【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅩⅣ【season2】

[1 チグハグ君 24/01/21(日) 21:45:56]

普通な毎日が続くとは限らない
今日の意味を知る

[2 チグハグ君 24/01/21(日) 21:47:19]

第1回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒です｜あにまん掲示板

第2回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅡ｜あにまん掲示板

第3回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅢ｜あにまん掲示板

第4回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅣ｜あにまん掲示板

第5回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅤ｜あにまん掲示板

第6回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅥ｜あにまん掲示板

第7回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅦ｜あにまん掲示板

第8回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅧ｜あにまん掲示板

第9回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅨ｜あにまん掲示板

第10回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅩ｜あにまん掲示板

第11回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅪ｜あにまん掲示板

第12回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒でⅫ｜あにまん掲示板

第13回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですXⅢ｜あにまん掲示板

第14回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですXⅣ｜あにまん掲示板

第15回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅩⅤ｜あにまん掲示板

[3 チグハグ君 24/01/21(日) 21:48:28]

第16回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅩⅥ｜あにまん掲示板

第17回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅩⅦ｜あにまん掲示板

第18回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅩⅧ｜あにまん掲示板

総集編

【まだ間に合う！】自分はグラスレー寮の生徒です【総集編】｜あにまん掲示板

[4 チグハグ君 24/01/21(日) 21:49:05]

season2

第1回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅠ【season2】｜あにまん掲示板

第2回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅡ【season2】｜あにまん掲示板

第3回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅢ【season2】｜あにまん掲示板

第4回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅣ【season2】｜あにまん掲示板

第5回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅤ【season2】｜あにまん掲示板

第6回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅥ【season2】｜あにまん掲示板

第7回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですⅦ【season2】｜あにまん掲示板

第8回

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第9回

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第10回

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第11回

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第12回

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第13回

【🎲】自分はグラスレー寮の生徒ですXⅢ【season2】｜あにまん掲示板

[5 チグハグ君 24/01/21(日) 21:51:41]

プロフィール
本名:ティガー・ハグラ(Tigaer・Hagler)
渾名:チグハグ
学年:2年生
学科:経営戦略科(合ってない)→パイロット科
学籍番号:LP014
性別:男
所属寮:グラスレー寮
身長:177cm
容姿:55(平均ちょい上)
髪色:青
瞳の色:青
身体能力:76(高い)
コミュ力:16(無い)→65(そこそこ頑張った)
協調性:29(ぼっち)
料理力:88
得意料理:シチュー
パイロット能力:93(凄い)
筋肉:結構ある
乗機:ハイングラ→ベギルシャスー→ペジュレヴァリエ

決闘成績:1勝1敗0引き分け

[6 チグハグ君 24/01/21(日) 21:52:09]

名前:ジェイソン・サダルメリク
愛称:ジェイス
学年:2年生
学科:パイロット科
性別:男
所属寮:シュネー寮(役員の家族)
一人称:「俺」
身長:164cm
容姿:113(超絶イケメン・めっちゃ女顔)
髪色:銀
瞳の色:紫
身体能力:99
コミュ力:100
協調性:93
パイロット能力:66
性格の良さ:70(善性よりだが完全な善人ではない)
備考:人形のように可愛がられてきたため、本当に信頼できる人間がおらず孤独だった。チグハグ君は初めての友達

チグハグ君の友達。とんでもないバカで頭のネジが飛んでいるが、ティガーを真っ直ぐ褒めてくれる数少ない友達の1人。ティガーからの好感度も高い

とてもバカ

[7 チグハグ君 24/01/21(日) 21:53:19]

アルゴス・ジェミニィ

チグハグ君の精神が強いダメージを受けた時に現れたもう一つの人格
基本的に紳士だが、どこか憂いを帯びていてミステリアス
その言動には謎が多く、本人曰く「パーメットの揺らぎが見せた一瞬の夢」
戦闘面に関しては前に進みながら回避する攻撃的な戦闘スタイルをとっていたチグハグ君とは異なり、とにかく敵の攻撃を交わしながら的確に敵の急所を撃ち抜くカウンタースタイルへと変化している
チグハグ君との入れ替わりには「チェンジ・スイッチ・オン」という必要がある

[8 チグハグ君 24/01/21(日) 21:53:47]

<アルゴノーツの仲間達>

メデイア・コギタティオ

ベネリットグループ外の医療機器メーカーのご令嬢。ジェイスの許嫁であり、アルゴデッセイ号、アルゴノーツの名付け親。副艦長的なポジションでもあり、作戦立案等も担当している

マンフレート・ティピュス

アルゴデッセイ号のメイン操舵士。アスティカシアのメカニック科3年であり、操舵技術は学園トップクラス。フェンシングも得意でついた渾名は「マッハバロン」

ヨハネス・エルギノ

アルゴデッセイ号の広報担当。アスティカシアでは経営戦略科の1年生。古い縦型カメラを愛用しており、1年生ながら新聞部のエースでもある。同じ経営戦略科のリリッケのことがちょっと気になってる

エオリネ・オルフェア

アスティカシア学園経営戦略科1年生。アルゴノーツの音楽担当であり、大抵の楽器の演奏ができるが得意なのはアコーディオン

オペ子

間延びした声が特徴的なアルゴデッセイ号のブリッジクルーその1。緊張感のない雰囲気はあるが、かなりの敏腕でオペレーターとしての能力は高い。メデイアとはよき女子友達である

ポイちゃん

アルゴデッセイ号のブリッジクルーその2。オペ子からヤバ目な仕事を投げ捨てられる苦労人ポジではあるが、本人は逆境に立たされると普段の数倍のスペックを引き出せるタイプなので意外と理にかなっていたりする　

女将さん

アルゴデッセイ号のご飯担当。風体はザ・食堂のおばちゃんだが、れっきとした学生である。料理のバリエーションが豊富であり、腕前はティガーと互角かそれ以上

ガンバ・ゼッテス/バレット・ゼッテス

人呼んで「ガンバレット兄弟」高い射撃の腕を持ち、アルゴノーツの砲手担当。それぞれ早撃ちのガンバ、曲芸のバレットの異名を持つ

リップ・プロノイア

INNの女性記者。グリムイアを救ったアルゴノーツに興味を持ち、アルゴデッセイ号へ乗船。船ではみんなを見守る大人の1人として、暴走しがちなメンバーにお灸を据える役割を担っている

フローレス・パイエン

アルゴデッセイ号の船医。落ち着いた性格であり、思春期特有の悩みを抱えがちなアルゴノーツのメンバー達のメンタルケアも行っている。ちなみに三十路で恋愛経験はない

[9 チグハグ君 24/01/21(日) 21:54:03]

独立救援組織「オルレア」

ソテイラ・ヴァンサンク
オルレアのリーダーを務める赤い髪の少女。メガネがトレードマークで、その姿はどことなくスレッタ・マーキュリーを思わせるが肌は白い
愛機はガンダムのような機体「ジャンヌダルク」通称はジャネットちゃん

キング
何かにつけてスペーシアンであるティガーに反発する少年。ティガーよりも年下であり、紫の髪と褐色肌が特徴
左腕には自身の愛機「ユウヒ」を呼び出すための通信装置「ボイスコマンダー」を装着している
電波塔の件をきっかけにティガーを見る目が変わり始める

ジルド・ペロー
オルレアの副代表を務める青髭の男。忠義に厚く、ソテイラを神のように崇拝している。意外と小さな子供たちにも人気がある

ジャック・ライル
タンクトップが特徴的な筋肉質の大男。気持ちのいい性格であり、頭のいい筋肉バカである
ジェイスとはとてもソリが合う

[10 チグハグ君 24/01/21(日) 21:54:26]

<その他>

機体のオリジナル設定、合いそうな曲、提案お待ちしています。採用されるかは確実なことは言えませんが大いに参考になります

機体設定はスレ主の監修を得て採用されるかもしれません

また、お送りいただいたMSや武装のアイデア、登場させて欲しい人物、アルゴノーツメンバーのプロフィール等はできる限り採用させていただきます(貴方の考えたアルゴノーツのメンバーがチグハグ君達と一緒に旅をするかも!？)

[11 チグハグ君 24/01/21(日) 22:03:20]

前回のあらすじ

商業港の街フスハーバーへとやって来たティガーたち
街外端のパラボラアンテナを治したお礼として峡谷を抜けた先の綺麗な浜辺で遊ぶことになった
思い思いに海を楽しむティガー達だったが突如として巨大な水柱と共に水陸両用MSダゴンが襲来したのだった

[12 二次元好きの匿名さん 24/01/21(日) 22:06:15]

たておつ！

[13 二次元好きの匿名さん 24/01/21(日) 22:14:24]

盾乙

[14 二次元好きの匿名さん 24/01/22(月) 00:52:17]

前スレで言われてたアルゴデッセイ号がエルトリウムのオマージュ要素あるっていうのは面白いな、前回出てきたキメラ戦艦とかアルゴデッセイ号とかもアルゴスがいたであろう古代文明由来のものだろうし

[15 二次元好きの匿名さん 24/01/22(月) 08:11:11]

保守

[16 二次元好きの匿名さん 24/01/22(月) 11:58:59]

立て乙

[17 チグハグ君 24/01/22(月) 18:34:40]

囮となり逃げるティガー。生来の体力のおかげで息切れする事はないが、それでもMSと人間とのスペックの差は明白であり、多腕ユニットによる打撃を決死の覚悟で避ける事が多くなっていた
そんな状況下でも彼の頭にあるのは仲間の無事だけだった。振り向くことのできない背後にいる仲間達が逃げきれたのか、他に被害を受けた人はいないか、この後に及んでもまだ人の心配ばかりをしていた
そんな心優しき少年を黒い影が覆う。迫り来る大質量の振り下ろし、避けるには前方に飛ぶように避けるしかない。だがそれでは次に迫っている2撃目を避けられない。文字通りの絶体絶命の危機

