09]

>>23

プロローグの描写込みならベギルベウとかハイングラとかもだね

ハイングラは言わずもがなチグハグ君の初代相棒、ベギルベウは登場の機会あるのだろうか

[25 チグハグ君 23/09/29(金) 08:13:24]

ティガーが気づいたこと、それはシェルユニットの点滅の有無であった
本来ガンダムはその性質上、スコアを上げることにより制御端末であるシェルユニットに光が灯る。これはパーメットによりパイロットとMS間の伝達情報量を飛躍的に増大させ、その機体がガンダムであるかの分かりやすい指標でもある

ではソテイラの乗るジャンヌダルクはどうかというと、確かにシェルユニットは発光しているがそれは腕部のみに留まっているのだ
本来であれば全身のシェルユニットが光り輝くはずなのに、一部しか発光していない。それはつまりGUNDフォーマットの適用範囲に何かしらの制限があるというになる
実際、ジャンヌダルクの動きをよく観察してみると腕の動きの精度はいいが、腰関節との連動が上手く行ってないように見える。これはGUNDフォーマットと従来の操作系統との隔絶した差であり、低スコア時のガンダムの凡百な性能そのままで戦っているとも捉えられるのだ

[26 二次元好きの匿名さん 23/09/29(金) 16:05:32]

保守

[27 二次元好きの匿名さん 23/09/29(金) 22:53:24]

保守

[28 二次元好きの匿名さん 23/09/30(土) 04:12:03]

そういえば今までの回で腕光ってるって書いてたな

[29 チグハグ君 23/09/30(土) 12:27:41]

チグハグ「どちらにせよあのガンダムには謎がありそうだね」

アルゴス『そうだな。ともすればガンダムの呪いに対する回答を得られるかも…』

ティガーとアルゴスがソテイラのガンダムについて話しながら、テケテケ達を処理していたその時であった
ソテイラの学習したテケテケ達はコックピットのある胴体ではなく、脚部に群がるように攻撃を始めたのだ
赤く輝きを放つ腕部とは違い、脚部の動きは普通のMSかそれ以下の動きであり、あっという間に押し倒されてしまった

チグハグ「ソテイラさん！？」

勿論、それを見たティガーはすぐに助けるためペジュレヴァリエをテケテケの群れの中へ突っ込ませようとする

キング「させるかぁぁぁ！！」

しかし、それよりも早くキングと彼の愛機ユウヒがテケテケ達へとかっ飛んで行った

[30 二次元好きの匿名さん 23/09/30(土) 20:42:06]

保守

[31 二次元好きの匿名さん 23/10/01(日) 02:37:41]

保守

[32 二次元好きの匿名さん 23/10/01(日) 11:10:32]

保守

[34 二次元好きの匿名さん 23/10/01(日) 22:30:00]

死なないでくれー頼むー

[35 二次元好きの匿名さん 23/10/02(月) 08:13:24]

結局この話で登場するガンダム達の出どころてどうなんだろうか

[36 二次元好きの匿名さん 23/10/02(月) 18:19:17]

保守

[37 二次元好きの匿名さん 23/10/03(火) 01:14:17]

保守

[38 二次元好きの匿名さん 23/10/03(火) 08:09:16]

>>35

順当に議会連合な気もするけど変な組織出る可能性も捨てきれない

[39 二次元好きの匿名さん 23/10/03(火) 18:13:37]

保守

[40 二次元好きの匿名さん 23/10/03(火) 19:34:14]

保守

[41 チグハグ君 23/10/03(火) 20:30:27]

テケテケの群れへと突っ込んだキングはジャンヌダルクを押し倒しているテケテケに手を伸ばすとなんとか引き剥がそうとスラスターを吹かす

キング「離れ……こいつ力強っ…！」

しかしテケテケ達は全くびくともしない。それもそのはずだ。テケテケ達の主な運用方法は数で圧倒し、複数体で強力な一機を圧殺するという物であり、人が乗ることを考えない自律兵器である利点から出力に制限をかける必要性もなく、その体は全て出力の向上のための部品で構成できるのだ