ソテイラ『チェストォォォォォォ！ですわぁぁぁ！！』

少年の危機に現れたマントの聖女がその手に持つ大鎌を振う。振り下ろされるダゴンの多腕ユニットに光の鎌が閃き、たちまち出来た鋼鉄タコのブツ切りが砂浜に落下し砂埃を上げる
鎌の斬撃とスラスターが爆風を生み、ティガーの体が宙へと浮き上がる

ジェイス「気合いじゃァァァァァァ！！」

地面に真っ逆様に落ちるティガーを飛び上がったジェイスがキャッチする

ソテイラ『無事でして？ティガーさん』

砂浜に突き立てたビームサイスを支柱にダゴンに回し蹴りを喰らわせたソテイラがジャンヌダルクのマイク越しに語りかける

チグハグ「ジェイスのおかげでなんとか…」

ジェイス「無茶しすぎだバァーカ」

ジェイスはデコピンでティガーの額を小突きつつも、肩を貸しティガーを立ち上がらせる

チグハグ「そっちも無茶しすぎでしょ」

ジェイス「俺ァ死なねェ自身があっからな」

チグハグ「なんだそれ」

あまりにも短絡的かつ根拠のないジェイスの自信にティガーは笑うしかなかった

[18 二次元好きの匿名さん 24/01/22(月) 20:50:48]

おおっ来た！！

[20 チグハグ君 24/01/22(月) 23:23:49]

ソテイラ『無事なら何よりですわ』

立ちあがろうとするダゴンを前にジャンヌダルクは地面に突き立てられビームの旗を揺らす大鎌を握り直す

ソテイラ『ところで弱点とか分かりまして？それとお相手の方が乗っている場所とかも』

チグハグ「ダゴンの弱点は最大の武器である多腕ユニットです。あれは自由自在に動いているように見えてその実、あらかじめプログラムされた複数の動作の組み合わせで動いてるんです。そのパターンを見極めれば対処は比較的容易です。それとコックピットは腰部のところです!」

ソテイラ『分かりましたわ!』

dice1d3=1 (1)

1.大鎌で多腕ユニットの攻撃を受け流しながらダゴンの攻撃パターンを覚える

2.背中のマントを取り外しダゴンの多腕ユニット稼働部に捩じ込む(ダゴンの多腕ユニットの基部はエヴァ8号機β臨時戦闘形態のようになっており回転する)

3.攻撃を捌きつつジリジリとダゴンに詰め寄るジャンヌダルク

[21 チグハグ君 24/01/23(火) 00:31:01]

ダゴンの攻撃を捌き続けるソテイラはその優れた観察眼でダゴンの動きを一つ一つ分析していた
最初は1分間に10回だった被弾が5回に、2回にと減っていく。そしてついには一回の被弾もなくなり、完全に攻撃を捌けるようになっていた
こうなってしまえば後は隙を作り出すだけである
ダゴンの攻撃の間に生まれるわずかな隙を突き、一瞬のうちにジャンヌダルクは多腕ユニットの攻撃の届かないダゴンの機体本体へと肉薄する

ソテイラ『覚悟っ！』

大鎌の柄を短く持ち変え一閃
多腕ユニットが基部の根本から胴体と離れる。胴体から上を失ったダゴンは後ろに数歩よろめくと力無く崩れ落ちた

ジェイス「なんか、案外呆気なかったな」

ジェイスの言う通りダゴンが現れてからまだ10分程度しか経っておらず、ジャンヌダルクの戦闘は始まってから3分程度しか経過していない。いかに旧式の機体とはいえ完全に不意をついた奇襲でこんなにも呆気なく終わったとあればどこか気が抜けそうになるのもまた確かであった

ソテイラ『さて、どうしてこんな事をしたのか教えて頂きま…あれ？』

ジャンヌダルクがダゴンのコックピットを開けると、そこには誰も乗っておらず、人が乗るべきコックピットシートには1m代の灰色の箱がコックピットコンソールとケーブルで接続されて鎮座していた

ソテイラ『無人機体……』

[22 二次元好きの匿名さん 24/01/23(火) 09:24:48]

完全な無人ってドローン戦争の禁忌犯してそう

[23 二次元好きの匿名さん 24/01/23(火) 12:05:29]

保守

[24 二次元好きの匿名さん 24/01/23(火) 12:36:08]

何故こんなに無人機が残ってるんだろう
鉄血のＭＡみたいな生き残りが再起動してる感じなのかもしくは誰かが意図的に動かしてるのか

[25 二次元好きの匿名さん 24/01/23(火) 16:37:15]

>>24

他の無人機とかは既存の勢力でもおかしくないけどあのキメラ戦艦だけ確実にオーパーツ過ぎるんだよな･･･

企業も議会もアーシアンもあんな戦力持ってたら工作とかするまでもなく滅茶苦茶やるだろうし

[26 チグハグ君 24/01/23(火) 19:08:01]

チグハグ「無人！？いやでも、確かに第二世代は自動操をするためのユニットはあったはずだけど…でもダゴン
やる意味なんて」

ダゴンのコックピットが無人であったことにティガーは大きな違和感を感じていた。そもそも無人化というのは兵士の損耗を防ぎつつ、搭乗員の判断による操作のロスを減らすドローン的な使用の時に用いられるものである。戦術として複数の無人機による部隊を組むのが一般的であり、戦術AIがその全てを操作する
だがそれは複数機の運用にメリットがあり武装がシンプルなMSで行うものであり、単機による敵基地への強襲をコンセプトとしテクニカルな装備の多いダゴンは無人化には全く向かないのだ。実際、ダゴンは一度も光学迷彩機能を使用しておらず戦闘が本職ではないソテイラに簡単に行動パターンを見極められている辺りそれが現れていた

であるならば当然浮かんでくる疑問
【なぜダゴンを無人化され滅多に人の来ないビーチに偶然訪れた自分達を襲ったのか】
考えられる可能性は無人化されたものの何らかの要因で座礁していたものが偶然に起動した、テロ組織による運用テスト、もしくは…

チグハグ「囮……？自分達がMSに乗れない状況を作るための…？なら狙いは……」

ある可能性へと思い至ったティガーの顔がみるみる青ざめる

チグハグ「ソテイラさん、これは罠です！すぐににげ…」

ティガーが言い切る前にジャンヌダルクの背後から"光の糸"が機体に絡みつく。糸に絡みつかれたジャンヌダルクは動力を失ったように力無く手足を放り投げ空中に操り人形のように吊るされている

チグハグ「スタンビームの糸……？」

ジェイス「おい、ティガー！アレ見ろ！」

ジェイスが指差す先、スタンビームを辿った先にはまるで蜘蛛のような巨大な物体が複数体。しかし、単なる蜘蛛ではなくMSの上半身を接合し神話の人蜘蛛アラクネのような歪な姿をしていた

[27 二次元好きの匿名さん 24/01/23(火) 19:48:25]

蛸が追いて蜘蛛が絡ます、英雄危うし八つ足の罠

[28 チグハグ君 24/01/23(火) 20:37:47]

音もなく現れた謎の蜘蛛MS集団。その先頭に立つ唯一紫に染め上げられた機体の首元から人間が現れ、肩へと乗り換える

「レディース！アーンド！ジェントルメーン!」

この場にあっていないショーの開幕のような挨拶と共に仰々しくお辞儀をするその人物は声色からして男なのだろうか、顔には笑顔を貼り付けたような仮面を付けている

「皆様方！第一部蛸「との追いかけっこ」は楽しんでいただけましたか？続きまして第2部…」

ジェイス「おい！何だお前!いきなり出てきて意味わかんねェことつらつら抜かしやがって！まずは自己紹介からだろうが！」

ジェイスの怒声に仮面な男は動きを止めると、ワザとらしい咳を一つ

「失礼しました。なにぶん今日のために長年仕込みをしていましてね…コホン、初めまして皆様方！私…いえ私達は『パイドパイパー』です！」

パイドパイパー。男が言ったその言葉にティガーとジェイスの顔が強張る

ジェイス「パイドパイパーって…」

チグハグ「間違いない…アルゴス経由で伯父さんが教えてくれたガンダムをばら撒いてる組織…」

(ヌーベ「奴らは裏では「パイドパイパー」と呼ばれているらしい。なんでも、子供を拉致ってはガンダムパイロットに仕立て上げて地球の弱小グループに渡して、紛争を激化させてるんだと…あくまで噂だがな」)

チグハグ「自分達の敵だ！」

[29 二次元好きの匿名さん 24/01/23(火) 22:33:02]

>>26

アラネアーこんなに早く出して頂けるとは嬉しい限りです

[30 二次元好きの匿名さん 24/01/23(火) 23:37:01]

地球圏結構治安悪いな…

[31 二次元好きの匿名さん 24/01/24(水) 00:39:40]

大元のオックスアースとか議会連合だけじゃなくこういうのもいるよね、そういう存在を深掘りできるって言うのも二次創作の醍醐味

[32 二次元好きの匿名さん 24/01/24(水) 09:56:56]

今日のために長年仕込んだって何のためだろう･･･地球の一都市でそんなに目的としたいことがあるのか？

[33 チグハグ君 24/01/24(水) 12:48:48]

パイドパイパー「敵だなんてそんな──あぁ何と嘆かわしい事でしょう！同じ宇宙に住む者同士、青い地球を眼下とする者同士ではありませんか!」

チグハグ「スペーシアン…」

仮面の男の言動からスペーシアンであることは分かったが、なら尚更地球の港町の外れのビーチにいる理由がわからない

ジェイス「さっきからクネクネしやがって!お前の目的は何なんだよこの仮面野郎！あとソテイラの嬢ちゃんを離しやがれ！」

痺れを切らしたジェイスが喝を飛ばす

パイドパイパー「目的？そんな事、我々ならばすぐにわかる事でしょう？──戦争シェアリングの活発化ですよ」

ジェイス「なっ…！？」

チグハグ「戦争シェアリングの活発化とソテイラさんの捕縛に何の関係があるんだ。今の貴方は自身の素顔を見せず他人を不快にさせる言動をするだけの信頼たり得ない存在にしか見えないぞ」

ティガーの鋭い指摘が仮面の男に突き刺さる

パイドパイパー「関係ですか。であるならばこれから始まる第2部にご期待くださいませ!それでは第2部「魔女の火炙り」開幕です!」

[34 二次元好きの匿名さん 24/01/24(水) 13:14:23]

単なる小物のイロモノか謎の勢力かの2択だなあ

[35 チグハグ君 24/01/24(水) 14:05:42]

仮面の男が指をパチンと鳴らすと紫色の蜘蛛型ガンダムのシェルユニットが赤く発光し、蜘蛛部分に取り付けられた大型装置が振動する

ソテイラ『キャァァァァﾞァﾞァﾞァﾞァﾞァﾞ！！』

突如としてソテイラの悲鳴が聞こえる。蜘蛛型ガンダムの背負った装置の振動に同期するようにジャンヌダルクのシェルユニットが赤く発光し、徐々に赤黒くなっていく。一定周期で刻まれたリズムもあり心臓の鼓動のようにも見えた

チグハグ「ソテイラさんに何をした！」

パイドパイパー「嫌ですねえ貴方方も良く知っているガンダムの脅威に対する我々の数少ない対抗手段の一つですよ」

チグハグ「アンチドートの事？でもアレはパーメットリンクを断ち切るだけでパイロットを悪戯に苦しめる装置なんかじゃない!」

パイドパイパー「ザッツライ！アンチドートでございます。もっとも、これはそれを元にした新たな装置「データアクセラレータ」なのです！アンチドートの基礎理論を反転させ瞬間的にして極大のデータストームをガンダムのパイロットに浴びせ死に至らしめさせる、正しくガンダムに対しての毒!」

ジェイス「おいおい…それならソテイラの嬢ちゃんが死んじまうじゃねぇか！」

パイドパイパー「死にませんよこれは」

ジェイスの焦った声に仮面の男は調子を崩さずに答える

パイドパイパー「そうなるように作ったのですから」

チグハグ「何を言って…」

戸惑うティガーの言葉を遮るように男は続ける

パイドパイパー「では余興のついでに皆様方にお教えしましょう!ソテイラ・ヴァンサンクの真実を！！」

仮面の奥で男がニタリと笑った気がした

[36 二次元好きの匿名さん 24/01/24(水) 14:20:45]

真実…？

[37 二次元好きの匿名さん 24/01/24(水) 16:39:53]

水中型ガンダム・ルブリス
型式番号:XGF-01A　頭頂高:18.0m
重量55.1t（水中用装備込み）

試作量産モデルのルブリスに脚部フィンや水中用推進器等の水中用装備を装着させた機体。
またルブリスそのものにも防水処置等の改修がなされていおり、水中用装備も任意のタイミングでパージ可能で陸戦にも対応可能となっている。
主な武装は頭部バルカン砲、銛状の実体弾を発射するハープーンガン等（なおベース機が装備していた大型ランチャーは装備されていない）

[38 二次元好きの匿名さん 24/01/24(水) 16:51:59]

>>37

水中用装備パージ状態

[39 二次元好きの匿名さん 24/01/24(水) 19:16:49]

>>38

青いルブリスか

[40 チグハグ君 24/01/24(水) 20:44:15]

むかしむかし、あるところに仮面をつけた魔女がいました。魔女には大切な一人娘がおり、その娘は住んでいた場所のせいで徐々に弱り、命が消えようとしていました
悲しんだ魔女は娘の命を助けるために機械の巨人に娘の魂を写し、その命を長引かせる事にしました。でも、巨人になった娘は1人では話す事も動く事もできません
そこで魔女は娘の手足となるための小間使いを作ることにしました。娘の遺伝子で作られた小間使いたちは娘のために働きました。しかし、娘とは会話もできません
そこで魔女は考えました。娘が自由に動くために必要な「鍵」を作ろうと
魔女は2つの命を生み出しました。1つは娘そっくりに作られた命。娘と同じ遺伝子なら相性もいいだろうと考えたからです
もう一つは娘の遺伝子を弄って娘の面影を少し感じる程度の命。もしも同じ遺伝子で効果がなかった時の予備のつもりでした
このどちらかが鍵となる命でした
しかし、魔女は娘そっくりの命だけを育てることにしました。娘の遺伝子を弄って作った自分にそっくりな命を目にした時、魔女は自分がなんて恐ろしい事をしてしまったのだと怖くなったからです。
その命は魔女の手を離れ、地球に捨てられる事になりました

[41 チグハグ君 24/01/24(水) 20:44:56]

その命はいつしか「25番」と名前をつけられました
小高い丘とその丘の上に立つ一本の木、その周りで草を喰む羊の群れ。壁に描かれた外の世界を見つめながら命は少女へと育っていきました
少女の1日はこの部屋で本を読んだり、友達のぬいぐるみの山羊と過ごす事、よくわからない箱のようなものに入れられて大きな体を動かすゲームをする、この2つが全てでした。ゲームを頑張るともらえるキャンディが大好きで、もらえた日は飛び上がって喜びました
たまに大人に手を引かれて、知らない場所に行く事もありましたが、すぐに眠くなって気がつくと壁の絵がある部屋にいたのであまり気にする事はありませんでした

そんな日々が何日も何年も続いた頃、少女はすっかり背も伸び、大人の女性に近くなっていきました。この頃はお勉強もさせられて、同年代の子と比べても特に変わったところのない普通の子でした
彼女の16歳の誕生日─そう大人が呼んでいる日に彼女は、今まで行った事のない場所へと連れられていました。無機質な扉を開けた先にあったのは手狭な部屋とゴツゴツした椅子だけ。大人たちがその椅子に座ってと言うと、彼女は躊躇いもなく座りました
椅子に座る彼女の頭に被せ物が付けられます。今日は新しいゲームをしようかと大人たちの甘言に乗せられ、彼女はワクワクしながらゲームの起動を待ちます
いいスコアをとってご褒美のキャンディを貰おう。それが彼女が「25番」であった時に考えた最後の事でした

[42 チグハグ君 24/01/24(水) 20:46:06]

次に目覚めた時、彼女はコックピットの中にいました。どうして自分がここにいるのか、ここがどこなのか彼女にはわかりませんでした
彼女の後ろからは人々の歓声が聞こえます。目の前を見れば彼女が倒したであろうMSの残骸が転がっていました
彼女は今の状況を理解できていませんでした。でも、自分の使命はしっかりと心に刻まれていました

「私の名はソテイラ・ヴァンサンク、あなた方を救いに参りました！」

この日、ソテイラ・ヴァンサンクが世界に産声をあげたのです
何もかもを忘れた哀れな供物である自覚すら無く、争いの火種となるための何の意味もない救世を天命だと勘違いした哀れな存在として

[43 二次元好きの匿名さん 24/01/24(水) 21:10:09]

あーやっぱリプリチャイルドの生き残りか･･･
それでオックスアースかなにかの施設行った後はいずれ戦争を起こす火種になるために結果的に与えられた役を演じてたってこと？

[44 二次元好きの匿名さん 24/01/24(水) 22:00:46]

結構ヤバイ過去をお持ちのようですね…

[45 チグハグ君 24/01/24(水) 22:54:02]

<もっと分かる!ワード解説>

ソテイラ・ヴァンサンク

名前の由来

ソテイラ→救世主の女性形

ヴァンサンク→フランス語で25

オルレアにおいて代表を務める「聖女」

年齢は17歳〜18歳ほどだが彼女自身は自分の正確な年齢を把握していない

1年ほど前にとある難民キャンプに現れ、そのキャンプを襲撃したMSを撃退しキャンプを守り、そこで自身が人々を救うために行動していることを明かし、難民キャンプの住民たちと共に救援組織「オルレア」を作った

ジャンヌダルクの物語が好きで、彼女の機体名称はこれから取られている。その他にも仕掛け絵本や甘い物、ぬいぐるみが好きなど多少嗜好は幼いが女性らしい趣味をしている

その正体はスレッタと同じレプリチャイルドであり、スレッタとは同い年の姉妹にあたる

エリクトの遺伝子をほとんどそのまま使用しているスレッタとは違い、スレッタがエアリアル内のエリクトと適合しなかった時のために遺伝子を調整されており、その容姿は母親であるエルノラの面影が強い

その容姿故に自身の罪の重さから目を背けたエルノラの手によって地球へと送られ、数々の人々の手を渡り最終的にパイドパイパーの元へとやって来た

管理番号は「25」

[46 二次元好きの匿名さん 24/01/24(水) 23:58:03]

所詮はテアトロンの上で踊る人形に過ぎないということか、まあ踊らせてると思っている笛吹き共もまた神の手の上で気付かずに踊っているだけなのかも知れんがなあ

[47 二次元好きの匿名さん 24/01/25(木) 09:09:26]

保守

[48 二次元好きの匿名さん 24/01/25(木) 15:41:44]

しかし迂遠なことやるな･･･戦争激化させたいならもっと簡単な方法もあるだろうに

[49 二次元好きの匿名さん 24/01/25(木) 22:21:12]

>>48

まあ最初からマッチポンプじゃね？って疑われてたから境遇は驚くことでもないよね、重要なのはなぜこんな面倒臭い手段とったかってことな気がする

[50 チグハグ君 24/01/25(木) 22:47:40]

クローンとして作られ、勝手な都合で捨てられ、記憶も過去も何もかもを奪われ作られた聖女として振る舞わさせた？
そんなもの人間としても聖女としても何より「ソテイラ・ヴァンサンク」という人間への最大限の侮辱に他ならない
だが、その場にいた誰もがすぐには言葉を口に出せなかった。仮面の男が放った言葉の衝撃を飲み込むのに時間がかかるからだ。
故にその反応は十人十色