結果として生半可な速度に特化した軽量MSの分類にあたるユウヒではあまりにもパワー不足であった

dice1d3=1 (1)

1.残りのテケテケ達が今度はキングを狙う…

2.張り付いていた1機が剥がれたかと思うとユウヒにとりつく

3.ソテイラ「お逃げなさい！」

[42 二次元好きの匿名さん 23/10/04(水) 04:35:30]

保守

[43 チグハグ君 23/10/04(水) 11:51:35]

キング「このっ……ソテイラ様から離れろ!」

引き剥がせるわけもないテケテケを引き剥がそうとキングは手を休めることはない
ジャンク品で出来上がった愛機は各部から悲鳴を上げ、関節からは火花が飛び散っていた
しかしそれにキングは気づかない。目の前のソテイラを助けるために自分のことなど気にもとめていなかった。その背中はガラ空きであった

無防備なユウヒへとテケテケ達が密集する
ジャンヌダルクよりも装甲も強度も劣るユウヒは各部から鳴ってはいけない音を鳴らしながらどんどんと解体されていく

「マズイ……！マズイマズイマズイマズイ！！」

ユウヒのコックピットではキングがこの状況をなんとかしようと懸命にレバーを操作するが、ユウヒは応えてくれない
そしてテケテケ達はついにユウヒのコックピットカバーの最後の装甲を剥ぎ取り、キングはコックピットで見えてはいけない曇り空の光を見た

[44 二次元好きの匿名さん 23/10/04(水) 21:39:32]

保守

[45 二次元好きの匿名さん 23/10/05(木) 00:05:44]

あかん死ぬぅ!

[46 二次元好きの匿名さん 23/10/05(木) 00:13:05]

あれ、けっこうマズい状況じゃない？

[47 チグハグ君 23/10/05(木) 07:17:40]

無機質にコチラを見つめるカメラのレンズが間抜けずらを晒すキングの姿を反射していた

「あ、死んだ」

状況を完全には理解できていないキングの口から溢れたのは、なんて事はない状況の打破を諦め、死を受け入れてしまった者の吐く弱音であった

テケテケ達がキングへと手を伸ばす
死の恐怖に晒された体は考える事をやめ、視界は黒へと暗転した

[48 二次元好きの匿名さん 23/10/05(木) 16:51:10]

ゲームオーバー！？

[49 二次元好きの匿名さん 23/10/05(木) 16:52:55]

これがテケテケ！！
悪魔の力よ！！

[50 チグハグ君 23/10/05(木) 22:46:01]

少年の脳裏に流れるのは、少し昔の記憶
まだ少年がキングと呼ばれる少し前のこと

少年はその昔、ごくごく普通の生活をしていた。父親がいて母親がいて妹がいて温かい寝床がある。決して裕福とは言えなかったが、多くの人が望む理想的な幸せの中にいた
そしてそれは一夜にして奪われた
戦争シェアリングなんて馬鹿げた利権争いのために誑かされた地球のとある一派が、彼の住んでいた街を突如として攻撃したのだ
その日なかなか眠りにつけなかった少年は街で1番早く、街が壊されているのを目撃していた。急いで家族を起こした彼は一目散に家を飛び出す
発生した火災のせいで真夜中だと言うのに街は昼間と間違えるほどに明るく、瓦礫の山と肉の焦げた匂いが鼻腔に充満する
少年の生まれ育った街は地獄絵図と化していた
こんなところにいては危ない。そう思い家の方へ振り返った時だった。MSの投げたハンドグレネードが屋根を突き破り、内側から家を破壊した
爆発の衝撃で少年は地面へと叩きつけられた。幸いな事に大きな怪我はなかったが、意識があるが故に最悪を目にする事になった

彼の家は無くなっていた

彼のすぐ横には焼けこげた腕が転がっていた。真っ黒なその腕には父と母のお揃いのペアリングがはめられていた

[51 チグハグ君 23/10/05(木) 22:57:22]