開いた口が閉まらず呆然とするジェイスがいた
信じられないとうわ言を言うジルド達オルレアの大人達がいた
その境遇の酷さに涙を流すオペ子や女将さんがいた
自分が今やるべき事のために端末を手に取るメデイアがいた
大急ぎでMSの準備を整える整備班がいた
銃を手に取り突っ込もうとするガンバとバレットを抑えるマンフレートやヨハネスやエオリネ達がいた


己が身の内から溢れ出る正義の怒りを燃やし壊れんばかりにエリシオンを握りしめ、相棒を呼ぶティガーがいた

攻撃性の塊のようになり、輸送車両のロックを強引に引き剥がし雄叫びを上げながら突撃するキングの姿があった


そして、コックピットの中、告げられた真実と高強度のパーメットリンクの痛みで胃の内容物を吐き出し涙をこぼす、もう二度と立ち上がれなさそうなソテイラがいた

[51 二次元好きの匿名さん 24/01/25(木) 22:55:32]

とてつもない嵐のようだぁ…あのビーチでの出来事はやはり嵐の前の静けさだったのか…

[52 二次元好きの匿名さん 24/01/25(木) 22:58:56]

プロスペラさんさぁ…

[53 チグハグ君 24/01/25(木) 23:02:59]

姉妹の愛機

[54 二次元好きの匿名さん 24/01/26(金) 01:10:33]

これ一応スレッタがお姉ちゃんにあたるんだろうか

[55 二次元好きの匿名さん 24/01/26(金) 08:25:19]

>>53

よく見るとしっかり魔女らしい機体だ･･･

[56 二次元好きの匿名さん 24/01/26(金) 16:35:56]

>>52

復讐で血に濡れた手で娘をもう一度抱こうと誓った筈が最後に日和った挙句この始末とはな、愛深き母親の役も復讐に堕ちた魔女の役もまともにやれない女が何のために生きているのやら

[57 二次元好きの匿名さん 24/01/26(金) 22:18:55]

保守

[58 二次元好きの匿名さん 24/01/27(土) 03:01:26]

何故しっているのか
ヴァナディーズの関係者？

[59 二次元好きの匿名さん 24/01/27(土) 10:35:42]

これは地球圏の戦争激化よりも更に本命の目的があると考えた方がいいな･･･
わざわざスペーシアンの有力子弟の集まりであるアルゴノーツと接触したタイミングでやるのもアーシアン同士のヘイトを向け合いたいならノイズでしかない、スペーシアンのヘイトが高まるだけだから特に情勢は動かない
その本命の目的を達成するためにアルゴノーツ、或いはその中の個人を巻き込む必要があったということかな

[60 二次元好きの匿名さん 24/01/27(土) 16:22:42]

>>59

戦争シェアリングとかのチンケな目的じゃなくもっと壮大な目的を狙う秘密結社の様な集団なら、リプリチャイルドのこと知ってたりあのオーパーツを出せたのも説明が付くな･･･

[62 チグハグ君 24/01/27(土) 23:26:49]

キング「ソテイラ様を離せェェェェェ！！！」

スラスターを全開にし砂浜を駆けるユウヒの突撃はその速度と重量もあり凄まじい威力となってジャンヌダルクとそのコックピットの中のソテイラを蜘蛛型ガンダムから救い出す事が出来るはずだった
しかしその歩みは対人仕様に改造された2体のカペル・クゥに止められてしまう。輸送車の窓越しに見た機体よりも重武装な辺りこの襲撃は計画的なものなのだと分かる

キング「クッソ……そこをどけぇぇぇぇぇぇぇ！！」

激昂するキングはユウヒのアクセルペダルを更に踏み込み出力を限界近くまで上昇させる。押さえつけられているのを無理矢理突破しようとしている機体の各部からは装甲の軋む音が聞こえ、機体の状態を示すモニターには黄色で示された破損箇所が増えてきていた
だが、出力が上がった事もあり徐々に2体のカペル・クゥが押されていく。ソテイラを拘束する紫の蜘蛛型ガンダムとの距離が縮まる
そんな時、紫の蜘蛛型ガンダムが外部音声器で語りかけてきた

『無駄な努力はよせ。お前では我々には勝てない』

その声を聞いた瞬間、キングの脳裏に電撃にも似た衝撃が走る。忘れられるわけもない、あの悪夢の夜に聞いた覚えのある"声"。全てを蹂躙しキングから全てを奪った元凶の声

キング「お前は……お前か！！俺の街を！俺の家族を奪ったあのMSのパイロット！！」

怒りを露わにし声を荒げるキングを『ゴルーアン』リーダー「ウィンチェスター・ボフォース」は蜘蛛型ガンダムのコックピットの中で嘲笑っていた

[63 二次元好きの匿名さん 24/01/27(土) 23:55:23]

襲撃した奴の正体判明したのね

[64 二次元好きの匿名さん 24/01/27(土) 23:57:56]

ゴルーアンのリーダーのおでましだねぇ

[65 二次元好きの匿名さん 24/01/28(日) 09:22:43]

まあこいつらはフォルドみたいな一山幾らのテロリストだろうな

[66 二次元好きの匿名さん 24/01/28(日) 12:36:14]

>>65

問題はパイドパイパーだろ。こいつがガンダムの供給源っぽいしゴルーアンも顧客の一つだろうし

[67 二次元好きの匿名さん 24/01/28(日) 13:59:41]

ああ対人用カペルクゥはこいつらのか

[68 二次元好きの匿名さん 24/01/28(日) 17:32:05]

>>66

パイドバイパーすらただの一端かもな

突き詰めればガンダムの提供も便利で非道な兵器をばら撒いてるに過ぎないから大勢そのものには影響しない

コロニーへの隕石攻撃といい、果てには山一つ消し飛ばす重力子兵器なんてもんを使う規模の組織が裏にいるとしたらガンダム提供すら只のカモフラージュに成り得る

[69 チグハグ君 24/01/28(日) 18:32:57]

ウィンチェスター「どの街かは知らないが無様に逃げて生き延びた奴らの1人か。よくいるのさお前のような奴が。弱いから奪われただけだというのに弱肉強食という絶対の摂理に異を唱え無謀にも挑みに来る輩がな」

蜘蛛型ガンダムの腕に装備されたショットガンの照準がユウヒへと向けられる

ウィンチェスター「俺は優しいのでな、そういう奴にも教えてやっているのさ。弱者は強者に絶対に勝てないとな」

無情にも放たれた弾丸はユウヒを押さえつけているカペル・クゥごと彼を貫こうとしていた
やけに遅く見える弾丸に歯軋りするも状況は変わらない。ここで犬死にする運命なのだから最期の瞬間をその目に焼き付けておけと神が告げているようにも思えた

「アイギス・シールドモード！」

そんな神の戯言など蹴っ飛ばせと言わんばかりに上空から舞い降りた盾がその表面を覆う光波膜により銃弾全てを受け流す

キング「お前……」

チグハグ「大丈夫？キングくん」

大丈夫と言う代わりにカペル・クゥ2体を振り解いたユウヒとキングの姿を見届けたティガーはウィンチェスターとパイドパイパーの方へと向き直る

チグハグ「ソテイラさんを苦しめ、ガンダムを悪事に利用し、挙げ句の果てに自分の仲間ごと撃ち抜こうとした…自分の中にお前らを赦す理由は無い！！」

アイギスをブースターモードにし両手にビームシックルを構えるティガーとペジュレヴァリエからは隠しきれないほどの怒りが漏れ出ていた

パイドパイパー「おっと…彼が………」

ウィンチェスター「仲間？お前は"機械"にもそう言う頭がイカれた奴なのか」

何かを企んでいるパイドパイパーを他所に、心底面倒臭そうなウィンチェスターが指を鳴らすと、先ほどユウヒに弾き飛ばされたカペル・クゥ達が起き上がる
迎撃の体勢をとるティガーとキングの2人はそこで信じられないものを見た
カペル・クゥの頭部が割れ、その中から"ガンダムの顔"が現れたのだ

[70 二次元好きの匿名さん 24/01/28(日) 21:01:00]

おこぼれに預かるだけの狗が強者とは笑わせる･････いや、こう言っては犬に失礼であろうな、犬は己の飼い主と恩義を理解するが故に

[71 前スレの116 24/01/28(日) 21:03:32]

おっ！カペル・ガンダムだ！！

[72 二次元好きの匿名さん 24/01/28(日) 23:42:57]

強者というよりハイエナだな…

[73 二次元好きの匿名さん 24/01/28(日) 23:44:03]

ハイエナにも失礼かもな…

[74 二次元好きの匿名さん 24/01/29(月) 00:34:26]

そういやアイギスってビームシールドだっけ

[75 二次元好きの匿名さん 24/01/29(月) 00:52:30]

>>74

それは多分左腕のカトブレパス(左腕に内蔵されたビームシールド兼EMP兵器、尚ティガーは使えない)

アイギスは超多目的万能機動制御用補助翼付多段変形機動防楯。盾になったりブースターになったりレゴリス散布して電撃喰らわせて敵を拘束したり色々できる

[77 チグハグ君 24/01/29(月) 02:05:46]

チグハグ「ガンダム…！？」

偽装ガンダムの登場に驚くティガーであったが、ガンダムの強みである通常のMSの駆動システムからは考えられない有機的な動きの根幹を支える巨大なシェルユニットの存在を確認できず、カペル系の設計的に詰め込むスペースも無いことから見掛け倒し以上のものはないだろうと考えていた
ガンダムの緑の瞳がコックピット越しのティガーを見た。モニターに映るその瞳を見た途端、ティガーの脳裏にイメージが走る。人よりも小さなカプセルの中、液体の中に浮かぶ人間のようなモノ。無防備な神経で繋がれた剥き出しの眼球が自分を見つめていた

チグハグ「…おい、このMSのパイロットに何をした」

心底腹の底が冷えた感覚のまま、パイドパイパーへと問いかける

パイドパイパー「何って商品として成立するための適切な処置をしたまでの事ですよ。なにせ品質の基準を満たさない不良品というのはモノづくりにおいては必ず生まれてしまうモノ…それをどう活かし利益を生むのも商人の勤めでしょう？」

パイドパイパーの一挙手一投足がティガーの怒りを増長させる。人をモノとして扱い、商品としてしか見ていないその薄汚れた性根が許せなかった

チグハグ「キングくん…あのガンダム達は自分がなんとかする。キングくんはソテイラさんを絶対に助けるんだ」

キング「お前…なんか怖いぞ」

チグハグ「いいから、早く行くんだ……早く!」

普段の優しさを感じさせられないティガーにキングは若干恐怖を覚えたが、ソテイラを救うために走り出して行った
1人残ったティガーは自身の認識の甘さを悔いながら、もう決して救うことのできないガンダム達と向き合った

[78 二次元好きの匿名さん 24/01/29(月) 08:13:14]

良い商人としての心がけだな☺

[79 二次元好きの匿名さん 24/01/29(月) 09:09:34]

おやおや

[81 チグハグ君 24/01/29(月) 09:41:58]

とはいえ、ティガーにとって苦しい戦いになることは明白であった

今まで対面してきたガンダムの多くはパイロットの神経が機体と直接接続している関係で機体のダメージがパイロットに反映される。彼らの悲鳴はそのままティガーの元へと届き、その刃を鈍らせ余計に無駄なダメージを与えることになるという負のスパイラルに成りかねないのだ

シェルユニットの搭載が確認できなくともパイロットの感じる痛みがシェルユニットと無関係であるとも断言できない現状では、むしろ人の形をほとんど保っていない今回の場合の方がパイロットへのかかる負担が想像もつかない

ならば、やるならば一撃、痛みを感じさせないほどの超速で武装のみを排除し無力化するしか無い

できるのか？そんな不安がティガーの心を包む。やるしか無いと己を鼓舞すれど完璧な解決策は浮かばない

確実をとるなら脚を破壊した後に武装を潰す、もしくは四肢を切断しダルマにするのが最適だろう。だがそれでは余計な手数が増えガンダムに与えるダメージが増えてしまう

足止めできるものを探せど見晴らしのいいビーチにそんな都合のいいものなどない

戦力比

ペジュレヴァリエ

dice1d300=202 (202) +150

カペル・クゥ(ガンダムヘッド)

dice1d100=42 (42) +75

[82 二次元好きの匿名さん 24/01/29(月) 09:50:07]

まあそこは圧倒するわな

[83 二次元好きの匿名さん 24/01/29(月) 10:07:53]

>>75

なるほど、やっぱりアイギスっていうくらいだからビームシールドよりも高度な技術使われてるんだろうか

[84 二次元好きの匿名さん 24/01/29(月) 11:25:28]

うわあちぐはぐつようい

[85 二次元好きの匿名さん 24/01/29(月) 11:38:34]

チグハグ君つよ…

[86 二次元好きの匿名さん 24/01/29(月) 12:05:35]

そりゃ相手がガンドフォーマット搭載無しなのに無駄な悪意だけで生体CPU化してる柔軟性がない機体だもの、比べ物にならんわい

[87 二次元好きの匿名さん 24/01/29(月) 21:09:18]

>>86

まあ恐怖心とかは無いのは便利なんだろうが生きる意思がない時点でね

[88 チグハグ君 24/01/29(月) 23:46:51]

にじりにじりと強め寄ってくるカペル・ガンダムとの距離が縮まっていく。後ろで1人で戦っているキングの助けに行きたくてもこのガンダムを他の誰かに押し付けるわけにもいかず、歯軋りをすれど最良の解決策は思いつかなかった

ジェイス『スプレッド・キャッスル・シュートォォォ！！』

カペル・ガンダムの足元に十数個の砂柱が立ち昇る。拡大されたモニターの画面には新型の組み替え式バズーカの銃口から白い煙をたなびかせるカノーネブルクの姿があった

ジェイス『足は止めたぞ、ティガー！』

チグハグ「最高だジェイス！！」

投擲されたビームシックルモードのタクティカルウェポンが風切音を立てながらブーメランのように円軌道を描きながら飛んでいく。カノーネブルクの散弾バズーカによって足が止まったカペル・ガンダム達は致命的過ぎるほどの隙を晒し、避けられる暇も無い

チグハグ「(偽装で隠してるのを見ると多分頭が本体のはず…決めるなら一撃、取り付け式の武装と頭両方一気に切り落とす！！)」

飛翔するビームシックルにペジュレヴァリエから放たられたワイヤーが巻き付くと、回転を維持したまま振り抜かれた腕の軌道に合わせてカペル・ガンダム達の武器と頭部を根本から刈り取る

チグハグ「ホリゾンタルギロチン！！」

胴体から切り離されたガンダムヘッドが音を立てて砂浜へと落下した

[89 二次元好きの匿名さん 24/01/30(火) 08:19:28]

ヨシ！

[90 二次元好きの匿名さん 24/01/30(火) 13:41:20]

カノーネブルクひさしぶり

[91 二次元好きの匿名さん 24/01/30(火) 18:22:49]

保守

[93 チグハグ君 24/01/30(火) 20:02:24]

悲鳴は………聞こえてこない
あの耳をつんざき脳を掻き回すような悲鳴が無かった事にほっと胸を撫で下ろす。そして顔を上げると砂浜に落下したガンダムの頭と目が合った
何故か目を離せない。光の消えた無機質な瞳が心を覗いて来るような気がして額から汗が流れる。だが、それはあくまで杞憂であり何事も無い
キングを助けに行かなくてはと気持ちを切り替えようとした瞬間のことであった







『助けて』









溶液の中に浮かぶ剥き出しの眼球がこちらを見ていた。直接言葉として聞こえたわけではない。だが、あの溶液の中の存在は確かに助けを求めている、そんな気がするのだ。心臓が握られたような感覚がして、息が詰まる
やはりあの中にいるのも人間なんだと、ならば助けなければと手を伸ばすが頭を切り飛ばされたカペル・ガンダムは糸が切れた操り人形のように力無く膝を地に沈め、動く気配はない。伸ばした手が空を切る

[94 二次元好きの匿名さん 24/01/30(火) 20:02:26]

ここで相手のこと考えられるあたりまだまだ余裕あるね

[95 チグハグ君 24/01/31(水) 00:01:39]

ジェイス「ティガー…」

チグハグ「大丈夫だよ、ジェイス…」

掴むもののない虚空を掴んだ親友を心配したジェイスにティガーはモニター越しに微笑んで返す

チグハグ「それよりも早くキングくんを……」

自身の心配をさせたく無いとすぐにキングの方へ向かおうと振り向く。そして言葉を失った
キングの乗るユウヒはその機体をショットガンで撃ち抜かれ、ちょうどコックピットのある位置をスティレットが貫いていた
だらりと垂れ下がる腕部から滴り落ちるオイルが血液のように砂浜に痕を残していた

チグハグ「貴ﾞ様ﾞァﾞァﾞァﾞァﾞァﾞァﾞ！！」

気づいた時には既に走り出していた。機体とアイギスの全ブースターを全開にしてらしくも無い直進的な加速で一直線に紫の蜘蛛型ガンダムへとカッ飛んでいく
その凄まじい速度に対応し切れないと判断したウィンチェスターは咄嗟にユウヒを盾としてペジュレヴァリエの進行方向へ向ける。仲間のために激昂する奴にはその仲間を肉盾にすればいい。ウィンチェスターの経験から基づく反射であった
だがしかし、ペジュレヴァリエは空中で急激に軌道を変え、螺旋軌道を描きユウヒを避けてビームシックルで蜘蛛型ガンダムの腕を切断し、そのままユウヒを抱えて距離を取る
この間わずか数秒。神速の神業であった

[96 二次元好きの匿名さん 24/01/31(水) 01:03:47]

只人の定石、経験、小細工一切無視
当然の様に切り飛ばす、故に、英雄

[97 二次元好きの匿名さん 24/01/31(水) 10:39:39]

いやあああキングくんがああああああ

[98 二次元好きの匿名さん 24/01/31(水) 15:16:38]

保守

[99 二次元好きの匿名さん 24/01/31(水) 15:46:11]

い　や　っ　た　あ　あ　あ　！　！

[100 二次元好きの匿名さん 24/01/31(水) 15:47:10]

ウィンチェスターピンチだね

[101 チグハグ君 24/01/31(水) 18:12:33]

傷だらけのユウヒをそっと砂浜に下ろすと、ペジュレヴァリエのセンサーを爛々と輝かせながらパイドパイパーとウィンチェスターを睨む

パイドパイパー「良いのですか？私たちに手を出すその意味が分かって……」

チグハグ「黙れ!」

相変わらず調子乗った口調で喋るパイドパイパーをドスの効いた声で遮る

パイドパイパー「スペーシアンである貴方が木っ端のアーシアンの心配ですか？随分と無駄な優しさをお持ちなようで」

チグハグ「スペーシアンとかアーシアンだとか関係ないんだよ!お前は自分の友達を傷つけた…事実としてあるのはそれだけだ！…それに」

チグハグ「さっきから止まないんだよ…そのガンダムに乗ってるパイロットの「助けて」って声が!」

怒りに満ちたティガーであったが、その怒りの全てがキングを傷つけた事についてでは無い。彼の脳には先程から絶えず悲鳴が聞こえていた。それはグリムイアのルブリスラド、クオキでのルブリスアンスール、そして先ほどのカペル・ガンダムと同じ、ガンダムの中に眠るパイロット達の絶叫である

パイドパイパー「……ガンダムとは命を糧に真価を発揮する悪魔の機体。その本質は20年の時が経った現在も変わる事はありません。ですがね困るんですよ、乗ったら死ぬかも知れない兵器なんて売れてはくれないのでね。ですから私考えました、肉人形を埋め込みドローンのように扱えるようにしたり、「人の代わりに呪いを肩代わりすればいい」と」

パイドパイパーの説明に合わせるように蜘蛛型ガンダムのコックピットではウィンチェスターが足元の卵型の格納容器に脚を乗せる
その容器には"copy light"と刻印されていた