少年は走った
無我夢中で、瓦礫と爆炎に包まれる街を走り続けた
学校へと行く道路の脇では瓦礫に挟まれ身動きが取れない人がうめき声をあげ、友達と遊んだ空き地は踏み荒らされ血溜まりのようなものが見える、いつもパンをサービスしてくれたパン屋のガラス窓は火災の影響で全て割れ、家族とよく行った食堂はその姿をどこにも確認できなかった

走れど走れど視界に入るものは数時間前まで日常だったものたちばかりで、平穏が地獄へと変わる様を少年に見せつけるように彼の思い出の場所に蹂躙されていない場所はなかった
だが少年にとってはそれはある意味では幸福であったのかもしれない。次から次へと飛び込んでくるショッキングな光景は少年から思考するための余裕を奪い去っていた
だから少年は考えずに済んだ。あの焼けこげた手が両親どちらかのものであることも、大切な家が無くなった事も、自分1人を残して家族が全員死んだ事も、辛い事を考える暇を与えなかったことは彼にとってプラスに働いていた
麻痺した思考で走り続ける体はいつの間にか街を抜け、何もない荒野を走り続けていた

逃げて、逃げて、逃げ続けて、とっくに炎の匂いなどしなくなっているというのに何かに怯えて逃げ続ける
履いていたスニーカーは片方が無くなり、足の爪が割れて血が出ていた。何も食べていない胃袋は空腹に悲鳴をあげ、水分を補給していない体は幻覚と頭痛で限界を知らせていた
やがて逃げ疲れたのか心が折れたのか少年は膝から崩れ落ちた。もう2度と目覚めることはないだろう、そう思って重い瞼を閉じた

[52 チグハグ君 23/10/05(木) 23:27:26]

少年が再び目覚めた時、彼はやたらとチカチカ光る電灯に照らされるベットにいた
見れば全身至る所には包帯が巻かれていて、腕には点滴が刺されており、医療行為を受けられる場所、つまりある程度の安全は確保されている場所にいることがわかった
となれば今自分がどこにいるのかを知りたくなるが、指を一本動かすだけでも全身は悲鳴をあげるのでそんなことができるわけもなかった
できる事もなく、ただ思考するだけの時間が増えると押し留めていた不安が一気に押し寄せてくる
家族を無くしたこと、帰る場所を無くしたこと、故郷を無くしたこと、さまざまな不安と悲しみがないまぜになって一度に少年を襲う
涙を拭う手を動かす事もできない彼は双眸から流れる涙が頬を伝う感触でさらにマイナスな気持ちを膨らませていった

鼻を啜る音だけが響く部屋に誰かの足音が近づいてくる
自動ドアが開くと、赤い髪がふわりと揺れる。女性だ
メガネをかけた少年とそう歳の変わらなそうな女性は少年が起きている事に気づくと優しく微笑み、ベットのそばに膝をついて彼の涙を拭ってくれた

これがキングとソテイラの出会いだった

[53 二次元好きの匿名さん 23/10/05(木) 23:29:40]

あっ···過去回想

[54 チグハグ君 23/10/06(金) 00:05:33]

キング「……ねない」

テケテケたちの凶刃がキングの喉元へと迫る

キング「死 ねない！」

フットペダルを踏めど、レバーを引けどテケテケに群がられているユウヒは動かない

キング「まだ何も成してない！」

テケテケの鋭い爪がキングを貫くその直前、テケテケの体が真っ二つに割れる
それを起点にするようにユウヒに群がるテケテケ達も続々と真っ二つになり崩れ落ちていく
一転した状況に目を白黒させているキングの目前に一騎の騎士が舞い降りる
いけすかないスペーシアンの緑の騎士が自分を救ったのだと否が応でも理解させられた

[55 二次元好きの匿名さん 23/10/06(金) 07:34:10]

保守

[56 チグハグ君 23/10/06(金) 07:37:09]