[102 二次元好きの匿名さん 24/01/31(水) 21:22:13]

あーなるほど、複座式()ってわけかよ

[103 二次元好きの匿名さん 24/01/31(水) 22:40:29]

なんでこんな強気なんだ？そもそも公的に禁止されてるガンダムを流通させてる組織が摘発されても公的に庇う組織なんてないだろうに

[104 チグハグ君 24/02/01(木) 00:34:43]

もうティガーは限界だった。医者である父を尊敬する彼にとって命を弄び商品としてしか見ていないパイドパイパーはその存在自体が許せない存在であった
故に彼の怒りはペジュレヴァリエを通して外へと漏れ出る。握りしめられたビームシックルは出力を増しその刃をより巨大にし、赤い頭部センサーは血走っているように見えた

チグハグ「お前は！お前だけは絶対に…………」

腰を低く構え、一撃で蜘蛛型MSとパイドパイパーを仕留めようとしていたペジュレヴァリエの全身から力が抜ける
轟轟と光を燃やすビームシックルを瞬時にエクスキューショナーズソードにすると、背部からアイギスを取り左手に構える

アルゴス『怒りに飲まれてはダメだティガー。それは君の心を傷つける事になる』

ペジュレヴァリエのコックピットでは赤い瞳のアルゴスが強制的にティガーと入れ替わっていた

パイドパイパー「ほうほうやはり！まるで人格が変わったかのような立ち姿の変化!やはり貴方は面白いですよティガー・ハグラさん！！」

アルゴス『その口でティガーの名を口にするな、下衆が』

怒りは籠っていてもアルゴスはいたって冷静であり、仕掛けるようなことはせずソテイラを助けるための隙を窺っていた

パイドパイパー「隙とか探しちゃってます？無理ですよ、今のあなた達ではこれを助けることはできません。それに、先程は見逃して差し上げますが、聡明な貴方であれば私に手を出せばどうなるかはお分かりでしょう？」

アルゴス『その口ぶり、ベネリットにもコネがあるな？成程、家族を人質に取られては手出しはできないというわけだ』

アルゴスの推測に大袈裟に両手を叩いてパイドパイパーは正解であると答えた

[106 二次元好きの匿名さん 24/02/01(木) 00:41:49]

頑張って…ウィンチェスター…

[107 二次元好きの匿名さん 24/02/01(木) 09:06:23]

正直言ってここまでの印象だとただの外道の小悪党って感じだな、でも演技の可能性も無くは無いのが･･･

[108 二次元好きの匿名さん 24/02/01(木) 13:26:00]

保守

[109 二次元好きの匿名さん 24/02/01(木) 13:45:02]

他の対人カペルは増援として呼ばないのかな？

[110 二次元好きの匿名さん 24/02/01(木) 18:23:50]

>>109

そもそも蜘蛛型ガンダム複数体+アルゴノーツが殴れない状況+戦えるMSがペジュレヴァリエとカノーネブルクしかないでそもそもMSを追加する意味もないという

[111 チグハグ君 24/02/01(木) 21:25:03]

余裕な雰囲気を崩さないアルゴスであったが状況としては手も足も出ないというのが正直なところであった。パイドパイパーの影響力が未知数である以上、現状判明している情報から推察するしかないが、その情報を統合すると
『宇宙中にガンダムをバラ撒き、ベネリットグループにもコネクションを持っている特定個人、あるいは集団。その目的は戦争シェアリングに必須の地球上での紛争の激化』
となる。複数種のガンダムを大量にバラ撒いているのを見るにその影響力は計り知れないものがあり、ベネリットグループのどことコネクションを持っているのかも分からない以上、アルゴノーツメンバーの親族の中に関係者がいてもおかしくはない
何よりもフロントにも攻撃を加えるような存在がティガーの両親に手をかけないという確証がない。ティガーの幸福を第一に考えるアルゴスにとってそれは絶対に避けなければならない事であり、確証がつかめない現状ではパイドパイパーに対して剣を振るうことが出来ないのだ

そんなアルゴスの背後で金属の擦れる嫌な音と、破断した回路から電気を飛び散らせながらユウヒとキングは懸命に立ちあがろうとしていた
コックピットを貫いたスティレットはギリギリで横腹を掠めただけで致命傷には至らなかったが、額からは夥しい量の血を流し、攻撃を受けたことによりコックピットのモニターはひび割れ映像はノイズまみれ、機体の状況を示すモニターはそのほとんどが真っ赤に染まっていた
血を失いすぎて意識が朦朧とし、視界に映るペジュレヴァリエの背中もボヤけて見える。それでも立ちあがろうとするのはひとえにキングの中のソテイラを助けるという純粋な思いがまだ消えていないからなのだろう

キング「うﾞぉﾞぉﾞぉﾞぉﾞぉﾞぉﾞぉﾞぉﾞぉﾞ！ﾞ！ﾞ！ﾞ！ﾞ」

消えそうな意識を必死に繋ぎながらキングはユウヒを駆る。機体もパイロットも限界など等に超えている、ここから起こせる奇跡など何も無い。それでも少年は走る。否、走るしかなかった。ここで走らなくては大切な何かを失ってしまうような気がしたから

[112 二次元好きの匿名さん 24/02/01(木) 21:28:16]

キ゛ン゛ク゛く゛う゛う゛う゛う゛う゛ん゛

[113 二次元好きの匿名さん 24/02/02(金) 00:30:01]

ティガーのままなら怒りに任せてパイドパイパーの復讐を招くかもしれない
アルゴスになれば冷静になれるがパイドパイパーに手出しが出来ない

詰んどるな…

[114 二次元好きの匿名さん 24/02/02(金) 00:53:00]

キング大丈夫なのか…

[115 二次元好きの匿名さん 24/02/02(金) 08:45:40]

保守

[116 二次元好きの匿名さん 24/02/02(金) 13:09:37]

そうなんだよなチグハグ君達が異常なだけで普通ガンダムと戦ったらこうなるんよな

[117 二次元好きの匿名さん 24/02/02(金) 15:25:19]

どうなるか…

[118 二次元好きの匿名さん 24/02/02(金) 22:19:52]

保守

[119 チグハグ君 24/02/02(金) 23:19:10]

だが少年の覚悟は無情にもガンダムの腕一本で受け止められてしまう。脚部の関節が火花を飛び散らせながら鳴らす金属音が悲しいほどに砂浜に響く。衝撃で頭部はひしゃげ中の電装機器が剥き出しになり、蛆虫に食い尽くされ始めた無惨な遺体のようであった

ウィンチェスター「無駄だ、お前では俺には勝てない」

抵抗のパンチ一発でも放ちたい所ではあるが、ユウヒの腕部は駆動系がお釈迦になっており、胴体から力なく垂れ下がり手も足も出ず頭を出すしかなかったキングの現状をよく表していた

ジェイス「待ってろそいつブッ飛ばすからな！キャッスル・ハイパー・シュートッ！！」

アルゴス『ジェイス、ダメd…！！』

キング、ソテイラを救うためカノーネブルクから必殺の一撃が放たれる。出力60%で実戦出力の高エネルギー砲を横から撃ち抜いて無効化できるこの攻撃ならば蜘蛛型ガンダムを破壊し、両人を救う事ができる…はずだった
その砲撃は緑の蜘蛛型ガンダムから生成されたスタンビームの網によって受け止められ逆に賽の目状に切り刻まれてしまった

ジェイス「なぁっ！？そんなのありかよ！？」

驚愕するジェイスであったが、効かないのならばとバズーカを組み替え散弾モードに切り替えているのは流石の判断と言えるだろう。再び狙いをつけ今度こそ紫の蜘蛛型ガンダムを撃ち抜かんとトリガーに指をかけた時、アルゴスからの通信が入った

アルゴス『ジェイス、その機体を、肩に乗っている人物を撃ってはダメだ！』

ジェイス「なんでだよ！今撃たなきゃキングもソテイラの嬢ちゃんも死んじまうんだぞ！」

アルゴス『あの男─パイドパイパーはベネリットとのコネがあると言った。もしもし私達の知り合いの中にパイドパイパーとの繋がりのある人物がいたら…報復が来るぞ。それは私達だけじゃない、私達の家族に向けられるかもしれない』

アルゴスの忠告にジェイスは爪を噛む。船長であるジェイスの役目はまず何よりもクルーを守る事にある。その為には危険の排除と関わらない事が第一であり、凶刃がクルーの家族に向かうというのは何としてでも阻止しなければならない

ジェイス「じゃァどうすりゃいいんだよ…」

完全に対抗策を封じられた2人はそれぞれのコックピットで苦虫を噛み潰したような顔をするしかなかった

[121 二次元好きの匿名さん 24/02/03(土) 00:11:54]

最悪チグハグ君達が負ける可能性もあるかも？
(敗北エンドもそれなりに気になる)

[122 チグハグ君 24/02/03(土) 09:52:14]

そんな時であった。海岸に輸送車のクラクションが響く。ディーゼルエンジンが唸り、タイヤに巻き上げられた砂埃速度を物語る
輸送車はそのまま速度を上げながら紫の蜘蛛型ガンダムに突っ込んだ。金属のひしゃげる音が耳をつんざく。激突の衝撃でユウヒは弾き飛ばされ、輸送車はスピンし横転して止まった。厚めに作られているはずの正面部分はバンパーごと粉砕され、運転席周りのガラスはひび割れ、少し離れた位置にいるペジュレヴァリエからは中の運転手の無事を確認する事はできない

キング「……ジルド…………ジャック……なんで……」

ペジュレヴァリエからは運転席が確認できなくとも至近距離にいるユウヒからはボロボロの運転席で額から血を流し、ぐったりとしているジルドとジャックの姿がひび割れたモニター越しとはいえハッキリと見えた

ジルド「オルレアのメンバーであるとはいえ貴方はまだ子供……子供を守るのは大人の役目ですから……」

ジャック「チビガキが一丁前に体張ったんだ、俺達が体張らなくてどうすんだって話だ…」

大人の矜持というやつですと力無く呟くジルドと早く逃げろと腕を振るジャック。普段は大人に対して反抗的な態度を取るキングであってもこの時ばかりは、掛け値なしの純粋な大人の優しさに涙を流していた

[123 二次元好きの匿名さん 24/02/03(土) 10:26:49]

おお！

[124 チグハグ君 24/02/03(土) 12:02:16]

ウィンチェスター「感動的だな、虫唾が走る」

動けないキング達にウィンチェスターは銃口を向ける。今度こそ避け切れない、死ぬ。そう確信できた。トリガーが弾かれる寸前、一条の光が蜘蛛型ガンダムの銃を撃ち抜くまでは
その光はペジュレヴァリエの持つビームライフルから放たれていた。睨みつけるウィンチェスターであったがペジュレヴァリエは"ギリギリ当たらない"ようにビームライフルを発射し続け、ガンダムは近づく事ができない

アルゴス『おっとすまない、どうやらビームライフルか右腕が故障してしまったみたいだ。穴だらけになる前に撤退をお勧めするよ』

ウィンチェスター「なにをっ……！」

激昂しようとしたウィンチェスターだが、コックピット上スレスレを掠めたビームで冷静さを取り戻すと、ソテイラを連れたままゾロゾロとガンダム達を引き上げさせていった

キング「ま…て………ソテイラさま…を……おいて…いけ…」

連れ去られていくソテイラに必死に手を伸ばすが、コックピットシートに縛り付けられているキングがいくら手を伸ばそうと、彼女との距離は遠くなるばかりであった
そんな無様なキングを見てかパイドパイパーが振り返る

パイドパイパー「大丈夫ですとも！これにはまだ役割がありますので、そんなに絶望なさらず。まぁ、再びこれが皆様の前に姿を現すのは『魔女』としてでしょうが…それでは皆さま！この小さな世界でまた会いましょう！」

それだけ言い残し、蜘蛛型ガンダムとパイドパイパーは消えていった。残されたのは何もできなかったアルゴノーツと傷だらけで壊滅状態のオルレアだけであった

[125 二次元好きの匿名さん 24/02/03(土) 14:14:53]

うむ…

[126 二次元好きの匿名さん 24/02/03(土) 15:00:55]

なんとも可愛げもないムカつくだけの小悪党どもだな

[127 二次元好きの匿名さん 24/02/03(土) 15:06:49]

>>126

えっ

[128 二次元好きの匿名さん 24/02/03(土) 19:09:16]

ソテイラ大丈夫なんかな？

[129 二次元好きの匿名さん 24/02/03(土) 22:29:26]

曇らせはまだまだ続きそう

[130 チグハグ君 24/02/03(土) 23:40:51]

<もっと分かる！ワード解説>

ソテイラのガンダム

X-PrGFC-＊＊＊＊

Pr-particular region

GF-GUND FORMAT

C-custodial

「ガンドフォーマット局所的長時間使用維持検討モデル」

通称「ナナシ」

機体全体で一気にガンドフォーマットを使用するのではなく、各部位ごとに適宜使用することでデータストームの低減を図ったテストモデル

想定通りデータストームの低減には成功したが、機体性能が予想よりも低かったり、それぞれの部位で微妙にセッティングが違うことで整備性に難があったり、同時にガンドフォーマットを使用してようやくルブリスと同程度の能力と有用性の確立が出来なかったため計画が凍結された

ジャンヌダルク

型番: X-PrGFC-0025

頭頂高:18.1m

重量:53.3t

通称「ジャネットちゃん」

「ソテイラ・ヴァンサンク」が乗るナナシをベースとしたガンダム

ナナシの持っていたガンドフォーマットの切り替え問題や性能不足が解消されているが、本人は戦闘には用いずもっぱら農作業や建築工事に用いているためその戦闘能力が真に発揮されることは少ない

背中につけているマントはソテイラの好きなジャンヌダルクが付けていたという理由もあるが、「マントは傷ついた人がこれ以上傷つかないように被せてあげるもの」という彼女のポリシーも多分に含んだものである。なお、農作業の時などは汚れるたり巻き込んでしまうので外している

武器はビームフラッグモードとビームサイスモードを切り替え可能な大鎌「アヴェ・マリア」ビームフラッグモードではオルレアの紋章の描かれた旗をビームによって構成するだけではなく、簡易的なビームシールドとしても使用可能。ビームサイスモードでは対ビーム装甲すら容易に切り裂く威力を発揮する

[131 二次元好きの匿名さん 24/02/04(日) 08:23:36]

保守

[132 二次元好きの匿名さん 24/02/04(日) 12:59:32]

保守

[133 二次元好きの匿名さん 24/02/04(日) 13:02:43]

ソテイラさん結構頑張って使ってたんだな

[134 二次元好きの匿名さん 24/02/04(日) 17:50:32]

しかし所詮地球レジスタンスの偶像一人を拐って魔女に仕立て上げたところでそうそうデカいこと起こせるか？

[135 二次元好きの匿名さん 24/02/04(日) 23:04:18]

>>134

デカくするのが商人なんやろ

[136 二次元好きの匿名さん 24/02/05(月) 01:35:23]

>>135

なるほど

[137 二次元好きの匿名さん 24/02/05(月) 09:07:14]

保守

[138 二次元好きの匿名さん 24/02/05(月) 14:43:15]

とはいえコイツらも武装勢力とか手駒にしてりガンダム運用してる以上あんまり直接的武力はなさそう、そうなると重力子兵器とか扱ってたジズが異質に感じるな

[139 チグハグ君 24/02/05(月) 22:49:04]

あの人に出会ったのは１年ほど前の事だった
住んでいた街を、日常を、友達を、家族を、大切だったもの全てを焼き尽くされて、逃げて逃げてもう走れなくなるまで走り続けて、再び目を覚ますことはないだろうと目を閉じた。だが、その目は再び開けられた
目を覚まし真っ先に飛び込んできたのは肌を焼くような日差しではなく、電灯が放つ柔らかな人工光。背に感じるのは乾いた硬い大地ではなく、質がいいとは言えないベッド。どうやら死なずに人のいい誰かに拾われたようだ
起きようと体を持ち上げてみるが走り続けたからか数センチも浮かせずに重力にベッドへと引き釣り戻されてしまう。よくよく見れば全身いたるところに包帯が撒かれていて、左腕には点滴まで刺さっている。なるほどこれでは起き上がれるわけもないかと死にかけている自分の体に妙な納得をしてしまう

静かだった。どうやら自分が寝かされている部屋は個室のようで他に人の気配はなく、壁掛け時計の刻む秒針の音が、ここが現実であることを教えてくれる
体を動かせないこの状況では、何をすることもできない。否、何か思い出を思い返したり、楽しいことを考えたりするくらいのことは出来るはずだ
この怪我が治ったら新作のMFのフィギュアを買いに行こう。奮発して１日に２体も買って新しく親父と作った棚の一番映える場所に飾ろう。午後は友達と市民プールに行って、帰ってきてご飯の時間になるまでは妹に勉強を教えよう。夕食の時間には母さんが作ってくれた大好物のマンティをたくさん食べて、そのあとは親父とWMFの試合を観る。確か今日はタシット・ソードとホライズン・ハートの試合のはずだ。試合のあとは部屋にこもって将来乗りたいMFの設計図を書いて‥‥‥そんなありふれた日々を過ごそう

天井が歪んで見えた。幸せな想像のはずなのに、涙が止まらなかった。どれほど幸福を夢想してもそれはしょせん妄想でしかなく、鼻腔に残る焼け焦げた両親どちらかの腕の肉の臭いが、網膜に焼き付いた燃え盛る街が、脳裏にこべりついた爆弾で四肢がちぎれ爆炎で綺麗だった髪が燃えながら人から肉塊へと変わる妹の最期の瞬間が、どうしようもないほどに自分を絶望へと引き込もうとしてくる。あまりにもショックが大きくて心が麻痺しているのか、それとも、もう絶望の渦中に引きずり込まれていて、さらに深いところまで堕ちようとしているのか、それすら分からなかった

[140 二次元好きの匿名さん 24/02/05(月) 22:50:11]

保守

[141 二次元好きの匿名さん 24/02/05(月) 23:05:33]

キングの思い出？

[142 二次元好きの匿名さん 24/02/06(火) 07:55:51]

>>141

過去スレ的に多分そう

両親と妹がMSが投げたグレネードで家ごと吹っ飛んで、逃げて倒れていたところを助けられたって流れ

[143 二次元好きの匿名さん 24/02/06(火) 18:39:02]

☆

[144 チグハグ君 24/02/06(火) 18:48:13]

首筋に巻かれた包帯が涙で濡れて肌にじっとりとした感触が感じられるようになってきたころ、突然に部屋の扉が開いた。首が固定されているせいでわずかな範囲の視野では見ることができない。コツコツと靴が床を鳴らす音が誰かの接近を教えてくれる
その音が自分の真横まで近づいたとき、影が顔を覆った

とても綺麗な人だった

こちらを見つめるマリンブルーの瞳。揺れる長い赤い髪はサラサラとしていて、ふんわりとフローラルな匂いがする。その赤い髪がよく映える白い肌は褐色気味の自分の肌とは正反対で、優しい笑みを浮かべる顔は非常に整っている。こんなに美しい人がいるのかと短い自分の15、6年程度の人生の中でもかなり大きな衝撃を受けたことを今でも覚えている
おそらく自分を助けてくれたのであろうその人にお礼を言いたくて口を開くが、どうやら喉もやられているらしく出るのはヒューヒューと情けない声未満の何か
そんな情けない自分にその人は手を伸ばすと、目尻に溜まっていた涙を拭った