「進めば2つだ、キングくん」

テケテケ達からソテイラやキングを庇うように立つティガーの声が聞こえる

「君は進んで『ソテイラさんの命の安全』と『状況打破のためのきっかけ』を手にした」

キングの行動全てが無駄だった訳ではない
キングの突撃によってテケテケ達の標的がユウヒへと変わった事により、テケテケ達の多くがユウヒの解体へと動き、それにより穴が生まれたのだ
その穴を見逃すティガーではなく、ジャンヌダルクを押し倒しているテケテケを斬り伏せると、そのままの勢いでユウヒに纏わりついていたテケテケ達の多くも撃破した

「君の勇気が状況を好転させた。ナイスガッツだキングくん」

残りの敵は10数体、1人で相手にするにはいささか多いが不可能という訳でもない

「ここからは自分の出番だ!」

タクティカルウェポンを組み替え最大の攻撃力を持つポジション─ハルパーモードにしたティガーとペジュレヴァリエは跳躍と共に敵陣へと飛び込んだ

[57 チグハグ君 23/10/06(金) 18:35:41]

多くの味方を切り伏せられたテケテケ達はティガーとペジュレヴァリエを脅威とし、一斉に襲いかかってくる

無機質なセンサーアイに感情があるはずはないのに、その怪しく光る一つ目からは怒りや憎しみのようなものが伝わってくる

多勢に単騎で挑むペジュレヴァリエは…

dice1d3=1 (1)

1.その手に持つハルパーが強い光を放つ

2.くるぶしにある円形部分のパーツが展開する

3.しゃがみ込む、高く跳躍する

[58 チグハグ君 23/10/06(金) 20:07:05]

チグハグ「ペジュレヴァリエの力、見てみろ!」

タクティカルウェポンとはティガーの発案した組み替え式の近接攻撃武器である
ありとあらゆる状況に対応することを主眼に置かれたこの装備には２振りの鎌での近接格闘をメインとするシックルモード、斬撃に特化したエクスキューショナーズモード、突きに特化したスピアモードなどさまざまな形態があるが、その中でも対巨大物体や集団に対しての高火力な殲滅兵装としての火力特化の形態が存在する
それがこのハルパーモードである
この形態では斬撃攻撃がメインになるのだが、その最大の特徴は他にある
右掌とコネクトしクリュサオルのエネルギーを供給する事によって放たれる高出力の物理エネルギー攻撃

「必殺！クレッセントパワースラッシュ！！」

三日月状のエネルギーの刃がテケテケ達を切り裂いていく
これこそがハルパーモードの真骨頂"飛ぶ斬撃"である

[59 二次元好きの匿名さん 23/10/07(土) 00:10:48]

保守

[60 チグハグ君 23/10/07(土) 00:28:36]

キング「すっ…すげぇ…」

たったの一閃、それだけで残りのテケテケ達を屠ったティガーをキングはある種憧れにも似た眼差しで見つめていた
彼も1人の少年であり、MS乗りである。かっこいい機体、かっこいい武器が目の前にあれば目を輝かせてしまうものなのだ

チグハグ「ふぃ〜終わった…」

一仕事終え、緊張のほぐれたティガーもほっと一息ついていた。どれだけ力が強くても所詮は人間、極度の緊張状態から解放されれば油断も生まれる
そして危険というのは往々として油断の内に現れるものだ

ティガーが一掃したテケテケの群れ、その残骸の山より一体のテケテケが飛び上がる。片腕が潰れ、内部の機械が露出した状態でも稼働できるその耐久性は天晴れだがこの状況では厄介極まりない

チグハグ「ヤバっ！？」

突如として再出したテケテケに対応しようとするティガーであったが、いつの間にか降り出した大粒の雨でぬかるんだ地面に一瞬脚を取られ、対応が遅れてしまった

[61 チグハグ君 23/10/07(土) 01:16:11]

ぬかるみで脚を取られたティガーであったが、その卓越した操縦技術で脚部のスラスターでホバーのように脚を浮かせ、上半身のスラスターで無理やり機体を捻りハルパーの斬撃をテケテケへと向ける
しかし、ハルパーはシックルに比べて取り回しが悪い方もあり振りかざすまでにテケテケの直撃は許容しなければならなかった
テケテケの鋭い爪がコックピットに向かわないよう、テケテケを睨み続けるティガーの視界から突如としてテケテケが横に吹っ飛び消えた
見ればその体には数発の銃痕が刻み込まれていた

キング「これで貸し借りはなしだ」

ユウヒが離さず握っていた右手のマシンガンはその銃口から白い煙を吐き出していた

[62 二次元好きの匿名さん 23/10/07(土) 12:42:21]

ペジュレヴァリエは多機能だな…

[63 二次元好きの匿名さん 23/10/07(土) 17:09:46]

保守

[64 二次元好きの匿名さん 23/10/07(土) 17:23:24]

ついに進めばふたつをものにした
必殺技叫ぶ

マジでアグレッシブになったよなーチグハグくん

[65 チグハグ君 23/10/07(土) 22:28:37]

戦闘が終わり、テケテケ達の残骸処理をソテイラ達に任せ、ティガーとキングは電波塔の修繕に戻っていた

キング「……何であの時、俺を助けたんだ？」

沈黙が続く2人の間の均衡を破ったのはキングの方であった。無線通信越しに聞くのは先ほどの戦闘のこと

自らの危険も顧みず自分を助けるために飛び込んできたティガーのことをキングは疑問に思っていた

キング「俺はアンタに割と酷い事をたくさん言った。なのにアンタは助けに来てくれた……スペーシアンなのに」

スペーシアンの利権争いに巻き込まれて全てを失ったキングにとってスペーシアンは全てが敵だった。自分から日常を奪ったスペーシアンは憎むべき敵だし、誰も彼もが鬼畜のような存在だと考えていた

だというのに目の前の少年は─ティガー・ハグラは違った

利益なんて何も無いのにわざわざアーシアンである自分達を庇うように立ち回った彼が宙に住む有象無象のスペーシアンと同じには思えなかった

チグハグ「なんでって、そりゃ…dice1d3=1 (1) 」

1.君のこと良い奴だと思ったから

2.だって困ってたでしょ？あの時

3.理由なんてないよ

[66 チグハグ君 23/10/07(土) 23:18:28]

キング「いい…やつ？」

チグハグ「あぁ、君は良い奴だ。自分はそう思う」

キングはますますこの男がわからなくなった
ティガーにはおおよそ良い人間だと判断されるような素振りなど見せてはいないのに自信満々にキングを「良い奴」だと断言できる根拠がキングにはわからない

キング「……お前、おめでたい奴なのか？」

チグハグ「よく言われるよ。でもさ、自分は思うんだ、誰かのために戦うって凄く怖いことだなって」

キング「怖い…？」

チグハグ「誰かのため、誰かの代わりに戦うってその人の責任も全部自分が背負うってことだ、自分の命と同じ重さの命が自分の肩にかかってる、そう思うと自分は怖い。……だけど君はあの瞬間迷わなかった。迷わずソテイラさんを助けに行った、そんなことができるのは良い奴に違いないでしょ？」

キング「それは…ただ死んで欲しくなかっただけだ」

チグハグ「その気持ちで動け出せない人はたくさんいるよ…動けても助けられない人だっている。だけど君はソテイラさんをちゃんと助けた。君の勇気に自分達も助けられた」

キング「助けに行ったら逆に襲われたのにか？」

チグハグ「君の勇気がなかったらソテイラさんは死んでたよ。君が救ったんだ、彼女を」

キング「俺が救った…か」

[67 チグハグ君 23/10/07(土) 23:38:31]