ソテイラ「よく頑張りましたね。もう、大丈夫ですわ」

その優しい微笑みに、大丈夫という言葉に、再び涙を流した。もう戻らない日常が心にのしかかって、ずっとこらえてそれでも漏れ出た悲しみが決壊し声を上げて泣いた
どれ程の時間泣き続けていたのかは分からない。だけど、その人は自分が泣き止むまでそばにいて手を握ってくれた。それを知っているのは泣き疲れて眠った後に、目を開けるとその人が手をつないだまま床に座り込んで寝ていたからだ

[145 二次元好きの匿名さん 24/02/06(火) 22:11:14]

よかった！生きてる！

[146 二次元好きの匿名さん 24/02/07(水) 07:47:10]

保守

[147 チグハグ君 24/02/07(水) 13:50:32]

このご時世、薬を飲んで1週間もすれば大抵のケガというのは治るもので、松葉杖という条件付きではあるが1人で歩けるまでに回復していた
この1週間で沢山のことがあった。包帯がずいぶん取れたり、今自分がいるこの場所─マイティベース─が捨てられた施設を改修したものであることだったり、そして何より自分の現状について嫌というほど知ることになった
結論から言うと住んでいた街はもうダメらしい。住居や公共施設は燃やされ、破壊されて人が住む場所はなく、わずかに残った人も街を捨てて脱出する人が多く、残っているのは自力では動けない老人や粉々になった街をそれでも捨てきれない故郷に強い愛着のある人くらいだ
瓦礫の撤去すらまともに予定が立ってはいないが遺体の回収だけは進められているらしい。最もそれは死者を弔う為とかでは無く衛生上の問題とか金品目当ての盗賊が街を荒らすのを防ぐ為なんだと思う

暗いことばかりだけど、いいこともあった
あの綺麗な人がよく尋ねてきてくれるのだ。優しい手をしたその人は名前をソテイラ・ヴァンサンクというらしく、自分とそこまで歳が変わらないように見えるのに、このマイティベースを拠点とする救援組織の代表を務めているのだ。最近まで学校のテストに頭を悩ませていた自分とはえらい違う
ほとんど毎日、この部屋に来て話を聞いてくれたり、時には一緒にご飯を食べてくれる彼女の事がなんだかアニメや映画の女神様とか聖女様のように思えてきて、いつしか「ソテイラ様」とそう呼ぶようになっていった

[148 二次元好きの匿名さん 24/02/07(水) 22:16:44]

これは惚れても仕方ないのでは？

[149 二次元好きの匿名さん 24/02/08(木) 08:44:16]

保守

[150 チグハグ君 24/02/08(木) 19:03:29]

それと、自分を助けてくれた組織のことも知った

独立救援組織「オルレア」

難民キャンプの避難民の集まりから始まったこの組織はソテイラ様を中心とし、あらゆる場所に赴き、宗教、紛争、自然災害からペットの猫の世話、農作業の手伝い、積荷の運搬と困っている人達を助けているらしい
自分を拾ったのはそうやって活動して帰っている最中だったそうだ。とにかく僕は運が良かったらしい

ソテイラ「──さんはこれからどういたしますの？」

ソテイラに連れられてやってきた食堂で麺を啜っていると、不意にそんなことを聞かれた

「……わかりません。行く当てないし、親戚がどこに住んでるのかも分からないし…もう、帰る場所がないし」

半ば愚痴めいた言い方であったが、これから行くアテも、頼れる大人も、帰れる場所も何もかもがないのが事実であった。もしかしたらこのまま適当な児童施設にでも送られるのかもしれない。大人になるまでの数年間くらいならば耐えれそうな気もするが、親のいない子供という現実と戦う気にはなれなかった

ソテイラ「それでしたら、ここに残ってみませんか？」

[151 チグハグ君 24/02/08(木) 19:03:48]

困り果てた顔をした自分を見かねてソテイラ様が助け舟を出してくれた
なんでも、ここには元々教師だった人がいるらしく勉強もできるし、衣食住の保証もしてくれるようだ。てっきりオルレアとかいう組織に絶対入会が条件だと思い断ろうとしたのだが、あくまで独り立ちできるまでの数年、客人としてこのマイティベースに暮らさないかという提案だった

「でもそしたら俺、ただの金買い虫なんじゃ…」

ソテイラ「そんな事ありません。私達は救援組織です。何よりもまず、困っている人を助ける、それを信条としております。貴方のような子供は特にそうですわ」

その瞳に嘘が混じっているなどとはとても思えなかった。だからこそ、疑問が口から溢れた

「…どうしてそんなに優しくしてくれるんですか？」

ソテイラ「困っている人に優しくするのに理由はいりませんのよ。たくさん傷ついて、苦しんで、悲しんだんです。その分だけ幸せになってくれなかったら、この世界が不平等だってまた悲しんでしまうでしょう？」

その言葉に、自然と涙を流していた。優しすぎるほどに優しい彼女の想いが今の自分には嬉しすぎて、貰ったものが大きすぎて、何かを返したくなってしまったのだ。だから、反射的に言ってしまった

「俺は……俺も！オルレア、入りたいです！」

[152 二次元好きの匿名さん 24/02/08(木) 22:54:36]

これあれだこれから失われる壺の価値を説明されてるやつだ

[153 二次元好きの匿名さん 24/02/09(金) 02:36:37]

保守

[154 二次元好きの匿名さん 24/02/09(金) 11:05:04]

保守

[155 チグハグ君 24/02/09(金) 19:05:23]

そんな事で半ば勢いでオルレアに入った自分に待っていたのは経験したことのない驚きと東奔西走の日々だった
気に食わない先輩に歯向かって喧嘩したり、ジャンクの山からMSの残骸を見つけて少しずつ直したり、難民キャンプに出向いて作業を手伝ったり、感謝されたり
「キング」と名乗るようになったのもこの辺りだ。もっとも、そう名乗るようになった経緯は恥ずかしくて思い出したくもないが

そんな怒涛の日々の中でも、あの絶望の夜の事を思い出さなかった日はなかった
幸せそうな家族を見て、爆弾で吹っ飛んだ家族の姿を思い出す。街角のパン屋を見て、もう戻らない日常を思い出す。賑やかな食堂で1人で飯を食べている時には、何故か涙が止まらない時があった。目を瞑れば、四肢を失い灰になるまで燃え続ける妹の悪夢を見て飛び起きれば、ぐっしょりとした汗でTシャツが張り付いて気持ち悪い事この上なかった
そんな自分を見かねたのか、ソテイラ様は俺の手を引いて外へと連れ出した。モビルバイクを駆るMSのコックピットの中に同乗し、向かったのは俺の住んでいた街だった
その燃え残った街の残骸を見て、初めて同年代の女の子と密室に2人きりになった状況への高揚感など一瞬で消え失せた

過呼吸になりかける度に優しく声をかけ背中をさすってくれるソテイラ様の優しさに救われながら向かったのは、あの惨状の中でほんの少し外壁が剥がれた程度で済んだ学校の体育館。休み時間に友達とバスケをした体育館は不揃いな黒い袋で溢れかえっていた
誰に何も言われずともそれが死んだ人の遺体である事くらいすぐに分かった。袋の上にはその遺体がどこで回収されたのか示すカードが置かれていて、それを頼りに家族を探す
正直に言うと、見つからないで欲しいというのが本音であった。もし、ここに家族がいるのなら、ここで見つけてしまったら、本当に自分は天涯孤独になってしまう。だから、いないで欲しい、いても見つからないで欲しいと強く願いながら死体の間を歩いた

[156 二次元好きの匿名さん 24/02/09(金) 23:47:40]

うむ···コノアトどうなるか···

[157 二次元好きの匿名さん 24/02/10(土) 08:50:40]

朝保守

[158 二次元好きの匿名さん 24/02/10(土) 20:16:16]

まぁこれを見るのはキツイよね

[159 二次元好きの匿名さん 24/02/11(日) 07:31:34]

実質シンだな

[160 チグハグ君 24/02/11(日) 18:23:05]

死体袋のカードに刻まれた住所がどんどん家の住所に近づいていく。交差点のところのフェルナンドさん、学校に行く時間になるといつも芝刈り機を押していて、帰ってくる頃には軒先でコーヒー飲んでたな。こっちは5軒お隣のハニュスバーグさん家、よくここの犬を触らせてもらってたのを覚えている。これは左向かいのオッコッツさん、無口だけど新作ゲームの攻略情報をくれるお兄ちゃんが住んでた
皆、生きていた。あの日街が焼かれるその瞬間まで生きていて、そして苦しみながら死んでいった。ところどころ不揃いな膨らみのものが混じる遺体袋の荒野に、ついに目的地まで辿り着いてしまった

そこにあったのは他のものと比べても随分と小さな黒い袋。どれが父親でどれが母親、どれが妹かは分からない。だが、カードに刻まれた情報がこの3つの袋の中にある物体が自分の家族の成れの果てだと教えている
正直なことを言うと、悲しいとか苦しいとかそういう感情は不思議なほどに自分の中にはなかった。あるのはただずっと落下していくような感覚と、考えることを放棄し他人のやるゲームのように流れていく世界の風景のみ。人は悲しみがオーバーフローすると何も考えられなくなるらしいが、あの時の俺は正しくそれだったのだと思う

そして、思考ができなくなった人間がする事は本能に従った事だ。俺の手は黒い袋のチャックに伸びていた。こんな袋の中じゃ息苦しいだろうと、ただ壊れた心が出力した善意で体が動いていた
ジッパーが音を立てて明けられそうになった時、その手をソテイラ様の手が掴み、止めた
「それをしたら後戻りできなくなる」と、そう言っているような気がして、俺はついぞ家族の死に目を見ることはなかった

[161 二次元好きの匿名さん 24/02/12(月) 00:15:39]

でもこういうアーシアンって多いんだろうな

[162 二次元好きの匿名さん 24/02/12(月) 09:49:24]

保守

[163 二次元好きの匿名さん 24/02/12(月) 18:14:53]

>>155

キングって本名じゃないんだな

[164 二次元好きの匿名さん 24/02/13(火) 00:03:43]

保守