チグハグ「本当に凄いよ。穴場で迷わず飛び出せるなんて、本当にソテイラさんのことが大切なんだね」

キング「うぇっ！？いや、ち、違うから!好きとか大切とかそういうのじゃなくて…俺はただとっさに…」

チグハグ「ん？……ほほぉ〜？あれ〜自分は"上司として大切"って意味で聞いたんだけどなぁ〜」

ハロ『キチク！キチク！』
アルゴス『あはは…言うようになったね、誰の影響なんだか』


ソテイラ「………」

地上ではソテイラがジャンヌダルクのコックピットモニターからペジュレヴァリエとユウヒが電波塔の周りをぐるぐると回っている様子を眺めていた

「ソテイラ様！どうかなされましたか？」

ソテイラ「いえ、何でもございませんわ」


キング「違うからな!俺はソテイラ様をそんな邪な目で見てないからな!」

チグハグ「自分は何も言ってないぞ〜てかそう言う人間は大抵邪な目で見てるでしょ」

空の上では男達が痴話話で戯れあっていた
そんな様子を見て、ソテイラは口角を少し上げた

[68 二次元好きの匿名さん 23/10/08(日) 08:02:42]

朝保守

[69 二次元好きの匿名さん 23/10/08(日) 18:03:02]

保守

[70 二次元好きの匿名さん 23/10/08(日) 19:11:48]

電波塔の周りでMSで追いかけっ子してる…

[71 チグハグ君 23/10/08(日) 22:29:01]

レジナルド「お若いの、ちとこの老体ののところまで降りてきてはくれんかの？」

電波塔の周りをぐるぐると飛行していたティガーとキングに拡声器越しのレジナルドの声に気付き、機体を降下される
ティガーの方はスラスターを適切に使い土煙をほとんど巻き上げる事なく着地し、対してキングは地響きを鳴らしながら勢いよく降り立つ。2人の技術の差がよく現れた着地のあと、2人とソテイラ達はレジナルドに案内され電波塔の一室へと辿り着いた
よくわからない古めかしい機械が卓上に並び、ガラス窓越しの奥の部屋には向かい合うように置かれた2本のマイクとヘッドホンが置かれていた

ソテイラ「ここが放送室なのですね!」

連れてこられた部屋は窓がないと言うのにジメジメとした嫌な感じはなく、床の隅まで掃除されていてまるで使用されていた当時のような輝きを保っているようだ

レジナルド「そう、こここそわしの望んだわしの夢の城！…正確には戦争中の通信基地なんじゃが、まぁそれは今は良い」

年甲斐もなく興奮するレジナルド興奮冷めやらぬ様子で卓上のよくわからない機械達を次々に立ち上げていく
スイッチを一つ入れるたびに機械達に光が灯り、部屋がその明かりで明るくなっていく。まるでこの部屋が蘇っていくようなそんな感覚さえした

チグハグ「好きな曲を流すと言っていましたが、最初に何を流すかは決めているんですか？」

ティガーの質問に答えるようにレジナルドは奥の小綺麗に整理された棚から一枚のディスクを取り出した

[72 二次元好きの匿名さん 23/10/08(日) 23:03:51]

ディスクとはアドステラにしては随分アナクロだねぇ

[73 チグハグ君 23/10/08(日) 23:11:36]

Voyager's Golden Record: Johnny B. Goode _Chuck Berry

取り出されたレコードに針が乗せられ、回転を始める

陽気なギター音から始まるその曲は、旧時代のとある時代の流行曲

レジナルド「最初にかける音楽はもう決めておったのじゃよ。遥かなる宇宙の旅人、人類の行先を照らす篝火として旅をする遥かなる旅人、それが乗せた見知らぬ誰かと手を取るための曲、わしはずっとこの曲を世界に響かせたかった!」

電波塔から高強度の電波で拡散するメロディーは受信した機器から午後を彩る陽気な音楽をかき鳴らす

─それは地球で

ジェイス「お、何だ何だ随分ご機嫌な曲じゃねェか」

エオリネ「ジョニー・B・グット、旧世紀においてボイジャーに搭載されたゴールデンレコードに刻まれた世界有数の名曲…」

ジェイス「よし!つまんねェ諸作業は一旦中止だ!エオリネ!合わせて鳴らしちまえ！」

家を遠く離れた子供達にとってつまらない午後に飛び込んできたワクワクであり、将来への期待を感じさせる人生の行進曲に

[74 チグハグ君 23/10/08(日) 23:12:08]

─それは宇宙で

レネ「ん？誰かの端末鳴ってる？」

イリーシャ「私じゃないよ」

メイジー「あ、ごめん私だ。……これ音楽だよね？」

エナオ「随分と古臭いサウンドだ」

サビーナ「だが、良い曲だ」

宇宙の片隅の学園の一室、部屋にたまり時間を浪費する少女達にとっては古臭く、馴染みのいいサウンドに

─それは孤独な人間の側で

ドルム「………」

孤独に宇宙を征く狼の旅の友に

千差万別、宇宙にさえ届くギターのメロディが青空の下に響いていく
ティガーもいつの間にかアコギをどこからか取り出すと、メロディに合わせて弦をかき鳴らす、それに合わせてソテイラの歌声が響く

キング「……さっきはありがとな。言ってなかったら言っておく」

チグハグ「お互い様だよキングくん。パイロットは助け合いってね!」

地球の青空、フロントの青空、離れている、だけど続く大きな宙
人々はこの空の下、ギターのメロディでハミングをこぼし、いつもより少しだけ発色の良い昼下がりを生きていく

[75 二次元好きの匿名さん 23/10/09(月) 00:53:15]

そういえば今回のタイトルは【青空の下でハミングを】だったな。最後に回収されるのか

[76 チグハグ君 23/10/09(月) 09:28:19]

─アスティカシア学園 グラスレー寮専用宇宙港

グラスレー寮艦からはいくつかのMSコンテナが走り出し、普段ほとんど誰も使用しない地下格納庫に搬入されていた

エナオ「これが件の新型」

レネ「とは言ってもまだ骨の状態だけどね」

コンテナに搭載されていたのはMSのフレームであり、外装や武装と思しきものもコンテナで順次輸送されてきている

レネ「で、こいつを組み立てる奴のアテはあるわけ？」

エナオ「そこら辺はシャディクがサビーナに一任している。サビーナなら適した人材を持ってくるだろう」

レネ「まぁ出来上がるのはまだまだ先ってことね」

エナオ「あぁ、楽しみだ─ベギルペンデ・リビルド。彼には申し訳ないが、使えるものは全て使わせてもらう」

[77 二次元好きの匿名さん 23/10/09(月) 11:32:52]

前にチグハグ君が設計してたやつか!

[78 二次元好きの匿名さん 23/10/09(月) 17:22:09]

悪用されちゃうのかな…

[79 二次元好きの匿名さん 23/10/10(火) 00:00:58]

保守

[80 二次元好きの匿名さん 23/10/10(火) 08:47:18]

保守

[81 チグハグ君 23/10/10(火) 17:10:13]

─同時刻　グラスレー寮地下連絡通路

ニカ「私を連れ出して、今度は何をさせる気なんですか？」

非常灯レベルの灯りしかない薄暗い通路をサビーナとニカが歩いていた
ニカには特に拘束具の類はつけられてはいなかったが、横にいるのが自身よりも遥かに体格で勝るサビーナであり、右腕が折れているとあっては逃げ出す気力などなかった

サビーナ「すぐにわかる」

ニカの質問にサビーナは答えようとせず、静寂の通路に2人分の足音だけが響く
対話をしようと思っても、それが出来ない。今まで隠し事を続け、聞かれてもはぐらかし続けてきたニカには意趣返しのように思えた

サビーナ「ここだ」

カードキーを読み込ませると、ギア式の重そうな鉄扉がゆっくりと開いていく
扉の向こうにはちょうど地球寮の格納庫くらいのサイズの空間が広がっており、そこに一つだけポツンと置かれたハンガーにはフレームだけの未組み立て状態のMSが鎮座していた

[82 チグハグ君 23/10/10(火) 17:10:29]

ニカ「私にあれを組み立てろって言うんですか？」

ジェターク系列ともペイル系列ともグラスレー系列とも、はたまた別企業の系列機に使われているフレームとは違う未知のフレームを前にニカは自分が想像以上の惨事に巻き込まれているのではないかと感じ始めていた

サビーナ「合っているが、それだけではない」

サビーナから渡されたパッドにはあのフレームを使用したと思われるMSの設計書等の資料、そして──MSよりも遥かに大きい謎の機械の資料が添付されていた

ニカ「これは……」

サビーナ「考えなくていい、君の役目は2つ、１つはこの機体の組み立て、そして２つ目はこの機体とその鯨もどきを連結させるシステムと機構の作成だ」

ニカ「断ったら、どうなるんですか……」

サビーナ「君は一生、ケージの中のウサギのままだ」

二つに一つですらない選択肢を突きつけられ、ニカは視線を落とす
「ラフトゥーリア」という機体名と「設計者:ティガー・ハグラ」と書かれた項目が妙に記憶に残った

[83 二次元好きの匿名さん 23/10/10(火) 19:07:29]

うわあああなんかMAっポイのが
しかもニカが設計に…
チグハグくん泣くぞ

[84 チグハグ君 23/10/10(火) 20:56:42]

─地球 マイティベース大格納庫 アルゴデッセイ号食堂

食堂の一角にあるホワイトボードの落書きと睨めっこしながらジェイスは腕を組んで頭を捻っていた

マンフレート「どうしたんだい船長くん、こんなところで1人なんて珍しいじゃないか」

そんなジェイスの後ろからマンフレートが声をかけた

ジェイス「いや、心配するようなことじゃァねェよ…」

はぐらかすジェイスの言動に苦笑いをするマンフレートは、ジェイスの落書きを見つけた
そこに写っているのは紫の髪の女の子と青い髪の男の子であった

マンフレート「可愛いなぁ、船長くんが描いたのかい？味のある画風だ」

ジェイス「だろ？俺、絵にはそれなりの自信があるんだワ。特にこだわったのは微妙な表情の違いだな」

マンフレート「ところで、これは……誰だい？」

話が長くなりそうな気配を察し、マンフレートが方向を修正する。アルゴデッセイ号の頼れる操舵士は状況判断を見誤らないのだ

ジェイス「………ティガーとサビーナなんだけど」

[85 二次元好きの匿名さん 23/10/11(水) 04:15:02]

保守

[86 二次元好きの匿名さん 23/10/11(水) 13:52:23]

あらかわいい

[87 チグハグ君 23/10/11(水) 17:59:51]

マンフレート「あぁ！ティガーくんとサビーナさんか、も、もちろんわかってたよ？わかっていたとも」

嘘である

マンフレート「でも、なんでその2人の絵を？」

ジェイス「いやー、どーしても気になってることがあんだけどさ」

そう言うとジェイスはホワイトボードにさらに加筆していく

ジェイス「俺の見立てじゃァ、ティガーがサビーナにゾッコンなのは確定。んだけども肝心のサビーナからティガーへの矢印がわかんねェんだよなァ…」

マンフレート「女性陣には聞かなかったのかい？」

ジェイス「聞いたさ、聞いたんだけど……『サビーナさんと言えばあの凛々しいお顔よね!』『男に負けないスタイル抜群なスタイルも捨てがたい…』『あの冷たく蔑むような目…最高』ってな感じでまともに話が聞けんかった」

マンフレート「まぁ、人気者だからね彼女…。それにしても、どうしてティガー君の恋愛事情をキミが悩んでいるんだい？」

ジェイス「親友の恋は応援したくなる物…だろ？」

マンフレート「確かに」

[88 二次元好きの匿名さん 23/10/12(木) 00:05:58]

そういやチグハグ君とサビーナはクエタ出発前の会話の時以来顔を合わしてないんやなぁ......